説明

電源装置及び画像形成装置

【課題】電源にキャパシタを用いる場合に安定した電力供給を行う技術を提供する。
【解決手段】電源装置1は、電気二重層キャパシタ30を介して電源を供給する構成であって、電気二重層キャパシタ30の温度を検知する温度検知手段40と、電気二重層キャパシタ30を加熱するヒータ50と、温度検知手段40による温度検知信号に基づいてヒータ50の加熱温度を制御する制御手段60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給源として電気二重層キャパシタを用いた電源装置が知られている。また、レーザ式のプリンタ、複写機などの画像形成装置では、感光体ドラム上へのトナー像を現像する書込ユニットや用紙上に転写されたトナー像を熱定着する定着器などの各機能部に電力供給する電源部に電気二重層キャパシタを用いるものがある。
【0003】
上述した電気二重層キャパシタは、温度が低いほうが内部インピーダンスが高い特性を有している。例えば、0°Cでは20°C時の約2倍のインピーダンスがある。このため、キャパシタを用いて電力供給を行う場合は、電力供給時の電流が大電流となるほど電圧降下が大きくなり、十分な出力が得られないばかりか電力損失も大きくなるという問題があった。
【0004】
このような問題に対して、例えば特許文献1には、低温時にキャパシタの静電容量が低下し、内部抵抗が増大する特性を補償するため、充電電圧を制御する技術が開示されている。特許文献2には、電池の内部抵抗が増加する方向の温度変化を検知した場合に充電電流を抑制して電圧降下を抑制する技術が開示されている。特許文献3には、急激な負荷変動時にも蓄電装置を用いる電源から取り出す電流の変化を少なくして損失を抑制する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−142373号公報
【特許文献2】特開2004−74874号公報
【特許文献3】特開2004−166577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、いまだ十分に安定した電力供給を得ることができず、電気二重層キャパシタにおける電力損失も十分に改善することはできなかった。
【0006】
本発明の課題は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、電源に電気二重層キャパシタを用いる場合に安定した電力供給を行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電気二重層キャパシタを介して電源を供給する電源装置であって、
前記電気二重層キャパシタの温度を検知する温度検知手段と、
前記電気二重層キャパシタを加熱する加熱手段と、
前記温度検知手段により検出された温度検出信号に基づいて、前記加熱手段の加熱温度を制御する制御部と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記温度検知手段は、前記電気二重層キャパシタ自身又はその周囲温度を検知する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記制御手段は、前記温度検知手段による温度検出信号に基づいた検知温度が予め設定された温度範囲に収まるように、前記加熱手段を制御する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が前記温度範囲を上回る場合に、前記加熱手段による前記電気二重層キャパシタの加温を停止させる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が前記温度範囲を下回る場合に、前記加熱手段による前記電気二重層キャパシタの加温を開始させる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、電気二重層キャパシタを介して電源を自装置内の各機能部に供給する電源手段を有する画像形成装置において、
前記電気二重層キャパシタの温度を検知する温度検知手段と、
前記電気二重層キャパシタを加熱する加熱手段と、
前記温度検知手段により検出された温度検出信号に基づいて、前記加熱手段の加熱温度を制御する制御部と、
を備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記温度検知手段は、前記電気二重層キャパシタ自身又はその周囲温度を検知する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の発明において、前記制御手段は、前記温度検知手段による温度検出信号に基づいた検知温度が予め設定された温度範囲に収まるように、前記加熱手段を制御する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が前記温度範囲を上回る場合に、前記加熱手段による前記電気二重層キャパシタの加温を停止させる。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が前記温度範囲を下回る場合に、前記加熱手段による前記電気二重層キャパシタの加温を開始させる。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項6〜10のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が予め設定された下限温度を下回る場合に、前記各機能部の動作モードを動作禁止モードに設定する。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が予め設定された下限温度を下回る場合に、前記電源手段から電力供給される各機能部の中で、前記電気二重層キャパシタから電力供給される機能部の動作モードを動作禁止モードに設定する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1、6に記載の発明によれば、検知された電気二重層キャパシタの温度に基づいて当該電気二重層キャパシタを加熱することができ、電気二重層キャパシタの温度特性にともなう電力損失を抑え、安定した電力供給を行うことができる。
【0020】
請求項2、7に記載の発明によれば、電気二重層キャパシタ自身又はその周囲温度を検知できる。
【0021】
請求項3、8に記載の発明によれば、電気二重層キャパシタの温度を予め設定された温度範囲に収まるように調節できる。
【0022】
請求項4、9に記載の発明によれば、電気二重層キャパシタの温度が予め設定された温度範囲を上回る場合に、加熱を停止させてその温度範囲に戻るように調節できる。
【0023】
請求項5、10に記載の発明によれば、電気二重層キャパシタの温度が予め設定された温度範囲を下回る場合に、加熱を開始させてその温度範囲に戻るように調節できる。
【0024】
請求項11に記載の発明によれば、電気二重層キャパシタの電力損失が大きくなる下限温度を下回る場合では、動作禁止モードに設定することで、電気二重層キャパシタを介した電力供給が行われないようにして、電気二重層キャパシタの電力損失を小さくすることができる。
【0025】
請求項12に記載の発明によれば、電気二重層キャパシタの電力損失が大きくなる下限温度を下回る場合では、電気二重層キャパシタを介して電力供給される機能部の動作モードを動作禁止モードに設定することで、電気二重層キャパシタを介した電力供給が行われないようにして、電気二重層キャパシタの電力損失を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態について図を参照して説明するが、この発明は以下の実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、発明の範囲を限定するものではない。
【0027】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る電源装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る電源装置1の機能的構成を模式的に示すブロック図である。図2は、電源装置1の動作を示すフローチャートである。図3は、電気二重層キャパシタ30の温度と内部抵抗値との関係を示すグラフである。
【0028】
先ず、電源装置の構成について説明する。図1に示すように、電源装置1は、外部電源10、電流制限回路20、電気二重層キャパシタ30、温度検知手段40、ヒータ50、制御手段60を有する構成である。
【0029】
電源装置1は、商用電源などである外部電源10から供給される電力を電流制限回路20で調整し、電気二重層キャパシタ30に充電するとともに、当該電気二重層キャパシタ30を介して電力を接続機器2へ供給する。
【0030】
電気二重層キャパシタ30は、固体電極(例えば、活性炭)と電解液の境面に電荷が蓄積される電気二重層現象を利用したキャパシタである。この電気二重層キャパシタを用いることで、小型でファラド(F)単位の大容量の静電容量を得ることができる。また、特別な充放電管理回路が不要であるとともに、短時間で充電できる。
【0031】
温度検知手段40は、温度に応じたアナログ電気信号を出力するサーミスタ等と、当該アナログ電気信号をデジタル変換して温度検知信号を出力する変換器とを有している(いずれも特に図示しない)。温度検知手段40は、サーミスタ等により電気二重層キャパシタ30自身の温度又はその周囲温度を検知してその温度検知信号を制御手段60に出力する。
【0032】
ヒータ50は、ハロゲンヒータ、カーボンヒータ、電熱線、セラミックヒータ又は誘導加熱(IH:Induction Heating)コイル等などの発熱体と、当該発熱体に駆動電流を供給する駆動回路と、を有している(いずれも特に図示しない)。発熱体は電気二重層キャパシタ30近傍に設けられており、当該発熱体の熱が均一に電気二重層キャパシタ30に伝導するようになっている。なお、発熱体は、電気二重層キャパシタ30を加熱可能であれば、電気二重層キャパシタ30と熱伝導率の高い金属などで接続される構成であってもよい。駆動回路は、制御手段60から出力されるPWM(Pulse Width Modulation)信号などの制御信号に基づいて供給する駆動電流を調整する。このため、ヒータ50は、制御手段60の制御の下、発熱体による加温開始/加温停止などを行うことで、電気二重層キャパシタ30の温度調整が可能となっている。
【0033】
制御手段60は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有する(いずれも特に図示しない)。制御手段60は、CPUがRAMの所定領域を作業領域として、ROMに予め格納された各種制御プログラムや設定データに基づいた処理を順次実行することで、電源装置1の動作を統括制御する。例えば、制御手段60は、上述の制御プログラムを実行することで、温度検知手段40から出力される温度検知信号に基づいて電気二重層キャパシタ30の検知温度を算出する。
【0034】
次に、電源装置1の制御手段60が順次実行する動作処理について説明する。図2に示すように、処理が開始されると、温度検知手段40からの検知信号に基づいて電気二重層キャパシタ30の温度が検知される(ステップS11)。
【0035】
次いで、ステップS11で検知された温度が制御温度範囲未満であるか否かが判定され(ステップS12)、制御温度範囲未満である場合(YES)は、電気二重層キャパシタ30を加温するようにヒータ50がONされる(ステップS13)。
【0036】
制御温度範囲とは、電気二重層キャパシタ30における温度−内部抵抗の特性に基づいて予めROMなどに設定された温度範囲である。この電気二重層キャパシタ30における温度−内部抵抗の特性は、図3に示すように、低温時に内部抵抗値が高くなる。制御温度範囲は、この特性に基づき、低温側については内部抵抗が顕著に高くなり始める温度よりも高い温度が制御温度下限T1として設定され、高温側については電気二重層キャパシタ30を劣化させるなど悪影響を及ぼす上限温度T3よりも低い温度が制御温度上限T2として設定される。
【0037】
ステップS12において、検知された温度が制御温度範囲未満でない場合(NO)は、その検知された温度が制御温度範囲以下であるか否かが判定される(ステップS14)。この判定において、検知された温度が制御温度範囲以下でない場合(NO)、即ち、検知された温度が制御温度範囲を超えた場合は、電気二重層キャパシタ30の加温を停止するようにヒータ50がOFFされる(ステップS15)。
【0038】
電源装置1は、上述した動作を行うことで、電気二重層キャパシタ30の温度を図3に例示した制御温度下限T1〜制御温度上限T2の間に収まるようにヒータ50の加熱具合を制御している。このため、電源装置1は、接続機器への電力供給にキャパシタを用いる場合において、キャパシタにおける電力損失を抑え、安定した電力供給を行うことができる。
【0039】
以上のように、電源装置1は、電気二重層キャパシタ30を介して電源を供給する構成であって、電気二重層キャパシタ30の温度を検知する温度検知手段40と、電気二重層キャパシタ30を加熱するヒータ50と、温度検知手段40による温度検知信号に基づいてヒータ50の加熱温度を制御する制御手段60と、を備える構成である。
【0040】
このため、電源装置1は、電気二重層キャパシタ30の温度特性に合わせて当該電気二重層キャパシタ30の温度調節を行うことができるため、電気二重層キャパシタ30における電力損失を抑え、接続機器2に対して安定した電力供給を行うことができる。
【0041】
また、電源装置1は、制御手段60の制御の下、温度検知手段40による温度検知信号に基づいた検知温度が予め設定された温度範囲(制御温度下限T1〜制御温度上限T2)に収まるようにヒータ50を制御する構成である。
【0042】
このため、電源装置1は、電気二重層キャパシタ30の温度を当該電気二重層キャパシタ30において電力損失が少ない温度範囲などに調整できるため、接続機器2に対してより安定した電力供給を行うことができる。
【0043】
また、電源装置1は、制御手段60の制御の下、温度検知手段40による検知温度が予め設定された温度範囲を上回る場合に、ヒータ50による電気二重層キャパシタ30の加温を停止させる構成である。このため、電源装置1は、電気二重層キャパシタ30の温度が当該電気二重層キャパシタ30において電力損失が少ない温度範囲などを上回った場合に、ヒータ50の駆動を停止して電気二重層キャパシタ30の温度をその温度範囲に戻すように調節できる。
【0044】
また、電源装置1は、制御手段60の制御の下、温度検知手段40による検知温度が予め設定された温度を下回る場合に、ヒータ50による電気二重層キャパシタ30の加温を開始させる構成である。このため、電源装置1は、電気二重層キャパシタ30の温度が当該電気二重層キャパシタ30において電力損失が少ない温度範囲などを下回った場合に、ヒータ50の駆動を開始して電気二重層キャパシタ30の温度をその温度範囲に戻すように調節できる。
【0045】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る画像形成装置について、図4〜図8を参照して説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同一構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図4は、本実施の形態に係る画像形成装置100の機能的構成を模式的に示すブロック図である。図5は、電源部116の内部構成を示すブロック図である。図6は、画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。図7は、機能部動作禁止処理の内容を示すフローチャートである。図8は、画像形成装置100における電気二重層キャパシタ30の温度変化を例示するグラフである。
【0047】
先ず、画像形成装置の構成について説明する。図4に示すように、画像形成装置100は、CPU110、ROM111、RAM112、不揮発メモリ113、画像処理部114、表示部115、電源部116、キー入力部117、紙搬送部118、画像読取部119、後処理部120及び画像形成部121を備え、これら各部はバス122を介して互いに接続される構成である。
【0048】
CPU110は、RAM112を作業領域としてROM111や不揮発メモリ113に格納された制御プログラムや設定データに基づいた処理を順次実行することで、画像形成装置100の動作を統括制御する。
【0049】
不揮発メモリ113は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)又はフラッシュメモリ(Flash ROM)などの不揮発性の半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等であり、CPU110が実行するアプリケーションプログラム及びこれらのプログラムで使用されるデータ等を格納する。
【0050】
画像処理部114は、画像処理用のDSP(Digital Signal Processor)等であり、CPU110から入力される制御信号に従って、入力される画像データに対して回転、拡大/縮小、階調変換、2値化処理等の各種画像処理を施す。具体的には、画像読取部119から入力された画像データや、画像形成部121における画像形成に係る画像データに対して各種画像処理を施す。
【0051】
表示部115は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面を備え、CPU110から入力される表示制御信号に従った画像の表示を行う。
【0052】
電源部116は、図5に示すように、外部電源10、電流制限回路20、電気二重層キャパシタ30、温度検知手段40、ヒータ50を有し、外部電源10又は電気二重層キャパシタ30から画像形成装置100の各部に電力供給を行う構成である。また、電源部116は、CPU110の制御の下、温度検知手段40による電気二重層キャパシタ30の温度検知と、ヒータ50の駆動制御による電気二重層キャパシタ30の温度調整を行う。
【0053】
キー入力部117は、コピースタートキー、選択キー、決定キー、数値入力用のテンキー等の各種キーを備え、これらキーの操作信号をCPU110に出力する。また、キー入力部117は、表示部115の表示画面を覆うように設けられたタッチパネルを有し、電磁気誘導磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出された座標を操作信号としてCPU110に出力する。
【0054】
紙搬送部118は、画像形成装置100において画像形成を行うための用紙を格納する用紙トレイ、当該用紙トレイから画像形成部121や後処理部120へ用紙を搬送して排紙トレイへ排出するための搬送ローラ、当該搬送ローラを駆動するためのモータなどを有する構成である(いずれも図示しない)。紙搬送部118は、CPU110の制御の下、画像形成部121や後処理部120へ用紙の搬送を行い、画像形成後又は後処理後の用紙を排紙トレイへ排紙する。
【0055】
画像読取部119は、コンタクトガラスなどに載置された原稿の読取を行う光学スキャナなどであり、原稿を照射する光源、CCD(Charge Coupled Devices)等の読取素子、当該読取素子や光源を駆動して原稿を走査するモータやベルトなどの駆動部を有する(いずれも図示しない)。画像読取部119は、CPU110の制御の下、原稿の読み取りを行い、原稿画像データを取得する。なお、119は、ADF(Auto Document Feeder)等のコンタクトガラスに原稿を搬送する原稿搬送機構を備える構成であってもよい。
【0056】
後処理部120は、CPU110の制御の下で駆動するモータやベルト等の駆動部を有し(いずれも図示しない)、画像形成部121により画像形成後の用紙にソート処理、パンチ(穴開け)処理、ステープル処理、中折り処理、断裁処理等の各種後処理を施す。
【0057】
画像形成部121は、CPU110の制御の下、感光体ドラムに静電潜像を形成し、その静電潜像へトナーを付着させたトナー像を中間転写ベルトなどの画像担持体へ形成して用紙へ転写し、そのトナー像を転写した用紙をヒータを有する定着ローラなどで熱定着させて用紙上へ画像形成を行う(詳細は図示しない)。
【0058】
画像形成部121は、前述したいわゆる電子写真方式で用紙に画像形成を行う構成であり、YMCK各色を重畳してカラー画像を形成してもよい。また、画像形成部121は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式、熱昇華方式等の他の画像形成方式で用紙に画像形成を行う構成であってもよい。
【0059】
次に、画像形成装置100のCPU110が順次実行する動作処理について説明する。図6に示すように、電源投入時などのタイミングで処理が開始されると、温度検知手段40からの温度検知信号に基づいて電気二重層キャパシタ30の温度が検知される(ステップS21)。
【0060】
次いで、ステップS11で検知された温度が下限温度以下であるか否かが判定され(ステップS22)、下限温度以下である場合(YES)は、機能部動作禁止処理が行われて(ステップS23)、電気二重層キャパシタ30を加温するようにヒータ50がONされる(ステップS24)。
【0061】
下限温度とは、電気二重層キャパシタ30における温度−内部抵抗の特性に基づいて予めROMや不揮発メモリ113などに設定される温度である。電気二重層キャパシタ30の特性は、前述した図3に示すとおりであり、内部抵抗が顕著に高くなり始める温度がある。この温度以下では、内部抵抗によって電気二重層キャパシタ30での電力損失が大きくなる。下限温度は、電気二重層キャパシタ30のこのような特性に基づいて設定される温度であり、内部抵抗が顕著に高くなり始める温度が予め設定される。
【0062】
図7に示すように、ステップS23において、機能部動作禁止処理が開始されると、画像形成装置100の電源部116から各機能部への電力供給状態を示すシステム状態が確認されて、電源部116の電気二重層キャパシタ30から電力供給される機能部が確認され(ステップS231)、電気二重層キャパシタ30からの電力供給が後処理部120などのオプションのみに供給されているか否かが判定される(ステップS232)。
【0063】
ここでいう各機能部とは、加熱やモータ駆動などで大量の消費電力が必要な時に電気二重層キャパシタ30が電力供給を行う箇所である。具体的には、紙搬送部118、画像読取部119、画像形成部121、後処理部120などがある。この各機能部におけるオプションとは、後処理部120や画像読取部119におけるADF等の画像形成装置100における拡張機能を示す。
【0064】
ステップS231における電力供給状態の確認は、上述した各機能部や当該機能部のオプションの各々への電源供給が、電源部116の外部電源10から行われているか、電気二重層キャパシタ30を介して行われているか等、予めROMに記憶された設定情報に基づいて行われる。
【0065】
ステップS232において、電気二重層キャパシタ30を介した電力供給がオプションのみに行われていると判定された場合(YES)は、機能部を限定して動作を許可する動作モードが設定される(ステップS233)。
【0066】
この機能部を限定した動作モードとは、各機能部において、電気二重層キャパシタ30を介した電力供給が行われるオプションを機能させないように制御する動作モードである。具体的には、キー入力部117からの操作指示やタッチパネルなどにおける操作指示において、電気二重層キャパシタ30からの電力供給されるオプション機能の選択指示を受け付けないようにして行われる。例えば、後処理部120や画像読取部119におけるADFが電気二重層キャパシタ30から電力供給されて機能する場合は、ステープルやパンチ穴あけ等の後処理機能と自動原稿読取機能の利用が制限されるが、用紙への画像形成等の他の機能については通常どおりに利用可能となる。
【0067】
また、ステップS232において、電気二重層キャパシタ30を介した電力供給が各種機能部全体に対して行われていると判定された場合(NO)は、当該各種機能部の動作を禁止する動作禁止モードに設定され(ステップS234)、表示部115にウオーミングアップ中であることが画面表示される(ステップS235)。なお、この動作禁止モードとは、電気二重層キャパシタ30から電力供給される各種機能部を動作させないように制御する動作モードである。
【0068】
図6に戻って、ステップS22において下限温度以下でない場合(NO)の処理を説明する。下限温度以下でないと判定された場合は、第1の実施の形態と同様、検知された温度が制御温度範囲未満であるか否かが判定誰(ステップS25)、制御温度範囲未満である場合(YES)は、電気二重層キャパシタ30を加温するようにヒータ50がONされる(ステップS26)。
【0069】
ステップS25において、検知された温度が制御温度範囲未満でない場合(NO)は、その検知された温度が制御範囲以下であるか否かが判定され、検知された温度が制御温度範囲以下でない場合(NO)、即ち検知された温度が制御温度範囲を超えた場合は、前述した上限温度に基づいて電気二重層キャパシタ30に悪影響を及ぼす異常高温であるか否かが判定される(ステップS28)。
【0070】
ステップS28において異常高温でないと判定された場合(NO)、即ち、電気二重層キャパシタ30の温度が制御温度範囲を超えるが上限温度より低い場合は、電気二重層キャパシタ30の加温を停止するようにヒータ50がOFFされる(ステップS29)。このステップS29及び上述したステップS26に次いで、各種機能部の動作が許可される動作モードに設定される(ステップS30)。
【0071】
ステップS28において異常高温であると判定された場合(YES)、即ち、電気二重層キャパシタ30の温度が上限温度より高い場合は、電気二重層キャパシタ30の加温を停止するようにヒータ50がOFFされる(ステップS31)とともに、装置異常として判断して各部の診断を行う装置異常判断処理が行われる(ステップS32)。
【0072】
この装置異常判断処理とは、予めROMや不揮発メモリ113等に記憶されたエラーチェックプログラムなどに基づく処理である。具体的には、各種機能部の全ての動作が禁止される動作モードに設定され、各部から出力されるエラーコード等の検証が行われて、当該検証結果が表示部115にサービスコール等として表示される処理である。
【0073】
以上のように、画像形成装置100は、電気二重層キャパシタ30を介して電源を自装置内の各機能部(紙搬送部118、画像読取部119、後処理部120、画像形成部121等)に供給する電源部116を有する構成であって、電気二重層キャパシタ30の温度を検知する温度検知手段40と、電気二重層キャパシタ30を加熱するヒータ50と、温度検知手段40による温度検知信号に基づいてヒータ50の加熱温度を制御するCPU110と、を備える構成である。
【0074】
このため、画像形成装置100は、電気二重層キャパシタ30の温度特性に合わせて当該電気二重層キャパシタ30の温度調節を行うことができるため、電気二重層キャパシタ30における電力損失を抑え、各機能部に安定した電力供給を行うことができ、当該各機能部の安定した動作を実現できる。
【0075】
また、画像形成装置100は、CPU110の制御の下、温度検知手段40による温度検知信号に基づいた検知温度が予め設定された温度範囲に収まるようにヒータ50を制御する構成である。具体的には、図8に示すように、制御温度下限T1〜制御温度上限T2に収まるようにヒータ50を制御する。
【0076】
このため、画像形成装置100は、電気二重層キャパシタ30の温度を当該電気二重層キャパシタ30において電力損失が少ない温度範囲などに調整できるため、各機能部に対してより安定した電力供給を行うことができる。
【0077】
また、画像形成装置100は、CPU110の制御の下、温度検知手段40による検知温度が予め設定された温度を上回る場合に、ヒータ50による電気二重層キャパシタ30の加温を停止させる構成である。具体的には、図8に示すように、電気二重層キャパシタ30の温度が制御温度上限T2以上になる場合(時刻t2)にヒータ50による加熱を停止させる。
【0078】
このため、画像形成装置100は、電気二重層キャパシタ30の温度が当該電気二重層キャパシタ30において電力損失が少ない温度範囲などを上回った場合に、ヒータ50の駆動を停止して電気二重層キャパシタ30の温度をその温度範囲に戻すように調整できる。
【0079】
また、画像形成装置100は、CPU110の制御の下、温度検知手段40による検知温度が予め設定された温度を下回る場合に、ヒータ50による電気二重層キャパシタ30の加温を開始させる構成である。具体的には、図8に示すように、電気二重層キャパシタ30の温度が制御温度下限T1未満になる場合(時刻t3)にヒータ50による加熱を開始させる。
【0080】
このため、画像形成装置100は、電気二重層キャパシタ30の温度が当該電気二重層キャパシタ30において電力損失が少ない温度範囲などを下回った場合に、ヒータ50の駆動を開始して電気二重層キャパシタ30の温度をその温度範囲に戻すように調整できる。
【0081】
また、画像形成装置100は、CPU110の制御の下、温度検知手段40による検知温度に基づいて、各機能部の動作モードを設定する構成である。具体的には、図8に示すように、検知温度が下限温度T0以下の場合、検知温度が下限温度T0〜上限温度T3の場合、検知温度が上限温度T3以上の場合などに基づいて各機能部の動作モードを設定する。このため、画像形成装置100は、電気二重層キャパシタ30の電力損失がおおきくなる温度を避けて当該電気二重層キャパシタ30を介して電力供給する各機能部の動作を制御することができる。
【0082】
また、画像形成装置100は、CPU110の制御の下、温度検知手段40による検知温度が予め設定された下限温度を下回る場合に、各機能部の動作モードを動作禁止モードに設定する構成である。具体的には、図8に示すように、検知温度が下限温度T0を下回る場合、各機能部の動作を制限するように動作モードを設定する。
【0083】
このため、画像形成装置100は、電気二重層キャパシタ30の電力損失が大きくなる下限温度T0以下において当該電気二重層キャパシタ30を介した電力供給が行われないようにすることで、電気二重層キャパシタ30の電力損失を小さくするとともに、各機能部を安定して動作させることができる。
【0084】
また、画像形成装置100は、CPU110の制御の下、温度検知手段40による検知温度が予め設定された下限温度を下回る場合に、電源部116から電力供給される各機能部の中で、電気二重層キャパシタ30を介して電力供給される機能部の動作モードを動作禁止モードに設定する構成である。具体的には、図8に示すように、検知温度が下限温度T0を下回る場合、ステップS231、S232により検出された電気二重層キャパシタ30を介して電力供給される機能部の動作モードを動作禁止モードに設定する。
【0085】
このため、画像形成装置100は、電気二重層キャパシタ30の電力損失が大きくなる下限温度T0以下において当該電気二重層キャパシタ30を介して電力供給が行われる機能部の動作を禁止させることで、電気二重層キャパシタ30の電力損失を小さくするとともに、電気二重層キャパシタ30以外から電力供給が行われる機能部に関しては通常どおりに動作させることができる。
【0086】
なお、上述した第1、第2の実施の形態における記述は、一例を示すものであり、これに限定するものではない。上述した実施の形態における構成及び動作に関しては、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1の実施の形態に係る電源装置の機能的構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】電源装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】電気二重層キャパシタの温度と内部抵抗値との関係を示すグラフである。
【図4】第2の実施の形態に係る画像形成装置の機能的構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】電源部の内部構成を示すブロック図である。
【図6】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】機能部動作禁止処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】画像形成装置における電気二重層キャパシタの温度変化を例示するグラフである。
【符号の説明】
【0088】
1 電源装置
2 接続機器
10 外部電源
20 電流制限回路
30 電気二重層キャパシタ
40 温度検知手段
50 ヒータ
60 制御手段
100 画像形成装置
110 CPU
111 ROM
112 RAM
113 不揮発メモリ
114 画像処理部
115 表示部
116 電源部
117 キー入力部
118 紙搬送部
119 画像読取部
120 後処理部
121 画像形成部
T0 下限温度
T1 制御温度下限
T2 制御温度上限
T3 上限温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気二重層キャパシタを介して電源を供給する電源装置であって、
前記電気二重層キャパシタの温度を検知する温度検知手段と、
前記電気二重層キャパシタを加熱する加熱手段と、
前記温度検知手段による温度検知信号に基づいて、前記加熱手段の加熱温度を制御する制御部と、
を備える電源装置。
【請求項2】
前記温度検知手段は、前記電気二重層キャパシタ自身又はその周囲温度を検知する請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記温度検知手段による温度検知信号に基づいた検知温度が予め設定された温度範囲に収まるように、前記加熱手段を制御する請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が前記温度範囲を上回る場合に、前記加熱手段による前記電気二重層キャパシタの加温を停止させる請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が前記温度範囲を下回る場合に、前記加熱手段による前記電気二重層キャパシタの加温を開始させる請求項3に記載の電源装置。
【請求項6】
電気二重層キャパシタを介して電源を自装置内の各機能部に供給する電源手段を有する画像形成装置において、
前記電気二重層キャパシタの温度を検知する温度検知手段と、
前記電気二重層キャパシタを加熱する加熱手段と、
前記温度検知手段による温度検知信号に基づいて、前記加熱手段の加熱温度を制御する制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
前記温度検知手段は、前記電気二重層キャパシタ自身又はその周囲温度を検知する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記温度検知手段による温度検知信号に基づいた検知温度が予め設定された温度範囲に収まるように、前記加熱手段を制御する請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が前記温度範囲を上回る場合に、前記加熱手段による前記電気二重層キャパシタの加温を停止させる請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が前記温度範囲を下回る場合に、前記加熱手段による前記電気二重層キャパシタの加温を開始させる請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が予め設定された下限温度を下回る場合に、前記各機能部の動作モードを動作禁止モードに設定する請求項6〜10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度が予め設定された下限温度を下回る場合に、前記電源手段から電力供給される各機能部の中で、前記電気二重層キャパシタから電力供給される機能部の動作モードを動作禁止モードに設定する請求項11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−22073(P2009−22073A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181088(P2007−181088)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】