説明

電着可能塗装組成物およびそれらに関連した方法

本発明は、金属イオンの存在下での耐久性を向上させた硬化可能電着可能塗装組成物を提供する。この塗装組成物は、1種またはそれ以上の非ゲル化活性水素含有イオン塩基含有樹脂(これらは、電極上に電着可能である)、1種またはそれ以上の硬化剤、および1種またはそれ以上の金属不活性化剤を含有する。別の実施態様では、本発明は、導電性基板を塗装する方法に関する。この方法は、(a)該基板上に硬化可能電着可能塗装組成物を電気泳動的に析出させて、該基板の少なくとも一部を覆う電着被覆を形成する工程;および(b)工程(a)の塗装された基板を、該基板上の該電着被覆を硬化するのに十分な時間にわたって十分な温度まで加熱する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、電着可能塗装組成物および該組成物を使用して導電性基板を塗装する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
塗装の塗布方法としての電着は、加えた電位の影響下にて、導電性基板上に塗膜形成組成物を析出させることが関与している。電着は、非電着塗装手段と比較して、塗料利用を増やし、腐食保護を向上させ、そして環境汚染を減らすので、塗装工業において、益々重要となっている。
【0003】
初期には、電着は、塗装する加工物をアノードとして働かせて、行っていた。これは、アニオン電着と呼ばれて、よく知られていた。しかしながら、1972年に、カチオン電着が商業的導入され、一般的に受け入れられている。今日では、カチオン電着は、はるかに普及した電着方法である。例えば、全世界で生産されている全ての自動車の80パーセントを超える自動車に、電着によって、カチオンプライマー塗装が施されている。
【0004】
多くの工業用途には、脂肪族イソシアネートで架橋した電着可能アクリル塗装が利用されている。アクリル塗装は、代表的には、エポキシ系対応物よりも、紫外線で誘発される劣化に対して安定である。このような塗装は、しばしば、ワンコート塗布で使用されているか、あるいはクリアトップコートと併用されている。電着可能プライマー塗装組成物(特に、自動車工業で使用されるもの)は、代表的には、芳香族イソシアネートで架橋された腐食耐性エポキシ系組成物である。もし、紫外線のエネルギー(例えば、日光)に晒されたなら、これらの組成物は、光劣化を受け得る。殆どの用途では、プライマー−サーフェサーは、1層またはそれ以上のトップコートを塗布する前に、硬化され電着された被覆に直接噴霧塗布される。このプライマー−サーフェサーは、この塗装系に種々の特性を与え得、これには、電着された被覆を光劣化から保護することが挙げられる。あるいは、1層またはそれ以上のトップコートは、硬化され電着された被覆に直接塗布でき、このような場合、これらのトップコートは、代表的には、電着されたプライマー被覆の光劣化を防止するのに十分な保護を与えるように、調合される。もし、このトップコートが十分な保護を与えないなら、電着されたプライマー被覆の光劣化により、引き続いて塗布されたトップコートが、硬化された電着塗装されたプライマー被覆から層間剥離を引き起こし得、硬化された塗装系が破壊される。
【0005】
電着浴に金属塩(特に、鉄塩)が存在すると、電着された被覆の耐久性に悪影響を及ぼすことが知られている。鉄イオンは、鉄製の材料と接触される電着浴において、普通に存在している。鉄汚染の一般的な供給源には、タンク内に落とされた鉄基板、溶接からの鉄の跳ね出し、電着前に鉄部品を研磨することに生じる鉄の薄片および粉末、前処理化学薬品の持ち越し、ポンプハウジング、およびパイプなどが挙げられる。
【0006】
電着浴中の金属イオン(特に、鉄イオン)を減らすかまたは除去する試みは、当該分野で報告されている。1つの方法には、鉄が入った電着浴に鉄キレート剤を加えることを含む。このキレート剤は、鉄イオンまたは通常の重金属イオンと水溶性錯体を形成するように選択され、これらは、次いで、限外濾過により、この浴から物理的に除去される。このアプローチの1つの問題は、可溶性錯体を形成する多くのキレート剤がまた、塗装する基板を溶解する方向で攻撃的となり、それによって、存在しているキレート剤のレベルを厳しく調節する必要があるだけでなく、その結果生じた錯体を電着浴から適宜除去する必要がある。
【0007】
また、当該分野では、鉄イオン化インヒビターを含有する電着可能塗装組成物が公知であり、これは、金属性イオンの解離速度を遅くすることにより、許容できる鉄イオンのレベルを維持するのを助け得る。金属性基板の溶解を阻止するかその表面を不動態化するかいずれかの化合物が、電着可能浴組成物に含有できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の従来技術は、電着塗料浴から金属イオンを除去するかそこに導入される金属イオンの量を減らす方法を扱っている。記述された方法は、これらの金属イオンを除去する目的の添加剤を慎重にモニターして調節する必要がある。塗装工業において、依然として、最低限の維持管理で金属イオンの悪影響を抑制する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
1実施態様では、本発明は、金属イオンの存在下にて、耐久性を向上させた硬化可能電着可能塗装組成物に関する。該塗装組成物は、水性媒体に分散された樹脂相を含む。該樹脂相は、以下を含む:(a)1種またはそれ以上の非ゲル化活性水素含有イオン塩基含有樹脂であって、該樹脂は、電極上に電着可能である;(b)1種またはそれ以上の硬化剤;および(c)1種またはそれ以上の金属不活性化剤。
【0010】
別の実施態様では、本発明は、導電性基板を塗装する方法に関する。該方法は、以下の工程を包含する:(a)該基板上に硬化可能電着可能塗装組成物を電気泳動的に析出させて、該基板の少なくとも一部を覆う電着被覆を形成する工程;および(b)工程(a)の塗装された基板を、該基板上の該電着被覆を硬化するのに十分な時間にわたって十分な温度まで加熱する工程。該電着可能塗装組成物は、水性媒体に分散された樹脂相を含む。該樹脂相は、以下を含む:(i)1種またはそれ以上の非ゲル化活性水素含有イオン塩基含有樹脂であって、該樹脂は、電極上に電着可能である;(ii)1種またはそれ以上の硬化剤;および1種またはそれ以上の金属不活性化剤。
【0011】
(発明の詳細な説明)
操作実施例以外、または特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを示す全ての数値または表現は、いずれの場合にも、「約」との用語により修飾されることが理解できるはずである。従って、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で述べた数値パラメータは、他にそうでないことが示されていない限り、近似値であり、これは、本発明で得るように求めた所望の特性に依存して、変わり得る。少なくとも、この特許請求の範囲の等価物の原則の適用に限定しようとするのではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の端数計算技術を適用することにより、解釈すべきである。
【0012】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例で述べた数値は、できるだけ正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それらの各個の試験測定で見られる標準偏差から生じる一定の誤差を含む。
【0013】
また、本明細書中で列挙した任意の数値範囲は、その中に組み込まれる全ての副次範囲を含むと解釈されることが理解できるはずである。例えば、「1〜10」の範囲は、列挙した最小数である1と列挙した最大数である10との間の全ての副次範囲(これらの数を含めて)を含むと解釈され、すなわち、1に等しいかそれより大きい最小数および10に等しいかそれ未満の最大数を有する。
【0014】
上述のように、1実施態様では、本発明は、金属イオンの存在下にて、耐久性を向上させた硬化可能電着可能塗装組成物に関する。該塗装組成物は、水性媒体に分散された樹脂相を含む。該樹脂相は、以下を含む:(a)1種またはそれ以上の非ゲル化活性水素含有イオン塩基含有樹脂であって、該樹脂は、電極上に電着可能である;(b)1種またはそれ以上の硬化剤;および(c)1種またはそれ以上の金属不活性化剤。「非ゲル化」とは、樹脂が実質的に架橋を含まず、適切な溶媒に溶解したとき、例えば、ASTM−D1795またはASTM−D4243に従って測定されるような固有粘度を有することを意味する。この樹脂の固有粘度は、その分子量の指標である。他方、ゲル化樹脂は、事実上無限に高い分子量であるので、高すぎて測定できない固有粘度を有する。本明細書中で使用する「実質的に架橋を含まない」樹脂(または重合体)とは、ゲル濾過クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量(Mw)が1,000,000未満である反応生成物を意味する。
【0015】
また、本明細書中で使用する「重合体」との用語は、オリゴマー、ならびに単独重合体および共重合体の両方を意味する。特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用する分子量は、「Mn」で表示される高分子材料の数平均分子量であり、これは、当該分野で一般に認められたポリスチレン標準を使用するゲル濾過クロマトグラフィーにより、得られる。
【0016】
代表的には、主な塗膜形成重合体として、これらの電着可能塗装組成物で使用するのに適切なイオン塩基含有重合体には、これらの重合体が「水分散性」である限り、すなわち、水に可溶化、分散または乳化されるように適合される限り、多数のイオン基含有重合体のいずれかを挙げることができる。このような重合体は、正電荷または負電荷のいずれかを与えるイオン官能基を含む。1実施態様では、イオン樹脂(a)は、カチオン塩基を含む。代替実施態様では、イオン樹脂(a)は、アニオン塩基を含む。適切なカチオン基の例には、アミン塩、四級アンモニウム塩およびスルホニウム塩が挙げられる。適切なアニオン基としては、カルボン酸塩およびリン酸塩が挙げられる。
【0017】
塗膜形成イオン樹脂の適切な例には、活性水素含有イオン重合体を挙げることができ、これらは、ポリエポキシド重合体、ポリエステル重合体、ウレタン重合体、ポリエーテル重合体、ポリ尿素重合体、ビニル重合体、ポリアミド重合体、ポリイミド重合体、それらの混合物およびそれらの共重合体(例えば、ポリエステル−ポリウレタン重合体)の1種またはそれ以上から選択される。代表的には、前記樹脂(a)は、ポリエポキシド重合体、ビニル重合体、またはポリエポキシド重合体とビニル重合体との混合物を含む。前述のように、イオン樹脂(a)として使用するのに適切な重合体は、硬化反応部位として、活性水素を含む。「活性水素」との用語は、JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,Vol.49,3181ページ(1927)で記載されているように、Zerewitnoff試験により決定されるイソシアネートと反応性である基を意味する。本発明の1実施態様では、これらの活性水素は、ヒドロキシル基、第一級アミン基および/または第二級アミン基から誘導される。
【0018】
イオン樹脂(a)を形成するために、関連技術において公知の種々のポリエポキシドのいずれかが使用できる。このポリエポキシドは、本質的に、芳香族、芳香脂肪族または脂肪族であり得る。本発明を実施する際に使用されるポリエポキシドには、1より高い、好ましくは、少なくとも2の1,2−エポキシ当量を有する重合体、すなわち、1分子あたり、平均して、少なくとも2個のエポキシ基を有するポリエポキシドがある。適切なポリエポキシドには、環状ポリオールのポリグリシジルエーテル、および多価フェノール(例えば、ビスフェノールA)のポリグリシジルエーテルが挙げられる。アルカリの存在下にて、これらのポリエポキシドは、多価フェノールをエピハロヒドリンまたはジハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリン)でエーテル化することにより、生成できる。多価フェノールの例には、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−メチル−1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−第三級ブチルフェニル)プロパン、ビス−(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどがある。
【0019】
環状ポリオール誘導体のポリグリシジルエーテルを調製する際に、多価フェノールのほかに、他の環状ポリオールが使用できる。他の環状ポリオールの例には、脂環族ポリオール、特に、シクロ脂肪族ポリオール、例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンおよび水素化ビスフェノールAが挙げられる。
【0020】
また、多価アルコールのポリグリシジルエーテルも適切であり、これらは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−2,2−プロパンなどのような多価アルコールから誘導され得る。他の種類のポリエポキシドには、エポキシ分子内にオキシアルキレンまたはポリエーテル基を含有するもの(例えば、米国特許第4,001,101号および第4,001,156号で記載されたもの)がある。
【0021】
1実施態様では、このポリエポキシド樹脂は、アニオン性である。アニオン電着浴組成物で使用するのに適切な塗膜形成樹脂の例には、塩基可溶化カルボン酸含有重合体、例えば、乾性油または半乾性脂肪酸エステルとジカルボン酸または無水物との反応生成物または付加物;および脂肪酸エステルと不飽和酸または無水物と任意の追加不飽和変性物質(これは、さらに、ポリオールと反応される)との反応生成物がある。不飽和カルボン酸のヒドロキシ−アルキルエステルと、不飽和カルボン酸と、少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマーとの少なくとも部分的に中和されたインターポリマーもまた、適切である。さらに別の適切な電着可能樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル、すなわち、アルキド樹脂およびアミン−アルデヒド樹脂を含有するビヒクルを含む。さらに別のアニオン電着可能樹脂組成物は、樹脂状ポリオールの混合エステルを含む。これらの組成物は、米国特許第3,749,657号の9欄、1〜75行目および10欄、1〜13行目で詳細に記載されており、これらの全ての内容は、本明細書中で参考として援用されている。当業者に周知である他の酸官能性重合体(例えば、リン酸塩化ポリエポキシドまたはリン酸塩化アクリル重合体)もまた使用できる。
【0022】
代替実施態様では、このポリエポキシド樹脂は、カチオン性である。このような塗膜形成カチオン樹脂の適切な例には、アミン塩基含有樹脂、例えば、ポリエポキシドと第一級または第二級アミンとの酸可溶化反応生成物(例えば、米国特許第3,663,389号;同第3,984,299号;同第3,947,338号;および同第3,947,339号で記載されたもの)が挙げられる。また、スルホニウム塩基含有樹脂(例えば、米国特許第3,793,278号で記載されたもの)も、適切である。カチオン樹脂(a)を形成する際に使用するのに適切な追加ポリエポキシド樹脂には、米国特許第4,755,418号、同第5,948,229号および同第6,017,432号で記載されたものが挙げられる。
【0023】
アミン塩およびスルホニウム基含有樹脂の他に、四級アンモニウム塩基含有樹脂もまた使用できる。これらの樹脂の例には、有機ポリエポキシドと第三級アミン塩とを反応させることから形成されるものがある。このような樹脂は、米国特許第3,962,165号;同第3,975,346号;および同第4,001,101号で記載されている。1実施態様では、このポリエポキシドは、アミン塩基を含む芳香族ポリエポキシドである。代替実施態様では、このポリエポキシドは、スルホニウム塩基を含む芳香族ポリエポキシドである。
【0024】
この活性水素含有イオン塩基含有重合体が誘導され得る適切なビニル重合体には、必要に応じて、1種またはそれ以上の他の重合可能エチレン性不飽和モノマー(すぐ下で記述するビニルモノマーを含めて)との1種またはそれ以上のビニルモノマー(例えば、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル)の共重合体が挙げられ得る。適切なビニルモノマーには、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、およびアクリル酸2−エチルヘキシル)が挙げられる。当業者は、アニオン塩基含有樹脂の場合、アクリル酸およびメタクリル酸もまた適切なモノマーであることを認識する。他の適切なビニルモノマーには、共重合可能エチレン性不飽和モノマー、例えば、ニトリル(例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)、ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニルおよびフッ化ビニリデン)、α−オレフィン(例えば、イソブチレンおよび1−オクテン)、およびビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)が挙げられる。酸および無水物官能性エチレン性不飽和モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸または無水物、イタコン酸、マレイン酸または無水物、またはフマル酸)は、使用され得る。アクリルアミド、メタクリルアミド、およびN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドを含むアミド官能性モノマーもまた、適切である。ビニル芳香族化合物(例えば、スチレンおよびビニルトルエン)は、その重合体および得られた電着被覆の光劣化耐性が損なわれない限り、使用できる。
【0025】
アクリル酸およびメタクリル酸ヒドロキシアルキルあるいはアクリル酸およびメタクリル酸アミノアルキルのような官能性モノマーを使用することにより、このビニル重合体には、ヒドロキシル基およびアミノ基のような官能基を取り込むことができる。当業者は、アミノ基がカチオン樹脂で使用するように限定されていることを認識する。アクリル酸およびメタクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、またはアリルグリシジルエーテルのような官能性モノマーを使用することにより、このアクリル重合体には、(カチオン塩基に変換するための)エポキシド官能基が取り込まれ得る。あるいは、このビニル重合体上のカルボキシル基とエピハロヒドリンまたはジハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリン)とを反応させることにより、このビニル重合体には、エポキシド官能基が取り込まれ得る。適切な塗膜形成ビニル樹脂(これらはまた、「アクリル」重合体または樹脂とも呼ばれている)の例は、米国特許第3,455,806号および同第3,928,157号で記載されている。例えば、米国特許第4,083,232号で記載されているように、酸の存在下にて、スルフィドとエポキシ基とを反応させることにより、スルホニウム基が形成され得る。特定の実施態様では、この重合体は、アミン塩基を含むビニル重合体である。別の実施態様では、この重合体は、スルホニウム塩基を含むビニル重合体である。
【0026】
あるいは、このビニル重合体は、アニオン塩基を含み得る。1実施態様では、この重合体は、カルボン酸塩基を含むビニル重合体である。別の実施態様では、この重合体は、リン酸塩基を含むビニル重合体である。
【0027】
この活性水素含有イオン塩基含有樹脂が誘導できる重合体として、ポリウレタンもまた使用できる。使用できるポリウレタンには、生成物中に遊離ヒドロキシル基が存在するように、OH/NCO当量比が1:1より高くなるように、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールまたはアクリルポリオール(例えば、上述のもの)とポリイソシアネートとを反応させることにより調製できる重合体状ポリウレタンがある。このポリエステルの調製において使用する以下で開示するように小さい多価アルコールもまた、この重合体状ポリオールに代えて、またはそれと併用して、使用され得る。
【0028】
活性水素含有イオン塩基含有樹脂(a)を形成する際に適切なポリウレタン重合体の追加例には、ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリ(ウレタン−尿素)重合体(これは、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエーテルポリアミンとポリイソシアネートとを反応させることにより、調製される)が挙げられる。このようなポリウレタン重合体は、米国特許第6,248,225号で記載されている。
【0029】
当業者に周知の方法により、このポリウレタンには、上記のようなカチオン基に変換するために、エポキシド官能基が取り込まれ得る。例えば、エポキシド基は、グリシドールと遊離イソシアネート基とを反応させることにより、取り込むことができる。あるいは、このポリウレタン上のヒドロキシル基は、アルカリの存在下にて、エピハロヒドリンまたはジハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリン)と反応できる。
【0030】
スルホニウム基含有ポリウレタンはまた、ヒドロキシ官能性スルフィド化合物(例えば、チオジグリコールおよびチオジプロパノールであって、これは、この重合体の骨格へのイオウの取り込みを生じる)の少なくとも部分的な反応により、製造できる。次いで、このイオウ含有重合体は、酸の存在下にて、単官能性エポキシ化合物と反応されて、このスルホニウム基が形成される。適切な単官能性エポキシ化合物には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドール、フェニルグリシジルエーテル、およびCARDURA(登録商標)E(これは、Resolution Performance Productsから市販されている)が挙げられる。
【0031】
上記ポリエポキシド、ビニルおよびポリウレタン重合体の他に、この活性水素含有イオン塩基含有重合体は、ポリエステルから誘導できる。このようなポリエステルは、公知の様式で、多価アルコールとポリカルボン酸との縮合により、調製できる。適切な多価アルコールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールが挙げられる。このポリエステルを調製するのに使用される適切なポリカルボン酸の例には、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、およびトリメリト酸が挙げられる。上述のポリカルボン酸の他に、これらの酸の官能性等価物(例えば、無水物(存在する場合)または低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル))は、使用され得る。このポリエステルの調製では、ヒドロキシ酸およびそれらの官能性等価物(例えば、ジメチロールプロピオン酸、カプロラクトン、ヒドロキシピバル酸、ヒドロキシステアリン酸など)もまた、使用できる。
【0032】
これらのポリエステルは、代表的には、遊離ヒドロキシル基(これらは、このポリエステルの調製中において、過剰な多価アルコールおよび/または高級ポリオールを使用することにより、生じる)(これらは、硬化反応に利用可能である)の一部を含有する。このポリエステルには、そのポリエステル上のカルボキシル基とエピハロヒドリンまたはジハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリン)とを反応させることにより、エポキシド官能基が取り込まれ得る。
【0033】
米国特許第3,959,106号および同第4,715,898号で記載されているように、酸の存在下にて、上記種類のエポキシ基含有重合体とスルフィドとを反応させることにより、スルホニウム塩基を取り込むことができる。類似の反応条件を使用して、記述したポリエステル骨格上には、スルホニウム基を取り込むことができる。適切な電着可能ポリエステル樹脂のさらなる例は、米国特許第6,423,774号で記載されている。
【0034】
有利にはまた、上記重合体の混合が使用され得る。特定の実施態様では、イオン塩基含有樹脂(a)は、1種またはそれ以上のポリエポキシド重合体と1種またはそれ以上のビニル重合体とを含む。このような混合物が使用される場合、このポリエポキシド重合体は、この電着可能塗装組成物中にて、その組成物の樹脂固形分の全重量に基づいて、10〜90重量パーセント、代表的には、20〜80重量パーセントの範囲の量で、存在できる。
【0035】
本発明の電着可能塗装組成物で使用される重合体は、使用する樹脂の種類に依存して、ポリスチレン標準を使用するゲル濾過クロマトグラフィーで決定されるように、1000〜20,000、しばしば、1000〜10,000、代表的には、1000〜8000の範囲の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0036】
一般に、このイオン重合体は、非ゲル化であり、そして重合体固形分1グラムあたり、0.1〜3.0ミリ当量、好ましくは、0.1〜0.7ミリ当量のイオン塩基を含有する。
【0037】
このイオン重合体と会合されている活性水素には、93℃〜204℃、通常、121℃〜180℃の温度範囲内でイソシアネートまたはアミノプラストと反応性である任意の活性水素が挙げられる。代表的には、これらの活性水素は、ヒドロキシル基および/または第一級または第二級アミノ基の形状で、この重合体中に存在している。代表的には、この重合体は、重合体固形分1グラムあたり、1.7〜10ミリ当量、しばしば、2〜5ミリ当量の活性水素の活性水素含量を有する。
【0038】
イオン塩基含有樹脂(a)は、代表的には、イオン塩基含有重合体(a)および硬化剤(b)の全重量に基づいて、10〜95重量パーセント、しばしば、40〜80重量パーセントの量で、本発明の電着可能組成物中に存在している。
【0039】
1実施態様では、硬化剤(b)は、(a)の活性水素と反応性である。このような硬化剤の適切な例には、ブロックドポリイソシアネートおよびアミノプラストが挙げられる。
【0040】
本発明のカチオン電着可能組成物を含む実施態様で使用される硬化剤は、代表的には、ブロックドポリイソシアネートである。これらのポリイソシアネートは、米国特許第3,984,299号、1欄、1〜68行目;2欄および3欄、1〜15行目で記載されているように、完全にブロックされ得るか;または米国特許第3,947,338号、2欄、65〜68行目;3欄および4欄、1〜30行目(これらの内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記載されているように、部分的にブロックされて重合体の骨格に反応され得る。部分的にブロックドポリイソシアネートは、上記重合体のいずれかと同じ様式で、これらの活性水素基と交互に反応され得る。「ブロックド」とは、得られるブロックドイソシアネート基が、周囲温度で、活性水素に対して安定であるが、高温(通常、90℃と200℃の間)では、この塗膜形成重合体中の活性水素と反応性であるように、これらのイソシアネート基が化合物と反応されることを意味する。本発明の1実施態様では、このポリイソシアネート硬化剤は、遊離イソシアネート基を実質的に備えていない完全にブロックされたポリイソシアネートである。
【0041】
代表的には、ジイソシアネートが使用されるものの、それより高級なポリイソシアネートは、ジイソシアネートに代えてまたはそれと併用して、使用できる。これらのポリイソシアネートは、芳香族、芳香脂肪族または脂肪族であり得る。硬化剤として使用するのに適切な芳香族ポリイソシアネートの例には、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、オリゴマー性メチレンジフェニルジイソシアネート、およびそれらの混合物のようなジイソシアネートが挙げられる。硬化剤として使用するのに適切な芳香脂肪族および脂肪族ポリイソシアネートの例には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス−(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、重合体状1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、三量体化イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートおよびそれらの混合物のようなポリイソシアネートが挙げられる。本発明の特定の実施態様では、硬化剤(b)は、芳香族ブロックドポリイソシアネートを含む。本発明の代替実施態様では、硬化剤(b)は、脂肪族ブロックドポリイソシアネートを含む。芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの混合物もまた、使用できる。
【0042】
本発明のアニオン電着可能組成物を含む実施態様で使用される硬化剤は、代表的には、アミノプラストである。アミノプラスト樹脂(これらは、フェノプラストを含み得る)は、当該分野で周知である。適切なアミノプラストは、ホルムアルデヒドとアミンまたはアミドとの縮合反応から得ることができる。アミンまたはアミドの非限定的な例には、メラミン、尿素、またはベンゾグアナミンが挙げられる。他のアミンまたはアミドとの縮合物は、使用できる;例えば、グリコールウリルとのアルデヒド縮合物(これらは、粉末塗装で有用な高い溶融結晶性生成物を与える)。使用されるアルデヒドは、最も一般的には、ホルムアルデヒドであるものの、他のアルデヒド(例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒドおよびベンズアルデヒド)は、使用できる。
【0043】
このアミノプラスト樹脂は、イミノ基およびメチロール基を含有し、ある場合には、そのメチロール基の少なくとも一部は、硬化応答を変えるために、アルコールでエーテル化される。この目的のために、任意の一価アルコールが使用でき、これらには、メタノール、エタノール、n−ブチルアルコール、イソブタノールおよびヘキサノールが挙げられる。
【0044】
アミノプラストの非限定的な例には、メラミン−、尿素−またはベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物が挙げられ、ある場合には、単量体状であり、1個〜4個の炭素原子を含有する1種またはそれ以上のアルコールと少なくとも部分的にエーテル化されている。適切なアミノプラスト樹脂の非限定的な例は、例えば、Cytec Industries,Inc.から、CYMEL(登録商標)の商標で、また、Solutia,Inc.から、RESIMENE(登録商標)の商標で、市販されている。
【0045】
代替実施態様では、硬化剤(b)は、重合可能ビニル基を含む。この硬化剤は、代表的には、1分子あたり、少なくとも2個、通常、少なくとも3個の基の重合可能ビニル基官能性を有する。適切な硬化剤には、多官能性ビニルモノマー(例えば、公開された米国特許出願第2002/0161154号、4ページ、段落0052および0053で列挙されたもの)が挙げられるが、これらに限定されない。また、グリシジル官能性オリゴマーまたは重合体と、(メタ)アクリル酸のヒドロキシエステル(例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなど)との反応生成物も、適切である。ポリイソシアネートとすぐ上で述べた(メタ)アクリル酸のヒドロキシエステルのいずれかとの反応生成物もまた、使用され得る。2個またはそれ以上のアリル基を含む化合物もまた、本発明用の硬化剤として、適切である。
【0046】
すぐ上で述べた架橋剤の場合、イオン塩含有樹脂(a)はまた、重合可能ビニル基を含み得る。これらのビニル基は、ヒドロキシ官能性アクリル化合物(例えば、上述のもの)と、重合体状骨格上のエポキシ基またはイソシアネート基とを反応させることにより、取り込まれ得る。あるいは、重合可能ビニル基は、ビニル基またはアリル基を含むヒドロキシまたはアミノ官能性化合物を、エポキシ、ポリウレタンまたはポリエステル重合体に共重合することにより、取り込まれ得る。もし、この系が紫外線照射により硬化されるなら、その組成物は、さらに、多数の当該分野で一般に認められた光開始剤のいずれかを含み得る。このような開始剤は、含有されるとき、通常、0.1〜10重量部の間の範囲の量で、存在している。
【0047】
硬化剤(b)は、代表的には、本発明の電着可能組成物中にて、カチオン塩基含有重合体(a)および硬化剤(b)の全重量に基づいて、5〜90重量パーセント、しばしば、20〜60重量パーセントの量で、存在している。
【0048】
本発明の電着可能組成物は、1種またはそれ以上の金属不活性化剤(c)をさらに含む。本発明の目的のために、金属不活性化剤とは、有機被覆内の1種またはそれ以上の金属の光酸化効果を阻害する化合物を意味する。1実施態様では、この金属不活性化剤は、金属イオン(例えば、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、スズイオン、マグネシウムイオンおよびマンガンイオン)を錯化できる。特定の実施態様では、この金属不活性化剤は、鉄イオンを錯化できる。
【0049】
この金属不活性化剤は、さらに、少なくとも1個の抗酸化基(例えば、フェノール性ヒドロキシ基)を含む。
【0050】
この金属不活性化剤、およびそれらの金属錯体は、代表的には、実質的に水に不溶性である。「実質的に水に不溶性」とは、この金属不活性化剤の代表的な溶解度が、通常の電着操作条件下におけるpH範囲内で、この電着可能塗装組成物中に存在している金属不活性化剤の全量に基づいて、水溶液中で、5パーセント以下、通常、2パーセント以下であることを意味する。カチオン電着には、pHは、4.5と7の間の範囲であり得る;アニオン電着には、pHは、8と9の間の範囲(列挙した数値を含めて)であり得る。代表的には、この金属不活性化剤およびそれらの金属錯体は、限外濾過により、電着可能塗装組成物から除去される。
【0051】
適切な金属不活性化剤には、N,N−ビス(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、および2,2−オキサミドビス−エチル(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−N,4−ジヒドロキシベンゼンプロパンアミド、N,N’−ビス[2−[[3−[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]アミノ]エチル]エタンジアミド、N,N’−1,6−ヘキサンジイルビス[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパンアミド]、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸−2−[(2−プロペニルアミノ)チオキソメチル]ヒドラジド、N−(2−アミノエチル)−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパンアミド、ビス[2−[3−[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]ヒドラジド]エタンジオン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンプロパンアミド、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、4−[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ブタノン、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチレン]ヒドラジドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
この金属不活性化剤は、この電着可能塗装組成物中にて、電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、少なくとも0.01重量パーセント、しばしば、少なくとも0.05重量パーセント、代表的には、少なくとも0.2重量パーセントの量で、存在できる。また、金属不活性化剤(c)は、この組成物中にて、この電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、10重量パーセント程度、しばしば、5重量パーセント程度、代表的には、3重量パーセント程度で、存在できる。その電着可能被覆に存在している金属不活性化剤(c)の量は、これらの値の任意の組み合わせ(列挙した値を含めて)の間の範囲であり得る。
【0053】
本発明の電着可能組成物は、さらに、光劣化耐性を加えるためのヒンダードアミン光安定剤を含み得るが、それは、必須ではない。このようなヒンダードアミン光安定剤には、例えば、米国特許第5,260,135号で開示されたものが挙げられる。さらに、適切なヒンダードアミン光安定剤の非限定的な例には、CibaからTINUVIN(登録商標)の商品名で市販されているもの、およびCytec IndustriesからCYASORB(登録商標)の商品名で市販されているものが挙げられる。それらは、使用されるとき、代表的には、この電着可能組成物中にて、電着可能組成物中樹脂固形分の全重量に基づいて、0.05〜3重量パーセントの量で、存在している。
【0054】
本発明の電着可能塗装組成物には、追加光吸収物質(例えば、UVA)もまた、存在し得る。これらは、代表的には、硬化された塗膜中の残り、そして硬化された製品が紫外光に晒されるとき、硬化された被覆を光劣化から保護するのに役立ち得る。当該分野で通例使用されるUVAのいずれかが適切である。
【0055】
本発明の電着可能組成物は、代表的には、その電着可能組成物を水性媒体(主に、水)に分散して含む電着浴の形態で、使用される。この電着浴は、代表的には、電着浴の全重量に基づいて、5〜25重量パーセントの範囲内で、重合体固形分含量を有する。
【0056】
水の他に、この電着浴の水性媒体は、合体溶媒を含有し得る。有用な合体溶媒には、炭化水素、アルコール、エステル、エーテルおよびケトンが挙げられる。代表的には、合体溶媒には、アルコール、ポリオールおよびケトンが挙げられる。具体的な合体溶媒には、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、イソホロン、2−メトキシペンタノン、エチレンおよびプロピレングリコール、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールのモノエチル、モノブチルおよびモノヘキシルエーテルが挙げられる。合体溶媒の量は、使用するとき、一般に、この水性媒体の全重量に基づいて、15重量パーセント未満、代表的には、5重量パーセント未満、しばしば、3重量パーセント未満(列挙した値を含めて)である。
【0057】
この電着浴には、顔料組成物および他の任意の添加剤(例えば、界面活性剤、湿潤剤、酸化防止剤、殺生物剤、消泡剤または触媒)が含有できる。この顔料組成物は、無機顔料(例えば、酸化鉄、陶土、カーボンブラック、粉末石炭、二酸化チタン、タルク、硫酸バリウム)だけでなく有機顔料(例えば、フタロシアニングリーン)などを含む通常の種類のものであり得る。その分散液の顔料含量は、通常、顔料−対−重合体の比で表わされる。本発明を実施する際に、顔料を使用するとき、その顔料−対−重合体の比は、通常、0.02〜1:1の範囲内である。上で述べた他の添加剤は、通常、この分散液中にて、重合体固形分の重量に基づいて、0.01〜3重量パーセントの量である。
【0058】
当該分野で一般に認められた硬化触媒のいずれかが使用できる。本発明の電着可能組成物で使用するのに適切な硬化触媒の例には、有機スズ触媒(例えば、ジブチルスズオキシドおよびジオクチルスズオキシド)、およびそれらの塩(例えば、二酢酸ジブチルスズ)だけでなく他の金属酸化物(例えば、セリウム、ジルコニウムおよびビスマスの酸化物、ならびにそれらの塩(例えば、スルファミン酸ビスマスおよび乳酸ビスマス))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本発明の上記電着可能組成物のいずれかは、腐食防止無機成分として、さらに、イットリウム、ビスマス、ジルコニウム、タングステン、ネオジムまたは希土類金属を含有できる。本発明の1実施態様では、本発明の電着可能塗装組成物、および本発明の方法で使用される塗装組成物は、実質的に重金属(例えば、鉛)を含まない。
【0060】
本発明の電着可能塗装組成物は、水性分散液の形態である。「分散液」との用語は、2相の透明、半透明または不透明な樹脂系であると考えられ、ここで、樹脂は、分散相にあり、そして水は、連続相にある。樹脂相の平均粒径は、一般に、1.0ミクロン未満、通常、0.5ミクロン未満、代表的には、0.15ミクロン未満である。
【0061】
この水性媒体中の樹脂相の濃度は、水性分散液の全重量に基づいて、少なくとも1重量パーセント、通常、2〜60重量パーセントである。本発明の組成物は、樹脂濃縮物の形態であるとき、一般に、水性分散液の重量に基づいて、20〜60重量パーセントの樹脂固形分含量を有する。
【0062】
本発明の硬化可能電着可能塗装組成物は、代表的には、以下の2種の成分として、供給される:(1)透明樹脂供給物(これは、一般に、活性水素含有、イオン重合体(すなわち、主要な塗膜形成重合体)、硬化剤、および任意の追加の水分散性非顔料化成分);および(2)顔料ペースト(これは、一般に、1種またはそれ以上の顔料を含有する)、水分散性粉砕樹脂(これは、この主要な塗膜形成重合体と同一または異なり得る)、および、必要に応じて、添加剤(例えば、触媒、酸化防止剤、殺生物剤、消泡剤、界面活性剤、および湿潤剤または分散助剤)。本発明の金属不活性化剤は、この樹脂供給物、顔料ペースト中に存在し得るか、または別の成分として加えられ得るか、いずれかである。電着浴は、成分(1)および(2)を水性媒体(これは、水、および通常、合体溶媒を含む)に分散させることにより、調製される。あるいは、本発明の電着可能組成物は、1成分組成物として、供給できる。
【0063】
1実施態様では、本発明は、導電性基板を塗装する方法に関する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)該基板上に、上で詳述した硬化可能電着可能被覆のいずれかを電着塗装する工程;および(b)工程(a)で塗装された基板を、硬化オーブンにおいて、該基板上の該電着被覆を硬化するのに十分な時間にわたって十分な温度まで加熱する工程。
【0064】
本発明の方法において、この硬化可能電着可能塗装組成物は、種々の導電性基板(種々の金属性基板を含めて)のいずれかの少なくとも一部の上に電着塗装できる。例えば、適切な金属基板には、鉄金属および非鉄金属を挙げることができる。適切な鉄金属には、鉄、鋼鉄およびそれらの合金が挙げられる。有用な鋼鉄材料の非限定的な例には、冷間圧延鋼、亜鉛メッキ(亜鉛を被覆した)鋼、電気亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼、GALVANNEAL(登録商標)、酸洗鋼、GALVALUME(登録商標)およびGALVAN(登録商標)亜鉛−アルミニウム合金(これは、鋼鉄上に被覆した)、およびそれらの組合せを挙げることができる。有用な非鉄金属には、導電性炭素被覆材料、アルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウムおよびそれらの合金が挙げられる。冷間圧延鋼はまた、当該分野で実施されるように、金属リン酸塩溶液、少なくとも1種の第IIIB族または第IVB族金属を含有する水溶液、有機リン酸塩溶液、有機ホスホン酸塩溶液および上記の組み合わせのような溶液で前処理するとき、適切である。鉄金属および非鉄金属の組み合わせまたは複合材料もまた、使用できる。
【0065】
本発明の電着方法は、代表的には、この導電性基板を水性電着可能組成物の電着浴に浸漬する工程を包含し、この基板は、電気回路における電極として働き、この電気回路は、この電極と、反対に荷電された対向電極とを含む。カチオン電着では、この基板は、カソードとして働くのに対して、アニオン電着では、この基板は、アノードとして働く。これらの電極間には、この導電性基板の表面に電着可能塗装組成物の実質的に連続した接着塗膜を析出させるのに十分な電流が加えられる。電着は、通常、1ボルト〜数千ボルト、代表的には、50ボルトと500ボルトの間の範囲の定電圧で、実行される。最大電流密度は、通常、1平方フィートあたり、1.0アンペアと15アンペアの間(1平方メートルあたり、10.8〜161.5アンペア)であり、この電着プロセス中にて、急速に低下する傾向にあり、このことは、連続した自己絶縁塗膜の形成を示している。その塗料浴は、代表的には、この電着プロセス中にて、70°Fと100°Fの間で維持される。
【0066】
1実施態様では、この電着可能被覆は、導電性基板(以下、「塗装品」と呼ぶ)上に電着された後、硬化オーブンにおいて、硬化される。この硬化オーブンは、この塗装組成物を硬化するのに十分な温度(代表的には、100〜200℃)で、作動する。この塗装品は、この塗装組成物が操作温度で硬化するのに十分な時間にわたって、このような硬化オーブンに置かれる。
【0067】
代替実施態様では、重合可能ビニル基を含む電着可能塗装組成物は、紫外線照射を使用して、硬化できる。析出された組成物を紫外線で照射すると、析出された塗膜が硬化され、これらの重合可能ビニル基が架橋される。
【0068】
以下の実施例で本発明を説明するが、しかしながら、本発明をそれらの詳細に限定するとは見なされない。特に明記しない限り、以下の実施例だけでなく本明細書全体にわたって、全ての部およびパーセントは、重量基準である。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
本実施例は、金属不活性化剤を加えない電着可能塗装組成物(電着浴の形態)で使用される顔料分散液の調製について説明する。
【0070】
【化1】

0.65%のICOMEEN(登録商標)T2(BASF社から市販されているエチレンオキシド2モルとの獣脂アミン付加物)を加えて、米国特許第4,715,898号、実施例4で記載されているように調製した。
【0071】
Air Products,Inc.から市販されている界面活性剤。
【0072】
Cabot,Inc.から市販されているCSX(登録商標)333。
【0073】
Engelhard,Inc.から市販されているASP(登録商標)200。
【0074】
Kronos Worldwide,Inc.から市販されている2310。
【0075】
PPG Industriesから市販されているジブチルスズオキシド顔料分散液。
【0076】
上記成分を順に加え、そして均一になるまで、高速分散羽根(Paul Gardner Company,Inc.から市販されている「F」型)を使用して撹拌した。最終分散段階には、Red Head研究所の分散ミル(これは、Chicago Boiler Companyから市販されている)を使用した。このミルにセラミック製粉砕媒体を充填し、そしてユニットの冷却ジャケットに冷水道水を循環させた。次いで、このRed Head分散ミルに上記顔料分散液を加え、そして45分間粉砕した。粉砕後、粒径は、Paul Gardner Companyから市販されている粉砕ゲージのHegman粉末度を使用して測定したとき、7.5のHegmanまで低下した。
【0077】
(実施例2)
本実施例は、金属不活性化剤 MDL1(登録商標)を加えた電着可能塗装組成物(電着浴の形態)で使用される顔料分散液の調製について説明する。
【0078】
【化2】

Biddle Sawyer Corporationから市販されている2,2−オキサミドビス−エチル(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)。
【0079】
上記成分を順に加え、そして均一になるまで、高速分散羽根(Paul Gardner Company,Inc.から市販されている「F」型)を使用して撹拌した。最終分散段階には、Red Head研究所の分散ミル(これは、Chicago Boiler Companyから市販されている)を使用した。このミルにセラミック製粉砕媒体を充填し、そしてユニットの冷却ジャケットに冷水道水を循環させた。次いで、このRed Head分散ミルに上記顔料分散液を加え、そして45分間粉砕した。粉砕後、粒径は、Paul Gardner Companyから市販されている粉砕ゲージのHegman粉末度を使用して測定したとき、7.5のHegmanまで低下した。
【0080】
(実施例3)
本実施例は、金属不活性化剤 MD24(登録商標)を加えた電着可能塗装組成物(電着浴の形態)で使用される顔料分散液の調製について説明する。
【0081】
【化3】

1 Biddle Sawyer Corporationから市販されているN,N−ビス(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン。
【0082】
上記成分を順に加え、そして均一になるまで、高速分散羽根(Paul Gardner Company,Inc.から市販されている「F」型)を使用して撹拌した。最終分散段階には、Red Head研究所の分散ミル(これは、Chicago Boiler Companyから市販されている)を使用した。このミルにセラミック製粉砕媒体を充填し、そしてユニットの冷却ジャケットに冷水道水を循環させた。次いで、このRed Head分散ミルに上記顔料分散液を加え、そして45分間粉砕した。粉砕後、粒径は、Paul Gardner Companyから市販されている粉砕ゲージのHegman粉末度を使用して測定したとき、7.5のHegmanまで低下した。
【0083】
(実施例4)
本実施例は、実施例2および3のペーストと同じ剪断履歴を有する電着可能塗装組成物(電着浴の形態)で使用される顔料分散液の調製について説明する。
【0084】
【化4】

Red Head研究所分散液ミル(これは、Chicago Boiler Companyから市販されている)にセラミック製粉砕媒体を充填し、そしてユニットの冷却ジャケットに冷水道水を循環させた。次いで、この分散ミルに実施例1の顔料分散液を加え、そして45分間粉砕した。
【0085】
(実施例5)
本実施例は、ブロックド脂肪族ポリイソシアネート硬化剤を重合体に混合したカチオン性アミン塩基含有アクリル樹脂の調製について説明する。このカチオン性アクリル重合体は、以下の成分から、下記のようにして調製した:
【0086】
【化5】

DuPont Specialty Chemicalsから市販されているラジカル開始剤
Dow Chemicalから市販されているプロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒。
【0087】
Dow Chemicalから市販されているN−ブトキシプロパノール溶媒。
【0088】
Atofina Chemicals,Inc.から市販されているラジカル開始剤。
【0089】
10当量のイソホロンジイソシアネートと、1当量のトリメチロールプロパンと、3当量のエトキシル化ビスフェノールAと、6当量の1,2−ブタンジオールとを反応させることにより調製された架橋剤。
【0090】
適切に装備した反応容器に、窒素雰囲気下にて、メチルイソブチルケトン成分の第一充填物を充填し、そして還流状態まで加熱し、その時点で、この容器に、2.5時間にわたって、一定速度で、次の10成分を加えた。この添加が完了したとき、その反応混合物を、還流状態で、さらに10分間保持した。次いで、次の3成分(これらは、10〜15分間にわたって、一緒に加えた)の添加中にて、この反応混合物を還流状態で維持し、続いて、還流を60分間維持した。この反応混合物を、一晩にわたって、室温まで冷却した。翌日、この反応混合物を、窒素ブランケット下にて、還流状態まで加熱し、その時点で、ジエタノールアミンを加え、この混合物を、還流状態で、90分間維持した。次いで、このジケチミンを加え、得られた反応混合物を、還流状態で、さらに1時間維持した。この架橋剤を加え、その反応混合物を、105℃で、60分間維持した。最後の2成分を別々に混合し、そして50℃の温度まで加熱した。これに、撹拌下にて、この重合体溶液の94%を加えて、この有機重合体の水性媒体(これは、25重量パーセントの固形分を有する)分散液を生成した。減圧下にて最終蒸留して、メチルイソブチルケトンを除去し、29.73重量パーセントの固形分を有する分散液を得た。
【0091】
(実施例6)
本実施例は、ブロックド脂肪族ポリイソシアネート硬化剤を重合体に混合したカチオン性アミン塩基含有ポリエポキシド樹脂の調製について説明する。このカチオン性ポリエポキシド樹脂は、以下の成分から、下記のようにして調製した:
【0092】
【化6】

188のエポキシ当量重量を有するビスフェノールAのジグリシジルエーテル(これは、Resolution Performance Productsから市販されている)。
【0093】
1:6のモル比でビスフェノールAとエチレンオキシドとから調製された反応生成物(固形分100%)。
【0094】
触媒としてジブチルスズジラウレートを使用して、10当量のDESMODUR(登録商標)N 3300(Bayer Corp.から市販されている多官能性ヘキサメチレンジイソシアネート)と5当量のベンジルアルコールおよび5当量の1,2−ブタンジオールとを反応させることにより調製した(メチルイソブチルケトン中で固形分87%)。
【0095】
ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとの反応生成物(メチルイソブチルケトン中の固形分73%)。
【0096】
適切に装備した反応容器に最初の4成分を充填し、そして窒素雰囲気下にて、125℃の温度まで加熱した。次いで、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムを加え、その反応混合物を145℃の温度まで発熱させた。この反応混合物を、その温度で、2時間維持し、その時点で、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物の第二仕込みを加え、そしてエポキシ当量を得た。次いで、メチルイソブチルケトンの第二仕込み、架橋剤、メチルイソブチルケトンおよびジエタノールアミンを連続して加えた。得られた反応混合物を発熱させ、そして122℃の温度を定着させた。この反応混合物を、この温度で、30分間維持し、その時点で、このジケチミンを加え、そして得られた反応混合物を、122℃で、さらに30分間維持した。次いで、EPON 880を加え、その混合物を60分間保持した。この反応混合物8000重量部を、スルファミン酸116.41重量部、乳酸の50%水溶液68.53重量部および脱イオン水5068重量部の混合物に加えることにより、水性分散液を調製した。その混合物を脱イオン水(水は2段階で加えた)5929重量部で希釈し、次いで、真空ストリッピングして、有機溶媒を除去した。得られた生成物は、38.3パーセントの固形分を有していた(110℃で1時間)。
【0097】
(実施例7)
本実施例は、金属不活性化剤を含有しないか溶解性鉄塩を加えていない電着可能塗装組成物について説明する。
【0098】
【化7】

以下の変更を加えた米国特許第4,420,574号の実施例Pで記載されているような物質:共樹脂1は、酢酸に代えて、スルファミン酸で中和し、この物質は、2.46%のMAZON 1651を含有する。共樹脂1は、全体的に、35%不揮発性であった。
【0099】
BASF Corporationから市販されている可塑剤。
【0100】
共樹脂1にMAZON 1651を加えることにより、そして均一かつ濃厚になるまで撹拌することにより、プレミックス1を製造した。実施例5のアクリル樹脂を1ガロン容器に加えることにより、次いで、撹拌下にて、実施例6のエポキシ樹脂を加えることにより、プレミックス2を製造した。次いで、撹拌下にて、プレミックス1をプレミックス2に加え、そして均一になるまで撹拌した。次いで、撹拌下にて、実施例4の顔料分散液を加えた。次いで、脱イオン水を加えることにより、得られた塗料を固形分20%まで低下させた。
【0101】
この塗料を24時間撹拌し、次いで、25重量%限外濾過した。この塗料から除去した限外濾液を、等重量の脱イオン水で置き換えた。
【0102】
(実施例8)
本実施例は、MD24 金属不活性化剤と10ppmの溶解性鉄とを含有する電着可能塗装組成物について説明する。
【0103】
【化8】

共樹脂1にMAZON 1651を加えることにより、そして均一かつ濃厚になるまで撹拌することにより、プレミックス1を製造した。実施例5のアクリル樹脂を1ガロン容器に加えることにより、次いで、撹拌下にて、実施例6のエポキシ樹脂を加えることにより、プレミックス2を製造した。次いで、撹拌下にて、プレミックス1をプレミックス2に加え、そして均一になるまで撹拌した。次いで、撹拌下にて、実施例3の顔料分散液を加えた。次いで、脱イオン水を加えることにより、得られた塗料を固形分20%まで低下させた。
【0104】
この塗料を24時間撹拌し、次いで、25重量%限外濾過した。この塗料から除去した限外濾液を、等重量の脱イオン水で置き換えた。この塗料に、酢酸鉄(2)(純度95%)の1重量%溶液12.46gを加えて、塗料中に加えた10ppmの鉄カチオンを得た。
【0105】
(実施例9)
本実施例は、MDL1 金属不活性化剤と10ppmの溶解性鉄とを含有する電着可能塗装組成物の調製および析出について説明する。
【0106】
【化9】

共樹脂1にMAZON 1651を加えることにより、そして均一かつ濃厚になるまで撹拌することにより、プレミックス1を製造した。実施例5のアクリル樹脂を1ガロン容器に加えることにより、次いで、撹拌下にて、実施例6のエポキシ樹脂を加えることにより、プレミックス2を製造した。次いで、撹拌下にて、プレミックス1をプレミックス2に加え、そして均一になるまで撹拌した。次いで、撹拌下にて、実施例2の顔料分散液を加えた。次いで、脱イオン水を加えることにより、得られた塗料を固形分20%まで低下させた。
【0107】
この塗料を24時間撹拌し、次いで、25重量%限外濾過した。この塗料から除去した限外濾液を、等重量の脱イオン水で置き換えた。この塗料に、酢酸鉄(2)(純度95%)の1重量%溶液12.46gを加えて、塗料中に加えた10ppmの鉄カチオンを得た。
【0108】
(実施例10)
本実施例は、金属不活性化剤を含有せず10ppmの溶解性イオン塩を有する電着可能塗装組成物について説明する。
【0109】
【化10】

共樹脂1にMAZON 1651を加えることにより、そして均一かつ濃厚になるまで撹拌することにより、プレミックス1を製造した。実施例5のアクリル樹脂を1ガロン容器に加えることにより、次いで、撹拌下にて、実施例6のエポキシ樹脂を加えることにより、プレミックス2を製造した。次いで、撹拌下にて、プレミックス1をプレミックス2に加え、そして均一になるまで撹拌した。次いで、撹拌下にて、実施例4の顔料分散液を加えた。次いで、脱イオン水を加えることにより、得られた塗料を固形分20%まで低下させた。
【0110】
この塗料を24時間撹拌し、次いで、25重量%限外濾過した。この塗料から除去した限外濾液を、等重量の脱イオン水で置き換えた。この塗料に、酢酸鉄(2)(純度95%)の1重量%溶液12.46gを加えて、塗料中に加えた10ppmの鉄カチオンを得た。
【0111】
(試験パネルの調製)
実施例7〜10の電着可能塗装組成物の各々を、下記のようにして、4インチ×12インチのリン酸亜鉛メッキした鋼鉄製試験パネル(これらは、APR31611として、ACT Laboratories,Inc.から市販されている)(C700 DIホスフェートおよびリンスを両側に有するE60 EZG 60G)に析出させた。25.4ミクロンと28ミクロンの間の乾燥膜厚を有する実質的に連続した塗膜を形成するのに必要な条件下にて、カソード(このパネル)とステンレス鋼アノードとの間に電圧を加えることにより、パネルを塗装した。調整範囲は、以下であった:92±2°Fの温度、220±20ボルトの電圧、および2分間と4分間の間の時間。次いで、これらの電着塗装パネルを、ガス火オーブンにて、395°F(202℃)で、60分間にわたって、熱硬化させた。
【0112】
上記のような塗装した試験パネルの各々を、溶媒ベースの非顔料化ベース/クリアトップコート系で上塗りし、これを、400nm波長で測定した80%の光透過率を可能にするように設計した。このベースコート組成物は、以下のとおりである:
【0113】
【化11】

Ciba Specialty Chemicalsから市販されている紫外光吸収剤
米国特許第4,147,688号、実施例IIで記載されているように調製した。
【0114】
Solutia Inc.から市販されているメラミン−ホルムアルデヒド架橋剤。
【0115】
36二酸(59.1%の反応物固形分)およびネオペンチルグリコール(16.9%の反応物固形分)と、シクロヘキサンジメタノール(17.5%の反応物固形分)と、トリメチロールプロパン(6.5%の反応物固形分)(100%の全固形分)との縮合反応生成物。
【0116】
ヒドロキシ官能性アクリル樹脂(18.5%メタクリル酸n−ブチル/40%アクリル酸ヒドロキシプロピル/0.5%メタクリル酸メチル/20%スチレン/19%アクリル酸n−ブチル/2%アクリル酸)、アセトン、Aromatic 100および酢酸アミルの混合物中の68.8%固形分。
【0117】
ドデシルベンゼンスルホン酸で中和したジイソプロピルアミン。
【0118】
このベースコート組成物を上記電着塗装した試験パネルの各々に噴霧塗布して、約0.35ミル(8.89マイクロメートル)のベースコート乾燥膜厚を得た。塗布したベースコートを1分間のフラッシュ期間にかけた。次いで、このベースコートに、溶媒ベースのクリアコートDCT1002B(これは、PPG Industriesから市販されている)を噴霧塗布して、1.6〜1.8ミル(40.64〜45.72マイクロメートル)の乾燥クリアコート膜厚を得た。次いで、これらの試験パネルを、250°Fの温度で、30分間にわたって、熱硬化させた。
【0119】
Perkin−Elmer Lambda 9走査分光光度計(これは、150mmのLab Sphere積算球体(integrating sphere)を備えている)を使用して、上記乾燥膜厚で塗布した硬化遊離塗膜を用いて、このベースコート/クリアコート系の光透過率を測定した。ASTM E903に従って、Perkin−Elmer UV WinLabソフトウェアを使って、データの収集を達成した。
【0120】
(光劣化耐性試験)
EMMAQUA NTW(登録商標)(これは、Atlas Weather Services,Inc.,DSET Laboratories of Phoenix,Arizonaから市販されている)を使用して、ASTM G90−98に従って、光劣化耐性を評価した。これらの試験パネルを強制空気対流によって冷却して、この試験片の表面温度の上昇を、同様に搭載した試験片を集中させることなく通常の範囲で同じ時間および位置で直射日光に晒したときの最大表面温度より10℃高い温度に制限した。露光は、295ナノメートルと385ナノメートルの波長の間の範囲の全積算紫外線として、報告する。
【0121】
上記のように調製した各電着可能組成物について、上記方法を使用して、8枚のパネル(1インチ×6インチ)を試験した。実施例7〜10の電着塗装塗料の各々の対応するパネルは、下記の表で示した次の全エネルギー蓄積で、露光から外した:
【0122】
【化12】

前記露光エネルギーの各々で露光した試験パネルのクロスハッチ接着性試験により、硬化した電着被覆の光劣化耐性を評価した。接着性試験はまた、これらの試験パネルのそれぞれを、100°Fで、100%の相対湿度で、16時間露光した後、行った。クロスハッチ接着性試験は、0〜10の範囲の評点段階(この場合、10=最良である)を使用し、そして2ミリメートルのクロスハッチ器具(BYK Gardner製のModel PA−2056)を使用して、ASTM D3359−97に従って、行った。実施例7〜10の電着塗料の接着性結果は、以下の表1で報告する:
【0123】
【化13】

表1で示すように、鉄含有組成物では、金属不活性化剤MD L1またはMD 24(実施例8および9)が存在していると、クロスハッチ接着性で測定したとき、金属不活性化剤が存在していない塗装組成物(実施例10)よりも高いレベルの光劣化耐性が維持された。実施例10の被覆(これは、金属不活性化剤および10ppmの鉄を有しない)の被覆は、89.2MJ/m2で、測定可能な性能損失を示したのに対して、実施例8および9のものは、鉄または金属不活性化剤を含有しない実施例7と同様に機能した。
【0124】
(劣化値試験)
複合材料構造のウルトラローアングル断面マイクロトーミング(ultra−low−angle cross−sectional microtoming)(ULACSM)により、劣化値試験を行い、試料(例えば、電着塗装+非顔料化ベースコート(上記)+DCT1002Bクリアコートを得た。ローアングルマイクロトーム技術の一般的な説明は、「Ultra−low−angle Cross−sectional Microtoming Technique for the Chemical Characterization of Bonding Interfaces in Layered Polymeric Systems」(これは、25th Annual Adhesive Society Meeting(2002)で提示され、この内容は、本明細書中で参考として援用されてい)で記載されている。
【0125】
塗装品を斜めの土台に置き、そして複合材料構造のセクションを、通常のローアングルマイクロトームのブレードで除去した。1つの適切なマイクロトームは、モデルSM2500Eヘビーデューティー滑りマイクロトーム(Leica Microsystems製)である。このマイクロトームブレードに対する複合材料構造の角度(マイクロトーミング角度)を、この電着塗装とベースコートとの界面の幅の広い試料を提供するのに十分に低く設定する。この作業のために、0.2°のマイクロトーム角度を使用した。検査したマイクロトーム切片の厚さは、6ミクロンであった。
【0126】
マイクロトームのセクション(「試料」)を除去するとすぐに、この試料は、通常の分析技術を使用して、分析できる。この作業では、これらのマイクロトームした試料を、赤外顕微鏡を使用して調べて、このベースコート−電着塗装界面にある電着塗装層を検査した。以下の手順により、劣化値(DV)を決定した:まず最初に、各試料のベースコート−電着塗装界面に、赤外スペクトルをかけた。このことから、そのスペクトルのOH、NHおよびCHピーク面積を積算し、そしてOH:NH:CH面積の比を計算した。既知量のEMMAQUA NTW露光に晒した塗装品に対して、これを繰り返した。この比に対する初期値(これは、未露光パネルから得た)(t=0)を、下記の等式1で示すようにして、所定露光エネルギーでの試料から得た値(t=x)から差し引いた:
等式1
【0127】
【化14】

初期値と既知露光エネルギーにおける値との差は、劣化値(DV)として規定される。この方法は、被覆層が受ける光酸化損傷の量を定量し、これは、OHおよびNH官能性の増大に対応している。低いDV数は、その試料の光酸化損傷が少ないことを示す。
【0128】
290MJ/m2 EMMAQUA NTWに晒した塗装組成物についてのDV数を以下の表2で報告する。実施例7〜10の被覆の各々は、試験前、上記のようにトップコートおよびクリアコートを使って調製した。
【0129】
【化15】

表2における劣化値は、表1におけるクロスハッチ接着性で明らかにされた傾向と同じ傾向を示す。すなわち、鉄イオンの存在下では、少なくとも1種の金属不活性化剤を含有する塗装系は、金属不活性化剤を含有しない類似の被覆よりも光劣化を受けにくい(低いDV)。
【0130】
上記実施態様には、その広範な本発明の概念から逸脱することなく、変更を行うことができることは、当業者が認めるところである。従って、本発明は、開示された特定の実施態様には限定されず、添付の特許請求の範囲で規定されるように、本発明の精神および範囲内にある改変を含むと解釈されることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体に分散された樹脂相を含む硬化可能電着可能塗装組成物であって、該樹脂相は、以下を含む:
(a)1種またはそれ以上の非ゲル化活性水素含有イオン塩基含有樹脂であって、該樹脂は、電極上に電着可能である;
(b)1種またはそれ以上の硬化剤;および
(c)1種またはそれ以上の金属不活性化剤。
【請求項2】
前記活性水素含有樹脂(a)が、ポリエポキシド重合体、ポリエステル重合体、ウレタン重合体、ポリエーテル重合体、ポリ尿素重合体、ビニル重合体、ポリアミド重合体、ポリイミド重合体、それらの混合物およびそれらの共重合体から選択される少なくとも1種の重合体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記硬化剤(b)が、(a)の前記活性水素と反応される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記硬化剤(b)が、ブロックドイソシアネートおよびアミノプラストの少なくとも1種から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記硬化剤(b)が、重合可能ビニル基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記活性水素含有樹脂(a)が、重合可能ビニル基を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記樹脂(a)が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、10〜95重量パーセントの範囲の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記硬化剤(b)が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、5〜90パーセントの範囲の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記活性水素含有樹脂(a)が、カチオン塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
(a)の前記カチオン塩基が、アミン塩基、四級アンモニウム基、およびスルホニウム基の少なくとも1種から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記硬化剤(b)が、1種またはそれ以上の少なくとも部分的にブロックドイソシアネートを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記活性水素含有樹脂(a)が、1種またはそれ以上のポリエポキシド重合体を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記活性水素含有樹脂(a)が、1種またはそれ以上のビニル重合体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記活性水素含有樹脂(a)が、1種またはそれ以上のポリエポキシド重合体と1種またはそれ以上のビニル重合体とを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記活性水素含有樹脂(a)が、アニオン塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記硬化剤(b)が、1種またはそれ以上のアミノプラストを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記金属不活性化剤(c)が、金属イオンを錯化できる、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記金属イオンが、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、スズイオン、マグネシウムイオンおよびマンガンイオンの少なくとも1種から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記金属不活性化剤(c)が、鉄イオンを錯化できる、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記金属不活性化剤(c)が、少なくとも1個の抗酸化基を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記抗酸化基が、フェノール性ヒドロキシル基である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記金属不活性化剤(c)が、実質的に水不溶性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記金属不活性化剤(c)が、N,N−ビス(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンおよび2,2−オキサミドビス−エチル(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)の少なくとも1種から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
前記金属不活性化剤(c)が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、0.01〜10パーセントの範囲の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記金属不活性化剤(c)が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、0.05〜3パーセントの範囲の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
ヒンダードアミン光安定剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記ヒンダードアミン光安定剤が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、0.05〜3重量パーセントの範囲の量で存在している、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
導電性基板を塗装する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)該基板上に硬化可能電着可能塗装組成物を電気泳動的に析出させて、該基板の少なくとも一部を覆う電着被覆を形成する工程であって、該電着可能塗装組成物は、水性媒体に分散された樹脂相を含み、該樹脂相は、以下を含む:
(i)1種またはそれ以上の非ゲル化活性水素含有イオン塩基含有樹脂であって、該樹脂は、電極上に電着可能である;
(ii)1種またはそれ以上の硬化剤;
(iii)1種またはそれ以上の金属不活性化剤;および
(b)該塗装された基板を硬化する工程。
【請求項29】
前記硬化工程(b)が、前記塗装された基板を、該基板上の前記電着被覆を硬化するのに十分な時間にわたって十分な温度まで加熱する工程を包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記活性水素含有樹脂(i)が、ポリエポキシド重合体、アクリル重合体、ポリエステル重合体、ウレタン重合体、ポリエーテル重合体、ポリ尿素重合体、ビニル重合体、ポリアミド重合体、ポリイミド重合体、それらの混合物およびそれらの共重合体から選択される少なくとも1種の重合体を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記硬化剤(ii)が、(i)の前記活性水素と反応される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記硬化剤(ii)が、ブロックドイソシアネートおよびアミノプラストの少なくとも1種から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記樹脂(i)が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、10〜95重量パーセントの範囲の量で存在している、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記硬化剤(ii)が、重合可能ビニル基を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記硬化工程(b)が、前記塗装された基板を、該基板上の前記電着被覆を硬化するのに十分な紫外線に晒す工程を包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記活性水素含有樹脂(i)が、重合可能ビニル基を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記硬化剤(ii)が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、5〜90パーセントの範囲の量で存在している、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記活性水素含有樹脂(i)が、カチオン塩基を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
(i)の前記カチオン塩基が、アミン塩基、四級アンモニウム基、およびスルホニウム基の少なくとも1種から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記硬化剤(ii)が、1種またはそれ以上の少なくとも部分的にブロックドイソシアネートを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記活性水素含有樹脂(i)が、1種またはそれ以上のポリエポキシド重合体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記活性水素含有樹脂(i)が、1種またはそれ以上のビニル重合体を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
前記活性水素含有樹脂(i)が、1種またはそれ以上のポリエポキシド重合体と1種またはそれ以上のビニル重合体とを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記活性水素含有樹脂(i)が、アニオン塩基を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項45】
前記硬化剤(ii)が、1種またはそれ以上のアミノプラストを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記金属不活性化剤(iii)が、金属イオンを錯化できる、請求項28に記載の方法。
【請求項47】
前記金属イオンが、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、スズイオン、マグネシウムイオンおよびマンガンイオンの少なくとも1種から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記金属不活性化剤(iii)が、鉄イオンを錯化できる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記金属不活性化剤(iii)が、少なくとも1個の抗酸化基を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記抗酸化基が、フェノール性ヒドロキシル基である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記金属不活性化剤(iii)が、実質的に水不溶性である、請求項28に記載の方法。
【請求項52】
前記金属不活性化剤(iii)が、N,N−ビス(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンおよび2,2−オキサミドビス−エチル(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)の少なくとも1種から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記金属不活性化剤(iii)が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、0.01〜10パーセントの範囲の量で存在している、請求項28に記載の方法。
【請求項54】
前記金属不活性化剤(iii)が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、0.05〜3パーセントの範囲の量で存在している、請求項28に記載の方法。
【請求項55】
ヒンダードアミン光安定剤をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒンダードアミン光安定剤が、前記電着可能塗装組成物中にて、該電着可能塗装組成物中に存在している樹脂固形物の全重量に基づいて、0.05〜3重量パーセントの範囲の量で存在している、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
請求項1に記載の前記電着可能塗装組成物で塗装された、基板。

【公表番号】特表2008−510042(P2008−510042A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525887(P2007−525887)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/030446
【国際公開番号】WO2006/026448
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】