説明

電磁波シールド材およびその製造方法、ならびに表示装置用フィルタおよびその製造方法

【課題】安価に製造することができる電磁波シールド材およびその製造方法、ならびにこのような電磁波シールド材を有する表示装置用フィルタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による電磁波シールド材20は、透明基材21と、メッシュ状のアルミニウム層22と、金属めっき層23とを備えている。この電磁波シールド材20を製造する場合、まず透明基材21を準備し、この透明基材21上にアルミニウムを蒸着してアルミニウム層22Aを形成し、次にアルミニウム層22A上に所望のパターンを有するレジスト層26を形成する。次いでレジスト層26をマスクとしてアルミニウム層22Aをエッチングすることにより、透明基材21上にメッシュ状アルミニウム層22を形成する。その後レジスト層26を除去し、電磁波シールド材20を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラズマディスプレイパネル(PDP)等の表示装置の前面に配置され、表示装置から発生される電磁波を遮蔽する機能(電磁波遮蔽機能)を有する電磁波シールド材の製造方法、およびこのような電磁波シールド材の製造方法によって製造された電磁波シールド材に関する。また本発明は、このような電磁波シールド材を有する表示装置用フィルタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種映像表示装置から発生される電磁波による、電子機器や身体等への電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference; EMI)が問題となっている。例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)は、データ電極と蛍光層を有するガラス板と透明電極を有するガラス板との組合体であり、作動すると電磁波が大量に発生する。このため、プラズマディスプレイパネルの前面には、メッシュ状(格子状)に形成された導電体を含む電磁波シールド材が配置される。そして、この電磁波シールド材によって、映像表示装置から発生する電磁波を遮蔽するようになっている。
【特許文献1】特開2003−258485号公報
【特許文献2】特開2003−258486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電磁波シールド材の製造方法について、図6(a)〜(f)を用いて述べる。まず図6(a)に示すように、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる透明基材31上に銅箔をラミネートすることにより、透明基材31と銅層32とを有する銅箔ラミネート基材30を作成する。
【0004】
次に、銅箔ラミネート基材30の銅層32上にレジスト樹脂を塗布して乾燥し、レジスト層33を形成する(図6(b))。次いでレジスト層33上にフォトマスクを介して紫外線を照射して露光し(図6(c))、これにより銅層32上に所望のパターン状のレジスト層33Aを形成する(図6(d))。
【0005】
次にパターン状のレジスト層33Aをマスクとして、銅層32をエッチング除去する(図6(e))。その後レジスト層33Aを除去することにより、透明基材31とパターン状の銅層32Aとからなる電磁波シールド材34を作成する(図6(f))。
【0006】
しかしながら、銅箔ラミネート基材30を作成する工程(図6(a))に高い製造コストがかかるため、銅箔ラミネート基材30の価格が高価となっている。したがって、このような方法で電磁波シールド材34を製造する場合、電磁波シールド材34および電磁波シールド材34を有する表示装置用フィルタの価格も高価となる。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、製造コストを低減することができる電磁波シールド材の製造方法およびこのような製造方法により製造された電磁波シールド材、ならびにこのような電磁波シールド材を有する表示装置用フィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、透明基材と、透明基材上に設けられたメッシュ状アルミニウム層とを有する表示装置用フィルタ用の電磁波シールド材を製造する電磁波シールド材の製造方法において、透明基材を準備する工程と、透明基材上にアルミニウムを蒸着してアルミニウム層を形成する工程と、アルミニウム層上に、所望のパターンを有するレジスト層を形成する工程と、レジスト層をマスクとしてアルミニウム層をエッチングすることにより、透明基材上にメッシュ状アルミニウム層を形成する工程と、メッシュ状アルミニウム層上のレジスト層を除去する工程と、を備えたことを特徴とする電磁波シールド材の製造方法である。
【0009】
本発明は、メッシュ状アルミニウム層上に、電解めっきにより金属めっき層を形成する工程を更に備えたことを特徴とする電磁波シールド材の製造方法である。
【0010】
本発明は、所望のパターンを有するレジスト層を形成する工程は、アルミニウム層上に均一にレジスト材料を塗布して乾燥させる工程と、レジスト材料を所望のパターンを有するフォトマスクによりマスク露光する工程と、レジスト材料を現像することにより、所望のパターンを有するレジスト層を形成する工程と、を有することを特徴とする電磁波シールド材の製造方法である。
【0011】
本発明は、電磁波シールド材の製造方法によって電磁波シールド材を得る工程と、電磁波シールド材上に近赤外線カット層を設ける工程と、近赤外線カット層上に反射防止フィルムを設ける工程と、を備えたことを特徴とする表示装置用フィルタの製造方法である。
【0012】
本発明は、電磁波シールド材の製造方法によって製造された電磁波シールド材である。
【0013】
本発明は、表示装置用フィルタの製造方法によって製造された表示装置用フィルタである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、電磁波シールド材を製造する際、銅箔ラミネート基材に代えて、透明基材上にアルミニウムを蒸着したアルミニウム蒸着基材を用いている。したがって、電磁波シールド材およびこのような電磁波シールド材を有する表示装置用フィルタの製造コストを低減することができる。すなわちアルミニウムを透明基材上に蒸着してアルミニウム蒸着基材を作成する工程は、比較的高速で行なうことができるとともに、銅を透明基材上に貼り合せる場合(ラミネート加工)と比較して製造コストを安価なものとすることができる。したがって、このようなアルミニウム蒸着基材を用いることにより、電磁波シールド材を製造する際の製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による電磁波シールド材を示す構成図であり、図2は、本発明の一実施の形態による表示装置用フィルタを示す構成図である。図3は、本発明の一実施の形態による電磁波シールド材の製造方法を示す構成図であり、図4は、マスク露光工程において用いられるフォトマスクを示す図であり、図5は、本発明の一実施の形態による表示装置用フィルタの製造方法を示す構成図である。
【0016】
電磁波シールド材の構成
まず、図1により本実施の形態による電磁波シールド材について説明する。
【0017】
図1に示すように、電磁波シールド材20は、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の表示装置から放出され人体に有害な電磁波を効果的に遮蔽するものである。この電磁波シールド材20は、透明基材21と、透明基材21上に設けられたメッシュ状のアルミニウム層22と、アルミニウム層22上に設けられた金属めっき層23とを備えている。
【0018】
このうち透明基材21としては、PET製フィルムのほか、アクリル製フィルム等のプラスチックフィルム、あるいはガラス板等を用いることができる。透明基材21を構成するプラスチックフィルムは、高透明性と耐熱性を有することが望ましく、高分子成形物および高分子成形物の積層体を用いることができる。透明性に関しては可視光線透過率が80%以上であることが有利であって、耐熱性に関してはガラス転移温度が50℃以上であることが望ましい。とりわけ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリサルフォン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリルレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等を挙げることができる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムを用いることが望ましい。このような透明基材21は、厚さが約75乃至100μmの平坦な形状からなることが好ましい。
【0019】
一方、メッシュ状のアルミニウム層22は、厚さが0.5μm乃至2μmとなっている。アルミニウム層22の厚さが薄すぎるとアルミニウム層22の導電性が不足し、電磁波シールド材20の電磁波遮蔽効果が低くなるので好ましくない。他方、アルミニウム層22は蒸着により形成されるので、概ね2μm以上の厚さにすることはむずかしい。なお、アルミニウム層22の形状は、メッシュ状(格子状)のほか、ストライプ状またはその他幾何学模様形状であってもよい。
【0020】
金属めっき層23を構成する金属の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、錫、クロム、銀、モリブデン、タングステンなどが挙げられ、アルミニウム層22上に電解めっきにより形成することができる金属であれば良いが、とりわけ導電性やコスト等の面から銅が好ましい。
【0021】
この金属めっき層23は、厚さが1μm乃至100μmとなっている。金属めっき層23は、アルミニウム層22の厚さが薄いためにアルミニウム層22の導電性が不十分となる場合に設けられる。したがって、必要とされる電磁波シールド材20の電磁波遮蔽効果に応じてその厚さを設定すれば良い。アルミニウム層22のみで電磁波シールド材20の電磁波遮蔽効果が十分に得られる場合は、金属めっき層23を設けなくても良い。
【0022】
表示装置用フィルタの構成
次に、図2により本実施の形態による表示装置用フィルタについて説明する。
【0023】
図2に示すように、本実施の形態による表示装置用フィルタ10は、プラズマディスプレイパネル(PDP)25等の映像表示装置の前面に設置されるものである。
【0024】
このような表示装置用フィルタ10は、電磁波シールド材20と、電磁波シールド材20上に設けられた粘着材層13と、粘着材層13上に設けられた近赤外線カット層15と、近赤外線カット層15上に設けられた反射防止フィルム17とを備えている。
【0025】
このうち粘着材層13は、PDP25から放出されるネオン光をカットする機能(ネオンカット機能)を有している。この粘着材層13は、粘着性を有するアクリル樹脂と、アクリル樹脂中に含まれたネオン吸収色素とを有している。このうちネオン吸収色素は、570〜600nmの波長の光をカットするようになっている。このようなネオン吸収色素としては、シアニン系色素、サブフタロシアニン系色素、ポルフィリン、テトラアザポルフィリン系色素等が挙げられる。
【0026】
また粘着材層13を構成する樹脂としては、アクリル樹脂のほか、アクリル系、エステル系、ウレタン系、フッ素系、ポリイミド系、エポキシ系、またはポリウレタンエステル系等の接着剤、あるいは、主成分としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、または2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を含有したアクリル系粘着剤によって形成された樹脂が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタアクリレートの双方を意味する。粘着材層13を形成するにあたっては、必要に応じて、その原料にイソシアネート系、ポリチオール系、イミド系等の硬化剤を含有させることができる。
【0027】
また粘着材層13に色調補正色素または色調補正顔料を更に添加しても良い。これにより、PDP25からの映像光の色再現範囲を増加させ、画面の鮮明度を向上させることができる。なお、このような色調補正色素または色調補正顔料としては、例えばアントラキノン系、シアニン系、アゾ系、ストリル系、フタロシアニン系、メチン系などの有機色素を含むものを用いることができる。
【0028】
近赤外線カット層15は、PDP25から放出される近赤外線(near infrared:NIR)をカットする機能(近赤外線カット機能)を有している。この近赤外線カット層15は、アクリル樹脂と、アクリル樹脂中に含まれた近赤外線吸収色素を有している。このうち近赤外線吸収色素は、800〜1100nmの波長の光をカットするようになっている。このような近赤外線吸収色素としては、イモニウム系化合物、ジインモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、アルミニウム塩系化合物、金属錯体化合物が挙げられる。
【0029】
また近赤外線カット層15を構成する樹脂としては、アクリル樹脂のほか、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等の透明(可視光透過率50%以上)樹脂を使用することができる。
【0030】
他方、反射防止フィルム17は、外部からの紫外線を吸収して近赤外線カット層15を保護する紫外線カット基材16と、紫外線カット基材16上に設けられた反射防止層14とを有している。
【0031】
このうち紫外線カット基材16としては、透明基材中に紫外線吸収剤を含有したものが用いられる。透明基材としては、上述した透明基材21の材料として列挙したものと同様のものを用いることができる。また紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、ベンゾエート系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。あるいは、紫外線カット基材16は、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エチレンービニルアルコール系共重合樹脂、エチレンー酢酸ビニル系共重合樹脂等のバインダー樹脂に上述した紫外線吸収剤を含有させたものを、透明基材上に塗布することにより形成しても良い。
【0032】
また、反射防止層14は空気と表示装置用フィルタ10との間の屈折率差による反射を防止するとともに、PDP25表面の反射を防止するものである。この反射防止層14は光学薄膜を積層することにより構成される。なお、反射防止層14の代わりに、表面に凹凸をつけて外光を散乱させるぎらつき防止層を設けてもよい。
【0033】
なお、表示装置用フィルタ10は、外光を効果的に吸収してPDP25からの映像のコントラストを高める光学機能層(CRF層)を任意的に有していても良い。
【0034】
また図1において、電磁波シールド材20上に粘着性をもつアクリル樹脂等からなる粘着材層24が設けられている。この粘着材層24は、表示装置用フィルタ10をPDP25の前面に接着させるものである。そして表示装置用フィルタ10をPDP25の前面に接着させることにより、表示装置用フィルタ10とPDP25とからなるフィルタ付PDP(フィルタ付表示装置)が得られる。
【0035】
なお、表示装置用フィルタ10をPDP25の前面に装着する方法として、上述のように表示装置用フィルタ10を粘着材層24を介してPDP25の前面に接着させる方法のほか、ガラス、フィルム等からなる支持用基材を有する表示装置用フィルタ10を準備し、この支持用基材とPDP25とを接着させても良い。また支持用基材を有する表示装置用フィルタ10を支持用基材がPDP25側を向くように配置し、表示装置用フィルタ10とPDP25との間に空間をあけるようにして表示装置用フィルタ10の周縁をPDP25に固定しても良い。さらにまた支持用基材を有しない表示装置用フィルタ10を準備し、表示装置用フィルタ10とPDP25との間に空間をあけるようにして表示装置用フィルタ10の周縁をPDP25に固定しても良い。
【0036】
電磁波シールド材の製造方法
次に、図1に示す電磁波シールド材20の製造方法について、図3(a)〜(h)、および図4により説明する。
【0037】
まず図3(a)に示すように、透明基材21を準備する。次に、真空蒸着法により透明基材21上にアルミニウムを蒸着してアルミニウム層22Aを形成する(図3(b))。この際、真空状態(圧力が10-2Pa以下)とした真空蒸着装置内で、アルミニウム(蒸発材料)を抵抗加熱、高周波誘導加熱、エレクトロンビーム加熱等の方法により加熱して気化させ、この気化したアルミニウムを透明基材21上に蒸着させてアルミニウム層22Aを形成する。このようにして、透明基材21とアルミニウム層22Aとからなるアルミニウム蒸着基材28が作成される。
【0038】
次に、このようにして形成されたアルミニウム蒸着基材28のアルミニウム層22A上に、所望のパターンを有するレジスト層26を形成する(図3(c)〜(e))。
【0039】
この間、まずアルミニウム蒸着基材28のアルミニウム層22A上に均一にレジスト材料26Aを塗布するとともに、この塗布されたレジスト材料26Aを乾燥させる(図3(c))。次にこのレジスト材料26Aを所望のパターンを有するフォトマスク27によりマスク露光する(図3(d))。この際、レジスト材料26Aの上方からフォトマスク27を介して紫外線等の光線Lを照射してレジスト材料26Aを露光させる。その後、レジスト材料26Aを現像してレジスト材料26Aのうち余分な部分を除去することにより、所望のパターンを有するレジスト層26を形成する(図3(e))。なお、フォトマスク27のパターン形状は、アルミニウム層22の形状をメッシュ状(格子状)に形成する場合、この形状に対応するメッシュ形状となる(図4参照)。
【0040】
次に、レジスト層26をマスクとしてアルミニウム層22Aをエッチングし、レジスト層26が形成されていない部分のアルミニウム層22Aを除去する。このようにして、透明基材21上にメッシュ状のアルミニウム層22が形成される(図3(f))。次いで、アルミニウム層22上に設けられたレジスト層26を溶剤等により全て除去する(図3(g))。
【0041】
その後、メッシュ状のアルミニウム層22上に、電解めっきにより例えば銅、アルミニウム、錫、ニッケル等からなる金属めっき層23を形成する(図3(h))。なお、このようにして金属めっき層23を形成する工程は、上述したように、アルミニウム層22の厚さが薄いためにアルミニウム層22の導電性が不十分である場合に行なえば良い。
【0042】
表示装置用フィルタの製造方法
次に表示装置用フィルタの製造方法について、図3(a)〜(h)、図5(a)〜(c)により説明する。
【0043】
はじめに図3(a)〜(h)に示す工程により、透明基材21と、透明基材21上に設けられたメッシュ状のアルミニウム層22と、このアルミニウム層22上に設けられた金属めっき層23とを有する電磁波シールド材20を作成する(図5(a))。
【0044】
次に、電磁波シールド材20上に粘着材層13を介して近赤外線カット層15を設ける(図5(b))。この場合、近赤外線カット層15はスピンコート、ディップコート、ダイコート等の湿式法、あるいは蒸着等の乾式法により設けられる。
【0045】
次いで、近赤外線カット層15上に、紫外線カット基材16と反射防止層14とを有する反射防止フィルム17を設け、電磁波シールド材20上に粘着材層24を設けることにより、図2に示すような表示装置用フィルタ10が得られる(図5(c))。
【0046】
その後、表示装置用フィルタ10は、粘着材層24を介してPDP25の前面に接着される。
【0047】
なお、各層間のいずれかに、PDP25からの映像のコントラストを高める光学機能層を更に設けても良い。
【0048】
このように本実施の形態によれば、電磁波シールド材20を製造する際、透明基材21上にアルミニウムを蒸着してアルミニウム層22Aを形成し、これにより透明基材21とアルミニウム層22Aとからなるアルミニウム蒸着基材28を作成する。このようにしてアルミニウム蒸着基材28を作成する工程は高速で行なうことができるとともに、このようなアルミニウム蒸着基材28は、食品包装用途等の幅広い用途に用いられ、安価で広く入手することができる。したがって、銅を透明基材上に貼り合せて(ラミネート加工により)作成された銅箔ラミネート基材を用いる場合と比較して、電磁波シールド材20およびこのような電磁波シールド材20を有する表示装置用フィルタ10の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態による電磁波シールド材を示す構成図。
【図2】本発明の一実施の形態による表示装置用フィルタを示す構成図。
【図3】本発明の一実施の形態による電磁波シールド材の製造方法を示す構成図。
【図4】マスク露光工程において用いられるフォトマスクを示す図。
【図5】本発明の一実施の形態による表示装置用フィルタの製造方法を示す構成図。
【図6】従来の電磁波シールド材の製造方法を示す構成図。
【符号の説明】
【0050】
10 表示装置用フィルタ
13 粘着材層
14 反射防止層
15 近赤外線カット層
16 紫外線カット基材
17 反射防止フィルム
20 電磁波シールド材
21 透明基材
22 メッシュ状アルミニウム層
22A アルミニウム層
23 金属めっき層
24 粘着材層
25 PDP
26 レジスト層
27 フォトマスク
28 アルミニウム蒸着基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、透明基材上に設けられたメッシュ状アルミニウム層とを有する表示装置用フィルタ用の電磁波シールド材を製造する電磁波シールド材の製造方法において、
透明基材を準備する工程と、
透明基材上にアルミニウムを蒸着してアルミニウム層を形成する工程と、
アルミニウム層上に、所望のパターンを有するレジスト層を形成する工程と、
レジスト層をマスクとしてアルミニウム層をエッチングすることにより、透明基材上にメッシュ状アルミニウム層を形成する工程と、
メッシュ状アルミニウム層上のレジスト層を除去する工程と、を備えたことを特徴とする電磁波シールド材の製造方法。
【請求項2】
メッシュ状アルミニウム層上に、電解めっきにより金属めっき層を形成する工程を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド材の製造方法。
【請求項3】
所望のパターンを有するレジスト層を形成する工程は、
アルミニウム層上に均一にレジスト材料を塗布して乾燥させる工程と、
レジスト材料を所望のパターンを有するフォトマスクによりマスク露光する工程と、
レジスト材料を現像することにより、所望のパターンを有するレジスト層を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波シールド材の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁波シールド材の製造方法によって電磁波シールド材を得る工程と、
電磁波シールド材上に近赤外線カット層を設ける工程と、
近赤外線カット層上に反射防止フィルムを設ける工程と、を備えたことを特徴とする表示装置用フィルタの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁波シールド材の製造方法によって製造された電磁波シールド材。
【請求項6】
請求項4に記載の表示装置用フィルタの製造方法によって製造された表示装置用フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−27074(P2009−27074A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190718(P2007−190718)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】