説明

電着金属の剥ぎ取り装置および電着金属の剥ぎ取り方法

【課題】隙間形成工程と、拡開工程、分離工程とを1つの剥ぎ取り装置で行うことができ、カソード板を装置間で搬送するための搬送装置が不要で、装置をコンパクトにすることができ、カソード板の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる電着金属の剥ぎ取り方法を提供する。
【解決手段】一方のフレキシング部材20によって、カソード板1の一方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板1の一方の面と一方の電着金属8との一方の上部接合部に形成される隙間から、一方の楔部材24を差し込んだ後、他方のフレキシング部材によって、カソード板の他方の面を略垂直方向に押圧することにより、上部接合部に形成される隙間から、他方の楔部材を差し込み、一対の楔部材を下方側へ移動させることによって、2枚一対の電着金属を分離させることなくV字形状に拡開させた状態のまま、カソード板から剥ぎ取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の電解精錬、例えば、銅の電解精錬において、カソード板に電着した電着金属を、カソード板から剥ぎ取る作業を効率的に行えるようにした電着金属の剥ぎ取り装置および電着金属の剥ぎ取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属の電解精錬、例えば、銅の電解精錬における電解プロセスとして、パーマネントカソード(Permanent Cathode:PC)法が広く用いられている。このパーマネントカソード法は、ステンレス板をカソード(陰極)、粗銅をアノード(陽極)とし、アノードとカソードを交互に電解槽に浸漬して両電極間に直流電圧を印加することで、ステンレス板に電着した銅を剥ぎ取って製品とする方法である。
【0003】
パーマネントカソード法では、電解は通常1〜2週間継続して行われる。そして、銅の重さが50〜90kg程度になった状態で電解槽から引き揚げられ、電着した銅をステンレス板から剥離して電気銅とする。なお、電着した銅が剥がされたステンレス板は、繰り返しカソード板として使用される。このようなパーマネントカソード法としては、例えば、特許文献1(特開2005−240146号公報)に示すものがある。
【0004】
ここで、パーマネントカソード法として実用化されているプロセスの中に、ISA法と呼ばれる方法がある。ISA法は、カソード板の両側部を塩化ビニール等で絶縁マスキングするとともに下部をマスキングして、両側部および下部に電着が及ばないようにし、電解終了後、カソード板の両面に電着した電気銅を剥離機によって剥ぎ取り、これによって1つのカソード板から2枚の電気銅を得る方法である。
【0005】
また、最近では、例えば、特許文献2(特表2003−502512号公報)に開示されているように、ISA法において、カソードの下部をマスキングせずに、代わりにカソード板の下部にV溝加工を施すことで、カソード板の両面に電着した銅を剥ぎ取る際に容易に分離できるような方法も提案されている。
このような従来の金属の電解精錬では、図25に示したような構造のカソード板100を用いている。
【0006】
すなわち、水平方向の支持部材であるハンガーバー102と、このハンガーバー102から、下方に鉛直方向に垂下するように取り付けられた板状の電極板本体104と、絶縁マスキング106とを備えている。また、電極板本体104の下端面には、図示しないがV字状の溝が形成されている。
【0007】
この場合、例えば、銅精錬の場合には、カソード板100は、電極板本体104がステンレスから構成されている。
ところで、このようなカソード板100に電着した電着金属を、カソード板100から剥ぎ取り分離する電着金属の剥ぎ取り装置としては、従来からいわゆる「セパレートタイプ」と「エンベロープタイプ」の2通りの電着金属の剥ぎ取り装置が提案されている。
【0008】
上記の「セパレートタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置としては、図26〜図31に示したような構成となっている。
上記のように、電極板本体104に電着金属108が電着したカソード板100は、フレキシング装置において、隙間形成工程が行われるようになっている。
【0009】
すなわち、図26に示したように、上部固定部材110a、110b、下部固定部材111a、111bによって固定されているカソード板100の両面を、フレキシング部材112a、112bによって垂直方向に交互に押圧し、カソード板100を弓形状に湾曲させて(フレキシング)、カソード板100と電着金属108の上部接合部103に隙間を形成するようになっている。
【0010】
なお、このようなフレキシングは、上部接合部103に、後述する剥ぎ取り工程において、楔部材114a、114bを差し込むのに十分な隙間が形成されるまで、必要に応じて数回繰り返して行なうようになっている。
【0011】
すなわち、図26に示したように、上部固定部材110a、110b、下部固定部材111a、111bによって固定されたカソード板100の一方面側をフレキシング部材112aによって、図中の矢印A方向に押圧し、カソード板100を弓形状に湾曲させて、カソード板100とカソード板100の他方面側に電着している電着金属108bとの上部接合部103に隙間bを形成する。
【0012】
また、図27に示したように、上部固定部材110a、110b、下部固定部材111a、111bによって固定されたカソード板100の他方面側を112bによって、図中の矢印B方向に押圧し、カソード板100を弓形状に湾曲させて、カソード板100とカソード板100の一方面側に電着している電着金属108aとの上部接合部103に隙間aを形成する。
【0013】
このように、隙間形成工程で、カソード板100とカソード板100の表面に電着している電着金属108の間の上部接合部103に隙間a、bが形成されたカソード板100は、次に剥ぎ取り装置に搬送される。
【0014】
そして、剥ぎ取り装置では、拡開工程において、先ず、図28に示したように、カソード板100の下部を下部固定部材111a、111bで挟んで固定した状態のまま、隙間形成工程で形成された隙間a,bに、それぞれ楔部材114a、114bを上方から差し込む。
【0015】
そして、図29の矢印Cで示したように、楔部材114a、114bを、そのままカソード板100に沿って下向きに移動することにより、カソード板100の両面に電着している電着金属108を拡開させて、カソード板100から剥ぎ取るようになっている。
【0016】
なお、拡開された電着金属108a、108bは、その下端が一体化した状態のままであり、断面視で略V字状となる。
そして、分離工程において、図30に示したように、断面視で略V字状となった2枚一対の電着金属108a、108bを、一対のクランプ部材116でそれぞれ、2枚一対の電着金属108a、108bを把持した後、矢印Dで示したように、この一対のクランプ部材116を拡径方向に移動させることによって、2枚一対の電着金属108a、108bを水平位置までさらに拡径させるようになっている。
【0017】
その後、図31の矢印Eで示したように、クランプ部材116を相互に離反する方向に移動することによって、カソード板から分離させて、2枚の分離した電着金属108a、108bを得るように構成されている。
【0018】
一方、上記の「エンベロープタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置としては、特許文献3(特許第4625028号公報)に開示されているような剥ぎ取り装置が提案されている。
【0019】
この特許文献3の電着金属の剥ぎ取り装置では、1つの剥ぎ取り装置において、隙間形成工程、拡開分離工程が行われるように構成されている。
すなわち、特許文献3の電着金属の剥ぎ取り装置では、上記の「セパレートタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置における隙間形成工程と同様に、カソード板100とカソード板100の表面に電着している電着金属108の間の上部接合部103に隙間a、bが形成される。
【0020】
そして、図32に示したように、カソード板100とカソード板100の表面に電着している電着金属108の間の上部接合部103に形成された隙間a、bに、その側方より、鉈形状の剥離部材118を挿入して、カソード板100の両面に電着している電着金属108を拡開させて、カソード板100から剥ぎ取るようになっている。
【0021】
なお、拡開された電着金属108a、108bは、その下端が一体化した状態のままであり、断面視で略V字状となる。
そして、カソード板100から拡開された状態で剥ぎ取られた電着金属108a、108bは、別途図示しない押圧装置を用いて、両面より押圧することによって、重ね合わせた状態の製品である電着金属板として出荷されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2005−240146号公報
【特許文献2】特表2003−502512号公報
【特許文献3】特許第4625028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ところで、上記の従来の「セパレートタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置では、隙間形成工程と、拡開工程、分離工程とが別々の装置で行われるため、カソード板100を装置間で搬送するための搬送装置が必要で、装置が大型化することになるとともに、カソード板100の移し替え(移載)などのために時間がかかることになり、作業効率も悪く、生産性が低下し、コストが高くつくことにもなる。
【0024】
一方、特許文献3の「エンベロープタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置では、1つの剥ぎ取り装置において、隙間形成工程、拡開分離工程が行われるように構成されている。
しかしながら、カソード板100とカソード板100の表面に電着している電着金属108の間の上部接合部103に形成された隙間a、bに、その側方より、鉈形状の剥離部材118を挿入する装置が別途必要であるので、複雑な装置構成となるとともに、装置が大型化することになる。
【0025】
さらに、特許文献3の電着金属の剥ぎ取り装置では、別途図示しない押圧装置を用いて、両面より押圧することによって、重ね合わせた状態の製品である電着金属板とする必要もあるため、システムが大型化してしまうことになる。
【0026】
しかも、カソード板100から拡開された状態で剥ぎ取られた電着金属108a、108bの移し替え(移載)などのために時間がかかることになり、作業効率も悪く、生産性が低下し、コストが高くつくことにもなる。
【0027】
本発明は、このような現状に鑑み、「セパレートタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置において、隙間形成工程と、拡開工程、分離工程とを1つの剥ぎ取り装置で行うことができ、カソード板を装置間で搬送するための搬送装置が不要で、装置をコンパクトにすることができ、カソード板の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる電着金属の剥ぎ取り装置および電着金属の剥ぎ取り方法を提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明は、「エンベロープタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置において、従来のように、側方より、鉈形状の剥離部材を挿入する必要がなく、電着金属を傷つけてしまうことがなく、確実に剥ぎ取りを行え、しかも、別の押圧装置も不要で、容易に重ね合わせた状態の製品である電着金属板とすることが可能で、カソード板から拡開された状態で剥ぎ取られた電着金属の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる電着金属の剥ぎ取り装置および電着金属の剥ぎ取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置は、
電解精錬によってカソード板の両面に電着した2枚一対の電着金属を、カソード板から剥ぎ取るための電着金属の剥ぎ取り装置であって、
前記カソード板の両面を交互に略垂直方向に押圧する一対のフレキシング部材と、
上下動可能に構成された一対の楔部材とを備え、
前記一方のフレキシング部材によって、カソード板の一方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の一方の面と一方の電着金属との一方の上部接合部に形成される隙間から、一方の楔部材を差し込んだ後、
前記他方のフレキシング部材によって、カソード板の他方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の他方の面と他方の電着金属との他方の上部接合部に形成される隙間から、他方の楔部材を差し込み、
この状態で、一対の楔部材を下方側へ移動させることによって、2枚一対の電着金属を分離させることなくV字形状に拡開させた状態のまま、カソード板から剥ぎ取ることができるように構成されていることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り方法は、
電解精錬によってカソード板の両面に電着した2枚一対の電着金属を、カソード板から剥ぎ取るための電着金属の剥ぎ取り方法であって、
前記カソード板の一方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の一方の面と一方の電着金属との一方の上部接合部に形成される隙間から、一方の楔部材を差し込む隙間形成工程と、
前記カソード板の他方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の他方の面と他方の電着金属との他方の上部接合部に形成される隙間から、他方の楔部材を差し込む隙間形成工程と、
この状態で、一対の楔部材を下方側へ移動させることによって、2枚一対の電着金属を分離させることなくV字形状に拡開させた状態のまま、カソード板から剥ぎ取る剥ぎ取り工程とを備えることを特徴とする。
【0031】
このように構成することによって、一方のフレキシング部材によって、カソード板の一方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の一方の面と一方の電着金属との一方の上部接合部に形成される隙間から、一方の楔部材を差し込んだ後、他方のフレキシング部材によって、カソード板の他方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の他方の面と他方の電着金属との他方の上部接合部に形成される隙間から、他方の楔部材を差し込むことができる。
【0032】
また、この状態で、楔部材を下方側へ移動させるだけで、剥ぎ取り工程を行うことができ、2枚一対の電着金属を分離させることなくV字形状に拡開させた状態のまま、カソード板から剥ぎ取ることができる。
【0033】
従って、交互にフレキシング部材による隙間形成と楔部材の差し込みにより隙間形成工程を行うことができるとともに、隙間形成用の楔部材が、剥ぎ取り用のクサビを兼ねることができるので、隙間形成工程と、拡開工程、分離工程とを1つの剥ぎ取り装置で行うことができ、カソード板を装置間で搬送するための搬送装置が不要で、装置をコンパクトにすることができる。
【0034】
これにより、カソード板の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる。
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置は、
前記一対の楔部材を差し込んで下方側へ移動させて、V字形状に拡開させた状態のままカソード板から完全に剥ぎ取られ、カソード板から落下した2枚一対の電着金属を、下方で受けてV字形状先端部の中心を揃えるための開閉可能な中間受け装置を備えることを特徴とする。
【0035】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り方法は、
前記一対の楔部材を差し込んで下方側へ移動させて、V字形状に拡開させた状態のままカソード板から完全に剥ぎ取られ、カソード板から落下した2枚一対の電着金属を、
開閉可能な中間受け装置によって、下方で受けてV字形状先端部の中心を揃える位置出し工程を備えることを特徴とする。
【0036】
このように構成することによって、「エンベロープタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置において、V字形状に拡開させた状態のままカソード板から完全に剥ぎ取られ、カソード板から落下した2枚一対の電着金属を、中間受け装置によって下方で受けてV字形状先端部の中心を揃えることができる。
【0037】
そして、この状態で、中間受け装置を開放することによって、中心を揃えた状態で、2枚一対の電着金属を下方に落下させることができる。
従って、この中心を揃えた状態で落下した2枚一対の電着金属を、容易に重ね合わせた状態の製品である電着金属板とすることが可能である。
【0038】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置は、
前記中間受け装置で、V字形状先端部の中心を揃えられ、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属を、前記中間受け装置を開放して落下させて、一対のピンチロールの間を通過させることによって重ね合わせた状態の電着金属板とする圧着装置を備えることを特徴とする。
【0039】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り方法は、
前記中間受け装置で、V字形状先端部の中心を揃えられ、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属を、前記中間受け装置を開放して落下させて、一対のピンチロールからなる圧着装置の間を通過させることによって重ね合わせた状態の電着金属板とする圧着工程を備えることを特徴とする。
【0040】
このように構成することによって、中間受け装置で、V字形状先端部の中心を揃えられ、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属を、前記中間受け装置を開放して落下させて、一対のピンチロールからなる圧着装置の間を通過させることによって重ね合わせた状態の電着金属板とすることができる。
【0041】
従って、別の押圧装置も不要で、容易に重ね合わせた状態の製品である電着金属板とすることが可能で、カソード板から拡開された状態で剥ぎ取られた電着金属の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる。
【0042】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置は、
前記圧着装置の下方には、重ね合わせた状態の電着金属板を搬送コンベヤまで案内するガイド部材が配置されていることを特徴とする。
【0043】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り方法は、
前記圧着装置の下方に配置されたガイド部材により、重ね合わせた状態の電着金属板を搬送コンベヤまで案内する案内工程と備えることを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、圧着装置の下方に配置されたガイド部材により、カソード板から剥ぎ取られ重ね合わせた状態の電着金属板を、簡便に搬送コンベヤに移載することができる。
【0045】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置は、
前記V字形状に拡開させた状態のままカソード板から剥ぎ取られた2枚一対の電着金属を、一対のフレキシング部材を中間位置に移動させて、V字形状のまま保持し、
この状態で、一対のクランプ部材でそれぞれ、2枚一対の電着金属を把持した後、一対のフレキシング部材を後端位置まで後退させ、
前記一対のクランプ部材を拡径方向に移動させることによって、2枚一対の電着金属を水平位置までさらに拡径させ、
前記クランプ部材を相互に離反する方向に移動することによって、カソード板から分離させて、2枚の分離した電着金属を得るように構成されていることを特徴とする。
【0046】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り方法は、
前記V字形状に拡開させた状態のままカソード板から剥ぎ取られた2枚一対の電着金属を、一対のフレキシング部材を中間位置に移動させて、V字形状のまま保持し、
この状態で、一対のクランプ部材でそれぞれ、2枚一対の電着金属を把持した後、一対のフレキシング部材を後端位置まで後退させ、
前記一対のクランプ部材を拡径方向に移動させることによって、2枚一対の電着金属を水平位置までさらに拡径させ、
前記クランプ部材を相互に離反する方向に移動することによって、カソード板から分離させて、2枚の分離した電着金属を得るように構成されていることを特徴とする。
【0047】
このように構成することによって、V字形状に拡開させた状態のままカソード板から剥ぎ取られた2枚一対の電着金属を、一対のフレキシング部材を中間位置に移動させて、V字形状のまま仮受状態で保持することができる。
【0048】
この状態で、一対のクランプ部材でそれぞれ、2枚一対の電着金属を把持した後、一対のフレキシング部材を後端位置まで後退させ、一対のクランプ部材を拡径方向に移動させることによって、2枚一対の電着金属を水平位置までさらに拡径させることができる。
【0049】
さらに、この状態で、クランプ部材を相互に離反する方向に移動することによって、カソード板から分離させて、2枚の分離した電着金属を得ることができる。
従って、「セパレートタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置において、隙間形成工程と、拡開工程、分離工程とを1つの剥ぎ取り装置で行うことができ、カソード板を装置間で搬送するための搬送装置が不要で、装置をコンパクトにすることができ、カソード板の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる。
【0050】
また、フレキシング部材が、仮受機能を兼ね備えるので、別途仮受装置を設ける必要がなく、コンパクトな装置とすることができる。
また、本発明は、前記一対のフレキシング部材が、斜め上方からカソード板に対して進退自在に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0051】
このように構成することによって、フレキシング部材が邪魔にならず、フレキシング部材を後端位置まで後退させることによって、「セパレートタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置において、一対のクランプ部材による拡径、相互に離反する方向に移動することによるカソード板からの分離を確実に実施することができる。
【0052】
また、フレキシング部材が邪魔にならず、フレキシング部材を後端位置まで後退させることによって、「エンベロープタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置において、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属を、前記中間受け装置を開放して落下させることができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、交互にフレキシング部材による隙間形成と楔部材の差し込みにより隙間形成工程を行うことができるとともに、隙間形成用の楔部材が、剥ぎ取り用のクサビを兼ねることができるので、隙間形成工程と、拡開工程、分離工程とを1つの剥ぎ取り装置で行うことができる。
【0054】
これにより、カソード板を装置間で搬送するための搬送装置が不要で、装置をコンパクトにすることができ、カソード板の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線での矢視図である。
【図3】図3は、図1のB−B線での矢視図である。
【図4】図4は、図1のC−C線での矢視図である。
【図5A】図5Aは、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の隙間形成工程を説明する概略図である。
【図5B】図5Bは、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の隙間形成工程を説明する概略図である。
【図6】図6は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の隙間形成工程を説明する概略図である。
【図7】図7は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の隙間形成工程を説明する概略図である。
【図8】図8は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の隙間形成工程を説明する概略図である。
【図9】図9は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の隙間形成工程を説明する概略図である。
【図10】図10は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、位置出し工程、圧着工程、案内工程を説明する概略図である。
【図11】図11は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、位置出し工程、圧着工程、案内工程を説明する概略図である。
【図12】図12は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、位置出し工程、圧着工程、案内工程を説明する概略図である。
【図13】図13は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、位置出し工程、圧着工程、案内工程を説明する概略図である。
【図14】図14は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、位置出し工程、圧着工程、案内工程を説明する概略図である。
【図15】図15は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の正面図である。
【図16】図16は、図15のA方向矢視図である。
【図17】図17は、クランプ装置の駆動機構を説明する拡大図である。
【図18】図18は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、分離工程、搬出工程を説明する概略図である。
【図19】図19は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、分離工程、搬出工程を説明する概略図である。
【図20】図20は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、分離工程、搬出工程を説明する概略図である。
【図21】図21は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、分離工程、搬出工程を説明する概略図である。
【図22】図22は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、分離工程、搬出工程を説明する概略図である。
【図23】図23は、分離工程の一部を説明する概略拡大図である。
【図24】図24は、クランプ装置38のクランプ部材40の作動を説明する概略図である。
【図25】図25は、カソード板100の斜視図である。
【図26】図26は、従来のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置の作動を説明する概略図である。
【図27】図27は、従来のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置の作動を説明する概略図である。
【図28】図28は、従来のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置の作動を説明する概略図である。
【図29】図29は、従来のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置の作動を説明する概略図である。
【図30】図30は、従来のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置の作動を説明する概略図である。
【図31】図31は、従来のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置の作動を説明する概略図である。
【図32】図32は、従来のエンベロープタイプの電着金属の剥ぎ取り装置の作動を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0057】
(エンベロープタイプの電着金属の剥ぎ取り装置)
図1は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の正面図、図2は、図1のA−A線での矢視図、図3は、図1のB−B線での矢視図、図4は、図1のC−C線での矢視図、図5A〜図9は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の隙間形成工程を説明する概略図、図10〜図14は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、位置出し工程、圧着工程、案内工程を説明する概略図である。
【0058】
図1〜図3において、符号10は、全体で本発明の電着金属の剥ぎ取り装置(以下、単に「剥ぎ取り装置」と言う)を示している。
なお、この実施例の剥ぎ取り装置10は、「エンベロープタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置を示している。
【0059】
図1に示したように、剥ぎ取り装置10は、図示しないフレーム架台を備えており、このフレーム架台の上方に、カソード板1の水平方向の支持部材であるハンガーバー2を挟持して支持する上部支持装置16が設けられている。
【0060】
また、図示しないが、フレーム架台12の上方には、カソード板1の側方両端部を支える端部支持装置が設けられている。
一方、フレーム架台12の下方には、カソード板1の電極板本体4の下端を挟持して支持する下部支持装置18が設けられている。
【0061】
また、この上部支持装置16と下部支持装置18の概略中間位置には、カソード板1の電極板本体4に電着金属8が電着したカソード板1に対して、隙間形成工程を行うためのフレキシング装置20が設けられている。
【0062】
さらに、この上部支持装置16の直ぐ下方には、後述するようにフレキシング装置20によって、カソード板1の電極板本体4の電着金属8の上部接合部3に隙間を形成した後、この隙間に楔部材24a、24bを差し込むための楔差し込み装置22が設けられている。
【0063】
一方、図1、図3に示したように、下部支持装置18の下方には、後述するように、楔部材24a、24bを差し込んで下方側へ移動させて、V字形状に拡開させた状態のままカソード板1から完全に剥ぎ取られ、カソード板1から落下した2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、下方で受けてV字形状先端部8cの中心を揃えるための開閉可能な中間受け装置26が設けられている。
【0064】
また、図1、図4に示したように、中間受け装置26の下方には、後述するように、中間受け装置26で、V字形状先端部8cの中心を揃えられ、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、中間受け装置26を開放して落下させて、一対のピンチロール28a、28bの間を通過させることによって重ね合わせた状態の電着金属板5とする圧着装置30が設けられている。
【0065】
さらに、図1に示したように、圧着装置30の下方には、重ね合わせた状態の電着金属板5を搬送コンベヤ36まで案内するガイド部材34が配置されている。
このように構成される本発明の剥ぎ取り装置10について、その作動について、図5A〜図10の概略図に基づいて説明する。
【0066】
本発明は、銅の電解製錬、例えば、パーマネントカソード法などの電解精錬法によって、電極板本体4に電着金属8が電着したカソード板1は、図示しない移載装置によって、鉛直方向に垂下した状態で、本発明の剥ぎ取り装置10に搬入される。
【0067】
剥ぎ取り装置10に搬入されたカソード板1は、図示しないフレーム架台12の上方に設けられたカソード板1の側方両端部を支える端部支持装置によって支持される(図15の端部支持装置52参照)。
【0068】
そして、フレーム架台12の上方に設けられた上部支持装置16によって、カソード板1の水平方向の支持部材であるハンガーバー2を挟持して支持されるようになっている。
すなわち、図5Aに示したように、上部支持装置16は、左右一対の上部支持部材16a、16bから構成され、ぞれぞれ、駆動シリンダー16c、16dによって、カソード板1に対して離接する方向に移動自在に構成されている。これにより、カソード板1のハンガーバー2、電極板本体4の上部を、上部支持部材16a、16bによって脱着自在に挟持することができるように構成されている。
【0069】
なお、上部支持部材16a、16bは、図示しないが、図1、図5Aの紙面に垂直な方向に延設されており、カソード板1のハンガーバー2、電極板本体4の上部を長手方向にわたって支持するように構成されている。
【0070】
また、この実施例では、左右一対の上部支持部材16a、16bを、駆動シリンダー16c、16dによって、カソード板1に対して離接する方向に移動自在に構成したが、その詳細は図示しないが、カソード板1の搬入の際に、邪魔にならないように、図5Aの矢印で示したように、回転するようにして、電極板本体4の上部を、上部支持部材16a、16bによって脱着自在に挟持するように構成することも可能である。
【0071】
一方、フレーム架台12の下方には、カソード板1の電極板本体4の下端を挟持して支持する下部支持装置18が設けられている。
すなわち、図1、図2、図5Aに示したように、下部支持装置18は、左右一対の下部支持部材18a、18bから構成され、ぞれぞれ、駆動シリンダー18c、18dによって、カソード板1に対して離接する方向に移動自在に構成されている。これにより、カソード板1の電極板本体4の下部を、下部支持部材18a、18bによって脱着自在に挟持することができるように構成されている。
【0072】
なお、下部支持部材18a、18bは、図示しないが、図2の右半分に示したように、カソード板1の長手方向に延設されており、カソード板1の電極板本体4の下部を長手方向にわたって支持するように構成されている。
【0073】
このように、上部支持装置16によって、カソード板1のハンガーバー2、電極板本体4の上部を支持するとともに、下部支持装置18によって、カソード板1の電極板本体4の下部を支持した状態で、図5A〜図9に示したように、隙間形成工程が実施される。
【0074】
すなわち、図1に示したように、フレキシング装置20は、左右一対のフレキシング部材20a、20bから構成され、ぞれぞれ、駆動シリンダー20c、20dによって、カソード板1に対して離接する方向に移動自在に構成されている。
【0075】
なお、フレキシング部材20a、20bは、図1、図5Aの紙面に垂直な方向に延設されており、図2の左半分に示したように、カソード板1の電極板本体4を長手方向にわたって押圧するように構成されている。
【0076】
一方、楔差し込み装置22は、左右一対の楔部材24a、24bを備えており、ぞれぞれ、駆動シリンダー21a、21bによって駆動され、図5Aの矢印Aで示した方向に、回転軸23a、23bを中心に回動する回転駆動部材22a、22bに脱着自在に支持されている。
【0077】
このように構成されるフレキシング装置20と楔差し込み装置22を用いて図5A〜図9に示したように、隙間形成工程が実施される。
先ず、図5Aの矢印Bに示したように、右側に配置したフレキシング装置20の駆動シリンダー20cを作動させて、フレキシング部材20aをカソード板1の電極板本体4方向に前進位置まで移動させて、カソード板1を弓形状に湾曲させて(フレキシング)、例えば、ステンレスからなるカソード板1の電極板本体4と、例えば、電気銅などの電着金属8の上部接合部3に隙間bを形成する。
【0078】
なお、図5Aに示したように、電着金属8の上部接合部3の口が開いて、電着金属8の上部接合部3に隙間bが、容易に形成されない場合もある。
この場合には、フレキシング装置20によるフレキシングを数回行うか、または、図5Bの矢印に示したように、打撃装置15(打撃装置15b)によって、電着金属8の上部接合部3に打撃による衝撃を加えて、電着金属8の上部接合部3に隙間bを形成するようにすることもできる。
【0079】
この場合、図5Bの矢印で示した往復動による打撃は、適宜複数回行うようにすることもできる。
そして、電着金属8の上部接合部3の口が開いて、電着金属8の上部接合部3に隙間bが形成されたことを、図示しないセンサーで検知した後、後述するように、楔差し込み装置22によって、楔部材24bを隙間b内に差し込む工程が実施されるようになっている。
【0080】
同様にして、後述する電着金属8の上部接合部3に隙間aを形成するように、打撃装置15aによって、電着金属8の上部接合部3に隙間aを形成するようにするようになっている。
【0081】
この状態で、図6に示したように、左側に配置した楔差し込み装置22の駆動シリンダー21bを作動させて、図6の矢印Cで示した方向に、回転軸23bを中心に回転駆動部材22dを回動させる。
【0082】
これにより、図6〜図7に示したように、カソード板1の電極板本体4と電着金属8の上部接合部3に形成した隙間b内に、楔部材24bを差し込んでいく。
この状態で、図8の矢印Dに示したように、右側に配置したフレキシング装置20の駆動シリンダー20cを作動させて、フレキシング部材20aをカソード板1の電極板本体4から離反する方向に後退位置まで移動させる。これにより、弓形状に湾曲していたカソード板1はその湾曲状態が解除される。
【0083】
そして、楔部材24bを隙間b内にさらに差し込んで、図8に示したように、楔部材24bが、鉛直状態になるまで差し込んでいく。
なお、この状態で、図8に示したように、楔部材24bとカソード板1の電極板本体4との間に、僅かに隙間Sを開けておき、後述する剥ぎ取り工程において、楔部材24bが下降した際に、電極板本体4を楔部材24bで傷つけないようにすることが望ましい。
【0084】
同様にして、図9の矢印Eに示したように、今度は、左側に配置したフレキシング装置20の駆動シリンダー20dを作動させて、フレキシング部材20bをカソード板1の電極板本体4方向に前進位置まで移動させて、カソード板1を弓形状に湾曲させて(フレキシング)、カソード板1の電極板本体4と電着金属8の上部接合部3に隙間aを形成する。
【0085】
この状態で、図9に示したように、右側に配置した楔差し込み装置22の駆動シリンダー21aを作動させて、図9の矢印Cで示した方向に、回転軸23aを中心に回転駆動部材22cを回動させる。
【0086】
これにより、図9に示したように、カソード板1の電極板本体4と電着金属8の上部接合部3に形成した隙間a内に、楔部材24aを差し込んでいく。
そして、左側に配置したフレキシング装置20の駆動シリンダー20dを作動させて、フレキシング部材20bをカソード板1の電極板本体4から離間する方向に後退位置まで移動させて、楔部材24aを隙間a内にさらに差し込んで、図10に示したように、楔部材24bが、鉛直状態になるまで差し込んでいく。
【0087】
この状態で、下部支持装置18の駆動シリンダー18c、18dを作動させて、下部支持部材18a、18bを、それぞれ、カソード板1に対して離間する方向に移動させて、カソード板1の電極板本体4の下部の下部支持部材18a、18bによる挟持状態を解除する。
【0088】
そして、図11の矢印Cで示したように、楔差し込み装置22の楔部材24a、24bを、それぞれ、図1に示したガイド部材25と、図示しないがフレーム架台12の上方に設けられた駆動モーター、油圧シリンダーなどの駆動機構によって、一対の楔部材24a、24bを、図1の矢印Fで示したように、カソード板1に沿って下方側へ移動させる。
【0089】
これにより、カソード板1の電極板本体4の両面に電着している電着金属8を拡開させる。
さらに、一対の楔部材24a、24bを下方側へさらに移動させることによって、図15に示したように、2枚一対の電着金属8(8a、8b)を分離させることなくV字形状に拡開させた状態のまま、カソード板から剥ぎ取る。
【0090】
すなわち、拡開された電着金属8は、その下端のV字形状先端部8cが一体化した状態のままであり、断面視で略V字状となる。
なお、楔部材24a、24bは、カソード板1から電着金属8が剥ぎ取られた後に、上方に移動して元の位置に戻るようになっている。
【0091】
そして、図12に示したように、楔部材24a、24bを差し込んで下方側へ移動させて、V字形状に拡開させた状態のままカソード板1から完全に剥ぎ取られ、カソード板1から落下した2枚一対の電着金属8(8a、8b)は、中間受け装置26によって、下方で受けてV字形状先端部8cの中心を揃えられる位置出し工程が行われるようになっている。
【0092】
すなわち、中間受け装置26は、図3に示したように、櫛歯状の中間受け部材26a、26bが、櫛歯状態が互い違いの位置になるように構成されている。この櫛歯状の中間受け部材26a、26bは、それぞれ、図示しない、例えば、油圧シリンダー、駆動モーターなどの駆動機構により、回転軸26c、26dを中心に回転することができるように構成されており、開閉可能な構造となっている。
【0093】
そして、図13に示したように、中間受け装置26で、V字形状先端部8cの中心を揃えられ、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、図13の矢印Gで示したように、中間受け装置26の中間受け部材26a、26bを開いて、図14に示したように、中間受け装置26の下方に落下させる。
【0094】
これにより、中間受け装置26の下方に設けられた圧着装置30によって、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、一対のピンチロール28a、28bの間を通過させることによって、重ね合わせた状態の電着金属板5とされる。
【0095】
さらに、図14に示したように、圧着装置30によって、重ね合わせた状態の電着金属板5は、ガイド部材34に案内されて、搬送コンベヤ36に移載されるようになっており、図14の矢印H方向に搬出されるようになっている。
【0096】
なお、図14に示したように、搬送コンベヤ36には、ストッパー31が設けられており、電着金属板5の先端がこのストッパー31に当接したのを、図示しないセンサーで検知してから搬送コンベア36を矢印H方向に移動するようになっている。これにより、電着金属板5の先端が整列されるようになっている。
【0097】
なお、このようなストッパー31は、搬送コンベア36に設けてもよいが、搬送コンベア36とは別にストッパー31を設けるようにすることも可能である。
このようなガイド部材34が配置されていることにより、カソード板1から剥ぎ取られた電着金属板5を、効率よく簡単に搬送コンベヤ36に移載することができる。
【0098】
このように構成することによって、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置10によれば、交互にフレキシング部材20a、20bによる隙間形成と楔部材24a、24bの差し込みにより隙間形成工程を行うことができるとともに、隙間形成用の楔部材24a、24bが、剥ぎ取り用のクサビを兼ねることができるので、隙間形成工程と、拡開工程、分離工程とを1つの剥ぎ取り装置で行うことができる。
【0099】
従って、カソード板を装置間で搬送するための搬送装置が不要で、装置をコンパクトにすることができ、カソード板の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる。
【0100】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置10によれば、V字形状に拡開させた状態のままカソード板1から完全に剥ぎ取られ、カソード板1から落下した2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、中間受け装置26によって下方で受けてV字形状先端部8cの中心を揃えることができる。
【0101】
そして、この状態で、中間受け装置26を開放することによって、中心を揃えた状態で、2枚一対の電着金属8(8a、8b)を下方に落下させることができる。
従って、この中心を揃えた状態で落下した2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、容易に重ね合わせた状態の製品である電着金属板5とすることが可能である。
【0102】
また、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置10によれば、中間受け装置26で、V字形状先端部8cの中心を揃えられ、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、中間受け装置26を開放して落下させて、一対のピンチロール28a、28bからなる圧着装置30の間を通過させることによって重ね合わせた状態の電着金属板5とすることができる。
【0103】
従って、別の押圧装置も不要で、容易に重ね合わせた状態の製品である電着金属板とすることが可能で、カソード板から拡開された状態で剥ぎ取られた電着金属の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる。
【0104】
なお、フレキシング装置20の駆動シリンダー20c、20dを、それぞれ、2つの駆動シリンダーから構成して、2段階に移動させることも可能であり、また、それぞれ1つの駆動シリンダーから構成して、駆動シリンダーの駆動自体を制御することによって、2段階に移動させることも可能である。
【0105】
同様に、楔差し込み装置22の駆動シリンダー21a、21bを、それぞれ、2つの駆動シリンダーから構成して、2段階に移動させることも可能であり、また、それぞれ1つの駆動シリンダーから構成して、駆動シリンダーの駆動自体を制御することによって、2段階に移動させることも可能である。
【0106】
このように楔差し込み装置22を2段階に移動させることによって、カソード板1と楔部材24a、24bが干渉するのを防止することができる。
また、後述する実施例2のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置10のように、フレキシング装置20の駆動シリンダー20c、20dを、中間位置に移動させて、V字形状のまま保持するように構成することも可能である。
【0107】
さらに、後述する実施例2のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置10のように、フレキシング装置20の駆動シリンダー20c、20dを、斜めに配置することも可能である。
【実施例2】
【0108】
(セパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置)
図15は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の正面図、図16は、図15のA方向矢視図、図17は、クランプ装置の駆動機構を説明する拡大図、図18〜図22は、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置の剥ぎ取り工程、分離工程、搬出工程を説明する概略図、図23は、分離工程の一部を説明する概略拡大図、図24は、クランプ装置38のクランプ部材40の作動を説明する概略図である。
【0109】
この実施例の剥ぎ取り装置10は、「セパレートタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置を示しており、上記の実施例1の剥ぎ取り装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0110】
この実施例の剥ぎ取り装置10は、上記の実施例1と同様に、図15までの楔差し込み装置22の楔部材24a、24bをカソード板1に沿って下方側へ移動させて、カソード板1の電極板本体4の両面に電着している電着金属8を拡開させる工程までは同様に行われる。
【0111】
なお、この実施例の剥ぎ取り装置10では、上記実施例1の剥ぎ取り装置10の下部支持装置18を備えておらず、カソード板1の電極板本体4の下部を支持するために、下端部受け部材46が設けられている。
【0112】
この実施例の剥ぎ取り装置10は、上記の実施例1と相違するのは、図15に示したように、フレキシング装置20の駆動シリンダー20c、20dが斜めに配置されている。
これにより、図18に示したように、楔差し込み装置22の楔部材24a、24bをカソード板1に沿って下方側へ移動させて、カソード板1の電極板本体4の両面に電着している電着金属8を拡開させた状態で、フレキシング装置20の駆動シリンダー20c、20dを駆動させて、フレキシング部材20a、20bを中間位置に移動させて、V字形状のまま仮受状態で、保持することができるように構成されている。
【0113】
このように構成することによって、V字形状に拡開させた状態のままカソード板1から剥ぎ取られた2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、一対のフレキシング部材20a、20bを中間位置に移動させて、V字形状のまま仮受状態で保持することができる。
【0114】
また、フレキシング部材20a、20bが、仮受機能を兼ね備えるので、別途仮受装置を設ける必要がなく、コンパクトな装置とすることができる。
そして、図19の矢印Aで示したように、この状態で、一対のクランプ部材40でそれぞれ、2枚一対の電着金属8(8a、8b)を把持する。
【0115】
すなわち、図15の左半分の部分、および、図17で示したように、剥ぎ取り装置10には、4つのクランプ装置38が設けられており、このクランプ装置38にそれぞれ備えられたクランプ部材40で、2枚一対の電着金属8(8a、8b)の4つの側部を把持するように構成されている。
【0116】
このクランプ装置38のクランプ部材40で、2枚一対の電着金属8(8a、8b)の4つの側部を把持した後、図19の矢印Bで示したように、フレキシング装置20の駆動シリンダー20c、20dを駆動させて、一対のフレキシング部材20a、20bを後端位置まで後退させる。
【0117】
そして、図20の矢印Cで示したように、クランプ装置38の一対のクランプ部材40を拡径方向に移動させることによって、2枚一対の電着金属8(8a、8b)を水平位置までさらに拡径させる。
【0118】
なお、この際、図16に示したように、回動軸29aを中心に回動可能なフレーム支持枠29により、拡径した2枚一対の電着金属8(8a、8b)をそれぞれ支持するように構成されている。
【0119】
なお、このクランプ装置38のクランプ部材40を拡径方向に移動させる機構としては、この実施例では、図17に示したように、クランプ部材40に連結された扇形のラック部材42と、図示しない駆動モーター接続されたピニオン44との噛合により、ラック部材42に連結された支持部材29上のクランプ部材40が、回転軸29bを中心に、図17の矢印D方向に移動できるようになっている。
【0120】
なお、図16に示したように、これらのクランプ装置38、クランプ部材40、ラック部材42、ピニオン44、支持部材29は、左右に一対設けられており、回転軸45によって、左右のピニオン44が連動して回転することによって同期されるようになっている。
【0121】
このようなラック部材42とピニオン44との噛合による機構の他に、駆動シリンダーで移動させるようにしてもよい。
なお、このクランプ装置38による拡径動作は、適宜繰り返し行うようにして、カソード板1から、2枚一対の電着金属8(8a、8b)を分離しやすくするようにしても良い。
【0122】
また、この拡径動作の際、図23に示したように、2枚一対の電着金属8(8a、8b)を、下方で受けてV字形状先端部8cの中心を揃え、かつ分離しやすくするための下端部受け部材46が設けられている。
【0123】
この下端部受け部材46の凹部48内に、電着金属8(8a、8b)のV字形状先端部8cが嵌合して、中心を揃えるが、拡径の際に、下端部受け部材46の側部50が拡径の邪魔になり、下端部が破損するおそれがある。このために、図23の矢印Eで示したように、カソード板1を上方に移動させた後、矢印Fで示したように、2枚一対の電着金属8(8a、8b)を水平位置まで拡径させるようになっている。
【0124】
また、クランプ装置38のクランプ部材40によって、電着金属8a、8bの側部を把持する方法としては、図24(A)の矢印に示したように、クランプ部材40、40を、電着金属8a、8bの両面から把持するか、または、図24(B)の矢印に示したように、クランプ部材40を、側方から回転して、電着金属8a、8bの側部に嵌合するようにしても良い。
【0125】
このように、2枚一対の電着金属8(8a、8b)を水平位置まで拡径した後、図21の矢印Gで示したように、クランプ装置38の一対のクランプ部材40を相互に離反する方向に移動することによって、カソード板1から2枚一対の電着金属8a、8bを分離させて、2枚の分離した電着金属板8a、8bを得ることができる。
【0126】
そして、この状態で、図22に示したように、クランプ装置38のクランプ部材40による把持状態を解除して、下方に落下させることによって、搬送コンベヤ36に移載される。
【0127】
このように構成することによって、「セパレートタイプ」の電着金属の剥ぎ取り装置において、隙間形成工程と、拡開工程、分離工程とを1つの剥ぎ取り装置で行うことができ、カソード板を装置間で搬送するための搬送装置が不要で、装置をコンパクトにすることができ、カソード板1の移し替え(移載)などの時間が不要で、作業効率、生産性も良好で、コストも低減できる。
【0128】
また、フレキシング装置20のフレキシング部材20a、20bが、仮受機能を兼ね備えるので、別途仮受装置を設ける必要がなく、コンパクトな装置とすることができる。
なお、この実施例では、フレキシング装置20の駆動シリンダー20c、20dを斜めに配置したが、実施例1のように、フレキシング装置20の駆動シリンダー20c、20dを水平に配置して、駆動シリンダー20c、20dを制御して、フレキシング部材20a、20bを中間位置に移動させて、V字形状のまま仮受状態で保持するようにすることも可能である。
【0129】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、電気銅を例として説明したが、本発明の電着金属の剥ぎ取り装置および電着金属の剥ぎ取り方法は、これに限定されず、亜鉛、鉛、ニッケルなど、他の非鉄金属の電着金属の剥ぎ取り装置および電着金属の剥ぎ取り方法にも適用することができる。
【0130】
また、上記実施例では、電着金属として1層の電着金属を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、2層、3層や4層のラミネーションが発生した電着金属に適用することも可能である。
【0131】
また、上記実施例では、本発明のエンベロープタイプの電着金属の剥ぎ取り装置において、剥ぎ取り工程、位置出し工程、圧着工程、案内工程を1つの装置において実施するようにしたが、本発明のエンベロープタイプの電着金属の剥ぎ取り方法においては、剥ぎ取り工程、位置出し工程、圧着工程、案内工程を1つの装置において、また、これらの2つ以上の工程を組み合わせた装置に置いて実施することも可能である。
【0132】
さらに、本発明のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り装置において、剥ぎ取り工程、分離工程、搬出工程を1つの装置において実施するようにしたが、本発明のセパレートタイプの電着金属の剥ぎ取り方法においては、これらの2つ以上の工程を組み合わせた装置に置いて実施することも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、金属の電解精錬、例えば、銅の電解精錬において、カソード板に電着した電着金属を、カソード板から剥ぎ取る作業を効率的に行えるようにした電着金属の剥ぎ取り装置および電着金属の剥ぎ取り方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 カソード板
2 ハンガーバー
2a 楔部材
3 特許文献
3 上部接合部
4 電極板本体
5 電着金属板
8 電着金属
8a、8b 電着金属
8c V字形状先端部
10 剥ぎ取り装置
15 打撃装置
15a、15b 打撃装置
16 上部支持装置
16a、16b 上部支持部材
16c 駆動シリンダー
18 下部支持装置
18a。18b 下部支持部材
18c 駆動シリンダー
20 フレキシング装置
20a、20b フレキシング部材
20c、20d 駆動シリンダー
21a、21b 駆動シリンダー
22 楔差し込み装置
22a、22b 回転駆動部材
23a、23b 回転軸
24 楔部材
24a、24b 楔部材
25 ガイド部材
26 中間受け装置
26a、26b 中間受け部材
26c、26d 回転軸
28a、28b ピンチロール
29 支持フレーム枠
29a 回動軸
29b 回転軸
30 圧着装置
31 ストッパー
34 ガイド部材
36 搬送コンベヤ
38 クランプ装置
40 クランプ部材
42 ラック部材
44 ピニオン
45 回転軸
46 下端部受け部材
48 凹部
50 側部
100 カソード板
101 上部接合部
102 ハンガーバー
103 溝
104 電極板本体
106 絶縁マスキング
108 電着金属
108a、108b 電着金属
110a、110b 上部固定部材
111a、111b 下部固定部材
112a、112b フレキシング部材
114a、114b 楔部材
116 クランプ部材
118 剥離部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解精錬によってカソード板の両面に電着した2枚一対の電着金属を、カソード板から剥ぎ取るための電着金属の剥ぎ取り装置であって、
前記カソード板の両面を交互に略垂直方向に押圧する一対のフレキシング部材と、
上下動可能に構成された一対の楔部材とを備え、
前記一方のフレキシング部材によって、カソード板の一方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の一方の面と一方の電着金属との一方の上部接合部に形成される隙間から、一方の楔部材を差し込んだ後、
前記他方のフレキシング部材によって、カソード板の他方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の他方の面と他方の電着金属との他方の上部接合部に形成される隙間から、他方の楔部材を差し込み、
この状態で、一対の楔部材を下方側へ移動させることによって、2枚一対の電着金属を分離させることなくV字形状に拡開させた状態のまま、カソード板から剥ぎ取ることができるように構成されていることを特徴とする電着金属の剥ぎ取り装置。
【請求項2】
前記一対の楔部材を差し込んで下方側へ移動させて、V字形状に拡開させた状態のままカソード板から完全に剥ぎ取られ、カソード板から落下した2枚一対の電着金属を、下方で受けてV字形状先端部の中心を揃えるための開閉可能な中間受け装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の電着金属の剥ぎ取り装置。
【請求項3】
前記中間受け装置で、V字形状先端部の中心を揃えられ、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属を、前記中間受け装置を開放して落下させて、一対のピンチロールの間を通過させることによって重ね合わせた状態の電着金属板とする圧着装置を備えることを特徴とする請求項2に記載の電着金属の剥ぎ取り装置。
【請求項4】
前記圧着装置の下方には、重ね合わせた状態の電着金属板を搬送コンベヤまで案内するガイド部材が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電着金属の剥ぎ取り装置。
【請求項5】
前記V字形状に拡開させた状態のままカソード板から剥ぎ取られた2枚一対の電着金属を、一対のフレキシング部材を中間位置に移動させて、V字形状のまま保持し、
この状態で、一対のクランプ部材でそれぞれ、2枚一対の電着金属を把持した後、一対のフレキシング部材を後端位置まで後退させ、
前記一対のクランプ部材を拡径方向に移動させることによって、2枚一対の電着金属を水平位置までさらに拡径させ、
前記クランプ部材を相互に離反する方向に移動することによって、カソード板から分離させて、2枚の分離した電着金属を得るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電着金属の剥ぎ取り装置。
【請求項6】
前記一対のフレキシング部材が、斜め上方からカソード板に対して進退自在に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電着金属の剥ぎ取り装置。
【請求項7】
電解精錬によってカソード板の両面に電着した2枚一対の電着金属を、カソード板から剥ぎ取るための電着金属の剥ぎ取り方法であって、
前記カソード板の一方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の一方の面と一方の電着金属との一方の上部接合部に形成される隙間から、一方の楔部材を差し込む隙間形成工程と、
前記カソード板の他方の面を略垂直方向に押圧することにより、カソード板の他方の面と他方の電着金属との他方の上部接合部に形成される隙間から、他方の楔部材を差し込む隙間形成工程と、
この状態で、一対の楔部材を下方側へ移動させることによって、2枚一対の電着金属を分離させることなくV字形状に拡開させた状態のまま、カソード板から剥ぎ取る剥ぎ取り工程とを備えることを特徴とする電着金属の剥ぎ取り方法。
【請求項8】
前記一対の楔部材を差し込んで下方側へ移動させて、V字形状に拡開させた状態のままカソード板から完全に剥ぎ取られ、カソード板から落下した2枚一対の電着金属を、
開閉可能な中間受け装置によって、下方で受けてV字形状先端部の中心を揃える位置出し工程を備えることを特徴とする請求項7に記載の電着金属の剥ぎ取り方法。
【請求項9】
前記中間受け装置で、V字形状先端部の中心を揃えられ、V字形状に拡開させた状態のままの2枚一対の電着金属を、前記中間受け装置を開放して落下させて、一対のピンチロールからなる圧着装置の間を通過させることによって重ね合わせた状態の電着金属板とする圧着工程を備えることを特徴とする請求項8に記載の電着金属の剥ぎ取り方法。
【請求項10】
前記圧着装置の下方に配置されたガイド部材により、重ね合わせた状態の電着金属板を搬送コンベヤまで案内する案内工程と備えることを特徴とする請求項9に記載の電着金属の剥ぎ取り方法。
【請求項11】
前記V字形状に拡開させた状態のままカソード板から剥ぎ取られた2枚一対の電着金属を、一対のフレキシング部材を中間位置に移動させて、V字形状のまま保持し、
この状態で、一対のクランプ部材でそれぞれ、2枚一対の電着金属を把持した後、一対のフレキシング部材を後端位置まで後退させ、
前記一対のクランプ部材を拡径方向に移動させることによって、2枚一対の電着金属を水平位置までさらに拡径させ、
前記クランプ部材を相互に離反する方向に移動することによって、カソード板から分離させて、2枚の分離した電着金属を得るように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電着金属の剥ぎ取り方法。
【請求項12】
前記一対のフレキシング部材が、斜め上方からカソード板に対して進退自在に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の電着金属の剥ぎ取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−40366(P2013−40366A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177048(P2011−177048)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000174909)三井金属エンジニアリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】