説明

電源部着脱型増幅器

【課題】ケース内における電源部の収納スペースを極限まで小さくすることができ、ケースの外形寸法を最小化してなるコンパクトな電源部着脱型増幅器を提供する。
【解決手段】ケース2と、ケース2内に収納された増幅部3と、ケース2に対して着脱自在な電源部4とによって構成され、ケース2は、ケース本体21とカバー22とによって構成され、電源部4は、電源コード41、電源出力端子42、及び、信号入出力端子43を有し、電源出力端子42及び信号入出力端子43の突出方向を、電源コード41の突出方向と同じ方向から、90°異なる方向へ変更できるように構成され、ケース本体21の底部21cに、電源部4から出力される電力を増幅部3に入力するための受電端子24が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波放送、衛星放送、或いは、CATV等の受信システムにおいて用いられる増幅器に関し、特に、ケースに対し電源部が着脱可能に構成された電源部着脱型増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅や集合住宅の放送受信システムにおいて設置される増幅器には、電源部を有するタイプと、電源部を有していないタイプのものがある。電源部を有するタイプの増幅器は、主に設置場所において商用交流電源を確保できる場合に使用され、電源を確保できない場合には、電源部を有していないタイプのものが使用されている。電源部を有していないタイプの増幅器を使用する場合、その駆動電力は、商用交流電源を確保できる位置から、同軸ケーブル(増幅器からテレビジョン受像機等へ信号を伝送するケーブル)を介して供給されることになる。
【0003】
また、いずれの場合でも対応できるように、電源部を着脱可能に構成し、増幅器の設置場所において電源を確保できる場合には、電源部をケース内に収納した状態で使用し、電源を確保できない場合には、電源部をケースから取り出して、電源を確保できる位置に設置し、同軸ケーブルを介して増幅器へ電力を供給できるようにした増幅器(電源部着脱型増幅器)も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−341396号公報
【特許文献2】特開2003−289188号公報
【特許文献3】特開2007−208272号公報
【特許文献4】特開2008−219365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源部着脱型増幅器において、電源部をケースから取り出して使用する場合(増幅器の設置場所において電源を確保できない場合)、信号の伝送及び電力の供給のため、電源部には同軸ケーブルが接続されることになる。従って、電源部着脱型増幅器の電源部は、筐体から同軸ケーブル用の信号入出力端子が突出した状態となっている。
【0006】
尚、従来の電源部着脱型増幅器の殆どのものは、電源部の信号入出力端子の突出方向が、電源コードの突出方向と一致している。それらが異なる方向に突出していると、接続される同軸ケーブルや電源コードの取り回しが悪くなり、また、電源部を壁面等に取り付ける場合等において問題が生じてしまうためである。
【0007】
但し、電源部の信号入出力端子の突出方向が、電源コードの突出方向と一致している場合、電源部をケース内に収納する場合、側方へ突出した信号入出力端子を収めるための余分なスペースをケース内に確保しなければならず、ケース内空間の省スペース化を図り、ケースを小型化しようとする観点からは問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術における問題を解決すべくなされたものであって、ケース内における電源部の収納スペースを極限まで小さくすることができ、ケースの外形寸法を最小化してなるコンパクトな電源部着脱型増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電源部着脱型増幅器は、ケースと、ケース内に収納された増幅部と、ケースに対して着脱自在な電源部とによって構成され、ケースは、ケース本体とカバーとによって構成され、電源部は、電源コード、電源出力端子、及び、信号入出力端子を有し、電源出力端子及び信号入出力端子の突出方向を、電源コードの突出方向と同じ方向から、約90°異なる方向へ変更できるように構成されていることを特徴としている。尚、ここに言う「約90°」とは、90°を中心としてその上下15°の範囲、つまり、75°〜105°の範囲を意味する。
【0010】
尚、この電源部着脱型増幅器においては、ケース本体の底部に、電源部から出力される電力を増幅部に入力するための受電端子が配置され、電源部をケース本体内に収納した際に、電源部の筐体からケース本体の底部側へ向かって突出させた状態の電源出力端子が嵌合し、電気的に接続されるように構成されていることが好ましく、また、ケース本体の底部の裏面側に、所定の高さ寸法にて突出する膨出部が形成され、この中に受電端子が配置されていることが好ましい。更に、電源コードのうち、ケース内に収納される部分が、電源部から、ケース本体に形成された電源コード用開口部まで直線的に配置されるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電源部着脱型増幅器は、電源部の電源出力端子等の突出方向を変更することができ、電源部をケース本体から取り出して使用する場合には、電源出力端子等の突出方向を、電源コードの突出方向と同じ方向となるようにして、接続される同軸ケーブルや電源コードの取り回しが悪くなるという問題を好適に回避でき、一方、電源部をケース本体に収納して使用する場合には、ケース本体の底部に配置した受電端子と嵌合するように、電源部の筐体からケース本体の底部側へ突出させた状態とすることができる。従って、電源出力端子等を収納するためのスペースを、ケース本体の底部の裏面側へ向かって延長するというレイアウトが可能となり、ケース本体の内部空間の省スペース化を図ることができ、ケースの外形寸法を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る増幅器1の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る増幅器1において、電源部4を収納した状態のケース2及び増幅部3の平面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る増幅器1において、電源部4を取り外した状態のケース2及び増幅部3の平面図である。
【図4】図4は、図1に示した電源部4の斜視図である。
【図5】図5は、図1に示した電源部4の斜視図である。
【図6】図6は、図1に示した増幅器1の下方側からの視点による斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明「電源部着脱型増幅器」の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る増幅器1(第1の実施形態)の斜視図である。この増幅器1は、基本的には、ケース2と、ケース2内に収納された増幅部3と、ケース2に対して着脱自在な電源部4とによって構成されている。
【0014】
ケース2は、ケース本体21と、カバー22とによって構成されている。ケース本体21は、矩形状の底部21cと、側部(底部21cの周縁を取り囲むように立設させた四つの連続した側部)とによって箱形に形成されている。尚、この増幅器1は、図1においては、ケース本体21の底部21cが下方側となる向きで示されているが、実際に使用される場合には、底部21cが垂直となるように、また、四つの側部のうち、端子側側部21aが下方側となる向きで、建物の壁面等に対し底部21c側を当接させて取り付け、固定される。
【0015】
カバー22は、一端側がケース本体21に対して枢着されており、ケース本体21内部を開放した状態(図1に示す状態)から、ケース本体21を覆って内部を遮蔽する状態まで、自在に開閉するように構成されている。
【0016】
増幅部3は、入力された信号を増幅して出力するものであり、複数の信号入出力端子31を有している。図示されているように、増幅部3は、それらの信号入出力端子31を、ケース本体21の端子側側部21aから外側へ突出させた状態で、ケース本体21内に収納されている。
【0017】
電源部4は、増幅部3へ電力を供給するためのものであり、電源コード41、電源出力端子42、及び、信号入出力端子43を有しており、ケース2に対し着脱可能なように構成されている。より具体的には、図1に示されているように、ケース本体21内には、電源部4を収納するためのスペース23が確保されており、電源部4は、このスペース23内に収納した状態で使用することもできるし(図2参照)、また、ケース本体21内から取り出して、ケース2及び電源部4から離れた位置に設置して使用することもできる。
【0018】
尚、電源部4をケース本体21内から取り出して使用する場合、電源を確保できる位置に設置し、電源コード41の先端のプラグ(図示せず)を電源コンセントに差し込むとともに、電源出力端子42を、同軸ケーブルを介して増幅部3の信号入出力端子31と接続し、更に、信号入出力端子43を、同軸ケーブルを介してテレビジョン受像機等に接続する。この場合、下り放送信号は、増幅部3の信号入出力端子31から出力され、同軸ケーブルによって伝送され、電源出力端子42から電源部4に入力される。そして、信号入出力端子43から出力され、同軸ケーブルによって伝送され、テレビジョン受像機等に入力される。上り信号は、その同一の経路を反対向きに入出力され、伝送される。また、電力は、電源部4の電源出力端子42から出力され、信号入出力端子31から増幅部3に供給される。
【0019】
図3は、電源部4を取り外した状態のケース2及び増幅部3の平面図である。図示されているように、ケース本体21の底面(底部21cの内側の面)には、受電端子24が設けられている。この受電端子24は、増幅部3に接続されており、図2に示すように電源部4をケース本体21内に収納して使用する場合において、電源部4から出力される電力を増幅部3に入力するためのものである。このため受電端子24は、電源部4をケース本体21内に収納した際に、電源部4の電源出力端子42が嵌合し、電気的に接続される位置に設けられている。
【0020】
図4は、電源部4の斜視図である。この図においては、電源出力端子42及び信号入出力端子43と、電源コード41とが、90°異なる方向へ突出した状態となっている。より具体的には、電源コード41は、電源部4の後方側面45からその垂直方向へ突出し、一方、電源出力端子42及び信号入出力端子43は、後方側面45と90°の角度をなす底面からその垂直方向へ突出している。
【0021】
これは、電源出力端子42及び信号入出力端子43を本体ケース21の底部21cの方向へ突出させた向きで、電源部4をケース本体21に収納できるようにして、ケース本体21の内部スペースにおいて、電源部4の信号入出力端子43を収めるための余分なスペースを排するとともに、電源コード41を効率よく収納することによって、ケース2の外形寸法(幅寸法)を極力小さくできるようにするためである。
【0022】
従来の電源部着脱型増幅器のように、電源部の信号入出力端子を側方へ突出させた向きでケース内に収容する構成とした場合、ケースの外形寸法を側方(底部21cと平行な方向)へ向かって延長することによって、電源部の信号入出力端子を収めるスペースを確保しなければならず、その分だけケースの外形寸法を大きくせざるを得ないが、本実施形態の増幅器1においては、電源部4の電源出力端子42及び信号入出力端子43を収納するためのスペースを、ケース本体21の底部21cの裏面側へ向かって延長することによって確保しているため、ケース2の外形寸法をその分だけ小さくすることができる。
【0023】
尚、本実施形態においては、図6に示すように、ケース本体21の底部21cの裏面側に、所定の高さ寸法にて突出する膨出部21dが形成されており、この中に受電端子24(図3参照)が配置されている。そして、この膨出部21dの突出寸法は、ケース本体21の底部21cの裏面側に突出形成されている取付固定部21e(増幅器1を建物の壁面等へ取り付けるための部材)の突出寸法以下に設定されている。従って、ケース本体21の厚さ寸法を大きくすることなく、電源部4の電源出力端子42及び受電端子24をケース本体21内に収納することができ、ケース2の外形寸法を最小化することができる。
【0024】
一方、電源コード41については、ケース2内の防水を図るべく、ケース2の下方側からケース2の外側へ延長されるように構成されるべきである。つまり、電源コード41をケース2内から外側へ通すための開口部(電源コード用開口部21b)は、設置時において下方側となる端子側側部21aに形成されることが望ましい(図2参照)。また、電源コード41のうち、ケース2内に収納される部分は、電源部4から電源コード用開口部21bまで直線的に配置されることが望ましい。このため、本実施形態においては、電源部4をケース本体21内に収納した場合において、電源部4の筐体のうち、電源コード用開口部21bが形成されている端子側側部21aに最も近い後方側面45からその垂直方向へ電源コード41が突出するように構成されている。
【0025】
その結果、電源部4は、図4に示すように電源コード41と、電源出力端子42及び信号入出力端子43とが、90°異なる方向へ突出することになるが、電源部4をケース2から取り出して使用する場合には、電源コード41と、電源出力端子42及び信号入出力端子43の突出方向が異なっていると、接続される同軸ケーブルや電源コード41の取り回しが悪くなり、また、電源部4を壁面等に取り付ける場合等において問題がある。
【0026】
そこで、本実施形態においては、端子ベース部44を回動させることによって、電源出力端子42及び信号入出力端子43の突出方向を変更できるようになっている。より詳細には、図4に示すように、電源出力端子42及び信号入出力端子43が、電源部4の後方側面45と90°の角度をなす底面の垂直方向へ突出した状態から、図5に示すように、後方側面45の垂直方向(電源コード41の突出方向と同じ方向)へ突出した状態に変更でき、またその反対に、図5に示すような状態から、図4に示す状態に変更できるようになっている。
【0027】
従って、電源部4をケース本体21内に収納して使用する場合には、電源出力端子42等をケース本体21の底部21cの方向へ突出させることにより、受電端子24に嵌合させることができ、電源部4をケース本体21から取り出して使用する場合には、電源出力端子42等を、電源コード41と同じ方向へ突出させることにより、接続される同軸ケーブルや電源コード41の取り回しが悪くなる等の問題を好適に回避することができる。
【符号の説明】
【0028】
1:増幅器、
2:ケース、
3:増幅部、
4:電源部、
21:ケース本体、
21a:端子側側部、
21b:電源コード用開口部、
21c:底部、
21d:膨出部、
21e:取付固定部、
22:カバー、
23:スペース、
24:受電端子、
31:信号入出力端子、
41:電源コード、
42:電源出力端子、
43:信号入出力端子、
44:端子ベース部、
45:後方側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、当該ケース内に収納された増幅部と、前記ケースに対して着脱自在な電源部とによって構成される電源部着脱型増幅器において、
前記ケースは、ケース本体とカバーとによって構成され、
前記電源部は、電源コード、電源出力端子、及び、信号入出力端子を有し、当該電源出力端子及び信号入出力端子の突出方向を、前記電源コードの突出方向と同じ方向から、約90°異なる方向へ変更できるように構成されていることを特徴とする電源部着脱型増幅器。
【請求項2】
前記ケース本体の底部に、前記電源部から出力される電力を前記増幅部に入力するための受電端子が配置され、前記電源部を前記ケース本体内に収納した際に、前記電源部の筐体から前記ケース本体の底部側へ向かって突出させた状態の前記電源出力端子が嵌合し、電気的に接続されるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電源部着脱型増幅器。
【請求項3】
前記ケース本体の底部の裏面側に、所定の高さ寸法にて突出する膨出部が形成され、この中に前記受電端子が配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の電源部着脱型増幅器。
【請求項4】
前記電源コードのうち、前記ケース内に収納される部分が、前記電源部から、前記ケース本体に形成された電源コード用開口部まで直線的に配置されるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電源部着脱型増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−254211(P2011−254211A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125726(P2010−125726)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000221270)東芝テクノネットワーク株式会社 (7)
【Fターム(参考)】