説明

電磁波吸収体及び建物内装構築方法

【課題】 従来の電磁波吸収体は、絶縁シートに異なる線状アンテナ素子、すなわち、異なるアンテナパターンを形成したり、異なる線状アンテナ素子を形成した絶縁シートを用いなければならず、製造が大変であった。
【解決手段】 本発明による電磁波吸収体は、スペーサ(第1;第2石膏ボード部4;7)と、スペーサの表面と対向してスペーサに設けられた抵抗層8と、抵抗層の一方の面と対向する側においてスペーサに設けられた2つ以上の金属層(第1;第2金属層5;6)とを備え、各金属層のそれぞれが、抵抗層及びスペーサを通過した互いに異なる周波数の対象電磁波のうちの1の電磁波を抵抗層の方向に反射させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる周波数の電磁波を吸収可能な電磁波吸収体などに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の異なる周波数の電磁波を吸収するために複数種類の線状アンテナ素子が形成された絶縁シートを備えた電磁波吸収体が知られている。
【特許文献1】特開2002−26568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電磁波吸収体は、絶縁シートに異なる線状アンテナ素子、すなわち、異なるアンテナパターンを形成したり、異なる線状アンテナ素子を形成した絶縁シートを用いなければならず、製造が大変であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による電磁波吸収体は、スペーサと、スペーサの表面と対向してスペーサに設けられた抵抗層と、抵抗層の一方の面と対向する側においてスペーサに設けられた2つ以上の金属層とを備え、各金属層のそれぞれが、抵抗層及びスペーサを通過した互いに異なる周波数の対象電磁波のうちの1の電磁波を抵抗層の方向に反射させることを特徴とする。
また、平板状の第1スペーサと、当該第1スペーサの一方の面に設けられた第1金属層と、平板状の第2スペーサと、当該第2スペーサの他方の面に設けられた抵抗層と、第1金属層の面積より小さく形成された第2金属層とを備えて構成され、第2金属層が第1スペーサの他方の面と第2スペーサの一方の面との間に挟まれた状態でこれら三者が互いに結合されたことを特徴とする。
第2金属層が、スペーサの面において、市松模様の黒あるいは白の位置に相当する部分に取付けられた金属で形成されたことを特徴とする。
抵抗層の面抵抗値が376.6Ω/□あるいはほぼ376.6Ω/□に設定されたことを特徴とする。
各金属層と抵抗層との間の距離が対象電磁波の周波数のλ/4波長あるいはほぼλ/4波長に設定されたことを特徴とする。
本発明の建物内装構築方法は、平板状のスペーサと当該スペーサの一方の面に設けられた第1金属層と当該スペーサの他方の面に設けられた第1金属層より面積の小さい第2金属層とで形成された電磁波反射部材と、平板状のスペーサと当該スペーサの他方の面に設けられた抵抗層とで形成された電磁波吸収部材とを用い、電磁波反射部材の第1金属層の面側を建物内装下地面に向けて当該電磁波反射部材を内装下地に取付け、建物内装下地に取付けられた当該電磁波反射部材の第2金属層の面に電磁波吸収部材の一方の面を向けて当該電磁波吸収部材を電磁波反射部材の第2金属層の面上に取付けたことを特徴とする。
また、平板状のスペーサと当該スペーサの一方の面に設けられた第1金属層とで形成された電磁波反射部材と、平板状のスペーサと当該スペーサの一方の面に設けられた第2金属層と当該スペーサの他方の面に設けられた抵抗層とで形成された電磁波反射吸収部材とを用い、電磁波反射部材の第1金属層の面側を建物内装下地面に向けて当該電磁波反射部材を内装下地に取付け、建物内装下地に取付けられた当該電磁波反射部材の他方の面に電磁波反射吸収部材の第2金属層の面側を向けて当該電磁波反射吸収部材を電磁波反射部材の他方の面上に取付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、吸収対象とする対象電磁波の数に対応して金属層の数を設ければよいので、異なる周波数の複数の対象電磁波を吸収でき、かつ、構造が簡単で製造の容易な電磁波吸収体を得ることができる。
また、平板状のスペーサを用いているので、持ち運びや建物内装構築施工において取り扱いの容易な電磁波吸収体を得ることができる。
第2金属層が、スペーサの面において、市松模様の黒あるいは白の位置に相当する部分に取付けられた金属で形成された構成とすることで、第2金属層の金属部分と金属がない部分とをスペーサの面内にバランスよく交互に配置でき、電磁波の透過及び反射の割合を均等にでき、複数の電磁波を効率的に吸収できる電磁波吸収体を得ることができる。
抵抗層の面抵抗値が376.6Ω/□あるいはほぼ376.6Ω/□に設定された場合には、異なる周波数の複数の電磁波を効率的に吸収できる電磁波吸収体を得ることができる。
各金属層と抵抗層との間の距離が対象電磁波の周波数のλ/4波長あるいはほぼλ/4波長に設定された場合には、異なる周波数の複数の電磁波を効率的に吸収できるλ/4型の電磁波吸収体を得ることができる。
本発明の建物内装構築方法によれば、予め作製しておいた、電磁波反射ボードと電磁波吸収ボードとを内装下地に取付けていくだけなので、電磁波吸収内装の施工が容易となる。
また、予め作製しておいた、電磁波反射ボードと電磁波反射吸収ボードとを内装下地に取付けていくだけなので、電磁波吸収内装の施工が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は本形態の電磁波吸収体を示し、図2は電磁波吸収体を分解して示し、図3は電磁波吸収体の断面を示す。尚、図1;2において各部材の右上の後方(第1金属層5側)の面を一方の面、各部材の左側の前方(抵抗層8側)の面を他方の面と定義して説明する。
【0007】
図1;2に示すように、電磁波吸収体1は、予め矩形板状(例えば縦1820mm、横910mm、厚さXmm)に形成された石膏2または石膏2の両面が石膏ボード用原紙3で被覆された第1石膏ボード部4と、当該第1石膏ボード部4の一方の面の全面に形成された第1金属層5と、例えば当該第1石膏ボード部4の他方の面の一部に形成されて第1金属層5の面積より小さく形成された第2金属層6と、当該第2金属層6の他方の面に一方の面が接着された第2石膏ボード部7と、当該第2石膏ボード部7の他方の面に形成された抵抗層8とで構成される。第2石膏ボード部7は第1石膏ボード部4と同じ構成部材により形成される。第1石膏ボード部4と第2石膏ボード部7はスペーサとして機能する。第2金属層6は第2石膏ボード部7の一方の面に形成されていてもよい。
【0008】
言い換えれば、上記スペーサとしての第1石膏ボード部4及び第2石膏ボード部7と、この第2石膏ボード部7の他方の面に設けられた抵抗層8と、抵抗層8の一方の面と対向する側において、第2石膏ボード部7の一方の面の一部あるいは第1石膏ボード部4の他方の面の一部に設けられた第2金属層6と、第1石膏ボード部4の一方の面に設けられた第1金属層5と、を備え、各金属層5;6が、抵抗層8を通過した互いに異なる周波数の対象電磁波を抵抗層8の方向に反射させる構造を備える。
【0009】
第1金属層5、第2金属層6は、例えばアルミ箔,銅箔等の金属箔や金属塗料などの金属を、第1石膏ボード部4あるいは第2石膏ボード部7の面、すなわち、石膏2の面あるいは石膏ボード用原紙3の面に、貼付、蒸着や塗布などにより取付けて形成される。第2金属層6は、例えば、第1石膏ボード部4あるいは第2石膏ボード部7の面、すなわち、石膏2の面あるいは石膏ボード用原紙3の面において、市松模様の黒あるいは白の位置に相当する部分(例えば図2の黒塗り部分)に取付けられた金属箔や金属塗料などの金属で形成される。あるいは図外の紙の紙面において市松模様の黒あるいは白の位置に相当する部分(例えば図2の黒塗り部分)に金属箔や金属塗料などの金属を取付けて第2金属層6を形成してから当該紙を第1石膏ボード部4や第2石膏ボード部7の面に接着剤などで貼り付けてもよい。
【0010】
上記抵抗層8は導電性材料として、導電性粒子を分散させたインキを使用すれば良い。上記金属粒子としては、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル等が使用できる。また導電性粒子として、必要に応じカーボンブラック、黒鉛等の非金属粒子を添加、分散したインキを使用することもできる。インキのバインダー樹脂としては、基材の材質、要求物性等に応じた公知の樹脂を適宜選択使用すれば良い。例えば、バインダー樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、あるいは紫外線や電子線で硬化させる電離放射線硬化性樹脂等を一種または二種以上の混合樹脂として用いる。特に、バインダー樹脂として、電離放射線硬化性樹脂は無溶剤型インキも可能であり、この為、導電性粒子が高含有率のインキも可能である点で好ましい。尚、インキ中には、導電性粒子及びバインダー樹脂の他、必要に応じその他公知の添加剤、また溶剤乾燥型インキとする場合には、イソプロピルアルコール等の適宜な溶剤を含ませる。
印刷方法としては上述した様な樹脂を含むインキあるいは塗液を用いて、公知の印刷法あるいは塗工法で形成すれば良い。例えば、ロールコート、スプレーコート等の塗工法、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法で形成する。
【0011】
現在の無線LANで使用されている2.45GHz、5.2GHzの2つの周波数の搬送電磁波を対象電磁波とする電磁波吸収体1とするためには、理想的には、抵抗層8の面抵抗値を376.6Ω/□に設定し、抵抗層8と第1金属層5との間の対向間垂直距離を2.45GHzの電磁波の波長λの1/4に設定し、抵抗層8と第2金属層6との間の対向間垂直距離を5.2GHzの電磁波の波長λの1/4に設定すればよい。以上のように構成した電磁波吸収体1の第1金属層5側の面を、図3に示すように、例えば断面コ字形状の長尺金具や胴縁などの建築内装下地としての壁下地9側に向けて、図外のビス等で当該電磁波吸収体1を壁下地9に取付けることで、2.45Gzと5.2GHzの異なる周波数の複数の電磁波を吸収できる建物内装として電磁波吸収内装壁を構築できる。すなわち、図3に示すように、2.45GHz、5.2GHzの搬送電磁波が、電磁波の波のピークで抵抗層8に入射した場合は抵抗層8で吸収され、電磁波の波のピークで抵抗層8に入射しなくても、抵抗層8を通過した2.45GHzの電磁波が第1金属層5で反射されて抵抗層8にピークで入射して吸収され、抵抗層8を通過した5.2GHzの電磁波が第2金属層6で反射されて抵抗層8にピークで入射して吸収される。したがって、上述した理想的な設定とすることで、2.45Gzと5.2GHzの異なる周波数の複数の電磁波を効率的に吸収できるλ/4型の電磁波吸収体を得ることができる。
【0012】
第1金属層5、第2金属層6、抵抗層8の厚さd(スキンデプス)は下記式(1)にて求まるdを基準にして設定した。
例えば、第1金属層5及び第2金属層6を銅箔で形成する場合は、
銅の抵抗率ρ=1.72×10−8(Ωm)、これを式(1)に代入すると、
スキンデプスd=1.5×10−6(m)=1.5(μm)となる。
したがって、1.5μm以上の厚みがあれば電磁波を反射できる。
このとき、面抵抗Rは、

よって、第1金属層5及び第2金属層6を銅箔で形成する場合は、厚さ1.5μm以上、面抵抗0.012(Ω/□)以下とする。第1金属層5及び第2金属層6をアルミ箔で形成する場合は、同様な計算により、厚さ1.9μm以上、面抵抗0.015(Ω/□)以下とする。
【0013】

【0014】
スペーサの厚さDは下記式(2)で求まるDを基準に設定した。
【0015】

【0016】
すなわち、第1金属層5及び第2金属層6の厚さdは上記式(1)で算出されるd以上の厚さにして対象電磁波を反射する厚さに設定し、抵抗層8の印刷厚みdは上記式(1)で算出されるd以下の厚さにして対象電磁波が通過する厚さに設定する。
また、スペーサの厚さDは上記式(2)により対象電磁波の波長λに応じて決める。
【0017】
本形態では、スペーサとして石膏2を主とする石膏ボード部を使用している。よって、石膏2の複素比誘電率

の実数部を2〜3、虚数部を0.1以下に調整し、D=9.5mmで5.2GHzを対象電磁波とした吸収性能のピークが得られるようにした。
石膏2は、

なので、式(2)により、D=8.3mm〜10.2mmで5.2GHzのλ/4となる。そこで、施工性を考慮して規格厚みの石膏の厚さを9.5mmとした場合に5.2GHzのλ/4に概ね一致するため、第2石膏ボード部7として規格厚さ9.5mmの市販の石膏ボードを使用して5.2GHzの電磁波に対するスペーサの厚さDを形成した。そして、2.45GHzに対しては5.2GHzのほぼ2倍の波長のため、第1石膏ボード部4として規格厚さ9.5mmの市販の石膏ボードを使用し、9.5mmの市販の石膏ボードを2枚重ねて使用して2.45GHzの電磁波に対するスペーサの厚さDを形成した。このように、規格厚さ9.5mmの市販の石膏ボードを2枚使用して形成された本形態の電磁波吸収体1を用いて電磁波吸収特性を測定した結果データを図7に示す。
【0018】
本形態によれば、2.45Gzと5.2GHzの異なる周波数の複数の電磁波を吸収でき、かつ、構造が簡単で製造の容易な電磁波吸収体を得ることができる。すなわち、図7に示すように、2.45Gz帯と5.2GHz帯で28dB程度の吸収性能を有し、かつ、構造が簡単で製造の容易な電磁波吸収体を得ることができた。また、平板状のスペーサとして石膏ボード部を用いているので、持ち運びや建物内装構築施工において取り扱いの容易な電磁波吸収体を得ることができる。
【0019】
他の例1
建物内装としての電磁波吸収内装壁の別の構築方法を説明する。
図4に示すように、第1石膏ボード部4の一方の面に上記第1金属層5が形成されて当該第1石膏ボード部4の他方の面に上記第2金属層6が形成された電磁波反射ボード10と、第2石膏ボード部7の他方の面に上記抵抗層8が形成された電磁波吸収ボード11と、を予め作製しておく。そして、まず、電磁波反射ボード10の第1金属層5側の面を壁下地9側に向けて電磁波反射ボード10を図外のビス等で壁下地9に取付ける。その後、電磁波吸収ボード11の抵抗層8側を部屋側にむけて抵抗層8とは反対側の面と電磁波反射ボード10の第2金属層6の面とを互いに結合する。例えば、電磁波吸収ボード11の反対側の面と電磁波反射ボード10の第2金属層6の表面とを接着剤などで接着したり、電磁波吸収ボード11を図外のビス等で壁下地9に取付ける。本例では、予め作製しておいた、電磁波反射ボード10と電磁波吸収ボード11とを壁下地9に取付けていくだけなので、2.45Gzと5.2GHzの異なる周波数の複数の電磁波を吸収できる電磁波吸収内装壁の施工が容易となる。
【0020】
他の例2
図5に示すように、第1石膏ボード部4の一方の面に上記第1金属層5が形成された電磁波反射ボード12と、第2石膏ボード部7の一方の面に上記第2金属層6が形成され、他方の面に上記抵抗層8が形成された電磁波反射吸収ボード13と、を予め作製しておいて、壁下地9に電磁波反射ボード12、電磁波反射吸収ボード13の順に取付けていって電磁波吸収石膏ボード壁を構築する。本例では、予め作製しておいた、電磁波反射ボード12、電磁波反射吸収ボード13とを壁下地9に取付けていくだけなので、2.45Gzと5.2GHzの異なる周波数の複数の電磁波を吸収できる電磁波吸収内装壁の施工が容易となる。
【0021】
他の例3
第1石膏ボード部4の一方の面に上記第1金属層5が形成された電磁波反射ボード12を壁下地9に取付けた後に、第1石膏ボード部4の他方の面に金属箔を貼り付けたり、金属塗料を塗布したりして第2金属層6を形成し、この第2金属層6上に第2石膏ボード部7を取付けた後に、この第2石膏ボード部7の一方の面に導電性インキなどで抵抗層8を形成して電磁波吸収内装壁を構築する。本例では、2.45Gzと5.2GHzの異なる周波数の複数の電磁波を吸収できる電磁波吸収内装壁を構築できる。
【0022】
他の例4
対象電磁波を3とする場合には、図6のような電磁波吸収体とすればよい。
例えば、2.45GHz、5.2GHz、26GHzを対象電磁波とする場合、第2石膏ボード部7の他方の面に第3金属層15が設けられ、第3金属層15の他方の面に26GHzの波長λの1/4に合わせて厚さが設定された第3石膏ボード部20が設けられ、第3石膏ボード部20の他方の面に抵抗層8が設けられる。第3金属層15は、抵抗層8を通過した2.45GHzの電磁波が第1金属層5で反射して抵抗層8に到達可能で、かつ、抵抗層8を通過した5.2GHzの電磁波が第2金属層6で反射して抵抗層8に到達可能なように、抵抗層8側から見た場合に、第2金属層6の領域内に入る大きさ(面積)に形成すればよい。すなわち、第2金属層6が市松模様の黒あるいは白の位置に相当する部分(例えば図2の黒塗り部分)に金属箔や金属塗料などの金属を取付けて形成されている場合には、第3金属層15は、第2金属層6の市松模様の目よりさらに細かい目の市松模様の黒あるいは白の位置に相当する部分に金属箔や金属塗料などの金属を取付けて形成すればよい。
【0023】
対象電磁波を4以上とする場合には、金属層の数を他の例と同様の要領で増やしていけばよい。また、他の例と同様の要領で電磁波吸収内装壁を構築できる。
【0024】
尚、スペーサとして空気を用いる場合、空気は、

なので、式(2)により、D=14.4mmで5.2GHzのλ/4 となる。
したがって、空気によるスペーサの厚さD≒15mmにすれば、λ/4型吸収体が構成される。この場合、上記式により求まるd以上の厚さdに設定された第1金属層5を壁体の表面に印刷し、この第1金属層5から15mm離れた前方に第2金属層6が印刷されたシート材や板材をカーテンのように設け、この第2金属層6から15mm離れた前方に抵抗層8が印刷されたシート材をカーテンのように設けるようにしてもよい。この場合でも同様に2.45Gzと5.2GHzの異なる周波数の複数の電磁波を吸収できるλ/4型の電磁波吸収体を得ることができる。
【0025】
また、第2金属層6や第3金属層15が、市松模様の黒あるいは白の位置に相当する部分に金属箔や金属塗料などの金属を取付けて形成された構成としたので、第2金属層6や第3金属層15の金属部分と金属がない部分とを面内にバランスよく交互に配置できて、電磁波の透過及び反射の割合を均等にでき、複数の電磁波を効率的に吸収できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
スペーサは、けい酸カルシウム成形板等、石膏以外の無機系材料により形成されたものでもよい。また、本発明の電磁波吸収体は天井に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の最良の形態による電磁波吸収体を示す斜視図。
【図2】本発明の最良の形態による電磁波吸収体の分解図。
【図3】本発明の最良の形態による電磁波吸収体の断面図。
【図4】本発明の他の例1による電磁波吸収内装壁の構築方法を示す図。
【図5】本発明の他の例2による電磁波吸収内装壁の構築方法を示す図。
【図6】本発明の他の例4による電磁波吸収体の断面図。
【図7】本発明の最良の形態による電磁波吸収体の電磁波吸収性能結果を示した図。
【符号の説明】
【0028】
1 電磁波吸収体、4 第1石膏ボード部(第1スペーサ)、5 第1金属層、
6 第2金属層、7 第2石膏ボード部(第2スペーサ)、8 抵抗層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサと、スペーサの表面と対向してスペーサに設けられた抵抗層と、抵抗層の一方の面と対向する側においてスペーサに設けられた2つ以上の金属層とを備え、各金属層のそれぞれが、抵抗層及びスペーサを通過した互いに異なる周波数の対象電磁波のうちの1の電磁波を抵抗層の方向に反射させることを特徴とする電磁波吸収体。
【請求項2】
平板状の第1スペーサと、当該第1スペーサの一方の面に設けられた第1金属層と、平板状の第2スペーサと、当該第2スペーサの他方の面に設けられた抵抗層と、第1金属層の面積より小さく形成された第2金属層とを備えて構成され、第2金属層が第1スペーサの他方の面と第2スペーサの一方の面との間に挟まれた状態でこれら三者が互いに結合されたことを特徴とする電磁波吸収体。
【請求項3】
第2金属層が、スペーサの面において、市松模様の黒あるいは白の位置に相当する部分に取付けられた金属で形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁波吸収体。
【請求項4】
抵抗層の面抵抗値が376.6Ω/□あるいはほぼ376.6Ω/□に設定されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電磁波吸収体。
【請求項5】
各金属層と抵抗層との間の距離が対象電磁波の周波数のλ/4波長あるいはほぼλ/4波長に設定されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電磁波吸収体。
【請求項6】
平板状のスペーサと当該スペーサの一方の面に設けられた第1金属層と当該スペーサの他方の面に設けられた第1金属層より面積の小さい第2金属層とで形成された電磁波反射部材と、平板状のスペーサと当該スペーサの他方の面に設けられた抵抗層とで形成された電磁波吸収部材とを用い、電磁波反射部材の第1金属層の面側を建物内装下地面に向けて当該電磁波反射部材を内装下地に取付け、建物内装下地に取付けられた当該電磁波反射部材の第2金属層の面に電磁波吸収部材の一方の面を向けて当該電磁波吸収部材を電磁波反射部材の第2金属層の面上に取付けたことを特徴とする建物内装構築方法。
【請求項7】
平板状のスペーサと当該スペーサの一方の面に設けられた第1金属層とで形成された電磁波反射部材と、平板状のスペーサと当該スペーサの一方の面に設けられた第2金属層と当該スペーサの他方の面に設けられた抵抗層とで形成された電磁波反射吸収部材とを用い、電磁波反射部材の第1金属層の面側を建物内装下地面に向けて当該電磁波反射部材を内装下地に取付け、建物内装下地に取付けられた当該電磁波反射部材の他方の面に電磁波反射吸収部材の第2金属層の面側を向けて当該電磁波反射吸収部材を電磁波反射部材の他方の面上に取付けたことを特徴とする建物内装構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−49354(P2006−49354A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224013(P2004−224013)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】