説明

電着可能な誘電性コーティング組成物を用いる回路アセンブリを製作するためのプロセス

【課題】金属化バイアを形成するため、および電着により付与される誘電性コーティングを含む多層回路アセンブリを製作するためのプロセスを提供すること。
【解決手段】本発明は、基板中に金属バイアを形成するためのプロセスに関し、このプロセスは、以下:(I)電気伝導性基板に、その上に順応性の誘電性コーティングを形成するため、該基板のすべての剥き出た表面上に電着可能なコーティング組成物を、電気泳動により付与する工程であって、該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散された樹脂相を含み、該樹脂相が:(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン基含有樹脂、および(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤を含み、該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、少なくとも1重量%の共有結合したハロゲン含量を有する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、金属化バイアを形成するため、および誘電性コーティング、特に、電着により付与される誘電性コーティングを含む多層回路アセンブリを製作するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
電気コンポーネント、例えば、レジスター、トランジスター、およびキャパシターは、一般に、プリント回路板のような回路パネル構造上にマウントされる。回路パネルは、通常、誘電性材料のほぼ平坦なシートであって、このシートの一方の主要な平坦な表面または両方の主要な表面上に配置された電気コンダクターをもつシートを含む。コンダクターは、一般に、銅のような金属材料から形成され、そして上記板にマウントされた電気コンポーネントを相互接続するために供される。コンダクターがパネルの主要表面の両方の上に配置される場合、パネルは、誘電層中に、対向する表面上のコンダクターを相互接続するように穴(または「貫通バイア」)を通じて延びるバイアコンダクターを有し得る。これまでは、スタック中の隣接するパネルの交互に面する表面上のコンダクターを分離する誘電性材料のさらなる層をもつ、複数のスタックされた回路パネルを取り込む多層回路パネルアセンブリが作製されてきた。これらの多層アセンブリは、通常、必要に応じて、必要な電気的相互接続を提供するために、スタック中の種々の回路パネル上のコンダクター間に延びる相互接続を取り込む。
【0003】
マイクロエレクトロニクス回路パッケージでは、回路およびユニットは、増加するスケールのパッケージングレベルで調製される。一般に、最も小さなスケールのパッケージングレベルは、代表的には、複数の微小回路および/またはその他のコンポーネントを収容する半導体チップである。このようなチップは、通常、セラミックス、シリコンなどから作製されている。多層基板を備える中間のパッケージレベル(すなわち、「チップキャリア」)には、多くのマイクロエレクトロニクス回路を収容する複数の小スケールチップが付着され得る。同様に、これらの中間パッケージレベルそれら自身は、大スケール回路カード、マザーボードなどに付着され得る。この中間パッケージレベルは、全体の回路アセンブリにおいていくつかの目的に供され、これには、構造支持、より小さなスケールの微小回路および回路のより大きなスケールのボードへの一時的統合、および回路アセンブリからの熱の散逸が含まれる。従来の中間パッケージングレベルで用いられ基板は、種々の材料、例えば、セラミック、繊維ガラス強化ポリエポキシド、およびポリイミドを含んでいる。
【0004】
前記の基板は、回路アセンブリへの構造的支持を提供するために十分な剛直性を提供する一方、代表的には、それに付着されるマイクロエレクトロニクスチップの熱膨張係数とはかなり異なる熱膨張係数を有する。その結果、繰り返し使用後の回路アセンブリの故障は、アセンブリの層間の接着剤接続部の故障に起因するリスクである。
【0005】
同様に、基板上で用いられる誘電性材料は、順応性、難燃性、および適合可能な熱膨張性質を含むいくつかの要求に合致しなければならない。従来の誘電性材料は、例えば、ポリイミド、ポリエポキシド、フェノール樹脂、およびフルオロカーボンを含む。これらのポリマー誘電性材料は、代表的には、隣接する層の熱膨張係数よりかなり高い熱膨張係数を有している。
【0006】
高密度の、複雑な相互接続を提供する回路パネル基板に対する増大する必要性が存在している。このような必要性は、多層回路パネル構造によって指向され得るが、このような多層回路アセンブリの製作は、重大な欠点を提示した。
【0007】
一般に、多層パネルは、個々の二重側面の回路パネルに、その上にある適切なコンダクターを提供することによって作製される。これらパネルは、次に、隣接するパネルの各ペア間に配置された、一般に「プレプレッグ」と称される、1つ以上の未硬化または部分的に硬化した誘電性材料で他の上に積層されたものである。このようなスタックは、通常、熱および圧力下で硬化され、単一の塊を形成する。硬化後、代表的には、穴が、異なるボード間の電気的接続が所望される位置にスタックを通じて穿孔される。得られる穴または「貫通バイア」は、次に、通常、メッキされた貫通バイアを形成するために、穴の内部をメッキすることによって、電気的に伝導性の材料でコーティングされるか、または充填される。高い深さ/直径比で穴を穿孔することは困難であり、それ故、このようなアセンブリで用いられる穴は、大きくなければならず、そしてアセンブリにおいて多大のスペースを消費する。
【0008】
特許文献1は、導電性基板または「コア」を提供する工程;この導電性コア上に選択された位置にレジストを提供する工程;およびレジストによってコーティングされた位置を除く導電性コア上に未硬化誘電性材料を電気泳動により堆積する工程による、マイクロエレクトロニクスコンポーネントを作製する方法を開示している。この参考文献は、電気泳動により堆積された材料が、当該分野で公知であり、かつ市販され入手可能であるカチオン性アクリル−またはカチオン性エポキシ−ベースの組成物であり得ることを示唆している。この電気泳動により堆積された材料は、次に、硬化されて、順応した誘電層を形成し、そしてレジストが取り除かれ、その結果、この誘電層は、レジストによって覆われていた位置で導電性コアまで延びる開口を有する。このように形成され、そしてコーティングされた基板または「コア」まで延びる穴は、一般に、「ブラインドバイア」と称されている。1つの実施形態では、この構造的導電性要素は、1つの主要表面から対向する主要表面まで延びる連続的貫通穴または「貫通バイア」を含む金属シートである。誘電性材料が、電気泳動により付与されるとき、この誘電性材料は、導電性要素表面および穴の壁上に均一な厚みで堆積される。しかし、この参考文献により示唆された電気泳動により堆積された誘電性材料は可燃性であり得、そしてそれ故、代表的な難燃性要求には合致しないことが見出されている。
【0009】
特許文献2および特許文献3は、回路アセンブリにおける使用のための多層薄膜配線構造を製作する方法を記載している。コア基板に付与される誘電性材料は、好ましくは、好ましくは積層によって付与される、完全に硬化されかつアニールされる、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、またはポリイミド−シロキサンのような熱可塑性ポリマーである。
【0010】
特許文献4は、多層回路板のための金属コア層を製作する方法を記載している。適切な誘電材料は、蒸着可能な順応性ポリマーコーティングを含む。この方法は、穴の開いた中実の金属コアを用い、そしてこの参考文献は、基板の回路化を一般に記載している。
【0011】
特許文献5は、穴の金属壁部分への絶縁性コーティングの直接電着が、穴の上部リムおよび底部リブでコーティングの薄化を生成することなく、穴壁上に樹脂の均一な膜を生成し得るが、引き続く金属の堆積が、この穴の壁上に接着しない可能性があり、そしてさらに、電気絶縁性質が不適切であることを示唆している。これ故、この参考文献は、金属コアプリント回路板中に、メッキされた貫通穴を形成するための改良された方法に関し、微細に分割された形態にある固形無機充填材を含む電着可能な樹脂製コーティングを含むコーティングをその上に電気泳動により堆積することによる。適切な充填材は、粘土、シリカ、アルミナ、ケイ酸塩、土壌などを含む。この組成物は、プリント回路コンダクターと金属コアとの間で10メガオーム−cmより大きい容積抵抗を示す。この方法は、前記組成物を、穴の金属壁部分上に電気泳動により堆積する工程;この樹脂製コーティングを硬化する工程であって、その厚みが少なくとも0.025ミリメートルである工程;水性酸化溶液で接着を促進して、このコーティング上に親水性の微小エッチング表面を生成する工程;穴壁上および絶縁性表面層上の樹脂製コーティングの表面上に金属層を堆積する工程であって、この金属層がコーティング層に特定の剥離強度で接着する工程、および標準的なプリント回路技法により、絶縁金属基板上にプリント回路を形成する工程を包含する。
【0012】
特許文献6は、プリント回路のための電気的に伝導性基板への電気泳動により適用するためのコーティング組成物を開示している。この組成物は、色素を含有する微細に分割された合成樹脂粉末を含み、ここで、この樹脂は、エポキシ樹脂を含み、そして色素は、カチオン性樹脂と混合された、2〜10重量部の微細に分割されたシリカを含む。この組成物は、寸法安定性および機械的強度のような所望の性質を提供するプリント回路に適切である電気的に伝導性の基板上に絶縁性膜を形成する。
【0013】
中間パッケージレベルの回路化は、従来、金属化基板に、ポジティブ−またはネガティブ−作用性フォトレジスト(本明細書では以後、集合的に「レジスト」と称される)を適用し、次いで、曝露、展開、エッチングおよびストリッピングし、所望の回路パターンを得ることにより実施されている。レジスト組成物は、代表的には、積層、噴霧、または浸漬技法により付与される。このように付与されるレジスト層は、5〜50ミクロンの厚みを有し得る。
【0014】
先に述べた基板に加え、中間パッケージレベルのための従来の基板は、特許文献7に開示されるような中実の金属シートをさらに含み得る。これらの中実の構造は、整列目的のための貫通バイアを提供するために、回路アセンブリの製作の間に穿孔されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6,266,874号明細書
【特許文献2】米国特許第5,224,265号明細書
【特許文献3】米国特許第5,232,548号明細書
【特許文献4】米国特許第5,153,986号明細書
【特許文献5】米国特許第4,601,916号明細書
【特許文献6】米国特許第4,238,385号明細書
【特許文献7】米国特許第5,153,986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
先行技術のプロセスを考慮して、当該分野には、その製作が、先行技術回路アセンブリの欠点を克服する、高密度かつ複雑な合相互接続を提供する多層回路パネル構造に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
1つの実施形態において、本発明は、基板中に金属バイアを形成するためのプロセスに関する。このプロセスは、以下の工程:(I)電気伝導性基板に、その上に順応性の誘電性コーティングを形成するため、該基板のすべての剥き出た表面上に電着可能なコーティング組成物を、電気泳動により付与する工程であって、該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散された樹脂相を含み、該樹脂相が:(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン基含有樹脂、および(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤を含み、該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、少なくとも1重量%の共有結合したハロゲン含量を有し;(II)所定のパターンで該順応性の誘電性コーティングの表面を切除する工程であって、該基板の1つ以上のセクションを剥き出す工程;および(III)金属の層をすべての表面に付与する工程であって、該基板中に金属化バイアを形成する工程を包含する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、回路アセンブリを製作するプロセスに関し、このプロセスは:(I)電気伝導性のコアを提供する工程;(II)該コアのすべての剥き出た表面上に上記の電着可能なコーティング組成物を電気泳動により付与する工程であって、その上に順応性の誘電性コーティングを形成する工程;(III)所定のパターンで該順応性の誘電性コーティングの表面を切除する工程であって、該コアのセクションを剥き出す工程;(IV)金属の層をすべての表面に付与する工程であって、該コア中に金属化バイアを形成する工程;および(V)該金属相に樹脂感光層を付与する工程を包含する。
【0019】
本発明はまた、回路アセンブリを製作するプロセスに関し、このプロセスは、(I)電気伝導性のコアを提供する工程;(II)該コアの表面上の所定の位置にフォトレジストを提供する工程;(III)該工程(II)に亘り、上記の電着可能なコーティング組成物を電気泳動によって付与する工程であって、ここで、該コーティング組成物が、その上にフォトレジストを有する位置を除く該コアのすべての表面上に電気泳動によって堆積される工程;(IV)該電気泳動により付与されたコーティング組成物を硬化する工程であって、その上にフォトレジストを有する位置を除く該コアのすべての表面上に硬化した順応性の誘電層を形成する工程;(V)該フォトレジストを除去する工程であって、該レジストで先にコーティングされた位置で該コアまで延びるバイアを有する回路アセンブリを形成する工程;および(VI)必要に応じて、前記工程(V)の回路アセンブリのすべての表面に金属の層を付与する工程であって、該コアまで延びる金属化バイアを形成する工程、を包含する。
【0020】
本発明は、さらに、個々の上記のプロセスによってコーティングされる基板および回路アセンブリに関する。
本発明によると、以下が提供され、上記目的が達成される。
(項目1)
基板中に金属化バイアを形成するためのプロセスであって、以下の工程:
(I)電気伝導性基板に、その上に順応性の誘電性コーティングを形成するため、該基板のすべての剥き出た表面上に電着可能なコーティング組成物を、電気泳動により付与する工程であって、
該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散された樹脂相を含み、該樹脂相が:(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン基含有樹脂、および
(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤を含み、
該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、少なくとも1重量%の共有結合したハロゲン含量を有する、工程、
(II)所定のパターンで該順応性の誘電性コーティングの表面を切除する工程であって、該基板の1つ以上のセクションを剥き出す工程;
(III)金属の層をすべての表面に付与する工程であって、該基板中に金属化バイアを形成する工程、を包含する、プロセス。
(項目2)
前記バイアが、前記基板の表面まで延びる、項目1に記載のプロセス。
(項目3)
前記バイアが、前記基板を通じて延びる、項目1に記載のプロセス。
(項目4)
前記基板が、穿孔銅箔、鉄−ニッケル合金およびそれらの組み合わせから選択される金属を含む、項目1に記載のプロセス。
(項目5)
前記順応性の誘電性コーティングが、前記工程(II)の前または後に、該誘電性コーティングを硬化するに十分な温度および時間、加熱される、項目1に記載のプロセス。
(項目6)
前記硬化誘電性コーティングが、IPC−TM−350に従う難燃性試験を通過し、そして3.50を超えない誘電率を有する、項目5に記載のプロセス。
(項目7)
前記硬化誘電性コーティングが、3.30を超えない誘電率を有する、項目6に記載のプロセス。
(項目8)
前記硬化誘電性コーティングが、3.00を超えない誘電率を有する、項目6に記載のプロセス。
(項目9)
前記硬化誘電性コーティングが、0.01を超えない誘電損率を有する、項目6に記載のプロセス。
(項目10)
前記電着可能なコーティング組成物の樹脂相が、該樹脂相中に存在する総樹脂固形分に基づき、1〜50重量%の範囲の共有結合したハロゲン含量を有する、項目1に記載のプロセス。
(項目11)
(IV)前記工程(III)の金属層に樹脂感光層を付与する工程をさらに包含する、項目1に記載のプロセス。
(項目12)
前記硬化誘電性コーティングが、25ミクロンを超えない膜厚みを有する、項目5に記載のプロセス。
(項目13)
回路アセンブリを製作するプロセスであって:
(I)電気伝導性のコアを提供する工程、
(II)該コアのすべての剥き出た表面上に電着可能なコーティング組成物を電気泳動により付与する工程であって、その上に順応性の誘電性コーティングを形成し、
該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散した樹脂相を含み、該樹脂相が:
(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン基含有樹脂、および
(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤を含み、
該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、少なくとも1重量%の共有結合したハロゲン含量を有する、工程、
(III)所定のパターンで該順応性の誘電性コーティングの表面を切除する工程であって、該コアのセクションを剥き出す工程;
(IV)金属の層をすべての表面に付与する工程であって、該コア中に金属化バイアを形成する工程;および
(V)該金属相に樹脂感光層を付与する工程、を包含する、プロセス。
(項目14)
前記コアが、穿孔銅箔、鉄−ニッケル合金およびそれらの組み合わせから選択される金属コアである、項目13に記載のプロセス。
(項目15)
前記金属コアが、穿孔銅箔を含む、項目14に記載のプロセス。
(項目16)
前記金属コアが、鉄−ニッケル合金を含む、項目14に記載のプロセス。
(項目17)
前記樹脂(a)が、ポリエポキシドポリマーおよびアクリルポリマーの少なくとも1つに由来するポリマーを含む、項目13に記載のプロセス。
(項目18)
前記樹脂(a)が、アミン塩の基および/またはオニウム塩の基から選択されるカチオン性塩の基を含む、項目17に記載のプロセス。
(項目19)
前記樹脂(a)が、該樹脂(a)中に存在する樹脂固形分の総重量に基づき1〜50重量%の範囲の共有結合したハロゲン含量を有する、項目13に記載のプロセス。
(項目20)
前記樹脂(a)の共有結合したハロゲン含量が、塩素化多水酸基フェノールおよび臭素化多水酸基フェノールの少なくとも1つから選択されるハロゲン化多水酸基フェノールに由来する、項目19に記載のプロセス。
(項目21)
前記樹脂(a)中に存在する共有結合したハロゲン含量が、テトラブロモビスフェノールA由来である、項目19に記載のプロセス。
(項目22)
前記硬化剤(b)が、ブロックされたポリイソシアネートおよびアミノプラスト樹脂の少なくとも1つから選択される、項目13に記載のプロセス。
(項目23)
前記硬化剤(b)が、該硬化剤(b)中に存在する樹脂固形分の総重量に基づき1〜50重量%の範囲の共有結合したハロゲン含量を有する、項目13に記載のプロセス。
(項目24)
前記電着可能なコーティング組成物の樹脂相の共有結合したハロゲン含量が、前記樹脂(a)および硬化剤(b)とは異なり、かつそれに加えて存在する成分(c)から少なくとも一部由来する、項目13に記載のプロセス。
(項目25)
前記成分(c)が、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化リン酸エステル、ハロゲン化フェノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される共有結合したハロゲン含有化合物を含む、項目24に記載のプロセス。
(項目26)
前記電着可能なコーティング組成物が、レオロジー改変剤をさらに含む、項目13に記載のプロセス。
(項目27)
前記レオロジー改変剤が、水性媒体中に、一級アミン基、二級アミン基およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミン基を含む、カチオン性ポリエポキシド−アミン反応生成物と、ポリエポキシド架橋剤との混合物を分散し、そして該混合物を、該混合物が架橋して該カチオン性マイクロゲル分散物を形成するに十分な温度に加熱することにより調製されるカチオン性ミクロゲル分散物を含む、項目26に記載のプロセス。
(項目28)
前記工程(III)の前に、該順応性のコーティングが、該コーティングが硬化するに十分な温度および時間、加熱される、項目13に記載のプロセス。
(項目29)
前記硬化した順応性コーティングが、3.50以下の誘電率を有する、項目28に記載のプロセス。
(項目30)
前記硬化した順応性コーティングが、IPC−TM−650に従う難燃性試験を通過する、項目28に記載のプロセス。
(項目31)
前記硬化した順応性コーティングが、25ミクロン以下の乾燥膜厚みを有する、項目29に記載のプロセス。
(項目32)
回路アセンブリを製作するプロセスであって:
(I)電気伝導性のコアを提供する工程;
(II)該コアの表面上の所定の位置にフォトレジストを提供する工程;
(III)該工程(II)に亘り、電着可能なコーティング組成物を電気泳動によって付与する工程であって、ここで、該コーティング組成物が、その上にフォトレジストを有する位置を除く該コアのすべての表面上に電気泳動によって堆積され、
該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散された樹脂相を含み、該樹脂相が:(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン基含有樹脂、および
(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤を含み、
該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、少なくとも1重量%の共有結合したハロゲン含量を有する、工程、
(IV)該電気泳動により付与されたコーティング組成物を硬化する工程であって、その上にフォトレジストを有する位置を除く該コアのすべての表面上に硬化した順応性の誘電層を形成する工程;
(V)該フォトレジストを除去する工程であって、該レジストで先にコーティングされた位置で該コアまで延びるバイアを有する回路アセンブリを形成する工程;および
(VI)必要に応じて、前記工程(V)の回路アセンブリのすべての表面に金属の層を付与する工程であって、該コアまで延びる金属バイアを形成する工程、を包含する、プロセス。
(項目33)
前記工程(II)において前記コアの表面上の所定の位置にフォトレジストを提供する工程の前に、銅金属の層が前記コアに付与される、項目32に記載のプロセス。
(項目34)
前記コアが、穿孔銅箔、鉄−ニッケル合金およびそれらの組み合わせから選択される金属コアを含む、項目32に記載のプロセス。
(項目35)
前記金属コアが、鉄−ニッケル合金を含む、項目34に記載のプロセス。
(項目36)
前記金属コアが、穿孔銅箔を含む、項目34に記載のプロセス。
(項目37)
前記樹脂(a)が、ポリエポキシドポリマーおよびアクリルポリマーの少なくとも1つに由来するポリマーを含む、項目32に記載のプロセス。
(項目38)
前記樹脂(a)が、アミン塩の基および/またはオニウム塩の基から選択されるカチオン性塩の基を含む、項目37に記載のプロセス。
(項目39)
前記樹脂(a)が、該樹脂(a)中に存在する樹脂固形分の総重量に基づき1〜50重量%の範囲の共有結合したハロゲン含量を有する、項目32に記載のプロセス。
(項目40)
前記樹脂(a)の共有結合したハロゲン含量が、塩素化多水酸基フェノールおよび臭素化多水酸基フェノールの少なくとも1つから選択されるハロゲン化多水酸基フェノールに由来する、項目39に記載のプロセス。
(項目41)
前記樹脂(a)中に存在する共有結合したハロゲン含量が、テトラブロモビスフェノールA由来である、項目40に記載のプロセス。
(項目42)
前記硬化剤(b)が、ブロックされたポリイソシアネートおよびアミノプラスト樹脂の少なくとも1つから選択される化合物を含む、項目32に記載のプロセス。
(項目43)
前記硬化剤(b)が、該硬化剤(b)中に存在する樹脂固形分の総重量に基づき1〜50重量%の範囲の共有結合したハロゲン含量を有する、項目32に記載のプロセス。
(項目44)
前樹脂相の共有結合したハロゲン含量が、前記樹脂(a)および硬化剤(b)とは異なり、かつそれに加えて存在する成分(c)に少なくとも一部由来する、項目32に記載のプロセス。
(項目45)
前記成分(c)が、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化リン酸エステル、ハロゲン化フェノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の共有結合したハロゲン含有化合物を含む、項目44に記載のプロセス。
(項目46)
前記硬化した順応性の誘電性コーティングが、3.50以下の誘電率を有する、項目32に記載のプロセス。
(項目47)
前記硬化した順応性の誘電性コーティングが、3.30以下の誘電率を有する、項目46に記載のプロセス。
(項目48)
前記硬化した順応性のコーティングが、25ミクロン以下の膜厚みを有する、項目46に記載のプロセス。
(項目49)
項目1に記載のプロセスにより形成される、基板。
(項目50)
項目13に記載のプロセスにより形成される、回路アセンブリ。
(項目51)
項目32に記載のプロセスにより形成される、回路アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
作動する実施例の他に、またはその他に示される場所で、本明細書および請求項で用いられる、成分の量、反応条件などを表すすべての数字、は、すべての例において用語「約」によって修飾されていると解釈されるべきである。従って、反対であることが示されなければ、以下の明細書および添付の請求項で提示される数値パラメーターは、本発明によって得られることが求められる所望の性質に依存して変動し得る概数である。少なくとも、そして請求項の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメーターは、少なくとも、報告された重要なアラビア数字の数を考慮して、および通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきである。
【0022】
本発明の広い範囲を示す数字範囲およびパラメーターは概数であるにもかかわらず、特定の実施例で提示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、任意の数値は、それらの個々の試験測定で見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を固有に含んでいる。
【0023】
また、本明細書に記載の任意の数字範囲は、その中に包含されるすべての下の範囲を含むことが意図される。例えば、「1〜10」の範囲は、その間のすべての下の範囲を含むことが意図され、そして、記載された最小値1と記載された最大値10を含み、すなわち、1に等しいかまたは1より大きい最小値、および10に等しいかまたは10より小さい最大値を有する。
【0024】
先に記載のように、1つの実施形態では、本発明は、基板中に金属化バイアを形成するためのプロセスに関し、このプロセスは、以下の工程:(I)電気伝導性基板に、その上に順応性の誘電性コーティングを形成するため、該基板のすべての表面上に電着可能なコーティング組成物(以下に詳細に記載)を、電気泳動により付与する工程;(II)所定のパターンで該誘電性コーティングの表面を切除して、この表面のセクションを剥き出す工程;および(III)金属の層を工程(II)の基板のすべての表面に付与し、該基板中に金属化バイアを形成する工程を包含する。必要に応じて、このプロセスは、さらに、(IV)上記の金属層に、以下に記載のような、感光層を付与する工程を含む。
【0025】
さらなる実施形態では、本発明は、多層回路アセンブリを制作するプロセスに関する。1つの実施形態では、本発明は、回路アセンブリを制作するプロセスに関し、以下の工程:(I)代表的には、以下に記載のような金属コアである、電気伝導性のコアを提供する工程;(II)該コアのすべての剥き出た表面上に先に論議された任意の電着可能なコーティング組成物を電気泳動により付与する工程であって、その上に順応性の誘電性コーティングを形成する工程;(III)所定のパターンで該順応性の誘電性コーティングの表面を切除する工程であって、該コアのセクションを剥き出す工程;(IV)例えば銅である金属の層をすべての表面に付与する工程であって、該コア中に金属化バイアを形成する工程;および(V)該金属相に樹脂感光層を付与する工程を包含する。
【0026】
上記基板またはコアは、任意の種々の電気伝導性基板、特に金属基板、例えば、非処理または亜鉛メッキスチール、アルミニウム、金、ニッケル、銅、マグネシウムまたは前記の金属の任意の合金、ならびに伝導性カーボンでコーティングされた材料を含み得る。また、上記コアは、2つの主要な表面およびエッジを有し、そして10〜100ミクロン、代表的には25〜100ミクロンの範囲の厚みを有し得る。
【0027】
本発明のプロセスの目的のために、「コア中」の金属化バイアの形成は、「貫通バイア」の形成(すなわち、1つの主要表面から他方へのコアを通って延びる金属穴の形成)を包含することが意図され、貫通接続、ならびに、「ブラインドバイア」の形成(すなわち、誘電性コーティングのみを通って延び、コアを貫通しない)を、例えば、接地または電力への接続を提供する。また、本発明の目的には、「コアを通って」延びる金属化バイアの形成は、貫通バイアの形成のみを包含することが意図される。同様に、「コアに」延びる金属化バイアの形成は、ブラインドバイアの形成のみを包含することが意図される。
【0028】
本発明の特定の実施形態では、上記コアは、穿孔銅箔、鉄−ニッケル合金またはそれらの組み合わせから選択される金属基板である。本発明の1つの実施形態では、上記コアは、約64重量%の鉄および36重量%のニッケルを含むINVAR(商標名Imphy S.S.A.、168 Rue de Rivoli、Paris、France)として市販され入手可能な、鉄−ニッケル合金を含む。この合金は、チップを調製するために代表的に用いられるシリコン材料の熱膨張係数に匹敵する低い熱膨張係数を有している。この性質は、通常の使用の間の熱サイクリングに起因するチップスケールパッケージの連続するより大きいか、またはより小さいスケールの層間の接着剤接続の失敗を防ぐために所望される。鉄−ニッケル合金が、金属コアとして用いられるとき、金属の層(通常は銅である)は、鉄−ニッケル合金のすべての表面上に付与され、最適伝導性を確実にする。金属の層、および工程(IV)で付与されるものは、従来手段によって付与され得、そして例えば、電気メッキおよび金属蒸着技法、無電気メッキにより、そして代表的には、1〜10ミクロンの厚みを有する。
【0029】
「穿孔金属コア」は、複数の穴または規則的な間隔を有するメッシュシートを意味する。穴の直径は、通常、約200ミクロンであるが、穴が塞がれるようになることなくして、直径が本発明のプロセスで付与されるすべての層を収容するに十分大きいことを条件に、必要に応じてより大きいか、またはより小さくてもよい。これら穴の中心から中心の間隔は、代表的には約500ミクロンであるが、同様に必要に応じてより大きいか、または小さくてもよい。バイア密度は、1平方インチあたり500〜10,000穴(1平方センチメートルあたり77.5〜1,550穴)の範囲であり得る。
【0030】
以下に詳細に記載される任意の電着可能なコーティング組成物は、電気伝導性のコアに電気泳動により付与され得る。電着のために印加される電圧は変動し得、そして、例えば、1ボルト程度の低さ〜数千ボルト程度の高さであり得るが、代表的には、50ボルト〜500ボルトの間である。電流密度は、通常、1平方フィートあたり0.5アンペア〜5アンペアの間(1平方センチメートルあたり0.5〜5ミリアンペア)であり、そして上記コアのすべての剥き出た表面上の絶縁性の順応性膜の形成を示す電着の間に減少する傾向にある。ここで、本明細書中および請求項中で用いられるとき、「順応性」膜またはコーティングは、穴内の表面を含む、基板トポロジーに一致する(しかし、好ましくは、閉塞しない)実質的に均一な厚みを有する膜またはコーティングを意味する。このコーティングが電着により付与された後、それは、代表的には、90゜〜300℃の範囲の高温で1〜40分の期間の間、熱により硬化され、上記コアのすべての剥き出た表面の上に順応性の誘電性コーティングを形成する。
【0031】
本発明のプロセスの目的には、任意の電着可能なコーティング組成物(以下により詳細に記載)が、当該分野で周知である電着以外の種々の付与技法、例えば、ロールコーティングまたはスプレー付与技法によって付与され得ることが理解されるべきである。このような事例では、より高い樹脂固形分含量でこの組成物を調製することが所望され得る。また、このような適用には、樹脂バインダーは、カチオン性塩の基およびアニオン性塩の基をそれぞれ形成するために、可溶化酸およびアミンまたは中和する酸およびアミンを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0032】
上記誘電性のコーティングは、均一な厚みであり、そして、しばしば50ミクロンより厚くなく、通常25ミクロンより厚くなく、そして代表的には20ミクロンより厚くない。より薄い膜の厚みが種々の理由のために所望される。例えば、薄い膜厚みを有する誘電性コーティングは、より小さなスケールの回路を可能にする。また、(上記で論議したような)小さい誘電率を有するコーティングは、より薄い膜厚みを有する誘電性コーティングを可能にし、そしてまた隣接するシグナルトレース間の容量性カップリングを最小にする。
【0033】
当業者は、上記誘電性コーティングの電気泳動による付与の前に、コア表面が、誘電性体の付与のために前処理またはその他に調製され得ることを認識し得る。例えば、洗浄、すすぎ、および/または誘電体の付与の前の接着促進剤での処置が適切であり得る。
【0034】
誘電性コーティングの適用の後、誘電性コーティングの表面は、所定のパターンで切除され、上記コアの1つ以上のセクションを剥き出す。このような切除は、代表的には、レーザーを用いるか、またはその他の従来技法、例えば、機械穿孔および化学的またはプラズマエッチング技法により実施される。
【0035】
金属化は、切除工程の後、すべての表面への金属の層を付与する工程、上記コア中に金属化バイアの形成を可能にする工程によって実施される。適切な金属は、十分な伝導性性質をもつ銅または任意の金属または合金を含む。この金属は、代表的には、電気メッキまたは任意の当該分野で公知の適切な方法によって付与され、均一な金属層を提供する。この金属層の厚みは、1〜50ミクロンの範囲、代表的には5〜25ミクロンの範囲であり得る。
【0036】
金属層の誘電性ポリマーへの接着を増大するために、金属化工程の前に、すべての表面は、イオンビーム、電子ビーム、コロナ放電またはプラズマボンバードメントで処理され得、その後、すべての表面に接着促進剤の層を付与する。この接着促進剤の層は、50〜5000オングストロームの範囲であり得、そして代表的には、クロム、チタン、ニッケル、コバルト、セシウム、鉄、アルミニウム、銅、金、タングステンおよび亜鉛、ならびにそれらの合金および酸化物から選択される金属または金属酸化物である。
【0037】
金属化の後、樹脂感光層(すなわち、「フォトレジスト」または「レジスト」)がこの金属層に付与され得る。必要に応じて、このフォトレジストの付与の前に、金属化基板は、清澄にされるか、および/または前処理され得る;例えば、酸エッチャントで処理され、酸化金属を除去する。樹脂感光層は、ポジティブまたはネガティブフォトレジストであり得る。このフォトレジスト層は、1〜50ミクロンの範囲の厚み、代表的には5〜25ミクロンの厚みを有し得、そしてフォトリソグラフィープロセッシング分野の当業者に公知の任意の方法によって付与され得る。付加的または減ずるべきプロセッシング法が、所望の回路パターンを生成するために用いられ得る。
【0038】
適切なポシティブ作用性感光性樹脂は、当業者に公知の任意の樹脂を含む。例として、米国特許第5,600,035号のカラム3〜15に記載のようなジニトロベンジル官能性ポリマーが挙げられる。このような樹脂は、高い程度の感光性を有している。1つの実施形態では、この樹脂感光性層は、代表的には噴霧により付与されるジニトロベンジル官能性ポリマーを含む。
【0039】
別個の実施形態では、上記樹脂感光層は、米国特許第5,600,035号の実施例3〜6に記載のような、ジニトロベンジル官能性ポリウレタン、およびエポキシ−アミンポリマーを含む電着可能な組成物を含む。
【0040】
ネガティブ作用性フォトレジストは、液体または乾燥膜タイプの組成物を含む。先に記載の任意の液体組成物が、噴霧;ロールコーティング、スピン−コーティング、カーテンコーティング、スクリーン−コーティング、浸漬コーティング、または電着付与技法によって付与され得る。
【0041】
一実施形態において、液体フォトレジストが、電着、通常はカチオン電着によって、適用される。電着可能なフォトレジスト組成物は、イオン性のポリマー材料を含み、この材料はカチオン性であってもアニオン性であってもよく、そしてポリエステル、ポリウレタン、アクリルおよびポリエポキシドから選択され得る。アニオン電着によって適用されるフォトレジストの例は、米国特許第3,738,835号に示される。カチオン電着によって適用されるフォトレジストは、米国特許第4,592,186号に記載される。乾燥フィルムフィルムフォトレジストの例としては、米国特許第3,469,982号、同第4,378,264号および同第4,343,885号に開示されるものが挙げられる。乾燥フォトレジストは、代表的に、例えば、ホットローラの適用によって、表面に積層される。
【0042】
感光層の適用の後に、多層基板がこの点でパッケージングされ得て、輸送を可能にし、かつ遠隔位置において任意の後の工程の処理を可能にすることに留意のこと。
【0043】
本発明の一実施形態において、感光層が適用された後に、所望のパターンを有するフォトマスクが、この感光層上に配置され得、この層状の基板が十分なレベルの適切な放射線源(代表的には、化学線源)に曝露される。本明細書中で使用される場合、用語「十分なレベルの放射線」とは、ネガティブ作用レジストの場合、放射線に曝露された領域にあるモノマーを重合するか、またはポジティブ作用レジストの場合、ポリマーを解重合するかまたはこのポリマーをより可溶性にするレベルの放射線をいう。これは、放射線曝露領域と放射線遮蔽領域との間の溶解性の差異を生じる。
【0044】
フォトマスクは、放射線源への曝露の後に除去され得、そして層状の基板は、感光層のより可溶性な部分を除去し、そして下にある金属層の選択された領域を露出させるための従来の現像溶液を使用して現像される。露出された金属は、次いで、金属腐食剤を使用してエッチングされ得、この金属腐食剤は、金属を水溶性金属錯体に変換する。この可溶性錯体は、水の噴霧によって除去され得る。
【0045】
感光層は、エッチング工程の間、下にある基板を保護する。残存している感光層(これは、腐食剤に対して不浸透性である)は、次いで、化学ストリッピングプロセスによって除去されて、金属化バイアによって連結される回路パターンを提供する。
【0046】
多層基板上で回路パターンを調製した後、他の回路構成要素が取り付けられて、回路アセンブリを形成し得る。さらなる構成要素としては、例えば、1つ以上のより小規模の構成要素(例えば、半導体チップ、介在層、より大規模の回路カードまたはマザーボード、および能動的構成要素または受動的構成要素)が挙げられる。この回路アセンブリの調製で使用される介在層は、本発明のプロセスの任意の適切な工程を使用して調製され得ることに注意のこと。構成要素は、従来の接着剤、表面取り付け技術、ワイヤボンディングまたはフリップチップ技術を使用して取り付けられ得る。本発明に従って調製される多層回路アセンブリにおける高いバイア密度は、高機能性チップからこのアセンブリにおけるパッケージまでのより多くの電気的な相互接続を可能にする。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、回路アセンブリを製造するためのプロセスに関し、このプロセスは、以下の工程を包含する:(I)コア(例えば、先に記載された金属コアのいずれか)を提供する工程;(II)このコアの表面の所定の位置でフォトレジスト(例えば、上記のフォトレジスト組成物のいずれか)を提供する工程;(III)工程(II)のコア上に、以下で詳細に記載される電着可能コーティング組成物のいずれかを電気泳動により適用する工程であって、ここで、このコーティング組成物が、コアの表面上のフォトレジストを有する位置を除いて、このコアの表面全体に電気泳動により堆積される、工程;(IV)この電気泳動により適用されたコーティング組成物を、上記の硬化条件下で硬化して、この表面上のフォトレジストを有する位置を除いて、このコアの表面全体にわたって硬化された順応性誘電層を形成する工程;(V)このフォトレジストを、上記のようにして除去して、このレジストで先に覆われた位置にある金属コアに向かって伸びるバイアを有する回路アセンブリを形成する工程;および(VI)必要に応じて、金属化のための先に記載された方法のいずれかによって、金属(通常は、銅金属)の層を、工程(V)の回路アセンブリの全ての表面に適用して、コアに向かって伸びる金属化バイアを形成する工程。本発明の特定の実施形態において、工程(II)で、金属コアの表面上の所定の位置でレジストを提供する前に、金属(代表的には、銅金属)の層が、金属コアに適用される。
【0048】
先に考察されたプロセスのいずれかにおいて使用するために適切な電着可能コーティング組成物は、水性媒体に分散された樹脂相を含む。この樹脂相は、以下:(a)非ゲル化活性水素含有イオン性塩の基を含有する樹脂;および(b)この樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤、を含む。
【0049】
本発明の一実施形態において、この樹脂相は、この組成物が電着されそして硬化された硬化フィルムを形成した場合、この硬化フィルムがIPC−TM−650に従う難燃試験に合格するように、かつ3.50以下の誘電率を有するように、この樹脂相に存在する樹脂固形分の総重量に基づいて、共有結合ハロゲン含有量を有する。本発明の目的のために、「共有結合ハロゲン」とは、水溶液中のハロゲンイオン(例えば、塩素イオン)に対して、共有結合されているハロゲン原子を意味することが理解されるべきである。
【0050】
本発明の電着可能コーティング組成物の樹脂相は、少なくとも1重量%、通常は少なくとも2重量%、しばしば少なくとも5重量%、そして代表的には少なくとも10重量%の共有結合ハロゲン含有量を有し得る。また、本発明の電着可能コーティング組成物の樹脂相は、50重量%未満、通常は30重量%未満、しばしば25重量%未満、そして代表的には20重量%未満の共有結合ハロゲン含有量を有し得る。共有結合ハロゲン含有量が、以下に記載されるIPC−TM−650に従うフレーム難燃試験に合格する硬化コーティングを提供するのに十分であるという条件で、この電着可能コーティング組成物の樹脂相は、記載された値を含む上記の値の任意の組み合わせの間の範囲であり得る共有結合ハロゲン含有量を有し得る。
【0051】
さらに、この樹脂相の共有結合ハロゲン含有量は、樹脂(a)および硬化剤(b)の一方または両方に共有結合したハロゲン原子、またはこの樹脂(a)および硬化剤(b)とは異なり、そしてこれらにに加えて、電着可能コーティング組成物の樹脂相中の成分として存在する化合物(c)に共有結合したハロゲンに由来し得る。
【0052】
上記のように、本発明の目的のために、難燃性は、Institute of Interconnecting and Packaging Electronic Circuits(2215 Sanders Road,Northbrook,Illinois)から入手可能なIPC−TM−650、Test Methods Manual、Number2.3.10、「Flammability of Laminate」Revision Bに従って試験される。
【0053】
上記の電着可能コーティング組成物が電気泳動より堆積され、そして硬化された硬化フィルムを形成する(以下に詳細に記載される)場合、この硬化フィルムは、3.50以下、しばしば3.30以下、通常は3.00以下、そして代表的には2.80以下の誘電率を有し得る。また、この硬化フィルムは代表的に、0.02以下、通常は0.15以下の誘電損率を有し、0.01以下であり得る。
【0054】
誘電材料は、非伝導性物質または絶縁材である。「誘電率」は、誘電材料が電荷を保存する能力の指標または尺度である。誘電率は、材料の電気容量に正比例し、このことは、この電気容量が、材料の誘電率が減少した場合に減少することを意味する。低誘電性材料は、基板およびコーティングの電気容量が回路の信頼性のある機能に重要である高周波数の高速デジタルのために所望される。例えば、現在のコンピュータ操作は、多層アセンブリ上の回路パスと集積回路との間の連結電気容量によって制限されている。なぜなら、集積回路の間の計算スピードはこの電気容量によって減少し、そして作動に必要な電力が増加するからである。Thompson,Larry F.ら、Polymers for
Microelectronics(第203回American Chemical
Society、April 5−10,1992のNational Meetingで発表)を参照のこと。
【0055】
「誘電損率」は、その分子の摩擦が交流電場によって生じる分子の運動を妨害する場合に誘電材料によって失われる電力である。I.Gilleo,Ken,Handbook
of Flexible Circuits,p.242,Van Nostrand
Reinhold,New York(1991)を参照のこと。誘電材料および誘電率の詳細な考察については、James J.LicariおよびLaura A.Hughes,Handbook of Polymer Coatings for Electronics,pp.114−18,第2版、Noyes Publication(1990)もまた参照のこと。
【0056】
本発明の目的のため、硬化された電着可能コーティング組成物の誘電率は、以下のように、電気化学インピーダンス分光法を使用して、1メガヘルツの周波数で決定される。
【0057】
コーティングサンプルは、電着可能組成物をスチール基板に適用し、次いで硬化して、0.85ミル(20.83ミクロン)のフィルム厚を有する硬化誘電コーティングを提供することによって、調製される。この硬化誘電コーティングの32平方センチメートルのフリーフィルム(free film)が、150ミリリットルの電解質溶液(1M NaCl)を含む電気化学セル内に配置され、そして1時間平衡化される。100mVのAC電位がこのサンプルに付与され、そしてインピーダンスが、1.5メガヘルツ〜1ヘルツの周波数範囲で測定される。この方法は、ニオブ上白金拡大メッシュカウンター電極(platinum−on−niobium expanded mesh counter electrode)および単接合銀/塩化銀参照電極を用いる。硬化コーティングの誘電率は、電気容量を1メガヘルツ、1キロヘルツおよび63ヘルツで計算し、以下の式をEについて解くことによって決定される:
C=EEA/d
ここで、Cは、異なる周波数で測定された電気容量(ファラッド)であり;Eは、自由空間の誘電率(permitivity)(8.85418781712)であり;Aは、サンプル領域(32平方センチメートル)であり;dは、コーティング厚であり;そしてEは、誘電率である。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、誘電率の値は、上記のように、1メガヘルツの周波数で決定された誘電率であることに注意のこと。同様に、誘電損率は、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、上記のように、1メガヘルツの周波数で測定された誘電率と、1.1メガヘルツの周波数で測定された同じ材料の誘電率との間の差である。
【0058】
本発明のプロセスで有用な電着可能コーティング組成物は、主要フィルム形成材として、非ゲル化活性水素イオン基含有電着可能樹脂(a)を含む。広範な種々の電着可能フィルム形成ポリマーが公知であり、このポリマーが「水分散性」、すなわち、水中に可溶化されるか、分散されるかまたは乳化されるように適合される限り、本発明の電着可能コーティング組成物で使用され得る。水分散性ポリマーは、その性質が、イオン性である。すなわち、このポリマーは、負電荷を与えるアニオン性官能基、または正電荷を与えるカチオン性官能基を含み得る。本発明の特定の実施形態において、樹脂(a)は、カチオン性塩の基、通常は、カチオン性アミン塩の基を含む。
【0059】
「非ゲル化」とは、この樹脂が実質的に架橋を含まず、かつ、例えば、ASTM−D1795またはASTM−D4243に従って決定するとき、適切な溶媒に溶解された場合に固有粘度を有することを意味する。反応生成物の固有粘度は、その分子量の指標である。他方、ゲル化反応生成物は、本質的に非常に高い分子量を有するため、測定するには高すぎる固有粘度を有する。本明細書中で使用される場合、「実質的に架橋を含まない」反応生成物とは、ゲル透過クロマトグラフィーによって決定した場合、1,000,000未満の重量平均分子量(Mw)を有する反応生成物をいう。
【0060】
また、本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」とは、オリゴマー、ならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を言及することを意味する。そうでないことが記載されない限り、分子量は、「Mn」と示されるポリマー材料の数平均分子量であり、当該分野で認められた様式で、ポリスチレン基準を使用して、ゲル透過クロマトグラフィーによって得られる。
【0061】
アニオン性電着可能コーティング組成物中の樹脂(a)として使用するために適切なフィルム形成樹脂の非限定的な例としては、塩基可溶化カルボン酸基含有ポリマー(例えば、乾性油または半乾性脂肪酸エステルと、ジカルボン酸または無水物との反応生成物または付加物;および脂肪酸エステル、不飽和酸または無水物と、ポリオールとさらに反応する任意のさらなる不飽和修飾材料との反応生成物)が挙げられる。不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルと、不飽和カルボン酸と、少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーとの少なくとも部分的に中和されたインターポリマーもまた適切である。さらに別の適切な電着可能樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル、すなわち、アルキド樹脂およびアミン−アルデヒド樹脂を含むビヒクルを含む。別の適切なアニオン性電着可能樹脂組成物は、樹脂ポリオールの混合エステルを含む。これらの組成物は、米国特許第3,749,657号、第9欄、1〜75行および第10欄、1〜13行(これら全ては本明細書中で参考として援用される)に詳細に記載される。当業者に周知のリン酸塩化ポリエポキシドまたはリン酸塩化アクリルポロイマーのような他の酸官能性ポリマーもまた使用され得る。さらに、1つ以上のペンダントカルバメート官能基を含む樹脂(例えば、米国特許第6,165,338号に記載されるもの)が、樹脂(a)として使用するのに適切である。
【0062】
本発明の1つの特定の実施形態において、活性水素含有イオン性電着可能樹脂(a)は、カチオン性であり、かつカソード上に堆積し得る。このようなカチオン性フィルム形成樹脂の非限定的な例としては、アミン塩の基を含有する樹脂(例えば、ポリエポキシドと1級または2級のアミンとの酸可溶化反応生成物(例えば、米国特許第3,663,389号;同第3,984,299号;同第3,947,338号;および同第3,947,339号に記載されるもの))が挙げられる。通常、これらのアミン塩の基を含有する樹脂は、以下に詳細に記載されるように、ブロック化イソシアネート硬化剤と組み合わせて使用される。このイソシアネートは、上記の米国特許第3,984,299号に記載されるように完全にブロックされ得るか、またはこのイソシアネートは、米国特許3,947,338号に記載されるように、部分的にブロックされて、樹脂骨格と反応され得る。また、米国特許第4,134,866号およびDE−OS No.2,707,405に記載されるような一成分組成物が、本発明の電着可能コーティング組成物において樹脂(a)として使用され得る。すぐ上で考察されたエポキシ−アミン反応生成物に加えて、樹脂(a)はまた、米国特許第3,455,806号および同第3,928,157号に記載されるようなカチオン性アクリル樹脂から選択され得る。
【0063】
アミン塩の基を含有する樹脂に加えて、4級アンモニウム塩の基を含有する樹脂もまた用いられ得る。これらの樹脂の例としては、有機ポリエポキシドと3級アミン塩との反応から形成されるものが挙げられる。このような樹脂は、米国特許第3,962,165号;同第3,975,346号;および同第4,001,101号に記載される。他のカチオン性樹脂の例は、3級スルホニウム塩の基を含有する樹脂および4級ホスホニウム塩の基を含有する樹脂(例えば、それぞれ、米国特許3,793,278号および同第3,984,922号に記載されるもの)である。また、エステル交換によって硬化するフィルム形成樹脂(例えば、欧州出願番号12463に記載されるもの)が使用され得る。さらに、Mannich塩基から調製されるカチオン性組成物(例えば、米国特許第4,134,932号に記載されるもの)が使用され得る。
【0064】
本発明の一実施形態において、樹脂(a)は、1級および/または2級のアミン基を含む1つ以上の正に荷電した樹脂を含み得る。このような樹脂は、米国特許第3,963,389号;同第3,947,339号;および同第4,116,900号に記載される。米国特許第3,947,339号において、ポリアミンのポリケチミン誘導体(例えば、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラアミン)が、ポリエポキシドと反応される。この反応生成物が酸で中和され、そして水中に分散されると、遊離の1級アミン基が生成する。また、ポリエポキシドが過剰のポリアミン(例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラアミン)と反応され、そしてこの過剰のポリアミンが反応混合物から真空ストリップされると、等価な生成物が形成される。このような生成物は、米国特許第3,663,389号および同第4,116,900号に記載される。
【0065】
上記のイオン性樹脂の混合物はまた、有利に使用され得る。本発明の一実施形態に置いて、樹脂(a)は、カチオン性塩の基を有するポリマーを含み、そして1級、2級および/または3級のアミン基(例えば、上記のアミン基)を有するポリエポキシドベースのポリマー、およびヒドロキシル官能基および/またはアミン官能基を有するアクリルポリマーから選択される。
【0066】
先に考察したように、本発明の1つの特定の実施形態に置いて、樹脂(a)は、カチオン性塩の基を含む。この場合、このようなカチオン性塩の基は、代表的に、樹脂を無機
酸または有機酸(例えば、電着可能組成物で慣習的に使用される酸)で可溶化することによって形成される。可溶化酸の適切な例としては、スルファミン酸、酢酸、乳酸、およびギ酸が挙げられるが、これらに限定されない。スルファミン酸および乳酸が、最も一般的に用いられる。
【0067】
また、上記のように、電着可能コーティング組成物の樹脂相の共有結合ハロゲン含有量は、樹脂(a)に共有結合したハロゲン原子に由来し得る。このような場合、共有結合ハロゲン含有量は、上記のフィルム形成イオン性樹脂の任意のものを形成するために使用される反応体に起因し得る。例えば、アニオン性基含有ポリマーの場合、樹脂は、ハロゲン化フェノール(例えば、塩素化ビスフェノールAまたは臭素化ビスフェノールAのようなハロゲン化多価フェノール)と、エポキシド化合物、次いでリン酸との反応生成物、あるいは、エポキシ化合物とハロゲン化カルボン酸、次いで任意の樹脂エポキシ基とリン酸との反応の反応生成物であり得る。次いで、酸基は、アミンで可溶化され得る。同様に、カチオン性塩の基を含有するポリマーの場合、樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとハロゲン化フェノール、次いで任意の樹脂エポキシ基とアミンとの反応の反応生成物であり絵r。次いで、この反応生成物は、酸で可溶化され得る。
【0068】
本発明の一実施形態において、樹脂(a)の共有結合ハロゲン含有量は、ハロゲン化フェノール、トリクロロブチレンオキシド、およびそれらの混合物に由来し得る。本発明の別の実施形態に置いて、樹脂(a)の共有結合ハロゲン含有量は、ハロゲン化多価フェノール(例えば、テトラクロロビスフェノールAのような塩素化ビスフェノールA、またはテトラブロモビスフェノールAのような臭素化ビスフェノールA)に由来する。本発明のさらなる実施形態において、樹脂(a)の共有結合ハロゲン含有量は、ハロゲン化エポキシ化合物(例えば、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)に由来し得る。
【0069】
上記の活性水素含有イオン性電着可能樹脂(a)は、電着可能コーティング組成物の全重量を基準にして、5〜90重量%、通常は10〜80重量%、しばしば10〜70重量%、そして代表的には10〜30重量%の範囲の量で、本発明の電着可能コーティング組成物中に存在し得る。
【0070】
上記のように、本発明の電着可能コーティング組成物の樹脂相は、(b)すぐ上で記載されたイオン性電着可能樹脂(a)の活性水素と反応するように適合された硬化剤をさらに含む。ブロック化有機ポリイソシアネートおよびアミノプラスト硬化剤の両方が、本発明で使用するのに適切であるが、ブロック化イソシアネートは代表的に、カソード電着のために使用される。
【0071】
アミノプラスト樹脂(これはアニオン性電着のための一般的な硬化剤である)は、アミンまたはアミドとアルデヒドとの縮合生成物である。適切なアミンまたはアミドの例は、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素および類似の化合物である。一般に、用いられるアルデヒドはホルムアルデヒドであるが、生成物はアセトアルデヒドおよびフルフラールのような他のアルデヒドから作製され得る。この縮合生成物は、用いられる特定のアルデヒドに依存して、メチロール基または他の類似のアルキロール基を含む。好ましくは、これらのメチロール基は、アルコールとの反応によってエーテル化される。用いられる種々のアルコールとしては、1〜4個の炭素原子を含む一価のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびn−ブタノール)が挙げられ、メタノールが好ましい。アミノプラスト樹脂は、American Cyanamid Co.から、CYMELの商品名で市販されており、Monsanto Chemical Co.からRESIMENEの商品名で市販されている。
【0072】
アミノプラスト硬化剤は、代表的には、電着可能コーティング組成物の樹脂固体の全重量に基づいて、1〜90重量%、しばしば5〜約60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲の量で、活性水素含有アニオン性電着可能樹脂と共に使用される。
【0073】
カソード電着組成物で一般的に用いられる硬化剤は、ブロック化ポリイソシアネートである。このポリイソシアネートは、米国特許第3,984,299号、第1欄、1〜68行、第2欄および第3欄、1〜15行に記載されるように、完全にブロックされ得るか、または米国特許第3,947,338号、第2欄、65〜68行、第3欄および第4欄、1〜30行に記載されるように、部分的にブロックされ、ポリマー骨格と反応される。これらの米国特許第は本明細書中で参考として援用される。「ブロック化(blocked)」とは、イソシアネート基が化合物と反応され、その結果、得られるブロック化イソシアネート基が、周囲温度において活性水素に対して安定であるが、高温(通常は、90℃と200℃との間)では、フィルム形成ポリマー中の活性水素と反応することを意味する。
【0074】
適切なポリイソシアネートとしては、芳香族および脂肪族のポリイソシアネート(脂環式ポリイソシアネートを含む)が挙げられ、そして例示的な例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)(それらの混合物を含む)、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリメチレンポリフェニルイソシアネートとの混合物が挙げられる。トリイソシアネートのようなより高級なポリイソシアネートが使用され得る。例としては、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートが挙げられる。ポリオール(例えば、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパン)とのイソシアネートプレポリマー、およびポリマーポリオール(例えば、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオール)とのイソシアネートプレポリマー(NCO/OH当量比は、1より大きい)もまた使用され得る。
【0075】
ポリイソシアネート硬化剤は、代表的に、電着可能コーティング組成物の全重量に基づいて、1〜90重量%、通常は1〜80重量%、しばしば1〜70重量%、そして代表的には1〜15重量%の範囲の量で、活性水素含有カチオン性電着可能樹脂(a)と共に使用される。
【0076】
米国特許第4,435,559号および同第5,250,164号に記載の硬化剤のようなβヒドロキシウレタン硬化剤もまた適切である。このようなβヒドロキシウレタンは、イソシアネート化合物(例えば、すぐ上で記載されたもののいずれか)、1,2−ポリオールおよび/または従来のブロッキング剤(例えば、モノアルコール)から形成される。米国特許第4,495,229号および同第5,188,716号に記載の2級アミンブロック化脂肪族イソシアネートおよび脂環式イソシアネートもまた適切である。
【0077】
先に考察されたように、本発明の一実施形態において、硬化剤(b)は、この硬化剤(b)中に存在する全樹脂固体の重量に基づいて、60重量%まで、しばしば1〜50重量%、しばしば2〜80重量%、通常は5〜25重量%、そして10〜20重量%の共有結合ハロゲン顔料を有する。このような場合、硬化剤(b)中に存在するこの共有結合ハロゲン含有量は、例えば、4−クロロ−6−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネートを適切なブロッキング剤(例えば、2−ブトキシエタノール)で少なくとも部分的にブロックすることによって調製され得るハロゲン含有ブロック化イソシアネートに起因し得る。部分的にブロックされる場合、任意の残存するイソシアネート基は、ポリオール(例えば、トリメチロールプロパン)と反応され得、それにより硬化剤の分子量が増加する。
【0078】
本発明のさらなる実施形態において、電着可能コーティング組成物中の樹脂相に存在する共有結合ハロゲン含有量は、樹脂(a)および硬化剤(b)とな異なり、これらに加えて存在する成分(c)に由来し得る。このような場合、この成分(c)は、代表的に、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化リン酸エステル、ハロゲン化フェノール(例えば、上記のハロゲン化フェノールのいずれか)からなる群から選択される共有結合ハロゲン含有化合物である。
【0079】
上記のように、電着可能コーティング組成物の樹脂相中に存在する共有結合ハロゲン含有量は、樹脂(a)、硬化剤(b)、成分(c)または上記の任意の組み合わせに由来し得るが、ただし、共有結合ハロゲン含有量は、得られる電着可能コーティングが、電気泳動により適用され、そして硬化された場合、先に考察されたIPC−TM−650に従う難燃試験に合格することを確実にするのに十分である。電着可能コーティング組成物の樹脂相の共有結合ハロゲン含有量はまた、電着プロセスおよび/または得られる誘電コーティング特性に悪影響を与えるのに不十分な量で存在するべきである。
【0080】
本発明の一実施形態において、この電着可能コーティング組成物は、レオロジー改変剤をさらに含み得、このレオロジー改変剤は、穴の表面上または壁部を介して、および開口部を介して縁部で、誘電コーティングの滑らかかつ均一な厚みの堆積を援助し得る。コーティングの分野で周知の種々のレオロジー改変剤の任意のものが、この目的のために用いられ得る。
【0081】
1つの適切なレオロジー改変剤は、カチオン性ミクロゲル分散剤を含み、このカチオン性ミクロゲル分散剤は、水性媒体中に、カチオン性ポリエポキシド−アミン反応生成物(これは、アミン基、代表的には1級アミン基、2級アミン基およびそれらの混合物を含む)と、ポリエポキシド架橋剤との混合物を分散させ、この混合物を、この混合物を架橋するのに十分な温度まで加熱し、それによりカチオン性ミクロゲル分散剤を形成することによって調製される。このようなカチオン性ミクロゲル分散剤およびその調製は、米国特許第5,096,556号、第1欄、66行〜第5欄、13行(本明細書中で参考として援用される)に詳細に記載される。他の適切なレオロジー改変剤としては、EP 0 272 500 B1に詳細に記載されるシェル−コア形態を有するカチオン性ミクロゲル分散剤が上げられる。このミクロゲルは、カチオン性フィルム形成樹脂および熱硬化性架橋剤の水性媒体を乳化し、その得られたエマルジョンを、これら2つの成分を架橋するのに十分な温度まで加熱することによって調製される。
【0082】
カチオン性ミクロゲルは、適切なレオロジー制御およびホールエッジ範囲(hole edge coverage)を及ぼすのに十分であるが、適用の際の電着可能組成物の流動、または硬化コーティングの表面粗さに悪影響を与えるには不十分な量で、電着可能コーティング組成物中に存在する。例えば、すぐ上で記載されたカチオン性ミクロゲルは、樹脂相中に存在する全樹脂固体の重量に基づいて、0.1から30重量%、代表的には1〜10重量%の範囲の量で、電着可能コーティング組成物の樹脂相中に存在し得る。
【0083】
この電着可能コーティング組成物は、水性分散剤の形態である。用語「分散」は、樹脂が分散相に存在し、そして水が連続相に存在する、透明、半透明または不透明なニ相樹脂系であると考えられる。樹脂相の平均粒子サイズは、一般に10ミクロン未満、通常は0.5ミクロン未満、そして代表的には0.15ミクロン未満である。
【0084】
水性媒体中の樹脂相の濃度は、水性分散剤の全重量に基づいて、少なくとも1重量%、通常は2〜60重量%である。本発明の組成物が樹脂濃縮物の形態である場合、この組成物は、一般に、水性分散剤の重量に基づいて、20〜60重量%の樹脂固体含有量を有する。
【0085】
本発明の電着可能コーティング組成物は、代表的に、以下の2つの成分として提供される(1)透明な樹脂供給物(feed)(これは、一般に、活性水素含有イオン性電着可能樹脂、すなわち、主要フィルム形成ポリマー、硬化剤および任意のさらなる水分散性非顔料成分を含む);ならびに(2)顔料ペースト(これは一般に、1つ以上の顔料、水分散性粉砕樹脂(これは主要フィルム形成ポリマーと同じであっても異なっていてもよい)、および必要に応じて、触媒、および湿潤助剤または分散助剤のような添加剤を含む)。電着可能コーティング組成物(1)および(2)は、水、および通常は電着浴を形成するための結合(coalecing)溶媒を含む水性媒体中に分散される。あるいは、本発明の電着可能組成物は、1成分組成物として供給され得る。本発明の特定の実施形態において、この電着可能コーティング組成物は、実質的に顔料を含まない1成分組成物として供給され得る。
【0086】
成分(c)が、用いられる場合、電着浴の形態の電着可能コーティング組成物中に組み込まれ得る種々の方法が挙げられる存在することが理解されるはずである。成分(C)は、「ニート」で組み込まれ得る。すなわち、この成分(C)またはその水溶液は、分散された電着組成物成分(1)および(2)に直接加えられ得るか、または適用可能な場合、分散された1成分電着組成物に加えられ得る。あるいは、成分(c)は、成分(1)および(2)を水性媒体に分散する前に、透明樹脂供給物(または、任意の個々の透明樹脂供給物成分(例えば、フィルム形成樹脂または硬化剤))と混合され得るか、またはこの中に分散され得る。さらに、成分(C)は、成分(1)および(2)を水性媒体中に分散する前に、顔料ペースト、または任意の個々の顔料ペースト成分(例えば、顔料粉砕樹脂)と混合され得るか、またはこの中に分散され得る。最後に、成分(C)は、電着浴に、オンラインで直接加えられ得る。
【0087】
電着浴の形態の電着可能コーティング組成物は、代表的に、電着浴の全重量に基づいて、5〜25重量%の範囲内の樹脂固体含有量を有する。
【0088】
上記のように、水に加えて、水性媒体は、結合溶媒を含み得る。通常の結合溶媒としては、炭化水素、アルコール、エステル、エーテルおよびケトンが挙げられる。有用な結合溶媒としては、アルコール、ポリオールおよびケトンが挙げられる。特定の結合溶媒としては、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、イソホロン、2−メトキシペンタノン、エチレンおよびプロピレングリコール、ならびにグリコールエーテル(例えば、エチレングリコールのモノエチルエーテル、モノブチルエーテルおよびモノヘキシルエーテル)が挙げられる。結合溶媒の量は、水性媒体の全重量に基づいて、一般的に約0.01重量%と25重量%との間、および使用される場合、好ましくは約0.05〜値約5重量%である。
【0089】
代表的には、顔料を実質的に含まないが、所望ならば、顔料組成物および/または種々の添加剤(例えば、界面活性剤、湿潤剤または触媒)が、分散剤に含められ得る。この顔料組成物は、顔料(例えば、酸化鉄、クロム酸ストロンチウム、カーボンブラック、二酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、および当該分野で周知の色付与顔料)を含む従来のタイプであり得る。電着浴はまた、所望の場合、クロム含有顔料および/または鉛含有顔料を本質的に含み得ない。
【0090】
この分散剤の顔料含有量は、通常、顔料 対 樹脂の比として表される。本発明の実施において、顔料が用いられる場合、顔料 対 樹脂の比は、通常、約0.02〜1:1の範囲内である。上記の他の添加剤が通常、樹脂固体の重量に基づいて、0.01〜10重量%の範囲の量で、この分散剤中に存在する。
【0091】
以下の実施例は本発明の例示であり、この実施例は本発明をその細部に限定すると解釈されるべきではない。そうでないことが記載されない限り、以下の実施例および本明細書全体にわたる全ての部および%は、重量部および重量%である。
【実施例】
【0092】
以下は、本発明のプロセスを使用する回路化基板(circuitized substrate)の調製を記載する。実施例Aは、実施例1の電着可能コーティング組成物で使用されるテトラブロモビスフェノールAから構成される樹脂バインダーの調製を記載する。電着浴の形態の実施例1の電着可能コーティング組成物は、穿孔基板上に順応性の誘電コーテイングを提供するために使用され、これは続いて、以下に記載されるようにして、金属化され、光画像化され、現像され、そしてストリッピングされた。
【0093】
(実施例A)
この実施例は、以下の実施例1の電着可能コーティング組成物で使用されるカチオン性樹脂バインダーの調製を記載する。この樹脂バインダーを、以下の成分から、以下に記載されるようにして調製した。列挙される値の全ては、重量部(g)を現わす。
【0094】
【表1】

以下の成分から調製されるポリイソシアネート硬化剤:
【0095】
【表2】

BASF CorporationからMACOL 98Bとして入手可能なビスフェノールA/エチレンオキシド付加物。
BASF CorporationからMAZON 1651として入手可能。
Bayer Corporationから入手可能なイソシアネート。
【0096】
初めの5つの成分を、適切に装備した反応容器に、攪拌しながら充填した。温度が約25℃に達すると、DESMODUR LS2096を添加し始めた。温度は105℃まで上昇し、この時点で、メチルイソブチルケトンの最後の添加を行った。温度を100℃に維持し、この反応を、赤外線分光法によってNCOの消失についてモニタリングし、この時点で温度を80℃まで下げた。
Shell Oil and Chemical Companyから入手可能なビスフェノールAのジグリシジルエーテル。
BASF Corporationから入手可能な界面活性剤。
88%水溶液。
以下の成分から調製されるカチオン性樹脂:
【0097】
【表3】

BASF Corporationから入手可能なアミンジオール。
【0098】
初めの2つの成分を、適切に装備した反応容器に充填し、そして10分間攪拌し、この時点で、ジブチルスズジラウレートを添加した。トルエンジイソシアネートをゆっくりと添加し、ここでこの反応を100℃の温度まで発熱させ、そして全てのNCOの消失が赤外線分光法によってモニタリングされるまで、この温度を維持した。このように調製した樹脂を、スルファミン酸および脱イオン水を攪拌しながら添加して可溶化した。最終の分散剤は、26重量%の測定樹脂固体含有量を有していた。
【0099】
架橋剤を、適切に装備した反応容器に添加した。次の4つの成分を、穏やかに攪拌しながら、この反応容器に添加し、そしてこの反応混合物を75度の温度まで加熱し、この時点で、ジエタノールアミンを添加した。この反応混合物をこの温度で30分間維持した。次いで、アミノプロピルジエタノールアミンを添加し、そしてこの反応混合物を132度まで発熱させ、そしてこの温度で2時間維持した。蒸留物を除去した。可溶化のために、この反応性生物を、穏やかに攪拌しながら、スルファミン酸、脱イオン水、乳酸およびカチオン性樹脂中間体の混合溶液に添加した。次いで、ガムロジン溶液をこの可溶化樹脂に添加し、続いて、脱イオン水を2回に分けて逐次的に添加した。過剰の水および溶媒を、減圧下、60〜65℃の温度で除去した。最終反応性生物は、約40重量%の測定樹脂固体含有量を有した。
【0100】
(実施例1)
以下の実施例は、上記実施例Aのカチオン性樹脂バインダーを含む電着浴の形態の本発明の電着可能コーティング組成物の調製を記載する。この電着可能コーティング組成物を、以下の成分から、以下に記載されるようにして調製した。列挙される値の全ては、重量部(g)を表わす。
【0101】
【表4】

PPG Industries,Inc.から入手可能な触媒ペースト。
【0102】
上に列挙される成分をあわせ、そして穏やかに攪拌しながら混合した。この組成物を、50%限外濾過し、そして脱イオン水で再構築した。
【0103】
(回路化基板の調製)
500ミクロン間隔(中心間)で配置された、正方形格子アレイの200ミクロン直径の穴を含むINVAR金属穿孔の単層(50ミクロン厚)(BMC Industries,Inc.の部門であるBuckbee−Mearsにより供給)を洗浄し、そしてミクロエッチングして、所望でない汚れ、油および酸化物を除去した。次いで、この予備洗浄した穿孔基板を、電気メッキして、9ミクロン厚を有する銅金属の層を提供した。
【0104】
上記実施例1の電着可能コーティング組成物を、電着浴中、105°F(41℃)の温度で、90ボルトで2分間、この電気メッキした基板に電気泳動により適用した。このエレクトロコーティングされた基板を、脱イオン水でリンスし、そして風乾し、この穿孔基板の全ての穴が水を含まないようにした。このエレクトロコーティングされた基板を350°F(177℃)の温度で30分間加熱して、電着可能コーティングを硬化し、それにより20ミクロンの硬化誘電フィルム厚を提供した。
【0105】
次いで、このエレクトロコーティングされた基板を金属化した。この基板を、50℃の温度で30分間加熱して、取り扱いの間に吸着された可能性のある任意の水分を除去した。このように乾燥させた基板を、直ちに、アルゴンイオンでのプラズマ処理のための真空チャンバに導入して、コーティング表面を活性化した。次いで、この基板表面を200Åのニッケルでスパッタコーティングし、続いて3000Åの銅でスパッターコーティングした。このように形成された金属層を、さらなる9ミクロンの銅で電気メッキした。
【0106】
この金属化基板を洗浄し、そしてミクロエッチングして、この金増表面から任意の汚れ、油または酸化物を除去し、次いで84°F(29℃)の温度で、80ボルトで90秒間、ELECTROIMAGE(登録商標)PLUSフォトレジスト(PPG Industries,Inc.から入手可能)で電気泳動によりコーティングした。次いで、このコーティングされた基板を脱イオン水でリンスし、そして250°F(120℃)の温度で6分間加熱して、任意の残留溶媒および/または水を除去した。5ミクロンの乾燥フィルム厚を有するフォトレジストコーティングを得た。次いで、このコーティングされた基板の各面を、フォトツールを介して紫外線源に曝露し、そしてフォトレジスト現像溶液であるELECTROIMAGE(登録商標)Developer EID−523(PPG Industries,Inc.から入手可能)で現像して、予め選択した領域の銅を露出させた。この露出された銅の領域を塩化銅酸腐食剤でエッチングし、そして残存しているフォトレジストを、ELECTROIMAGE(登録商標)ストリッパーEID−568フォトレジストストリッピング溶液(PPG Industries,Inc.から入手可能)でストリップし、それにより回路化基板を提供した。
【0107】
広い本発明の概念から逸脱することなく、上記の実施例に対して変更が行われることが当業者によって理解される。従って、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲により規定されるように、本発明の精神および範囲内にある変更を網羅することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板中に金属化バイアを形成するためのプロセスであって、以下の工程:
(I)電気伝導性基板に、その上に順応性の誘電性コーティングを形成するため、該基板のすべての剥き出た表面上に電着可能なコーティング組成物を、電気泳動により付与する工程であって、
該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散された樹脂相を含み、該樹脂相が:
(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン基含有樹脂であって、該樹脂がポリエポキシドポリマーおよびカチオン性アミン塩の基を含む、樹脂、および
(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤であって、該硬化剤がブロックされたポリイソシアネートを含む、硬化剤、
を含み、該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、1重量%〜50重量%の共有結合したハロゲン含量を有し、硬化された誘電性コーティングが、IPC−TM−650に従う難燃性試験を通過する、工程、
(II)所定のパターンで該順応性の誘電性コーティングの表面を切除する工程であって、該基板の1つ以上のセクションを剥き出す工程;
(III)金属の層をすべての表面に付与する工程であって、該基板中に金属化バイアを形成する工程、を包含する、プロセス。
【請求項2】
前記順応性の誘電性コーティングが、前記工程(II)の前または後に、該誘電性コーティングを硬化するに十分な温度および時間、加熱され、硬化された該誘電性コーティングが3.50を超えない誘電率を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記硬化された誘電性コーティングが、0.01を超えない誘電損率を有する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
回路アセンブリを製作するプロセスであって:
(I)電気伝導性のコアを提供する工程、
(II)該コアのすべての剥き出た表面上に電着可能なコーティング組成物を電気泳動により付与する工程であって、その上に順応性の誘電性コーティングを形成し、
該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散した樹脂相を含み、該樹脂相が:
(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン性塩の基含有樹脂、および
(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤であって、該硬化剤がブロックされたポリイソシアネートを含む、硬化剤
を含み、該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、1重量%〜50重量%の共有結合したハロゲン含量を有し、該共有結合したハロゲン含量が、テトラブロモビスフェノールA由来であり、硬化された誘電性コーティングが、IPC−TM−650に従う難燃性試験を通過する、工程、
(III)所定のパターンで該順応性の誘電性コーティングの表面を切除する工程であって、該コアのセクションを剥き出す工程;
(IV)金属の層をすべての表面に付与する工程であって、該コア中に金属化バイアを形成する工程;および
(V)該金属相に樹脂感光層を付与する工程、を包含する、プロセス。
【請求項5】
回路アセンブリを製作するプロセスであって:
(I)電気伝導性のコアを提供する工程、
(II)該コアのすべての剥き出た表面上に電着可能なコーティング組成物を電気泳動により付与する工程であって、その上に順応性の誘電性コーティングを形成し、
該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散した樹脂相を含み、該樹脂相が:
(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン性塩の基含有樹脂、および
(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤
を含み、該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、1重量%〜50重量%の共有結合したハロゲン含量を有し、該硬化剤(b)が、該硬化剤(b)中に存在する樹脂固形分の総重量に基づき1〜50重量%の範囲の共有結合したハロゲン含量を有し、硬化された誘電性コーティングが、IPC−TM−650に従う難燃性試験を通過する、工程、
(III)所定のパターンで該順応性の誘電性コーティングの表面を切除する工程であって、該コアのセクションを剥き出す工程;
(IV)金属の層をすべての表面に付与する工程であって、該コア中に金属化バイアを形成する工程;および
(V)該金属相に樹脂感光層を付与する工程、を包含する、プロセス。
【請求項6】
前記電着可能なコーティング組成物の樹脂相の共有結合したハロゲン含量が、前記樹脂(a)および硬化剤(b)とは異なり、かつそれに加えて存在する成分(c)から少なくとも一部由来し、成分(c)が、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化リン酸エステル、ハロゲン化フェノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される共有結合したハロゲン含有化合物を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記電着可能なコーティング組成物が、レオロジー改変剤をさらに含み、該レオロジー改変剤が、水性媒体中に、一級アミン基、二級アミン基およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミン基を含む、カチオン性ポリエポキシド−アミン反応生成物と、ポリエポキシド架橋剤との混合物を分散し、そして該混合物を、該混合物が架橋して該カチオン性マイクロゲル分散物を形成するに十分な温度に加熱することにより調製されるカチオン性ミクロゲル分散物を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
前記工程(III)の前に、前記順応性のコーティングが、該コーティングが硬化するに十分な温度および時間、加熱され、該硬化した順応性コーティングが、3.50以下の誘電率を有する、該請求項4に記載のプロセス。
【請求項9】
回路アセンブリを製作するプロセスであって:
(I)電気伝導性のコアを提供する工程;
(II)該コアの表面上の所定の位置にフォトレジストを提供する工程;
(III)該工程(II)のコアの上に、電着可能なコーティング組成物を電気泳動によって付与する工程であって、ここで、該コーティング組成物が、その上にフォトレジストを有する位置を除く該コアのすべての表面上に電気泳動によって堆積され、
該電着可能なコーティング組成物が、水相中に分散された樹脂相を含み、該樹脂相が:
(a)非ゲルの活性水素を含有するイオン性塩の基含有樹脂であって、該樹脂がポリエポキシドおよびカチオン性アミン塩の基を含む、樹脂、および
(b)該樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤であって、該硬化剤がブロックされたポリイソシアネートを含む、硬化剤、
を含み、該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固形分の総重量を基づき、1重量%〜50重量%の共有結合したハロゲン含量を有し、硬化された誘電性コーティングが、IPC−TM−650に従う難燃性試験を通過する、工程、
(IV)該電気泳動により付与されたコーティング組成物を硬化する工程であって、その上にフォトレジストを有する位置を除く該コアのすべての表面上に硬化した順応性の誘電層を形成する工程;
(V)該フォトレジストを除去する工程であって、該レジストで先にコーティングされた位置で該コアまで延びるバイアを有する回路アセンブリを形成する工程;および
(VI)必要に応じて、前記工程(V)の回路アセンブリのすべての表面に金属の層を付与する工程であって、該コアまで延びる金属バイアを形成する工程、を包含する、プロセス。
【請求項10】
前樹脂相の共有結合したハロゲン含量が、前記樹脂(a)および硬化剤(b)とは異なり、かつそれに加えて存在する成分(c)に少なくとも一部由来し、該成分(c)が、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化リン酸エステル、ハロゲン化フェノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の共有結合したハロゲン含有化合物を含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記硬化した順応性の誘電性コーティングが、3.50以下の誘電率を有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1に記載のプロセスにより形成される、基板。
【請求項13】
請求項4に記載のプロセスにより形成される、回路アセンブリ。
【請求項14】
請求項9に記載のプロセスにより形成される、回路アセンブリ。

【公開番号】特開2011−97123(P2011−97123A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33871(P2011−33871)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2007−157853(P2007−157853)の分割
【原出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】