説明

電界放出素子用のアノードパネル及びそれを備えた電界放出素子

【課題】電界放出素子用のアノードパネルを提供する。
【解決手段】基板121と、基板121上に形成されるアノード電極123と、アノード電極123上に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の開口部125aが形成されたブラックマトリックス125と、各ピクセルに対応する開口部125a及び開口部125aの間のブラックマトリックス125を覆うように形成される所定色の蛍光体層127R,127G,127Bと、蛍光体層127R,127G,127B上に形成される反射層129と、を備えるアノードパネルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界放出素子(Field Emission Device:FED)用のアノードパネル及びそれを備えたFEDに係り、さらに詳細には、輝度の均一度を向上させうるアノードパネル及びそれを備えたFEDに関する。
【背景技術】
【0002】
FEDは、カソード電極上に形成されたエミッタから放出された電子を、アノード電極上に形成された蛍光体と衝突させることによって発光させる装置である。従来には、FEDのエミッタとしてモリブデン(Mo)のような金属からなるマイクロチップが使用されたが、最近には、電子放出特性に優れた炭素ナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)が主に使用されている。
【0003】
このようなFEDは、低い消費電力、速い応答速度、広い視野角、高い解像度など、多くの長所を有しているので、自動車ナビゲーション装置、PC(Personal Computer)、医療機器、HDTV(High Definition Television)のような分野でディスプレイ装置として使用され、それ以外に液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)のバックライトユニットとしても利用されうる。
【0004】
図1には、一般的なFEDの断面が概略的に示されている。図2は、図1に示すアノードパネルの底面の一部を示す図面であり、図3は、図1に示すアノードパネルの要部を拡大して示す断面図である。
【0005】
図1に示すように、FEDは、所定間隔離隔されて相互に対向するように配置されるカソードパネル10及びアノードパネル20を備える。カソードパネル10は下部基板11と、下部基板11の上面に形成されるカソード電極13と、下部基板11上にカソード電極13を覆うように形成される絶縁層15と、絶縁層15の上面に形成されるゲート電極17と、を備える。ここで、絶縁層15には、カソード電極13を露出させる複数のエミッタホール18が形成されており、このエミッタホール18のそれぞれの内部には、電子放出原であるエミッタ19が設けられている。ここで、複数のエミッタ19が一つのピクセル30R,30G,30Bに対応するように形成される。
【0006】
そして、アノードパネル20は、上部基板21と、上部基板21の下面に設けられるアノード電極23と、アノード電極23の下面に設けられるものであって、アノード電極23を露出させる複数の開口部25aが形成されたブラックマトリックス25と、開口部25aを満たすように形成される所定色、例えば、赤色R、緑色G、及び青色Bの蛍光体層27R,27G,27Bと、蛍光体層27R、27G,27Bを覆うように形成される反射層29と、を備える。ここで、アノード電極23は、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明な導電性物質からなりうる。ブラックマトリックス25は、ピクセル30R,30G,30Bの間に形成されて、コントラストを向上させるためのものであって、クロム(Cr)またはクロム酸化物からなりうる。そして、このようなブラックマトリックス25には、図2に示すように、一つの開口部25aが一つのピクセル30aに対応するように形成されている。反射層29は、光反射率に優れた金属、例えば、アルミニウム(Al)からなりうる。
【0007】
上記のような構造のFEDで、エミッタ19から放出される電子は、図3に示すように、アノードパネル10に形成された蛍光体層27R,27G,27Bの蛍光体粒子27’と衝突する。このとき、蛍光体粒子27’から可視光が発生し、このように発生した可視光は、上部基板21を透過して上方向に進む。一方、このとき、下部基板11側に向かう可視光は、反射層29によって反射されて、上部基板21側に向かう。
【0008】
しかし、上記のような構造のFEDでは、各エミッタ19から放出される電子が不均一になれば、この電子によって蛍光体層27R,27G,27Bから発生する可視光も不均一になり、その結果、画像を形成する各色のピクセル30R,30G,30B内で輝度の均一度が低下するという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、各ピクセル内で輝度の均一度を向上させうるアノードパネル及びそれを備えたFEDを提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を解決するために、本発明の具現例によれば、基板と、前記基板上に形成されるアノード電極と、前記アノード電極上に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の開口部が形成されたブラックマトリックスと、各ピクセルに対応する開口部及び前記開口部の間のブラックマトリックスを覆うように形成される所定色の蛍光体層と、前記蛍光体層上に形成される反射層と、を備えるFED用アノードパネルが開示される。
【0011】
ここで、前記蛍光体層から発生した可視光の一部は、前記ブラックマトリックスと前記反射層との間で多重反射された後、前記開口部を通じて前記アノード電極及び基板を透過して外部に進む。
【0012】
前記アノード電極は、ITOのような透明な導電性物質からなり、前記ブラックマトリックスは、CrまたはCr酸化物からなりうる。そして、前記反射層は、Alからなりうる。
【0013】
本発明の他の具現例によれば、所定間隔離隔されて相互に対向するように配置されるアノードパネル及びカソードパネルを備える電界放出素子であって、前記アノードパネルは、第1基板と、前記第1基板上に形成されるアノード電極と、前記アノード電極上に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の開口部が形成されたブラックマトリックスと、各ピクセルに対応する開口部及び前記開口部の間のブラックマトリックスを覆うように形成される所定色の蛍光体層と、前記蛍光体層上に形成される反射層と、を備えるFEDが開示される。
【0014】
ここで、前記カソードパネルは、第2基板と、前記第2基板上に形成されるカソード電極と、前記第2基板上に前記カソード電極を覆うように形成されるものであって、前記カソード電極を露出させる複数のエミッタホールが形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されるゲート電極と、前記エミッタホールのそれぞれの内部に形成されるエミッタと、を備えうる。
【0015】
本発明のさらに他の具現例によれば、基板と、前記基板の一の面に形成されるアノード電極と、前記アノード電極上に形成されるものであって、複数の第1開口部が形成されたブラックマトリックスと、前記第1開口部のそれぞれを覆うように形成される所定色の蛍光体層と、前記蛍光体層上に形成される第1反射層と、前記基板の他の面に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の第2開口部が形成された第2反射層と、を備えるFED用アノードパネルが開示される。
【0016】
ここで、一つのピクセルに対応して一つの前記第1開口部が形成されうる。
【0017】
前記蛍光体層から発生した可視光の一部は、前記第1反射層と前記第2反射層との間で多重反射されて前記アノード電極及び基板を透過した後、前記第2開口部を通じて外部に進む。
【0018】
前記第1反射層は、Alからなりうる。そして、前記第2反射層は、ブラックマトリックスと同じ物質またはAlからなりうる。
【0019】
本発明のさらに他の具現例によれば、所定間隔離隔されて相互に対向するように配置されるアノードパネル及びカソードパネルを備える電界放出素子であって、前記アノードパネルは、第1基板と、前記第1基板の一の面に形成されるアノード電極と、前記アノード電極上に形成されるものであって、複数の第1開口部が形成されたブラックマトリックスと、前記第1開口部のそれぞれを覆うように形成される所定色の蛍光体層と、前記蛍光体層上に形成される第1反射層と、前記第1基板の他の面に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の第2開口部が形成された第2反射層と、を備えるFEDが開示される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、エミッタから放出される電子が不均一な場合にも、アノードパネル内で蛍光体層から発生した可視光を多重反射させることによって、各ピクセル内での輝度均一度を向上させうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して、本発明に係る望ましい実施形態を詳細に説明する。図面で同じ参照符号は、同じ構成要素を示し、各構成要素のサイズは、説明の明瞭性のために誇張されて示されている。一方、以下で説明される本発明に係るFEDは、多様な分野でディスプレイ装置として使用され、その他にも、液晶表示装置のバックライトユニットにも応用されうる。
【0022】
図4は、本発明の一実施形態に係るFEDの断面を概略的に示す図面である。そして、図5は、図4に示すアノードパネルの底面の一部を示す図面であり、図6は、図4に示すアノードパネルの要部を拡大して示す図面である。
【0023】
図4〜図6に示すように、本発明の一実施形態に係るFEDは、所定間隔離隔されて相互に対向するように配置されるカソードパネル110及びアノードパネル120を備える。ここで、カソードパネル110とアノードパネル120との間には、それらの間隔を一定に維持するためのスペーサ(図示せず)が設けられうる。
【0024】
カソードパネル110は、下部基板(第2基板)111と、下部基板111上に順次に形成されるカソード電極113と、絶縁層115と、ゲート電極117とを備える。下部基板111としては、一般的に透明なガラス基板が使用され、その他にも、プラスチック基板が使用されうる。カソード電極113は、下部基板111の上面に所定形態、例えば、ストライプ状に形成されうる。このようなカソード電極113は、導電性金属からなり、その他にも、透明な導電性物質、例えば、ITOなどからなりうる。
【0025】
下部基板111上には、カソード電極113を覆うように、絶縁層115が形成されている。そして、絶縁層115には、カソード電極113を露出させる複数のエミッタホール118が形成されている。ここで、エミッタホール118のそれぞれの内部には、電子放出原であるエミッタ119が形成されている。このとき、複数のエミッタ119が一つのピクセル130R,130G,130Bに対応して形成されうる。エミッタ119は、電子放出特性に優れたCNTからなりうる。しかし、これに限定されるものではなく、エミッタ119は、その他にも多様な物質からなりうる。
【0026】
絶縁層115の上面には、電子抽出のためのゲート電極117が形成されている。ここで、ゲート電極117は、カソード電極113と交差するように形成されうる。このようなゲート電極117は、導電性金属からなり、その他にも透明な導電性物質、例えば、ITOなどからなりうる。一方、図面には示されていないが、カソード電極113の上面または下面には、エミッタ119から放出される電流をさらに均一にするために、抵抗層がさらに形成されてもよい。
【0027】
アノードパネル120は、下部基板111と所定間隔離隔されるように配置された上部基板(第1基板)121と、上部基板121上に順次に形成されるアノード電極123と、ブラックマトリックス125と、蛍光体層127R,127G,127Bと、反射層129と、を備える。上部基板121としては、透明なガラス基板が使用され、その他にも透明なプラスチック基板が使用されうる。そして、上部基板121の下面には、アノード電極123が形成される。ここで、アノード電極123は、上部基板121の下面全体を覆うように形成されうる。このようなアノード電極123は、後述する蛍光体層127R,127G,127Bから発生した可視光が透過できるように透明な導電性物質、例えば、ITOなどからなりうる。
【0028】
アノード電極123の下面には、ブラックマトリックス125が形成されており、このブラックマトリックス125には、複数の開口部125aがアノード電極123を露出させるように形成されている。一方、従来には、ブラックマトリックスに、一つのピクセルに対応して一つの開口部が形成されたが、本実施形態では、一つのピクセル130R,130G,130Bに対応して複数の開口部125aが形成される。このような開口部125aが形成されたブラックマトリックス125は、コントラストを向上させるだけでなく、後述するように、蛍光体層127R,127G,127Bから発生した可視光を反射させて、各ピクセル130R,130G,130B内の輝度均一度を向上させる役割を果たす。ブラックマトリックス125は、例えば、CrまたはCr酸化物からなりうる。一方、図5には、ブラックマトリックス125に開口部125aのそれぞれが円形に形成された場合が示されているが、図7に示すように、開口部125bのそれぞれが、楕円形に形成されてもよく、その他にも多様な形状の開口部が形成されうる。
【0029】
ブラックマトリックス125の下部には、所定色、例えば、R、G、及びBの蛍光体層127R,127G,127Bが形成される。ここで、一つのピクセル130R,130G,130Bを構成する蛍光体層127R,127G,127Bは、各ピクセル130R,130G,130Bに対応する開口部125a、及びこの開口部125aの間のブラックマトリックス125を覆うように形成される。このような蛍光体層127R,127G,127Bは、カソードパネル110に設けられたエミッタ119から放出された電子が衝突することによって、ピクセル130R,130G,130B毎に所定色の可視光を発生させる。そして、蛍光体層127R,127G,127Bの下面には、反射層129が形成されている。ここで、反射層129は、蛍光体層127R,127G,127Bから発生した可視光を反射させて、上部基板121側に向かわせる役割を果たす。このような反射層121は、光反射率の高い物質、例えば、アルミニウム(Al)からなりうる。
【0030】
上記のような構造のFEDで、カソード電極113、ゲート電極117、及びアノード電極123にそれぞれ所定電圧が印加されれば、カソード電極113とゲート電極117との間に形成された電界によって、エミッタ119から電子が放出されてアノード電極123側に向かう。次いで、アノード電極123側に向かう電子は、図6に示すように、反射層129を透過して蛍光体層127R,127G,127Bと衝突し、これにより、蛍光体粒子127’から所定色の可視光が放出される。図6で参照符号127’は、便宜のために誇張されて拡大された蛍光体粒子を示す。
【0031】
次いで、蛍光体層127R,127G,127Bから発生した可視光の一部は、直接的にアノード電極123及び上部基板121を透過して外部に進むか、または反射層129によって一度反射された後、アノード電極123及び上部基板121を透過して外部に進む。そして、可視光の残りの一部は、図6に示すように、ブラックマトリックス125及び反射層129によって多重反射された後、ブラックマトリックス125に形成された開口部125aを通じてアノード電極123及び上部基板121を透過して外部に進む。このように、蛍光体層127R,127G,127Bから発生した可視光が、ブラックマトリックス125と反射層129との間で多重反射された後に外部に進めば、各ピクセル130R,130G,130B内での輝度均一度が従来よりも向上しうる。
【0032】
図8A及び図8Bは、それぞれ一般的なFED及び本発明の一実施形態に係るFEDを示すイメージである。図8Bは、ブラックマトリックスに一つのピクセル当り二つの開口部が形成された本発明の一実施形態に係るFEDを示すイメージである。図8A及び図8Bに示すように、ブラックマトリックスに一つのピクセル当り一つの開口部が形成された一般的なFEDに比べて、ブラックマトリックスに一つのピクセル当り複数の開口部が形成された本発明の実施形態に係るFEDで各ピクセル内での輝度均一度が向上したということが分かる。
【0033】
図9は、本発明の他の実施形態に係るFEDの断面を概略的に示す図面である。そして、図10は、図9に示すアノードパネルの上面の一部を示し図面であり、図11は、図9に示すアノードパネルの要部を拡大して示す図面である。以下では、前述の実施形態と異なる点を中心として説明する。
【0034】
図9〜図11に示すように、本発明の他の実施形態に係るFEDは、所定間隔離隔されて相互に対向するように配置されるカソードパネル210及びアノードパネル220を備える。カソードパネル210は、下部基板211と、下部基板211上に順次に形成されるカソード電極213と、絶縁層215と、ゲート電極217と、を備える。
【0035】
下部基板211の上面には、カソード電極213が所定形状に形成されており、このカソード電極213を覆うように絶縁層215が形成されている。絶縁層215には、カソード電極213を露出させる複数のエミッタホール218が形成されており、このエミッタホール218のそれぞれの内部には、電子放出原であるエミッタ219が形成されている。このとき、複数のエミッタ219が一つのピクセル230R,230G,230Bに対応して形成されうる。エミッタ219は、電子放出特性に優れたCNTからなりうる。しかし、これに限定されるものではなく、エミッタ219は、その他にも多様な物質からなりうる。絶縁層215の上面には、電子抽出のためのゲート電極217が所定形状に形成されている。一方、図面には示されていないが、カソード電極213の上面または下面には、エミッタ219から放出される電流をさらに均一にするために、抵抗層がさらに形成されてもよい。
【0036】
アノードパネル220は、上部基板221、アノード電極223、ブラックマトリックス225、蛍光体層227R,227G,227B、第1反射層229、及び第2反射層226を備える。上部基板221は、下部基板211と所定間隔離隔されて対向するように配置される。上部基板221としては、透明なガラス基板が使用されてもよく、その他にも透明なプラスチック基板が使用されうる。そして、上部基板221の下面には、アノード電極223が形成される。ここで、アノード電極223は、上部基板221の下面全体を覆うように形成されうる。このようなアノード電極223は、透明な導電性物質、例えば、ITOなどからなりうる。
【0037】
アノード電極223の下面には、コントラストの向上のためのブラックマトリックス225が形成されており、このブラックマトリックス225には、アノード電極223を露出させる複数の第1開口部225aが形成されている。ここで、第1開口部225aのそれぞれが一つのピクセル230R,230G,230Bに対応する。このようなブラックマトリックス225は、例えば、CrまたはCr酸化物からなりうる。
【0038】
ブラックマトリックス225の第1開口部225aには、所定色、例えば、R、G、及びBの蛍光体層227R,227G,227Bが順次に満たされる。そして、蛍光体層227R,227G,227Bの下面には、第1反射層229が形成されている。ここで、第1反射層229は、蛍光体層227R,227G,227Bから発生した可視光を反射させて、上部基板221側に向かわせる役割を果たす。このような第1反射層221は、光反射率の高い物質、例えば、Alからなりうる。
【0039】
上部基板221の上面には、第2反射層226が形成されており、第2反射層226には、上部基板221を露出させる複数の第2開口部226aが形成されている。本実施形態では、一つのピクセル230R,230G,230Bに対応して、複数の第2開口部226aが形成される。第2反射層226は、ブラックマトリックス225をなす物質と同じ物質からなりうる。具体的に、第2反射層226は、例えば、CrまたはCr酸化物からなりうる。また、第2反射層226は、第1反射層229と同様に、Alからなってもよい。このような複数の第2開口部226aが形成された第2反射層226は、後述するように、蛍光体層227R,227G,227Bから発生した可視光を反射させることによって、各ピクセル230R,230G,230B内での輝度均一度を向上させる役割を果たす。一方、図面には、第2開口部226aが円形に形成された場合が示されているが、これに限定されず、多様な形状に形成されうる。
【0040】
上記のような構造のFEDで、カソード電極213、ゲート電極217、及びアノード電極223にそれぞれ所定電圧が印加されれば、カソード電極213とゲート電極217との間に形成された電界によって、エミッタ219から電子が放出されてアノード電極223側に向かう。次いで、アノード電極223側に向かう電子は、図11に示すように、第1反射層229を透過して蛍光体層227R,227G,227Bと衝突し、これにより、蛍光体粒子227’から所定色の可視光が放出される。図11で参照符号227’は、便宜のために誇張されて拡大された蛍光体粒子を示す。
【0041】
次いで、蛍光体層227R,227G,227Bから発生した可視光の一部は、直接アノード電極223及び上部基板221を透過した後、第2開口部226aを通じて外部に進むか、第1反射層229によって一度反射された後、アノード電極223及び上部基板221を透過した後に第2開口部226aを通じて外部に進む。そして、可視光の残りの一部は、図11に示すように、第1反射層229及び第2反射層226によって多重反射された後、第2反射層226の第2開口部226aを通じて外部に進む。このように、蛍光体層227R,227G,227Bから発生した可視光が、第1反射層229と第2反射層226との間で多重反射された後、第2開口部226aを通じて外部に進めば、各ピクセル130R,130G,130B内での輝度均一度が従来よりも向上しうる。
【0042】
以上では、本発明の望ましい実施形態が詳細に説明されたが、本発明の範囲は、これに限定されず、多様な変形及び均等な他の実施形態が可能である。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、FEDに関連した技術分野に好適に適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】一般的なFEDの断面を概略的に示す図面である。
【図2】図1に示すアノードパネルの底面の一部を示す図面である。
【図3】図1に示すアノードパネルの要部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るFEDの断面を概略的に示す図面である。
【図5】図4に示すアノードパネルの底面の一部を示す図面である。
【図6】図4に示すアノードパネルの要部を拡大して示す図面である。
【図7】本発明の一実施形態に係るFEDに適用されうるアノードパネルの変形例を示す図面である。
【図8A】一般的なFEDを示すイメージである。
【図8B】図4に示す本発明の一実施形態に係るFEDを示すイメージである。
【図9】本発明の他の実施形態に係るFEDの断面を概略的に示す図面である。
【図10】図9に示すアノードパネルの上面の一部を示す図面である。
【図11】図9に示すアノードパネルの要部を拡大して示す図面である。
【符号の説明】
【0045】
110 カソードパネル、
111 下部基板、
113 カソード電極、
115 絶縁層、
117 ゲート電極、
118 エミッタホール、
119 エミッタ、
120 アノードパネル、
121 上部基板、
123 アノード電極、
125 ブラックマトリックス、
125a 開口部、
127R,127G,127B 蛍光体層、
129 反射層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されるアノード電極と、
前記アノード電極上に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の開口部が形成されたブラックマトリックスと、
各ピクセルに対応する開口部及び前記開口部の間のブラックマトリックスを覆うように形成される所定色の蛍光体層と、
前記蛍光体層上に形成される反射層と、を備えることを特徴とする電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項2】
前記開口部を通じて前記アノード電極が露出されることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項3】
前記蛍光体層から発生した可視光の一部は、前記ブラックマトリックスと前記反射層との間で多重反射された後、前記開口部を通じて前記アノード電極及び基板を透過して外部に進むことを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項4】
前記基板は、透明なガラス基板またはプラスチック基板であることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項5】
前記アノード電極は、透明な導電性物質からなることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項6】
前記透明な導電性物質は、ITOを含むことを特徴とする請求項5に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項7】
前記ブラックマトリックスは、CrまたはCr酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項8】
前記反射層は、Alからなることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項9】
所定間隔離隔されて相互に対向するように配置されるアノードパネル及びカソードパネルを備える電界放出素子であって、
前記アノードパネルは、
第1基板と、
前記第1基板上に形成されるアノード電極と、
前記アノード電極上に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の開口部が形成されたブラックマトリックスと、
各ピクセルに対応する開口部及び前記開口部の間のブラックマトリックスを覆うように形成される所定色の蛍光体層と、
前記蛍光体層上に形成される反射層と、を備えることを特徴とする電界放出素子。
【請求項10】
前記第1基板は、透明なガラス基板またはプラスチック基板であることを特徴とする請求項9に記載の電界放出素子。
【請求項11】
前記アノード電極は、透明な導電性物質からなることを特徴とする請求項9に記載の電界放出素子。
【請求項12】
前記ブラックマトリックスは、CrまたはCr酸化物からなることを特徴とする請求項9に記載の電界放出素子。
【請求項13】
前記反射層は、Alからなることを特徴とする請求項9に記載の電界放出素子。
【請求項14】
前記カソードパネルは、
第2基板と、
前記第2基板上に形成されるカソード電極と、
前記第2基板上に前記カソード電極を覆うように形成されるものであって、前記カソード電極を露出させる複数のエミッタホールが形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されるゲート電極と、
前記エミッタホールのそれぞれの内部に形成されるエミッタと、を備えることを特徴とする請求項9に記載の電界放出素子。
【請求項15】
前記エミッタは、炭素ナノチューブからなることを特徴とする請求項14に記載の電界放出素子。
【請求項16】
基板と、
前記基板の一の面に形成されるアノード電極と、
前記アノード電極上に形成されるものであって、複数の第1開口部が形成されたブラックマトリックスと、
前記第1開口部のそれぞれを覆うように形成される所定色の蛍光体層と、
前記蛍光体層上に形成される第1反射層と、
前記基板の他の面に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の第2開口部が形成された第2反射層と、を備えることを特徴とする電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項17】
一つのピクセルに対応して一つの前記第1開口部が形成されることを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項18】
前記第1開口部を通じて前記アノード電極が露出され、前記第2開口部を通じて前記基板が露出されることを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項19】
前記蛍光体層から発生した可視光の一部は、前記第1反射層と前記第2反射層との間で多重反射されて前記アノード電極及び基板を透過した後、前記第2開口部を通じて外部に進むことを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項20】
前記基板は、透明なガラス基板またはプラスチック基板であることを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項21】
前記アノード電極は、透明な導電性物質からなることを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項22】
前記透明な導電性物質は、ITOを含むことを特徴とする請求項21に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項23】
前記ブラックマトリックスは、CrまたはCr酸化物からなることを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項24】
前記第1反射層は、Alからなることを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項25】
前記第2反射層は、前記ブラックマトリックスと同じ物質からなることを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項26】
前記第2反射層は、Alからなることを特徴とする請求項16に記載の電界放出素子用のアノードパネル。
【請求項27】
所定間隔離隔されて相互に対向するように配置されるアノードパネル及びカソードパネルを備える電界放出素子であって、
前記アノードパネルは、
第1基板と、
前記第1基板の一の面に形成されるアノード電極と、
前記アノード電極上に形成されるものであって、複数の第1開口部が形成されたブラックマトリックスと、
前記第1開口部のそれぞれを覆うように形成される所定色の蛍光体層と、
前記蛍光体層上に形成される第1反射層と、
前記第1基板の他の面に形成されるものであって、一つのピクセルに対応して複数の第2開口部が形成された第2反射層と、を備えることを特徴とする電界放出素子。
【請求項28】
一つのピクセルに対応して一つの前記第1開口部が形成されることを特徴とする請求項27に記載の電界放出素子。
【請求項29】
前記第1基板は、透明なガラス基板またはプラスチック基板であることを特徴とする請求項27に記載の電界放出素子。
【請求項30】
前記アノード電極は、透明な導電性物質からなることを特徴とする請求項27に記載の電界放出素子。
【請求項31】
前記ブラックマトリックスは、CrまたはCr酸化物からなることを特徴とする請求項27に記載の電界放出素子。
【請求項32】
前記第1反射層は、Alからなることを特徴とする請求項27に記載の電界放出素子。
【請求項33】
前記第2反射層は、前記ブラックマトリックスと同じ物質からなることを特徴とする請求項27に記載の電界放出素子。
【請求項34】
前記第2反射層は、Alからなることを特徴とする請求項27に記載の電界放出素子。
【請求項35】
前記カソードパネルは、
第2基板と、
前記第2基板上に形成されるカソード電極と、
前記第2基板上に前記カソード電極を覆うように形成されるものであって、前記カソード電極を露出させる複数のエミッタホールが形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されるゲート電極と、
前記エミッタホールのそれぞれの内部に形成されるエミッタと、を備えることを特徴とする請求項27に記載の電界放出素子。
【請求項36】
前記エミッタは、炭素ナノチューブからなることを特徴とする請求項35に記載の電界放出素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2008−98161(P2008−98161A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244291(P2007−244291)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】