説明

電源装置用外装缶及び当該外装缶を使用した電源装置

【課題】 内部圧力上昇による膨れ変形に対する強度を向上させ、電池等の外装缶の外側に取り付けられる端子や電極の取り付け方法を改善することにより実装効率を高めることが可能な電源装置用外装缶および電源装置を提供する。
【解決手段】 上方側に開口部2を有し、実質的に柱状であるアルミニウムまたはアルミニウム合金製の本発明の外装缶1の内部には、電気を供給するための電気供給源を収容可能な内部空洞3が形成されており、外装缶を構成する壁面の少なくとも一つには金属皮膜層4が積層されており、この金属皮膜層4は、ニッケルからなるものでも、クロムからなるものでも、リン、ホウ素、鉄、コバルト、銅、スズ、亜鉛、クロムから選ばれた少なくとも1種とニッケルとからなるものでも、鉄又は亜鉛とクロムとからなるものでも良く、2以上の層が積層されてなる多層構造でも良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電源として使用される電池、コンデンサー、キャパシター等に使用されるケース(外装缶)や蓋他の外装部材(電源装置用外装缶、蓋)に関するものである。
また、本発明は、この様な外装缶の内部に電気供給源が収容された構造を有した電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やノートブック型パソコンの電源となる密閉角形及び円筒型二次電池には、小型化、軽量化などが要求される他、内部圧力上昇による膨れ変形が防止出来る構造であることが必要とされており、内部圧力上昇による膨れ防止変形を防止するのに適した構造の電池外装缶としては、例えば下記の特許文献を1及び2に記載されるのものが提案されている。
下記の特許文献1に記載される密閉型角形電池は、外装缶の強度を補強するために、外装缶の各コーナー部の厚みを、外装缶の直線部分の厚みよりも大きくした構造を有するものであり、下記の特許文献2に記載される密閉型角形電池は、長径部の直線部分の厚みを短径部の直線部分の厚みより厚くした構造を有するものである。
【特許文献1】特開平7−326331号公報
【特許文献2】特開平10−284016号公報
【0003】
また、最近では、内部圧力上昇による膨れ変形防止とともに、特に小型リチウムイオン電池においては、容量や重量当たりの電池容量を増やすことが研究の大きな課題となっており、内容物の容量が理論的な限界に達しているために、電池容量を損なわない外装材についても課題を解決する手段が研究されている。
しかしながら、内部圧力上昇による膨れ変形防止と、容量や重量当たりの電池容量を増やすこととは相反することであり、膨れ変形防止のためには外装缶の強度を上げるために外装材厚みを厚くする必要が有るが、容量や重量当たりの電池容量を増すためには外装缶内部の負極構成部材、セパレーター部材、正極構成部材及び非水性電解液から成る発電要素を大きくするために外装材厚みを薄くして、外装材の材質を比較的密度の低いアルミニウム及びアルミニウム合金を使用することが要求される。
【0004】
ところで、密閉型角形電池では、一般的には鉄やステンレススチール、アルミニウムやアルミニウム合金製の外装材(外装缶)の内部に、内部の負極構成部材、セパレーター部材、正極構成部材及び非水性電解液から成る発電要素が収納され、外装材の開口部が蓋材を溶接するなどして密閉された構造を有しており、このような二次電池等の電源装置の場合、電気供給源として使用する際に、負極構成部材側および/または正極構成材側に、外部との通電を取るための端子や電極と呼ばれる金属板を各種の溶接やはんだ付けによって取り付ける必要がある。特に最近の小型リチウムイオン電池においては、アルミニウムやアルミニウム合金の外装材を使用するケースが多く、これら端子や電極と呼ばれる金属板、ニッケル板やニッケル/アルミニウムをクラッドした材料を、外装材に溶接等によって取り付ける必要が有る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題点を解決し、内部圧力上昇による膨れ変形に対する強度を上昇させ、電池等の外装缶の外側に取り付けられる端子や電極と呼ばれる金属板の取り付け方法を改善することにより実装効率を高めることが可能な電源装置用外装缶および電源装置を提供することを課題とする。
本発明者等は、前述の問題を解決するため検討した結果、膨れ変形防止には、強度的に許容される範囲で、アルミニウムまたはアルミニウム合金製外装缶にニッケル皮膜、クロム皮膜、リン、ホウ素、鉄、コバルト、銅、スズ、亜鉛、クロムから選ばれた少なくとも1種とニッケルとの合金皮膜、鉄又は亜鉛とクロムとの合金皮膜を設け、金属板の取り付けを改善するためには、ニッケル等の表面処理を部分的に他の部分と厚みを変えて処理することで解決できることを見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決可能な本発明の電源装置用外装缶は、上方側に開口部を有した実質的に柱状のアルミニウムまたはアルミニウム合金製の外装缶で、当該外装缶の内部に、電気を供給するための電気供給源を収容可能な内部空洞が形成されているものにおいて、前記外装缶を構成する壁面の少なくとも一つに、ニッケルからなる金属皮膜層、クロムからなる金属皮膜層、リン、ホウ素、鉄、コバルト、銅、スズ、亜鉛、クロムから選ばれた少なくとも1種とニッケルとからなる金属皮膜層、鉄又は亜鉛とクロムとからなる金属皮膜層、の少なくとも一つが積層されていることを特徴とし、この金属皮膜層の強度は、外装缶材料の強度よりも高く、外装缶の形状は、実質的に直方体状であっても円筒形容器状であってもよい。
【0007】
又、本発明の電源装置用外装缶は、上記の特徴を有するものにおいて、前記金属皮膜層が、2以上の皮膜層が積層されてなる多層構造を有しており、当該金属皮膜層における前記外装缶の壁面と直接接して位置する下地皮膜層が、ニッケル、銅、亜鉛、鉄、銀、金、コバルト、スズ、インジウム、ビスマス又はこれら金属を1種以上含むメッキ皮膜層の一つ以上からなり、前記下地皮膜層の総厚が0.001〜50μmであることを特徴とするものである。
【0008】
更に本発明の電源装置用外装缶は、上記の特徴を有するものにおいて、前記外装缶の底壁面を含む少なくとも2つの壁面に前記金属皮膜層が積層されており、前記底壁面に積層された金属皮膜層の厚みが30〜200μmであり、他の側壁面に積層された金属皮膜層の厚みが10〜150μmであることを特徴とするものでもある。
又、本発明の電源装置用外装缶は、上記の特徴を有するものにおいて、前記開口部の周縁から少なくとも0.5mm以内の領域には、前記金属皮膜層が存在していないことを特徴とするものでもある。
【0009】
又、本発明の電源装置は、上方側に開口部を有した実質的に柱状のアルミニウムまたはアルミニウム合金製の外装缶の前記開口部が、当該開口部を封鎖するに適した形状の蓋体によって密閉され、当該外装缶の内部に形成された内部空洞に、電気を供給するための電気供給源が収容された構造を有する電源装置であって、前記外装缶を構成する壁面の少なくとも一つに、ニッケルからなる金属皮膜層、クロムからなる金属皮膜層、リン、ホウ素、鉄、コバルト、銅、スズ、亜鉛、クロムから選ばれた少なくとも1種とニッケルとからなる金属皮膜層、鉄又は亜鉛とクロムとからなる金属皮膜層、の少なくとも一つが積層されていることを特徴とする。
【0010】
又、本発明の電源装置は、上記の特徴を有するものにおいて、前記金属皮膜層が、2以上の皮膜層が積層されてなる多層構造を有しており、当該金属皮膜層における前記外装缶の壁面と直接接して位置する下地皮膜層が、ニッケル、銅、亜鉛、鉄、銀、金、コバルト、スズ、インジウム、ビスマス又はこれら金属を1種以上含むメッキ皮膜層の一つ以上からなり、前記下地皮膜層の総厚が0.001〜50μmであることを特徴とするものである。
【0011】
更に本発明の電源装置は、上記の特徴を有するものにおいて、前記外装缶の底壁面を含む少なくとも2つの壁面が前記金属皮膜層によって覆われており、前記底壁面を覆っている金属皮膜層の厚みが30〜200μmであり、他の側壁面を覆っている金属皮膜層の厚みが10〜150μmであることを特徴とするものでもある。
又、本発明の電源装置は、上記の特徴を有するものにおいて、前記開口部の周縁から少なくとも0.5mm以内の領域には、前記金属皮膜層が存在していないことを特徴とするものでもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果としては、外装缶に外装缶より強度の高いニッケル等異種金属からなる金属皮膜層が設けられていることによって、外装缶の厚みを増加させることなく、電池内部の圧力上昇等による膨れ変形を有効に防止することができ、電池等の外装缶の外側に取り付けられる端子や電極と呼ばれる金属板の取り付け方法を改善することにより実装効率を高めることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、近年携帯電話等の電源用に大量に使用されている角形アルミニウム合金製のケースと蓋を有するリチウムイオン電池の外装缶部材として好ましい具体例を図面に示して、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の電源装置用外装缶の好ましい一例における外観を示す断面図である。
【0014】
図1に示されるように、本発明の電源装置用外装缶1は、一端側に開口部2を有し、電気を供給するための電気供給源を収容可能な内部空洞3が形成された実質的に直方体又は円筒形等のアルミニウムまたはアルミニウム合金製の外装缶であって、内部に負極構成部材、セパレーター部材、正極構成部材及び非水性電解液から成る発電要素が収納できる内部空洞が形成されている。そして、当該外装缶を構成する側壁面には、金属皮膜層4として、メッキ処理によってニッケルからなる金属皮膜層、クロムからなる金属皮膜層、又は、ニッケル‐リン、ニッケル‐ホウ素、ニッケル‐鉄、ニッケル‐コバルト、ニッケル‐銅、ニッケル‐スズ、ニッケル‐亜鉛、ニッケル‐クロムから選ばれたニッケル合金皮膜層、あるいは、クロム‐鉄又はクロム‐亜鉛から選ばれたクロム合金皮膜層が設けられている。ただし、金属皮膜層4としてクロムを使用した場合には、外装缶の強度を向上させると同時に耐食性を向上させる利点はあるが、ニッケルの場合に比べて端子や電極溶接がしにくくなる。しかし、この溶接性は、金属皮膜層4の上層に更にニッケル被覆を施すことによって改善することができる。
【0015】
図1に例示した形態を有する本発明の外装缶のアルミニウム合金厚みは、一般的には側面が150〜400μm、底面が400〜600μmであり、この外装缶の開口部を覆う蓋材(蓋体)の厚みとしては、0.8〜1.0mmが一般的である。
本発明では、溶接をするために必要な金属皮膜層の厚みを得るために、底壁面に設けられた金属皮膜層(メッキ層)の厚みの方が、側壁面に設けられた金属皮膜層の厚みよりも大きいことが好ましく、外壁面を覆うニッケルメッキ層は、許容される範囲で膨れ変形を防止するために外装缶側壁面が10〜150μm、外装缶底壁面は電気を取り出すための正極端子として80〜150μmのニッケル端子板を、アルミニウム/ニッケルをクラッドした端子板をアルミニウム側がケース側に来るように溶接で取り付けられる工程を省き、直接溶接できる様にするために、30〜120μmの厚みでメッキ層を形成する。本発明において特に好ましい金属皮膜層の厚みは、底壁面では30〜200μm程度である。
この際、本発明では、図1に示されるようにして、開口部の周縁から少なくとも0.5mm以内の領域には前記金属皮膜層が存在していない(形成されていない)、即ち、開口部の周縁から0.5mm以内の領域を除く部分が金属皮膜層にて被覆されていることが好ましく、これは、外装缶に蓋材を嵌め込み、溶接(一般的にはレーザー溶接が多く用いられる)を行なう際に、アルミニウム、アルミニウム合金以外の異種金属が被覆されていると、溶接の阻害原因となる為である。
【0016】
次に、本発明の電源装置用外装缶を製造する際の工程について説明する。本発明の外装缶は、トランスファープレス機(例えば10ステージ程度のもの)を用いた深絞り成型によって製造することができ、他にインパクト成型機を用いて1ステージで製造する方法もあるが、当該外装缶の製造方法はこれらに限定されるものではない。
第二工程として、製造された外装缶は内部にメッキ液が侵入して変色や腐食が発生しないように開口部をシールして、外面を脱脂、エッチング、水洗等の前処理を経て、ニッケルメッキ加工を行い、さらに水洗等の後処理を行う。また、底面のニッケルメッキ厚みを側面より厚くする場合には、先に底面のニッケルメッキを所定の厚みまで成長させておき、つぎに全体のニッケルメッキを所定の厚みまで成長させることにより、各部分によって厚みの違うニッケルメッキを形成することが出来る。
【0017】
アルミニウム叉はアルミニウム合金製の本発明の外装缶に金属被覆層を設ける場合、以下に述べる電気メッキ法、無電解メッキ法、化学メッキの湿式メッキ法を用いることができる。
メッキを行なう前に実施される前処理工程では、アルミニウム叉はアルミニウム合金製外装缶の、表面の大部分の汚れを、ナフサ、トリクレン等で溶剤脱脂を行い除去する。次いで、例えば市販アルカリ脱脂剤で表面の汚れを完全に除去した後、表面の酸化物を除去するエッチング処理を行う。エッチング剤は、酸化皮膜の除去と表面粗野のアンカー効果によるメッキ皮膜の密着性を向上させる処理であるので、アルミニウムの材質および次工程のメッキ処理法に応じて、炭酸ナトリウムを含んだアルカリ性エッチング剤等や硫酸とフッ酸を含んだ市販の酸性エッチング剤等を用いる。また、アルミニウム合金の場合は、アルミニウム合金中の重金属などの異種元素が、エッチング後の素地表面に残存して、次工程での表面ムラを生じるので、硝酸や硝フッ酸溶液でこれを除去するスマット除去を施す。
【0018】
次いで、下記に示すメッキ工程に移行する。アルミニウムおよびアルミニウム合金は、上記前処理で表面活性を行っても空気酸化叉は次工程の処理液中で酸化されて密着性を阻害する場合があるので、この場合は、化学メッキを優先的に行い酸化皮膜の生成を抑制する等の処置が良い。
また、硫酸、硫酸−リン酸、蓚酸などを用いて多孔質皮膜を形成した後にメッキを行うことによって密着性を向上させることができる。更に、アルミニウムおよびアルミニウム合金の材質およびメッキ皮膜種によって、上記の前処理工程および下記のメッキ工程の工程順序を適宜選択叉は一部工程を繰り返すことによって優れた密着性を有するメッキ皮膜を形成することができる。
【0019】
〔電気メッキ〕
本発明の電源装置用外装缶の金属皮膜層を形成させるのに利用出来る電気メッキ皮膜種としては、Cr、Ni、Co、Fe、Cu、Zn、Sn、Au、Ag、In、Bi等のメッキ皮膜、およびこれら金属を含む合金メッキ皮膜、例えば二元合金メッキ皮膜としては、Cu−Zn、Ni−Fe、Ni−Co、Sn−Co、Sn−Ni、Au−Sn、Au−Zn、Bi−In、Zn−Sn合金等、三元合金メッキ皮膜としては、Ni−Fe−Co、Ni−Fe−Mo、Ni−Cu−Zn等が挙げられる。
これら電気メッキ浴は、一般市販品等を用いることが可能であり、各金属種に応じて、金属塩を溶解する目的から各種無機酸、有機酸、錯化剤や導電性塩、メッキ皮膜の緻密化を図る目的で平滑化剤や光沢剤、補助光沢剤、金属イオンの経時劣化を抑制する酸化防止剤、pH緩衝剤等が各種金属の各メッキ浴種に応じて適宜添加される。
電気Niメッキにおける実際のメッキ浴組成及びメッキ条件の一例としては、硫酸ニッケル300g/L、塩化ニッケル六水塩35g/L、ホウ酸10g/Lの浴組成で、pH4.3、浴温50℃、電流密度0.8A/dm2の条件が挙げられる。又、電気ニッケル‐鉄合金メッキ浴としては、硫酸ニッケル100g/L、塩化ニッケル60g/L、ホウ酸35g/L、硫酸第一鉄30g/L、サッカリン0.5g/L、ナフタレンスルホン酸1.5g/Lの浴組成が挙げられ、pH : 3.0、浴温:60℃、電流密度1A/dm2の条件が挙げられる。
【0020】
〔無電解メッキ〕
本発明の外装缶の金属皮膜層を形成させるのに利用出来る無電解メッキ皮膜種としては、Cr、Ni、Co、Cu、Au、Agおよびそれらの金属を含む合金メッキ皮膜、例えばNi−P、Ni−B、Ni−Co−B、Ni−Fe−P、Zn−Cu、Ni−Co−P、Ni−Cu−P、Ni−Co−B等が挙げられる。
更に、これら金属にPTFE、SiC、SiO2等の微粒子を共析させたNi−P−SiC複合メッキ皮膜も用いることができる。
上記無電解メッキ浴には一般市販品等を用いることが可能であり、例えば、浴組成の還元剤には、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、ブドウ糖、ロッシェル塩等が、浴中の金属塩の安定化を目的とした錯化剤には、エチレンジアミン、トリエタノールアミンのアミン類、又は、グリシン、アラニン、アミノペンタ五酢酸等のアミノ酸、又は、乳酸、酒石酸、グリコール酸、クエン酸等のオキシカルボン酸とそのアルカリ塩類、又は、マロン酸、コハク酸、マレイン酸等のジカルボン酸とそのアルカリ塩類、アンモニア、ピリジン、EDTA等が単独又は二種類以上が複合して配合される。また、メッキ浴のpH緩衝剤には、ホウ酸、炭酸などの無機酸のアルカリ塩、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、酪酸等のモノカルボン酸とそのアルカリ塩、スルホプロピオン酸、スルホコハク酸等の有機酸とそのアルカリ塩、更に、無電解メッキ浴の自然分解防止剤には、尿素、チオ尿素、鉛塩等が、更に湿潤剤や光沢剤等が任意に配合される。
無電解Ni−Pメッキにおける実際のメッキ浴組成及びメッキ条件の一例としては、硫酸ニッケル26g/L、エチレンジアミン15g/L、次亜リン酸ナトリウム10g/L、酢酸鉛1ppmの浴組成で、pH7.0、浴温60℃の条件が挙げられる。
【0021】
〔化学メッキ〕
一般に化学メッキと呼称されるメッキ皮膜種としては、Au、Ag等のメッキ皮膜及びZn等の置換メッキ皮膜を、下地金属皮膜として選定することによって用いることができる。
これら置換メッキ浴にも浴の経時安定化を図る目的とメッキ皮膜の平滑性を向上させる目的から、錯化剤やpH緩衝剤等がメッキ金属種に応じて適宜添加される。
【0022】
本発明の電源装置用外装缶に、上述した工法でメッキ皮膜を施す場合は、電気メッキ法、無電解メッキ法、化学メッキ法の各単層のメッキ皮膜構造、または、これらメッキ方法を一つ以上組み合わせた手法で多層メッキ皮膜構造を作製することが可能である。
【0023】
尚、本発明の電源装置は、上記の電源装置用外装缶の内部空洞に電気供給源(負極構成部材、セパレーター部材、正極構成部材及び非水性電解液から成る発電要素)が収容され、外装缶の開口部が薄板状の蓋体によって密閉された構造を有しており、外装缶の底壁面及び/又は側壁面に設けられた前記金属皮膜層によって、電源装置の内部圧力上昇が起こった場合であっても外装缶の変形量が小さく、外装缶の厚みを分厚くしなくても、必要とされる強度が得られ、容量当たりの電池容量を増やすことができる。
以下、金属皮膜層としてニッケルメッキ層を設けた本発明の電源装置用外装缶の強度を、従来のアルミニウム製の外装缶の強度と比較した場合の試験例を示すが、本発明の電源装置用外装缶はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
実施例1:ニッケルメッキ皮膜による膨れ防止効果の確認実験
以下の実験により、アルミケースにおけるメッキ皮膜効果の調査を行なった。
(1)アルミケース(アルミニウム製外装缶)
同じサイズのアルミニウム製外装缶の側面肉厚だけ変えた試料を2種類(0.30mm、0.25mm)作成した。
アルミニウム製外装缶肉厚0.30mmで、メッキ皮膜を設けていない試料(A)と、アルミニウム製外装缶肉厚0.25mmの試料を市販の前処理剤で処理した後、前記段落番号0019に例示した電気ニッケル浴組成並びにメッキ条件にてニッケル皮膜を0.05mm設けて総肉厚0.30mmにした試料(B)を比較した。アルミケース試料の厚みサイズを測定し、膨れの差を比較したが、圧力をかけない元の試料の厚み寸法に個体差があるので膨張率を比較した。
上記のアルミケース試料は各5個評価し、平均値を算出した。
(2)アルミケース試料の設定サイズ
試料(A):5.0×33.7×49.0mm(側面肉厚0.3mm設定)
試料(B):(4.9+0.05×2)×33.7×49.0mm(側面肉厚0.25mm設定)へ各側面に0.05mmのNiメッキ皮膜層を設けた。
(3)測定位置
側面中央部の開口部から10mmの位置「口元」、中央部「中央」、底面から10mmの位置「底」を測定した。
(4)測定方法
アルミケース試料の開口部をウレタンで圧接封印し、ウレタンの中央に設けた孔より、アルミケース試料の内部へ空気を封入し加圧する。付属するレギュレーターのメーターを読み、0.5MPa単位で昇圧する。0.5MPaの昇圧毎に、アルミケース試料の厚み寸法を3点(口元、中央、底)、デジタルノギスで測定する。
この実験結果を以下の表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
上記表1に示されるように、ニッケルメッキしたアルミケース試料は、同じ厚みのニッケルメッキなしのアルミケース試料に比較して明らかに膨れ防止強度が強い。
図2は、表1の実験結果をグラフ化したものであり、このグラフからも本発明の電源装置用外装缶は、従来品に比べて内部圧力上昇による膨れ変形量が小さいことがわかる。
【0027】
実施例2〜9及び比較例1〜4:各種多層メッキ皮膜を設けた場合の膨れ防止効果の確認実験
次に、実施例2以降では、アルミニウム製外装缶の周壁面に表2に記載した金属皮膜層を各所定の膜厚に被覆する方法を明記した。一方、膨れ防止効果を対比するメッキ皮膜を設けてないアルミニウム製外装缶の側壁面のアルミニウム肉厚は、メッキ後の各外装缶の側壁面の肉厚と同等に調整した。そして、昇圧前の各外装缶の中央位置の外寸を測定し、その後、外装缶の内部を3.0MPaまで昇圧させた後の中央位置の外寸を測定して各試料の膨張率を算出した。メッキ皮膜による膨れ防止効果はメッキ皮膜有無試料の膨張率から以下の式で膨張率比を算出した。
膨張率比=メッキ被覆試料の膨張率(%)/メッキ被覆無し試料(%)
【0028】
実施例2
実施例1で用いた肉厚0.25mmのアルミニウム製外装缶の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、以下に示したメッキ浴組成およびメッキ条件にて、電気亜鉛メッキ皮膜を底壁部に10μm、側壁部に8μm、電気ニッケルメッキ皮膜を底壁部に2μm、側壁部に2μm、クロムメッキ皮膜を底壁部に60μm、側壁部に40μmの順に積層被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
a)電気亜鉛メッキ浴組成とメッキ条件
ピロリン酸亜鉛30g/L、ピロリン酸カリ250g/L、スルホコハク酸アンモン3g/L、n−3ヒドロキシブチリデンアルデヒドエタノールアミン縮合物0,1g/L、pH10.5、0.25A/dm2、
b)電気ニッケルメッキ浴組成とメッキ条件
スルファミン酸ニッケル350g/L、塩化ニッケル50g/L、ホウ酸45g/L
pH3.9、浴温70℃、1.5A/dm2
c)電気クロムメッキ浴組成とメッキ条件
無水クロム酸250g/L、硫酸2g/L、浴温48℃、3A/dm2
【0029】
実施例3
実施例1で用いた肉厚0.25mmのアルミニウム製外装缶の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、以下に示したメッキ浴組成およびメッキ条件にて、置換亜鉛メッキ皮膜を底壁部に0.2μm、側壁部に0.2μm、電気ニッケルメッキ皮膜を底壁部に60μm、側壁部に40μmの順に積層被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
a)亜鉛置換メッキ浴組成とメッキ条件
酸化亜鉛5g/L、ロッセル塩50g/L、塩化第二鉄1g/L、水酸化ナトリウム50g/L、2分間浸漬処理
b)電気ニッケルメッキ浴組成とメッキ条件
硫酸ニッケル320g/L、塩化ニッケル55g/L、ホウ酸28g/L、ナフタレントリスルホン酸3g/L、サッカリンナトリウム、0.5g/L、pH4.1、0.8A/dm2
【0030】
実施例4
アルミニウム製外装缶肉厚0.20mm、サイズ4×28×39mmの試料の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、以下に示したメッキ浴組成およびメッキ条件にて、電気銅メッキ皮膜を底壁部に1μm、側壁部に2μm、実施例1同様の電気ニッケルメッキ皮膜を底壁部に30μm、側壁部に10μm、電気ニッケル−鉄合金メッキ皮膜を底壁部に60μm、側壁部に20μmの順に積層被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
a)電気銅メッキ浴組成とメッキ条件
ピロリン酸銅100g/l、ピロリン酸カリウム330g/l、クエン酸カリウム25g/l、蓚酸アンモニウム30g/l、pH8.3、浴温50℃、3A/dm2
b)電気Ni−Fe合金メッキ浴組成とメッキ条件
硫酸ニッケル310g/l、硫酸第一鉄17g/l、塩化ニッケル20g/l、ホウ酸29g/l、pH3.0 浴温60℃、1A/dm2
【0031】
実施例5
アルミニウム製外装缶肉厚0.15mm、サイズ4×28×39mmの試料の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、以下に示したメッキ浴組成およびメッキ条件にて、電気銀メッキ皮膜を底壁部に0.4μm、側壁部に0.2μm、電気コバルトメッキ皮膜を底壁部に40μm、側壁部に20μm、無電解ニッケル−リン合金メッキ皮膜を底壁部に60μm、側壁部に30μmの順に積層被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
a)電気銀メッキ浴組成とメッキ条件
スルホコハク酸銀15g/l、ヨウ化カリウム330g/l、チオシアン酸アンモニウム3g/l、ヒドロキシブチリデンスルフアニル酸カリウム24g/l、pH6.8,浴温45℃、1.3A/dm2
b)電気コバルトメッキ浴組成とメッキ条件
硫酸コバルト30g/l 、硫酸アンモニウム 200g/l 、ホウ酸40g/l、pH 2.8、浴温45℃、0.8A/dm2
c)無電解Ni−Pメッキ浴組成とメッキ条件
塩化ニッケル30g/l、次亜燐酸ナトリウム13g/l、クエン酸ナトリウム20g/l、酢酸ナトリウム5g/l、pH4.8、浴温95℃
【0032】
実施例6
アルミニウム製外装缶肉厚0.25mm、サイズ4×28×39mmの試料の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、以下に示したメッキ浴組成およびメッキ条件にて、電気金メッキ皮膜を底壁部に0.001μm、側壁部に0.001μm、実施例1同様の電気ニッケルメッキ皮膜を底壁部に80μm、側壁部に45μm、実施例5同様の無電解ニッケル−リン合金メッキ皮膜を底壁部に20μm、側壁部に5μmの順に積層被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
電気金メッキ浴組成とメッキ条件
メルカプトコハク酸金(金として)2g/l 、メルカプトコハク酸40g/l、アセチルシステイン5g/l、pH5、温度80℃
【0033】
実施例7
実施例1で用いた肉厚0.25mmのアルミニウム製外装缶の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、以下に示したメッキ浴組成およびメッキ条件にて、電気インジウムメッキ皮膜を底壁部に5μm、側壁部に2μm、電気クロム−鉄合金メッキ皮膜を底壁部に15μm、側壁部に40μm、実施例1同様の電気ニッケルメッキ皮膜を底壁部に5μm、側壁部に8μmの順に積層被覆した試料を作製後、膨れ防止効果を測定した。
a)電気インジウムメッキ浴組成とメッキ条件
メタンスルホン酸インジウム30g/l、スルファミン酸ナトリウム100g/l、プロパンスルホン酸アンモニウム3g/l、D−グルコース5g/l、モノエタノールアミン0.1g/l、pH3.0、浴温30℃、1.8A/dm2
b)電気クロム−鉄合金メッキ浴組成とメッキ条件
ホウフッ化クロム100 g/l ,第一塩化鉄20g/l ,ホウ酸 40 g/l,ポリエチレングリコール 2.5 g/l, 浴温50℃,pH2.1 、9 A/dm2
【0034】
実施例8
アルミニウム製外装缶肉厚0.20mm、サイズ4×28×39mmの試料の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、実施例5に示した電気コバルトメッキ作製条件にてメッキ皮膜を底壁部に5μm、側壁部に3μm、以下の条件で作製した電気メッキクロム−亜鉛合金メッキ皮膜を底壁部に6μm、側壁部に4μm、実施例2に示した電気ニッケルメッキ作製条件にてメッキ皮膜を底壁部に19μm、側壁部に3μmの順に積層被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
電気クロム−亜鉛合金メッキ浴組成とメッキ条件
塩化亜鉛50 g/l 、三塩化クロム : 100g/l 、浴温50℃,pH2.5、8 A/dm2
【0035】
実施例9
アルミニウム製外装缶肉厚0.20mm、サイズ5×34×49mm試料の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、実施例3に示した置換亜鉛メッキ皮膜作製条件にてメッキ皮膜を底壁部に0.2μm、側壁部に0.2μm、以下の条件で作製した電気スズメッキ皮膜を底壁部に50μm、側壁部に50μm、電気スズ−ニッケル合金メッキ皮膜を底壁部に150μm、側壁部に100μmの順に積層被覆した試料を作製後、膨れ防止効果を測定した。
a)電気スズメッキ浴組成とメッキ条件
スルホキシレン酸錫18g/l、グルコン酸カリウム190g/l、クエン酸100g/l、酒石酸20g/l、ハイドロキノン1g/l、ベンザルコニウムクロライド1g/l、アルキルイミダゾリウムベタイン3g/l、pH7、浴温35℃、1A/dm2
b)電気ニッケル−スズ合金メッキ浴組成とメッキ条件
ピロリン酸錫20g/l、塩化ニッケル25g/l、ピロリン酸カリウム250g/l、クエン酸アンモニウム15g/l、pH8.5、浴温60℃、1.2A/dm2
【0036】
比較例1
実施例1で用いた肉厚0.25mmのアルミニウム製外装缶の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、以下に示したメッキ浴組成およびメッキ条件にて、電気パラジウムメッキ皮膜を底壁部に50μm、側壁部に50μmを被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
電気パラジウムメッキ浴組成とメッキ条件
ジアンミンパラジウム亜硝酸塩10g/l、硫酸アンモニウム30g/l、1,3,6−ナフタレンスルホン酸カリウム2g/l、pH7.8、浴温50℃、0.8A/dm2
【0037】
比較例2
実施例1で用いた肉厚0.30mmのアルミニウム製外装缶の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、実施例3と同様のメッキ浴組成およびメッキ条件にて、置換亜鉛メッキ皮膜を底壁部に0.2μm、側壁部に0.2μm、電気ニッケル皮膜を底壁部に2μm、側壁部に2μm、被覆した試料の膨れ防止効果を測定した。
【0038】
比較例3
実施例1で用いた肉厚0.25mmのアルミニウム製外装缶の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、以下に示したメッキ浴組成およびメッキ条件にて、電気鉛メッキ皮膜を底壁部に45μm、側壁部に45μm、実施例2に示した電気ニッケルメッキ作製条件にてメッキ皮膜を底壁部に5μm、側壁部に5μmの順に積層被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
電気鉛メッキ浴組成とメッキ条件
スルホプロピオン酸鉛40g/l、ジヒドロキシベンゼンスルホン酸70g/l、ポリオキシエチレンデシルアミン3g/l、浴温20℃、3A/dm2
【0039】
比較例4
アルミニウム製外装缶肉厚0.20mm、サイズ4×28×39mmの試料の外壁面を市販の前処理剤で処理した後、実施例3と同様の電気ニッケルメッキ作製条件にてメッキ皮膜を底壁部に2μm、側壁部に2μm、電気ニッケル−タングステン−りん合金メッキ皮膜を底壁部に20μm、側壁部に48μmの順に積層被覆した試料を作製して膨れ防止効果を測定した。
電気ニッケル−タングステン−リンメッキ浴組成とメッキ条件
硫酸ニッケル 10g/L、クエン酸100g/L、タングステン酸ナトリウム10g/亜リン酸ナトリウム1g/L、サッカリンナトリウム1g/L、pH5.8、浴温70℃、電流密度20A/dm2
【0040】
【表2】

【0041】
上記表2には、種々なメッキ皮膜を被覆した実施例1〜比較例4の膨れ防止効果結果を膨張率比で示した。実施例1〜9の膨張率比は、0.587〜0.897の総て1以下の値であり、側壁面の肉厚がメッキ皮膜を含めた同等肉厚のアルミニウムケースよりも膨張率が低い。
比較例1では、実施例1と同等のメッキ皮膜をアルミケースに被覆したが、電気パラジウムメッキ皮膜では缶内を昇圧した際に、メッキ皮膜にクラックが発生して膨張率が増加した。
比較例2では、実施例3と同じメッキ皮膜種の構成であるが、側壁面のメッキ厚が薄い比較例2では、膨れ防止効果は全く無かった。また、底壁面に厚み20μm厚のニッケル箔をスポット溶接した結果は、実施例3では溶接可能であったが、比較例2では溶接が不可能であった。
比較例3では、電気鉛メッキ皮膜と電気ニッケル皮膜を積層したが、アルミニウム素地と電気鉛メッキ皮膜との密着性が悪く、缶内を昇圧した際にメッキ皮膜が剥離して膨張率が増加する現象を生じた。
表2には、種々なメッキ被膜を被覆した実施例の結果を示したが、アルミニウムおよびアルミニウム合金製外装缶の材質およびメッキ皮膜種および積層構成はこれら実施例に限定されるものではない。
【0042】
【表3】

【0043】
表3は、メッキ皮膜を被覆したアルミニウム製外装缶の側壁中央部分の10×10mmを切断した試料を用いて、試料の1/2部分を万力で固定して、上部を90度折り曲げた場合の折り曲げ部の素材とメッキ皮膜の剥離状態を評価した結果である。実施例2,3,5,7では良好であったが、比較例1,3,4ではメッキ皮膜と素地間に剥離した現象が観察された。メッキ皮膜と素材との密着性が悪い場合には膨れ防止効果が減少すると共に底壁面部では溶接強度が劣る問題がある。比較例4では、ニッケル皮膜とニッケル―タングステン―リン合金皮膜を積層したが、ニッケル―タングステン―リン合金皮膜に比較例1同様のクラックが形成されて膨れ防止効果は殆どなかった。
【産業上の利用可能性】
【0044】
外装缶を構成する壁面の少なくとも一つに、ニッケル他異種金属の表面処理を行って金属皮膜層を設けたことを特徴とする本発明の電源装置用外装缶は、各種電源として使用される電池、コンデンサー、キャパシター等に使用されるケース(外装缶)や蓋他の外装部材(電源装置用外装缶、蓋)として実用可能であり、このような外装缶を利用することによって、膨れ変形に対する強度を上昇させ、結果的に電池容量を増やすことができ、さらに電池等の外装缶の外側に取り付けられる端子や電極と呼ばれる金属板の取り付け方法を改善することにより実装効率を高めることが可能な電源装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の電源装置用外装缶の一例を示す外観図である。
【図2】実験例において行なった膨張比較実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1 電源装置用外装缶
2 開口部
3 内部空洞
4 金属皮膜層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方側に開口部を有した実質的に柱状のアルミニウムまたはアルミニウム合金製の外装缶で、当該外装缶の内部に、電気を供給するための電気供給源を収容可能な内部空洞が形成されているものにおいて、前記外装缶を構成する壁面の少なくとも一つに、ニッケルからなる金属皮膜層、クロムからなる金属皮膜層、リン、ホウ素、鉄、コバルト、銅、スズ、亜鉛、クロムから選ばれた少なくとも1種とニッケルとからなる金属皮膜層、鉄又は亜鉛とクロムとからなる金属皮膜層、の少なくとも一つが積層されていることを特徴とする電源装置用外装缶。
【請求項2】
前記金属皮膜層が、2以上の皮膜層が積層されてなる多層構造を有しており、当該金属皮膜層における前記外装缶の壁面と直接接して位置する下地皮膜層が、ニッケル、銅、亜鉛、鉄、銀、金、コバルト、スズ、インジウム、ビスマス又はこれら金属を1種以上含むメッキ皮膜層の一つ以上からなり、前記下地皮膜層の総厚が0.001〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の電源装置用外装缶。
【請求項3】
前記外装缶の底壁面を含む少なくとも2つの壁面に前記金属皮膜層が積層されており、前記底壁面に積層された金属皮膜層の厚みが30〜200μmであり、他の側壁面に積層された金属皮膜層の厚みが10〜150μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置用外装缶。
【請求項4】
前記開口部の周縁から少なくとも0.5mm以内の領域には、前記金属皮膜層が存在していないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置用外装缶。
【請求項5】
上方側に開口部を有した実質的に柱状のアルミニウムまたはアルミニウム合金製の外装缶の前記開口部が、当該開口部を封鎖するに適した形状の蓋体によって密閉され、当該外装缶の内部に形成された内部空洞に、電気を供給するための電気供給源が収容された構造を有する電源装置であって、前記外装缶を構成する壁面の少なくとも一つに、ニッケルからなる金属皮膜層、クロムからなる金属皮膜層、リン、ホウ素、鉄、コバルト、銅、スズ、亜鉛、クロムから選ばれた少なくとも1種とニッケルとからなる金属皮膜層、鉄又は亜鉛とクロムとからなる金属皮膜層、の少なくとも一つが積層されていることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
前記金属皮膜層が、2以上の皮膜層が積層されてなる多層構造を有しており、当該金属皮膜層における前記外装缶の壁面と直接接して位置する下地皮膜層が、ニッケル、銅、亜鉛、鉄、銀、金、コバルト、スズ、インジウム、ビスマス又はこれら金属を1種以上含むメッキ皮膜層の一つ以上からなり、前記下地皮膜層の総厚が0.001〜50μmであることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記外装缶の底壁面を含む少なくとも2つの壁面が前記金属皮膜層によって覆われており、前記底壁面を覆っている金属皮膜層の厚みが30〜200μmであり、他の側壁面を覆っている金属皮膜層の厚みが10〜150μmであることを特徴とする請求項5又は6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記開口部の周縁から少なくとも0.5mm以内の領域には、前記金属皮膜層が存在していないことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の電源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−185692(P2006−185692A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376753(P2004−376753)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(592204886)冨士発條株式会社 (11)
【出願人】(593002540)株式会社大和化成研究所 (29)
【出願人】(000239426)福田金属箔粉工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】