説明

電源装置及び画像形成装置

【課題】本発明は、主電源部の他に補助電源部を用いた電源装置及び画像形成装置に関する。
【解決手段】カラーデジタル複合装置1は、商用AC電源70から主電源部62の定電圧電源部102が定電圧電力を生成して5V負荷68及び24∨負荷69に供給するとともに、商用AC電源70によって補助電源部63のキャパシタ122に蓄電して、この蓄電電力から定電流電源部124が生成した定電流電力を24V負荷69に供給し、負荷電流検出器116が24∨系負荷69に流れる負荷電流を検出して、入出力制御部64が、負荷状態に基づいて、定電流電源部124の出力電流を制御する電流指示器65に、定電圧電源部102の出力電力を制限する出力電流上限値を設定するとともに、補助電源部63の定電流電源部124の電力供給を停止させる際には、定電流電源部124の供給電力を所定の収束時間をかけて収束させる方向に該出力電流上限値を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び画像形成装置に関し、詳細には、主電源部の他に補助電源部を用いた電源装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを利用した画像形成装置は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等を組み合わせた複合装置に代表されるように、多機能化、複雑化するのに伴って、最大消費電力が増大する傾向にあり、また、電子写真プロセスを利用した画像形成装置は、定着部の立ち上がりまでの待ち時間及び画像形成動作中における定着温度低下による動作の一時中断等の画像形成装置自体の要因や操作者の待ち時間を削減するために、定着ヒータへの供給電力を増大させる傾向にある。その結果、画像形成装置が、通常動作時に必要とする通常消費電力量が増大してきているだけでなく、最大必要消費電力量も増大してきている。
【0003】
このように消費電力量が増大する一方で、商用AC電源においては、供給可能電力量の上限が決まっているため、画像形成装置においては、商用電源による主電源部に供給される電力量だけでは、最大必要消費電力量をまかなうことができない事態が発生するようになり、従来から、蓄電装置を搭載して該蓄電装置を補助電源部として、主電源からの電力量だけでは不足するときに、該補助電源部から電力供給する技術がある。
【0004】
そして、従来の補助電源部を利用した電力供給技術は、補助電源部の電力出力回路、すなわち、負荷への給電回路として、主電源部の給電回路と同じ定電圧電源回路としており、定電圧電源回路を用いると、切り替え回路で、定電圧電源回路である主電源の電力出力回路の出力と、同じく定電圧電源回路である補助電源部の出力とを、負荷に切り替え給電する場合に、2つの定電圧電源回路の出力電圧差により、切り替え時に電圧変動が発生する。
【0005】
この問題に対して、従来、補助電源部の給電回路を定電流電源回路として、主電源部の定電圧電源回路の出力と補助電源部の定電流電源回路の出力とを並列に接続して、主電源部からの電力と補助電源部からの電力の両方を同時に負荷に供給し、一方の電源回路から他方の電源回路への切り替え給電をなくして、切り替わりによる電圧変動を抑え技術が知られている。
【0006】
このようにすると、例えば、数V(ボルト)の電圧変動を、1V未満の電圧変動に抑制することができ、負荷に対する電圧変動を減少することができる。
【0007】
ところが、補助電源部の給電回路を定電流電源回路とすると、例えば、補助電源部の蓄電電力がなくなった場合や補助電源部から負荷へ電力を供給する必要がなくなった場合には、補助電源部からの電力供給を停止して、負荷への電力供給を、主電源のみから行うようにする。この補助電源部からの電力供給の停止方法に関しては、従来、定着温度に応じて切り替える方法や所定の時間に基づいて切り替える方法等の切り替えタイミングに関しては、知られているが、補助電源部からの供給電力を停止させる方法については、明確になっていない。
【0008】
このように補助電源部からの電力供給を停止させる場合、補助電源部からの出力電流が大きい状態で切り替えを行うと、主電源の供給電力が、補助電源部の出力電流が大きい分だけ急変するため、負荷に対して電圧変動が生じてしまうという問題があった。
【0009】
このように負荷に対する電圧変動が発生すると、例えば、負荷であるモータの動作が不安定になったり、一時停止したりして、回転むらが発生し、モータの回転むらによって、形成画像に異常画像、例えば、カラー画像形成装置の場合、色ずれが発生することとなる。
【0010】
そして、従来、定電圧制御の第一電源(主電源)の出力と、定電流制御の第二電源(補助電源)の出力を、並列に接続し、第一電源からの電力と第二電源からの電力の両方を同時に負荷に供給して、一方から他方へのスイッチ等を用いた給電の切り替わりによる電圧変動を抑制する技術がある(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、主電源部からの電力と補助電源部からの電力を同時に負荷に供給して、電源の切り替わりによる負荷印加電圧の変動を抑制しているが、補助電源部の出力を停止させる際に、補助電源部からの出力電流が大きい状態で切り替えが発生すると、主電源部からの供給電力が、補助電源部からの出力電流が大きい分だけ急増して、負荷に対する電圧変動が発生するという問題が解消されておらず、対応技術が要望されている。
【0012】
そこで、本発明は、補助電源手段からの出力電流が大きい場合に補助電源手段の供給電力の出力を停止させる場合にも、負荷に対する電圧変動を安定させた状態で補助電源手段からの電力供給を停止させることのできる電源装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、外部から供給される電力から主電源手段が電力を生成して負荷に供給するとともに、該外部からの電力を蓄電する蓄電手段の蓄電電力から補助電源手段が所定電流値を設定電流値とする定電流電力を生成して該負荷に供給し、負荷に流れる負荷電流を検出して、該負荷状態に基づいて、該補助電源手段から該負荷に供給する該定電流電力の該設定電流値を制限する上限電流値を設定するとともに、該補助電源手段の電力供給を停止または減少させる際には、該補助電源手段の供給電力を所定の収束時間をかけて収束させる方向に該上限電流値を制御することを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、前記上限電流を段階的または直線的に変化させて前記補助電源手段の供給電力を前記収束時間で0に収束させることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補助電源手段からの出力電流が大きい場合に補助電源手段の出力停止が発生しても、補助電源手段からの出力電流を所定の収束時間をかけて収束させるので、負荷に対する電圧変動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を適用したカラーデジタル複合装置の概略構成図。
【図2】プリンタユニットの詳細な構成図。
【図3】カラーデジタル複合装置の電源系統のブロック構成図。
【図4】入出力制御部のブロック構成図。
【図5】主電源部及び補助電源部の主要部の回路構成図。
【図6】給電制御処理を示すフローチャート。
【図7】図6の給電制御処理の続きの処理を示すフローチャート。
【図8】負荷に対する各電源出力電流の遷移を示す図。
【図9】供給電力切り替わり時の給電電流の変化の一例を示す子。
【図10】供給電力切替制御時の電流変化の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0018】
図1〜図10は、本発明の電源装置及び画像形成装置の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の電源装置及び画像形成装置の一実施例を適用したカラーデジタル複合装置1の正面概略構成図である。
【0019】
図1において、カラーデジタル複合装置1は、下部から、給紙ユニット2、プリンタユニット3、スキャナユニット4及びADF(Auto Document Feeder)5が順次積み重ねられた状態で配設されているとともに、操作表示部6及び制御部7(図2参照)等を備えており、カラーデジタル複合装置1には、PBX(構内交換機)10及びパーソナルコンピュータ等のカラーデジタル複合装置1を利用する外部装置11が接続される。カラーデジタル複合装置1は、操作表示部6の操作等に応じて、上記各ユニット2〜5を利用して、画像読み取り機能、印刷機能(プリンタ機能)、複写機能(コピー機能)、ファクシミリ通信機能等の各機能を実行する。カラーデジタル複合装置1は、PBX10を介して外部ファクシミリ装置との間で通信し、また、外部装置11との間で通信して、画像データの送受信を行う。
【0020】
給紙ユニット2は、複数(図1では、2つ)の給紙トレイ21、22及び搬送部23等が設けられており、各給紙トレイ21、22には、各種サイズの記録紙(用紙)が、任意の給紙方向で収納される。また、各給紙トレイ21、22には、両面白紙の記録紙(未使用記録紙)と片面記録済の記録紙(片面使用済記録紙)がユーザの意図に応じて収納される。
【0021】
搬送部23は、レジストローラ24を備え、各給紙トレイ21、22に収納されている記録紙を選択的に、レジストローラ24に送って,レジストローラ24で、タイミング調整した後、プリンタユニット3に搬送する。
【0022】
プリンタユニット3は、4連ドラム方式(タンデム方式)のフルカラープリンタユニットであって、図2に示すように、レーザ露光部31、画像形成部32、定着部33、収納部34等を備えており、給紙ユニット2の各給紙トレイ21、22から搬送部23により搬送されてきた記録紙の上面に画像形成部32で画像形成した後、定着部33で定着して、本体内部に取り付けられている排紙トレイ35に送り出す。
【0023】
画像形成部32は、無端ベルト状の第1転写ベルト32aに沿ってC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、B(ブラック)の作像ユニット32bc、32bm、32by、32bbが順次配列されており、第1転写ベルト32aは、一対の支持ローラ32c、32d及びテンションローラ32eに張り渡されていて、図1に矢印で示す時計方向に回転駆動される。上記作像ユニット32bc、32bm、32by、32bbは、一対の支持ローラ32cの間に配設されており、テンションローラ32eには、第1転写ベルト32a上に残留する残留トナーを除去する転写体クリーニング部32fが配設されている。各作像ユニット32bc、32bm、32by、32bbは、番号を付与していないが、それぞれ図1に矢印で示す時計方向に回転する感光体の周囲に、感光体を一様に帯電させる帯電ローラ、トナーを供給する現像部、感光体上のトナー像を第1転写ベルト32aに順次重ね合わせて転写させる転写ローラ等が配設されており、帯電ローラによって一様に帯電された感光体に、レーザ露光部31から各色の画像データに基づいて変調したレーザが対応する色の感光体に照射されて静電潜像を形成する。画像形成部32は、該静電潜像の形成された感光体に現像部から対応する色のトナーを供給して各感光体上に対応する色のトナー画像を形成し、該各トナー画像を転写ローラによって第1転写ベルト32a上に順次重ね合わせてカラートナー画像を形成する。なお、画像形成部32は、ブラックの作像ユニット32bbのみを用いて、単色黒のみの画像を形成する場合もある。露光部31としては、レーザを用いたものに限るものではなく、例えば、LEDアレイと結像部を備えた露光部であってもよい。
【0024】
第1転写ベルト32aの図1の右側方には、2次転写部36の第2転写ベルト36aが配設されており、2次転写部36には、第1転写ベルト32a及び第2転写ベルト36aを挟んで支持ローラ32dと対向する位置に2次転写ローラ36bが配設されていて、第1転写ベルト32aと第2転写ベルト36aとの間には、給紙ユニット2から送り出されてきた記録紙が、レジストローラ24でタイミング調整されて送られてくる。この第1転写ベルト32aと第2転写ベルト36aとは、予め設定された転写ニップを形成している。なお、第2転写ベルト36aは、矢印方向に移動可能に、支持ローラ及び駆動ローラ(符号略)間に支持、張架されていて、第2転写ベルト36aの裏側(ループの内側)には、2次転写ローラ36bが配置されており、第2転写ベルト36aの外側に、クリーニング部、チャージャ(符号略)等が配備されている。このクリーニング部は、用紙にトナー像を転写した後に、第2転写ベルト36aに残留する不要の残留トナーを拭い去る。
【0025】
画像形成部32は、第1転写ベルト32a上のカラートナー画像を、2次転写ローラ36bの転写電圧によって、第2転写ベルト36aと第2転写ベルト36aとの間に搬送されてきた記録紙に転写し、第2転写ベルト36aは、トナー画像の転写された記録紙を定着部33に搬送する。
【0026】
定着部33は、トナー画像の転写された記録紙を加熱・加圧して該トナー画像を定着させ、トナー画像定着後の記録紙を排紙トレイ35に送り出す。
【0027】
なお、図2のように、定着部33で定着の完了した用紙をそのまま排紙トレイ35上に排出すると、両面画像のうち後から用紙に転写される面(頁)、すなわち、第1転写ベルト32aから用紙に直接転写される面が下面となって、排紙トレイ35に載置されるため、画像形成部32は、両面印刷において、頁揃えをするには、2頁目の画像を先に作成して、第2転写ベルト36aにそのトナー像を保持させ、1頁目の画像を第1転写ベルト32aから用紙に直接転写する。第1転写ベルト32aから直接に用紙に転写される画像は、感光体表面で正像にし、第2転写ベルト36aから用紙に転写されるトナー像は、感光体表面で逆像(鏡像)になるよう露光する。カラーデジタル複合装置1は、このような頁揃えのための作像順及び正、逆像(鏡像)に切り替える画像処理を、制御部7上でのメモリに対する画像データの読み書き制御によって行う。
【0028】
すなわち、カラーデジタル複合装置1は、両面印刷モードと片面印刷モードを備えており、両面印刷モードのときには、上述のように、裏面(2頁)の画像を第2転写ベルト36aに転写した後、第1転写ベルト32aに表面(1頁)の画像を転写して、これらの第1転写ベルト32aのトナー画像と第2転写ベルト36aのトナー画像をレジストローラ24から送られてくる用紙の両面に同時に転写する。また、カラーデジタル複合装置1は、片面印刷の場合には、第2転写ベルト36aによる片面転写モードと第1転写ベルト32aによる片面転写モードの2つの片面印刷モードがあり、第2転写ベルト36aを用いる片面転写モードの場合には、第1転写ベルト32aに、3色、または、4色重ね、あるいは、単色黒で形成されたトナー画像を、第2転写ベルト36aに転写して、第2転写ベルト36aから用紙の片面(裏面)に転写する。この場合、カラーデジタル複合装置1は、用紙の他面(表面)には画像転写を行わず、排紙トレイ35上に排出される印刷済用紙を、印刷面が上面となる状態で載置する。また、カラーデジタル複合装置1は、第1転写ベルト32aを用いる片面転写モードの場合には、第1転写ベルト32aに3色、または、4色重ね、あるいは、単色黒で形成したトナー画像を、第2転写ベルト36aには転写せず、用紙の片面(表面)に直接転写し、用紙の他面(裏面)には画像を転写しない。カラーデジタル複合装置1は、この場合、排紙トレイ35上に印刷済用紙の印刷面が下を向いた状態で載置する。
【0029】
なお、図2において、収納部34は、補給用の各色のトナーが収納されており、収納部34の各色のトナーは、図示しない粉体ポンプにより、作像ユニット32bc、32bm、32by、32bbの対応する色の現像部に搬送される。また、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、いわゆるタンデム形式である4個の作像ユニット32bc、32bm、32by、32bbの各感光体上に画像を形成しながら、第1転写ベルト32aと第2転写ベルト36aを移動させ、作像を行うので、作像時間を短縮することができる。
【0030】
そして、カラーデジタル複合装置1は、その電源部(電源装置)60が、図3に示すようにブロック構成されており、主電源スイッチ(SW)61、主電源部62、補助電源部63、入出力制御部64、電流指示器65、定着加熱部66、温度検出部67、5V系負荷68及び24V系負荷69等を備えている。
【0031】
主電源スイッチ61には、100Vの商用交流電源(商用AC電源)70が、電源コードを介して供給され、主電源スイッチ61は、オンされることで、商用AC電源70から主電源部62と補助電源部63に外部電力が供給される。
【0032】
主電源部(主電源手段)62は、定着電源部101と定電圧電源部102を備えており、定電圧電源部102は、AC/DCコンバータであって、ブリッジ整流器111、24V系負荷69用の絶縁型スイッチング回路112a、整流平滑回路113a、絶縁型誤差増幅器114a、PWM(Pulse Wide Modulation:パルス幅変調)コントローラ115aと5V系負荷68用の絶縁型スイッチング回路112b、整流平滑回路113b、絶縁型誤差増幅器114b、PWMコントローラ115b及び24V系負荷69の負荷電流を検出する負荷電流検出部116を備えている。
【0033】
定着電源部(変動負荷用電源手段)101は、AC制御回路であり、入出力制御部64から与えられる電力指示信号で指定される電力範囲内で、温度検出部67の検出する検出温度信号を使用して、定着部33の温度を定着温度に制御するように定着加熱部66への供給電力をフィードバック制御する。
【0034】
定電圧電源部102は、ブリッジ整流器111及び5V系負荷68用の絶縁型スイッチング回路112a及び整流平滑回路113aにより商用AC電源70をDC(直流)定電圧に変換して5V系負荷68に供給するとともに、整流平滑回路113aから5V系負荷68への直流電圧をFB(フィードバック)信号として、絶縁型誤差増幅器114aを介してPWMコントローラ115aに戻し、PWMコントローラ115aが、FB信号に基づいて絶縁型スイッチング回路112aのスイッチング制御を行う。
【0035】
同様に、定電圧電源102は、ブリッジ整流器111及び24V系負荷69の絶縁型スイッチング回路112b及び整流平滑回路113bにより商用AC電源70をDC(直流)定電圧に変換して、それぞれ24V系負荷69に供給するとともに、整流平滑回路113bから24V系負荷69への直流電圧をFB(フィードバック)信号として、絶縁型誤差増幅器114bを介してPWMコントローラ115bに戻し、PWMコントローラ115bが、FB信号に基づいて絶縁型スイッチング回路112bのスイッチング制御を行う。
【0036】
補助電源部(補助電源手段)63は、キャパシタ充電器121、キャパシタ122、電圧検出回路123及び定電流電源部124等を備えており、後述する電流指示器65からの電流値指示信号に基づいて24V系負荷69への定電流電力を供給する。上記キャパシタ充電器121及びキャパシタ122は、全体として蓄電手段として機能している。
【0037】
すなわち、補助電源部63のキャパシタ充電器121には、主電源スイッチ61を介して商用AC電源が供給され、キャパシタ充電器121は、キャパシタ122への充電を行って、電圧検出回路123が定電流電源部124への電圧を検出する。定電流電源部124は、電流指示器65からの電流値指示信号に応じた電流の定電流の補助電力を、キャパシタ122に充電された電荷を利用して生成して、負荷電流検出器116を介して24V系負荷69に供給する。なお、補助電源部63のキャパシタ122は、所定の大容量キャパシタであれば、種々の方式のコンデンサを用いることができるが、本実施例では、短時間で充放電が可能で、長寿命である電気二重層コンデンサが用いられている。また、本実施例の補助電源部63は、キャパシタ122として、電気二重層コンデンサを用いたことで、電気二重層コンデンサの特徴として、放電するに従って端子電圧(キャパシタ電圧)が低くなってしまうため、定電流電源部124をキャパシタ122の後流側に配置して、キャパシタ電圧が変動しても、所用電流値を出力できる回路構成となっている。また、負荷電流検出器116は、電流検出用に、数mΩの抵抗R1(図5参照)を用いているため、電圧検出信号(フィードバック信号)取り込み部の後部に負荷電流検出器116の電流センサである抵抗R1を設けた場合には、負荷印加電圧が、この負荷電流値の増減による電流検出用の抵抗Rにおける電圧降下の増減により、変動する。例えば、負荷電流検出器116の電流検出用の抵抗R1として、10mΩの抵抗を接続し、負荷が5Aから15Aに変化すると、0.1V(10mΩ×(15A−5A))の負荷印加電圧が変動することになる。さらに、仮に主電源部62の外部に負荷電流検出器116の電流検出抵抗R1を付加した場合、配線抵抗の影響により、上記以上の負荷印加電圧変動が発生することとなる。
【0038】
そこで、電流検出抵抗付加によるDC負荷印加電圧の変動を防止するため、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、負荷電流検出器116の抵抗R1を通過した後の電圧を、絶縁型誤差増幅器114a及びPWMコントローラ115aによってフィードバックして、フィードバック電圧が目標値に合致するように定電圧制御、すなわち、フィードバック制御する構成としている。
【0039】
そして、補助電源部63は、定着加熱部66への供給電力量の増加分を、商用AC電源70を消費する定電圧電源部102から24V負荷69への給電電力量から削減して、その削減分を補助電源部63から24∨負荷69への給電で補っている。そこで、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、定着加熱部66への供給電力量の増大分(例えば、300W)を考慮して、5V系負荷68(例えば、100W)よりも消費電力量が大きい24V系負荷69(例えば、500W)に補助電源部63から給電する。なお、定着加熱部66への供給電力量の増加分が小さい場合や5V系負荷68の消費電力量が大きい場合には、5V系負荷68に補助電源部63から給電させる構成としてもよい。
【0040】
上記入出力制御部(制御手段)64は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit )131、ROM(Read Only Memory)132、RAM(Random Access Memory)133、不揮発性RAM134及びI/O制御部135等を備えており、各部は、データバスと制御バス(アドレスバス)で接続されている。
【0041】
I/O制御部135には、電流指示器65、補助電源部63、主電源部62、各種センサ部60s及び負荷68、69等が接続されており、I/O制御部135は、カラーデジタル複合装置1の各センサ60sによる検出信号の読み込み及び24V系負荷69の個々の駆動を制御する。
【0042】
ROM132には、エンジン制御プログラムや本発明の電力制御プログラム等の各種プログラム及び必要なデータが格納されており、CPU131は、エンジン制御からの制御命令及びROM132に格納されているプログラムや不揮発性RAM135に格納されたプログラムやデータに従って、RAM133をワークメモリとして使用して、各負荷68、69に対する入出力制御及び電源部62、63の制御を行う。不揮発性RAM134は、は、各負荷68、69の動作状態、各動作モードにおける消費電力データを格納した消費電力テーブル、各動作モードにおける印刷処理に要する時間データの登録される印刷処理時間テーブル等を記憶する。
【0043】
入出力制御部64は、エンジン制御の画像読み込み、印刷、複写等のプロセス制御、シーケンス制御に伴う指示に従って、センサ60s及び負荷68、69への入出力制御及び電源制御を行い、各動作モードに応じてシーケンシャルに各負荷68、69を動作させる。
【0044】
また、入出力制御部64は、キャパシタ122の充放電の制御も行い、カラーデジタル複合装置1の立ち上げ時及び立ち上げ後の所定時間までの期間において、キャパシタ122に蓄電された電力から24V系負荷69に給電する。このとき、入出力制御部64は、商用AC電源70からの供給電力に対して生じる余裕分を利用して、定着加熱部66への供給電力量を増大する。
【0045】
そして、上記主電源部62の定電圧電源部102及び補助電源部63は、その主要回路が、図5に示すように回路構成されている。
【0046】
図5においては、主電源部62については、24V負荷69に接続されている定電圧電源部102の負荷電流検出器116は、その負荷電流検出抵抗R1が主電源部62の定電圧電源部102の一部として、主電源部62と同一基板上に搭載されており、負荷電流検出抵抗R1の両端電圧を、定電圧電源部102(主電源部62)とは別の基板に設けた負荷電流検出器116との基板間のインターフェイス信号として、負荷電流検出器116の差動増幅器OP1及び差動増幅器OP1に付随する抵抗(符号省略)等、コネクタ及びハーネスで接続されている。このように構成すると、定電圧電源部102の定電圧フィードバックループの延長(引き延ばし)による定電圧電源部102の電源の出力精度が劣化することを抑制することができ、定電圧電源部102をリモートセンシング対応とすることなく、電源の出力精度を維持して、定電圧電源部102のコストが増大するのを抑制することができる。また、補助電源部63側の機構、すなわち、補助電源部63、電流指示器65、負荷電流検出器116の組合せをオプション化する場合、補助電源機構を搭載しないときには、主電源部62を変更することなく、補助電源部63、電流指示器65、負荷電流検出器116の差動増幅器OP1及びそれに付随する抵抗を、容易に主電源部62から取り外すことができ、主電源部62のコストを、負荷電流検出抵抗R1の付加分が増加するだけで、補助電源部63等の補助電源機構を接続可能とした主電源部62を安価に構築することができる。この場合、たとえ、補助電源機構を装備しない場合であっても、主電源部62を、負荷電流検出抵抗R1を装備するものとしたときには、補助電源機構の接続されていない主電源部62において負荷電流検出抵抗R1による電力消費が発生する。例えば、10mΩの抵抗を接続し、動作時の負荷が15Aの場合には、2.25Wが消費電力量となる。この負荷電流検出抵抗R1による消費電力量は、待機時等の軽負荷時には、さらに小さな値となるが、この負荷電流検出抵抗R1による消費電力をなくすためには、負荷電流検出抵抗R1を非実装として、代わりにジャンパー線を接続する構成としてもよい。このようにすると、軽度の変更で、主電源部62の構成が複雑化させることなく、負荷電流検出抵抗R1による消費電力をなくすことができるとともに、補助電源部63を搭載していないときの主電源部62のコストを更に低減することができる。
【0047】
なお、他に、差動増幅器OP1及びそれに付随する抵抗等を含む負荷電流検出器116の全体を、主電源部62の定電圧電源部102の一部として同一基板上に搭載し、差動増幅器OP1の出力する負荷電流信号を基板間のインターフェイス信号として、主電源部62の定電圧電源部102とは別の基板に設けた電流指示器65と、コネクタ及びハーネス等で接続するようにしてもよい。このようにすると、上述の構成と比較して、主電源部62としては、差動増幅器OP1及びそれに付随する抵抗分、主電源部62のコストは増大するが、ほぼ同一の効果を得ることができ、また、増幅された信号の受け渡しによりノイズ耐量を向上させて、電流検出機能の安定性を向上させることができる。
【0048】
定電圧電源部102は、絶縁型誤差増幅器114aが、主電源部62の定電圧電源部102は、分圧抵抗R2、R3、シャントレギュレータSR及びフォトカプラPC等を備え、負荷電流検出器116の負荷電流検出抵抗R1の後段(DC24V系負荷69側)の電圧を、分圧抵抗R2、R3により分圧して電圧検出信号としてシャントレギュレータSRに入力する。絶縁型誤差増幅器114aは、シャントレギュレータSRによって、電圧検出信号を、基準電圧と比較/増幅し、フォトカプラPCにより絶縁して、PWMコントローラ115aに、定電圧制御のためのフィードバック信号(FB)として出力する。PWMコントローラ115aは、絶縁型スイッチング112aの一次側電流をPWM制御して、24V系負荷69に供給する直前の電流検出抵抗R1と24V系負荷69のと間の給電ラインの電圧、すなわち、負荷印加電圧を定電圧制御する。
【0049】
補助電源部63の定電流電源部124は、昇圧レギュレータ140と出力電流コントローラ150を備えている。昇圧レギュレータ140は、PWMコントローラ141、半導体スイッチTs、リアクトルRt、ダイオードD及びキャパシタC等を備えており、出力電流コントローラ150は、電流検出抵抗R2、差動増幅器OP2、差動増幅器OP3及びバイアス回路K1、K2等を備えている。
【0050】
本実施例の補助電源部63は、キャパシタ122として、上述のように、電気二重層キャパシタを用いているが、電気二重層キャパシタは耐圧が低く、使用上の充電上限電圧が2.5Vであることから、高い電圧を得るためには、多数のキャパシタを直列に接続する必要がある。ところが、小容量のキャパシタを多数直列に接続するよりも、大容量のキャパシタを少数使用する方が、同じ容量を低コストで得ることができる。そこで、本実施例の補助電源部63は、キャパシタ122として、9個以下の電気二重層キャパシタを直列接続したものを用い、24∨に対して不足分を定電流電源部124に昇圧レギュレータ140を設けることで補っている。すなわち、電気二重層キャパシタを9個用いた場合、充電上限電圧は22.5V以下になるため、昇圧レギュレータ140によって1.5∨昇圧して、24∨として、24∨系負荷69に定電流供給する。
【0051】
昇圧レギュレータ140は、PWMコントローラ141の出力PWMパルスによって半導体スイッチTsをオン/オフ制御し、リアクトルRtの蓄電電力を昇圧してダイオードDを介してキャパシタCを高圧充電する。すなわち、半導体スイッチTsがオン(導通)すると、キャパシタ122からリアクトルRt及び半導体スイッチTsに電流が流れ、リアクトルRtが蓄電して、半導体スイッチTsがオフ(非導通)に転換したときに、リアクトルRtの蓄電電力が高圧となって、ダイオードDを通してキャパシタCを高圧充電する。昇圧レギュレータ140は、この半導体スイッチTsのPWMパルス周期のオン/オフの繰り返しにより、キャパシタCの電圧を上昇させて、電流検出抵抗R2及び負荷電流検出器116の電流検出抵抗R1を通して、24V系負荷69に給電する。
【0052】
負荷電流検出器(電流検出手段)116は、この電流検出抵抗R1の両端の電位差を差動増幅器OP1で増幅して、24V系負荷69への負荷電流値に比例する負荷電流信号(アナログ電圧)を発生し、電流指示器65に負荷電流検出値として出力する。
【0053】
電流指示器(電流指示手段)65は、D/AコンバータCT及び作動増幅器OP4等を備えている。電流指示器65は、入出力制御部64から入力される出力電流上限値(上限電流値)をD/AコンバータCTで上限指示信号(電圧)にアナログ変換し、差動増幅器OP4で、「負荷電流検出値−出力電流上限値」を演算して、演算結果を表す差分電圧を、定電流電源部124に、電流値指示信号(電流指示値)として出力する。
【0054】
すなわち、電流指示器65は、24V系負荷69に対する負荷電流検出器116から入力される負荷電流検出値から、入出力制御部64から入力される定電圧電源部102の出力電流上限値を差し引いた差分値を、負荷電源部63の定電流電源部124が負担すべき目標電流値として、目標電流値の電流出力を定電流電源部124に電流指示値(目標電流値)として指示する。
【0055】
定電流電源部124は、差動増幅器OP2が、電流検出抵抗R2の両端の電位差を増幅して、出力電流値に比例する出力電流信号を生成し、差動増幅器OP3に出力する。差動増幅器OP3は、差動増幅器OP2から入力される出力電流信号の示す出力電流値と電流指示器65から入力される目標電流値(電流指示値)との差分を増幅し、さらに、バイアス回路K2が与える電圧分を加算して、PWMコントローラ141に、PWMパルスのデューティ指示信号として出力する。
【0056】
PWMコントローラ141は、差動増幅器OP3から入力されるデューティ指示信号で指定されるデューティにPWMパルスのデューティを決定して、半導体スイッチTsを該PWMパルスデューティでオン/オフ駆動する。すなわち、定電流電源部124は、電流指示器65の出力する目標電流値(電流指示値)が高くなって差動増幅器OP3の出力電圧が上昇すると、PWMパルスのデューティを高くし、昇圧レギュレータ140の出力電流値を大きくする。定電流電源部124は、昇圧レギュレータ140の出力電流値が大きくなると、電流検出抵抗R2の電圧降下が大きくなって、電流検出抵抗R2が検出して差動増幅器OP2が出力する出力電流検出信号の出力電流値が上昇し、差動増幅器OP3の出力電圧が低下して、さらに、PWMパルスのデューティが低くなって、昇圧レギュレータ140の出力電流値が低下するという制御を繰り返し行う。
【0057】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例のカラーデジタル複合装置1は、補助電源部63からの出力電流が大きい場合に、該補助電源部63の出力停止が発生しても、負荷68、69に対する電圧変動を安定させる。すなわち、カラーデジタル複合装置1は、外部の商用AC電源70から供給される電力を入力源に用いた定電圧出力の主電源部62とキャパシタ122を利用した補助電源部63とから負荷68、69へ電力を供給するが、補助電源部63の出力を停止させて、主電源部62のみから電力供給するように切り替える際に、電圧変動を抑制するために、補助電源部63の出力電流を、所定の収束時間をかけて、0Aに収束させる。
【0058】
カラーデジタル複合装置1は、入出力制御部64のCPU131は、主電源スイッチ61が開から閉(ON)にされたり、カラーデジタル複合装置1が省エネモード(省電力モード)から待機モードに復帰して、主電源部62の定電圧電源部102が+5Vの出力を開始し、+5V(動作電圧)が入出力制御部64のCPU131に加わって、CPU131が電源オンリセットパルスに応答して入出力制御部64の初期化が完了すると、入出力制御部64は、図9に示す給電制御を実行する。
【0059】
すなわち、入出力制御部64は、初期化が完了すると、図9に示すように、補助電源部63の電圧検出回路123により充電電圧を検出して、キャパシタ122に蓄電されている充電電力量が、給電が可能なレベルであるか判定し(ステップS101)、給電可能な充電量であると、補助電源部63からの給電が可能であることを示す給電可能フラグをONに設定して(ステップS102)、温度検出部67による定着加熱部66の温度の検知を含めた定着部33の状態が補助電源部63からの給電を併用する定着リロード動作が必要であるか判断する(ステップS103)。なお、定着加熱部66の定着温度をプリントが可能な温度に立ち上げることを定着リロードという。
【0060】
ステップS101で、補助電源部63のキャパシタ122が給電可能なレベルでないときには、入出力制御部64は、給電可能フラグをONにすることなく、定着リロード動作が必要か判断する(ステップS103)。
【0061】
ステップS103で、主電源スイッチ61が投入された直後、または、省エネモードからの復帰時であって、補助電源部63からの給電を併用する定着リロード動作を実行する必要があると判断すると、入出力制御部64は、給電可能フラグがONであるか、すなわち、補助電源部63からの給電が可能な状態であるかを確認し(ステップS104)、給電可能フラグがONであると、補助電源部63による給電を開始する(ステップS105)。
【0062】
入出力制御部64は、定着電源部101への定着電力指示によって定着加熱部66への最大供給電力を増加させ(ステップS106)、定着リロード動作を開始する(ステップS107)。
【0063】
ステップS104で、給電可能フラグがOFFであると、入出力制御部64は、定着電力を、通常(補助電源部63からの給電がない状態)の定着リロード時の値(通常リロード時)に設定し(ステップS108)、定着リロード動作を開始する(ステップS107)。
【0064】
入出力制御部64は、定着リロード動作を開始すると、定着電源部101からの通知により、または、温度検出部67の検出温度を取り込んで定着温度を確認することにより、定着リロードが完了したか判断し(ステップS109)、定着リロードが完了していないときには、定着リロードを継続する。
【0065】
ステップS109で、定着リロードが完了すると、入出力制御部64は、給電可能フラグを確認し(ステップS110)、給電可能フラグがONであると、図7に示すように、定着供給電力を補助電源部63からの補助電力供給も利用したプリント動作時電力(後述する図8のPb)に変更するように指示する定着電力指示信号を主電源部62の定着電源部101に出力する(ステップS111)。次に、入出力制御部64は、定電圧電源部102の上限電流設定値を、動作時設定値(図8のPb)に変更制御する(ステップS112)。
【0066】
その後、入出力制御部64は、タイマを起動させて(ステップS113)、所定の時間が経過するのを待つ(ステップS114)。入出力制御部64は、所定時間経過すると、定着供給電力を通常プリント時の電力(図8のPba)に変更し(ステップS115)、出力電流上限値(上限電流設定値)を大きな値(図8のPba)に変更することで(ステップS116)、補助電源部63からの給電を停止する(ステップS17)。ことき、入出力制御部64は、ステップS112の場合と同様に、後述する図10示すように、定電圧電源部102の出力電流の上限値を規制する出力電流上限値(上限電流設定値)を、例えば、段階的、または、直線的に、増加させて電流指示器65に出力して、定電流電源部124の出力電流を、所定の収束時間をかけて、段階的、または、直線的に、0Aに収束させる制御を行う。
【0067】
入出力制御部64は、補助電源部63からの給電停止が完了すると、給電可能フラグをOFFに戻して、補助電源部63の給電制御を終了する(ステップS118)。
【0068】
また、入出力制御部64は、図6の上記ステップS103で、温度検出部67の検出した定着加熱部66の温度が所定の温度以上であり、定着リロードを行う必要がないと判断した場合や、定着リロード完了後に、ステップS102の給電可能フラグがOFFであった場合には、定着リロード動作が必要でないと判断して、給電可能フラグをOFFにセットし(ステップS119)、図7に示すように、定着供給電力を通常プリント動作時の電力に変更して、給電制御処理を終了する(ステップS120)。
【0069】
そして、カラーデジタル複合装置1は、上述のように、補助電源部63を用いて24V系負荷69に給電するのは、定着加熱部66への供給電力量の増加を、商用AC電源70を消費する主電源部62から24V系負荷69への給電電力量を節減して、その節減分を補助電源部63から24V系負荷69へ給電して補うためである。
【0070】
そこで、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、定着加熱部66への供給電力量が増加したとき、例えば、300W増大したとき、5V系負荷68(例えば、100W)よりも消費電力量が大きい24V系負荷69(例えば、500W)に補助電源部63から給電する。
【0071】
負荷電流検出器116は、整流平滑回路113bから24V系負荷69へ供給される負荷電流と補助電源部63の定電流電源部124から24V系負荷69に供給される負荷電流の和である24V系負荷電流値を検出して、電流指示器65に出力する。
【0072】
電流指示器65には、入出力制御部64から、定電圧電源部102の出力電流上限値を指定する出力上限電流値が入力され、電流指示器65は、負荷電流検出器116の検出した24V系負荷電流値(整流平滑回路113bと定電流電源部124の出力する電流値の合計)から入出力制御部64から入力される出力上限電流値を減算した値(=定電流電源部124の出力電流指示値)を示す電流値指示信号(制御信号)を定電流電源部124に出力する。
【0073】
定電流電源部124は、該電流値指示信号が指示する電流値を目標値とする定電流制御によって、キャパシタ122の電力を24V系負荷ライン(整流平滑回路113bの出力ライン)に定電流給電する。
【0074】
そして、カラーデジタル複合装置1における入出力制御部64から定着電源部101への定着電力指示値、24V系負荷69に流れる24∨系負荷電流、定電圧電源部102の供給電流、定電流電源部124の供給電流及びカラーデジタル複合装置1へ入力される商用AC電源70の供給電力(ACライン供給電力)の遷移は、図8のように示すことができる。図8において、主電源スイッチ61がオンされた直後の定着温度を目標温度に立ち上げる定着リロード期間T1では、カラーデジタル複合装置1に要求される立ち上げ時間を満足させるために、図8にPAで示すように、通常時よりも多大な電力(例えば、1300W)を定着加熱部66に供給し、定着加熱部66をプリントが可能な温度まで速やかに立ち上げる。このとき、カラーデジタル複合装置1は、24V系負荷69に対して、定電圧電源部102及び補助電源部63の定電流電源部124の両方から同時に電力を供給して定電圧電源部102における商用AC電源70の電力消費を低減し、定着電源部101に対する商用AC電源70の電力割り当てを大きくして、定着加熱部66への定着加熱電力を大きくすることで、立ち上げ時間を短縮する。
【0075】
また、入出力制御部64は、このとき、電流指示器65への出力電流上限値を、商用AC電源70から供給可能な電力(ACライン供給可能電力)から、定着電源部101に割り当てた電力と、5V系負荷に供給する電力とを、差し引いた電力(図8のPa)となるような電流指示値とする。
【0076】
さらに、定着加熱部66は、プリントが可能な温度に定着加熱部66の温度が一度定着可能温度まで上昇すると、温度維持のためには、定着電源部101からの供給電力が定着リロード時よりも少なくてよいが、定着リロード終了後のプリント開始時T2においては、通紙による定着温度の落ち込みが大きいため、温度が安定するまでの期間、通常プリント時よりも定着加熱部66への電力を増加する必要がある。
【0077】
また、プリント動作時は、モータ等の起動により24V系負荷69の電力消費が増加して、定着電源部101からの供給電力を含めた総電力が商用AC電源70の供給可能な電力を越えてしまうことがある。そこで、カラーデジタル複合装置1は、定着電源部101の電力配分を、プリント動作時においては、定着リロード時よりは小さく、通常プリント時(図8のPBa:900W)よりは大きい値((図8のPB:1200W)とし、定着リロード時からの差分を定電圧電源部102に加算して、24V系負荷69への供給可能電力を上げる(図8のPb)。
【0078】
すなわち、入出力制御部64が電流指示器64に出力する出力電流上限値を、定着リロード時より大きな値に設定変更して、AC電力消費を商用AC電源70の供給可能最大電力以下に抑え、補助電源部63の定電流電源部124が、AC電力消費を上限値近くで抑えるための定電圧電源部102の出力電流値では不足する不足分の負荷電流を、24V系負荷69に給電する。
【0079】
ところが、補助電源部63のキャパシタ122の蓄電電力には限界があって、連続供給することができないため、入出力制御部64は、定着温度が安定するまでの所定の時間が経過すると、24V系負荷69への給電を、主電源部62の定電圧電源部102のみが行うように、電流指示器65への出力電流上限値(上限電流設定値)を大きな値(図8のPBa)に設定し、補助電源部63の定電流電源部124から24∨系負荷69への給電を停止する。
【0080】
このとき、定着加熱部66への供給電力は、通常プリント時の供給電力に変更する(図8のPBa)。
【0081】
この補助電源部63からの電力供給停止タイミングである、定着温度が安定するまでの期間は、時間やプリント実行枚数として規定し、その値は、固定値としてもよいが、プリント用紙サイズ、室温等をパラメータとした可変値とすると、動作モードに応じて変化する定着温度安定時間に対応して補助電源部63からの電力供給時間を設定することができ、補助電源部63の電力を有効利用することができる。
【0082】
そして、24∨系負荷69の消費電流、定電圧電源部102と定電流電源部124からの負荷への供給出力電流の状態遷移及びこのときの定電圧電源部102の出力電圧は、図9のように示される。図9において、例えば、24∨系負荷69の消費電流値が15Aで、この15Aのうち、10Aを定電流電源部124が電流供給していた場合、定電圧電源部102からは、5Aの出力電流が24∨系負荷69に供給されていることになる。
【0083】
この状態で、供給電力切り替わり点CP1や供給電力切り替わり点CP2のように、定電流電源部124からの電流供給が急激に0Aになるように出力電流上限値が切り替わると、いままで定電流電源部124が出力していた10Aを定電圧電源部102から供給するようになるため、定電圧電源部102の出力電流が5Aから15Aに急激に増加することとなる。この定電圧電源部102の出力電流の急激な変動により、定電圧電源部102の出力電圧が落ち込んで、負荷印加電圧に対して電圧変動が発生し、電力供給先のモータの動作が不安定化、モータの停止、回転むら等が発生して、カラーデジタル複合装置1の形成する画像に異常画像、例えば、色ずれ等が発生する。
【0084】
そこで、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、負荷68、69への供給電力切り替わり時点における定電流電源部124の出力電流の制御を、図10に示すように、処理している。
【0085】
すなわち、供給電力切り替わり点において、上述のように、入出力制御部64が出力電流上限値を変更制御するが、このとき、定電流電源部124の出力電流が急に0Aとならないように出力電流を徐々に収束させるように出力電流上限値を変更制御する。
【0086】
例えば、図10(a)では、入出力制御部64は、定電流電源部124の出力電流(定電流電源供給電流)が段階的に低下するように、電流指示器65への出力電流上限値を段階的に増加させる制御を行っている。このとき、例えば、入出力制御部64は、出力電流上限値を、等間隔に増加させるように制御してもよいし、ランダムな間隔で出力電流上限値を増加させるように制御してもよい。
【0087】
また、図10(b)では、入出力制御部64は、定電流電源部124の出力電流を直線的に低下するように、電流指示器65への出力電流上限値を直線的に増加させる制御を行っている。
【0088】
なお、入出力制御部64による電流指示器65への出力電流上限値の変更制御は、上記図10に示したような方法に限るものではなく、定電流電源部124の出力電流が徐々に0Aに収束するような制御であれば、適宜の方法を用いることができる。
【0089】
このように、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、外部電源である商用AC電源70から供給される電力から主電源部62の定電圧電源部102が定電圧電力を生成して5V負荷68及び24∨負荷69に供給するとともに、商用AC電源70からの電力を、補助電源部63のキャパシタ122が蓄電して、この蓄電電力から定電流電源部124が生成した定電流電力を24V負荷69に供給し、負荷電流検出器116が、24∨系負荷69に流れる負荷電流を検出して、入出力制御部64が、負荷状態に基づいて、定電流電源部124の出力電流を制御する電流指示器65に、該補助電源部63の定電流電源部124から24∨負荷69に供給する定電流電力を制限する出力電流上限値を設定するとともに、補助電源部63の定電流電源部124の電力供給を停止または減少させる際には、補助電源部63の定電流電源部124の供給電力を所定の収束時間をかけて0Aに収束させる方向に該出力電流上限値を制御している。
【0090】
したがって、立ち上げ時に補助電源部63からの補助電力によって立ち上げ時間を短縮することができるとともに、補助電源部63から24∨負荷69に供給していた定電流電力を停止または減少させる際に、補助電源部63からの定電流電力を徐々に収束させ、補助電源部63からの定電流電力が急になくなることで、定電圧電源部102の出力電流が急激に変動して、定電圧電源部102の出力電圧が落ち込み、負荷印加電圧に対して電圧変動が発生して、電力供給先のモータの動作が不安定化、モータの停止、回転むら等が発生して、カラーデジタル複合装置1の形成する画像に色ずれ等の異常画像が発生することを防止することができる。
【0091】
また、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、入出力制御部64が、出力電流上限値を段階的に変化させて補助電源部63の定電流電源部124の供給電力を収束時間で0Aに収束させている。
【0092】
したがって、簡単な回路構成で、補助電源部63の定電流電源部124から24V系負荷69への供給電力を段階的に徐々に収束させて0Aにすることができ、定電圧電源部102の出力電圧が落ち込んで、負荷印加電圧に対して電圧変動が発生して、電力供給先のモータの動作が不安定化、モータの停止、回転むら等が発生して、カラーデジタル複合装置1の形成する画像に色ずれ等の異常画像が発生することを安価に防止することができる。
【0093】
さらに、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、入出力制御部64が、出力電流上限値を直線的に変化させて補助電源部63の定電流電源部124の供給電力を、所定の収束時間をかけて0Aに収束させている。
【0094】
したがって、簡単な回路構成で、補助電源部63の定電流電源部124から24V系負荷69への供給電力を直線的に徐々に収束させて0Aにすることができ、定電圧電源部102の出力電圧が落ち込んで、負荷印加電圧に対して電圧変動が発生して、電力供給先のモータの動作が不安定化、モータの停止、回転むら等が発生して、カラーデジタル複合装置1の形成する画像に色ずれ等の異常画像が発生することを安価に防止することができる。
【0095】
また、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、補助電源部63のキャパシタ122として、電気二重層キャパシタを用いている。
【0096】
したがって、安価に大容量の電力を蓄電して、補助電源部63とすることができ、コストを低減することができる。
【0097】
さらに、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、主電源部62が、その動作状態によって消費電力が大きく変動する変動負荷(定着加熱部66)に供給する変動電力である定着電力を商用AC電源70から供給される電力から生成して供給する定着電源部(変動負荷用電源手段)101を備えており、入出力制御部64は、定着加熱部(変動負荷)66の状態をも負荷の状態に加えて電流指示器65への出力電流上限値を制御している。
【0098】
したがって、定着加熱部66の温度を速やかに定着温度に上昇させることができるとともに、補助電源部3の定電流電源部124からの電力供給を停止する際に、24V系負荷69への供給電力を直線的に徐々に収束させて0Aにすることができ、定電圧電源部102の出力電圧が落ち込んで、負荷印加電圧に対して電圧変動が発生して、電力供給先のモータの動作が不安定化、モータの停止、回転むら等が発生して、カラーデジタル複合装置1の形成する画像に色ずれ等の異常画像が発生することを安価に防止することができる。
【0099】
また、本実施例のカラーデジタル複合装置1は、補助電源部63のキャパシタ122として、電気二重層キャパシタを用いている。
【0100】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、主電源部の他に補助電源部を用いた電源装置及びこので現装置を備えた複写装置、プリンタ装置、複合装置等の画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 カラーデジタル複合装置
2 給紙ユニット
3 プリンタユニット
4 スキャナユニット
5 ADF
6 操作表示部
7 制御部
10 PBX
11 外部装置
21、22 給紙トレイ
23 搬送部
31 レーザ露光部
32 画像形成部
32a 第1転写ベルト
32bc、32bm、32by、32bb 作像ユニット
32c、32d 支持ローラ
32e テンションローラ
32f 転写体クリーニング部
33 定着部
34 収納部
35 排紙トレイ
36 2次転写部
36a 第2転写ベルト
36b 2次転写ローラ
61 主電源スイッチ(SW)
62 主電源部
63 補助電源部
64 入出力制御部
65 電流指示器
66 定着加熱部
67 温度検出部
68 5V系負荷
69 24V系負荷
70 商用AC電源
101 定着電源部
102 定電圧電源部
111 ブリッジ整流器
112a 絶縁型スイッチング回路
113a 整流平滑回路
114a 絶縁型誤差増幅器
115a PWMコントローラ
112b 絶縁型スイッチング回路
113b 整流平滑回路
114b 絶縁型誤差増幅器
115b PWMコントローラ
116 負荷電流検出部
121 キャパシタ充電器
122 キャパシタ
123 電圧検出回路
124 定電流電源部
131 CPU
132 ROM
133 RAM
134 不揮発性RAM
135 I/O制御部
140 昇圧レギュレータ
150 出力電流コントローラ
141 PWMコントローラ
Ts 半導体スイッチ
Rt リアクトル
D ダイオード
C キャパシタ
R2 電流検出抵抗
OP2、OP3 差動増幅器
K1、K2 バイアス回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開2007−236159号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される電力から所定の電力を生成して負荷に供給する主電源手段と、
前記負荷に流れる負荷電流の負荷電流値を検出する電流検出手段と、
前記負荷電流値を所定の上限電流値と比較して該負荷電流値が該上限電流値を越えている差分電流値を示す電流値指示信号を出力する電流指示手段と、
外部から供給される電力を蓄電する蓄電手段と、
前記蓄電手段の蓄電する蓄電電力から前記電流値指示信号の示す前記差分電流値を設定電流値とする定電流電力を生成して前記負荷に供給する補助電源手段と、
少なくとも前記負荷の状態に基づいて、前記電流指示手段に出力する前記上限電流値を決定するとともに、前記補助電源手段から前記負荷への電力供給を停止または減少させる際には、該補助電源手段から該負荷に供給する電力を所定の収束時間をかけて収束させる方向に該上限電流値を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記上限電流値を段階的に変化させて、前記補助電源手段から前記負荷に供給する電力を、前記収束時間をかけて収束させることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記上限電流値を直線的に変化させて、前記補助電源手段から前記負荷に供給する電力を、前記収束時間をかけて収束させることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
前記蓄電手段は、電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項5】
前記電源装置は、
その動作状態によって消費電力が大きく変動する変動負荷に供給する変動電力を前記外部から供給される電力から生成して供給する変動負荷用電源手段を備え、
前記制御手段は、前記変動負荷の状態及び前記負荷の状態に基づいて、前記電流指示手段に出力する前記上限電流値を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
電源部からの供給電力によって画像形成部を負荷として動作させて画像形成する画像形成装置において、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電源装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−60777(P2012−60777A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201566(P2010−201566)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】