説明

電磁波低減機器およびマッサージ機、カミソリ機。

【課題】
人間生活のあらゆる場面で人体に接する形で電磁動力を用いる電気機器が使用されており、人々はそれらの電磁動力から出る電磁波によって健康被害を受けている可能性があったが、これを回避する有効な手段がなかった。
【解決手段】
本発明では従来の電磁動力に代えて、流体駆動の動力発生装置で作用部を作動させ、前記流体駆動の動力発生装置にエネルギを与える電動流体エネルギ発生装置を人体から一定の距離離す構成とすることで、電磁波の影響を押さえる。これによって、電磁波低減機器を用いる使用者は、健康被害を心配することなく安全に作業を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁動力による電磁波の影響をできるだけ避けることを目的とした電磁波低減機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭、事務所、工場などで一般的に使われている電気機器からは電磁波が発生していて、人体の近くでこれらの電気機器を用いる場合には、健康被害が心配されるところである。電気機器一般から発生する電磁波が人間の健康に害をもたらすことが、公的な機関の調査で明らかになってきている。世界保健機関は超低周波の4ミリガウス以上の磁界にさらされる子供は、もっと弱い磁界で暮らす子供に比べ小児白血病にかかる確率が約2倍以上になり、3ミリがウス以上では1.7倍になる可能性を認め、各国が予防策をとることを勧めている(平成19年6月19日毎日新聞)。さらに国際がん研究機関は、このような環境中で、発がん性の可能性があると評価している。またこのことは日本でも国立環境研究所などによる全国疫学調査で明らかになっている。
また世界保健機関は超低周波域の電磁波が健康に被害を与えることを公的に認ている訳だが、高周波域が安全であるとはいえず、携帯電話などの悪影響が指摘されるなど電磁波の健康被害が、大いに心配される状況にある。
そしてこのような被害を防ぐ目的で、外国では既に電磁波環境に規制値を設けている例がある。たとえばスウェーデンではパソコンのディスプレイから30cmの位置で2ミリがウス以下という規制値があり、アメリカの全米放射線防護委員会も2ミリがウス以上の地域に託児所、幼稚園、学校、遊び場などの建設禁止の勧告案を公表している。
【0003】
このような電磁波の危険性が指摘される中で、たとえば人体に密着させて使用される電気カミソリによる電磁波の発生状況を実測してみると、充電タイプのロータリーシェーバーを密着状態で計測すると100ミリガウスを越えるために正確に計測できず、10cmの距離で4ミリガウスである。
【0004】
このように電気カミソリは人体に密着して用いられることから、その電磁波の影響が心配されることに対して、カミソリの刃をフレキシブルシャフトで駆動し、電気モータをカミソリから離すことで影響を避ける構造が考案されている。(例えば特許文献1)
【0005】
また家庭の主婦が日常的に使う電気洗濯機からの電磁波の影響を防ぐ目的で、電気洗濯機のモータや制御手段から発生する電磁波を遮断するために高透磁率材と高磁束密度材を配設する絶縁フィルムを用いる方法が提案されている。またこの発明には洗濯機の近くに人体が検知されたときには、洗濯機を停止させる手段も示されている。(例えば特許文献2)
【0006】
【特許文献1】特許公開2001−38069号公報
【特許文献2】特許公開平10-127981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の電気カミソリでは使用者に健康被害が及ぶレベルの電磁波が発生していると考えられる。特許文献1では、カミソリの刃をフレキシブルシャフトで離れた位置の電気モータと結び、電気モータから発生する電磁波を遠ざける工夫がされている。しかしフレキシブルシャフトは伝達軸と被覆チューブとの間の摩擦が生じるために、長い距離を確保することは難しく、曲げた状態で使うことも困難であるので、この電気カミソリを使う使用者の近くに電気モータを置かざるをえない。
【0008】
特許文献2では、家庭の主婦が身近に接する電気洗濯機からの電磁波防止のために、高透磁率材と高磁束密度材を配設する絶縁フィルムを用いる方法が提案されているが、電磁波はこのような材料では容易に遮断できない事が知られており、事実この発明には、洗濯機の近くに使用者がいる場合には、洗濯機を停止させる装置が合わせて提示されている。
【0009】
以上のように電気機器からの電磁波低減のために従来示されている方法では、人体の近くに電気モータを置かざるをえず、電磁波の影響を受けない状態にすることが困難であり、電磁波の影響を受けないようにするには、電気モータによって駆動される電気機器を人体の近くでは停止せざるを得ないという課題があった。本発明はこのような課題を解決し、必要な作業が人体の近くでも安全に行える機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電磁波低減機器は、人体に接して電磁動力で作用部に所用の作業を行わせていた電気機器において、前記作用部の動力源を前記電磁動力に代えて流体駆動の動力発生装置と、前記流体駆動の動力発生装置へ送る流体にエネルギを与える電動流体エネルギ発生装置とから構成することを特徴とし、前記作用部と流体駆動の動力発生装置から構成されている。
【0011】
請求項2に記載の本発明の電磁波低減機器は、請求項1記載の電磁波低減機器において、前記電動流体エネルギ発生装置より発生する電磁波の前記人体における強さが2ミリガウス以下の環境条件を満たす範囲となるように構成されることを特徴としている。
【0012】
また請求項3に記載の本発明の電磁波低減機器は、請求項1ないし請求項2いずれか1項記載の電磁波低減機器において、電磁波を発生する前記電動流体エネルギ発生装置に前記人体が近づかないために、前記電動流体エネルギ発生装置から作用部に流体を送る管路の少なくとも一部に剛性部を設けることを特徴としている。
【0013】
また請求項4に記載の本発明の電磁波低減機器は、請求項1ないし請求項2いずれか1項記載の電磁波低減機器において、電磁波を発生する前記電動流体エネルギ発生装置に前記人体が近づかないために、警告認識部を設けることを特徴としている。
【0014】
請求項5記載のマッサージ機は、請求項1ないし請求項4いずれか1項記載の電磁波低減機器と同じ構成を持つことを特徴としている。
【0015】
請求項6記載のカミソリ機は、請求項1ないし請求項4いずれか1項記載の電磁波低減機器と同じ構成を持つことを特徴としている。
【0016】
人体に接する形で電磁動力を用いる電気機器は、人間の生活のあらゆる場面で見られるものであり、本発明はそれらの電気機器に適応できるものである。それらの電気機器の代表的なものを挙げると、電気マッサージ機、電気カミソリ機、電気歯磨き機、電気洗濯機、電気洗顔機、電気掃除機、電気扇風機、電気空調機、ファン、電気冷蔵庫、電気食器洗い機、電気精米機、フードプロセッサー、プレッブプロセッサー、マルチブレンダー、電動ベジタブルスライサー、マジックブレッド、餅つき機、生ゴミ処理機、布団乾燥機、電気温風機、電動ミシン、空気清浄機、ハンドマッサージ器、バイブレータ、トレッドミル、ルームランナー、ボディバランス、電動ベッド、温水洗浄便座、シュレッダー、パーソナルコンピュータ、電気ドリル、電動カンナ、パワーウィンドウ、X線透視撮影装置、CT、MRI、核医学診断装置、放射線治療システム、歯科治療用椅子、牽引治療器など、健康機器、生活機器、事務機器、産業機器、医療機器などの広い範囲のものが存在している。
【発明の効果】
【0017】
人間はあらゆる生活の場面で電気機器に接していて、それらからの電磁波によって健康被害が発生している可能性が極めて高い状況にある。そこで本発明のように、それらの電気機器の電磁動力部分を流体駆動の動力発生装置に置き換え、さらに流体にエネルギを与える電動流体エネルギ発生装置を人体から距離置く構成とすれば、これらの電磁波低減機器を用いる使用者は、電動流体エネルギ発生装置から発生する電磁波の影響を少なくすることができるので、健康上の心配なく作業を行える。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1は、請求項1における電磁波低減機器がヒゲソリ機の場合について示しているが、図1は本実施例の概略図であり、図2は電磁波低減ヒゲソリ機の断面図である。図1で示すように、電気によって動力を得る電気モータ1によって、空気加圧部2は空気にエネルギを与えるが、その空気はいったんタンク部3に蓄えられ、タンク部3に蓄えられた空気は、圧力と流量を調節する調節部4で所用の圧力と流量とされる。これら電気モータ1、空気加圧部2、タンク部3、調整部4で構成される電動流体エネルギ発生装置である空気圧縮機8で、一定の圧力と流量に調節された空気は、柔軟性があって曲がりやすいフレキシブル管路5bよりなる管路部5を経て使用者7によって用いられる電磁波低減ヒゲソリ機6へと入る。そこで圧縮空気は作用部にエネルギを与えて、ヒゲソリの運動を作り出す。
このような構成において、圧縮空気をタンク部にためないで、空気加圧部から調整部をへて作用部に流す構成も可能であることは言うまでもない。
【0019】
次に図2を用いて電磁波低減ヒゲソリ機6の構成を説明する。図2において、電磁波低減ヒゲソリ機6は肌に接して刈る毛を取り込む外刃11と、取り込まれた毛を刈り取る作用部としての内刃12を有しているが、内刃12は流体駆動の動力発生装置である空気駆動部15によって駆動される。空気駆動部15は管路5bに接続されている空気流入管16から導かれる圧縮空気によって回転が与えられ、動力を伝達し圧力が低下するものの、一定の圧力を保持する排気は排気管17により空気駆動部15から排出される。このように圧縮空気によって内刃12が回転し、毛を刈り取ることができる。
電磁波低減ヒゲソリ機6が圧縮空気で駆動される場合、電気ヒゲソリ機と異なり、電気ヒゲソリ機に用いられる電気モータあるいは電磁石よりの電磁波発生がなく、肌に密着させて使っても使用者が電磁波の悪影響を受けることはない。また電気ヒゲソリ機には直流電動機が使われているが、整流子、ブラシなどの存在で、故障しやすく騒音や電磁波も多く発生する欠点がある。動力源にエアモータを使う場合は故障しにくく小型、軽量にできる点やより高速回転が可能、電気モータのような発熱がないなどの利点もある。使用圧縮空気の圧力は0.1〜0.6Mpa程度である。
【0020】
実施例1の電磁波低減ヒゲソリ機6では、さらに刈り取られた毛を飛散させないために吸引部13を設けた場合を示している。圧縮空気は空気駆動部15で動力の伝達を終えた後、排気管17から排出されるが、圧力は低下するもののまだ圧力を保持しているために、大気に開放されるところでは大きな速度を有している。この空気速度をベンチュリー部18に導けば、ベンチュリー部18の中央を速度の速い空気が流れるために、周囲の空気を巻き込みながら排出されて吸引作用をもたらすことになる。この吸引力は外刃11と内刃12を通して外気を吸引部13に吸い込み、同時に切り取られた毛を吸引部13に吸い取ることになる。吸引部13はフィルタ14を介してベンチュリー部18につながっているので、刈り取られた毛はフィルタ14で濾し取られることになり、吸引部13に蓄積し外に飛散することはない。
電気ヒゲソリ機の場合には、電気モータにより羽根を回転させ吸引力を作る場合があるが、電気モータに内刃の回転以外の作業をさせることになるために、回転力が低下したり、あるいは電気モータの回転数がそれほど高くないために、十分な吸引力を持たない欠点があった。しかし実施例1では、圧縮空気が空気駆動部15で作業をした後の排気を利用しているために、回転力に影響を与えることもなく、また排出空気でも十分な空気速度を確保できるので、吸引力も強さを確保できる。
また本実施例は吸引部13の吸引力を空気駆動部15の排気を用いた例を示しているが、さらに吸引力が求められるときには、圧縮空気の一部を直接ノズル部に導いて強い吸引力を実現することができる。このように圧縮空気でヒゲソリ機を駆動する場合には、刈りとられたヒゲの飛散防止が強力にできるという利点がある。
【0021】
本実施例は内刃12を回転させて毛を刈り取る例であり、空気駆動部15が回転運動の形をとる場合であるが、本発明では内刃を往復運動させて毛を刈る場合にも適応でき、その場合には空気動力部15が往復運動の形をとる。またこの時には空気動力部15にはエアバイブレータなどを用いることになり、エアバイブレータの排気を用いれば、本実施例と同様に吸引部を設けることが可能である。なお内刃を往復運動させる場合にも、空気動力部が回転運動の形からカムなどを用いて往復運動を発生させることが可能なことは言うまでもない。
【0022】
本実施例では圧縮空気を用いた例を示しているが、圧縮空気ではなく負圧を用いても空気動力部15を駆動することは可能であり、その場合にも回転運動、往復運動の両方の形態で駆動できる。このことはヒゲソリ機以外のものの駆動にも適応可能である。
また流体として空気以外のものでも駆動可能であり、油、水などを使うことも可能であるが、その場合には戻りの回路を設けて、循環使用の形態にすることが必要となる。これもヒゲソリ機以外のものにも適応できる。
【0023】
実施例1では、従来の電気機器としての電気カミソリ機の駆動源として用いられてきた電気モータ、あるいは電磁石に代えて流体駆動の動力発生装置として空気駆動部を用いた電磁波低減カミソリ機について示しているが、このような構成を取ることでの電磁波低減の効果について検討する。電気カミソリ機としての充電タイプのロータリーシェーバーを用いる場合、人体に密着させて使う状態を想定して、ロータリーシェーバーに電磁波計を密接させて測定すると、電磁波の強さは100ミリガウスを越えるものとなる。数分間から十数分間の使用にとどまるとしても、毎日、刺激に敏感な臓器である頸頭部に100ミリガウスを超える電磁波加え続けることは、電磁波による健康被害を心配しなければならない状況である。なおロータリーシェーバーから10cmの距離で4ミリガウスと、この場合には電磁波の影響は距離によって大きく減少するのであるが、ヒゲソリ機は皮膚に密着しなければ機能しないものである点から密着状態での電磁波の強さが問題となるのである。
このような電気カミソリに代えて、空気圧縮機を用いて空気駆動部によって刃を回転させる電磁波低減カミソリ機の場合、その電磁波がどの程度になるかということであるが、電磁波低減カミソリ機には、電磁波を発生する電磁動力を含めて電気は使われていないので、電磁波の発生の心配はない。ただし空気駆動部15に圧縮空気を送る、電動流体エネルギ発生装置としての空気圧縮機8を構成する電気モータ1からは電磁波が発生する。この空気圧縮機に320ワットの出力を持つミニ・コンプレッサーを用いた場合、その発生電磁波の強さは、10cmで2.5ミリガウス、50cmで0.2ミリガウスという値となる。したがって実施例1の場合では、空気圧縮機8が使用者7の足下から50cm離れていれば、使用者の足下で0.2ミリガウス程度の、頸頭部では0.2ミリガウス以下の電磁波となることが考えられる。なおたとえ、空気圧縮機8が足下近傍にあった場合でも、頸頭部までは50cm以上の距離が確保できるので、その場合でも電磁波の影響は0.2ミリガウス以下となると考えられる。
このように、電気カミソリでは人体に密着して使用することから、電磁波の強さが100ミリガスを超える可能性が高いが、それを本実施例のように空気駆動に代えることで、0.2ミリガウス以下というほとんど電磁波の影響が及ばない状況にすることが可能となる。毎朝使用しても安全なカミソリ機となる。
【0024】
人体に接して用いられる電気機器には、その動力源として電磁動力が用いられていて、その動力によって動かされる作用部によって、人体に有益な作用を及ぼしている。一方このような電気機器の電磁動力からは電磁波が発生し、人体に接して用いられるゆえに、これら電気機器と人体の距離は近く、その電磁波の影響は人体に強く作用することになる。これを回避して、電気機器の有用な作用を安全に用いる方法として、電気機器の作用部の動力源を電磁動力から流体駆動の動力発生装置に代え、さらに流体駆動の動力発生装置へ送る流体にエネルギを与える電動流体エネルギ発生装置を別に設ける構成とすることを提案している。
このような構成にすることによって、人体に有用な作用を及ぼす作用部とそれを動かす動力源の流体駆動の動力発生装置とからなる電磁波低減機器には、電磁動力はなくなり、電磁波の発生を心配する必要はない。また人体に対して悪影響を及ぼす可能性のある電磁動力は電動流体エネルギ発生装置に組み込まれる形になり、作用部とは離れたところに置かれ、人体との距離は確実に大きくなる。
このような構成にすることで、人体に対する電磁動力から発生するの電磁波の影響は、その人体との距離を大きくすることで確実に低減できる。先に示したロータリーシェーバーでは、密着状態で100ミリガウスを超えていた電磁波が、10cmの距離では4ミリガウスと急減している。またミニ・コンプレッサーでは、10cmで2.5ミリガウス、50cmで0.2ミリガウスとこれも急激な減少を示している。このように電磁動力における電磁波は距離とともに急激に減少するものであるので、電気機器の電磁動力を遠ざけることを可能とする本実施例に示した構成により、人体に及ぼす電磁波の影響を大きく低減でき、安全を確保できる。
【実施例2】
【0025】
図3は実施例2の概略図である。図1と同じ要素には同じ符号を付し、説明は省略する。実施例2は、実施例1における管路部5が、剛性部としての剛性があって曲がり難い剛性管路5aと柔軟性があって曲がりやすいフレキシブル管路5bよりなる場合である。空気圧縮機8で作られた圧縮空気は、始めに剛性管路5aを通り、続いてフレキシブル管路5bを通って、電磁波低減機器である電磁波低減ヒゲソリ機6に入ってヒゲソリの刃に回転を与える。
この場合、電磁波は電気モータ1を含む空気圧縮機8から発生するが、タンク部3に隣接した調節部4から剛性のある管路5aが出ていて、剛性管路5aの後にフレキシブル管路5bを経て電磁波低減ヒゲソリ機6につながっている。このため電磁波低減ヒゲソリ機6を用いる使用者7はフレキシブル管路5bにより、電磁波低減ヒゲソリ機6を使用中にはある範囲で自由に動けるが、剛性管路5aには、使用者7の動作範囲を考慮して一定の長さを与えられていて、使用者7は空気圧縮機8に一定の距離以上は近づくことは出来ないので、電磁波低減ヒゲソリ機6を用いる使用者7には電磁波の影響はほとんど及ばない。ただしフレキシブル管路5bの長さは、剛性管路5aの長さより長くなることはない。
このような構成によって従来の電磁動力で駆動される電気ヒゲソリ機の場合には、電磁波にさらされていた電気ヒゲソリ機の使用者は、空気で駆動される電磁波低減ヒゲソリ機6によって、健康被害を心配せず安心してヒゲソリ作業を行うことができるようになる。
なおここで言う管路に剛性部を設けるとは、剛性のある材料で構成される管路を用いる以外に、柔軟性のある管路を剛性のある管路の中を通す、または柔軟性のある管路に剛性のある部材を沿わせるなど、管路を曲げたり折り曲げたりできない状態にしたものをいう。また剛性部は管路部のどの部分に設けてもよい。
【0026】
実施例2における剛性管路5aの長さの決定方法については、本来的には超低周波の磁界に関する環境基準に基づいて行うことが適切と考えられる。すなわち、剛性管路5aの後にフレキシブル管路5bが接続されていて、フレキシブル管路5bの先に電磁波低減ヒゲソリ機6があり、使用者はこの電磁波低減ヒゲソリ機6を用いる。この使用者に電気モータ1より発生する電磁波の悪影響が及ばなくするためには、フレキシブル管路5bを使用する使用者が通常の使用状態で、電気モータ1を含む空気圧縮機8に近づいた場合でも、使用者の体に環境基準以上の電磁波が及ばないようにして、剛性管路5aの長さを決定すればよいことになる。
この環境基準ではたとえば、現在問題としているのが騒音であれば、環境基準が定められているので、静穏を要する夜間の状態を採用して40デシベルというような基準値を用いればよいことになるが、超低周波の磁界に関しては、世界保健機関が3ミリガウスでは子供に健康被害が発生することを認めていて、各国に基準の設定を勧告しているものの、現時点では日本の環境基準はない状況である。
しかし極めて弱い電磁波が子供の健康に悪影響を及ぼすことが明らかになっている現状を考えれば、現段階で環境条件としてどのような基準を用いるのが妥当かを検討することが求められる。世界保健機関は超低周波の4ミリガウス以上の磁界にさらされる子供は、もっと弱い磁界で暮らす子供に比べ小児白血病にかかる確率が約2倍以上になり、3ミリガウス以上では1.7倍になる可能性を認めているわけであって、電磁波によって健康被害が発生していることを認めている。
また本願発明が対象とするような電気機器は、健康人だけでなく体力のない子供や老人、さらには病気の人や既にガンを発症している人も人体に密着する形で使用する場合もあり、医療の場でも使われることを考えれば、より厳しい環境条件を満たすことが求められる。そこで電磁波に対する健康被害を防ぐ上で、どのような環境条件を用いるのが妥当かという点では、先に示したように世界保健機関の示す数値から言えることは、4ミリガウスから3ミリガウスでは電磁波の影響は低下をしているが、影響があるということである。
したがって3ミリガウス以下の値を採用することが求められる訳で、電磁波対策では積極的な予防処置を講じているスウェーデンでは、パソコンのディスプレイから30cmの位置で2ミリガウス以下という規制値を用いている。またこの値は、アメリカの全米放射線防護委員会も2ミリガウス以上の地域に託児所、幼稚園、学校、遊び場などの建設禁止の勧告案を公表していて、基準として用いている。
このように2ミリガウスという値が、現状では基準として用いられている唯一の値ということが言えるし、この値は世界保健機関が示した3ミリガウス以下という条件をも満たしている。そこで日本の電磁波に関する環境基準が決定されていない段階ではあるが、欧米が採用している2ミリガウスを環境条件として採用することとする。
【0027】
本願では2ミリガウスを環境条件として採用するが、この値が健康被害を防ぐ上で十分かという点では疑問は残ると考えられる。何故なら世界保険機関は4ミリガウスでは小児白血病になる確率が約2倍以上になり、3ミリガウス以上では1.7倍になる可能性があるという数字を示しているわけで、4ミリガウスと3ミリガウスを比較したときに、影響が急激な低下をしていないからである。
もし狭い範囲での仮定として、電磁波の強さと小児白血病にかかる確率との間に比例関係があるとして、4ミリガウス、3ミリガウスの小児白血病になる確率から類推すると、2ミリガウスでは1.4倍、1ミリガウスでは1.1倍ということになり、2ミリガウスでは電磁波の影響が残る可能性が高く、1ミリガスではほぼ通常の環境と差がなくなる可能性がある。健康に関する基準はより安全側に設定することが望まれることを考えれば、1ミリガウスを環境条件としてとして採用することが求められる可能性がある。
なお電磁波過敏症の人々は0.3ミリガウス以上で反応するので、0.1ミリガウスを基準とすべきとする研究者もおり、より厳しい環境基準も考慮する必要がある。
なおこの電磁波の規制において、外国での規制は磁界だけでなく、電界での規制も行われており、環境基準でも磁界及び電界での規制となる可能性があるが、その場合にはその両方の基準値を用いることが望まれる。
【実施例3】
【0028】
図4は実施例3の概略図である。図1と同じ要素には同じ符号を付し、説明は省略する。実施例3では、実施例2の場合の管路部5における剛性部である剛性管路5aがない場合であり、電磁波低減ヒゲソリ機6の使用者は、自由に動ける範囲が広くなる。したがって使用者が電気モータ1から発生する電磁波に悪影響を及ぼされる可能性のある範囲に立ち入る可能性がある。そこで実施例2においては、電気モータ1を含む空気圧縮機8の配置された床面に電気モータ1からの電磁波が健康に被害を及ぼす可能性がある範囲を示す警告認識部として、環状に形成されたシート20の色に赤、黄色などの目立つ色を使い、またそこに黒字の電磁波危険などの文字を表記したものを配置する。このように色や文字で危険領域を表示することによって、電磁波低減ヒゲソリ機6の使用者は、電磁波の危険領域に立ち入らないようにすることが可能となる。なお危険領域の示し方は、その領域を示すものであればどのようなものでもよく、文字の表記も有無を含めて任意である。
またそれ以外の方法として、床にシート状のものを貼り付けてあるだけでは、無意識に危険領域に立ち入る可能性があるので歩いていて認識できるように、床表面に通常の床面よりも摩擦の大きい凹凸のあるシート状のものを危険領域に設けて、そこに立ち入れば床面を認識させるような方法や、赤外線などの検知器により立ち入りを検知して、警報音を鳴らしたり、警告を表示するなどの方法もある。
この警告認識部設けることで、電磁波低減ヒゲソリ機6使用者は、電磁波低減ヒゲソリ機6使用時に電磁波の危険性を常に意識することになり、電磁波の悪影響が及ぶ範囲に立ち入らずに、安全に電磁波低減ヒゲソリ機6を使用することが可能となる。また本実施例では、電磁波低減機器を使用する者以外に対しても、電磁波の危険性に対する認識を高める作用を有しているので、電磁波低減機器使用者及びその周囲の人々の安全性も高めることが可能である。
【実施例4】
【0029】
図5は実施例4の概略図である。図1と同じ要素には同じ符号を付し、説明は省略する。実施例4では、実施例2の場合の管路部5における剛性管路5aがない場合を示しており、電磁波低減ヒゲソリ機6の使用者は、自由に動ける範囲が広くなる。したがって使用者が電気モータ1から発生する電磁波に悪影響を及ぼされる可能性のある範囲に立ち入る可能性がある。そこで実施例4においては、電気動力部1、空気加圧部2、タンク部3、調節部4で構成される電動流体エネルギ発生装置としての空気圧縮機8の配置された床面に、電気モータ1からの電磁波が健康被害をもたらす可能性ある範囲に立ち入ることを強制的に排除する距離維持部22を設ける。本実施例では、円形状の金網の柵を設け、使用者がこの金網の中に立ち入ることを制限している。
このようにすれば、電磁波低減ヒゲソリ機6の使用者が、電磁波低減機器の使用中に電気モータ1の電磁波の悪影響を受ける可能性のある範囲に立ち入りを防ぐことができるだけでなく、たとえば電磁波に関する認識をもてない乳幼児などに対しては、警告認識部では不十分であるので、距離維持部により危険領域に立ち入れないようにすることができ、電磁波低減機器使用者以外の家族などの安全も守ることが可能となる。
この距離維持部については、本実施例では柵を示したが、この材質は柵を形成できるものであれば金属ばかりでなく木材やプラスチックなど何でも構わない。また本実施例では金網状の柵を示しているが、金網状でなくとも、立ち入り制限を行えるものであれば、どのような形状、構造でもよい。また円形状だけでなく多角形、矩形状でもよく、半球状に流体エネルギ発生装置の上空を蓋う形式でも構わない。
【実施例5】
【0030】
図6は実施例5の概略図である。実施例5では、電動流体エネルギ発生装置30を、人が立ち入らないあるいは接近することのない場所、たとえば床下などに配置する場合であり、剛性管路31によってエネルギを与えられた流体を、電磁波低減機器を使う各部屋に配送して使用することになっている。剛性のある管路の部屋の出口では接続具32a,32bが設けられていて、使用しないときには閉じている。本実施例では、電磁波低減ハンドマッサージ機34と電磁波低減扇風機37を使用する状態を示している。
電磁波低減ハンドマッサージ機34の使用者35は、接続具32aに接続されたフレキシブルな管路33aにつながる電磁波低減ハンドマッサージ機34を手に握って、電磁波低減ハンドマッサージ機34を体に押し当ててマッサージを行うが、マッサージの強さの調整は電磁波低減ハンドマッサージ機34に付属するマッサージ強度調整ツマミ36によって行う。電磁波低減ハンドマッサージ機34の作用部の駆動は圧縮空気によるエアモータあるいはエアバイブレータが用いられる。
また電磁波低減ハンドマッサージ機34の使用者35は、電磁波低減扇風機37を使って涼を得ていて、接続具32bにつながるフレキシブルな管路33bによって圧縮空気を供給される電磁波低減扇風機37は起動停止の指示および風量調整、首振り速度の調整などを電磁波低減扇風機37に付属したツマミ38で行う。電磁波低減扇風機37の作用部の駆動源は圧縮空気によるエアモータである。
このように構成されることで、電磁波低減ハンドマッサージ機34の使用者35は、電動流体エネルギ発生装置30から発生する電磁波の影響を受けにくく、安全にマッサージを行い、涼を得ることができる。また電磁波低減ハンドマッサージ機34の使用者35以外の人間にとっても、電磁波の影響を心配する必要がなくなる。
また本実施例では、1台の電動流体エネルギ発生装置によって、各部屋の電磁波低減機器を駆動するものとなっていて、各電磁波低減機器ごとに電動流体エネルギ発生装置を設ける場合に比べれば、コスト的にも安く、また設置場所が人の近づかない場所であることから、電磁波の影響を防ぐばかりでなく、振動、騒音対策なども施しやすい。
ただしこのような構成を実現するには、配管工事も含めて工事を行うことになり、工事の費用が発生する。また電動流体エネルギ発生装置や附属するタンク部もより容量の大きなものを設置することが求められる。さらに1台の電動流体エネルギ発生装置で多くの部屋に流体を配送する場合、流体の圧力や流量が不足することが生じやすくなり、その際には、電動流体エネルギ発生装置を複数代設置することも求められることになる。
この実施例によれば、各部屋には現在の電気コンセントの一部に代わりエネルギを持った流体の取り出し口が配置されることになり、たとえば台所では電磁波低減冷蔵庫や電磁波低フードプロセッサーを使って食事の準備が行われ、洗面所で電磁波低減洗濯機を動かしながら、電磁波低減ヒゲソリ機を安全に使えることになる。
【実施例6】
【0031】
図7は電磁波低減マッサージ機の場合の概略図であり、図8は概念構成図である。図7において電気モータ51により空気加圧部52を動かし、生成された圧縮空気をタンク部53に貯蔵する。貯蔵された圧縮空気は複数の管路(図示せず)を通って電磁波低減マッサージ機56に導かれるが、複数の管路はタンク部53に隣接する制御ボックス54からまとめられて、剛性のある管路55aとフレキシブルな管路55bの中を通る。
電磁波低減マッサージ機の場合、電源のオン−オフ、マッサージのモードの選択、マッサージの強弱など、細かな制御を必要とするために、作用部としてのもみ玉、振動子、エアバックなどの動作をそれらを駆動するエアモータ、エアバイブレータ、エアバッグなどへの圧縮空気の流量を制御して行うことが求められる。このためには流量の電気的な制御を行うことが必要であるが、電気的な制御装置からは電磁波が発生するために、マッサージ本体にこの制御装置を置くことは望ましくない。このために本実施例のように、エアコンプレッサ52に接続されたタンク部53に隣接して制御ボックス54を設けることになる。
電磁波低減マッサージ機56の使用者57は電磁波低減マッサージ機56に着座して操作盤58を使って、電磁波低減マッサージ機56のマッサージ内容を操作する。操作盤にも電気的な制御を用いることは望ましくないので、機械的な伝達方式であるワイヤ部59を用いて操作盤58の操作によってマッサージ内容を制御ボックス54に伝える。
このような構成によれば、電磁波低減マッサージ機56に着座して電磁波低減マッサージ機56でマッサージを受ける使用者57の接するものには電気的な要素はなく、そこから電磁波が発生する心配はない。また電磁波低減マッサージ機56に動力を与える圧縮空気を生成する空気加圧部52を駆動する電気モータ51および電磁波低減マッサージ機56のマッサージ内容を制御する制御ボックス54から発生する電磁波は、タンク部53に隣接する制御ボックス54から一定の長さを有する剛性のある管路55aによって電磁波低減マッサージ機56に着座する使用者57には影響ない距離となっているために、使用者57は電磁波の影響を心配することなく、マッサージを行うことができる。
【0032】
次に図8にしたがって構成についての説明を行う。圧縮空気は電気モータ51に駆動される空気加圧部52によって生成され、タンク部53に蓄えられるが、タンク部53から空気細管60a,60b,60c、60dによって、電磁波低減マッサージ機56の作用部まで運ばれる。タンク部53に隣接して制御ボックスが設けられ、空気細管によって運ばれる空気の量が、それぞれの細管ごとに設けられる制御弁61a,61b,61c、61dによって制御されるようになっている。制御弁61a,61b,61c、61dは制御部62と信号線63で結ばれ、また制御部62は受信盤84と結ばれている。
電磁波低減マッサージ機56に座ってマッサージを受ける使用者は、操作盤80の操作ツマミ81a,81b,81cによって電磁波低減マッサージ機56の電源のオン−オフ、マッサージのモードの選択、マッサージの強弱などのマッサージ内容を操作ツマミで指示する。操作ツマミ81a,81b,81cの動きは、操作ツマミ81a,81b,81cに接続された信号伝達用ワイヤ82a,82b,82cを通して受信盤84の受信スイッチ83a,83b,83cに伝えられる。
なお操作盤80と受信盤84の間の距離は、信号伝達用ワイヤによる信号のやりとりを可能とするために一定に保たれる必要があり、信号伝達用ワイヤを内蔵した被覆管85(破線表示)が、操作盤80と受信盤84の間をつないで、距離を一定に保つ。
受信スイッチ83a,83b,83cは、操作内容を電気信号に変えて制御部62に伝える。制御部62は操作内容で示されたマッサージの仕様にそったプログラムによって、制御弁61a,61b,61c、61dを信号線63を通して制御する。なお図6では、制御部62、受信部84、信号線63は制御ボックス54の外に書かれているが、実際には制御ボックス54の内部に格納されている。
マッサージ機によって行われるマッサージ内容は、マッサージ機によって様々であるが、ここでは代表的なものとして、もみ玉、振動子、エアバッグについてのみ示す。もみ玉操作部70にあるもみ玉71の駆動は、もみ玉駆動用エアモータ72を制御弁60cの制御をうけ、空気細管60cで運ばれた圧縮空気で動かして行わせる。またもみ玉操作部70はもみ玉移動用のねじ73にそって、もみ玉移動用エアモータ74で上下に移動可能である。
振動子操作部75では振動子駆動用のエアバイブレータ76が制御弁60bの制御をうけ、空気細管60bで運ばれた圧縮空気で駆動される。また足用に設けられたエアバッグ部77では、エアバッグ78が制御弁61aの制御をうけ、空気細管60aで運ばれた圧縮空気で駆動されることになる。なお振動子駆動はエアモータでも行うことができる。
現状の電気式マッサージ機では、体に密着させる形で電磁動力によるマッサージが行われていて、健康を願うための行為が、思わぬ健康被害をもたらしている可能性を否定できないが、本実施例に示す電磁波低減マッサージ機56であれば、マッサージ機本体には電磁動力はいっさい無く、かつ電磁動力の発生源は適切な距離が維持されるものとなっているので、電磁波低減マッサージ機56の使用者は電磁波の影響を受けることなく、これまで通りの多様なマッサージを安心して受けることが可能となる。
本実施例では,電磁波低減マッサージ機56が従来のマッサージ機が電磁動力で得ていたマッサージ機内でのあらゆる動作を、圧縮空気で行うことの概念的な構成を示したものであり、実際のマッサージ機においては作用部の種類や数はさらに多様な内容を持つものであることは言うまでもない。
【0033】
実施例6では、電気的な制御を行う制御部62、制御弁61a,61b,61c、61dなどからの電磁波の影響も防ぐために、制御ボックスは電気モータ51、空気加圧部52、タンク部53に隣接させる形となっていて、マッサージ機からは離される形となっている。またマッサージ内容の指示についても、操作盤及び伝達方法おいても、機械式を採用しているために、操作内容も多少の制限を受ける。電磁的な動力源から発生する電磁波と電気的な制御部から発生する電磁波では、前者の方が強いと考えられるので、操作盤及び伝達方式については電気的な方法を限定的に採用するとか、制御部もマッサージ機本体あるいは近傍に設置するというような選択も可能である。ただしそのような場合にも、マッサージ機を使用する者からもっとも離れた場所に置くなどの配慮が必要である。
また実施例6では、マッサージ内容の指示を操作盤で行い、それを機械的な伝達方法で制御部に伝える形式となっている。そのために制御部をマッサージ機本体から大きく離すことは困難である。そこでマッサージ内容をシンプルなものに絞り、電磁波などの影響を除くことを優先するならば、実施例5では制御ボックス54に設けられた電気的な制御弁を機械的な制御弁として、本体に設けることも可能である。この場合には、流量の調整は、制御弁の調整をツマミなどで直接行うことになる。これは実施例4における電磁波低減扇風機などの場合と同じ構成である。
【実施例7】
【0034】
実施例7は電磁波低減掃除機の場合である。通常の電気掃除機は、各部屋に設置されている電気コンセントに電気コードを差込み、電気モータで掃除機の送風機を回転させて、負圧を生じさせ、ホースと吸い込み口で床面などの空気を塵や埃とともに吸い込んで、フィルターなどで濾しとる。この操作においてたとえば1000ワットの出力の掃除機からは、中程度の吸い込み量の操作で本体中心から60cmで50ミリがウス、100cmで2.3ミリガウス程度の電磁波となっている。したがって掃除機に接近して操作すれば、健康被害が心配される。また掃除機は多くの場合、主婦が取り扱う場合が多く、その周りには子供や家族が存在している可能性が高い。従って家族の健康を考えれば、電磁波の影響を軽減する必要がある。
実施例7では、実施例5の場合と同じように各部屋に配置された圧縮空気の接続部にフレキシブルな管路を接続し、そのフレキシブルな管路の先に電磁波低減掃除機につなぐ。そして電磁波低減掃除機本体あるいは掃除機のホースに設けられた操作盤で、掃除の内容に沿った吸引量の選択を行い、圧縮空気によって従来の電気掃除機では電気モータで行っていた送風機の駆動をエアモータで行う。このように構成される電磁波低減掃除機では、電気動力が用いられていないために、掃除を行う本人や周りの人たちにも電気による電磁波の影響を与える心配はない。
また電磁波低減掃除機では電気動力に代わり圧縮空気で送風機を回転させるので、電気モータよりも駆動力を大きくすることが容易であり、そのためにより大きな吸引力を持つ掃除を行うことが可能である。また電気掃除機の場合にはモータの発熱が生じるが、空気駆動では発熱は無い。
【実施例8】
【0035】
家庭生活や事務部門、工場部門のあらゆる場所でコンピュータ、パーソナルコンピュータが用いられている。コンピュータ、パーソナルコンピュータは多数の電子回路、電子部品を有していて、電気の消費量も多いために発熱量も多い。従って冷却用の多数のファンが備わっていて、このファンを回す電気モータからは電磁波が発生している。コンピュータ、パーソナルコンピュータから発生する電磁波は、これらの冷却用のファンから発生するものの方が、その他の電子回路や、電子部品から発生するものよりも多いと思われる。
そこで電磁波低減コンピュータ、電磁波低減パーソナルコンピュータには、実施例5のように人間のいる場所から離れた場所に設置された電動流体エネルギ発生装置から供給された圧縮空気によって駆動されるエアモータが冷却用ファンを駆動して、空気による冷却を行う。このようにすれば、電磁波低減コンピュータ、電磁波低減パーソナルコンピュータから発生する電磁波が大幅に低減されるので、人体の近くにこれらの電磁波低減コンピュータ、電磁波低減パーソナルコンピュータがあっても、その影響は少なくなるので、より安全なコンピュータ作業が可能となる。
また冷却用ファンを駆動した圧縮空気は、エアモータ駆動後には排気として排出されるが、これらも冷却を進める方向に作用するので、冷却の効果をより強めることになる。電気モータの場合には、電気モータ自体は発熱作用を有するので、この点でも圧縮空気による冷却ファンの駆動は、冷却効果をより高める方向に作用することになる。
【実施例9】
【0036】
電磁動力による電磁波が人体に健康被害をもたらしている可能性が高いわけであるが、人間の病気の診断や治療に用いられる医療機器にも多くの電磁動力が人体近傍で使われている。病気の診断、治療に、人体の健康を損ねる可能性の高い電磁動力を用いることは、医療への信頼にも関わることであり、これらの電磁波低減が強く求められるところである。
X線透視撮影装置はX線を用いて、人体内部の状況を知ることで患者の病気に関する診断を行うものだが、人体を色々な角度からX線透視撮影を行う。この際に患者の体位を変えるために、患者が人体を横たえるベッドは移動をおこなうが、この移動には制御された電気モータが使われている。この電気モータの代わりに、実施例5のように人間のいる場所から離れた場所に設置された電動流体エネルギ発生装置から供給された圧縮空気によってエアモータを動かしてベッドの移動を行う構成の電磁波低減X線透視撮影装置が求められる。
この電磁波低減X線透視撮影装置では、実施例6のようにベッドの移動が制御されることが必要であるので、圧縮空気を蓄えるタンク部に隣接した場所に流量制御用の制御部を置き、撮影指示と併せてベッド移動用のプログラムに沿って流量制御用の制御弁を制御部が制御して、ベッド移動を初期の設定に沿って行う。またX線を人体に供給するX線発射装置の移動を行う場合にも、患者移動と同じ構成で行うことになる。
このような構成の電磁波低減X線透視撮影装置を用いれば、X線自体の有害性に加えて電磁波による別の被害を与えることは軽減されるので、患者も余分な被害を心配しなくても良い。その他CT、MRI、核医学診断装置、放射線治療システムなどにも,実施例9のような対応が求められている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
人間の生活のあらゆる場面で人体に接する形で電磁動力を用いる電気機器が使用されており、人々はそれらの電気動力から出る電磁波によって健康被害を受けている可能性のあることを、世界保健機関が認めた。それらの健康被害を防止する手段として、本発明では従来の電磁動力に代えて、流体駆動の動力発生装置で作用部を作動させ、前記流体駆動の動力発生装置にエネルギを与える電動流体エネルギ発生装置を人体から一定の距離をおく構成とすることで、電磁波の影響を押さえることを提案している。
本発明を人間の家庭、事務所、工場などのあらゆる場面で用いられている電気機器に代えて用いることが、人間の健康を守る上では必要と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施例の概略図
【図2】本発明の第2実施例の概略図
【図3】本発明の第2実施例における電磁波低減ヒゲソリ機の断面図
【図4】本発明の第3実施例の概略図
【図5】本発明の第4実施例の概略図
【図6】本発明の第5実施例の概略図
【図7】本発明の第6実施例の概略図
【図8】本発明の第6実施例の概略構成図
【符号の説明】
【0039】
1:電気モータ、2:空気加圧部、3:タンク部、4:調節部、5:管路部、6:電磁波低減ヒゲソリ機、7:使用者、8:空気圧縮機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に接して電磁動力で作用部に所用の作業を行わせていた電気機器において、前記作用部の動力源を前記電磁動力に代えて流体駆動の動力発生装置と、前記流体駆動の動力発生装置へ送る流体にエネルギを与える電動流体エネルギ発生装置とから構成することを特徴とした作用部と流体駆動の動力発生装置からなる電磁波低減機器。
【請求項2】
前記電動流体エネルギ発生装置より発生する電磁波の前記人体における強さが2ミリガウス以下の環境条件を満たすように配置されたことを特徴とする請求項1記載の電磁波低減機器。
【請求項3】
電磁波を発生する前記電動流体エネルギ発生装置に前記人体が近づかないために、前記電動流体エネルギ発生装置から作用部に流体を送る管路の少なくとも一部に剛性部を設けることを特徴とする請求項1ないし請求項2いずれか1項記載の電磁波低減機器。
【請求項4】
電磁波を発生する前記電動流体エネルギ発生装置に前記人体が近づかないために、警告認識部を設けることを特徴とする請求項1ないし請求項2いずれか1項記載の電磁波低減機器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか1項の構成を有するマッサージ機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4いずれか1項の構成を有するカミソリ機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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