説明

電磁放射検出器により放出された電流をベースライニングするための電子装置

本発明は、電磁放射測定のための超小型電子装置に関し、超小型電子装置は、少なくとも1つのボロメータ等の電磁放射検出器(102)と、積分時間中に、検出器により放出された前記電流によって振幅および周波数が変化する、一連のパルス状の第1の信号(S1)を出力するための積分コンデンサ(112、212、312)を形成する手段を備える積分手段(110、210、310)と、第2の信号(S2)を発するための、前記第1の信号を制御する手段(120、220、320)とを備え、前記制御手段が、積分時間中に検出された前記第1の信号の各パルスを計数して、所定パルス数Nに達したときに計数終了を示すための計数手段(140、240)を備え、積分終了時間に達して、前記計数手段が所定パルス数Nを計数または算出したときに、第1の信号の振幅に応じた、または第1の信号の振幅に等しい第2の振幅信号を発するために制御手段が実行される、超小型電子装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁放射センサの分野に関し、特にボロメータセンサ、すなわち、プレートまたは検出層を加熱することにより生じる抵抗の変化により、吸収されたエネルギー流の量を測定するために使用され、超周波数または赤外線放射等の分野で電磁放射力を測定することのできる熱光検出器の分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、Xが画素の列(または縦行)の数、Yが画素の行(または横行)の数であるX×Y画素の行列に配置されたボロメータセンサに関する。
【背景技術】
【0003】
赤外線撮像において使用される撮像装置は、ボロメータにより画素ごとに赤外線流を検知するための画素の行列を有する。これにより、シーン、すなわち、画像の記録時に保護される表面の赤外線画像を生成し、そのテンプレートにより、使用されるセンサの状態および特性が観察される。
【0004】
ボロメータは抵抗センサであり、その抵抗が温度とともに変化することによって、放射流がシーンから発生する。
【0005】
赤外線流に対応するボロメータの抵抗値を読むために、例えば、電圧をかけて電流を測定することができる。
【0006】
しかし、シーン変化は、大きなものであっても、比較的弱い電流変化しか生じず、ボロメータが発する信号は、大きな直接成分を有する。
【0007】
例えば、約50kのシーン温度変化は、例えば約1%の電流変化を生じる場合がある。
【0008】
この直接成分は信号対雑音比に対して有害であり、前記直接成分を除去するか減少させる動作を行う必要がある。
【0009】
このような動作を行う、先行技術の電磁放射を検知する超小型電子装置を図1に示す。
【0010】
この装置では、検出器2から発生した電流Idetから、例えばセンサの電流の平均値に近い値である所定の固定値の電流Imを除去する。
【0011】
この固定値の電流は、固定の電流源から発生し、この電流源は、例えば、低感度の、または低感度にしたボロメータ1を使用して形成することができる。
【0012】
基準ボロメータは、例えば、画素行列の列の最下位または最上位に設けることができる。
【0013】
したがって、積分するのにできるだけ小さい電流であり、シーンの電磁放射流の影響下で高感度ボロメータの抵抗変化に対応する電流を得ることが求められる。
【0014】
高感度ボロメータから発生した電流Idetと基準ボロメータから発生した電流Imとの差により発生した電流Iは、積分回路3によって電圧に変換される。この積分回路3は、増幅器4と、容量Cintを有する積分コンデンサ5とにより形成することができる。
【0015】
この変換の利得は、積分時間Tintと積分コンデンサの値V=I×Tint/Cintとに応じて決まる。差I=Idet-Imのみが処理される。この差は、通常、電流Idetの約100分の1である。
【0016】
コンバータの出力は、ボロメータの読取回路8を形成する手段に接続される。
【0017】
低感度にしたセンサを埋め込むことにより、大きさの問題が生じる。さらに、センサの特徴が統一されていないため、問題が生じ得る。
【0018】
行列装置では、低感度にした複数の基準ボロメータを使用することができる。
【0019】
ボロメータがどのように実行されているかに応じて、電流Imを基準ボロメータごとに異ならせることができる。
【0020】
前記の欠点のない新しい検出装置を見出すという課題が生じている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、第1に、電磁放射測定のための超小型電子装置に関し、超小型電子装置は、検出された放射の強度に基づいて電流を放出するように設けられた、ボロメータ等の少なくとも1つの電磁放射検出器と、積分開始時と積分終了時との間の「積分時間」と呼ばれる特定の期間中に、検出器により放出された前記電流によって振幅および周波数が変化する、一連のパルス状の第1の信号を出力するための積分コンデンサを形成する手段を備える積分手段と、第2の信号を発するための、前記第1の信号を制御する手段とを備え、前記制御手段が、積分時間中に検出された前記第1の信号の各パルスを計数または減算(deduct)して、所定パルス数Nに達したときに計数終了を示すための計数手段を備え、積分終了時間に達して所定パルス数Nが計数または減算されたときに、第1の信号の振幅に応じた、または第1の信号の振幅に等しい第2の振幅信号を発するために制御手段が実行される。
【0022】
このような装置では、低感度にしたボロメータ等の基準センサを使用せずに、高感度検出器が発した信号の無用な部分を除去することができる。これにより、空間が大きく節約される。所定の積分時間が経過したときに第2の信号を記憶するように設けられたサンプリング手段を備えることもできる。
【0023】
可能な一実施形態によれば、制御手段は、第1の信号から前記パルスを検出するための手段をさらに備えることができる。
【0024】
検出器の放射が不十分な(under-lit)動作状況に合わせて装置を構成することができる。したがって、積分終了時間に達し、前記計数手段によりNよりも少ないパルス数が計数または減算されたときに、第1の閾値電位に等しい振幅を有する第2の信号を送出するために制御手段を実行することもできる。
【0025】
検出器の放射が過剰な(over-lit)動作状況に合わせて装置を構成することができる。
【0026】
積分終了時間に達し、前記計数手段によりパルス数Nが計数または減算されたときに、等しい振幅を有する第2の信号を、特に第1の信号が達する飽和電位で送出するために制御手段を実行することもできる。
【0027】
制御手段は、前記計数手段により計数終了が示されるときに、第1の閾値電位Vnoirと、第1の信号S1を送出する前記積分手段の出力とを切り替えるために実行される切替手段をさらに備えることができる。
【0028】
制御手段は、第1の信号で検出された各パルスに続く積分時間中に、検出されたパルス数Nに達していなければ、再初期設定信号を前記積分コンデンサの少なくとも1つの端子に印加して、第1の信号を前記検出されたパルスとは逆の方法で変化させるように構成された再初期設定手段をさらに備えることができる。
【0029】
再初期設定手段を、検出されたパルス数Nに達したときに、反動信号の印加を停止するように構成することができる。
【0030】
再初期設定手段は、少なくとも1つのスイッチを形成する手段を備えることができる。前記スイッチは、計数手段により行われた計数を再初期設定するために供給される、計数開始を示す少なくとも1つの信号と、検出された所定パルス数Nに達したときに、計数手段により生じる計数終了を示す少なくとも1つの信号とにより制御される。
【0031】
再初期設定手段は、少なくとも1つの第1対のスイッチと、少なくとも1つの第2対のスイッチとを形成する手段を備えることができ、第1対のスイッチと第2対のスイッチとが計数手段により制御される。
【0032】
第1対のスイッチを、コンデンサの第1の端子を増幅器の出力および反転入力に交互に接続するように設けることができ、第2対のスイッチを、コンデンサの第2の端子を増幅器の反転入力および出力に交互に接続するように設けることができる。
【0033】
前記検出器は、検出器行列に属することができる。
【0034】
特定の一実施形態によれば、前記セルのいくつかに、先に定義した超小型電子装置を組み込むことができる。
【0035】
この特定の実施形態によれば、前記積分コンデンサをトランジスタにより形成することができる。
【0036】
添付図面を参照しながら、単に参考用として非限定的に示された実施形態の記載を読めば、本発明をよりよく理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】先行技術によるボロメータセンサの一例を示す図である。
【図2】ボロメータ行列センサに属する、本発明による装置の第1の実施形態を示す図である。
【図3A】図2に関連して記載された、第1の実施形態で実行される信号を示す図である。
【図3B】図2に関連して記載された、第1の実施形態で実行される信号を示す図である。
【図3C】図2に関連して記載された、第1の実施形態で実行される信号を示す図である。
【図4】ボロメータ行列センサに属する、本発明による装置の第2の実施形態を示す図である。
【図5A】図4に関連して記載された、第2の実施形態で実行される信号を示す図である。
【図5B】図4に関連して記載された、第2の実施形態で実行される信号を示す図である。
【図5C】図4に関連して記載された、第2の実施形態で実行される信号を示す図である。
【図6】ボロメータ行列センサに属する、本発明による装置の第3の実施形態を示す図である。
【図7A】図6に関連して記載された、第3の実施形態で実行される信号を示す図である。
【図7B】図6に関連して記載された、第3の実施形態で実行される信号を示す図である。
【図7C】図6に関連して記載された、第3の実施形態で実行される信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
下記の異なる図における同一、同様、または等価な部分を、同一の参照符号で示して、図ごとの移行を容易にした。
図を見やすくするために、図に示す様々な部分を必ずしも均一の縮尺を使用して示しているわけではない。
【0039】
様々な可能性(代替形態および実施形態)は、互いに矛盾するものではなく、互いに組み合わせ可能であるものとして理解しなければならない。
【0040】
特にボロメータを有する超小型電子撮像装置の第1の例を、図2(撮像装置の一部、特に撮像装置の基本セルのみを図2に示す)に関連して説明する。
【0041】
この装置は、「画素」とも呼ばれる基本セルのX横行およびY縦行の行列の一部である。基本セルには、それぞれ少なくとも1つのセンサが設けられ、このセンサは、ボロメータ型の電磁放射を検出する要素を備える。
【0042】
基本セルは、102の形の、すなわち抵抗が温度とともに変化する少なくとも1つのボロメータ検出器を備えることができる。サーミスタの出力をトランジスタ104と関連付けることができ、検出電流を送出するために、トランジスタ104のゲートを電位Vgdtで分極する。
【0043】
本実施形態では、行、すなわち行列の横行をアドレス指定するための信号AdLにより制御される切替手段106が、検出器の出力に設けられて、検出器が属する行列の横行が選択されたときに、検出器が検出された電流を行列の列に送出するようになっている。切替手段106は、例えば、トランジスタの形とすることができ、取り込みサイクル中にボロメータを読取回路または読取手段に接続することができる。
【0044】
ボロメータ102の端子に印加される分極電圧は、その取り込み中には一定である。したがって、温度が変化してシーンが変化する、すなわち、センサにより認識される放射が変化すると、ボロメータ102の抵抗が変化し、これにより、ボロメータ102の端子の電圧が一定であれば、その端子を通る電流が変化する。
【0045】
ボロメータ102から発生した電流を、積分回路110を使用して変換する。積分回路110は第1の信号S1と呼ばれる信号を出力する。
【0046】
積分手段110は、本例では増幅器114を備える。増幅器114は、分極電位Vcolに設定された非反転入力と、容量Cintを有する積分コンデンサ112を形成する手段の端子に接続された出力および反転入力を備えることができる。
【0047】
検出すべき入射電磁エネルギー範囲に応じて、分極電位Vcolを設けて設定することができる。電位Vcolを、別の分極電位Vseuilと等しくなるか、別の分極電位Vseuilに近くなるように選択することができる。
【0048】
「積分開始」t0と呼ばれる時点と「積分終了」tfinと呼ばれる時点との間に構成される積分時間Tintと呼ばれる期間中に、検出された電流を積分する(Tintは図3A〜3Cに関連して示された装置の3つの動作例で設定される。これら3つの図の縮尺は必ずしも同一ではない)。
【0049】
積分の開始を、いわゆる「再初期設定」信号Srazの状態変化により、かつ/または状態変化に続いて判定することができ、積分の終了を、いわゆる「記憶」信号Smemの状態変化により、かつ/または状態変化に続いて判定することができる。
【0050】
検出器により放出された電流の積分による第1の信号S1(図3A、3B、3Cの時系列図に、それぞれ信号S1a、S1b、S1cの曲線により示す)は、一連のパルス状(それぞれP1a、P1b、P1c)であり、その期間および周波数は、特に、積分コンデンサ112について選択された容量Cintとボロメータ102により放出された電流の強度とに応じて決まる。この強度はボロメータ102に入射する電磁エネルギーに応じて決まる。
【0051】
図3A、3B、3Cでは、第1の信号S1が、検出器102により放出された電流の様々な値について示され、したがって、ボロメータ102に入射する様々な電磁エネルギーについて示される。
【0052】
図3Aに第1の動作状況を示し、図3B、3Cに、検出器102の分極または放射が不十分である第2の状況と、検出器102の分極または放射が過剰である第3の状況についての第1の信号S1を示している。
【0053】
第1の信号S1のパルス数が積分期間Tint中に計数されるようになっており、これは3つの動作状況すべてにおいて同様である
【0054】
第1の信号S1の制御手段120が積分手段110の出力に配置され、第1の信号から無用な情報の一部を除去した第2の信号S2を送出するようになっている。
【0055】
制御手段120は、第1の信号S1のパルスを検出するように構成される。このために、積分手段110の出力を、比較要素131の反転入力に当てはめることができ、この出力を、比較要素131の非反転入力に印加される分極電位Vseuilと比較する。第1の信号とVseuilとの比較の結果を、二状態信号の形で示す。較正されたパルス状の信号を得るために、比較要素131の出力の単安定(monostable)133を設けることができる。
【0056】
これにより、前記パルスを計数または減算するために、パルスを検出する。このために、単安定により発せられた二状態信号を、特に制御手段120に属する計数手段140に送出することができる。
【0057】
次に、計数手段140を実行して、第1の信号S1の新しく検出されたパルスのそれぞれを計数または減算することができる。
【0058】
また、所定パルス数Nに達し、計数または減算が行われたときに、計数手段140を実行して計数終了指示信号を発することができる。
【0059】
計数手段が計数または減算するパルス数Nを、行列の検出器により放出された電流の平均値の評価により供給することができる。
【0060】
計数手段140は、例えばデジタルカウンタ等の少なくとも1つのカウンタ145を備えることができる。このカウンタ145は、計数終了を示すための手段と関連付けることができ、例えばNAND論理ゲート146をその出力に備える。
【0061】
計数終了指示信号は、特に、例えばNANDゲート146の出力および単安定133に接続されたNANDゲート152等の論理ゲートを介して、再初期設定手段150に送信される。
【0062】
再初期設定手段150は、特に、パルス(図3Aの第1の信号S1aのパルスP1a)状の第1の信号S1の変化に続いて、第1の信号S1を前記変化(図3Aの第1の信号S1aの部分P')とは逆の方法で変化させるように反動信号をコンデンサ112に印加するために設けられる。
【0063】
本実施形態では、第1の信号S1を増加させるパルスに続いて、第1の信号S1を減少させるように、反動信号をコンデンサ112に印加する。
【0064】
反動信号は、切替手段151を介して印加された反動電位Vrazとすることができる。
【0065】
パルスが検出され考慮されると、再初期設定手段150により、積分回路の出力を電位Vrazに戻すことが可能になる。本実施形態では、これは第1の信号(図3A、3B、3Cの信号S1a、S1b、S1cの部分P')の電圧降下と同等である。
【0066】
計数手段140が所定パルス数Nに達すると、反動信号の印加の繰り返しを停止することができる。
【0067】
これにより、再初期設定手段150を、計数終了指示信号を受信したときに、切替手段151の開閉の繰り返しを停止させるために設けることができる。切替手段151を、例えばNO OR論理ゲートを形成する手段155により送出された信号によって制御することができる。このNO OR論理ゲートの1つの入力が、計数手段140の出力と、リセット信号Srazを印加するための手段153とに接続される。
【0068】
パルス数Nに達したときに、積分コンデンサ112の充放電を制御することのできる反動を停止させる。
【0069】
図3Aおよび3Cで、これは第1の信号を示す曲線S1aで示され、数Nに達すると、第1の信号は増加を続けて電位Vrazに戻ることはない。
【0070】
この反動を、例えばカウンタ145の出力のNO OR論理ゲート155とNANDゲート152とを備える手段により阻止させることができる。
【0071】
制御手段120は第2の信号S2を送出するように設けられる。本例では、計数手段140により行われた計数が値Nに達していなければ、第2の信号S2が第1の閾値電位Vnoirで維持される。図3A、3B、3Cでは、これは第2の信号S2を示す曲線S2a、S2b、S2cで示され、計数手段が値Nに達していなければ、第2の信号SはレベルVnoirでとどまる。言い換えると、除去したい信号の部分に達していなければ、制御手段120は第1の閾値電位Vnoirと等しい第2の信号S2を生成する。
【0072】
切替手段161が制御手段120の出力に設けられ、計数手段140により送出された計数終了信号により制御される。計数手段140により送出された計数終了信号により、切替手段161を切り替えて、前記手段が計数終了信号を受信したときに、制御手段120の出力を積分手段110の出力に接続し、積分回路の出力に等しい第2の信号を送出することができる。
【0073】
積分時間Tintが経過すると、時点tfinでサンプリング手段170を使用して第2の信号S2がサンプリングされる。サンプリング手段は、スイッチ171を形成する手段を備えることができる。このスイッチは、記憶信号Smemにより制御され、信号Smemの状態が変化したときに、制御手段120の出力を記憶コンデンサ172に接続する。また、サンプリング手段170は、列のアドレス指定信号AdCにより制御される電圧従動子173を備える。
【0074】
装置の2つの限られた動作状況が、図3Bおよび3Cの時系列図に関連して示される。
【0075】
ボロメータの検出範囲に対して検出器の放射が不十分なこと、または検出器102の分極が不十分なことを示す、1つの限定的な動作状況を図3Bに示す。この場合、積分時間Tintが経過したときに、計数手段140が計数値Nに達しておらず、切替手段161の出力を電位Vnoir(図3CのVnoirにとどまる信号S2b)で維持する。
【0076】
したがって、検出器102の不十分な分極を検出し、前記検出に応じて検出器102の分極状態を調節することができる。
【0077】
ボロメータの検出範囲に対して放射が過剰であるか、検出器102の分極が過剰である第2の状況を図3Cに示す。この場合、積分時間Tintが経過すると、カウンタ145が計数値Nに達し、これにより反動が阻止される。次に再初期設定手段の切替手段151が開き、積分コンデンサ112が充電を続けて、その充電の終了時に充電された状態でとどまる。制御手段120の出力は、飽和電位Vsatに達する積分手段110の出力電位で設定される。
【0078】
したがって、検出器102の過剰な分極を検出し、その検出に応じて検出器102の分極状態を調節することができる。
【0079】
正常に放射され正常に分極された検出器の一動作状況を、図3Aに関連して示す。
【0080】
再初期設定信号Srazの状態変化により、積分が開始される。
【0081】
次に、第1の信号S1のパルスの減算または計数が行われる。
【0082】
各パルスが再初期設定を生じさせる。計数手段140が計数値Nに達すると、反動の繰り返しが停止される。これは、再初期設定手段150の切替手段151を開いた状態に維持することにより行われる。
【0083】
計数手段140が計数値Nに達すると、切替手段161が切り替わり、積分手段110の出力に接続される。その後、積分コンデンサ112は充電を続ける。
【0084】
積分時間が経過すると、記憶信号Smemの状態が変化し、制御手段の出力でサンプリングが行われる。
【0085】
第2の信号S2の振幅Aは、第1の信号S1の振幅に応じて決まり、例えばコンデンサ172を介して記憶される。
【0086】
第2の信号S2の振幅Aは、以下の関係に従う。
Idet*Tint=((N-1)*(V+A)*Cint
ここでIdetは検出器から放出された電流であり、(Vは検出されたパルスの振幅である。
【0087】
特にボロメータを有する超小型電子撮像装置の第2の例を図4(撮像装置の一部、特に撮像装置の基本セルのみを図4に示す)に示す。
【0088】
この装置の実施形態は、特に積分手段210により前記実施形態とは異なる。この積分手段210は、積分コンデンサ212を備え、積分コンデンサの端子を、スイッチ213a、213b、215a、215bを介して増幅器114の反転入力または出力に交互に接続することができる。
【0089】
増幅器114の非反転入力を、電位Vseuilと電位Vnoirとの間に構成された電位Vcolに設定することができる。
【0090】
積分手段210の出力で送出された第1の信号S1の制御手段220が、先の例と同様に設けられる。
【0091】
この制御手段220は、例えば、積分手段の出力を電位Vseuilと比較するための比較要素131を使用して、第1の信号のパルスを検出するために設けられる。
【0092】
この例では、制御手段220が、比較要素131の出力にNANDゲート234を備え、比較要素131は、カウンタの出力に位置するNANDゲート146と関連付けられて、パルス数Nに達したときに計数を固定することができる。このために、NANDゲート234は、計数終了を示すNANDゲート146の出力に接続された入力を備えることができ、その他方の入力は単安定233の出力に接続される。
【0093】
制御手段220は、再初期設定手段250により、図2に関連して前述したものとは異なる。
【0094】
再初期設定手段250は、信号S1(第1の信号を図5A、5B、5Cに曲線S'1a、S'1b、S'1cにより示す)を変化させる、パルス状の第1の信号S1の変化に続いて、反動信号をコンデンサ212に印加して第1の信号S1を前記変化と逆の方法で変化させるために設けられる。
【0095】
また、再初期設定手段250は、スイッチ251と、リセット信号Srazを印加するための手段253とを備え、手段253は、例えば、クロックリセット信号等のリセット信号を印加する外部接続を形成し、計数手段240をリセットできるようにする。
【0096】
切替手段251は、例えば計数手段240の出力により送出された信号と、リセット信号Srazを印加するための手段253とにより制御することができる。
【0097】
積分コンデンサの端子の信号Scintも図5A、5B、5Cに示される。
【0098】
本実施形態では、第1の信号S1からのパルスも信号Scintを増加させることに続いて、反動信号がコンデンサ212に印加されて信号Scintを減少させる。
【0099】
本例では、コンデンサ端子の信号に、第1の実施形態のような急な途切れがないため、特に積分中に発生する騒音が改善される。
【0100】
第1対のスイッチ213a、213bと第2対のスイッチ215a、215bとが、計数手段240により、例えばデジタルカウンタ等のカウンタ145の低位ビットにより制御される。
【0101】
積分コンデンサ212の端子を増幅器114に接続するように設けられたスイッチ213a、213b、215a、215bのうち、第1対のスイッチ213a、215aは、積分コンデンサ212の第1の端子を増幅器114の出力または反転入力に交互に接続するように設けられ、第2対のスイッチ215a、215bは、積分コンデンサ212の第2の端子を増幅器114の反転入力または出力に交互に接続するように設けられる。言い換えると、第1対のスイッチ213a、213bは、増幅器114の反転入力を積分コンデンサ212の第1の端子または第2の端子に交互に接続するように設けられ、第2対のスイッチ215a、215bは、増幅器114の出力を積分コンデンサ212の第1の端子または第2の端子に交互に接続するように設けられる。
【0102】
検出された各パルスについて、スイッチ213a、213b、215a、215bの開閉状態が修正される。
【0103】
計数手段が所定パルス数Nに達すると、スイッチ213a、213b、215a、215bの開閉制御の繰り返しを停止させることができる。
【0104】
パルス数Nに達したときに、積分コンデンサ212の充放電を制御することのできる反動を停止させる。
【0105】
ボロメータの検出範囲に対して検出器の放射が不十分なこと、または検出器の分極が不十分なことを示す、1つの限定的な状況を図5Bに示す。
【0106】
ボロメータの検出範囲に対して検出器の放射が過剰であるか、または検出器の分極が過剰である、別の限定的な状況を図5Cに示す。
【0107】
正常に放射されたときの検出器の一動作状況を、図5Aに関連して示す。
【0108】
再初期設定信号Srazの状態変化により、積分が開始される。
【0109】
次に、第1の信号S1のパルスの減算または計数が行われる。各パルスに続いて、第1の信号の逆の変化に等しい反動が生じる。
【0110】
計数手段が計数値Nに達すると反動の繰り返しが停止される。
【0111】
計数手段240が計数値Nに達すると、切替手段161が切り替わり、積分手段210の出力に接続される。積分コンデンサ212は充電を続ける。
【0112】
積分時間Tint(Tintは一定であるため、図5A〜5Cに関連して示された装置の3つの動作例について同一である。これら3つの図の縮尺は必ずしも同一ではない)が経過すると、時点tfinで、サンプリング手段170を使用して第2の信号S2がサンプリングされる。
【0113】
第2の信号S2の振幅A'は、次に以下の関係に従う。
Idet*Tint=((N-1)*2(V'+A')*Cint
ここでIdetは検出器から放出された電流であり、(Vは検出されたパルスの振幅である。
【0114】
図2に関連して前述した例に示すように、検出器102の過剰な分極または不十分な分極を検出し、その検出に応じて検出器102の分極状態を調節するために、積分時間Tintが経過したときのステージ220の出力状態を検出することができる。
【0115】
特にボロメータを有する超小型電子撮像装置の第3の例を図6(撮像装置の一部、特に撮像装置の基本セルのみを図6に示す)に示す。
【0116】
本例では、行列が、ボロメータ302、ボロメータ302により放出された電流の積分手段310、および図2に関連して前述した制御手段120の型の制御手段320をそれぞれ備えた基本セルにより形成される。
【0117】
本例では、積分手段310が、トランジスタ312の形の、例えばMOS型の積分コンデンサを備え、そのゲートが制御手段320の入力に接続され、そのソースおよびドレインが同一の分極電位、例えば電気的接地に置かれる。
【0118】
これにより、各画素で積分コンデンサおよび手段を実行することができる。トランジスタ312のゲート電位は、制御手段320により制御される第1の信号S1に対応する。
【0119】
この制御手段320は、前述の例と同様に、例えば比較要素331と、単安定333を含む較正されたパルスを生成するための手段とを備えた、第1の信号S1からパルスを検出するための手段を備える。
【0120】
また、制御手段320は、例えば、1または複数の論理ゲート346、352を形成する手段と関連付けた少なくとも1つのカウンタ345を有する計数手段340を備える。
【0121】
また、制御手段320は、例えば、第1の信号S1のパルスの検出に続いて、トランジスタ312のゲートに電位Vrazを印加することのできるスイッチ351を備えた再初期設定手段350を備える。したがって、本例で行われる再初期設定は、図2に関連して示された第1の例で行われるものと同様とすることができる。
【0122】
前述した例に示すように、再初期設定手段350に印加された、または再初期設定手段350により生成された再初期設定信号Srazの状態変化により、積分が開始される。
【0123】
積分時間Tintが経過すると、サンプリングを生じさせる信号Smemの状態が変化する。
【0124】
パルス数Nが検出されると、制御手段320の出力の切替手段361が第2の信号を送信する。この信号の振幅は、第1の信号S1の振幅に応じて決まり、本例では第1の信号S1に等しくすることができる。
【0125】
ボロメータの検出範囲に対して検出器の放射が不十分なこと、シーン変化が弱すぎてボロメータにより検出できないこと、または検出器の分極が不十分なことを示す、第1の限定的な状況を図7Bに示す。第1の状況では、積分時間Tintが経過したときに、計数手段340が計数値Nに達しておらず、切替手段361の出力を電位Vraz(信号S"2bの曲線が図7BのVrazにとどまる)で維持する。
【0126】
ボロメータの検出範囲に対して検出器の放射が過剰なこと、または検出器の分極が過剰なことを示す第2の状況を図7Cに示す。この場合、積分時間Tintが経過したときに、カウンタ345が計数値Nに達し、これにより反動を阻止する。再初期設定手段のスイッチ351が開き、積分コンデンサ312が充電を続け、充電の終了時に充電された状態でとどまる。制御手段320の出力は、積分器310の出力電位にある。
【0127】
正常に放射しているときの検出器の動作状況を、図7Aに関連して示す。
【0128】
再初期設定信号Srazの状態変化により、積分が開始される。
【0129】
次に、第1の信号S1のパルスの減算または計数が行われる。各パルスに続いて、第1の信号の逆の変化に等しい反動が生じる。
【0130】
計数手段340が計数値Nに達すると、反動の繰り返しが停止される。これは、再初期設定手段350の切替手段351を開いたまま維持することにより行われる。
【0131】
計数手段340が計数値Nに達すると、切替手段361が切り替わり、積分器310の出力に接続される。積分コンデンサ312は充電を続ける。
【0132】
パルス数Nが計数されたときに、単安定333をパルスの計数のための固定手段と関連付けることができる。
【0133】
積分時間Tintが経過すると、記憶信号Smemの状態が変化し、制御手段の出力でサンプリングが行われる。第1の信号S1の振幅に応じて決まる第2の信号S2の振幅は、例えばコンデンサ372を介して記憶される。
【0134】
多重化手段380をサンプリング手段の出力に設けることができる。
【符号の説明】
【0135】
102、302 ボロメータ
104 トランジスタ
106、251 切替手段
110、210、310 積分手段
112、212、312 積分コンデンサ
114 増幅器
120、220、320 制御手段
131、331 比較要素
133、233、333 単安定
140、340 計数手段
145、345 カウンタ
146、234 NANDゲート
150、250、350 再初期設定手段
151、361 切替手段
152 NANDゲート
153、253 リセット信号Srazを印加するための手段
155 NO OR論理ゲートを形成する手段
161 切替手段
170 サンプリング手段
172 記憶コンデンサ
213a、213b、215a、215b、351 スイッチ
220 ステージ
346、352 論理ゲート
372 コンデンサ
380 多重化手段
S1 第1の信号
S2 第2の信号
Scint 信号
Cint 容量
Vgdt、Vcol、Vseuil、Vnoir 電位
Vraz 反動電位
Tint 積分時間
Sraz 再初期設定信号
Smem 記憶信号
Sraz リセット信号
AdC アドレス指定信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射測定のための超小型電子装置であって、
検出された放射の強度に基づいて電流を放出するように設けられた、ボロメータ等の少なくとも1つの電磁放射検出器(102、302)と、
積分開始時(t0)と積分終了時(tfin)との間の「積分時間」と呼ばれる特定の期間中に、検出器により放出された前記電流によって振幅および周波数が変化する、一連のパルス状の第1の信号(S1)を出力するための積分コンデンサ(112、212、312)を形成する手段を備える積分手段(110、210、310)と、
第2の信号(S2)を発するための、前記第1の信号を制御する手段(120、220、320)とを備え、
前記制御手段が、
積分時間中に検出された前記第1の信号の各パルスを計数または減算して、所定パルス数Nに達したときに計数の終了を示すための計数手段(140、240、340)を備え、
積分終了時間に達して、前記計数手段により所定パルス数Nが計数または減算されたときに、第1の信号の振幅に応じた、または第1の信号の振幅に等しい第2の振幅信号を発するために制御手段が実行される、超小型電子装置。
【請求項2】
所定の積分時間が経過したときに前記第2の信号(S2)を記憶するように設けられたサンプリング手段(170、370)をさらに備える、請求項1に記載の超小型電子装置。
【請求項3】
前記制御手段(120、220、320)が、前記第1の信号(S1)から前記パルスを検出するための手段(131、133、234、331、333)をさらに備える、請求項1または2に記載の超小型電子装置。
【請求項4】
前記積分終了時間に達し、前記計数手段(140、240)によりNよりも少ないパルス数が計数または減算されたときに、第1の閾値電位(Vnoir)に等しい振幅を有する第2の信号(S2)を送出するために、前記制御手段(120、220、320)も実施される、請求項1または2に記載の超小型電子装置。
【請求項5】
前記積分終了時間に達し、前記計数手段によりパルス数Nが計数または減算されたときに、等しい振幅を有する第2の信号(S2)を、特に第1の信号(S1)が達する飽和電位で送出するために、制御手段(120、220、320)も実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の超小型電子装置。
【請求項6】
前記制御手段(120、220、320)が、前記計数手段により計数終了が示されるときに、第1の閾値電位(Vnoir、Vraz)と、前記積分手段(110、210、310)の出力とを切り替えるために実行される切替手段(161)をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の超小型電子装置。
【請求項7】
前記制御手段が、第1の信号で検出された各パルスに続く積分時間中に、検出されたパルス数Nに達していなければ、再初期設定信号を前記積分コンデンサの少なくとも1つの端子に印加して、第1の信号を前記検出されたパルスとは逆の方法で変化させるように構成された再初期設定手段(150、250、350)をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の超小型電子装置。
【請求項8】
前記再初期設定手段が、検出されたパルス数Nに達したときに、反動信号の印加を停止するように構成される、請求項7に記載の超小型電子装置。
【請求項9】
前記再初期設定手段が、少なくとも1つのスイッチ(151)を形成する手段を備え、前記スイッチが、前記計数手段により行われた計数を再初期設定するために供給される、計数開始を示す少なくとも1つの信号(Sraz)と、所定パルス数Nに達したときに、計数手段により生じる計数終了を示す少なくとも1つの信号とにより制御される、請求項7または8に記載の超小型電子装置。
【請求項10】
前記再初期設定手段は、少なくとも1つの第1対のスイッチ(213a、215a)と、少なくとも1つの第2対のスイッチ(213b、215b)とを形成する手段を備えることができ、前記第1対のスイッチと前記第2対のスイッチとが前記計数手段(145)により制御される、請求項7または8に記載の超小型電子装置。
【請求項11】
積分コンデンサ(212)が増幅器(114)に接続され、前記第1対のスイッチ(213a、215a)が、前記コンデンサ(212)の第1の端子を前記増幅器の出力および反転入力に交互に接続するように設けられ、
前記第2対のスイッチ(213b、215b)が、前記コンデンサの第2の端子を前記増幅器の反転入力および出力に交互に接続するように設けられる、請求項10に記載の超小型電子装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の超小型電子装置を備え、検出器(102)が検出器の行列に属する、行列センサ。
【請求項13】
複数の基本セルを備え、前記セルの少なくとも一部が、請求項1から11のいずれか一項に記載の超小型電子装置を備える、行列センサ。
【請求項14】
前記積分コンデンサ(312)がトランジスタにより形成される、請求項13に記載の行列センサ。
【請求項15】
前記検出器が少なくとも1つのボロメータを備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の超小型電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2012−528311(P2012−528311A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512374(P2012−512374)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057314
【国際公開番号】WO2010/136521
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】