説明

電源装置

【課題】昇圧コンバータにおける電流供給経路に追加的な素子を挿入することなく、出力側の短絡や過負荷による過電流から昇圧コンバータを保護する。
【解決手段】インダクタ(1)の充放電をスイッチング制御することで直流入力電圧を昇圧し、当該昇圧した電圧をコンデンサ(3)で平滑化して直流出力電圧を得る電源装置は、インダクタ(1)とコンデンサ(3)との間に接続され、整流作用を呈するトランジスタ(2)と、直流入力電圧及び直流出力電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する出力電圧判定回路(6)と、出力電圧判定回路(6)によって直流出力電圧が直流入力電圧よりも低いことが示されているとき、トランジスタ(2)に流れる電流を所定値にする電流制御回路(7)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に直流電圧を供給する電源装置に関し、特にスイッチング方式の昇圧コンバータからなる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング方式の昇圧コンバータは高効率な電力変換特性を有しており、近年、電池を直流入力電源とする各種電子機器における電源装置として多く用いられている。一般的な昇圧コンバータは、直流入力電源に一端が接続されたインダクタと、当該インダクタの他端と基準電圧ノードとの間に接続されたスイッチと、当該インダクタの他端にアノードが接続されたダイオードと、当該ダイオードのカソードと基準電圧ノードとの間に接続されたコンデンサとを備えた構成となっている。そして、スイッチのオン/オフを繰り返すことでインダクタが充放電され、こうして昇圧された電圧がコンデンサに充電されて直流出力電圧として出力される。
【0003】
一般的な構成の昇圧コンバータでは、出力側が短絡される又は過負荷になると、たとえスイッチを停止して昇圧動作を抑制したとしても、直流入力電源からインダクタ及びダイオードを介して出力側に過電流が流れてしまう。従来、このような過電流による部品損傷を回避するために、昇圧コンバータにおけるダイオードと出力端との間に電流検出抵抗及び定電流制御用のトランジスタを挿入し、電流検出抵抗によって過電流が検出されると当該トランジスタを定電流制御している(例えば、特許文献1参照)。これにより、出力側が短絡又は過負荷となっても出力電流が一定に保たれるため、インダクタやダイオードなどが保護される。
【特許文献1】特許第3593114号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の過電流保護機能を備えた昇圧コンバータの場合、電流検出抵抗及び定電流制御用のトランジスタは、通常動作における負荷への供給電流に十分に耐え得るものでなければならない。また、電流検出抵抗及び定電流制御用のトランジスタを電流供給経路に挿入することにより導通損失が発生し、昇圧コンバータの変換効率が低下するという問題がある。
【0005】
上記問題に鑑み、本発明は、スイッチング方式の昇圧コンバータについて、変換効率を劣化されることなく、出力側の短絡や過負荷による過電流から昇圧コンバータを保護することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、インダクタの充放電をスイッチング制御することで直流入力電圧を昇圧し、当該昇圧した電圧をコンデンサで平滑化して直流出力電圧を得る電源装置として、インダクタとコンデンサとの間に接続され、整流作用を呈するトランジスタと、直流入力電圧及び直流出力電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する出力電圧判定回路と、出力電圧判定回路によって直流出力電圧が直流入力電圧よりも低いことが示されているとき、当該トランジスタに流れる電流を所定値にする電流制御回路とを備えたものとする。
【0007】
これによると、入力側から出力側への電流供給経路にインダクタ及び整流作用を呈するトランジスタ以外の追加的な素子を挿入することなく、直流出力電圧が直流入力電圧よりも低いときにトランジスタに所定値の電流が流れる。したがって、導通損失や変換効率低下を引き起こすことなく、起動時の突入電流及び負荷短絡・過負荷時の過電流を抑制して各部品を保護することができる。
【0008】
具体的には、電流制御回路は、出力電圧判定回路によって直流出力電圧が直流入力電圧よりも低いことが示されているとき、当該トランジスタのバックゲートに直流入力電圧を供給するバックゲート制御回路と、ソース及びゲートが当該トランジスタとソース及びゲートとそれぞれ接続された補助トランジスタと、補助トランジスタのドレインに接続された定電流源と、当該トランジスタのドレイン電圧及び補助トランジスタのドレイン電圧を受け、これらの電圧差に基づいて生成した電圧を当該トランジスタ及び補助トランジスタのゲートに供給する差動増幅回路とを有する。
【0009】
より具体的には、差動増幅回路は、直流出力電圧及び所定の電圧を受け、直流出力電圧が所定の電圧よりも低いとき、定電流源の動作下限電圧以上の電圧を出力する一方、直流出力電圧が所定の電圧よりも高いとき、直流出力電圧を出力するオフセット生成回路と、オフセット生成回路の出力電圧及び補助トランジスタのドレイン電圧を反転入力端及び非反転入力端にそれぞれ受け、出力端が当該トランジスタ及び補助トランジスタとのゲート接続点に接続された差動増幅器とを有する。
【0010】
好ましくは、電流制御回路は、当該トランジスタに流れる電流を徐々に所定値へと変化させるものとする。具体的には、電流制御回路は、当該トランジスタ及び補助トランジスタとのゲート接続点と差動増幅回路との間に接続された抵抗素子を有する。これによると、過電流状態から所定値の電流制御への切り替わりが徐々に行われるため、当該切り替わり時にインダクタに過大な逆起電圧が発生しなくなる。したがって、トランジスタその他に耐圧を超えた電圧が印加されるのを防ぐことができる。
【0011】
また、好ましくは、電源装置は、直流入力電圧及び当該電源装置の動作下限電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する入力電圧判定回路と、入力電圧判定回路によって直流入力電圧が動作下限電圧よりも高いことが示されており、かつ、出力電圧判定回路によって直流出力電圧が直流入力電圧よりも低いことが示されている状態が所定時間継続したことを検出するタイマ回路と、タイマ回路によって上記状態の継続が検出されたとき、当該トランジスタを非導通状態にするシャットダウン回路とを備えているものとする。
【0012】
これによると、出力側の短絡又は過負荷状態が所定時間継続すると電源装置が自動的にシャットダウンされる。これにより、各部品を過電流から保護することができる。
【0013】
一方、本発明が講じた手段は、インダクタの充放電をスイッチング制御することで直流入力電圧を昇圧し、当該昇圧した電圧をコンデンサで平滑化して直流出力電圧を得る電源装置として、インダクタとコンデンサとの間に接続され、整流作用を呈するトランジスタと、直流入力電圧及び当該電源装置の動作下限電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する入力電圧判定回路と、直流入力電圧及び直流出力電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する出力電圧判定回路と、入力電圧判定回路によって直流入力電圧が動作下限電圧よりも高いことが示されており、かつ、出力電圧判定回路によって直流出力電圧が直流入力電圧よりも低いことが示されている状態が所定時間継続したことを検出するタイマ回路と、タイマ回路によって上記状態の継続が検出されたとき、当該トランジスタを非導通状態にするシャットダウン回路とを備えたものとする。
【0014】
これによると、出力側の短絡又は過負荷状態が所定時間継続すると電源装置が自動的にシャットダウンされる。これにより、各部品を過電流から保護することができる。
【0015】
具体的には、シャットダウン回路は、当該トランジスタのゲートに直流入力電圧を供給することで、当該トランジスタを非導通状態にする。好ましくは、シャットダウン回路は、当該トランジスタのゲート電圧を徐々に変化させて、当該トランジスタを非導通状態にするものとする。具体的には、シャットダウン回路は、抵抗素子を通じて当該トランジスタのゲートに前記直流入力電圧を供給するものとする。これによると、過電流状態からシャットダウン状態への切り替わりが徐々に行われるため、当該切り替わり時にインダクタに過大な逆起電圧が発生しなくなる。したがって、トランジスタその他に耐圧を超えた電圧が印加されるのを防ぐことができる。
【0016】
好ましくは、シャットダウン回路は、外部から停止信号を受けたとき、当該トランジスタを非導通状態にするものとする。これによると、電源装置を任意にシャットダウンすることができる。
【0017】
また、好ましくは、電源装置は、当該電源装置がシャットダウン動作を開始してから出力電圧判定回路によって直流出力電圧が直流入力電圧よりも高いことが示されるまで、コンデンサを放電する放電回路を備えているものとする。これによると、シャットダウン後の電源装置の動作開始条件を一定にすることができ、起動不良や突入電流を防止することができる。
【0018】
また、好ましくは、電源装置は、直流出力電圧が所定の電圧よりも高いとき、コンデンサを放電する放電回路を備えているものとする。これによると、出力側が過電圧となるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によると、スイッチング方式の昇圧コンバータについて、変換効率を劣化されることなく、出力側の短絡や過負荷による過電流から昇圧コンバータを保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電源装置の回路構成を示す。インダクタ1の一端は電池などから供給される直流入力電圧Viの入力端に接続されている。インダクタ1の他端と本電源装置の直流出力電圧Voの出力端との間にはトランジスタ2が接続されている。当該出力端には電圧Voを平滑化するためのコンデンサ3が接続されている。トランジスタ2はバイアスを適宜印加することにより整流作用を呈し、さらには所定値の電流を流すように動作する。トランジスタ2はPMOSトランジスタで構成可能である。インダクタ1の他端と基準電圧ノードとの間にはスイッチング素子4が接続されている。スイッチング素子4はNMOSトランジスタで構成可能である。トランジスタ2及びスイッチング素子4はコントローラ5によってスイッチング制御される。
【0022】
出力電圧判定回路6は、電圧Vi及びVoを参照してこれら電圧の高低を判定する。具体的には、出力電圧判定回路6は、比較器61及びインバータ62から構成される。比較器61は、反転入力端及び非反転入力端に電圧Vi及びVoをそれぞれ受け、これら電圧の比較結果を示す信号S1を出力する。インバータ62は、信号S1を受け、これを論理反転して信号S2を出力する。したがって、信号S1及びS2は、電圧Voが電圧Viよりも低いとき、それぞれ“L”及び“H”となり、電圧Voが電圧Viよりも高いとき、それぞれ“H”及び“L”となる。なお、比較器61には、電圧Voが電圧Viよりもわずかに低い場合に信号S1が“H”となるようなオフセットがあってもよい。
【0023】
電流制御回路7は、出力電圧判定回路6によって電圧Voが電圧Viよりも低いことが示されているとき、トランジスタ2に流れる電流が所定値となるようにトランジスタ2の電流制御を行う。具体的には、電流制御回路7は、バックゲート制御回路71、補助トランジスタ72、定電流源73、差動増幅回路74及び抵抗素子75を備えている。
【0024】
バックゲート制御回路71は、電圧Viの供給ノードと電圧Voの供給ノードとの間に直列接続されたPMOSトランジスタ711及び712から構成される。トランジスタ711及び712の接続点はトランジスタ2のバックゲートに接続され、トランジスタ711及び712はゲートには信号S1及びS2がそれぞれ与えられる。信号S1及びS2がそれぞれ“L”及び“H”のとき、トランジスタ711はターンオンし、トランジスタ712はターンオフして、トランジスタ2のバックゲートには電圧Viが印加される。一方、信号S1及びS2がそれぞれ“H”及び“L”のとき、トランジスタ711はターンオフし、トランジスタ712はターンオンして、トランジスタ2のバックゲートには電圧Voが印加される。
【0025】
補助トランジスタ72は、ゲート及びソースがトランジスタ2のゲート及びソースとそれぞれ接続されている。補助トランジスタ72は、トランジスタ2の1/M(Mは任意の正数)のサイズであり、トランジスタ2とゲート電極を共有している。好ましくは、補助トランジスタ72のバックゲートに電圧Viを印加する。例えば、補助トランジスタ72のバックゲートを電圧Viの入力端に接続する。また、補助トランジスタ72のバックゲートをバックゲート制御回路71の制御出力端、すなわち、トランジスタ711及び712の接続点に接続してもよい。
【0026】
差動増幅回路74は、差動増幅器741及びオフセット生成回路742から構成される。具体的には、オフセット生成回路742は、比較器743及びセレクタ744から構成される。比較器743は、反転入力端及び非反転入力端に電圧V1及びVoをそれぞれ受け、これら電圧の高低を判定する。セレクタ744は、比較器743の出力信号に従って電圧Vo及びVo+Vosのいずれか一方を出力する。すなわち、オフセット生成回路742は、電圧Voが電圧V1よりも高いとき、電圧Voを出力する一方、電圧Voが電圧V1よりも低いとき、電圧Voをオフセット電圧Vosだけ嵩上げして出力する。なお、電圧Vosは、定電流源73の動作下限電圧程度となるように設定しておく。
【0027】
差動増幅器741の反転入力端にはオフセット生成回路742が接続され、非反転入力端には定電流源73及び補助トランジスタ72が接続されている。また、差動増幅器741は、信号S2を動作電圧として動作する。したがって、信号S2が“H”のとき、差動増幅器741は、反転入力端及び非反転入力端のそれぞれに印加された電圧の差分を増幅した電圧を出力する。差動増幅器741の出力電圧は抵抗素子75を介してトランジスタ2及び補助トランジスタ72のゲート接続点に供給される。一方、信号S2が“L”のとき、差動増幅器741は動作を停止し、その出力はフローティング状態となる。
【0028】
コントローラ5は、電圧Viを動作電圧として動作し、信号S2及び電圧Voに基づいてトランジスタ2及びスイッチング素子4をスイッチング制御する。具体的には、コントローラ5は、信号S2が“L”のとき、トランジスタ2が整流器として動作するようにトランジスタ2のゲートにバイアスを印加するとともに、電圧Voが目標値となるようにスイッチング素子4をスイッチング制御する。一方、信号S2が“H”のとき、コントローラ5はフローティング状態となる。これにより、スイッチング素子4はオフ状態となり、トランジスタ2は電流制御回路7によって制御されることとなる。
【0029】
次に、起動時、通常動作時及び出力短絡又は過負荷時のそれぞれにおける本電源装置の動作について順に説明する。
【0030】
≪起動時の動作≫
起動時には電圧Voはほぼゼロとなっている。したがって、電圧Voは電圧Viよりも低いため、信号S1及びS2はそれぞれ“L”及び“H”となる。これにより、バックゲート制御回路71によってトランジスタ2のバックゲートに電圧Viが印加される。また、信号S2が“H”となっているため、コントローラ5はフローティング状態となるとともに、電流制御回路7が動作してトランジスタ2には所定値の電流が流れる。
【0031】
オフセット生成回路742において、電圧Voが電圧V1よりも低くなっているため、セレクタ744からは電圧Vo+Vosが出力される。差動増幅器741は、定電流源73の動作電圧がオフセット生成回路742の出力電圧Vo+Vosと等しくなるように、抵抗素子75を介してトランジスタ2及び補助トランジスタ72のゲート接続点に電圧を供給する。これにより、定電流源73によって補助トランジスタ72に流れる電流のM倍の電流がトランジスタ2に流れる。
【0032】
上述したように起動時には電圧Voはほぼゼロとなっているため、差動増幅器741の反転入力端に電圧Voをそのまま印加すると差動増幅器741の出力はハイレベルとなり、トランジスタ2がターンオフしてしまい、トランジスタ2の電流制御ができなくなる。そこで、オフセット生成回路742によって、電圧Voが電圧V1程度となるまでは電圧Vo+Vosを差動増幅器741の反転入力端に印加して差動増幅器741の出力をローレベルにすることで、トランジスタ2の電流制御を可能にしている。オフセット電圧Vosを定電流源73の動作下限電圧程度に設定しておくのはこのためである。
【0033】
トランジスタ2に所定値の電流が流れることによってコンデンサ3の充電が進み、電圧Voが電圧V1を越えると比較器743の出力が反転する。これにより、セレクタ744によって電圧Vosが選択される。このとき、差動増幅器741の反転入力端に印加される電圧が電圧Vo+Vosから電圧Voに下がるため、差動増幅器741の出力電圧が上昇してトランジスタ2の電流制御に乱れが生じる。しかし、定電流源73の動作電圧が電圧Voにまで低下したところでトランジスタ2の電流制御は安定する。
【0034】
なお、補助トランジスタ72のサイズを適宜設定することでトランジスタ2に流れる定電流を調整することができる。これにより、起動時間を所望値に調整することができる。
【0035】
≪通常動作時の動作≫
トランジスタ2に所定値の電流が流れることによってコンデンサ3の充電が進み、電圧Voが電圧Vi近くにまで上昇すると比較器61の出力が反転し、信号S1及びS2はそれぞれ“H”及び“L”となる。これにより、バックゲート制御回路71によってトランジスタ2のバックゲートに電圧Voが印加される。また、信号S2が“L”となるため差動増幅器741の出力はフローティング状態となり、トランジスタ2の電流制御は終了する。代わりにコントローラ5が通常動作状態となり、トランジスタ2が整流器として動作するようにトランジスタ2のゲートにバイアスを印加するとともに、電圧Voが目標値となるようにスイッチング素子4をスイッチング制御する。
【0036】
≪出力短絡又は過負荷時の動作≫
本電源装置の通常動作時に出力側が短絡される又は過負荷となると電圧Voが低下する。そして、電圧Voが電圧Viよりも低くなると、比較器61の出力が反転し、信号S1及びS2はそれぞれ“L”及び“H”となる。これにより、バックゲート制御回路71によってトランジスタ2のバックゲートに電圧Viが印加され、トランジスタ2のボディダイオードは非導通となる。また、信号S2が“H”となるため、コントローラ5はフローティング状態となるとともに、電流制御回路7が動作してトランジスタ2の電流制御を行う。詳細については上述したとおりである。
【0037】
以上、本実施形態によると、起動時及び出力短絡又は過負荷時に所定値の電流が流れるように制御される。これにより、突入電流あるいは過電流からインダクタ1及びトランジスタ2を保護することができる。特に、本実施形態に係る電源装置では、電流供給経路に昇圧コンバータの基本構成要素であるインダクタ1及びトランジスタ2しか挿入されていない。このため、導通損失を発生させることなく、また、変換効率を低下させることなく、突入電流あるいは過電流から各部品を有効に保護することができる。
【0038】
なお、抵抗素子75は省略可能であるが、次の理由により、上記構成のとおりに差動増幅器741の出力側に設けておくことが好ましい。すなわち、出力短絡又は過負荷時にはトランジスタ2に流れる電流は通常動作時と比べて大きくなっている。この状態で電流制御回路7による電流制御に切り替わると、差動増幅器741の駆動能力が十分に高ければインダクタ1の通電状態は過電流から一気に定電流に変化する。そして、この急峻な電流の変化によって、インダクタ1に、トランジスタ2やスイッチング素子4の耐圧を超える逆起電圧が発生するおそれがある。これに対して、抵抗素子75を設けておくと、電流制御回路7による電流制御に切り替わったとき、トランジスタ2のゲート電圧はトランジスタ2のゲート寄生容量と抵抗素子75とで決定される時定数に従って徐々に変化する。これにより、インダクタ1の通電状態は過電流から徐々に定電流へと変化するため、当該電流変化によって発生する逆起電圧を低く抑えることができる。
【0039】
なお、上記とは逆に、差動増幅器741の駆動能力が低いと所定値の電流が流れるようになるまでに時間を要してしまい、トランジスタ2に過電流が流れ続けてしまう。そこで、差動増幅器741の駆動能力が低い場合には、信号S2が“H”のときにトランジスタ2のゲート電位が閾値電圧程度となるように下限クランプを設けるとよい。これにより、過電流状態から早く抜け出して所定値の電流が流れるようにすることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係る電源装置の回路構成を示す。本電源装置は、図1に示した電源装置に入力電圧判定回路8、タイマ回路9及びシャットダウン回路10を追加した構成となっている。
【0041】
入力電圧判定回路8は、電圧Vi及びV2を参照してこれら電圧の高低を判定する。具体的には、入力電圧判定回路8は1個の比較器で構成可能である。当該比較器は、反転入力端及び非反転入力端に電圧Vi及びV2をそれぞれ受け、これら電圧の比較結果を示す信号S3を出力する。信号S3は、電圧Viが電圧V2よりも低いとき、“L”となり、電圧Viが電圧V2よりも高いとき、“H”となる。なお、電圧V2は、本電源装置の動作下限電圧程度となるように設定しておく。
【0042】
タイマ回路9は、電圧Viが電圧V2よりも高く、かつ、電圧Voが電圧Viよりも低い状態が所定時間継続したことを検出する。具体的には、タイマ回路9は、エッジ検出器91、RSラッチ92、NANDゲート93、NMOSトランジスタ94、コンデンサ95、定電流源96及び比較器97を備えている。エッジ検出器91は、信号S3の立ち上がりエッジを検出したとき、ワンショットパルスを出力してRSラッチ92をセットする。NANDゲート93は、信号S2と信号S3との否定論理積を演算する。NMOSトランジスタ94は、NANDゲート93の出力によってスイッチング制御される。
【0043】
比較器97の反転入力端には電圧V3が印加され、非反転入力端にはNMOSトランジスタ94、コンデンサ95及び定電流源96が接続されている。また、比較器97の出力はRSラッチ92をリセットするための信号となっている。NMOSトランジスタ94が導通しているとき、コンデンサ95は放電され、比較器97の非反転入力端には基準電圧が印加される。この場合、比較器97の出力は“L”であり、RSラッチ92はリセットされない。一方、NMOSトランジスタ94が非導通のとき、コンデンサ95は定電流源96によって充電され、比較器97の非反転入力端にはコンデンサ95に充電された電圧が印加される。そして、コンデンサ95の充電が進み、充電電圧が電圧V3よりも高くなると、比較器97の出力は“H”となり、RSラッチ92がリセットされる。
【0044】
RSラッチ92からは信号S4が出力される。信号S4は、RSラッチ92がセットされると“H”となり、リセットされると“L”となる。すなわち、信号S4は、電圧Viが電圧V2よりも高くなると“H”となり、さらに、電圧Voが電圧Viよりも低い状態が所定時間継続すると“L”となる。当該所定時間はコンデンサ95の容量値、定電流源96の電流量及び電圧V3によって決定され、これらのいずれかを変更することで適宜調整可能である。なお、当該所定時間は、本電源装置の起動時間、すなわち、本電源装置が起動されてから電圧Voが電圧Vi近くにまで上昇するまでに要する時間よりも長くなるように設定する。
【0045】
シャットダウン回路10は、信号S4及び信号HLTに基づいて、トランジスタ2を非導通状態にするとともにコントローラ5を停止させる。具体的には、シャットダウン回路10は、信号S4と信号HLTとの論理積を演算し、信号S5を出力するANDゲート101、信号HLTを論理反転するインバータ102、インバータ102の出力と信号S2との論理和を演算し、信号S6を出力するORゲート103、信号S2と信号S5との論理積を演算し、信号S7を出力するANDゲート104、及びPMOSトランジスタ105を備えている。
【0046】
PMOSトランジスタ105のソースは電圧Viの供給ノードに接続され、ドレインは差動増幅器741の出力端に接続されている。したがって、PMOSトランジスタ105が導通すると、差動増幅器741の出力が電圧Viにプルアップされてトランジスタ2の電流制御は停止する。なお、PMOS105のソースはバックゲート制御回路71の制御出力端に接続してもよい。
【0047】
PMOSトランジスタ105は、ゲートに入力された信号S5によってスイッチング制御される。すなわち、PMOSトランジスタ105は、信号S5が“L”のとき、導通し、“H”のとき、非導通となる。また、差動増幅器741は信号S7を動作電圧として動作する。すなわち、差動増幅器741の出力は、信号S7が“L”のとき、フローティング状態となる。したがって、タイマ回路9によって上記所定の状態が所定時間継続したことが検出されたとき、又は、信号HLTが“L”に設定されたとき、差動増幅器741の出力がフローティング状態にされるとともに電圧Viにプルアップされることにより、トランジスタ2の電流制御は停止する。
【0048】
信号HLTが“L”に設定された場合、信号S2の状態にかかわらず信号S6は“H”となるため、コントローラ5の出力はフローティング状態となる。また、コントローラ5は信号S3が“L”のとき、動作を停止して、トランジスタ2及びスイッチング素子4をオフ状態にする。一方、バックゲート制御回路71は、信号HLTの論理レベルにかかわらずトランジスタ2のバックゲートを適宜制御する。
【0049】
次に、信号HLTが“H”のときの本電源装置のシャットダウン動作について説明する。本電源装置が起動して電圧Viが電圧V2を越えると入力電圧判定回路8の出力信号S3は“H”となり、エッジ検出器91からワンショットパルスが出力されてRSラッチ92がセットされる。これにより、信号S4は“H”となる。また、起動時には電圧Voは電圧Viよりも低くなっているため、出力電圧判定回路6の出力信号S2は“H”となる。信号S2及びS3がいずれも“H”となるため、NANDゲート93の出力は“L”となり、NMOSトランジスタ94は非導通状態となる。これにより、コンデンサ95は定電流源96によって充電され始める。これと同時に、信号S5及びS7はいずれも“H”となるため、PMOSトランジスタ105が非導通状態となるとともにトランジスタ2は差動増幅器741によって電流制御される。
【0050】
外部負荷に異常がなければコンデンサ3が充電されることにより電圧Voが上昇する。そして、電圧Viに近くなったところで信号S2が“L”に変化し、これにより、トランジスタ2の電流制御は終了して、代わりにコントローラ5が通常動作状態となる。しかし、出力側の短絡など外部負荷に異常があると電圧Voは上昇しない。この場合、タイマ回路9においてコンデンサ95の充電が進み、充電電圧が電圧V3を超えるとRSラッチ92がリセットされ、信号S4は“L”に変化する。これにより、信号S5及び信号S7はいずれも“L”に変化し、PMOSトランジスタ105が導通状態となるとともに差動増幅器741の出力はフローティング状態となる。また、信号S2は“H”のままであるため、コントローラ5の出力もまたフローティング状態となっている。したがって、トランジスタ2のゲート寄生容量に充電されていた電荷は抵抗素子75を通じて徐々に放電し、やがてトランジスタ2は非導通状態となる。すなわち、本電源装置は、外部負荷に異常があれば電流制御も昇圧制御もされずに出力側に電流も供給されない状態、すなわち、シャットダウン状態となる。なお、シャットダウン状態は、電圧Viが低下して信号S3が“L”レベルとなった後、電圧Viが上昇して信号S3が“H”に転じてRSラッチ92をセットするまで維持される。
【0051】
上記のシャットダウン動作は本電源装置の通常動作中に出力側が短絡された場合にも実行される。すなわち、電圧Voが低下して電圧Viよりも低くなると信号S2が“H”に変化してトランジスタ2の電流制御が開始され、タイマ回路9によって上記検知がされるまでに電圧Voが電圧Vi近くまで上昇しなければ、出力側が短絡されたか又は過負荷となっているとみなして、シャットダウン動作が実行される。そして、バックゲート制御回路71によってトランジスタ2のバックゲートに電圧Viが印加され、トランジスタ2は非導通状態となる。これにより、入力側から出力側への電流供給が遮断される。
【0052】
以上、本実施形態によると、起動時及び通常動作時に出力側が短絡される又は過負荷となると本電源装置がシャットダウンされる。これにより、出力側の異常による過電流からインダクタ1及びトランジスタ2を保護することができる。また、信号HLTを“L”に設定することで本電源装置を強制的にシャットダウンすることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態に係る電源装置の回路構成を示す。本電源装置は、図2に示した電源装置に放電回路11を追加し、さらに、シャットダウン回路10をシャットダウン回路10’に置換した構成となっている。
【0054】
シャットダウン回路10’は、図2に示したシャットダウン回路10に、RSラッチ106、信号S2と信号HLTとの論理積を演算してRSラッチ106をセットするANDゲート107、及び信号HLTを論理反転してRSインバータ106をリセットするインバータ108を追加した構成となっている。したがって、RSラッチ106が出力する信号S8は、信号S2及びHLTがいずれも“H”となることによって“H”に設定され、信号HLTが“L”となることによって“L”に設定される。すなわち、信号HLTを“L”に設定して強制的にシャットダウンした後、再び信号HLTが“H”を設定しても、信号S2が“H”となるまで、すなわち、電圧Voが電圧Viよりも低くなるまで信号S8は“L”のままとなり、シャットダウン動作が続けられる。なお、ANDゲート101は信号S4とRSラッチ106の出力信号S8との論理積を演算する。また、インバータ102は信号S8を論理反転する。
【0055】
放電回路11は、信号S2、S3及びS8に基づいてコンデンサ3を放電する。具体的には、放電回路11は、信号S3と信号S8との論理積を演算するANDゲート111、信号S2とANDゲート111の出力との否定論理和を演算するNORゲート112、比較器113、NORゲート112の出力と比較器113の出力との論理和を演算するORゲート114、及びNMOSトランジスタ115を備えている。NMOSトランジスタ115は、コンデンサ5と基準電圧ノードとの間に接続され、ORゲート114の出力によってスイッチング制御される。すなわち、NMOSトランジスタ115が導通することによりコンデンサ3は放電される。また、比較器113の反転入力端及び非反転入力端には電圧V4及びVoがそれぞれ印加されている。なお、電圧V4は、本電源装置の出力電圧の上限値程度となるように設定しておく。また、NMOSトランジスタ115は、そのオン抵抗が本電源装置にとって過負荷とならない程度にしておく。
【0056】
信号S2が“L”であり、かつ、信号S3及びS8のいずれかが“L”であるとき、ORゲート114の出力は“H”となり、NMOSトランジスタ115が導通してコンデンサ3が放電される。すなわち、電圧Voが電圧Viよりも低く、かつ、電圧Viが電圧V2よりも低いか又は強制的なシャットダウン動作が続けられているとき、コンデンサ3が放電されて電圧Voは低下する。また、電圧Voが電圧V4よりも高いとき、比較器113の出力が“H”となることによってORゲート114の出力もまた“H”となり、NMOSトランジスタ115が導通してコンデンサ3が放電される。すなわち、電圧Voが電圧V4よりも高くなると、コンデンサ3が放電されて電圧Voは低下する。これにより、NMOSトランジスタ115は、負荷の急減などで電圧Voが上昇して電圧V4を超えると、導通状態となって電圧Voを低下させるといった一種のアクティブダミー抵抗として動作する。また、NMOSトランジスタ115に耐圧を超える電圧が印加されるのを防ぐことができる。
【0057】
次に、本電源装置の放電動作について説明する。電圧Voが電圧Viよりも低くかつ電圧Viが電圧V2よりも高い場合に信号HLTが“H”に設定されると、本電源装置はトランジスタ2の電流制御を開始する。ここで、信号HLTが“L”に設定されるか又は電圧Viが電圧V2よりも低くなると本電源装置はシャットダウン動作を開始する。このとき、ANDゲート111の出力は“L”となっているが、電圧Voが電圧Viよりも高い間は信号S2は“H”となっているため、NORゲート112の出力は“L”のままである。したがって、NMOSトランジスタ115もまた導通状態のままとなり、コンデンサ3の放電が続けられる。そして、電圧Voが電圧Vi近くにまで低くなると信号S2は“L”に変化する。これにより、NORゲート112の出力は“H”に変化し、NMOSトランジスタ115は非導通状態となってコンデンサ3の放電は終了する。
【0058】
以上、本実施形態によると、電源装置のシャットダウン動作が開始してから電圧Voが電圧Vi近くにまで低下するまでコンデンサ3の放電が続けられる。これにより、シャットダウン後の電源装置の動作開始条件を一定にすることができ、起動不良や突入電流を防止することができる。
【0059】
なお、第2及び第3の実施形態に係る電源装置において、信号HLTによる強制シャットダウンを行わないのであれば、信号HLTが常時“H”であるものとして回路構成を適宜変更すればよい。具体的には、シャットダウン回路10及び10’におけるANDゲート101、インバータ102及びORゲート103が省略可能となる。
【0060】
また、上記の各実施形態について、比較器やインバータなどの構成要素は電圧Viを動作電圧として動作するものであってもよい。また、バックゲート制御回路71の制御出力端から供給される電圧を動作電圧として動作するものであってもよい。この場合、電圧Vi及びVoのいずれか高い方が動作電圧として供給されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る電源装置は、出力側の短絡や過負荷による過電流から各部品を保護しつつ高い変換効率で直流電圧を昇圧することができるため、低消費電力が要求される各種電子機器の直流電圧源として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施形態に係る電源装置の回路図である。
【図2】第2の実施形態に係る電源装置の回路図である。
【図3】第3の実施形態に係る電源装置の回路図である。
【符号の説明】
【0063】
1 インダクタ
2 トランジスタ
3 コンデンサ
4 スイッチング素子
5 コントローラ
6 出力電圧判定回路
7 電流制御回路
71 バックゲート制御回路
72 補助トランジスタ
73 定電流源
74 差動増幅回路
75 抵抗素子
741 差動増幅器
742 オフセット生成回路
8 入力電圧判定回路
9 タイマ回路
10,10’ シャットダウン回路
11 放電回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタの充放電をスイッチング制御することで直流入力電圧を昇圧し、当該昇圧した電圧をコンデンサで平滑化して直流出力電圧を得る電源装置であって、
前記インダクタと前記コンデンサとの間に接続され、整流作用を呈するトランジスタと、
前記直流入力電圧及び前記直流出力電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する出力電圧判定回路と、
前記出力電圧判定回路によって前記直流出力電圧が前記直流入力電圧よりも低いことが示されているとき、前記トランジスタに流れる電流を所定値にする電流制御回路とを備えた
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記電流制御回路は、
前記出力電圧判定回路によって前記直流出力電圧が前記直流入力電圧よりも低いことが示されているとき、前記トランジスタのバックゲートに前記直流入力電圧を供給するバックゲート制御回路と、
ソース及びゲートが前記トランジスタとソース及びゲートとそれぞれ接続された補助トランジスタと、
前記補助トランジスタのドレインに接続された定電流源と、
前記トランジスタのドレイン電圧及び前記補助トランジスタのドレイン電圧を受け、これらの電圧差に基づいて生成した電圧を前記トランジスタ及び前記補助トランジスタのゲートに供給する差動増幅回路とを有する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置において、
前記差動増幅回路は、
前記直流出力電圧及び所定の電圧を受け、前記直流出力電圧が前記所定の電圧よりも低いとき、前記定電流源の動作下限電圧以上の電圧を出力する一方、前記直流出力電圧が前記所定の電圧よりも高いとき、前記直流出力電圧を出力するオフセット生成回路と、
前記オフセット生成回路の出力電圧及び前記補助トランジスタのドレイン電圧を反転入力端及び非反転入力端にそれぞれ受け、出力端が前記トランジスタ及び前記補助トランジスタとのゲート接続点に接続された差動増幅器とを有する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電源装置において、
前記電流制御回路は、前記トランジスタに流れる電流を徐々に前記所定値へと変化させる
ことを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置において、
前記電流制御回路は、前記トランジスタ及び前記補助トランジスタとのゲート接続点と前記差動増幅回路との間に接続された抵抗素子を有する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電源装置において、
前記直流入力電圧及び当該電源装置の動作下限電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する入力電圧判定回路と、
前記入力電圧判定回路によって前記直流入力電圧が前記動作下限電圧よりも高いことが示されており、かつ、前記出力電圧判定回路によって前記直流出力電圧が前記直流入力電圧よりも低いことが示されている状態が所定時間継続したことを検出するタイマ回路と、
前記タイマ回路によって前記状態の継続が検出されたとき、前記トランジスタを非導通状態にするシャットダウン回路とを備えた
ことを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電源装置において、
当該電源装置がシャットダウン動作を開始してから前記出力電圧判定回路によって前記直流出力電圧が前記直流入力電圧よりも高いことが示されるまで、前記コンデンサを放電する放電回路を備えた
ことを特徴とする電源装置。
【請求項8】
インダクタの充放電をスイッチング制御することで直流入力電圧を昇圧し、当該昇圧した電圧をコンデンサで平滑化して直流出力電圧を得る電源装置であって、
前記インダクタと前記コンデンサとの間に接続され、整流作用を呈するトランジスタと、
前記直流入力電圧及び当該電源装置の動作下限電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する入力電圧判定回路と、
前記直流入力電圧及び前記直流出力電圧を参照してこれら電圧の高低を判定する出力電圧判定回路と、
前記入力電圧判定回路によって前記直流入力電圧が前記動作下限電圧よりも高いことが示されており、かつ、前記出力電圧判定回路によって前記直流出力電圧が前記直流入力電圧よりも低いことが示されている状態が所定時間継続したことを検出するタイマ回路と、
前記タイマ回路によって前記状態の継続が検出されたとき、前記トランジスタを非導通状態にするシャットダウン回路とを備えた
ことを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電源装置において、
前記シャットダウン回路は、前記トランジスタのゲートに前記直流入力電圧を供給することで、前記トランジスタを非導通状態にする
ことを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電源装置において、
前記シャットダウン回路は、前記トランジスタのゲート電圧を徐々に変化させて、前記トランジスタを非導通状態にする
ことを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電源装置において、
前記シャットダウン回路は、抵抗素子を通じて前記トランジスタのゲートに前記直流入力電圧を供給する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項12】
請求項8に記載の電源装置において、
前記シャットダウン回路は、外部から停止信号を受けたとき、前記トランジスタを非導通状態にする
ことを特徴とする電源装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電源装置において、
当該電源装置がシャットダウン動作を開始してから前記出力電圧判定回路によって前記直流出力電圧が前記直流入力電圧よりも高いことが示されるまで、前記コンデンサを放電する放電回路を備えた
ことを特徴とする電源装置。
【請求項14】
請求項8に記載の電源装置において、
前記直流出力電圧が所定の電圧よりも高いとき、前記コンデンサを放電する放電回路を備えた
ことを特徴とする電源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−92639(P2008−92639A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268698(P2006−268698)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】