説明

電磁波イメージング装置

【課題】テラヘルツ帯の電磁波を試料に照射して得られた透過波を、電気光学結晶を介して、正確な2次元画像にイメージングする電磁波イメージング装置を提供する。
【解決手段】電磁波M1を試料110に照射して得られた透過電磁波M2から、試料110に関する画像情報を取得する電磁波イメージング装置100は、透過電磁波M2と同時にプローブ光S1が入射すると、透過電磁波M2の電界強度に応じてプローブ光S1の偏光成分を変調し、変調して得られた信号光S2を射出する電気光学結晶123と、電気光学結晶123から射出された信号光S2に対して45度方向の偏光成分を1/4波長移相し、移相して得られた信号光S3における水平方向の偏光成分と垂直方向の偏光成分との間で差分をとることで画像信号光S10を生成して射出する光差分部130と、画像信号光S10を受光する撮像部150とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を使用して正確な2次元画像に試料をイメージングする電磁波イメージング装置に関し、特に、テラヘルツ帯の電磁波を試料に照射して得られた透過波から2次元画像にイメージングする電磁波イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、周波数が0.1から100THzの範囲にあるテラヘルツ帯の電磁波を用いた装置が活発に開発されている。テラヘルツ帯の電磁波は、水分、薬物、爆発物、生体物質などの材料に対しては特徴的な吸収特性を有する。一方で、紙、プラスチックなどの材料は透過するため、例えば、空港などで荷物や郵便物の中身を、非破壊で検査することができる。また、人間の体内をある程度透過し、かつ人体には無害であるため、生体内の細胞などの分子状態を検査することができる。このようにテラヘルツ帯の電磁波を用いた装置は、セキュリティー用途や医療用途として非常に注目を集めている。特に、テラヘルツ帯の電磁波を用いて、2次元で、かつその場で映像が見ることができるような電磁波イメージング装置の需要が急速に高まりつつあり、活発な開発が進められている。
【0003】
例えば、パルス幅1ピコ秒以下の超短パルスレーザ光をZnTe結晶などの電気光学結晶に照射することにより、超短パルスレーザ光のパルス幅程度の緩和時間を有する励起状態に励起し、この間に発生する電界変化をテラヘルツ帯の電磁波として取り出す。一方、このようにして発生させたテラヘルツ帯の電磁波は、所定の試料に照射され、その透過光は、超短パルスレーザ光から得られるプローブ光と同時に、電気光学結晶に照射する。このとき、透過光の光強度に応じた偏光状態で楕円偏光したプローブ光が生じる。このため、そのプローブ光の偏光成分の強度を検出することにより、試料の透過画像の受信が実現される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
具体的には、図1に示されるように、パルスレーザ光源10から射出された超短パルスレーザ光L1は、ミラー11で反射された後、ビームスプリッタ12で超短パルスレーザ光L2とプローブ光L3とに分割される。超短パルスレーザ光L2は、ミラー13a、13bで反射された後、可動鏡14で反射されビームエキスパンダ15でビーム径が拡大される。さらに、超短パルスレーザ光L2は、ミラー16で反射された後、電気光学結晶17に入射し、テラヘルツパルス光T1に変換される。テラヘルツパルス光T1は、試料1を透過すると、試料1の形状、材料情報を有する透過光T2に変換される。対物レンズ18は、透過光T2が電気光学結晶20に結像するように光学的に配置されている。
【0005】
一方、プローブ光L3は、ミラー21,22,23で反射され、ビームエキスパンダ24でビーム径が拡大された後、偏光子25を透過し、特定の方向に偏光される。このプローブ光L3は、例えば、高抵抗のシリコンウエハなどのダイクロイックミラー19で反射され電気光学結晶20に照射される。
【0006】
このとき、プローブ光L3と、ダイクロイックミラー19を透過した透過光T2とが、同時に、電気光学結晶20に照射されるように、可動鏡14は調整されている。透過光T2は、電気光学結晶20を透過する際に、ポッケルス効果により電気光学結晶内20に複屈折を生じさせる。この複屈折により、透過光T2と同時に電気光学結晶20を透過するプローブ光L3は、偏光方向が直線偏光から楕円偏光に変化し信号光L4として電気光学結晶20から射出される。このとき、楕円偏光の短軸成分が試料1の情報となる。この信号光L4の偏光の短軸成分は、検光子26を透過することにより光強度として、例えば、CCDカメラである撮像部27の撮像素子27aで検出される。この光強度を2次元で取り込むことにより、試料1の形状、材料情報の分布を検出することができる。
【0007】
ただし、このような検光子26と撮像部27との構成においては、透過光T2に起因する偏光成分を光強度に変換する際に、変換効率が低いため、S/N比が低いという課題を有する。これに対して、変換効率を改善するため、λ/4位相差板と、ウォーラストン偏光子と、平衡フォトダイオードで構成される撮像部を用いた方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
具体的には、図2に示されるように、電気光学結晶20から出射された信号光L4は、λ/4位相差板51により円偏光に近い楕円偏光に変換される。一方、透過光T2がない状態での信号光L4の偏光状態は、λ/4位相差板51により円偏光に変換される。したがって、試料1の情報は、楕円偏光がどれだけ円偏光からずれているかという情報に変換される。このような楕円偏光の円偏光からのズレを検出するため、ウォーラストン偏光子55により、楕円偏光の長軸方向の光強度を有する直線偏光Sと、短軸方向の光強度を有する直線偏光Pとの2つの偏光に分割し、撮像部60の平衡フォトダイオード61でそれらの差を出力させるようにする。この構成により、透過光T2に起因する光強度の変換効率が改善され、より効率良く試料1の情報を得ることができる。
【特許文献1】特開2006−177716号公報
【特許文献2】特表2000−514549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような従来の電磁波イメージング装置50の構成においては、以下のような課題があげられる。まず、撮像部60のダイナミックレンジにおける課題が挙げられる。従来技術で用いられている平衡フォトダイオード61は、2つのフォトダイオードを直列に接続し、そのフォトカレントの差が電流として出力される。また、各々のフォトダイオードに関しては、ウォーラストン偏光子55からの直線偏光Sまたは直線偏光Pの光が入射される。このとき、各フォトダイオードは、直線偏光Sまたは直線偏光Pの光強度を受光できる程度のダイナミックレンジが必要となる。そうでなければ、各フォトダイオードが飽和し、円偏光から得られた直線偏光(バックグランド光)からのズレを検出することができない。
【0010】
ただし、このような十分なダイナミックレンジを有するフォトダイオードは受光領域を大きくする必要があり、CCDのような撮像部には適していない。つまり、CCDのフォトダイオードの受光領域を小さくし、撮像部を小型化、高速化、高解像度化させることと、上記の要望とは反する。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、テラヘルツ帯の電磁波を試料に照射して得られた透過波を、電気光学結晶を介して、正確な2次元画像にイメージングする電磁波イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、(a)本発明に係わる電磁波イメージング装置は、(a1)電磁波を試料に照射して得られた透過波から、前記試料に関する画像情報を取得する電磁波イメージング装置であって、(a2)前記透過波と同時にレーザ光が入射すると、前記透過波の電界強度に応じて前記レーザ光の偏光成分を変調し、変調して得られた信号光を射出する電気光学結晶と、(a3)前記電気光学結晶から射出された信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第1の方向の偏光成分と第2の方向の偏光成分との間で差分をとることで画像信号光を生成して射出する光差分手段と、(a4)前記画像信号光を受光する撮像手段とを備える。
【0013】
これによって、電気光学結晶から射出された信号光が撮像手段で受光される前に、信号光に含まれて試料の情報に起因しないバックグランド光を信号光から取り除くことができる。このため、撮像手段のフォトダイオードのダイナミックレンジを十分に取る必要がなくなる。さらに、ダイナミックレンジを十分に取る必要がないので、CCDのフォトダイオードの受光領域を大きくする必要もなく、撮像手段の小型化、高速化、高解像度化を簡単に実現することができる。結果、電磁波を使用して正確な2次元画像に試料をイメージングすることができる。
【0014】
さらに、(b)前記光差分手段は、(b1)前記電気光学結晶から射出された信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する移相子と、(b2)前記移相子から射出された信号光の光束を2分割し、2分割して得られた各信号光を第1の信号光と第2の信号光として射出する分割素子と、(b3)前記第1の信号光における第1の方向の偏光成分から第1の偏光状態をとる第3の信号光を生成して射出する第1の光学系と、(b4)前記第2の信号光における第2の方向の偏光成分から第2の偏光状態をとる第4の信号光を生成して射出する第2の光学系と、(b5)前記第3の信号光と前記第4の信号光とを結合し、結合して得られた信号光を前記画像信号光として射出する結合素子とを備えるとしてもよい。
【0015】
これによって、バックグランド光が含まれない画像信号光を容易に得ることができる。この場合において、移相子で、電気光学結晶から射出された信号光が、バックグランド光を取り除きやすくする信号光に転換される。さらに分割素子で、転換されて得られた信号光が第1の信号光と第2の信号光とに分割される。第1の光学系と第2の光学系とで、第1の信号光と第2の信号光とが、バックグランド光を相殺しやすくする第3の信号光と第4の信号光とに転換される。結合素子で、第3の信号光と第4の信号光とが結合され、第3の信号光に含まれるバックグランド光と、第4の信号光に含まれるバックグランド光とが相殺され、バックグランド光が含まれない画像信号光が得られる。
【0016】
さらに、(c)(c1)前記第1の光学系は、前記第3の信号光として第1の直線偏光を生成して射出し、(c2)前記第2の光学系は、前記第4の信号光として前記第1の直線偏光に対して180度の位相差を有する第2の直線偏光を生成して射出するとしてもよい。
【0017】
これによって、第3の信号光(第1の直線偏光)と第4の信号光(第2の直線偏光)とを結合することで、第3の信号光(第1の直線偏光)に含まれるバックグランド光と、第4の信号光(第2の直線偏光)に含まれるバックグランド光とが相殺し、バックグランド光が含まれない画像信号光を容易に得ることができる。
【0018】
さらに、(d)(d1)前記第1の光学系は、前記第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、(d2)前記第2の光学系は、(d2−1)前記第2の信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、(d2−2)前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、光の進行方向からみて前記所定の方向と前記第2の方向とによってつくられる角度を2倍にした2倍角で前記第2の方向の偏光成分を回転させた偏光成分に転換し、転換して得られた偏光成分を前記第2の直線偏光として射出する光学素子とを備えるとしてもよい。
【0019】
これによって、結合するだけでそれぞれに含まれるバックグランド光を相殺することができる第1の直線偏光と第2の直線偏光とに、第1の信号光と第2の信号光とを転換することができる。
【0020】
または、(e)(e1)前記第1の光学系は、前記第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、(e2)前記第2の光学系は、(e2−1)前記第2の信号光を、光の進行方向からみて前記所定の方向の偏光成分と前記所定の方向に直交する方向の偏光成分との間で180度の位相差を有した信号光に転換し、転換して得られた信号光を射出する光学素子と、(e2−2)前記光学素子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第2の直線偏光として射出する第2の偏光素子とを備えるとしてもよい。
【0021】
これによって、結合するだけでそれぞれに含まれるバックグランド光を相殺することができる第1の直線偏光と第2の直線偏光とに、第1の信号光と第2の信号光とを転換することができる。
【0022】
さらに、(f)(f1)前記所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、(f2)前記第1の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、(f3)前記第2の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、(f4)前記移相子が1/4波長板であり、(f5)前記光学素子が1/2波長板であるとしてもよい。
【0023】
これによって、移相子(1/4波長板)で、電気光学結晶から射出された信号光を、直線偏光に近い楕円偏光から、円偏光に近い楕円偏光に転換し、バックグランド光を取り除きやすくする信号光に転換することができる。また、光学素子(1/2波長板)で、第2の信号光における第2の方向の偏光成分を第1の直線偏光に対して180度の位相差を有する偏光成分に転換し、バックグランド光を相殺しやすくする信号光に転換することができる。
【0024】
または、(g)(g1)前記第1の光学系は、前記第3の信号光として第1の円偏光を生成して射出し、(g2)前記第2の光学系は、前記第4の信号光として前記第1の円偏光に対して反対回りの第2の円偏光を生成して射出するとしてもよい。
【0025】
これによって、第3の信号光(第1の円偏光)と第4の信号光(第2の円偏光)とを結合するだけで、第3の信号光(第1の円偏光)に含まれるバックグランド光と、第4の信号光(第2の円偏光)に含まれるバックグランド光とが相殺され、バックグランド光が取り除かれた画像信号光を容易に得ることができる。
【0026】
さらに、(h)(h1)前記第1の光学系は、(h1−1)前記第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を射出する第1の偏光素子と、(h1−2)前記第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を、円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を前記第1の円偏光として射出する第1の光学素子とを備え、(h2)前記第2の光学系は、(h2−1)前記第2の信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、(h2−2)前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、前記第1の円偏光に対して反対回りの円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を前記第2の円偏光として射出する第2の光学素子とを備えるとしてもよい。
【0027】
これによって、結合するだけでそれぞれに含まれるバックグランド光を相殺することができる第1の円偏光と第2の円偏光とに、第1の信号光と第2の信号光とを転換することができる。
【0028】
さらに(i)(i1)前記所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、(i2)前記第1の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、(i3)前記第2の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、(i4)前記移相子が1/4波長板であり、(i5)前記第1の光学素子および前記第2の光学素子が1/4波長板であるとしてもよい。
【0029】
これによって、移相子(1/4波長板)で、電気光学結晶から射出された信号光を、直線偏光に近い楕円偏光から、円偏光に近い楕円偏光に転換し、バックグランド光を取り除きやすくする信号光に転換することができる。また、第1の光学素子(1/4波長板)で、第1の方向の偏光成分を、第1の円偏光に転換し、バックグランド光を相殺しやすくする信号光に転換することができる。第2の光学素子(1/4波長板)で、第2の方向の偏光成分を、第1の円偏光に対して反対回りの第2の円偏光に転換し、バックグランド光を相殺しやすくする信号光に転換することができる。
【0030】
または、(j)前記光差分手段は、(j1)前記電気光学結晶から射出された信号光の光束を2分割し、2分割して得られた各信号光を第1の信号光と第2の信号光として射出する分割素子と、(j2)前記第1の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第1の方向の偏光成分から第1の偏光状態をとる第3の信号光を生成して射出する第1の光学系と、(j3)前記第2の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第2の方向の偏光成分から第2の偏光状態をとる第4の信号光を生成して射出する第2の光学系と、(j4)前記第3の信号光と前記第4の信号光とを結合し、結合して得られた信号光を前記画像信号光として射出する結合素子とを備えるとしてもよい。
【0031】
これによって、バックグランド光が含まれない画像信号光を容易に得ることができる。この場合において、分割素子で、電気光学結晶から射出された信号光が、第1の信号光と第2の信号光とに分割される。第1の光学系と第2の光学系とで、第1の信号光と第2の信号光とが、バックグランド光を取り除きやすくする信号光に転換された後に、バックグランド光を相殺しやすくする第3の信号光と第4の信号光とに転換される。結合素子で、第3の信号光と第4の信号光とが結合され、第3の信号光に含まれるバックグランド光と、第4の信号光に含まれるバックグランド光とが相殺され、バックグランド光が含まれない画像信号光が得られる。
【0032】
さらに、(k)(k1)前記第1の光学系は、前記第3の信号光として第1の直線偏光を生成して射出し、(k2)前記第2の光学系は、前記第4の信号光として前記第1の直線偏光に対して180度の位相差を有する第2の直線偏光を生成して射出するとしてもよい。
【0033】
これによって、第3の信号光(第1の直線偏光)と第4の信号光(第2の直線偏光)とを結合するだけで、第3の信号光(第1の直線偏光)に含まれるバックグランド光と、第4の信号光(第2の直線偏光)に含まれるバックグランド光とが相殺され、バックグランド光が含まれない画像信号光を容易に得ることができる。
【0034】
さらに、(l)(l1)前記第1の光学系は、(l1−1)前記第1の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、(l1−2)前記第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、(l2)前記第2の光学系は、(l2−1)前記第2の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、(l2−2)前記第2の移相子から射出された信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、(l2−3)前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、光の進行方向からみて前記所定の方向と前記第2の方向とによってつくられる角度を2倍にした2倍角で前記第2の方向の偏光成分を回転させた偏光成分に転換し、転換して得られた偏光成分を前記第2の直線偏光として射出する光学素子とを備えるとしてもよい。
【0035】
これによって、バックグランド光を取り除きやすく、かつ結合するだけでそれぞれに含まれるバックグランド光を相殺することができる第1の直線偏光と第2の直線偏光とに、第1の信号光と第2の信号光とを転換することができる。
【0036】
または、(m)(m1)前記第1の光学系は、(m1−1)前記第1の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、(m1−2)前記第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、(m2)前記第2の光学系は、(m2−1)前記第2の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、(m2−2)前記第2の移相子から射出された信号光を、光の進行方向からみて前記所定の方向の偏光成分と前記所定の方向に直交する方向の偏光成分との間で180度の位相差を有した信号光に転換し、転換して得られた信号光を射出する光学素子と、(m2−3)前記光学素子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第2の直線偏光として射出する第2の偏光素子とを備えるとしてもよい。
【0037】
これによって、バックグランド光を取り除きやすく、かつ結合するだけでそれぞれに含まれるバックグランド光を相殺することができる第1の直線偏光と第2の直線偏光とに、第1の信号光と第2の信号光とを転換することができる。
【0038】
さらに、(n)(n1)前記所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、(n2)前記第1の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、(n3)前記第2の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、(n4)前記第1の移相子および前記第2の移相子が1/4波長板であり、(n5)前記光学素子が1/2波長板であるとしてもよい。
【0039】
これによって、第1の移相子(1/4波長板)で、電気光学結晶から射出された信号光を、直線偏光に近い楕円偏光から、円偏光に近い楕円偏光に転換し、バックグランド光を取り除きやすくする信号光に転換することができる。同様に、第2の移相子(1/4波長板)で、電気光学結晶から射出された信号光を、直線偏光に近い楕円偏光から、円偏光に近い楕円偏光に転換し、バックグランド光を取り除きやすくする信号光に転換することができる。また、光学素子(1/2波長板)で、第2の移相子から射出された信号光における第2の方向の偏光成分を第1の直線偏光に対して180度の位相差を有する偏光成分に転換し、バックグランド光を相殺しやすくする信号光に転換することができる。
【0040】
または、(o)(o1)前記第1の光学系は、前記第3の信号光として第1の円偏光を生成して射出し、(o2)前記第2の光学系は、前記第4の信号光として前記第1の円偏光に対して反対回りの第2の円偏光を生成して射出するとしてもよい。
【0041】
これによって、第3の信号光(第1の円偏光)と第4の信号光(第2の円偏光)とを結合するだけで、第3の信号光(第1の円偏光)に含まれるバックグランド光と、第4の信号光(第2の円偏光)に含まれるバックグランド光とが相殺され、バックグランド光が取り除かれた画像信号光を容易に得ることができる。
【0042】
さらに、(p)(p1)前記第1の光学系は、(p1−1)前記第1の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、(p1−2)前記第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を射出する第1の偏光素子と、(p1−3)前記第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を、円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を前記第1の円偏光として射出する第1の光学素子とを備え、(p2)前記第2の光学系は、(p2−1)前記第2の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、(p2−2)前記第2の移相子から射出された信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、(p2−3)前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、前記第1の円偏光に対して反対回りの円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を前記第2の円偏光として射出する第2の光学素子とを備えるとしてもよい。
【0043】
これによって、結合するだけでそれぞれに含まれるバックグランド光を相殺することができる第1の円偏光と第2の円偏光とに、第1の信号光と第2の信号光とを転換することができる。
【0044】
さらに、(q)(q1)前記所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、(q2)前記第1の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、(q3)前記第2の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、(q4)前記第1の移相子および前記第2の移相子が1/4波長板であり、(q5)前記第1の光学素子および前記第2の光学素子が1/4波長板であるとしてもよい。
【0045】
これによって、第1の移相子(1/4波長板)で、電気光学結晶から射出された信号光を、直線偏光に近い楕円偏光から、円偏光に近い楕円偏光に転換し、バックグランド光を取り除きやすくする信号光に転換することができる。同様に、第2の移相子(1/4波長板)で、電気光学結晶から射出された信号光を、直線偏光に近い楕円偏光から、円偏光に近い楕円偏光に転換し、バックグランド光を取り除きやすくする信号光に転換することができる。また、第1の光学素子(1/4波長板)で、第1の方向の偏光成分を、第1の円偏光に転換し、バックグランド光を相殺しやすくする信号光に転換することができる。第2の光学素子(1/4波長板)で、第2の方向の偏光成分を、第1の円偏光に対して反対回りの第2の円偏光に転換し、バックグランド光を相殺しやすくする信号光に転換することができる。
【0046】
または、(r)前記電磁波イメージング装置は、前記電磁波が電磁波パルスであり、前記レーザ光がパルスレーザ光であるとしてもよい。
【0047】
これによって、パルスレーザ光を使用して電磁波パルスにおける画像信号光を取り出すことが可能となる。
【0048】
または、(s)前記分割素子、前記第1の偏光素子、および前記第2の偏光素子が同一の偏光ビームスプリッタであるとしてもよい。
【0049】
これによって、バックグランド光を取り除くための光学部品の数を減らすことができる。
【0050】
または、(t)(t1)前記第1の光学系は、前記第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を前記第1の偏光素子が配置されている方向に反射する第1の反射ミラーとを備え、(t2)前記第2の光学系は、前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を前記第2の偏光素子が配置されている方向に反射する第2の反射ミラーとを備え、(t3)前記第1の移相子と前記第1の光学素子とが同一の1/4波長板であり、(t4)前記第2の移相子と前記第2の光学素子とが同一の1/4波長板であり、(t5)前記分割素子と前記結合素子とが同一のハーフミラーであるとしてもよい。
【0051】
これによって、バックグランド光を取り除くための光学部品の数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、電気光学結晶から射出された信号光が撮像部で受光される前に、信号光に含まれて試料の情報に起因しないバックグランド光を信号光から取り除くことができる。このため、撮像部のフォトダイオードのダイナミックレンジを十分に取る必要がなくなる。さらに、ダイナミックレンジを十分に取る必要がないので、CCDのフォトダイオードの受光領域を大きくする必要もなく、撮像部の小型化、高速化、高解像度化を簡単に実現することができる。結果、電磁波を使用して正確な2次元画像に試料をイメージングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
(実施の形態1)
以下、本発明に係わる実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0054】
本実施の形態における電磁波イメージング装置は、下記(a)〜(f)に示される特徴を備える。
【0055】
(a)電磁波イメージング装置は、(a1)電磁波を試料に照射して得られた透過波から、試料に関する画像情報を取得する電磁波イメージング装置であって、(a2)透過波と同時にレーザ光が入射すると、透過波の電界強度に応じてレーザ光の偏光成分を変調し、変調して得られた信号光を射出する電気光学結晶と、(a3)電気光学結晶から射出された信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第1の方向の偏光成分と第2の方向の偏光成分との間で差分をとることで画像信号光を生成して射出する光差分部と、(a4)画像信号光を受光する撮像部とを備える。
【0056】
(b)光差分部は、(b1)電気光学結晶から射出された信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する移相子と、(b2)移相子から射出された信号光の光束を2分割し、2分割して得られた各信号光を第1の信号光と第2の信号光として射出する分割素子と、(b3)第1の信号光における第1の方向の偏光成分から第1の偏光状態をとる第3の信号光を生成して射出する第1の光学系と、(b4)第2の信号光における第2の方向の偏光成分から第2の偏光状態をとる第4の信号光を生成して射出する第2の光学系と、(b5)第3の信号光と第4の信号光とを結合し、結合して得られた信号光を画像信号光として射出する結合素子とを備える。
【0057】
(c)(c1)第1の光学系は、第3の信号光として第1の直線偏光を生成して射出し、(c2)第2の光学系は、第4の信号光として第1の直線偏光に対して180度の位相差を有する第2の直線偏光を生成して射出する。
【0058】
(d)(d1)第1の光学系は、第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、(d2)第2の光学系は、(d2−1)第2の信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、(d2−2)第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、光の進行方向からみて所定の方向と第2の方向とによってつくられる角度を2倍にした2倍角で第2の方向の偏光成分を回転させた偏光成分に転換し、転換して得られた偏光成分を第2の直線偏光として射出する光学素子とを備える。
【0059】
(e)(e1)所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、(e2)第1の方向が光の進行方向と直交して所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、(e3)第2の方向が光の進行方向と直交して所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、(e4)移相子が1/4波長板であり、(e5)光学素子が1/2波長板である。
【0060】
なお、上記(d)に示される特徴の代わりに、下記(f)に示される特徴を備えるとしてもよい。
【0061】
(f)(f1)第1の光学系は、第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、(f2)第2の光学系は、(f2−1)第2の信号光を、光の進行方向からみて所定の方向の偏光成分と所定の方向に直交する方向の偏光成分との間で180度の位相差を有した信号光に転換し、転換して得られた信号光を射出する光学素子と、(f2−2)光学素子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を第2の直線偏光として射出する第2の偏光素子とを備える。
【0062】
なお、以下、一例として、分割素子と結合素子とをハーフミラーまたはビームスプリッタとし、偏光素子を偏光板とし、1/2波長板をλ/2位相差板とし、1/4波長板をλ/4位相差板として説明する。
【0063】
以上の点を踏まえて本実施の形態における電磁波イメージング装置について説明する。
図3は、本実施の形態における電磁波イメージング装置の構成を示す図である。図3に示されるように、電磁波イメージング装置100は、電磁波光源101、レーザ光源102、試料110、対物レンズ111、ダイクロイックミラー112、ビームエキスパンダ121、偏光板122、電気光学結晶123、光差分部130、撮像部150などを備える。
【0064】
ここでは、一例として、電磁波光源101は、量子カスケードレーザとコリメートレンズとを備え、周波数が1〜3テラヘルツの電磁波M1を射出する。レーザ光源102は、半導体レーザ素子を備え、特定の偏光方向を有する波長800nmのレーザ光をプローブ光S1として射出する。
【0065】
この場合において、電磁波光源101から電磁波M1が射出されると、電磁波光源101から射出された電磁波M1は、試料110を照射し、試料110の形状や物性などに関する透過画像情報を有する透過電磁波M2が試料110から射出される。試料110から射出された透過電磁波M2は、一枚のレンズで構成されている対物レンズ111に入射して電気光学結晶123で結像するよう集光される。対物レンズ111で集光された透過電磁波M2は、シリコンウエハなどで構成されているダイクロイックミラー112を透過して電気光学結晶123に入射する。
【0066】
また、レーザ光源102からプローブ光S1が射出されると、レーザ光源102から射出されたプローブ光S1は、ビームエキスパンダ121に入射し、ビーム径が広げられて射出される。ビームエキスパンダ121から射出されたプローブ光S1は、偏光板122に入射し、特定の方向の直線偏光にされて射出される。偏光板122から射出されたプローブ光S1は、ダイクロイックミラー112で反射され、電気光学結晶123に入射する。
【0067】
ここで、電気光学結晶123は、例えば、ZnTe結晶や有機DAST(4-dimethylamino-N-methyl-4 stilbazolium Tosylate)結晶など、ポッケルス効果の大きい材料などで構成されている。これによって、電気光学結晶123に入射した透過電磁波M2は、電気光学結晶123を透過する際に生じるポッケルス効果によって、透過電磁波M2の光強度に応じた複屈折を引き起こす。このとき電気光学結晶123に、プローブ光S1が同時に入射すると、プローブ光S1の偏光方向は、透過電磁波M2の光強度に応じた複屈折により位相差が生じ、直線偏光から楕円偏光になる。このとき、透過電磁波M2の光強度に応じた強度が楕円偏光の短軸成分に表れる。このように、プローブ光S1は、電気光学結晶123を透過する際に、透過電磁波M2の光強度の情報を偏光成分に重畳した信号光S2として射出される。
【0068】
なお、電気光学結晶123から射出された信号光S2には、透過電磁波M2の影響によって生じた成分以外にも、プローブ光S1に起因して生じた成分、すなわち、透過電磁波M2に起因しない成分(以下、バックグランド光と呼称する。)も含まれる。
【0069】
光差分部130は、電気光学結晶123から射出された信号光S2が入射すると、入射した信号光S2に含まれるバックグランド光を除去した画像信号光S10を撮像部150に射出する。
【0070】
撮像部150は、光差分部130から射出された画像信号光S10がマクロレンズ151を介して入射すると、入射した画像信号光S10が撮像素子152で受光する。受光した画像信号光S10から試料110の透過画像を取り出す。
【0071】
次に、本実施の形態における電磁波イメージング装置100の光差分部130について説明する。
【0072】
図4は、本実施の形態における電磁波イメージング装置100の光差分部130を拡大した斜視図である。図4に示されるように、光差分部130は、λ/4位相差板131、ハーフミラー132、偏光板133、λ/2位相差板134、反射ミラー135、反射ミラー136、偏光板137、透明光学素子138、ハーフミラー139などを備える。
【0073】
なお、λ/4位相差板131は、光の進行方向からみて、遅相軸または進相軸が水平方向または垂直方向に対して45度傾斜させた方向になるように配置される。そして、λ/4位相差板131に入射した信号光に対して45度方向の偏光成分を1/4波長移相し、移相して得られた信号光を射出する。このとき、遅相軸方向の偏光成分と進相軸方向の偏光成分との間で90度(1/4波長)の位相差を有した信号光がλ/4位相差板131から射出される。
【0074】
また、λ/2位相差板134は、光の進行方向からみて、遅相軸(または進相軸)が水平方向(または垂直方向)に対して45度傾斜させた方向になるように配置される。そして、λ/2位相差板134に入射した水平方向の直線偏光を、光の進行方向からみて遅相軸方向(または進相軸方向)と水平方向(または垂直方向)とによってつくられる角度(45度)を2倍にした2倍角(90度)で水平方向の直線偏光を回転させた垂直方向の直線偏光に転換し、転換して得られた垂直方向の直線偏光を射出する。このとき、遅相軸方向の偏光成分と進相軸方向の偏光成分との間で180度(1/2波長)の位相差を有した信号光がλ/2位相差板134から射出される。
【0075】
なお、偏光板133、λ/2位相差板134、反射ミラー135から構成される光学系は、ハーフミラー132から射出された信号光S4から信号光S6を生成して射出する。このとき、信号光S4における水平方向の偏光成分から、垂直方向の直線偏光が信号光S6として生成されて射出される。
【0076】
また、反射ミラー136、偏光板137、透明光学素子138から構成される光学系は、ハーフミラー132から射出された信号光S4から信号光S8を生成して射出する。このとき、信号光S4における垂直方向の偏光成分から、信号光S6に対して180度の位相差を有する垂直方向の直線偏光が信号光S8として生成されて射出される。
【0077】
図5は、透過電磁波M2が試料110から射出される場合において、光差分部130の各光路における信号光の偏光状態を示す模式図である。図6は、透過電磁波M2が試料110から射出されない場合において、光差分部130の各光路における信号光の偏光状態を示す模式図である。
【0078】
ここでは、一例として、x軸方向のみ電界成分E0cosωtを有するプローブ光S1が電気光学結晶123に入射し、透過電磁波M2によりx軸から45度方向に位相差ΔΦ与えられる。なお、図4〜図6における座標は、各光路における信号光の進行方向をz軸とし、水平方向をx軸、垂直方向をy軸としている。
【0079】
この場合において、電気光学結晶123から射出された信号光S2は、λ/4位相差板131に入射し、λ/4位相差板131により位相差が与えられて射出される。ここでは、図5の偏光状態P3に示されるように、円に近い楕円で楕円偏光した信号光S3が射出される。
【0080】
ここで、信号光S2の偏光状態は、下記の式(1)で示されるように、直線偏光よりの楕円偏光である。信号光S3の偏光状態は、下記の式(2)で示されるように、円偏光よりの楕円偏光である。すなわち、楕円の長軸の長さと短軸の長さとの差が大きい楕円偏光の信号光S2が、λ/4位相差板131を通過することで、楕円の長軸の長さと短軸の長さとの差が縮まった楕円偏光の信号光S3になる。なお、下記の式(1),(2)におけるxとyとは、信号光のx軸方向とy軸方向との光強度である。
【0081】
【数1】

【0082】
【数2】

【0083】
次に、λ/4位相差板131から射出された信号光S3は、ハーフミラー132に入射し、光強度が同じになるように信号光S4と信号光S7とに光束が分割されて射出される。なお、ハーフミラー132は、信号光S3の入射方向と直交する方向に信号光S4が射出され、信号光S3の入射方向と平行する方向に信号光S7が射出されるように配置されている。
【0084】
ここで、ハーフミラー132から射出された信号光S4は、偏光板133に入射し、水平(x軸)方向の直線偏光にされて射出される。ここでは、図5の偏光状態P5に示されるように、水平(x軸)方向に直線偏光した信号光S5が射出される。偏光板133から射出された信号光S5は、λ/2位相差板134に入射し、λ/2位相差板134により位相差が与えられて射出される。ここでは、図5の偏光状態P6に示されるように、垂直(y軸)方向に直線偏光した信号光S6が射出される。λ/2位相差板134から射出された信号光S6は、反射ミラー135に入射し、ハーフミラー139が配置されている方向に反射され、ハーフミラー139に入射する。
【0085】
一方、ハーフミラー132から射出された信号光S7は、反射ミラー136に入射し、偏光板137が配置されている方向に反射される。反射ミラー136で反射された信号光S7は、偏光板137に入射し、垂直(y軸)方向の直線偏光にされて射出される。ここでは、図5の偏光状態P8に示されるように、垂直(y軸)方向に直線偏光した信号光S8が射出される。偏光板137から射出された信号光S8は、透明光学素子138を透過し、ハーフミラー139に入射する。
【0086】
次に、ハーフミラー139に同時に入射した信号光S6と信号光S8とは、同一の光路に結合されて撮像部150が配置されている方向に射出される。ここでは、図5の偏光状態P10に示されるように、信号光S6と信号光S8とのバックグランド光の成分が取り除かれた画像信号光S10が射出される。これは、偏光板133、λ/2位相差板134、および偏光板137によって、位相が180度ずれた状態で信号光S6と信号光S8とがハーフミラー139に入射するためである。
【0087】
そして、ハーフミラー139から射出された画像信号光S10は、撮像部150に入射する。なお、ハーフミラー139は、画像信号光S10の射出方向と直交する方向から信号光S6が入射し、画像信号光S10の射出方向と平行する方向から信号光S8が入射するように配置されている。
【0088】
図7は、本実施の形態における光差分部130において信号光S2から画像信号光S10を取り出す方法を示す模式図である。図7に示されるように、具体的には、位相差が180度の状態で信号光S6と信号光S8とを重ね合わせる。これによって、信号光S6と信号光S8とのそれぞれに含まれるバックグランド光が相殺され、信号光S2からバックグランド光が取り除かれた画像信号光S10を得ることができる。
【0089】
ここで、位相差が180度になるまで、信号光S6と信号光S8との位相をずらす方法として、λ/2位相差板134の結晶軸方向と、透明光学素子138の屈折率および厚みとを調整することで実現することができる。このとき、透明光学素子138は、所定の厚みで、厚みが一定のガラス材料で構成されているとしてもよい。さらに、屈折率が変更可能な透明材料で構成されているとしてもよい。
【0090】
これによって、透明光学素子138を配置させた後に、透明光学素子138における光路長を調整することができる。信号光S6と信号光S8との位相差を、より簡単に、設定することができる。このとき、透明光学素子138は、例えば、屈折率が温度依存性を有するガラス材料とヒータとを組み合わせたもので構成されているとしてもよい。また、圧電結晶や液晶で構成されているとしてもよい。
【0091】
なお、電磁波イメージング装置100において、透過電磁波M2が試料110から射出されない場合は、図6の偏光状態P3’に示されるように、信号光S3は、円偏光になる。このため、図6の偏光状態P10’に示されるように、画像信号光S10の偏光成分がゼロとなる。
【0092】
具体的には、図6の偏光状態P6’と偏光状態P8’とに示されるように、信号光S6と信号光S8とは、偏光方向が同じで電界強度が同じ直線偏光になる。このため、位相を反転させた状態で信号光S6と信号光S8とを重ね合わせると、図6の偏光状態P10’に示されるように、画像信号光S10は電界強度がゼロになる。
【0093】
以上、本実施の形態における電磁波イメージング装置100によれば、電気光学結晶123から射出された信号光S2からバックグランド光が取り除かれた画像信号光S10を得ることができる。このため、撮像部150の撮像素子152(フォトダイオード)のダイナミックレンジを十分に取る必要がなくなる。さらに、ダイナミックレンジを十分に取る必要がないので、撮像素子152(フォトダイオード)の受光領域を大きくする必要もなく、撮像部150の小型化、高速化、高解像度化を簡単に実現することができる。これによって、電磁波を使用して正確な2次元画像に試料をイメージングすることができる。
【0094】
なお、本実施の形態における偏光板122は、レーザ光源102から射出されるプローブ光S1が十分な消光比を有している場合は、省略するとしてもよい。
【0095】
なお、本実施の形態における対物レンズ111は、一枚のレンズで構成されている代わりに、複数枚のレンズで構成されているとしてもよい。これによって、より正確な2次元画像にイメージングすることが可能になる。
【0096】
なお、ここでは、信号光S8の光路に透明光学素子138、信号光S5の光路にλ/2位相差板134が配置されているが、これらの配置を入れ替えるとしてもよい。
【0097】
なお、ここでは、偏光板133とλ/2位相差板134とが、ハーフミラー132と反射ミラー135との間に配置されているが、反射ミラー135とハーフミラー139との間に配置されているとしてもよい。また、偏光板137と透明光学素子138とが、反射ミラー136とハーフミラー139との間に配置されているが、ハーフミラー132と反射ミラー136との間に配置されているとしてもよい。また、偏光板133と偏光板137とが互いに平行して配置されているとしてもよいし、直交して配置されているとしてもよい。
【0098】
なお、λ/2位相差板134が複屈折を有する位相差層と透明基板で挟まれた構造をしており、透明基板の一方もしくは両方の厚みと屈折率とを調整することにより、λ/2位相差板134により180度の位相差が与えられる場合は、透明光学素子138を省略するとしてもよい。
【0099】
なお、偏光板133とλ/2位相差板134との配置を入れ替えることも可能である。この場合において、偏光板133の偏光軸を90度回転させる必要がある。
【0100】
なお、λ/4位相差板131の代わりに、ハーフミラー132と偏光板133との間にλ/4位相差板が配置され、ハーフミラー132と偏光板137との間にλ/4位相差板が配置されるとしてもよい。
【0101】
(実施の形態2)
以下、本発明に係わる実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
【0102】
本実施の形態における電磁波イメージング装置は、下記(g)に示される特徴を備える。
【0103】
(g)電磁波イメージング装置は、電磁波が電磁波パルスであり、レーザ光がパルスレーザ光である。
【0104】
以上の点を踏まえて本実施の形態における電磁波イメージング装置について説明する。なお、実施の形態1における構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0105】
図8は、本実施の形態における電磁波イメージング装置の構成を示す図である。図8に示されるように、電磁波イメージング装置200は、実施の形態1における電磁波イメージング装置100と比べて(例えば、図3参照。)、電磁波光源101、レーザ光源102、対物レンズ111、ダイクロイックミラー112、ビームエキスパンダ121の代わりに、パルスレーザ光源201、ビームスプリッタ202、反射ミラー203〜205、ビームエキスパンダ208、電気光学結晶209、対物レンズ211、ダイクロイックミラー212、反射ミラー220、ビームエキスパンダ221を備える点が異なる。
【0106】
ここでは、一例として、パルスレーザ光源201は、パルス幅1ピコ秒以下の波長800nmの超短パルスレーザS11を射出する。試料110に照射される電磁波パルスM11には、パルス幅が1ピコ秒程度であり、周波数が0.1から100THzの範囲の電磁波パルスが含まれるとする。
【0107】
また、超短パルスレーザS12、電磁波パルスM11、および透過電磁波M12が辿る光路と、プローブ光S13が辿る光路との光路長が同一になるように、反射ミラー203〜205と反射ミラー220とが配置されている。ここで、反射ミラー204,205は、Z方向に一体で移動するディレイライン206を構成している。さらに、詳細に調整するため、ディレイライン206で微調整されている。そして、透過電磁波M12とプローブ光S13とが同時に電気光学結晶123に入射するように、光路長が調整されている。
【0108】
この場合において、パルスレーザ光源201から超短パルスレーザS11が射出されると、パルスレーザ光源201から射出された超短パルスレーザS11は、ビームスプリッタ202に入射し、プローブ光S13と超短パルスレーザS12とに光束が分割されて射出される。
【0109】
ここで、ビームスプリッタ202から射出された超短パルスレーザS12は、反射ミラー203〜205で反射される。反射ミラー203で反射された超短パルスレーザS12は、ビームエキスパンダ208に入射し、ビーム径が広げられて射出される。ビームエキスパンダ208から射出された超短パルスレーザS12は、電気光学結晶209に入射し、入射した超短パルスレーザS12から電磁波パルスM11が生成されて射出される。
【0110】
電気光学結晶209から射出された電磁波パルスM11は、試料110を照射し、試料110の形状や物性などに関する透過画像情報を含んだ透過電磁波M12が試料110から射出される。試料110から射出された透過電磁波M12は、一枚のレンズで構成されている対物レンズ211に入射し、電気光学結晶123で結像するよう集光される。対物レンズ211で集光された透過電磁波M12は、ダイクロイックミラー212を透過し、電気光学結晶123に入射する。
【0111】
一方、ビームスプリッタ202から射出されたプローブ光S13は、反射ミラー220で反射される。反射ミラー220で反射されたプローブ光S13は、ビームエキスパンダ221に入射し、ビーム径が広げられて射出される。ビームエキスパンダ221から射出されたプローブ光S13は、偏光板122に入射し、特定の方向の直線偏光にされて射出される。偏光板122から射出されたプローブ光S13は、ダイクロイックミラー212で反射され、電気光学結晶123に入射する。
【0112】
このとき、プローブ光S13と透過電磁波M12とが同時に電気光学結晶123に入射すると、実施の形態1と同様に、入射したプローブ光S13は、ポッケルス効果によって透過電磁波M12の光強度の情報を偏光成分に重畳した信号光S22になって射出される。電気光学結晶123から射出された信号光S22は、光差分部130に入射し、信号光S22からバックグランド光が取り除かれた画像信号光S30になって射出される。光差分部130から射出された画像信号光S30は、撮像部150に入射し、撮像部150で画像として取り出される。
【0113】
以上、本実施の形態における電磁波イメージング装置200によれば、電気光学結晶123から射出された信号光S22からバックグランド光を取り除いた画像信号光S30を得ることができる。このため、撮像部150の撮像素子152(フォトダイオード)のダイナミックレンジを十分に取る必要がなくなる。さらに、ダイナミックレンジを十分に取る必要がないので、撮像素子152(フォトダイオード)の受光領域を大きくする必要もなく、撮像部150の小型化、高速化、高解像度化を簡単に実現することができる。これによって、電磁波を使用して正確な2次元画像に試料をイメージングすることができる。
【0114】
なお、本実施の形態においては、パルスレーザ光を使用することにより、瞬間的に光強度の大きい透過電磁波M12を得ることができる。これによって、電気光学結晶123において大きなポッケルス効果を得ることができる。このため、より効率的に画像情報をプローブ光S13に重畳することが可能となる。
【0115】
なお、本実施の形態における偏光板122は、パルスレーザ光源201から射出される超短パルスレーザS11が十分な消光比を有している場合は、省略するとしてもよい。
【0116】
なお、本実施の形態における対物レンズ211は、一枚のレンズで構成されている代わりに、複数枚のレンズで構成されているとしてもよい。これによって、より正確な2次元画像にイメージングすることが可能になる。
【0117】
(実施の形態3)
以下、本発明に係わる実施の形態3について、図面を参照しながら説明する。
【0118】
本実施の形態における電磁波イメージング装置は、下記(h)に示される特徴を備える。
【0119】
(h)分割素子、第1の偏光素子、および第2の偏光素子が同一の偏光ビームスプリッタである。
【0120】
以上の点を踏まえて本実施の形態における電磁波イメージング装置について説明する。なお、実施の形態1における構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0121】
図9は、本実施の形態における電磁波イメージング装置300の光差分部330を拡大した斜視図である。図9に示されるように、光差分部330は、実施の形態1における光差分部130と比べて(例えば、図3参照。)、ハーフミラー132、偏光板133、偏光板137の代わりに、偏光ビームスプリッタ332を備える点が異なる。なお、ここでは、λ/2位相差板134と透明光学素子138との配置が入れ替えられている。
【0122】
λ/4位相差板131から射出された信号光S3は、偏光ビームスプリッタ332に入射し、信号光S305と信号光S308とに光束が分割されて出射される。ここでは、偏光状態P305に示されるように、水平(x軸)方向に直線偏光した信号光S305が射出される。また、偏光状態P308に示されるように、垂直(y軸)方向に直線偏光した信号光S308が射出される。なお、偏光ビームスプリッタ332は、信号光S3の入射方向と平行する方向に信号光S305が射出され、信号光S3の入射方向と直交する方向に信号光S308が射出されるように配置されている。
【0123】
偏光ビームスプリッタ332から射出された信号光S305は、反射ミラー136に入射し、λ/2位相差板134が配置されている方向に反射される。反射ミラー136で反射された信号光S305は、λ/2位相差板134に入射し、λ/2位相差板134により位相差が与えられて射出される。ここでは、偏光状態P306に示されるように、垂直(y軸)方向に直線偏光した信号光S306が射出される。λ/2位相差板134から射出された信号光S306は、ハーフミラー139に入射する。
【0124】
一方、偏光ビームスプリッタ332から射出された信号光S308は、透明光学素子138を透過し、反射ミラー135に入射し、ハーフミラー139が配置されている方向に反射される。反射ミラー135で反射された信号光S308は、ハーフミラー139に入射する。
【0125】
これによって、実施の形態1と同様の原理で、信号光S306と信号光S308とに含まれるバックグランド光が相殺され、信号光S2からバックグランド光が取り除かれた画像信号光S310を得ることができる。
【0126】
以上、本実施の形態における電磁波イメージング装置300によれば、電気光学結晶123から射出された信号光S2からバックグランド光が取り除かれた画像信号光S310を得ることができる。このため、撮像部150の撮像素子152(フォトダイオード)のダイナミックレンジを十分に取る必要がなくなる。さらに、ダイナミックレンジを十分に取る必要がないので、撮像素子152(フォトダイオード)の受光領域を大きくする必要もなく、撮像部150の小型化、高速化、高解像度化を簡単に実現することができる。これによって、電磁波を使用して正確な2次元画像に試料をイメージングすることができる。
【0127】
さらに、本実施の形態における電磁波イメージング装置300によれば、実施の形態1における電磁波イメージング装置100と比べて、光学部品の数を減らすことが可能となる。
【0128】
なお、本実施の形態における光差分部330は、実施の形態2のような電磁波パルスを使用した電磁波イメージング装置200の光差分部としても適用可能である。また、実施の形態1と同様に、透明光学素子138とλ/2位相差板134との配置を入れ替えるとしてもよい。
【0129】
(実施の形態4)
以下、本発明に係わる実施の形態4について、図面を参照しながら説明する。
【0130】
本実施の形態における電磁波イメージング装置は、下記(i)〜(m)に示される特徴を備える。
【0131】
(i)光差分部は、(i1)電気光学結晶から射出された信号光の光束を2分割し、2分割して得られた各信号光を第1の信号光と第2の信号光として射出する分割素子と、(i2)第1の信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第1の方向の偏光成分から第1の偏光状態をとる第3の信号光を生成して射出する第1の光学系と、(i3)第2の信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第2の方向の偏光成分から第2の偏光状態をとる第4の信号光を生成して射出する第2の光学系と、(i4)第3の信号光と第4の信号光とを結合し、結合して得られた信号光を画像信号光として射出する結合素子とを備える。
【0132】
(j)(j1)第1の光学系は、第3の信号光として第1の円偏光を生成して射出し、(j2)第2の光学系は、第4の信号光として第1の円偏光に対して反対回りの第2の円偏光を生成して射出する。
【0133】
(k)(k1)第1の光学系は、(k1−1)第1の信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、(k1−2)第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を射出する第1の偏光素子と、(k1−3)第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を、円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を第1の円偏光として射出する第1の光学素子とを備え、(k2)第2の光学系は、(k2−1)第2の信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、(k2−2)第2の移相子から射出された信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、(k2−3)第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、第1の円偏光に対して反対回りの円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を第2の円偏光として射出する第2の光学素子とを備える。
【0134】
(l)(l1)所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、(l2)第1の方向が光の進行方向と直交して所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、(l3)第2の方向が光の進行方向と直交して所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、(l4)第1の移相子および第2の移相子が1/4波長板であり、(l5)第1の光学素子および第2の光学素子が1/4波長板である。
【0135】
(m)(m1)第1の光学系は、第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を第1の偏光素子が配置されている方向に反射する第1の反射ミラーとを備え、(m2)第2の光学系は、第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を第2の偏光素子が配置されている方向に反射する第2の反射ミラーとを備え、(m3)第1の移相子と第1の光学素子とが同一の1/4波長板であり、(m4)第2の移相子と第2の光学素子とが同一の1/4波長板であり、(m5)分割素子と結合素子とが同一のハーフミラーである。
【0136】
以上の点を踏まえて本実施の形態における電磁波イメージング装置について説明する。なお、実施の形態1における構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0137】
図10は、本実施の形態における電磁波イメージング装置の構成を示す図である。図10に示されるように、電磁波イメージング装置400は、実施の形態1における電磁波イメージング装置100と比べて(例えば、図3参照。)、光差分部130の代わりに、光差分部410を備える点が異なる。
【0138】
図11は、本実施の形態における電磁波イメージング装置400の光差分部410を拡大した斜視図である。図11に示されるように、光差分部410は、ハーフミラー411、λ/4位相差板421、偏光板422、反射ミラー423、可動ユニット424、λ/4位相差板431、偏光板432、反射ミラー433、偏光板440などを備える。
【0139】
なお、λ/4位相差板421は、光の進行方向からみて、遅相軸または進相軸が水平方向または垂直方向に対して45度傾斜させた方向になるように配置される。そして、λ/4位相差板421に入射した信号光に対して45度方向の偏光成分を1/4波長移相し、移相して得られた信号光を射出する。このとき、遅相軸方向の偏光成分と進相軸方向の偏光成分との間で90度(1/4波長)の位相差を有した信号光がλ/4位相差板421から射出される。
【0140】
また、λ/4位相差板431は、光の進行方向からみて、遅相軸または進相軸が水平方向または垂直方向に対して45度傾斜させた方向になるように配置される。そして、λ/4位相差板431に入射した信号光に対して45度方向の偏光成分を1/4波長移相し、移相して得られた信号光を射出する。このとき、遅相軸方向の偏光成分と進相軸方向の偏光成分との間で90度(1/4波長)の位相差を有した信号光がλ/4位相差板431から射出される。
【0141】
なお、λ/4位相差板421、偏光板422、反射ミラー423から構成される光学系は、ハーフミラー411から射出された信号光S420から信号光S423を生成して射出する。このとき、信号光S420に対して45度方向の偏光成分を1/4波長移相して得られた信号光S421における垂直方向の偏光成分から、円偏光が信号光S423として生成されて射出される。
【0142】
また、λ/4位相差板431、偏光板432、反射ミラー433から構成される光学系は、ハーフミラー411から射出された信号光S430から信号光S433を生成して射出する。このとき、信号光S430に対して45度方向の偏光成分を1/4波長移相して得られた信号光S431における水平方向の偏光成分から、信号光S423に対して反対回りの円偏光が信号光S433として生成されて射出される。
【0143】
図12は、透過電磁波M2が試料110から射出される場合において、光差分部410の各光路における信号光の偏光状態を示す模式図である。図13は、透過電磁波M2が試料110から射出されない場合において、光差分部410の各光路における信号光の偏光状態を示す模式図である。
【0144】
ここでは、一例として、可動ユニット424は、反射ミラー423を微少動作させるためのピエゾ素子とする。さらに、信号光S423と信号光S433との光路長差を半波長の整数倍とすることで、容易にバックグランド光を取り除くことができる。ここで、光路差を調整する方法としては、可動ユニット424で反射ミラー423を微少可動させることで容易に実現することができる。また、偏光板440は、楕円偏光の短軸成分のみが抽出されるように配置されている。
【0145】
この場合において、電気光学結晶123から射出された信号光S2は、ハーフミラー411に入射し、信号光S420と信号光S430とに光束が分割されて射出される。
【0146】
ここで、ハーフミラー411から射出された信号光S420は、λ/4位相差板421に入射し、λ/4位相差板421により位相差が与えられて射出される。ここでは、図12の偏光状態P421に示されるように、円に近い楕円で楕円偏光した信号光S421が射出される。λ/4位相差板421から射出された信号光S421は、偏光板422に入射し、水平(x軸)方向の直線偏光にされて射出される。ここでは、図12の偏光状態P422に示されるように、水平(x軸)方向に直線偏光した信号光S422が射出される。偏光板422から射出された信号光S422は、反射ミラー423に入射し、偏光板422が配置されている方向に反射される。
【0147】
反射ミラー423で反射された信号光S422は、偏光板422に入射し、水平(x軸)方向の直線偏光にされて射出される。ここでは、信号光S422の偏光状態は、水平(x軸)方向の直線偏光であるので、そのまま信号光S422が射出される。偏光板422から射出された信号光S422は、λ/4位相差板421に入射し、λ/4位相差板421により位相差が与えられて射出される。ここでは、図12の偏光状態P423で示されるように、水平(x軸)方向の偏光成分の大きさの直径で円偏光した信号光S423が射出される。λ/4位相差板421から射出された信号光S423は、ハーフミラー411に入射する。
【0148】
一方、ハーフミラー411から射出された信号光S430は、λ/4位相差板431に入射し、λ/4位相差板431により位相差が与えられて射出される。ここでは、図12の偏光状態P431に示されるように、円に近い楕円で楕円偏光した信号光S431が射出される。λ/4位相差板431から射出された信号光S431は、偏光板432に入射し、垂直(y軸)方向の直線偏光にされて射出される。ここでは、図12の偏光状態P432に示されるように、垂直(y軸)方向に直線偏光した信号光S432が射出される。偏光板432から射出された信号光S432は、反射ミラー433に入射し、偏光板432が配置されている方向に反射される。
【0149】
反射ミラー433で反射された信号光S432は、偏光板432に入射し、垂直(y軸)方向の直線偏光にされて射出される。ここでは、信号光S432の偏光状態は、垂直(y軸)方向の直線偏光であるので、そのまま信号光S432が射出される。偏光板432から射出された信号光S432は、λ/4位相差板431に入射し、λ/4位相差板431により位相差が与えられて射出される。ここでは、図12の偏光状態P433に示されるように、垂直(y軸)方向の偏光成分の大きさの直径で円偏光した信号光S433が射出される。λ/4位相差板431から射出された信号光S433は、ハーフミラー411に入射する。
【0150】
そして、ハーフミラー411に同時に入射した信号光S423と信号光S433とは、同一の光路に結合されて偏光板440が配置されている方向に射出される。ここでは、信号光S423と信号光S433とのそれぞれの電界強度と位相とが異なるので、図12の偏光状態P439に示されるように、下記の式(3)で示される信号光S439が射出される。ハーフミラー411から射出された信号光S439は、偏光板440に入射し、楕円偏光の短軸方向の直線偏光にされて射出される。ここでは、図12の偏光状態P439の短軸成分のみが抽出された画像信号光S440が射出される。偏光板440から射出された画像信号光S440は、撮像部150に入射する。
【0151】
【数3】

【0152】
なお、上記の電磁波イメージング装置400において、透過電磁波M2が試料110から射出されない場合は、図13の偏光状態P421’と偏光状態P431’とに示されるように、信号光S421と信号光S431とが円偏光となる。このため、図13の偏光状態P439’に示されるように、信号光S439が短軸方向の偏光成分がゼロの直線偏光、すなわち、長軸方向の直線偏光となるので、画像信号光S440の偏光成分がゼロとなる。
【0153】
具体的には、図13の偏光状態P422’と偏光状態P432’とに示されるように、信号光S422と信号光S432とは、偏光方向が異なり電界強度が同じ直線偏光になる。さらに、図13の偏光状態P423’と偏光状態P433’とに示されるように、信号光S423と信号光S433とは、回転方向が異なり電界強度が同じ円偏光になる。このため、図13の偏光状態P439’に示されるように、信号光S439は、直線偏光になる。しかし、信号光S439は、短軸方向の偏光成分がゼロの直線偏光であるので、画像信号光S440は、電界強度がゼロになる。
【0154】
以上、本実施の形態における電磁波イメージング装置400によれば、電気光学結晶123から射出された信号光S2からバックグランド光が取り除かれた画像信号光S440を得ることができる。このため、撮像部150の撮像素子152(フォトダイオード)のダイナミックレンジを十分に取る必要がなくなる。さらに、ダイナミックレンジを十分に取る必要がないので、撮像素子152(フォトダイオード)の受光領域を大きくする必要もなく、撮像部150の小型化、高速化、高解像度化を簡単に実現することができる。これによって、電磁波を使用して正確な2次元画像に試料をイメージングすることができる。
【0155】
なお、本実施の形態における偏光板440は、撮像部150で取り込む画像信号光S440が直線偏光である必要がない場合は、省略するとしてもよい。
【0156】
なお、本実施の形態における光差分部410は、実施の形態2のような電磁波パルスを使用した電磁波イメージング装置200の光差分部としても適用可能である。
【0157】
なお、本発明にかかる電磁波イメージング装置100〜400は、周波数が0.1から100THzの範囲にあるテラヘルツ帯の電磁波を使用するとしたが、電気光学結晶123の材料を変更することによって、例えば、ミリ波のような電磁波、または赤外線のような電磁波を使用するとしてもよい。
【0158】
(その他)
なお、実施の形態1において、第1の直線偏光と第2の直線偏光とを結合することでバックグランド光を取り除く代わりに、実施の形態4のように、第1の円偏光と第2の円偏光とを結合することでバックグランド光を取り除くとしてもよい。この場合において、上記(c)〜(e)に示される特徴の代わりに、下記(n)〜(p)に示される特徴を備える。
【0159】
(n)(n1)第1の光学系は、第3の信号光として第1の円偏光を生成して射出し、(n2)第2の光学系は、第4の信号光として第1の円偏光に対して反対回りの第2の円偏光を生成して射出するとしてもよい。
【0160】
(o)(o1)第1の光学系は、(o1−1)第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を射出する第1の偏光素子と、(o1−2)第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を、円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を第1の円偏光として射出する第1の光学素子とを備え、(o2)第2の光学系は、(o2−1)第2の信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、(o2−2)第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、第1の円偏光に対して反対回りの円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を第2の円偏光として射出する第2の光学素子とを備える。
【0161】
(p)(p1)所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、(p2)第1の方向が光の進行方向と直交して所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、(p3)第2の方向が光の進行方向と直交して所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、(p4)移相子が1/4波長板であり、(p5)第1の光学素子および第2の光学素子が1/4波長板である。
【0162】
なお、実施の形態1において、分割素子の前段に移相子が配置される代わりに、実施の形態4のように、分割素子の後段に移相子が配置されるとしてもよい。この場合において、上記(d),(e)に示される特徴の代わりに、下記(q),(r)に示される特徴を備える。さらに、実施の形態3のように、下記(s)に示される特徴を備えるとしてもよい。
【0163】
(q)(q1)第1の光学系は、(q1−1)第1の信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、(q1−2)第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、(q2)第2の光学系は、(q2−1)第2の信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、(q2−2)第2の移相子から射出された信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、(q2−3)第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、光の進行方向からみて所定の方向と第2の方向とによってつくられる角度を2倍にした2倍角で第2の方向の偏光成分を回転させた偏光成分に転換し、転換して得られた偏光成分を第2の直線偏光として射出する光学素子とを備える。
【0164】
(r)(r1)所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、(r2)第1の方向が光の進行方向と直交して所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、(r3)第2の方向が光の進行方向と直交して所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、(r4)第1の移相子および第2の移相子が1/4波長板であり、(r5)光学素子が1/2波長板である。
【0165】
(s)分割素子、第1の偏光素子、および第2の偏光素子が同一の偏光ビームスプリッタである。
【0166】
なお、上記(q)に示される特徴の代わりに、下記(t)に示される特徴を備えるとしてもよい。
【0167】
(t)(t1)第1の光学系は、(t1−1)第1の信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、(t1−2)第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、(t2)第2の光学系は、(t2−1)第2の信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、(t2−2)第2の移相子から射出された信号光を、光の進行方向からみて所定の方向の偏光成分と所定の方向に直交する方向の偏光成分との間で180度の位相差を有した信号光に転換し、転換して得られた信号光を射出する光学素子と、(t2−3)光学素子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を第2の直線偏光として射出する第2の偏光素子とを備える。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、電磁波を使用して正確な2次元画像に試料をイメージングする電磁波イメージング装置などとして、特に、テラヘルツ帯の電磁波を試料に照射して得られた透過波から2次元画像にイメージングする電磁波イメージング装置などとして、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】従来の電磁波イメージング装置の構成を示す図
【図2】従来の電磁波イメージング装置において信号光を検出する方法を示す図
【図3】実施の形態1における電磁波イメージング装置の構成を示す図
【図4】実施の形態1における電磁波イメージング装置の光差分部を拡大した斜視図
【図5】透過電磁波が試料から射出される場合において、実施の形態1における光差分部の各光路における信号光の偏光状態を示す模式図
【図6】透過電磁波が試料から射出されない場合において、実施の形態1における光差分部の各光路における信号光の偏光状態を示す模式図
【図7】実施の形態1における光差分部において信号光から画像信号光を取り出す方法を示す模式図
【図8】実施の形態2における電磁波イメージング装置の構成を示す図
【図9】実施の形態3における電磁波イメージング装置の光差分部を拡大した斜視図
【図10】実施の形態4における電磁波イメージング装置の構成を示す図
【図11】実施の形態4における電磁波イメージング装置の光差分部を拡大した斜視図
【図12】透過電磁波が試料から射出される場合において、実施の形態4における光差分部の各光路における信号光の偏光状態を示す模式図
【図13】透過電磁波が試料から射出されない場合において、実施の形態4における光差分部の各光路における信号光の偏光状態を示す模式図
【符号の説明】
【0170】
100 電磁波イメージング装置
101 電磁波光源
102 レーザ光源
110 試料
111 対物レンズ
112 ダイクロイックミラー
121 ビームエキスパンダ
122 偏光板
123 電気光学結晶
130 光差分部
131 λ/4位相差板
132,139 ハーフミラー
133,137 偏光板
134 λ/2位相差板
135,136 反射ミラー
138 透明光学素子
150 撮像部
151 マクロレンズ
152 撮像素子
M1 電磁波
M2 透過電磁波
S1 プローブ光
S2〜S8 信号光
S10 画像信号光
200 電磁波イメージング装置
201 パルスレーザ光源
202 ビームスプリッタ
203〜205,220 反射ミラー
208,221 ビームエキスパンダ
209 電気光学結晶
211 対物レンズ
212 ダイクロイックミラー
M11 電磁波パルス
M12 透過電磁波
S11 超短パルスレーザ
S12 超短パルスレーザ
S13 プローブ光
S22 信号光
S30 画像信号光
300 電磁波イメージング装置
330 光差分部
332 偏光ビームスプリッタ
S305,S306,S308 信号光
S310 画像信号光
400 電磁波イメージング装置
410 光差分部
411 ハーフミラー
421,431 λ/4位相差板
422,432,440 偏光板
423,433 反射ミラー
424 可動ユニット
S420〜S439 信号光
S440 画像信号光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を試料に照射して得られた透過波から、前記試料に関する画像情報を取得する電磁波イメージング装置であって、
前記透過波と同時にレーザ光が入射すると、前記透過波の電界強度に応じて前記レーザ光の偏光成分を変調し、変調して得られた信号光を射出する電気光学結晶と、
前記電気光学結晶から射出された信号光に対して所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第1の方向の偏光成分と第2の方向の偏光成分との間で差分をとることで画像信号光を生成して射出する光差分手段と、
前記画像信号光を受光する撮像手段とを備える
ことを特徴とする電磁波イメージング装置。
【請求項2】
前記光差分手段は、
前記電気光学結晶から射出された信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する移相子と、
前記移相子から射出された信号光の光束を2分割し、2分割して得られた各信号光を第1の信号光と第2の信号光として射出する分割素子と、
前記第1の信号光における第1の方向の偏光成分から第1の偏光状態をとる第3の信号光を生成して射出する第1の光学系と、
前記第2の信号光における第2の方向の偏光成分から第2の偏光状態をとる第4の信号光を生成して射出する第2の光学系と、
前記第3の信号光と前記第4の信号光とを結合し、結合して得られた信号光を前記画像信号光として射出する結合素子とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項3】
前記第1の光学系は、前記第3の信号光として第1の直線偏光を生成して射出し、
前記第2の光学系は、前記第4の信号光として前記第1の直線偏光に対して180度の位相差を有する第2の直線偏光を生成して射出する
ことを特徴とする請求項2に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項4】
前記第1の光学系は、
前記第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、
前記第2の光学系は、
前記第2の信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、
前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、光の進行方向からみて前記所定の方向と前記第2の方向とによってつくられる角度を2倍にした2倍角で前記第2の方向の偏光成分を回転させた偏光成分に転換し、転換して得られた偏光成分を前記第2の直線偏光として射出する光学素子とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項5】
前記第1の光学系は、
前記第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、
前記第2の光学系は、
前記第2の信号光を、光の進行方向からみて前記所定の方向の偏光成分と前記所定の方向に直交する方向の偏光成分との間で180度の位相差を有した信号光に転換し、転換して得られた信号光を射出する光学素子と、
前記光学素子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第2の直線偏光として射出する第2の偏光素子とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項6】
前記所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、
前記第1の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、
前記第2の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、
前記移相子が1/4波長板であり、
前記光学素子が1/2波長板である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項7】
前記第1の光学系は、前記第3の信号光として第1の円偏光を生成して射出し、
前記第2の光学系は、前記第4の信号光として前記第1の円偏光に対して反対回りの第2の円偏光を生成して射出する
ことを特徴とする請求項2に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項8】
前記第1の光学系は、
前記第1の信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を射出する第1の偏光素子と、
前記第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を、円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を前記第1の円偏光として射出する第1の光学素子とを備え、
前記第2の光学系は、
前記第2の信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、
前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、前記第1の円偏光に対して反対回りの円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を前記第2の円偏光として射出する第2の光学素子とを備える
ことを特徴とする請求項7に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項9】
前記所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、
前記第1の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、
前記第2の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、
前記移相子が1/4波長板であり、
前記第1の光学素子および前記第2の光学素子が1/4波長板である
ことを特徴とする請求項8に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項10】
前記光差分手段は、
前記電気光学結晶から射出された信号光の光束を2分割し、2分割して得られた各信号光を第1の信号光と第2の信号光として射出する分割素子と、
前記第1の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第1の方向の偏光成分から第1の偏光状態をとる第3の信号光を生成して射出する第1の光学系と、
前記第2の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光における第2の方向の偏光成分から第2の偏光状態をとる第4の信号光を生成して射出する第2の光学系と、
前記第3の信号光と前記第4の信号光とを結合し、結合して得られた信号光を前記画像信号光として射出する結合素子とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項11】
前記第1の光学系は、前記第3の信号光として第1の直線偏光を生成して射出し、
前記第2の光学系は、前記第4の信号光として前記第1の直線偏光に対して180度の位相差を有する第2の直線偏光を生成して射出する
ことを特徴とする請求項10に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項12】
前記第1の光学系は、
前記第1の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、
前記第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、
前記第2の光学系は、
前記第2の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、
前記第2の移相子から射出された信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、
前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、光の進行方向からみて前記所定の方向と前記第2の方向とによってつくられる角度を2倍にした2倍角で前記第2の方向の偏光成分を回転させた偏光成分に転換し、転換して得られた偏光成分を前記第2の直線偏光として射出する光学素子とを備える
ことを特徴とする請求項11に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項13】
前記第1の光学系は、
前記第1の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、
前記第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第1の直線偏光として射出する第1の偏光素子を備え、
前記第2の光学系は、
前記第2の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、
前記第2の移相子から射出された信号光を、光の進行方向からみて前記所定の方向の偏光成分と前記所定の方向に直交する方向の偏光成分との間で180度の位相差を有した信号光に転換し、転換して得られた信号光を射出する光学素子と、
前記光学素子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を前記第2の直線偏光として射出する第2の偏光素子とを備える
ことを特徴とする請求項11に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項14】
前記所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、
前記第1の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、
前記第2の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、
前記第1の移相子および前記第2の移相子が1/4波長板であり、
前記光学素子が1/2波長板である
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項15】
前記第1の光学系は、前記第3の信号光として第1の円偏光を生成して射出し、
前記第2の光学系は、前記第4の信号光として前記第1の円偏光に対して反対回りの第2の円偏光を生成して射出する
ことを特徴とする請求項10に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項16】
前記第1の光学系は、
前記第1の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第1の移相子と、
前記第1の移相子から射出された信号光から第1の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第1の方向の偏光成分を射出する第1の偏光素子と、
前記第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を、円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を前記第1の円偏光として射出する第1の光学素子とを備え、
前記第2の光学系は、
前記第2の信号光に対して前記所定の方向の偏光成分を所定の波長移相し、移相して得られた信号光を射出する第2の移相子と、
前記第2の移相子から射出された信号光から第2の方向の偏光成分を抽出し、抽出した第2の方向の偏光成分を射出する第2の偏光素子と、
前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を、前記第1の円偏光に対して反対回りの円偏光に転換し、転換して得られた円偏光を前記第2の円偏光として射出する第2の光学素子とを備える
ことを特徴とする請求項15に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項17】
前記所定の方向が光の進行方向と直交する方向であり、
前記第1の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を+45度傾斜させた方向であり、
前記第2の方向が光の進行方向と直交して前記所定の方向を−45度傾斜させた方向であり、
前記第1の移相子および前記第2の移相子が1/4波長板であり、
前記第1の光学素子および前記第2の光学素子が1/4波長板である
ことを特徴とする請求項16に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項18】
前記電磁波イメージング装置は、前記電磁波が電磁波パルスであり、前記レーザ光がパルスレーザ光である
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項19】
前記分割素子、前記第1の偏光素子、および前記第2の偏光素子が同一の偏光ビームスプリッタである
ことを特徴とする請求項4又は8に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項20】
前記第1の光学系は、前記第1の偏光素子から射出された第1の方向の偏光成分を前記第1の偏光素子が配置されている方向に反射する第1の反射ミラーとを備え、
前記第2の光学系は、前記第2の偏光素子から射出された第2の方向の偏光成分を前記第2の偏光素子が配置されている方向に反射する第2の反射ミラーとを備え、
前記第1の移相子と前記第1の光学素子とが同一の1/4波長板であり、
前記第2の移相子と前記第2の光学素子とが同一の1/4波長板であり、
前記分割素子と前記結合素子とが同一のハーフミラーである
ことを特徴とする請求項17に記載の電磁波イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−25053(P2009−25053A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186254(P2007−186254)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】