説明

電源装置

【課題】複数のチャンネル(電源回路)で構成され入力電圧を電源回路の駆動電圧として利用して出力電圧を得る電源装置において、入力電圧に大きな変動が生じた場合でも、駆動電圧がICのプロセス耐圧を超えないようにする。
【解決手段】第1電源部120が出力する直流の第1電源電圧UNREGを降圧して第1出力電圧を出力する第1電源回路CH1と、第2電源部130が出力する直流の第2電源電圧を降圧し、第1電源電圧UNREGより高い第2出力電圧を出力する第2電源回路CH7とを備える。また、第1電源電圧UNREGまたは第2電源電圧のうち高い方の電源電圧を基に、当該電源電圧より所定の値だけ高い電圧VP3を生成し、第2電源回路CH7に駆動電圧として供給する第1駆動電圧供給回路113と、第1駆動電圧供給回路113から供給される駆動電圧VP3及び第1電源電圧UNREGの変動に応じた電圧VP4を生成し、第1電源回路CH1に駆動電圧として供給する第2駆動電圧供給回路114とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数のチャンネル(電源回路)を備えるDC−DCコンバータに適用して好適な電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器にはシステム制御装置としてマイクロプロセッサを始めとする各種集積回路(IC:Integrated Circuit)が搭載されている。これらマイクロプロセッサ(以下、「MPU」と称する。)等のICの動作周波数はますます高くなる傾向がある。この動作周波数の増加に伴って最大動作電流も増大している。MPU等のICを内蔵した携帯型電子機器等においては、リチウムイオン電池等のバッテリ電圧をスイッチング・レギュレータで降圧してMPU等のICに動作電流を供給する方式が採用されることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1に、単独のチャンネル(電源回路)を持つスイッチング・レギュレータから構成された電源装置が開示されている。また特許文献2に、Pチャネルの電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)及びNチャネルの電界効果トランジスタの組み合わせを含む、複数のチャンネルを並列に接続した構成を備える電源装置が開示されている。この電源装置では、電源回路内のゲート駆動電圧を入力電圧の変動に応じて変化させ効率のよいゲート駆動電圧を供給している。
【0004】
ここで、図4を参照して、従来の複数のチャンネルを備えた降圧型DC−DCコンバータ形式の電源装置のICを説明する。図4に示す電源装置100を構成する降圧型のDC−DCコンバータ110は、内部に複数のチャンネルを備えており複数の出力電圧に対応可能である。このDC−DCコンバータ110には電池120の電圧の他に、電池120の電源電圧がDC−DCコンバータ130で所定値に変換された電圧が供給される。
【0005】
DC−DCコンバータ110は、第1のチャンネルから第7のチャンネルまでの7個のチャンネルを有し、複数の電源電圧を供給できるように構成されている。ただし、説明の都合上、図4では第2のチャンネルから第6のチャンネルまでの記載を省略し、第1のチャンネル及び第7のチャンネルのみを記載している。第1のチャンネルは低電圧を出力し、第7のチャンネルは高電圧を出力する。それぞれのチャンネルには降圧型のDC−DCコンバータ、所謂バックコンバータが適用されている。
【0006】
第1のチャンネルであるバックコンバータCH1は、2つの電界効果トランジスタQ11,Q12の直列接続(トーテムポール構成)からなるスイッチング回路と、スイッチング回路のスイッチング動作を制御するためのドライブ回路DD1を備える。電界効果トランジスタには、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor‐Field Effect Transistor)を使用している。なお、以降の説明において、電界効果トランジスタQ11をハイサイドFETQ11、電界効果トランジスタQ12をローサイドFETQ12とも称する。
【0007】
ドライブ回路DD1は、ハイサイドFETQ11,ローサイドFETQ12の接続中点と接続された出力回路へ出力電圧を出力すべく、前記スイッチング回路のスイッチング動作を制御する。このドライブ回路DD1は、スイッチング回路のハイサイドFETQ11のゲート駆動電圧として後述する駆動電圧生成回路から供給される駆動電圧を利用する。
【0008】
バックコンバータCH1は、ハイサイドFETQ11とローサイドFETQ12の接続中点と接続した出力回路を介して出力端子T1へ出力電圧を出力する。出力回路は、チョークコイルL1及びコンデンサ(容量素子)C1で構成され、出力端子T1でコンデンサC1の両端に掛かる電圧を最終的な出力電圧として取り出している。
【0009】
またバックコンバータCH1と同様に、第7のチャンネルであるバックコンバータCH7は、2つの電界効果トランジスタQ71,Q72からなるスイッチング回路と、ドライブ回路DD7を備える。そして、バックコンバータCH7から、チョークコイルL7及びコンデンサC7で構成された出力回路を介して出力端子T7へ出力電圧を出力する。
【0010】
バックコンバータは、出力電圧より高い入力電圧が必要である。仮にバックコンバータCH1の出力電圧が1.2V、バックコンバータCH7の出力電圧が6Vであるとすると、6Vを出力するには6Vを超える入力電圧(例えば7V)が必要であり、一方、1.2Vを出力するには入力電圧は、例えば4Vでもよい。
【0011】
例えば2セルのリチウムイオン電池の電圧範囲は、およそ5.4V〜8.4Vである。これを電源として利用する場合には、1.2V出力のバックコンバータCH1に2セルのリチウムイオン電池の出力電圧を供給する。また、6V出力のバックコンバータCH7に7V出力のDC−DCコンバータ130の出力電圧を供給することにより電源装置100が動作可能となる。さらにスイッチング回路がNチャネル−Nチャネル方式の場合、ハイサイドFETのゲート端子には、入力電圧より数V高い電圧の入力が必要である。図4の例では、電圧変換回路111及び駆動電圧生成回路112で、例えば入力電圧+5Vの電圧を生成し、これをハイサイドFETのゲート端子に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−304218号公報(図4等参照)
【特許文献2】特開2002−159173号公報(図7等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、携帯型電子機器においては、高性能化、高機能化に伴い、スイッチング・レギュレータとして、発生すべき電圧が低くかつ大きな電流を出力できるものが要求されるようになり、電流の消費が大きくなってきている。一方で、携帯型電子機器には、内蔵バッテリの使用時間の長時間化も求められる。そこで、携帯型電子機器の使用時間の長時間化を図るため、携帯型電子機器の機能を使うときだけ電源をオンにし、それ以外のときは休止させるといったように機能の細かいオン/オフ制御が行われている。このような消費電流の増大や細かいオン/オフ制御の結果、消費電流の急激な変動が発生し、バッテリ電圧が大きく変動するようになってきている。
【0014】
ここで、バッテリ電圧が大きく変動した場合に、上記従来の複数のチャンネルを有する電源装置に生じる影響について説明する。
図4において、各バックコンバータのハイサイドFETのゲート駆動電圧として、7V+5V=12Vの電圧VP3が掛かっている。電池120の電圧UNREGが低下したとき(急激な負荷急変により瞬間的には約4Vまで下がる)には、バックコンバータCH1のハイサイドFETQ11のゲート−ソース間電圧VGS1(=VP3−UNREG)は、およそ12V−4V=8Vとなる。図5に示すように、このICのプロセス耐圧(ゲート耐圧)7Vを越えてしまう。それによって、ICの信頼性に悪影響を及ぼし、ICの製品寿命を縮めることになる。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数のチャンネルで構成され入力電圧を電源回路の駆動電圧として利用して出力電圧を得る電源装置において、入力電圧に大きな変動が生じた場合でも、駆動電圧がICのプロセス耐圧を超えることを防止するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一側面の電源装置は、第1電源部が出力する直流の第1電源電圧を降圧して第1出力電圧を出力する第1電源回路と、第2電源部が出力する直流の第2電源電圧を降圧し、第1電源電圧より高い第2出力電圧を出力する第2電源回路とを備える。また、第1電源電圧または第2電源電圧のうち高い方の電源電圧を基に、当該電源電圧より所定の値だけ高い電圧を生成し、第2電源回路に駆動電圧として供給する第1駆動電圧供給回路と、第1駆動電圧供給回路から供給される駆動電圧及び第1電源電圧の変動に応じた電圧を生成し、第1電源回路に駆動電圧として供給する第2駆動電圧供給回路とを備える。
さらに、上記第1電源回路は、
第1電源電圧が供給される、2つの電界効果トランジスタの直列接続からなるスイッチング回路と、スイッチング回路のハイサイド電界効果トランジスタのゲート駆動電圧として第2駆動電圧供給回路から供給される駆動電圧を利用し、2つの電界効果トランジスタの接続中点から出力電圧を出力すべくスイッチング回路のスイッチング動作を制御するドライブ回路とを備える、ことが好適である。
【0017】
本発明の一側面の電源装置の駆動電圧供給方法は、第1電源部が出力する直流の第1電源電圧を降圧して第1出力電圧を出力する第1電源回路と、第2電源部が出力する直流の第2電源電圧を降圧し、第1電源電圧より高い第2出力電圧を出力する第2電源回路と、を有する電源装置の駆動電圧供給方法である。
すなわち、上記第1電源電圧または上記第2電源電圧のうち高い方の電源電圧を基に、当該電源電圧より所定の値だけ高い電圧を生成し、第2電源回路に駆動電圧として供給する第1駆動電圧供給ステップと、
上記第1駆動電圧供給ステップで供給される駆動電圧及び前記第1電源電圧の変動に応じた電圧を生成し、第1電源回路に駆動電圧として供給する第2駆動電圧供給ステップと、を含む。
【0018】
本発明の一側面では、第1電源部の第1電源電圧が定格値より低電圧となったとき、第2駆動電圧供給回路において第1電源部の電圧に依存した電圧が生成されて、低電圧出力の第1電源回路の駆動電圧として供給される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のチャンネル(電源回路)で構成された電源装置において、入力電圧に大きな変動が生じた場合でも、電源回路に供給する駆動電圧がICのプロセス耐圧を超えることを防止できる。それにより、入力電圧の変動によりICの信頼性に悪影響を及ぼすことがなく、ICの製品寿命を縮めることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電源装置の概要を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る電源装置の各部における電圧の測定結果を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施の形態に係る電源装置の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図4】従来の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図5】従来の電源装置の各部における電圧の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記項目の順に行う。
1.一実施の形態の概要(複数のチャンネルから構成されるDC−DCコンバータ)
2.一実施の形態の具体例
【0022】
<一実施の形態の概要>
本実施の形態は、複数のチャンネル(電源回路)で構成され入力電圧を電源回路の駆動電圧として利用して出力電圧を得る電源装置において、低電圧を出力する電源回路の駆動電圧に、電源電圧に依存した駆動電圧を入力する構成としたものである。
【0023】
[電源装置の構成例]
【0024】
図1は、本発明の電源装置を適用した、複数のチャンネルを備える降圧型DC−DCコンバータの一実施の形態を示す。図1において、図4と対応する部分には同一符号を付して示す。
【0025】
図1に示す電源装置1は、複数のチャンネルを備える降圧型のDC−DCコンバータ10、電池120、DC−DCコンバータ130で構成されている。
【0026】
電池120は、第1電源部の一例であり、比較的小型であることが好ましく、リチウムイオン電池などの二次電池の他、一次電池や燃料電池等を適用することができる。このような電池120の負極を接地端子に接続し、正極をDC−DCコンバータ130の入力端子、DC−DCコンバータ10の第1のチャンネルであるバックコンバータCH1の入力端子及び第1ダイオードのアノードへ接続する。第1ダイオードのカソードはDC−DCコンバータ10の端子P1,P2に接続する。なお、電池120を着脱可能に構成して、図1に示すようにDC−DCコンバータ10とともに電源装置1内に収納してもよいし、電池120を電源装置1の外部に設けるようにしてもよい。
【0027】
DC−DCコンバータ130は、第2電源部の一例であり、入力電圧すなわち電池120の電圧の昇圧又は降圧を行う、所謂バックブーストコンバータである。DC−DCコンバータ130の出力端子は、第7のチャンネルであるバックコンバータCH7の入力端子及び第2のダイオードD2のアノードと接続する。DC−DCコンバータ130は、電池120の電圧を所定の値、例えば7Vに変換して出力するものであり、周知慣用の技術を用いて構成できる。なお、図1に示すようにDC−DCコンバータ130をDC−DCコンバータ10とともに電源装置1内に収納してもよいし、電源装置1の外部に設けるようにしてもよい。
【0028】
ダイオードD1,D2は、整流素子の一例であり、電池120又はDC−DCコンバータ130から出力された電流をそれぞれ、DC−DCコンバータ10の端子P1,P2へ供給するものである。ダイオードD1,D2は、バックコンバータCH7のハイサイドFETQ71のゲート電圧、すなわち後述する駆動電圧生成回路112の出力電圧VP3をなるべく高くして、ハイサイドFETQ71のオン抵抗を小さくし、入力−出力変換効率を上げるものである。なお、電池120及びDC−DCコンバータ130から出力された電流を整流できる整流素子であればよく、この例に限られない。また、図1に示すように整流素子をDC−DCコンバータ10とともに電源装置1内に収納してもよいし、電源装置1の外部に設けるようにしてもよい。
【0029】
DC−DCコンバータ10は、内部に複数のチャンネル(電源回路)を備え、各電源回路で入力電圧を所定値の電圧に変換して出力する構成となっており、複数の電圧を出力できるので、負荷側に接続した複数のICの各々に電圧を供給することが可能である。
【0030】
本実施の形態では、DC−DCコンバータ10は、一例として第1のチャンネルから第7のチャンネルまでの7個のチャンネルを有し、複数の電源電圧を供給できるように構成されている。ただし、説明の都合上、図1では第2のチャンネルから第6のチャンネルまでの記載を省略し、第1のチャンネル及び第7のチャンネルのみを記載している。
【0031】
それぞれのチャンネルには降圧型のDC−DCコンバータ、所謂バックコンバータが適用され、例えば第1のチャンネル(バックコンバータCH1)は低電圧、第7のチャンネル(バックコンバータCH7)はより高電圧を出力する構成としている。
【0032】
例えば、出力電圧について、一例として第1のチャンネル(以下、単に「1CH」と称す。)…1.2V、2CH…1.2V、3CH…1.8V、4CH…2.5V、5CH…3.15V、6CH…5V、7CH…6.0Vとなるように設計して複数の出力電圧に対応させることができる。これらの出力電圧を同時に出力してそれぞれ対応する出力端子に接続したICに供給する。例えば、1.2Vは、画像信号処理のLSI(Large Scale Integration)などのシステムLSIの電源に、また6.0Vは、撮像素子のCCD(Charge Coupled Devices)の電源に使用している。なお、上述したように、DC−DCコンバータ10には電池120の電圧の他に、電池120の電圧を外部のDC−DCコンバータ130で所定値に変換した電圧が供給される。
【0033】
第1のチャンネルであるバックコンバータCH1は、第1電源回路の一例であり、その出力端子に、例えばチョークコイルL1とコンデンサC1の直列接続を含む出力回路を接続し、コンデンサC1の他端を接地端子(グラウンド)に接続する。そして、チョークコイルL1とコンデンサC1との接続中点に出力端子T1を接続し、バックコンバータCH1から出力する電流によりチョークコイルL1を介してコンデンサC1を充電し、出力端子T1に平滑化された所定の出力電圧を得る。
【0034】
他のチャンネルと出力回路を同様に接続する。例えば、第7のチャンネルであるバックコンバータCH7は、第2電源回路の一例であり、その出力端子に、チョークコイルL7とコンデンサC7の直列接続を含む出力回路を接続し、コンデンサC7の他端を接地端子に接続する。そして、チョークコイルL7とコンデンサC7との接続中点に出力端子T7を接続し、バックコンバータCH7から出力する電流によりチョークコイルL7を介してコンデンサC7を充電し、出力端子T7に平滑化された所定の出力電圧を得る。
【0035】
次に、DC−DCコンバータ10の内部構成を説明する。
図1に示すDC−DCコンバータ10は、第1のチャンネルのバックコンバータCH1から第7のチャンネルのバックコンバータCH7と、第1駆動電圧供給回路113と、第2駆動電圧供給回路114を備える。
【0036】
第1駆動電圧供給回路113は、電圧変換回路111及び駆動電圧生成回路112で構成する。電圧変換回路111は、端子P1に入力された入力電圧VP1を降圧して出力電圧VBが一定の値、例えば5Vになるよう制御する電圧レギュレータである。駆動電圧生成回路112は、例えばチャージポンプ回路から構成され、端子P2に入力された入力電圧VP2に、電圧変換回路111の出力電圧VBを重畳して出力電圧VP3を生成する。そして、例えばより高電圧出力のバックコンバータCH7の駆動電圧として出力するとともに、端子P3及び第2駆動電圧供給回路114へ出力する。本実施の形態では、出力電圧VP3として、入力電圧VP2に5Vを加算して生成している。
【0037】
第2駆動電圧供給回路114は、一例として、入力電圧と出力電圧の差の最小値(ドロップアウト)が低い、リニアレギュレータの一種であるLDO(low drop-out)回路を適用したものである。この第2駆動電圧供給回路114は、電池120の電圧UNREGがバックコンバータCH1を介して入力されるとともに、第1駆動電圧供給回路113の駆動電圧生成回路112の出力電圧VP3が入力される。電圧UNREGの値が低い場合、第2駆動電圧供給回路114は電圧UNREGに依存した電圧VP4を生成し、端子P4に出力する。端子P4と端子P5が接続しており、端子P5から電圧VP5を低電圧出力のバックコンバータCH1の駆動電圧として供給する。
【0038】
次に、DC−DCコンバータ10の各バックコンバータ内の構成の概要を説明する。
第1のチャンネルであるバックコンバータCH1は、2つの電界効果トランジスタQ11,Q12の直列接続(トーテムポール構成)からなるスイッチング回路と、このスイッチング回路のスイッチング動作を制御するためのドライブ回路DD1を備える。以降の説明において、特に電界効果トランジスタQ11をハイサイドFETQ11、電界効果トランジスタQ12をローサイドFETQ12とも称する。
【0039】
本実施の形態においては、電界効果トランジスタとしてnチャネルのMOS−FETを使用している。駆動電圧の供給を受けてスイッチング動作をするスイッチング素子であれば、スイッチング素子はこの例に限られない。
【0040】
低電圧出力のバックコンバータCH1において、直列接続したNチャネルの電界効果トランジスタQ11,Q12のうち、電界効果トランジスタ(ハイサイドFET)Q11のゲート端子はドライブ回路DD1と接続している。ハイサイドFETQ11のドレイン端子は電池120の正極と接続しており、出力電圧UNREGが供給される。ハイサイドFETQ11にドライブ回路DD1からゲート駆動電圧が供給された場合、ハイサイドFETQ11とローサイドFETQ12の接続中点、すなわちハイサイドFETQ11のソース端子から出力回路へ出力電圧を出力する。
【0041】
ドライブ回路DD1は、ハイサイドFETQ11,ローサイドFETQ12の接続中点と接続された出力回路へ出力電圧を出力すべく、上記スイッチング回路のスイッチング動作を制御している。例えばPWM(PWM:Pulse Width Modulation)信号を生成し、このPWM信号によりスイッチング回路のスイッチング素子をオンオフする。このドライブ回路DD1は、スイッチング回路のハイサイドFETQ11のゲート駆動電圧として、第2駆動電圧供給回路114の出力電圧を利用する。
【0042】
一方、高電圧出力のバックコンバータCH7において、直列接続したnチャネルの電界効果トランジスタQ71,Q72のうち、ハイサイドFETQ71のゲート端子はドライブ回路DD7と接続している。ハイサイドFETQ71のドレイン端子はDC−DCコンバータ130の出力端子と接続しており、所定の出力電圧、例えば7Vの出力電圧が供給される。ハイサイドFETQ71にドライブ回路DD7からゲート駆動電圧が供給された場合、ハイサイドFETQ71とローサイドFETQ72の接続中点、すなわちハイサイドFETQ71のソース端子から出力回路へ出力電圧を出力する。
【0043】
ドライブ回路DD7は、ハイサイドFETQ71,ローサイドFETQ72の接続中点と接続された出力回路へ出力電圧を出力すべく、上記スイッチング回路のスイッチング動作を制御している。例えばPWM信号を生成し、このPWM信号によりスイッチング回路のスイッチング素子をオンオフする。このドライブ回路DD7は、スイッチング回路のハイサイドFETQ71のゲート駆動電圧として、第1駆動電圧供給回路113の出力電圧を利用する。
【0044】
[電源装置の動作]
7V出力の外部のDC−DCコンバータ130を使用し、バックコンバータCH7において6.0Vを出力し、また、バックコンバータCH1において4.0Vより低い電圧(例えば1.2V)を出力する場合を想定する。ここで、バックコンバータCH1の入力を電池120の電圧UNREG(4.0V〜8.4V)とし、バックコンバータCH7の入力をDC−DCコンバータ130の出力7Vとする。
【0045】
このとき、バックコンバータCH7のハイサイドFETQ71のゲート端子には、ダイオードD1,D2によって、DC−DCコンバータ130の出力7Vと電池120の電圧UNREGの高い方の電圧を基に生成される電圧が供給される。すなわち、第1駆動電圧供給回路113の駆動電圧生成回路112において端子P2に得られる電圧に、電圧変換回路111の出力VB(例えば5V)を加えた電圧VP3が、ドライブ回路DD7を介して当該ハイサイドFETQ71のゲート端子に供給される。
【0046】
一方、バックコンバータCH1のハイサイドFETQ11のゲート端子には、第2駆動電圧供給回路114から出力される電圧VP4(=VP5)が供給される。
【0047】
ここで、バックコンバータCH1には駆動電圧として、第2駆動電圧供給回路114において第1駆動電圧供給回路113の電圧VP3、及び電池120の電圧UNREGに応じて生成された電圧が入力される。
(1)電圧UNREGが高電圧側(例えば5.4V〜8.4V)のとき、第2駆動電圧供給回路114において従来と同様に電圧VP3に基づく電圧VP4(=VP5)が生成される。そして、ドライブ回路DD1を介して当該ハイサイドFETQ11のゲート端子に供給される。
(2)電圧UNREGが低電圧側(例えば5.4V未満)のとき、第2駆動電圧供給回路114において電池120の電圧UNREGに依存した電圧が生成され、ドライブ回路DD1を介して当該ハイサイドFETQ11のゲート端子に供給される。
【0048】
このような制御を行うことにより、バックコンバータCH7のゲート−ソース間電圧VGS1は、ゲート耐圧の7Vを越えることがない。なお、バックコンバータCH1に外部DC−DCコンバータ130を使用しないのは、電源効率を下げないためである。
【0049】
図2に、バックコンバータのゲート耐圧が7.0Vのとき、第2駆動電圧供給回路114を使用した場合の電圧UNREGと各部の電圧との関係を表したグラフを示す。電圧UNREGが5.4V以上の場合は従来と同様の特性が得られる。一方、電圧UNREGが5.4V未満の場合はVP5、すなわちハイサイドFETQ11に供給するゲート電圧が減少することによってゲート−ソース間電圧VGS1も減少し、ICのゲート耐圧の7Vを越えないことが理解できる。なお、図5の従来例と比較して図2のグラフに若干の電圧の低下が見られるのは、ダイオードによる電圧降下による。
【0050】
<一実施の形態の具体例>
次に、本発明の一実施の形態の電源装置の具体例について説明する。
図3に、本発明の一実施の形態に係る電源装置の具体的な構成例を示すブロック図を示す。なお、図3において、図1と対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0051】
[電源装置の構成例]
電源装置200において、電池120(図1参照)から供給される電圧Vin(UNREG)は、第1ダイオードD1に対応するショットキーバリアダイオードSBD1のアノード端子及びDC−DCコンバータ130の入力端子に供給される。さらに電圧Vin(UNREG)は、DC−DCコンバータ10のバックコンバータCH1と接続するPVDD1端子に供給される。このPVDD1端子は、コンデンサC11を介して接地端子に接続し、電流Iinが流れる。この例では、既述したように、電池120の電圧Vin(UNREG)は通常状態において例えば7〜8.4Vの間で変動し、瞬間的に4V程度まで降下する場合を想定している。なお、本例において電池120の電圧Vin(UNREG)は、第1のチャンネル(CH1)〜第5のチャンネル(CH5)に共通に供給される。
【0052】
DC−DCコンバータ130の出力端子は、第2ダイオードD2に対応するショットキーバリアダイオードSBD2のアノード端子及びDC−DCコンバータ10のバックコンバータCH7と接続する端子PVDD7と接続している。この端子PVDD7は、コンデンサC71を介して接地端子に接続されている。また、DC−DCコンバータ130の出力端子は、出力端子T130、並びにコンデンサC130を介して接地端子に接続されている。DC−DCコンバータ130に接続しているコイル130Lはチョークコイルである。なお、本例においてDC−DCコンバータ130から出力される電圧VDDは、第6のチャンネル(CH1)及び第7のチャンネル(CH7)に共通に供給されるものであり、例えば7Vに設定している。
【0053】
ショットキーバリアダイオードSBD1,SBD2のカソード端子はそれぞれ、DC−DCコンバータ10の第1駆動電圧供給回路113の駆動電圧生成回路112(図1参照)と接続するDVDD2端子、及び第1駆動電圧供給回路113の電圧変換回路111(図1参照)と接続するAVDD1端子と接続している。このDVDD2端子は、端子P2(図1参照)に対応するものであり、コンデンサC1132を介して接地端子に接続されている。またAVDD1端子は、端子P1(図1参照)に対応するものである。以下、DC−DCコンバータ10の内部構成を説明する。
【0054】
まずバックコンバータCH1について説明する。
バックコンバータCH1のドライブ回路DD1は、第1のドライブ回路と第2のドライブ回路を備える。第1のドライブ回路は、インバータ機能を持つ論理回路INV11と、PチャンネルのMOS−FET MP11とNチャンネルのMOS−FET MN11の組み合わせからなるCMOS回路CM11とで構成される。論理回路INV11およびCMOS回路CM11には、第2駆動電圧供給回路114(LDO)から電圧PVDD8(図1の電圧VP5に対応)が供給され、正電源及び負電源として使用される。論理回路INV11の出力端子は、CMOS回路CM11を構成するMOS−FET MP11とMOS−FET MN11の各ゲート端子と接続している。MOS−FET MP11のドレイン端子とMOS−FET MN11のドレイン端子との接続中点は、ハイサイドFETQ11のゲート端子に接続している。
【0055】
第1のドライブ回路の論理回路INV11に負電圧のパルス波信号が供給されると、論理回路INV11で反転されてCMOS回路CM11へ入力され、CMOS回路CM11から駆動信号がハイサイドFETQ11へ供給される。
【0056】
一方、第2のドライブ回路は、インバータ機能を持つ論理回路INV12と、PチャンネルのMOS−FET MP12とNチャンネルのMOS−FET MN12の組み合わせからなるCMOS回路CM12とで構成される。第2のドライブ回路の基本構成は第1のドライブ回路と同様である。論理回路INV12およびCMOS回路CM12には、回路の動作に必要な電圧VB(例えば5V)が供給され、正電源として使用される。このとき、論理回路INV12は、正電源端子に所定の定電流Ibが流れる。論理回路INV12の出力端子は、CMOS回路CM12を構成しているMOS−FET MP12とMOS−FET MN12の各ゲート端子と接続している。MOS−FET MP12のドレイン端子とMOS−FET MN12のドレイン端子との接続中点は、ローサイドFETQ12のゲート端子に接続している。この例では、論理回路INV12の負電源端子とMOS−FET MN12のソース端子はそれぞれ接地端子と接続されている。
【0057】
第2のドライブ回路の論理回路INV12に正電圧のパルス波信号が供給されると、論理回路INV12で反転されてCMOS回路CM12へ入力され、CMOS回路CM12から駆動信号がローサイドFETQ12へ供給される。
【0058】
DC−DCコンバータ10の端子PVDD1とバックコンバータCH1のハイサイドFETQ11のドレイン端子が接続している。またハイサイドFETQ11のソース端子とローサイドFETQ12のドレイン端子との接続中点は、論理回路INV11の負電源端子及びMOS−FET MN11のソース端子と接続するとともに、DC−DCコンバータ10の端子LX1と接続している。ローサイドFETQ12のソース端子は、DC−DCコンバータ10の端子PGND1を介して接地端子に接続されている。
【0059】
端子LX1は、チョークコイルL1とコンデンサC1の直列接続を含む出力回路を介して接地端子に接続している。チョークコイルL1とコンデンサC1との接続中点には、出力端子T1及び可変抵抗素子R1が接続している。出力端子T1に供給される出力電圧Vo1は、この例では通常1.2Vとなるように設定されている。可変抵抗素子R1の抵抗値を変化させ電流Io1の値を調整することにより、出力回路に流れる電流値を制御している。
【0060】
次に、バックコンバータCH7について説明する。
バックコンバータCH7の内部構成は、上述したバックコンバータCH1の内部構成とほぼ同一であるので、同一部分について詳細な説明を割愛し、異なる部分のみ説明する。
【0061】
バックコンバータCH7のドライブ回路DD7は、ドライブ回路DD1と同様、第1のドライブ回路と第2のドライブ回路を備える。図3に示すように、第1のドライブ回路は、インバータ機能を持つ論理回路INV71と、PチャンネルのMOS−FET MP71とNチャンネルのMOS−FET MN71の組み合わせからなるCMOS回路CM71とで構成される。論理回路INV71およびCMOS回路CM71には、第1駆動電圧供給回路113の駆動電圧生成回路112から電圧DVDD1(図1の電圧VP3に対応)が供給され、正電源及び負電源として使用される。
【0062】
一方、第2のドライブ回路は、インバータ機能を持つ論理回路INV72と、PチャンネルのMOS−FET MP72とNチャンネルのMOS−FET MN72の組み合わせからなるCMOS回路CM72とで構成される。第2のドライブ回路の基本構成は第1のドライブ回路と同様である。論理回路INV72およびCMOS回路CM72には、回路の動作に必要な電圧VB(例えば5V)が供給され、正電源として使用される。このとき、論理回路INV72は、正電源端子に所定の定電流Ibが流れる。
【0063】
バックコンバータCH7のハイサイドFETQ71とローサイドFETQ72は直列接続しており、ハイサイドFETQ71のドレイン端子とDC−DCコンバータ10の端子PVDD7が接続するとともに、ローサイドFETQ72のソース端子がDC−DCコンバータ10の端子PGND7と接続している。ドライブ回路DD7における第1のドライブ回路のCMOS回路CM71からの出力がハイサイドFETQ71のゲート端子に供給され、第2のドライブ回路のCMOS回路CM72からの出力がローサイドFETQ72のゲート端子に供給される。またハイサイドFETQ71のソース端子とローサイドFETQ72のドレイン端子との接続中点は、ドライブ回路DD7の第1のドライブ回路の負電源側と接続するとともに、DC−DCコンバータ10の端子LX7と接続している。ローサイドFETQ72のソース端子は、DC−DCコンバータ10の端子PGND7を介して接地端子に接続されている。
【0064】
端子LX7は、チョークコイルL7とコンデンサC7の直列接続を含む出力回路を介して接地端子に接続している。チョークコイルL7とコンデンサC7との接続中点には、出力端子T7及び可変抵抗素子R7が接続している。出力端子T7に供給される出力電圧Vo7は、この例では通常6.0Vとなるように設定されている。可変抵抗素子R7の抵抗値を変化させ電流Io7の値を調整することにより、出力回路に流れる電流値を制御している。
【0065】
各チャンネル(バックコンバータ)の出力回路は、各ICやモータドライバICなどと接続しており、各チャンネルの出力が電源として供給される。
【0066】
次に、第1駆動電圧供給回路113について説明する。図1に示すように、第1駆動電圧供給回路113は電圧変換回路111と駆動電圧生成回路112から構成されるが、ここでは特に駆動電圧生成回路112について説明する。
【0067】
駆動電圧生成回路112は、ドライブ回路DDCPと、PチャンネルのMOS−FET MPCP1とNチャンネルのMOS−FET MNCP1からなる第1のCMOS回路CMCP1と、PチャンネルのMOS−FET MPCP2とNチャンネルのMOS−FET MNCP2からなる第2のCMOS回路CMCP2とで構成される。第1のCMOS回路CMCP1と第2のCMOS回路CMCP2は、DC−DCコンバータ10の端子CFP、コンデンサC1133、端子CFNを介して接続している。ドライブ回路DDCPは、第1のCMOS回路CMCP1及び第2のCMOS回路CMCP2の双方の駆動を制御する。
【0068】
ドライブ回路DDCPと第1のCMOS回路CMCP1のMOS−FET MPCP1は、DC−DCコンバータ10の端子DVDD1(図1の端子P3に対応)と接続し、端子DVDD1はコンデンサC1131を介して接地端子に接続されている。第1のCMOS回路CMCP1のMOS−FET MNCP1には、電圧AVDD1(図1の電圧VP1に対応)が入力される電圧変換回路111(図1参照)からの電圧VB(例えば5V)が供給されている。また、ドライブ回路DDCPと第2のCMOS回路CMCP2のMOS−FET MPCP2は、DC−DCコンバータ10の端子DVDD2(図1の電圧VP2に対応)と接続している。また、ドライブ回路DDCPと第2のCMOS回路CMCP2のMOS−FET MNCP2は、DC−DCコンバータ10の端子DGND2を介して接地端子に接続されている。
【0069】
このように構成された駆動電圧生成回路112は、端子DVDD2からの出力電圧DVDD2に電圧変換回路111の出力電圧VBを昇圧し、駆動電圧として電圧DVDD1(図1の電圧VP3に対応)を生成する。そして、バックコンバータCH6(図示略)、バックコンバータCH7の各ドライブ回路へ供給する。また、駆動電圧生成回路112は、この電圧DVDD1を第2駆動電圧供給回路114へ出力する。
【0070】
次に、第2駆動電圧供給回路114について説明する。
第2駆動電圧供給回路114は、イネーブル信号監視回路ENB114と、入力電圧監視回路VIN114と、コンパレータCP114と、電源V114と、MOS−FET Q114と、抵抗素子R1141及び抵抗素子R1142から構成されている。
【0071】
イネーブル信号監視回路ENB114は、図示しないマイクロプロセッサから本発明の機能を実現するためのアプリケーションの有効・無効を切り替える切替信号(APPL_SW)が入力される。さらに、バックコンバータCH1が有効であることを示すイネーブル信号(CH1_enb)と、第1駆動電圧供給回路113の駆動電圧生成回路112が有効であることを示すイネーブル信号(CP_enb)が入力される。切替信号(APPL_SW)が“H(有効)”であるとき、イネーブル信号監視回路ENB114から入力電圧監視回路VIN114とコンパレータCP114に出力信号を供給する。
【0072】
入力電圧監視回路VIN114は、入力電圧Vin(UNREG)を監視しており、イネーブル信号監視回路ENB114から信号が入力された場合に、図示しないDAC(Digital to Analog Converter)を介して入力された入力電圧(SS_DAC)をコンパレータCP114の反転入力端子へ供給する。
【0073】
コンパレータCP114は、反転入力端子に入力電圧監視回路VIN114からの出力信号が、また参照用の反転入力端子に電源V114からの電源電圧が、さらに非反転入力端子に比較のための所定値の電圧が入力される。このコンパレータCP114の正電源端子には駆動電圧生成回路112からの出力電圧DVDD1が供給されるとともに、負電源端子にはイネーブル信号監視回路ENB114からの出力信号が供給される。コンパレータCP114は、入力電圧監視回路VIN114から供給された入力電圧(SS_DAC)と所定値の電圧を比較し、比較結果に応じた出力信号、すなわち入力電圧Vin(UNREG)に依存した電圧をMOS−FET Q114のゲート端子に供給する。
【0074】
MOS−FET Q114は、ソース端子に駆動電圧生成回路112からの出力電圧DVDD1が供給され、ドレイン端子は抵抗素子R1141,R1142を介して接地端子に接続している。さらにドレイン端子はDC−DCコンバータ10の端子VLD0(図1の端子P4に対応)に接続している。この端子PVDD4に発生する、入力電圧Vin(UNREG)に依存した電圧PVDD4が、端子PVDD8(図1の端子P5に対応)を介して、バックコンバータCH1のドライブ回路DD1に供給される。この例では、端子PLDOはコンデンサC1142を介して、端子PVDD8はコンデンサC1141を介してそれぞれ接地端子に接続されている。
【0075】
[電源装置の動作例]
ここで、一実施の形態の概要と同様に、7V出力の外部のDC−DCコンバータ130を使用し、バックコンバータCH7において6.0Vを出力し、また、バックコンバータCH1において4.0Vより低い電圧(例えば1.2V)を出力する場合を想定する。ここで、バックコンバータCH1の入力を電池120の電圧UNREG(通常7.0V〜8.4V、瞬間的に4.0Vまで低下する)とし、バックコンバータCH7の入力をDC−DCコンバータ130の出力7Vとする。
【0076】
このとき、バックコンバータCH7のハイサイドFETQ71のゲート端子には、ショットキーバリアダイオードSBD1,SBD2によって、DC−DCコンバータ130の出力7Vと電池120の電圧UNREGの高い方の電圧を基に生成される電圧が供給される。すなわち、第1駆動電圧供給回路113の駆動電圧生成回路112において端子DVDD2(P2)に得られる電圧に電圧変換回路111の出力VB(例えば5V)を加えた電圧DVDD1(VP3)が、ドライブ回路DD7を介して当該ハイサイドFETQ71のゲート端子に供給される。
【0077】
一方、バックコンバータCH1のハイサイドFETQ11のゲート端子には、第2駆動電圧供給回路114から出力される電圧PVDD4(=PVDD8)(P5)が供給される。
【0078】
すなわち、バックコンバータCH1には駆動電圧として、第2駆動電圧供給回路114において第1駆動電圧供給回路113の電圧DVDD1(VP3)、及び電池120の電圧UNREGに応じて生成された電圧が入力される。
【0079】
(1)電圧UNREGが高電圧側(例えば5.4V〜8.4V)のとき、第2駆動電圧供給回路114において従来と同様に電圧DVDD1(VP3)に基づく電圧PVDD4(=PVDD8)(VP5)が生成される。そして、ドライブ回路DD1を介して当該ハイサイドFETQ11のゲート端子に供給される。
(2)電圧UNREGが低電圧側(例えば5.4V未満)のとき、第2駆動電圧供給回路114において電池120の電圧UNREG(SS_DAC)に依存した電圧PVDD4(=PVDD8)(P5)が生成される。すなわち、第2駆動電圧供給回路114の入力電圧監視回路VIN114に電池120からの信号(SS_DAC)が入力されるとともに、回路電源として電池120の電圧UNREGに基づいて生成された電圧DVDD1が入力される。そして、これらの入力に基づいて第2駆動電圧供給回路114が電圧UNREGの値に対応した電圧PVDD4を生成する。この電圧PVDD4がドライブ回路DD1を介して当該ハイサイドFETQ11のゲート端子に供給される。
【0080】
このような制御を行うことにより、図2に示すように、バックコンバータCH1のゲート−ソース間電圧VGS1=PVDD8−UNREG=10−4=6V程度となり、ゲート耐圧の7Vを越えることがない。
【0081】
上述した実施の形態によれば、低電圧出力のバックコンバータにおいてICプロセスにおける電界効果トランジスタのゲート耐圧を超えることを防止できるので、ICの信頼性劣化、破壊を避けることができる。また、ICの製品寿命が縮まるのを防ぐことができる。
【0082】
以上に述べた実施の形態は、本発明を実施するための好適な形態の具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されている。ただし、本発明は、以上の実施の形態の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限られるものではない。例えば、以上の説明で挙げた処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また、説明に用いた各図における配置関係等も実施の形態の一例を示す概略的なものである。したがって、本発明は、上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…電源装置、10…DC−DCコンバータ、111…電圧変換回路、112…駆動電圧生成回路、113…第1駆動電圧供給回路、114…第2駆動電圧供給回路、120…電池(第1電源部)、130…DC−DCコンバータ(第2電源部)、UNREG…電圧、D1,D2…ダイオード、CH1,CH7…バックコンバータ、Q11,Q12,Q71,Q72…電界効果トランジスタ、DD1,DD7…ドライブ回路、P1,P2,P3,P4,P5…端子、VB,VP1,VP2,VP3,VP4,VP5…電圧、L1,L7…チョークコイル、C1,C7…容量素子,T1,T7…出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源部が出力する直流の第1電源電圧を降圧して第1出力電圧を出力する第1電源回路と、
第2電源部が出力する直流の第2電源電圧を降圧し、前記第1電源電圧より高い第2出力電圧を出力する第2電源回路と、
前記第1電源電圧または前記第2電源電圧のうち高い方の電源電圧を基に、当該電源電圧より所定の値だけ高い電圧を生成し、前記第2電源回路に駆動電圧として供給する第1駆動電圧供給回路と、
前記第1駆動電圧供給回路から供給される駆動電圧及び前記第1電源電圧の変動に応じた電圧を生成し、前記第1電源回路に駆動電圧として供給する第2駆動電圧供給回路と、を含む
電源装置。
【請求項2】
前記第1電源回路は、
前記第1電源電圧が供給される、2つの電界効果トランジスタの直列接続からなるスイッチング回路と、
前記スイッチング回路のハイサイド電界効果トランジスタのゲート駆動電圧として前記第2駆動電圧供給回路から供給される駆動電圧を利用し、前記2つの電界効果トランジスタの接続中点から出力電圧を出力すべく前記スイッチング回路のスイッチング動作を制御するドライブ回路と、を備える
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1電源電圧は、前記第1電源部である電池から出力される電圧である
請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第2電源部として、前記第1電源電圧を前記第2電源電圧に変換して出力するDC−DCコンバータ、を更に備える
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第1駆動電圧生成回路に対し、前記第1電源部から第1整流素子を介して前記第1電源電圧が供給され、前記第2電源部から第2整流素子を介して前記第2電源電圧が供給される
請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第1駆動電圧供給回路は、
前記第1電源電圧または前記第2電源電圧のうち高い方の電源電圧を、所定値の基準電圧に変換する電源変換回路と、
前記第1電源電圧または前記第2電源電圧のうち高い方の電源電圧に、前記基準電圧を重畳して前記第1駆動電圧を生成する駆動電圧生成回路と、を備える
請求項4に記載の電源装置。
【請求項7】
第1電源部が出力する直流の第1電源電圧を降圧して第1出力電圧を出力する第1電源回路と、第2電源部が出力する直流の第2電源電圧を降圧し、前記第1電源電圧より高い第2出力電圧を出力する第2電源回路と、を有する電源装置の駆動電圧供給方法であって、
前記第1電源電圧または前記第2電源電圧のうち高い方の電源電圧を基に、当該電源電圧より所定の値だけ高い電圧を生成し、前記第2電源回路に駆動電圧として供給する第1駆動電圧供給ステップと、
前記第1駆動電圧供給ステップで供給される駆動電圧及び前記第1電源電圧の変動に応じた電圧を生成し、前記第1電源回路に駆動電圧として供給する第2駆動電圧供給ステップと、を含む
電源装置の駆動電圧供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−226939(P2010−226939A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110016(P2009−110016)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】