電磁ノイズの軽減を図ったタッチパネル・システム
【課題】LCDからの電磁ノイズが進入したときにもタッチパネルの入力を継続可能にする。
【解決手段】LCD29のLUT111には、通常使用するγ補正曲線が設定されている。入力パネル31は、LCD29に積層されておりLCDに発生した電磁ノイズの影響を受けやすい。ドライバ113は入力パネル31に許容される入力点数以上の入力を検出したときにノイズ・メッセージを電圧振幅制御プログラム100に送る。電圧振幅制御プログラムは、ノイズ・メッセージに応じてLUT111のγ補正曲線を出力階調の最大値と最小値の幅が小さな修正γ補正曲線に設定する。その結果、LCD29が発生するノイズ・レベルが低下して入力パネルからの入力操作を継続することができる。
【解決手段】LCD29のLUT111には、通常使用するγ補正曲線が設定されている。入力パネル31は、LCD29に積層されておりLCDに発生した電磁ノイズの影響を受けやすい。ドライバ113は入力パネル31に許容される入力点数以上の入力を検出したときにノイズ・メッセージを電圧振幅制御プログラム100に送る。電圧振幅制御プログラムは、ノイズ・メッセージに応じてLUT111のγ補正曲線を出力階調の最大値と最小値の幅が小さな修正γ補正曲線に設定する。その結果、LCD29が発生するノイズ・レベルが低下して入力パネルからの入力操作を継続することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力パネルとフラット・パネル・ディスプレイが組み合わされたタッチパネルにおいてフラット・パネル・ディスプレイに発生した電磁ノイズが入力パネルに与える影響を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯式電子機器の中には、指や専用ペンで表面をタッチして入力するタッチ式の入力パネル(以下、単に入力パネルという場合がある。)を液晶表示装置(LCD)などのフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)に重ねて組み立てたタッチパネルを搭載するものがある。LCDは、アレイ・セル基板において走査線および信号線が高速で駆動されるため電磁ノイズを発生し易い。そして、入力パネルはLCDに重ねて配置されているためLCDから放射される電磁ノイズの影響を受け易い。LCDから電磁ノイズが進入すると、入力パネルはタッチ入力がないにもかかわらず入力信号を検知することがある。
【0003】
入力パネルに対する電磁ノイズの影響を軽減するために、入力パネルとLCDの間に透明の電極膜を配置する方法がある。また、特許文献1はLCDの交流化信号の立ち上がりおよび立ち下がり時の変化点で発生するノイズによる抵抗膜式のタッチパネルの誤動作を防止する発明を開示する。同文献の発明では、交流化信号の変化点においてはノイズの影響を受けるとみなしてそのときに取り込まれたタッチパネル上の位置情報を破棄することで、ノイズの混入していないデータだけをメイン制御部に送っている。特許文献2は、交流化信号の切り替わり時に液晶の駆動電圧を低下させてタッチパネルのペン位置のデータ補正を不要にする技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−184630号公報
【特許文献2】特開平10−319367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパネルは一般的に、1スキャン・サイクルの間に入力される入力点数が許容値を超えるとそれらの入力を無視するような処理を行っている。タッチパネル付きの携帯式コンピュータで入力パネルを操作しながらさまざまなアプリケーション・プログラム(以下、アプリケーションという。)を実行してみると、画素レベルで特定の画像パターンを表示する場合に、電磁ノイズのレベルが上昇することがわかった。しかも、電磁ノイズのレベルを上げる画像パターンはさらに、液晶の焼き付きを防止するための極性反転駆動方式における画素の極性反転パターンと関連することもわかってきた。画像パターンと極性反転パターンが合致するときは、その画像パターンの表示が変更されない限りタッチパネルから入力ができない状態になる。
【0006】
従来から行われていた電極膜を設けて電磁ノイズを低減する方法では、電極膜により低下する透過率を補うためにバックライトの輝度を上げたり画質の低下を甘受したりする必要がある。また、透過率の観点から電極膜の厚さには制限があるため電磁ノイズの遮へい効果には限界がある。特許文献1の方法では、交流信号の変化点とタッチパネルのデータの取り込みタイミングが重なったポイントのデータを破棄しているが、画像パターンに起因して発生する電磁ノイズはタイミングを把握することができないので対策にはなり得ない。特許文献2の方法では、交流化信号の切り替わり時に液晶の駆動電圧を低下させるため電磁ノイズが発生していない場合でも画質が低下する可能性がある。
【0007】
入力パネルの動作に影響を与えるほどの電磁ノイズを発生する画像パターンと極性反転パターンとの組み合わせは、実際に携帯式電子機器を使用する上では極まれに発生するだけである。しかし、一旦画像パターンと極性反転パターンが同期すると、当該画像パターンが表示されている間は大きなレベルの電磁ノイズが発生して入力パネルは動作を停止する。しかも、画像パターンは実行するアプリケーションにより作成されるので、同期のタイミングを予測したり、入力パネル上で電磁ノイズの影響を受けた座標を特定したりすることは困難である。製品保証上は、入力パネルの動作が極まれに停止する可能性があるような場合であっても、それを解消するために部品や材料の品質を向上させたり、設計上の工夫をしたり、あるいはソフトウエアによる処理を施したりといったノイズ対策をする必要がありコスト増大の要因になっている。また、採用するLCDの極性反転駆動方式に制約を加えることは、部品調達の自由度を制約するので好ましくない。
【0008】
そこで本発明の目的は、電磁ノイズのレベルを低下させて入力を継続することができるタッチパネル・システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、入力パネルに対する電磁ノイズ対策を軽減することができるタッチパネル・システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、ハードウエアに依存しないでタッチパネルの動作を保証することができるタッチパネル・システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、そのようなタッチパネルを搭載したコンピュータ、タッチパネルの動作を保証する方法およびコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるタッチパネル・システムは、タッチ入力式の入力パネルと出力階調に対応する電圧を信号線に印可して画像を表示するFPDを備えている。FPDは、信号線に印加する信号電圧を同一のフレームにおいては水平ラインに沿って所定のドット数ごとに反転する極性反転駆動方式を採用していてもよい。入力パネルとFPDは積層されておりタッチパネルを構成する。システムは、入力階調を出力階調に変換する第1の変換データを設定する。第1の変換データは、入力パネルがFPDからの電磁ノイズの影響を受けないときの通常動作のときに使用するものである。
【0010】
第1の変換データが設定されている間に入力パネルに対して許容入力点数を超える入力が発生する場合は、入力検出部は電磁ノイズが進入したと判断してノイズ検出信号を出力する。ノイズ検出信号に応じてシステムは、FPDに対して出力階調の最大値と最小値との差が第1の変換データよりも小さい第2の変換データを設定する。第2の変換データは、入力パネルがFPDからの電磁ノイズの影響を受けるときのノイズ時動作のときに使用するものである。その結果、入力パネルが誤動作するような画素の画像パターンと画素の極性反転パターンの組み合わせが成立しても、第2の変換データに基づいて生成された出力階調に対応する信号電圧によりFPDが動作するため、FPDから発生する電磁ノイズのレベルが低下して、入力パネルに対する入力点数は許容入力点数以下に収まるようになる。本発明において、許容入力点数を超える入力を発生させる電磁ノイズは、典型的には画像パターンと極性反転パターンが同期したときに発生するが、本発明は予測できないタイミングで発生するいかなる電磁ノイズに対しても有効である。
【0011】
第2の変換データを使用するとFPDの画質が低下するので、画像パターンが変更されて電磁ノイズのレベルが低下したようなときにはすみやかに第1の変換データに戻すことが望ましい。しかし、入力検出部は第2の変換データが設定されている間は第1の変換データに戻したときに入力パネルがFPDから進入する電磁ノイズの影響を受けるか否かを入力点数に基づいて判断することはできないので、第2の変換データが設定されてから所定の時間が経過した場合には一旦第1の変換データに戻す。そして、入力パネルに対して許容入力点数を超える入力を検出したときには、入力検出部は再度ノイズ検出信号を生成して第2の変換データを設定する。
【0012】
入力パネルに対して許容入力点数を超える入力を検出しない場合は、FPDは第1の変換データを使用して動作する。入力階調を出力階調に変換する変換データは、γ補正のデータとしたりコントラスト調整のデータとしたりすることができる。入力パネルは1スキャン・サイクルの間に2個以上の入力を許容するマルチタッチ入力を採用することができる。また、出力階調の最大値と最小値との差が異なる変換データを複数設けて、ノイズ検出信号が生成されたときには差が大きな方の変換データを先に使用し、それでもノイズ検出信号が生成されるような場合にそれよりも差が小さな変換データを使用するようにすれば、必要以上に画質を低下させないでタッチパネルの入力を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、電磁ノイズのレベルを低下させて入力を継続することができるタッチパネル・システムを提供することができた。さらに本発明により、入力パネルに対する電磁ノイズ対策を軽減することができるタッチパネル・システムを提供することができた。さらに本発明により、ハードウエアに依存しないでタッチパネルの動作を保証することができるタッチパネル・システムを提供することができた。さらに本発明により、そのようなタッチパネルを搭載したコンピュータ、タッチパネルの動作を保証する方法およびコンピュータ・プログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態にかかるコンピュータの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】コンピュータに実装されるタッチパネル・システムのソフトウエアとハードウエアの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】LCDの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図4】LCDを構成する信号制御回路の概略構成を示す機能ブロック図を示す
【図5】LUTに設定するγ補正曲線を説明する図である。
【図6】入力パネルに電磁ノイズが進入したときに、電磁ノイズを低減して入力パネルの動作を可能にする手順を示すフローチャートである。
【図7】電磁ノイズの影響を受けたときにLUTに設定する修正γ補正曲線を説明する図である。
【図8】電磁ノイズの低減に必要な範囲で電圧振幅を小さくすることで入力パネルの動作を継続する手順を示すフローチャートである。
【図9】電磁ノイズの影響を受けたときにLUTに設定する修正γ補正曲線を説明する図である。
【図10】画像パターンと極性反転パターンが同期した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[タッチパネル付きコンピュータ]
図1は、本実施の形態にかかるタッチパネル付きコンピュータの概略構成を示す機能ブロック図である。コンピュータ10は、典型的にはノートブック型携帯式コンピュータ(以下、ノートPCという。)であるが、スマートフォンまたはPDAとすることができる。ディスプレイに対して指やペンによる入力で操作するノートPCを特にタブレットPCという。タブレットPCには、大きく分けてコンバーチブル型とピュアタブレット型の2種類がある。コンバーチブル型は、キーボードを内蔵したノートPCのディスプレイの方向を変えて、タブレットPCとしても利用できる構造のものである。ピュアタブレット型は、キーボードを内蔵せず指またはペンによる入力操作のみを行う構造のものである。コンピュータ10は、コンパーチブル型およびピュアタブレット型のいずれのノートPCであってもよい。
【0016】
CPU11は、コンピュータ10の中枢機能を担う演算処理装置で、OS、BIOS、デバイス・ドライバ、あるいはアプリケーションなどを実行する。CPU11は、メモリ・コントローラ・ハブ(MCH)15およびアイオー・コントローラ・ハブ(ICH)19を中心に構成されるチップ・セットにさまざまなバスを経由して接続されたデバイスを制御する。MCH15はメイン・メモリ13およびグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)17が接続され、メイン・メモリ13へのアクセス動作を制御するためのメモリ・コントローラ機能や、CPU11と他のデバイスとの間のデータ転送速度の差を吸収するためのデータ・バッファ機能などを含む。メイン・メモリ13はMCH15に接続され、CPU11が実行するプログラムの読み込み領域、処理データを書き込む作業領域として利用される揮発性のRAMである。
【0017】
GPU17には、図示しないビデオ・メモリ(VRAM)およびLCD29が接続されている。GPU17は、CPU11から受け取った描画命令に基づいてVRAMにイメージを書き込む専用プロセッサで、グラフィックス・アクセラレータともいう。GPU17は、LVDS(Low voltage differential signaling)などの規格のインターフェースでLCD29に接続されている。GPU17はVRAMから読み出した画像データと制御信号を所定のタイミングでLCD29に供給する。LCD29の構成については後に説明する。
【0018】
タッチパネル27は、表示デバイスとしてのLCD29と座標入力デバイスとしての入力パネル31で構成されている。LCD29と入力パネル31は別々に形成された後に積層して組み立てられるが、タッチパネルは表示デバイスと座標入力デバイスがガラス板の間に一体に組み込まれるようにして形成してもよい。入力パネル31は、ユーザが指または専用のペンでタッチした表面上のX座標およびY座標を検出して、LCD29において現在フォアグラウンドで動作しているウインドウのアプリケーションに位置情報を送る。
【0019】
入力パネル31は、一度に複数の入力が可能なマルチタッチが可能であり、本実施の形態にかかるEC25は1スキャン・サイクルの間に検出された2点までの入力を同時に処理することができる。EC25およびシステムは、1スキャン・サイクルの間に3点以上の入力があると、その入力信号を処理することはできないためその入力をエラーとして扱い無視する。したがって、入力パネル31にLCD29から高レベルの電磁ノイズが進入するような場合は、その電磁ノイズが継続している間ユーザは入力操作をすることができない。本実施の形態では後に説明するように、入力パネル31が電磁ノイズの影響を受けたときにLCD29の信号線の電圧振幅を小さくすることで電磁ノイズのレベルを低下させ入力パネル31に対する入力を可能にする。
【0020】
入力パネル31が許容する1スキャン・サイクルあたりの入力点数を許容入力点数ということにする。入力パネル31の許容入力点数は人間の左右の指の数に相当する10個程度までは実現の可能性がある。本発明は3個以上の許容入力点数を備える入力パネルに適用することもできる。入力パネル31は抵抗膜方式、電磁誘導式、または表面弾性波方式などのさまざまな検出方式を採用することができるが、本発明の適用には、静電容量式のような電磁ノイズに対する耐性が比較的小さい座標入力デバイスが適している。
【0021】
アイオー・コントローラ・ハブ(ICH)19は、周辺入出力デバイスに関するデータ転送を処理する。ICH19は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI (Serial Peripheral Interface)バス、 PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI−Expressバス、およびLPC(Low Pin Count)などのポートを備え、それらに対応したデバイスが接続される。図2では、ICH19にHDD21だけが接続された様子を示している。HDD21には、OS、デバイス・ドライバ、あるいはアプリケーション・プログラムなどが格納されと同時に本実施の形態にかかる電圧振幅制御プログラム101(図2参照)が格納される。ICH19のLPCポートには、主としてコンピュータ10の電源および温度を管理するマイクロ・プロセッサであるエンベデッド・コントローラ(EC)25が接続されている。エンベデッド・コントローラ(EC)25は入力パネル31のコントローラも含んでいる。
【0022】
[タッチパネル・システム]
図2は、コンピュータ10に実装されるタッチパネル・システム100のソフトウエアとハードウエアの構成を示す機能ブロック図である。本明細書においては同一の要素には同一の参照番号を付して説明を省略または簡略化する。ビデオ・ドライバ109は、GPU17に対する設定およびGPU17に対するデータ転送の制御を行うプログラムである。ポインティング・デバイス・ドライバ113は入力パネル31に入力された位置情報をLCD29の画面におけるX座標およびY座標のデータとして、入力したウインドウに関連するアプリケーション105またはOS107に送る。ポインティング・デバイス・ドライバ113はまた、入力パネル31に1スキャン・サイクル当たりに入力された入力点数をカウントし、許容入力点数以上の入力があったと判断したときには、それらの入力をすべて無視するとともに電圧振幅制御プログラム101にノイズ・メッセージを送る。
【0023】
OS107はタッチパネルをサポートする、Windows(登録商標)またはMac OS(登録商標)などを採用することができる。アプリケーション105はOS107上で動作する表計算、文書作成、または画像編集などのプログラムで、LCD29にウインドウを表示し、タッチパネル27を通じてウインドウに入力された位置情報に基づいて動作する。電圧振幅制御プログラム101は、OS107上で動作するメモリ常駐型のプログラムである。電圧振幅制御プログラム101は、γ補正曲線C2を構成するデータおよびそれを修正した修正γ補正曲線C3を構成するデータを備えている。なお、γ補正曲線C2および修正γ補正曲線C3については後に説明する。
【0024】
電圧制御プログラム101は、図6の手順で説明するようにポインティング・デバイス・ドライバ113からのノイズ・メッセージまたはOS107からのタイマ・メッセージに基づいてγ補正曲線C2または修正γ補正曲線C3のいずれかのデータをビデオ・ドライバ109およびGPU17を通じてLUT111に設定する。電圧制御プログラム101は、タッチパネル27を通じてユーザがLCD29に対するγ補正曲線C2を修正したりコントラストを修正したりするためのユーザ・インターフェースも提供する。
【0025】
[LCDの構成]
図3は、LCD29の全体構成を示す機能ブロック図である。LCD29は、アクティブ・マトリクス方式を採用し、アレイ・セル基板211、信号線駆動回路213、走査線駆動回路215、電源回路217、基準電圧回路219、および信号制御回路221を含み、さらに図示しないバックライトおよびバックライト駆動回路を含んで構成されている。信号制御回路221は、RGBデータ信号を処理しさらにLCD29を動作させるために必要な制御信号を生成して、信号線駆動回路213および走査線駆動回路215に送る。
【0026】
図4に信号制御回路221の概略構成を示す機能ブロック図を示す。信号制御回路221は、GPU17から所定のタイミングでRGB信号を受け取るLVDSインターフェース251、LCD29のγ特性を補正するために入力階調を出力階調に変換するγ補正回路253、およびLCD29を動作させるために必要な制御信号を生成する制御信号生成回路255で構成されている。LVDSインターフェース251はGPU17から送られてくるRGBデータ信号(Data)、データ・イネーブル信号(DE)、およびクロック信号(CLK)を受け取る。ガンマ補正回路253は、揮発性メモリに記憶されたLUT111を備えており、入力された画像データの入力階調がLCD29において理想的な画像として表示されるような出力階調に変換して信号線駆動回路213に送る。
【0027】
図5は、LUT111に設定されるγ補正曲線を説明する図である。図5の横軸はアプリケーション101が作成した画像データのRGBのいずれかのサブ画素の輝度を示す入力階調を示している。ここでは、RGBの各サブ画素の階調データが8ビットで構成されており、256階調で輝度を決定するようになっている。図5の縦軸は、任意のサブ画素の輝度または透過率を示している。縦軸はまた、γ補正回路253から出力される出力階調も示す。ラインL1はLCD29に固有のγ特性で信号線に直接入力階調に対応する信号電圧が印加されたときの画素の透過率に対応しており、これをLCD透過率曲線L1ということにする。
【0028】
ラインL2は、入力階調に対応するLCD29の透過率が理想的な値を示すようにLCD透過率曲線L1を補正したものでこれを目標透過率曲線L2ということにする。ラインC2は、LCD透過率曲線L1を補正してアプリケーション105が作成した階調データが目標透過率曲線L2に従った理想的な輝度でLCD29に表示できるようにγ補正するためのデータでこれをγ補正曲線C2ということにする。たとえば、入力階調がX1のときにγ補正をしない場合は、LCD29の画素の透過率はLCD透過率曲線L1上のT1となり、入力階調X1の最大階調255に対する割合よりも透過率T1は大きくなるためアプリケーション105が意図したよりも画素は明るくなる。
【0029】
入力階調X1に対する透過率が目標透過率曲線L2上のT2であれば、画素は入力階調に比例した明るさになるため理想的な表示になる。そのために、入力階調がX1のときには、信号線にγ補正曲線C2上の透過率T2に対応する出力階調Y2の信号電圧を印加すれば、入力階調X1における透過率T3と透過率T1の差と、透過率T2と透過率T1の差が相殺されて透過率T3で表示することができる。電圧振幅制御プログラム101は、γ補正曲線C2のデータをマトリクス形式で保有している。あるいは、電圧振幅制御プログラム101は、LCD透過率曲線L1を目標透過率曲線L2に変換するための関数を利用して、必要なときにγ補正曲線C2を計算することができる。なお、目標透過率曲線L2は、入力階調と出力階調が正比例する関係に限定されず、表示する画像に適したγ補正曲線を選択して決定することができる。
【0030】
図3に戻って、アレイ・セル基板211は、画素の信号電圧がゼロのときに透過率が最低になるいわゆるノーマリー・ブラック方式を採用している。ただし、本発明は、信号電圧がゼロのときに透過率が最大になるいわゆるノーマリー・ホワイト方式のアレイ・セル基板に適用することもできる。制御信号生成回路255は、LVDSインターフェース251から受け取ったデータ・イネーブル信号とクロック信号に基づいて、水平同期信号、ドットクロック、極性反転信号、および出力制御信号を生成して、信号線駆動回路213に送る。さらに、制御信号生成回路255は、垂直同期信号およびゲートクロックを生成して走査線駆動回路215に送る。
【0031】
基準電圧回路219は8ビットの階調データを輝度に対応した電圧に変換するための基準電圧を信号線駆動回路213に供給する。電源回路217は、LCD29の全体に電力を供給するとともに、蓄積容量線261および共通電極線263に所定の電位を与える。アレイ・セル基板211は、アレイ基板と、アレイ基板に対向して所定の間隔で配置されたカラー・フィルタ基板と、アレイ基板とカラー・フィルタ基板との間に挟まれた液晶層で構成されている。アレイ基板には、所定の間隔で隣接するn本の信号線d1〜dnとm本の走査線s1〜smが直交して配置され、信号線と走査線が交差する領域の近くにはそれぞれ同一構造のサブ画素領域が形成されている。
【0032】
1つのサブ画素の領域は、画素トランジスタ231、液晶セルで形成された画素容量233、および蓄積容量235で構成されている。信号線dnと走査線s1が直交する近辺のサブ画素領域で画素マトリクスの全体を代表して説明すると、画素トランジスタ(TFT)231は、ゲートが走査線s1に接続され、ドレインがデータ線dnに接続されている。画素トランジスタ231のソースは、画素容量233を形成する一方の画素電極と蓄積容量235の一方の電極に接続される。蓄積容量235はアレイ基板に形成されて他方の電極がアレイ基板に形成された蓄積容量線261に接続される。画素容量233を形成する他方の共通電極はITOでカラー・フィルタ基板の表面全体に渡って形成される。図3では対向電極を共通電極線263で表している。
【0033】
LCD29は線順次走査方式を採用している。走査線駆動回路215は画素トランジスタ231をオンにするために、制御信号生成回路257から受け取った垂直同期信号により走査線s1から走査を開始し、1水平走査期間ごとに順番に走査線s1〜smにゲートクロック(走査信号)を印加して選択する。信号線駆動回路213は、シフト・レジスタ、ライン・ラッチ回路、ラッチ回路、DAコンバータ、および出力回路などで構成され、水平同期信号、ドットクロック、およびラッチ信号で動作して、ガンマ補正回路253から転送された出力階調を信号電圧に変換しながら1水平走査期間ごとにn本の信号線から同時に信号電圧を出力する。信号線駆動回路213はある特定のフレームにおいて、極性反転信号に基づいて信号線に供給する信号電圧の極性が2走査線ごとかつ1信号線ごとに反転する極性反転パターンで極性反転駆動方式(2H1V反転)を実現する。ここで、同一の走査線に接続されたサブ画素群の集合を水平ラインといい、同一の信号線に接続されたサブ画素群の集合を垂直ラインということにする。
【0034】
信号線d1に関連する垂直ラインに白を表示し、信号線d2に関連する垂直ラインに黒を表示するような場合は、偶数フレームと奇数フレームのそれぞれにおいて信号線d2の信号電圧は最低になっているが、信号線d1とd3では信号電圧が偶数フレームで+255相当となり奇数フレームでは−255相当となるような振幅で変動する。したがって、同一の走査線に接続された画素トランジスタに印加される信号電圧の振幅は、偶数フレームおよび奇数フレームのいずれでも1ドットごとに最大値と最小値との間で変化していく。信号線d1に関連する垂直ラインに白に代えて中間輝度の灰色を表示する場合は、信号電圧の振幅が1ドットごとに中央値と最小値との間で変化していく。このような状態を画素の画像パターンと画素の極性反転パターンが同期しているという。
【0035】
実験によれば画像パターンと極性反転パターンが同期したときには高レベルの電磁ノイズが検出される。また、その電磁ノイズのレベルは、白と黒の画像パターンのように信号線の電圧振幅が大きいほど高くなることも確認された。その原因は、信号線と対向電極が容量的に結合しているため、プラス方向またはマイナス方向に集中した信号線の電位の変動により対向電極の電位が変動することによると考えられる。この電磁ノイズは、極性反転パターンと画像パターンの組み合わせに依存している。そして、水平ラインの方向に画素間の電位差が大きな振幅で変動する白と黒の縦ストライプまたはチェッカ(市松模様)の画像パターンが極性反転パターンと同期するときに電磁ノイズのレベルが最も高くなる。画像パターンと極性反転パターンとの同期は、表計算ソフトにおいて列全体を特定の色でマークしたような場合に極まれに発生する。図10に2H1Vの極性反転パターンと白黒の縦ストライプの画像パターンが同期した状態における画素の階調の一例を示す。
【0036】
なお、図1〜図5は本実施の形態を説明するために、本実施の形態に関連する主要なハードウエアおよびソフトウエアの構成および接続関係を簡略化して記載したに過ぎないものである。ここまでの説明で言及した以外にも、コンピュータ10を構成するには多くのデバイスおよびソフトウエア・モジュールが使われるが、それらは当業者には周知であるので、ここでは詳しく言及しない。図で記載した複数のブロックを1個の集積回路もしくはソフトウエア・モジュールとしたり、逆に1個のブロックを複数の集積回路もしくはソフトウエア・モジュールに分割して構成したりすることも、当業者が任意に選択することができる範囲においては本発明の範囲に含まれる。
【0037】
[電圧振幅制御の方法]
つぎに、コンピュータ10において信号電圧の振幅制御を行う方法を説明する。図6は、入力パネル31に電磁ノイズが進入したときに、電磁ノイズを低減して入力パネル31の動作を可能にする手順を示すフローチャートである。ブロック301でコンピュータ10が動作しブロック302で電圧振幅制御プログラム101が、γ補正曲線C2をLUT111に設定すると、ユーザはLCD29に画像を表示し、入力パネル31にタッチして入力しながらアプリケーション105を実行する。γ補正曲線C2はR、G、Bのそれぞれについて設定される。ブロック303でポインティング・デバイス・ドライバ113は、入力点数が許容入力点数を超えない限り入力パネル31に対するタッチ入力を座標データとしてアプリケーション105に送る。
【0038】
ブロック303で入力パネル31に電磁ノイズが進入して許容入力点数以上の入力を検出したポインティング・デバイス・ドライバ113は、電圧振幅制御プログラム101にノイズ・メッセージを通知する。ブロック305では、ノイズ・メッセージを受け取った電圧振幅制御プログラム101は、LUT111に設定されていたγ補正曲線C2を図7で説明する修正γ補正曲線C3のデータで置換する。修正γ補正曲線C3は、R、G、Bのそれぞれに設定される。修正γ補正曲線C3を使用すると画質が低下するので、修正γ補正曲線C3の設定と同時に入力パネル31に電磁ノイズが進入した旨の表示をLCD29にすることが望ましい。
【0039】
図7はLUT111に設定する修正γ補正曲線を説明する図である。図7(A)には、目標透過率曲線L3とこれを得るための修正γ補正曲線C3を示している。目標透過率曲線L3は、入力階調0に対する出力階調と入力階調255に対する出力階調の差A1が目標透過率曲線L2における差A2に比べて小さい。修正γ補正曲線C3で生成された出力階調に対応した信号電圧が信号線駆動回路213から信号線d1〜dnに印加される場合には、画像パターンと極性反転パターンが同期した場合でも最小階調に対する信号電圧と最大階調に対する信号電圧の差である電圧振幅が小さくなるため電磁ノイズのレベルが低減する。
【0040】
修正γ補正曲線は、出力階調の最大値と最小値の差または信号電圧の振幅差が小さくなるデータであればよいので、図7(B)に示すような最小入力階調に対応する出力階調を大きくした修正目標透過率曲線L4を得るための修正γ補正曲線C4や、最大入力階調に対応する出力階調を小さくした修正目標透過率曲線L5を得るための修正γ補正曲線C5を採用することもできる。なお、γ補正曲線は、入力階調の全体に渡って入力階調と出力階調の関係をマッピングするデータであるが、本発明は、入力階調の最大側または最小側だけを修正して出力階調の最大値と最小値の差を小さくするいわゆるコントラストの調整でも実現できる。また、コントラストの調整は、図5に示すγ補正されたあとの目標透過率曲線L2の傾きを変化させることでも実現することができる。
【0041】
修正γ補正曲線C3は、最大の電磁ノイズを発生する画像パターンと極性反転パターンとの組み合わせのもとで入力パネル31への影響を与えないように実験的に選択することができる。ブロック305でLUT101のデータが修正γ補正曲線C3に設定されると、LCD29の画面はコントラストが低くなって画質が低下する。しかし電磁ノイズのレベルが低下するために、入力パネル31からの入力操作には支障をきたさないので、ユーザはアプリケーション105に関する入力作業を継続することができる。
【0042】
修正γ補正曲線C3を使用すると、階調のダイナミックレンジを十分に利用することができないので、γ補正曲線C2を使用しても入力パネル31がノイズの影響を受けない状態になっているときは、γ補正曲線C2に復帰させる必要がある。ブロック307では、電圧振幅制御プログラム101が修正γ補正曲線C3をLUT111に設定してから5秒間程度の所定の時間が経過したことを示すタイマ・メッセージをOS107から受け取ると、ブロック32に戻って電圧制御プログラム101はLUT111にγ補正曲線C2を設定する。
【0043】
ブロック303では、入力パネル31に対する電磁ノイズが減少して許容入力点数が維持されていれば、γ補正曲線C2が継続して使用される。依然として許容入力点数以上の入力点数が検出されるような場合は、ブロック305で電圧振幅制御プログラム101は再び修正γ補正曲線C3を設定する。以上の手順によれば、入力パネル31にLCD29から電磁ノイズが進入しても入力パネル31は動作を継続することができるため、ユーザにストレスを与えることがない。また、コンピュータ10を設計する際にこれまで行っていた入力パネル31の誤動作対策のための費用を低減することができる。また、電磁ノイズが発生したときにハードウエアに依存しないでソフトウエアだけでレベルを低減して入力パネル31からの入力を継続することができるようになる。
【0044】
[他の電圧振幅制御の方法]
図6の手順では、修正γ補正曲線C3は、最もノイズ・レベルが高くなる同期条件に基づいて決定する必要がある。しかし、現実には、それよりもレベルの小さな同期条件での電磁ノイズが発生する頻度の方が高い。また、修正γ補正曲線が対応できるノイズ・レベルが高いほど画質は低下する。図6の手順では、入力パネル31の動作に影響がでる限りいかなるレベルの電磁ノイズに対しても最も画質が低下する修正γ補正曲線C3で対応している。したがって、1つの修正γ補正曲線C3だけでは、電磁ノイズのレベルが低い同期条件のときでも入力パネル31が停止しないようにするために、必要以上に画質を低下させることになる。
【0045】
図8は、電磁ノイズのレベルに応じて必要な範囲で電圧振幅を小さくすることで入力パネル31の動作を継続する手順を示すフローチャートである。図9はLUT111に設定する修正γ補正曲線を説明する図である。図8の手順では、電圧振幅制御プログラム101は、図9に示す修正目標透過率曲線L6を得るための修正γ補正曲線C6と修正目標透過率曲線L7を得るための修正γ補正曲線C7のデータを保有している。LCD29に修正目標透過率曲線L7を適用した場合は修正目標透過率曲線L6を適用した場合よりも画質は低下するが電磁ノイズの発生レベルは小さくなる。
【0046】
ブロック401でコンピュータ10が動作し、ブロック402でLUT111に電圧振幅制御プログラム101によってγ補正曲線C2のデータが設定される。ブロック403でポインティング・デバイス・ドライバ113は、電圧制御プログラム101に許容入力点数以上の入力を検出したことを示すノイズ・メッセージを通知する。ブロック404で電圧振幅制御プログラム101は、許容入力点数以上の入力を検出したのが、コンピュータ10に電源が投入されてから初回であるか否かを判断する。初回の場合はブロック407に移行し、2回目以上の場合はブロック405に移行する。ブロック405で電圧振幅制御プログラム101は、前回修正γ補正曲線C6を設定してから所定の時間が経過しているか否かを判断する。
【0047】
OS107のタイマから所定の時間が経過したことを示すタイマ・メッセージの通知を受けている場合は、ブロック403で許容入力点数以上の入力を検出するまでの動作時間が一定時間経過しているため、前回修正γ補正曲線C6を設定したときの電磁ノイズが一旦消滅してから新たな電磁ノイズが発生したと考えられるので電圧振幅制御プログラム101はブロック407で、LUT111に再度修正γ補正曲線C6を設定する。そして、ブロック409で、修正γ補正曲線C6を設定してから所定の時間が経過したことを示すタイマ・メッセージをOS107から受け取ると、ブロック402に戻ってLUT111にγ補正曲線C2を設定する。なお、ブロック405の所定時間は、当該電磁ノイズに対する修正γ補正曲線C6の有効性を判断するための時間であり、電磁ノイズが短時間で消滅するか否かを確認するためのブロック409の所定時間よりは長くなるように設定する。
【0048】
ブロック403で、ポインティング・デバイス・ドライバ113から許容入力点数以上の入力を検出したことを示すノイズ・メッセージを電圧振幅制御プログラム101が再度受け取ると、ブロック404を経由してブロック405に移行する。ブロック405では、電圧振幅制御プログラム101がOS107のタイマから前回修正γ補正曲線C6を設定してから所定の時間が経過していることの通知を受けっていない場合は、ブロック413に移行する。ブロック413では電圧振幅制御プログラム101は、現在LCD29に発生している電磁ノイズが前回修正γ補正曲線C6に切り換えたときから継続しており、かつ修正γ補正曲線C6では十分に軽減できないと判断してLUT111に修正γ補正曲線C7を設定する。
【0049】
修正γ補正曲線C7は、LCD29が放射する電磁ノイズを低減するために信号線の電圧振幅を十分に低下させるように決定されているため、修正γ補正曲線C6では入力パネルの誤動作を解消できない場合でも確実に入力パネル31の使用を可能にする。図8の手順によれば、多くの場合はブロック402、403、404、405、407、409のルートで信号電圧の制御を行って電磁ノイズを抑制し、極まれに発生する過大なレベルの電磁ノイズに対してはブロック413で対応することができるため、修正γ補正曲線C7だけを使用する場合よりも画質が低下する機会を少なくしながら入力パネル31の使用を確保することができる。なお修正γ補正曲線を、3つ以上採用して切り換え制御をするようにしてもよい。また、図8の手順で一旦修正γ補正曲線C7を設定したあとに所定の時間が経過したときは修正γ補正曲線C6を設定し、その後γ補正曲線C2を設定するようにしてもよい。
【0050】
上記実施の形態では、FPDとしてLCDを例示して説明したが、本発明に適用するFPDはLCDに限定されるものではなく、信号電圧の振幅を低減することで電磁ノイズのレベルを低減することができるFPDと入力パネルからなるタッチパネルに適用することができる。また本発明は、FPDからの電磁ノイズの原因が極性反転パターンと画像パターンの組み合わせに起因する場合だけでなく、偶発的に発生する電磁ノイズ全般に対して広く適用することができる。また、信号線の電圧振幅を小さくする方法はγ補正曲線を変更するだけでなく、入力階調の最大値付近および最小値付近またはいずれか一方の出力階調を修正するいかなる方法も採用することができる。また本発明におけるLUT111は、LCD29に実装される場合に限定されるものではなく、GPU17に実装されるようにしてもよい。
【0051】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0052】
10…コンピュータ
27…タッチパネル
29…LCD
31…入力パネル
100…タッチパネル・システム
111…γ補正の参照テーブル
L1…LCD透過率曲線
L2…目標透過率曲線
C2…γ補正曲線
L3、L4、L5、L6、L7…修正目標透過率曲線
C3、C4、C5、C6、C7…修正γ補正曲線
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力パネルとフラット・パネル・ディスプレイが組み合わされたタッチパネルにおいてフラット・パネル・ディスプレイに発生した電磁ノイズが入力パネルに与える影響を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯式電子機器の中には、指や専用ペンで表面をタッチして入力するタッチ式の入力パネル(以下、単に入力パネルという場合がある。)を液晶表示装置(LCD)などのフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)に重ねて組み立てたタッチパネルを搭載するものがある。LCDは、アレイ・セル基板において走査線および信号線が高速で駆動されるため電磁ノイズを発生し易い。そして、入力パネルはLCDに重ねて配置されているためLCDから放射される電磁ノイズの影響を受け易い。LCDから電磁ノイズが進入すると、入力パネルはタッチ入力がないにもかかわらず入力信号を検知することがある。
【0003】
入力パネルに対する電磁ノイズの影響を軽減するために、入力パネルとLCDの間に透明の電極膜を配置する方法がある。また、特許文献1はLCDの交流化信号の立ち上がりおよび立ち下がり時の変化点で発生するノイズによる抵抗膜式のタッチパネルの誤動作を防止する発明を開示する。同文献の発明では、交流化信号の変化点においてはノイズの影響を受けるとみなしてそのときに取り込まれたタッチパネル上の位置情報を破棄することで、ノイズの混入していないデータだけをメイン制御部に送っている。特許文献2は、交流化信号の切り替わり時に液晶の駆動電圧を低下させてタッチパネルのペン位置のデータ補正を不要にする技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−184630号公報
【特許文献2】特開平10−319367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパネルは一般的に、1スキャン・サイクルの間に入力される入力点数が許容値を超えるとそれらの入力を無視するような処理を行っている。タッチパネル付きの携帯式コンピュータで入力パネルを操作しながらさまざまなアプリケーション・プログラム(以下、アプリケーションという。)を実行してみると、画素レベルで特定の画像パターンを表示する場合に、電磁ノイズのレベルが上昇することがわかった。しかも、電磁ノイズのレベルを上げる画像パターンはさらに、液晶の焼き付きを防止するための極性反転駆動方式における画素の極性反転パターンと関連することもわかってきた。画像パターンと極性反転パターンが合致するときは、その画像パターンの表示が変更されない限りタッチパネルから入力ができない状態になる。
【0006】
従来から行われていた電極膜を設けて電磁ノイズを低減する方法では、電極膜により低下する透過率を補うためにバックライトの輝度を上げたり画質の低下を甘受したりする必要がある。また、透過率の観点から電極膜の厚さには制限があるため電磁ノイズの遮へい効果には限界がある。特許文献1の方法では、交流信号の変化点とタッチパネルのデータの取り込みタイミングが重なったポイントのデータを破棄しているが、画像パターンに起因して発生する電磁ノイズはタイミングを把握することができないので対策にはなり得ない。特許文献2の方法では、交流化信号の切り替わり時に液晶の駆動電圧を低下させるため電磁ノイズが発生していない場合でも画質が低下する可能性がある。
【0007】
入力パネルの動作に影響を与えるほどの電磁ノイズを発生する画像パターンと極性反転パターンとの組み合わせは、実際に携帯式電子機器を使用する上では極まれに発生するだけである。しかし、一旦画像パターンと極性反転パターンが同期すると、当該画像パターンが表示されている間は大きなレベルの電磁ノイズが発生して入力パネルは動作を停止する。しかも、画像パターンは実行するアプリケーションにより作成されるので、同期のタイミングを予測したり、入力パネル上で電磁ノイズの影響を受けた座標を特定したりすることは困難である。製品保証上は、入力パネルの動作が極まれに停止する可能性があるような場合であっても、それを解消するために部品や材料の品質を向上させたり、設計上の工夫をしたり、あるいはソフトウエアによる処理を施したりといったノイズ対策をする必要がありコスト増大の要因になっている。また、採用するLCDの極性反転駆動方式に制約を加えることは、部品調達の自由度を制約するので好ましくない。
【0008】
そこで本発明の目的は、電磁ノイズのレベルを低下させて入力を継続することができるタッチパネル・システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、入力パネルに対する電磁ノイズ対策を軽減することができるタッチパネル・システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、ハードウエアに依存しないでタッチパネルの動作を保証することができるタッチパネル・システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、そのようなタッチパネルを搭載したコンピュータ、タッチパネルの動作を保証する方法およびコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるタッチパネル・システムは、タッチ入力式の入力パネルと出力階調に対応する電圧を信号線に印可して画像を表示するFPDを備えている。FPDは、信号線に印加する信号電圧を同一のフレームにおいては水平ラインに沿って所定のドット数ごとに反転する極性反転駆動方式を採用していてもよい。入力パネルとFPDは積層されておりタッチパネルを構成する。システムは、入力階調を出力階調に変換する第1の変換データを設定する。第1の変換データは、入力パネルがFPDからの電磁ノイズの影響を受けないときの通常動作のときに使用するものである。
【0010】
第1の変換データが設定されている間に入力パネルに対して許容入力点数を超える入力が発生する場合は、入力検出部は電磁ノイズが進入したと判断してノイズ検出信号を出力する。ノイズ検出信号に応じてシステムは、FPDに対して出力階調の最大値と最小値との差が第1の変換データよりも小さい第2の変換データを設定する。第2の変換データは、入力パネルがFPDからの電磁ノイズの影響を受けるときのノイズ時動作のときに使用するものである。その結果、入力パネルが誤動作するような画素の画像パターンと画素の極性反転パターンの組み合わせが成立しても、第2の変換データに基づいて生成された出力階調に対応する信号電圧によりFPDが動作するため、FPDから発生する電磁ノイズのレベルが低下して、入力パネルに対する入力点数は許容入力点数以下に収まるようになる。本発明において、許容入力点数を超える入力を発生させる電磁ノイズは、典型的には画像パターンと極性反転パターンが同期したときに発生するが、本発明は予測できないタイミングで発生するいかなる電磁ノイズに対しても有効である。
【0011】
第2の変換データを使用するとFPDの画質が低下するので、画像パターンが変更されて電磁ノイズのレベルが低下したようなときにはすみやかに第1の変換データに戻すことが望ましい。しかし、入力検出部は第2の変換データが設定されている間は第1の変換データに戻したときに入力パネルがFPDから進入する電磁ノイズの影響を受けるか否かを入力点数に基づいて判断することはできないので、第2の変換データが設定されてから所定の時間が経過した場合には一旦第1の変換データに戻す。そして、入力パネルに対して許容入力点数を超える入力を検出したときには、入力検出部は再度ノイズ検出信号を生成して第2の変換データを設定する。
【0012】
入力パネルに対して許容入力点数を超える入力を検出しない場合は、FPDは第1の変換データを使用して動作する。入力階調を出力階調に変換する変換データは、γ補正のデータとしたりコントラスト調整のデータとしたりすることができる。入力パネルは1スキャン・サイクルの間に2個以上の入力を許容するマルチタッチ入力を採用することができる。また、出力階調の最大値と最小値との差が異なる変換データを複数設けて、ノイズ検出信号が生成されたときには差が大きな方の変換データを先に使用し、それでもノイズ検出信号が生成されるような場合にそれよりも差が小さな変換データを使用するようにすれば、必要以上に画質を低下させないでタッチパネルの入力を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、電磁ノイズのレベルを低下させて入力を継続することができるタッチパネル・システムを提供することができた。さらに本発明により、入力パネルに対する電磁ノイズ対策を軽減することができるタッチパネル・システムを提供することができた。さらに本発明により、ハードウエアに依存しないでタッチパネルの動作を保証することができるタッチパネル・システムを提供することができた。さらに本発明により、そのようなタッチパネルを搭載したコンピュータ、タッチパネルの動作を保証する方法およびコンピュータ・プログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態にかかるコンピュータの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】コンピュータに実装されるタッチパネル・システムのソフトウエアとハードウエアの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】LCDの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図4】LCDを構成する信号制御回路の概略構成を示す機能ブロック図を示す
【図5】LUTに設定するγ補正曲線を説明する図である。
【図6】入力パネルに電磁ノイズが進入したときに、電磁ノイズを低減して入力パネルの動作を可能にする手順を示すフローチャートである。
【図7】電磁ノイズの影響を受けたときにLUTに設定する修正γ補正曲線を説明する図である。
【図8】電磁ノイズの低減に必要な範囲で電圧振幅を小さくすることで入力パネルの動作を継続する手順を示すフローチャートである。
【図9】電磁ノイズの影響を受けたときにLUTに設定する修正γ補正曲線を説明する図である。
【図10】画像パターンと極性反転パターンが同期した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[タッチパネル付きコンピュータ]
図1は、本実施の形態にかかるタッチパネル付きコンピュータの概略構成を示す機能ブロック図である。コンピュータ10は、典型的にはノートブック型携帯式コンピュータ(以下、ノートPCという。)であるが、スマートフォンまたはPDAとすることができる。ディスプレイに対して指やペンによる入力で操作するノートPCを特にタブレットPCという。タブレットPCには、大きく分けてコンバーチブル型とピュアタブレット型の2種類がある。コンバーチブル型は、キーボードを内蔵したノートPCのディスプレイの方向を変えて、タブレットPCとしても利用できる構造のものである。ピュアタブレット型は、キーボードを内蔵せず指またはペンによる入力操作のみを行う構造のものである。コンピュータ10は、コンパーチブル型およびピュアタブレット型のいずれのノートPCであってもよい。
【0016】
CPU11は、コンピュータ10の中枢機能を担う演算処理装置で、OS、BIOS、デバイス・ドライバ、あるいはアプリケーションなどを実行する。CPU11は、メモリ・コントローラ・ハブ(MCH)15およびアイオー・コントローラ・ハブ(ICH)19を中心に構成されるチップ・セットにさまざまなバスを経由して接続されたデバイスを制御する。MCH15はメイン・メモリ13およびグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)17が接続され、メイン・メモリ13へのアクセス動作を制御するためのメモリ・コントローラ機能や、CPU11と他のデバイスとの間のデータ転送速度の差を吸収するためのデータ・バッファ機能などを含む。メイン・メモリ13はMCH15に接続され、CPU11が実行するプログラムの読み込み領域、処理データを書き込む作業領域として利用される揮発性のRAMである。
【0017】
GPU17には、図示しないビデオ・メモリ(VRAM)およびLCD29が接続されている。GPU17は、CPU11から受け取った描画命令に基づいてVRAMにイメージを書き込む専用プロセッサで、グラフィックス・アクセラレータともいう。GPU17は、LVDS(Low voltage differential signaling)などの規格のインターフェースでLCD29に接続されている。GPU17はVRAMから読み出した画像データと制御信号を所定のタイミングでLCD29に供給する。LCD29の構成については後に説明する。
【0018】
タッチパネル27は、表示デバイスとしてのLCD29と座標入力デバイスとしての入力パネル31で構成されている。LCD29と入力パネル31は別々に形成された後に積層して組み立てられるが、タッチパネルは表示デバイスと座標入力デバイスがガラス板の間に一体に組み込まれるようにして形成してもよい。入力パネル31は、ユーザが指または専用のペンでタッチした表面上のX座標およびY座標を検出して、LCD29において現在フォアグラウンドで動作しているウインドウのアプリケーションに位置情報を送る。
【0019】
入力パネル31は、一度に複数の入力が可能なマルチタッチが可能であり、本実施の形態にかかるEC25は1スキャン・サイクルの間に検出された2点までの入力を同時に処理することができる。EC25およびシステムは、1スキャン・サイクルの間に3点以上の入力があると、その入力信号を処理することはできないためその入力をエラーとして扱い無視する。したがって、入力パネル31にLCD29から高レベルの電磁ノイズが進入するような場合は、その電磁ノイズが継続している間ユーザは入力操作をすることができない。本実施の形態では後に説明するように、入力パネル31が電磁ノイズの影響を受けたときにLCD29の信号線の電圧振幅を小さくすることで電磁ノイズのレベルを低下させ入力パネル31に対する入力を可能にする。
【0020】
入力パネル31が許容する1スキャン・サイクルあたりの入力点数を許容入力点数ということにする。入力パネル31の許容入力点数は人間の左右の指の数に相当する10個程度までは実現の可能性がある。本発明は3個以上の許容入力点数を備える入力パネルに適用することもできる。入力パネル31は抵抗膜方式、電磁誘導式、または表面弾性波方式などのさまざまな検出方式を採用することができるが、本発明の適用には、静電容量式のような電磁ノイズに対する耐性が比較的小さい座標入力デバイスが適している。
【0021】
アイオー・コントローラ・ハブ(ICH)19は、周辺入出力デバイスに関するデータ転送を処理する。ICH19は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI (Serial Peripheral Interface)バス、 PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI−Expressバス、およびLPC(Low Pin Count)などのポートを備え、それらに対応したデバイスが接続される。図2では、ICH19にHDD21だけが接続された様子を示している。HDD21には、OS、デバイス・ドライバ、あるいはアプリケーション・プログラムなどが格納されと同時に本実施の形態にかかる電圧振幅制御プログラム101(図2参照)が格納される。ICH19のLPCポートには、主としてコンピュータ10の電源および温度を管理するマイクロ・プロセッサであるエンベデッド・コントローラ(EC)25が接続されている。エンベデッド・コントローラ(EC)25は入力パネル31のコントローラも含んでいる。
【0022】
[タッチパネル・システム]
図2は、コンピュータ10に実装されるタッチパネル・システム100のソフトウエアとハードウエアの構成を示す機能ブロック図である。本明細書においては同一の要素には同一の参照番号を付して説明を省略または簡略化する。ビデオ・ドライバ109は、GPU17に対する設定およびGPU17に対するデータ転送の制御を行うプログラムである。ポインティング・デバイス・ドライバ113は入力パネル31に入力された位置情報をLCD29の画面におけるX座標およびY座標のデータとして、入力したウインドウに関連するアプリケーション105またはOS107に送る。ポインティング・デバイス・ドライバ113はまた、入力パネル31に1スキャン・サイクル当たりに入力された入力点数をカウントし、許容入力点数以上の入力があったと判断したときには、それらの入力をすべて無視するとともに電圧振幅制御プログラム101にノイズ・メッセージを送る。
【0023】
OS107はタッチパネルをサポートする、Windows(登録商標)またはMac OS(登録商標)などを採用することができる。アプリケーション105はOS107上で動作する表計算、文書作成、または画像編集などのプログラムで、LCD29にウインドウを表示し、タッチパネル27を通じてウインドウに入力された位置情報に基づいて動作する。電圧振幅制御プログラム101は、OS107上で動作するメモリ常駐型のプログラムである。電圧振幅制御プログラム101は、γ補正曲線C2を構成するデータおよびそれを修正した修正γ補正曲線C3を構成するデータを備えている。なお、γ補正曲線C2および修正γ補正曲線C3については後に説明する。
【0024】
電圧制御プログラム101は、図6の手順で説明するようにポインティング・デバイス・ドライバ113からのノイズ・メッセージまたはOS107からのタイマ・メッセージに基づいてγ補正曲線C2または修正γ補正曲線C3のいずれかのデータをビデオ・ドライバ109およびGPU17を通じてLUT111に設定する。電圧制御プログラム101は、タッチパネル27を通じてユーザがLCD29に対するγ補正曲線C2を修正したりコントラストを修正したりするためのユーザ・インターフェースも提供する。
【0025】
[LCDの構成]
図3は、LCD29の全体構成を示す機能ブロック図である。LCD29は、アクティブ・マトリクス方式を採用し、アレイ・セル基板211、信号線駆動回路213、走査線駆動回路215、電源回路217、基準電圧回路219、および信号制御回路221を含み、さらに図示しないバックライトおよびバックライト駆動回路を含んで構成されている。信号制御回路221は、RGBデータ信号を処理しさらにLCD29を動作させるために必要な制御信号を生成して、信号線駆動回路213および走査線駆動回路215に送る。
【0026】
図4に信号制御回路221の概略構成を示す機能ブロック図を示す。信号制御回路221は、GPU17から所定のタイミングでRGB信号を受け取るLVDSインターフェース251、LCD29のγ特性を補正するために入力階調を出力階調に変換するγ補正回路253、およびLCD29を動作させるために必要な制御信号を生成する制御信号生成回路255で構成されている。LVDSインターフェース251はGPU17から送られてくるRGBデータ信号(Data)、データ・イネーブル信号(DE)、およびクロック信号(CLK)を受け取る。ガンマ補正回路253は、揮発性メモリに記憶されたLUT111を備えており、入力された画像データの入力階調がLCD29において理想的な画像として表示されるような出力階調に変換して信号線駆動回路213に送る。
【0027】
図5は、LUT111に設定されるγ補正曲線を説明する図である。図5の横軸はアプリケーション101が作成した画像データのRGBのいずれかのサブ画素の輝度を示す入力階調を示している。ここでは、RGBの各サブ画素の階調データが8ビットで構成されており、256階調で輝度を決定するようになっている。図5の縦軸は、任意のサブ画素の輝度または透過率を示している。縦軸はまた、γ補正回路253から出力される出力階調も示す。ラインL1はLCD29に固有のγ特性で信号線に直接入力階調に対応する信号電圧が印加されたときの画素の透過率に対応しており、これをLCD透過率曲線L1ということにする。
【0028】
ラインL2は、入力階調に対応するLCD29の透過率が理想的な値を示すようにLCD透過率曲線L1を補正したものでこれを目標透過率曲線L2ということにする。ラインC2は、LCD透過率曲線L1を補正してアプリケーション105が作成した階調データが目標透過率曲線L2に従った理想的な輝度でLCD29に表示できるようにγ補正するためのデータでこれをγ補正曲線C2ということにする。たとえば、入力階調がX1のときにγ補正をしない場合は、LCD29の画素の透過率はLCD透過率曲線L1上のT1となり、入力階調X1の最大階調255に対する割合よりも透過率T1は大きくなるためアプリケーション105が意図したよりも画素は明るくなる。
【0029】
入力階調X1に対する透過率が目標透過率曲線L2上のT2であれば、画素は入力階調に比例した明るさになるため理想的な表示になる。そのために、入力階調がX1のときには、信号線にγ補正曲線C2上の透過率T2に対応する出力階調Y2の信号電圧を印加すれば、入力階調X1における透過率T3と透過率T1の差と、透過率T2と透過率T1の差が相殺されて透過率T3で表示することができる。電圧振幅制御プログラム101は、γ補正曲線C2のデータをマトリクス形式で保有している。あるいは、電圧振幅制御プログラム101は、LCD透過率曲線L1を目標透過率曲線L2に変換するための関数を利用して、必要なときにγ補正曲線C2を計算することができる。なお、目標透過率曲線L2は、入力階調と出力階調が正比例する関係に限定されず、表示する画像に適したγ補正曲線を選択して決定することができる。
【0030】
図3に戻って、アレイ・セル基板211は、画素の信号電圧がゼロのときに透過率が最低になるいわゆるノーマリー・ブラック方式を採用している。ただし、本発明は、信号電圧がゼロのときに透過率が最大になるいわゆるノーマリー・ホワイト方式のアレイ・セル基板に適用することもできる。制御信号生成回路255は、LVDSインターフェース251から受け取ったデータ・イネーブル信号とクロック信号に基づいて、水平同期信号、ドットクロック、極性反転信号、および出力制御信号を生成して、信号線駆動回路213に送る。さらに、制御信号生成回路255は、垂直同期信号およびゲートクロックを生成して走査線駆動回路215に送る。
【0031】
基準電圧回路219は8ビットの階調データを輝度に対応した電圧に変換するための基準電圧を信号線駆動回路213に供給する。電源回路217は、LCD29の全体に電力を供給するとともに、蓄積容量線261および共通電極線263に所定の電位を与える。アレイ・セル基板211は、アレイ基板と、アレイ基板に対向して所定の間隔で配置されたカラー・フィルタ基板と、アレイ基板とカラー・フィルタ基板との間に挟まれた液晶層で構成されている。アレイ基板には、所定の間隔で隣接するn本の信号線d1〜dnとm本の走査線s1〜smが直交して配置され、信号線と走査線が交差する領域の近くにはそれぞれ同一構造のサブ画素領域が形成されている。
【0032】
1つのサブ画素の領域は、画素トランジスタ231、液晶セルで形成された画素容量233、および蓄積容量235で構成されている。信号線dnと走査線s1が直交する近辺のサブ画素領域で画素マトリクスの全体を代表して説明すると、画素トランジスタ(TFT)231は、ゲートが走査線s1に接続され、ドレインがデータ線dnに接続されている。画素トランジスタ231のソースは、画素容量233を形成する一方の画素電極と蓄積容量235の一方の電極に接続される。蓄積容量235はアレイ基板に形成されて他方の電極がアレイ基板に形成された蓄積容量線261に接続される。画素容量233を形成する他方の共通電極はITOでカラー・フィルタ基板の表面全体に渡って形成される。図3では対向電極を共通電極線263で表している。
【0033】
LCD29は線順次走査方式を採用している。走査線駆動回路215は画素トランジスタ231をオンにするために、制御信号生成回路257から受け取った垂直同期信号により走査線s1から走査を開始し、1水平走査期間ごとに順番に走査線s1〜smにゲートクロック(走査信号)を印加して選択する。信号線駆動回路213は、シフト・レジスタ、ライン・ラッチ回路、ラッチ回路、DAコンバータ、および出力回路などで構成され、水平同期信号、ドットクロック、およびラッチ信号で動作して、ガンマ補正回路253から転送された出力階調を信号電圧に変換しながら1水平走査期間ごとにn本の信号線から同時に信号電圧を出力する。信号線駆動回路213はある特定のフレームにおいて、極性反転信号に基づいて信号線に供給する信号電圧の極性が2走査線ごとかつ1信号線ごとに反転する極性反転パターンで極性反転駆動方式(2H1V反転)を実現する。ここで、同一の走査線に接続されたサブ画素群の集合を水平ラインといい、同一の信号線に接続されたサブ画素群の集合を垂直ラインということにする。
【0034】
信号線d1に関連する垂直ラインに白を表示し、信号線d2に関連する垂直ラインに黒を表示するような場合は、偶数フレームと奇数フレームのそれぞれにおいて信号線d2の信号電圧は最低になっているが、信号線d1とd3では信号電圧が偶数フレームで+255相当となり奇数フレームでは−255相当となるような振幅で変動する。したがって、同一の走査線に接続された画素トランジスタに印加される信号電圧の振幅は、偶数フレームおよび奇数フレームのいずれでも1ドットごとに最大値と最小値との間で変化していく。信号線d1に関連する垂直ラインに白に代えて中間輝度の灰色を表示する場合は、信号電圧の振幅が1ドットごとに中央値と最小値との間で変化していく。このような状態を画素の画像パターンと画素の極性反転パターンが同期しているという。
【0035】
実験によれば画像パターンと極性反転パターンが同期したときには高レベルの電磁ノイズが検出される。また、その電磁ノイズのレベルは、白と黒の画像パターンのように信号線の電圧振幅が大きいほど高くなることも確認された。その原因は、信号線と対向電極が容量的に結合しているため、プラス方向またはマイナス方向に集中した信号線の電位の変動により対向電極の電位が変動することによると考えられる。この電磁ノイズは、極性反転パターンと画像パターンの組み合わせに依存している。そして、水平ラインの方向に画素間の電位差が大きな振幅で変動する白と黒の縦ストライプまたはチェッカ(市松模様)の画像パターンが極性反転パターンと同期するときに電磁ノイズのレベルが最も高くなる。画像パターンと極性反転パターンとの同期は、表計算ソフトにおいて列全体を特定の色でマークしたような場合に極まれに発生する。図10に2H1Vの極性反転パターンと白黒の縦ストライプの画像パターンが同期した状態における画素の階調の一例を示す。
【0036】
なお、図1〜図5は本実施の形態を説明するために、本実施の形態に関連する主要なハードウエアおよびソフトウエアの構成および接続関係を簡略化して記載したに過ぎないものである。ここまでの説明で言及した以外にも、コンピュータ10を構成するには多くのデバイスおよびソフトウエア・モジュールが使われるが、それらは当業者には周知であるので、ここでは詳しく言及しない。図で記載した複数のブロックを1個の集積回路もしくはソフトウエア・モジュールとしたり、逆に1個のブロックを複数の集積回路もしくはソフトウエア・モジュールに分割して構成したりすることも、当業者が任意に選択することができる範囲においては本発明の範囲に含まれる。
【0037】
[電圧振幅制御の方法]
つぎに、コンピュータ10において信号電圧の振幅制御を行う方法を説明する。図6は、入力パネル31に電磁ノイズが進入したときに、電磁ノイズを低減して入力パネル31の動作を可能にする手順を示すフローチャートである。ブロック301でコンピュータ10が動作しブロック302で電圧振幅制御プログラム101が、γ補正曲線C2をLUT111に設定すると、ユーザはLCD29に画像を表示し、入力パネル31にタッチして入力しながらアプリケーション105を実行する。γ補正曲線C2はR、G、Bのそれぞれについて設定される。ブロック303でポインティング・デバイス・ドライバ113は、入力点数が許容入力点数を超えない限り入力パネル31に対するタッチ入力を座標データとしてアプリケーション105に送る。
【0038】
ブロック303で入力パネル31に電磁ノイズが進入して許容入力点数以上の入力を検出したポインティング・デバイス・ドライバ113は、電圧振幅制御プログラム101にノイズ・メッセージを通知する。ブロック305では、ノイズ・メッセージを受け取った電圧振幅制御プログラム101は、LUT111に設定されていたγ補正曲線C2を図7で説明する修正γ補正曲線C3のデータで置換する。修正γ補正曲線C3は、R、G、Bのそれぞれに設定される。修正γ補正曲線C3を使用すると画質が低下するので、修正γ補正曲線C3の設定と同時に入力パネル31に電磁ノイズが進入した旨の表示をLCD29にすることが望ましい。
【0039】
図7はLUT111に設定する修正γ補正曲線を説明する図である。図7(A)には、目標透過率曲線L3とこれを得るための修正γ補正曲線C3を示している。目標透過率曲線L3は、入力階調0に対する出力階調と入力階調255に対する出力階調の差A1が目標透過率曲線L2における差A2に比べて小さい。修正γ補正曲線C3で生成された出力階調に対応した信号電圧が信号線駆動回路213から信号線d1〜dnに印加される場合には、画像パターンと極性反転パターンが同期した場合でも最小階調に対する信号電圧と最大階調に対する信号電圧の差である電圧振幅が小さくなるため電磁ノイズのレベルが低減する。
【0040】
修正γ補正曲線は、出力階調の最大値と最小値の差または信号電圧の振幅差が小さくなるデータであればよいので、図7(B)に示すような最小入力階調に対応する出力階調を大きくした修正目標透過率曲線L4を得るための修正γ補正曲線C4や、最大入力階調に対応する出力階調を小さくした修正目標透過率曲線L5を得るための修正γ補正曲線C5を採用することもできる。なお、γ補正曲線は、入力階調の全体に渡って入力階調と出力階調の関係をマッピングするデータであるが、本発明は、入力階調の最大側または最小側だけを修正して出力階調の最大値と最小値の差を小さくするいわゆるコントラストの調整でも実現できる。また、コントラストの調整は、図5に示すγ補正されたあとの目標透過率曲線L2の傾きを変化させることでも実現することができる。
【0041】
修正γ補正曲線C3は、最大の電磁ノイズを発生する画像パターンと極性反転パターンとの組み合わせのもとで入力パネル31への影響を与えないように実験的に選択することができる。ブロック305でLUT101のデータが修正γ補正曲線C3に設定されると、LCD29の画面はコントラストが低くなって画質が低下する。しかし電磁ノイズのレベルが低下するために、入力パネル31からの入力操作には支障をきたさないので、ユーザはアプリケーション105に関する入力作業を継続することができる。
【0042】
修正γ補正曲線C3を使用すると、階調のダイナミックレンジを十分に利用することができないので、γ補正曲線C2を使用しても入力パネル31がノイズの影響を受けない状態になっているときは、γ補正曲線C2に復帰させる必要がある。ブロック307では、電圧振幅制御プログラム101が修正γ補正曲線C3をLUT111に設定してから5秒間程度の所定の時間が経過したことを示すタイマ・メッセージをOS107から受け取ると、ブロック32に戻って電圧制御プログラム101はLUT111にγ補正曲線C2を設定する。
【0043】
ブロック303では、入力パネル31に対する電磁ノイズが減少して許容入力点数が維持されていれば、γ補正曲線C2が継続して使用される。依然として許容入力点数以上の入力点数が検出されるような場合は、ブロック305で電圧振幅制御プログラム101は再び修正γ補正曲線C3を設定する。以上の手順によれば、入力パネル31にLCD29から電磁ノイズが進入しても入力パネル31は動作を継続することができるため、ユーザにストレスを与えることがない。また、コンピュータ10を設計する際にこれまで行っていた入力パネル31の誤動作対策のための費用を低減することができる。また、電磁ノイズが発生したときにハードウエアに依存しないでソフトウエアだけでレベルを低減して入力パネル31からの入力を継続することができるようになる。
【0044】
[他の電圧振幅制御の方法]
図6の手順では、修正γ補正曲線C3は、最もノイズ・レベルが高くなる同期条件に基づいて決定する必要がある。しかし、現実には、それよりもレベルの小さな同期条件での電磁ノイズが発生する頻度の方が高い。また、修正γ補正曲線が対応できるノイズ・レベルが高いほど画質は低下する。図6の手順では、入力パネル31の動作に影響がでる限りいかなるレベルの電磁ノイズに対しても最も画質が低下する修正γ補正曲線C3で対応している。したがって、1つの修正γ補正曲線C3だけでは、電磁ノイズのレベルが低い同期条件のときでも入力パネル31が停止しないようにするために、必要以上に画質を低下させることになる。
【0045】
図8は、電磁ノイズのレベルに応じて必要な範囲で電圧振幅を小さくすることで入力パネル31の動作を継続する手順を示すフローチャートである。図9はLUT111に設定する修正γ補正曲線を説明する図である。図8の手順では、電圧振幅制御プログラム101は、図9に示す修正目標透過率曲線L6を得るための修正γ補正曲線C6と修正目標透過率曲線L7を得るための修正γ補正曲線C7のデータを保有している。LCD29に修正目標透過率曲線L7を適用した場合は修正目標透過率曲線L6を適用した場合よりも画質は低下するが電磁ノイズの発生レベルは小さくなる。
【0046】
ブロック401でコンピュータ10が動作し、ブロック402でLUT111に電圧振幅制御プログラム101によってγ補正曲線C2のデータが設定される。ブロック403でポインティング・デバイス・ドライバ113は、電圧制御プログラム101に許容入力点数以上の入力を検出したことを示すノイズ・メッセージを通知する。ブロック404で電圧振幅制御プログラム101は、許容入力点数以上の入力を検出したのが、コンピュータ10に電源が投入されてから初回であるか否かを判断する。初回の場合はブロック407に移行し、2回目以上の場合はブロック405に移行する。ブロック405で電圧振幅制御プログラム101は、前回修正γ補正曲線C6を設定してから所定の時間が経過しているか否かを判断する。
【0047】
OS107のタイマから所定の時間が経過したことを示すタイマ・メッセージの通知を受けている場合は、ブロック403で許容入力点数以上の入力を検出するまでの動作時間が一定時間経過しているため、前回修正γ補正曲線C6を設定したときの電磁ノイズが一旦消滅してから新たな電磁ノイズが発生したと考えられるので電圧振幅制御プログラム101はブロック407で、LUT111に再度修正γ補正曲線C6を設定する。そして、ブロック409で、修正γ補正曲線C6を設定してから所定の時間が経過したことを示すタイマ・メッセージをOS107から受け取ると、ブロック402に戻ってLUT111にγ補正曲線C2を設定する。なお、ブロック405の所定時間は、当該電磁ノイズに対する修正γ補正曲線C6の有効性を判断するための時間であり、電磁ノイズが短時間で消滅するか否かを確認するためのブロック409の所定時間よりは長くなるように設定する。
【0048】
ブロック403で、ポインティング・デバイス・ドライバ113から許容入力点数以上の入力を検出したことを示すノイズ・メッセージを電圧振幅制御プログラム101が再度受け取ると、ブロック404を経由してブロック405に移行する。ブロック405では、電圧振幅制御プログラム101がOS107のタイマから前回修正γ補正曲線C6を設定してから所定の時間が経過していることの通知を受けっていない場合は、ブロック413に移行する。ブロック413では電圧振幅制御プログラム101は、現在LCD29に発生している電磁ノイズが前回修正γ補正曲線C6に切り換えたときから継続しており、かつ修正γ補正曲線C6では十分に軽減できないと判断してLUT111に修正γ補正曲線C7を設定する。
【0049】
修正γ補正曲線C7は、LCD29が放射する電磁ノイズを低減するために信号線の電圧振幅を十分に低下させるように決定されているため、修正γ補正曲線C6では入力パネルの誤動作を解消できない場合でも確実に入力パネル31の使用を可能にする。図8の手順によれば、多くの場合はブロック402、403、404、405、407、409のルートで信号電圧の制御を行って電磁ノイズを抑制し、極まれに発生する過大なレベルの電磁ノイズに対してはブロック413で対応することができるため、修正γ補正曲線C7だけを使用する場合よりも画質が低下する機会を少なくしながら入力パネル31の使用を確保することができる。なお修正γ補正曲線を、3つ以上採用して切り換え制御をするようにしてもよい。また、図8の手順で一旦修正γ補正曲線C7を設定したあとに所定の時間が経過したときは修正γ補正曲線C6を設定し、その後γ補正曲線C2を設定するようにしてもよい。
【0050】
上記実施の形態では、FPDとしてLCDを例示して説明したが、本発明に適用するFPDはLCDに限定されるものではなく、信号電圧の振幅を低減することで電磁ノイズのレベルを低減することができるFPDと入力パネルからなるタッチパネルに適用することができる。また本発明は、FPDからの電磁ノイズの原因が極性反転パターンと画像パターンの組み合わせに起因する場合だけでなく、偶発的に発生する電磁ノイズ全般に対して広く適用することができる。また、信号線の電圧振幅を小さくする方法はγ補正曲線を変更するだけでなく、入力階調の最大値付近および最小値付近またはいずれか一方の出力階調を修正するいかなる方法も採用することができる。また本発明におけるLUT111は、LCD29に実装される場合に限定されるものではなく、GPU17に実装されるようにしてもよい。
【0051】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0052】
10…コンピュータ
27…タッチパネル
29…LCD
31…入力パネル
100…タッチパネル・システム
111…γ補正の参照テーブル
L1…LCD透過率曲線
L2…目標透過率曲線
C2…γ補正曲線
L3、L4、L5、L6、L7…修正目標透過率曲線
C3、C4、C5、C6、C7…修正γ補正曲線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力式の入力パネルと、
入力階調を出力階調に変換する変換データと、
前記入力パネルに積層して配置され前記出力階調に対応する電圧を信号線に印可して画像を表示するフラット・パネル・ディスプレイと、
前記入力パネルに対して許容入力点数を超える入力数を検出したときにノイズ検出信号を生成する入力検出部と、
前記ノイズ検出信号に応じて、前記出力階調の最大値と最小値との差が小さくなるように前記変換データを変更する制御部と
を有するタッチパネル・システム。
【請求項2】
前記制御部は前記変換データが変更されてから所定の時間が経過したときに前記変更された変換データを変更前の変換データに復帰させる請求項1に記載のタッチパネル・システム。
【請求項3】
前記変換データがγ補正曲線を示すデータである請求項1または請求項2に記載のタッチパネル・システム。
【請求項4】
前記変換データがコントラストを示すデータである請求項1または請求項2に記載のタッチパネル・システム。
【請求項5】
前記入力パネルが2個以上の前記許容入力点数を備えるマルチタッチ方式を採用する請求項1から請求項4のいずれかに記載のタッチパネル・システム。
【請求項6】
前記フラット・パネル・ディスプレイが画素に印加する信号電圧を水平ラインに沿って所定のドット数ごとに反転させる極性反転駆動方式を採用する請求項1から請求項5のいずれかに記載のタッチパネル・システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のタッチパネル・システムを有するコンピュータ。
【請求項8】
タッチ入力式のタッチパネルを備えるコンピュータに、
入力階調を出力階調に変換する第1の変換データを設定する機能と、
前記第1の変換データを設定している間に、前記タッチパネルに対して許容入力点数を超える入力を検出したときにノイズ・メッセージを生成する機能と、
前記ノイズ・メッセージに応じて、前記出力階調の最大値と最小値との差が前記第1の変換データよりも小さい第2の変換データを前記コンピュータに設定する機能と
を実現させるコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
前記第2の変換データが設定されてから所定の時間が経過したときに前記第1の変換データを前記コンピュータに設定する機能を実現させる請求項8に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項10】
前記第2の変換データを設定している間に、前記入力パネルに対して許容入力点数を超える入力を検出したときにノイズ・メッセージを生成する機能と、
前記ノイズ・メッセージに応じて、前記出力階調の最大値と最小値との差が前記第2の変換データよりも小さい第3の変換データを前記コンピュータに設定する機能と
を実現させる請求項8または請求項9に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項11】
タッチ入力式のタッチパネルを備えるコンピュータにおいて、前記タッチパネルの動作を保証する方法であって、
前記タッチパネルに第1の最大振幅を含む信号電圧を印加する通常時動作ステップと、
前記通常動作ステップにおいて前記タッチパネルにエラーが発生したことを前記コンピュータが検出する検出ステップと、
前記検出するステップに応答して前記タッチパネルに前記第1の最大振幅よりも小さな第2の最大振幅を含む信号電圧を印加するエラー時動作ステップと
を有する方法。
【請求項12】
前記エラー時動作ステップでの動作が所定の時間経過したときに前記通常時動作ステップに復帰するステップを有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
タッチ入力式の入力パネルとフラット・パネル・ディスプレイを含むコンピュータにおいて、前記フラット・パネル・ディスプレイの信号電圧を制御する方法であって、
前記入力パネルに許容入力点数以上の入力があったことを検出するステップと、
前記検出するステップに応答して出力階調を変更することにより前記コンピュータが前記フラット・パネル・ディスプレイの信号電圧を低下させるステップと、
前記信号電圧を低下させてから所定の時間が経過したときに前記コンピュータが前記出力階調を戻して前記フラット・パネル・ディスプレイの前記信号電圧を復帰させるステップと
を有する制御方法。
【請求項1】
タッチ入力式の入力パネルと、
入力階調を出力階調に変換する変換データと、
前記入力パネルに積層して配置され前記出力階調に対応する電圧を信号線に印可して画像を表示するフラット・パネル・ディスプレイと、
前記入力パネルに対して許容入力点数を超える入力数を検出したときにノイズ検出信号を生成する入力検出部と、
前記ノイズ検出信号に応じて、前記出力階調の最大値と最小値との差が小さくなるように前記変換データを変更する制御部と
を有するタッチパネル・システム。
【請求項2】
前記制御部は前記変換データが変更されてから所定の時間が経過したときに前記変更された変換データを変更前の変換データに復帰させる請求項1に記載のタッチパネル・システム。
【請求項3】
前記変換データがγ補正曲線を示すデータである請求項1または請求項2に記載のタッチパネル・システム。
【請求項4】
前記変換データがコントラストを示すデータである請求項1または請求項2に記載のタッチパネル・システム。
【請求項5】
前記入力パネルが2個以上の前記許容入力点数を備えるマルチタッチ方式を採用する請求項1から請求項4のいずれかに記載のタッチパネル・システム。
【請求項6】
前記フラット・パネル・ディスプレイが画素に印加する信号電圧を水平ラインに沿って所定のドット数ごとに反転させる極性反転駆動方式を採用する請求項1から請求項5のいずれかに記載のタッチパネル・システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のタッチパネル・システムを有するコンピュータ。
【請求項8】
タッチ入力式のタッチパネルを備えるコンピュータに、
入力階調を出力階調に変換する第1の変換データを設定する機能と、
前記第1の変換データを設定している間に、前記タッチパネルに対して許容入力点数を超える入力を検出したときにノイズ・メッセージを生成する機能と、
前記ノイズ・メッセージに応じて、前記出力階調の最大値と最小値との差が前記第1の変換データよりも小さい第2の変換データを前記コンピュータに設定する機能と
を実現させるコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
前記第2の変換データが設定されてから所定の時間が経過したときに前記第1の変換データを前記コンピュータに設定する機能を実現させる請求項8に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項10】
前記第2の変換データを設定している間に、前記入力パネルに対して許容入力点数を超える入力を検出したときにノイズ・メッセージを生成する機能と、
前記ノイズ・メッセージに応じて、前記出力階調の最大値と最小値との差が前記第2の変換データよりも小さい第3の変換データを前記コンピュータに設定する機能と
を実現させる請求項8または請求項9に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項11】
タッチ入力式のタッチパネルを備えるコンピュータにおいて、前記タッチパネルの動作を保証する方法であって、
前記タッチパネルに第1の最大振幅を含む信号電圧を印加する通常時動作ステップと、
前記通常動作ステップにおいて前記タッチパネルにエラーが発生したことを前記コンピュータが検出する検出ステップと、
前記検出するステップに応答して前記タッチパネルに前記第1の最大振幅よりも小さな第2の最大振幅を含む信号電圧を印加するエラー時動作ステップと
を有する方法。
【請求項12】
前記エラー時動作ステップでの動作が所定の時間経過したときに前記通常時動作ステップに復帰するステップを有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
タッチ入力式の入力パネルとフラット・パネル・ディスプレイを含むコンピュータにおいて、前記フラット・パネル・ディスプレイの信号電圧を制御する方法であって、
前記入力パネルに許容入力点数以上の入力があったことを検出するステップと、
前記検出するステップに応答して出力階調を変更することにより前記コンピュータが前記フラット・パネル・ディスプレイの信号電圧を低下させるステップと、
前記信号電圧を低下させてから所定の時間が経過したときに前記コンピュータが前記出力階調を戻して前記フラット・パネル・ディスプレイの前記信号電圧を復帰させるステップと
を有する制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−158936(P2011−158936A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17687(P2010−17687)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
【復代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
【復代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
【Fターム(参考)】
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