説明

電磁波透過用金属被膜、電磁波透過用金属被膜の形成方法及び車載用レーダー装置

【課題】本件発明の課題は、インジウム以外の金属を用いて、安価に製造可能な電磁波透過用金属被膜、電磁波透過用金属被膜の形成方法及び車載用レーダー装置を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するため、電磁波透過用金属被膜100として、非導電性基材10の表面に設けられた非水溶性ポリエステル樹脂を含む触媒付着層20上に、無電解めっき法により金属被膜をアイランド状に形成したものであり、電磁波の透過パスとなるアイランド31間のギャップ32が単位面積(1mm)中に、1本〜5000本存在し、且つ、金属光沢を有する金属被膜30を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、非導電性基材に形成された電磁波の透過可能な電磁波透過用金属被膜、電磁波透過用金属被膜の形成方法及び当該金属被膜を備えたカバー部材を有する車載用レーダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、先行車と自車との車間距離や相対速度を検出するために、距離測定用のミリ波レーダー装置を自動車のフロントグリルや、エンブレム等に設置することが行われている。フロントグリルやエンブレム等が、樹脂等の非導電性基材に金属被膜を形成したものである場合、その金属被膜がミリ波を遮断し、又は、ミリ波を大きく減衰させる。そのため、ミリ波レーダー装置のミリ波の経路上に設けられる金属被膜は、ミリ波透過性を有する必要がある。このような電磁波透過用金属被膜として、例えば、真空蒸着法によりアイランド状に成膜されたインジウム被膜が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。非導電性基材にアイランド状に成膜されたインジウム被膜は、外観上十分な金属光沢を有するとともに、アイランド間のギャップをミリ波の透過パスとすることができる。
【0003】
これに対して、インジウム以外の大部分の金属は、真空蒸着法により、外観上十分な金属光沢を有する膜厚まで成膜した場合、連続膜となることからミリ波透過性が不十分なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159039号公報
【特許文献2】特開2000−344032号公報
【特許文献3】特開2000−049522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インジウムは高価であり、他の安価な金属を用いて電磁波を透過可能な電磁波透過用金属被膜を形成することが求められていた。そこで、本件発明は、インジウム以外の金属を用いて、安価に製造可能な電磁波透過用金属被膜、電磁波透過用金属被膜の形成方法及び車載用レーダー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本件発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下の電磁波透過用金属被膜、電磁波透過用金属被膜の形成方法及び車載用レーダー装置を採用することで上記課題を達成するに到った。
【0007】
本件発明の電磁波透過用金属被膜は、非導電性基材の表面に設けられた、電磁波の透過可能な金属被膜であり、当該金属被膜は、当該非導電性基材の表面に設けられた非水溶性ポリエステル樹脂を含む触媒付着層上に、無電解めっき法により金属被膜をアイランド状に形成したものであり、電磁波の透過パスとなるアイランド間のギャップが単位面積(1mm)中に1本〜5000本存在し、且つ、金属光沢を有することを特徴とする。
【0008】
本件発明の電磁波透過用金属被膜において、前記触媒付着層の厚みは、0.05μm〜2.0μmであることが好ましい。
【0009】
本件発明の電磁波透過用金属被膜において、当該金属被膜の膜厚は、0.01μm〜1.0μmであることが好ましい。
【0010】
本件発明の電磁波透過用金属被膜において、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、銀、銀合金、錫、錫合金、金及び金合金から選択された少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0011】
本件発明の電磁波透過用金属被膜において、前記非導電性基材は、絶縁性樹脂、セラミックス、紙、ガラス及び繊維から選択された一種であることが好ましい。
【0012】
本件発明に係る電磁波透過用金属被膜の形成方法は、非導電性基材の表面に上記の電磁波透過用金属被膜を形成する電磁波透過用金属被膜の形成方法であって、以下の工程を備えることを特徴とする。
(1) 非導電性基材の表面に非水溶性ポリエステル樹脂を含む触媒付着層を形成する触媒付着層形成工程。
(2) 前記触媒付着層形成工程において形成された触媒付着層上に、無電解めっき法により、非導電性基材の表面に、金属被膜をアイランド状に形成させる無電解めっき工程。
【0013】
本件発明に係る車載用レーダー装置は、上記電磁波透過用金属被膜を非導電性基材の表面に備えたカバー部材を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本件発明に係る電磁波透過用金属被膜によれば、高価なインジウムに代えて、安価なニッケル又はニッケル合金を用いて電磁波透過用金属被膜を安価に製造することができる。
【0015】
また、本件発明に係る電磁波透過用金属被膜の形成方法では、非導電性基材の表面に非水溶性ポリエステル樹脂を含む触媒付着層を設け、この触媒付着層の表面に無電解めっき工程により非導電性基材の表面に、金属被膜をアイランド状に形成して、単位面積(1mm)中に存在する、電磁波の透過パスとなるアイランド間のギャップが1本〜5000本である金属被膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本件発明に係る電磁波透過用金属被膜を模式的に表した模式図(a)と、層構成を示す側面図(b)である。
【図2】本件発明に係るエンブレムを示す正面図(a)と、層構成を示す側面図(b)である。
【図3】本件発明に係る電磁波透過用金属被膜を撮影した実体顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本件発明に係る電磁波透過用金属被膜、電磁波透過用金属被膜の形成方法及び車載用レーダー装置の好ましい実施の形態を説明する。
【0018】
〈電磁波透過用金属被膜〉
まず、図1を参照して、本件発明に係る電磁波透過用金属被膜100について説明する。
本件発明に係る電磁波透過用金属被膜100は、図1(b)に示すように、非導電性基材10の表面に触媒付着層20を介して設けられており、金属光沢を有している。また、本件発明に係る電磁波透過用金属被膜100は、図1(a)に示すように、触媒付着層20上にニッケル又はニッケル合金をアイランド状に析出させることにより、電磁波の透過パスとなるギャップを形成したものである。本実施の形態の電磁波透過用金属被膜100は、このギャップを介して、波長10mm〜1mm、周波数20GHz〜300GHzの電磁波(ミリ波)を透過可能としており、自動車等に設けられるミリ波レーダー装置(車載用レーダー装置(図示略))のカバー部材を被覆する金属被膜として好適に用いることができる。以下、非導電性基材10、触媒付着層20、金属被膜30の順に説明する。
【0019】
非導電性基材10: 本件発明に係る非導電性基材10として、樹脂、セラミックス、紙、ガラス及び繊維から選択された一種を用いることができる。また、非導電性基材10の表面に金属被膜30を形成した際に、非導電性基材10側から良好な金属光沢を観察するという点で、樹脂又はガラスなどの透明基材を好適に使用できる。ここで、非導電性基材10として樹脂を用いる場合、熱可塑性絶縁樹脂及び熱硬化性絶縁樹脂のいずれを用いてもよく、絶縁性樹脂であれば樹脂の材質は特に限定されるものではない。例えば、非導電性基材10として、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル−エチレン−スチレン)樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー(LCP)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、セルロース樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の各種の熱可塑性絶縁樹脂又は熱硬化性絶縁樹脂からなる板材、シート材、フィルム材を用いることができる。但し、これらの列挙した樹脂は、一例に過ぎず、本件発明に係る非導電性基材10はこれらの樹脂に限定されるものではない。
【0020】
触媒付着層20: 本件発明に係る触媒付着層20は、非水溶性ポリエステルを用いて形成された層であり、触媒活性を有する金属粒子を非導電性基材10に付着させる役割を果たすとともに、ニッケル又はニッケル合金をアイランド状に析出させる役割を果たしている。本件発明では、非導電性基材10の表面に触媒付着層20を設けることにより、上述した樹脂、ガラス、セラミックス等の表面が平滑な非導電性基材10についても、触媒の付着を容易にすることができ、これらの非導電性基材10の表面に金属光沢を有し、かつ、電磁波透過性を有する金属被膜を形成することができる。
【0021】
また、本件発明では、非水溶性ポリエステル樹脂を用いて触媒付着層20を形成するため、触媒付着層20がめっき液や触媒液に溶出することを防止し、触媒付着層20の剥離を防止することができる。さらに、めっき液や触媒液に対する触媒付着層20の溶出を防止することにより、めっき液や触媒液を長寿命化することができる。さらに、触媒付着層20を設けることにより、その表面に成膜された金属被膜の黒ずみ等を防止することができる。
【0022】
ここで、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角は40度〜60度であることが好ましい。接触角を40度以上とすることで、触媒付着層20を介して非導電性基材10の表面にニッケル又はニッケル合金をアイランド状に析出させることができる。また、同接触角が40度未満となると、無電解めっき時の条件を調整した場合でも、ニッケル又はニッケル合金を均一、且つ、アイランド状に析出させるのが困難になる。
【0023】
また、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角を60度以下とすることにより、触媒付着層20の表面に親水性を持たせることができ、触媒付着性を良好にすることができる。一方、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角が60度を超える場合は、触媒付着性が低下するため好ましくない。触媒付着性をさらに良好にするという観点から、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角は55度以下であることがより好ましい。
【0024】
ここで、本件発明では、非水溶性ポリエステル樹脂の親水性を調整することにより、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角が40度〜60度となるように調整している。
【0025】
非水溶性ポリエステル樹脂の親水性を調整する方法として、下記(A)〜(C)の方法
等が挙げられる
(A) ポリエステル樹脂を製造する際に用いる、多価カルボン酸および多価アルコールの種類を適切なものに選択する。
(B) ポリエステル樹脂の水酸基価を調整する。
(C) ポリエステル樹脂を変性する。
【0026】
まず、上記の(A)について説明する。ポリエステル樹脂は、一般に多価カルボン酸と多価アルコールを縮合重合することによって製造される。この際、ポリエステル樹脂の親水性を調整するために、次に示す多価カルボン酸及び多価アルコールを適宜選択することにより、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角を調整することができる。
【0027】
まず、多価カルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸などの2価、又はそれ以上の多塩基酸、これらの無水物の中から選択することが好ましい。
【0028】
また、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールAなどの2価アルコールなの中から選択することが好ましい。
【0029】
次に、上記(B)ポリエステル樹脂の水酸基価を調整する方法について説明する。ここで、本件発明において、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角を上記範囲内に調整するために、ポリエステル樹脂の水酸基価を10mgKOH/g〜400mgKOH/gとすることが好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価を10mgKOH/g以上とすることにより、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角を60度以下に調整しやすくなり、触媒付着性を良好にすることができる。さらに、ポリエステル樹脂の水酸基価を400mgKOH/g以下とすることにより、ポリエステル樹脂を非水溶性にして触媒付着層20のめっき液や触媒液に対する溶出をより良好に防止し、金属被膜の黒ずみを防止することができる。
【0030】
ポリエステル樹脂の水酸基価は、例えば、上述した2価アルコールの一部を、3価以上のアルコール又はジエポキシ化合物を含む多価アルコールと代替することにより調整することができる。すなわち、これらの3価以上のアルコール又はジエポキシ化合物を含む多価アルコールの代替量を調整することにより、ポリエステル樹脂の水酸基価を調整することができる。
【0031】
ここで、3価以上のアルコールとして、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、マンニトール、ショ糖、ブドウ糖などを挙げることができる。
【0032】
また、ジエポキシ化合物を含む多価アルコールとして、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、ダイマー酸グリシジルエスエル、脂肪族グリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0033】
次に、上記(C)ポリエステル樹脂の変性について説明する。ポリエステル樹脂の変性は、例えば、重合性不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂と重合性不飽和二重結合を有するモノマーとをグラフト重合させ、グラフト重合体の幹部分を構成するポリエステル樹脂、又は、グラフト重合体の枝部分を構成するモノマーのいずれかに親水基を導入することにより行うことができる。このようにポリエステル樹脂のグラフト重合体に親水基を導入することにより、触媒付着層20の表面の親水性を高めることができる。親水基は、幹部分及び枝部分のいずれに導入してもよいが、モノマーの重合体により構成される枝部分に導入させた方がより好ましい。枝部分に親水性基を導入した場合、触媒付着層20の親水性を高めて、触媒付着層20に対する触媒の付着を良好なものにすることができる。その一方で、触媒付着層20の溶出も防止しやすくすることができる。
【0034】
重合性不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂中に、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、テトラヒドロフタル酸などの不飽和基を導入することにより得られる。
【0035】
ポリエステル樹脂とグラフト重合させるモノマーとして、重合性不飽和二重結合を有する種々のモノマーを用いることができる。このようなモノマーとして、親水基を有するものと、疎水基を有するものとに分けて、以下に列挙する。
【0036】
親水基を有するモノマーとして、カルボキシル基、水酸基、ヒドロキシメチル基、アミノ基、スルホン酸基、ポリエチレンオキサイド基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基などの親水性基を有するものを挙げることができる。具体的には、「2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート類」、「カルボキシル基を含むアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はそのモノアルキルエステル、イタコン酸又はそのモノアルキルエステル、フマル酸又はそのモノアルキルエステルなどのエチレン性不飽和カルボン酸」、「アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類」、「N−メチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルアミノエステル類」、「N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアルキルアミノ基を有する不飽和アミド類」、「ビニルピリジン等のモノビニルピリジン類」、「ジメチルアミノエチルビニルエーテルなどのアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類」、「ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びその塩、2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸、及びその塩等のスルホン基を有するもの」、「ビニルピロリドン」などを挙げることができる。
【0037】
また、疎水基を有するモノマーとして、親油性の炭化水素基、芳香環基、又は市何基を有するものを挙げることができる。具体的には、「メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸グリシジル」、「スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル類」、「塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類」、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、クロロプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。
【0038】
ポリエステル樹脂の変性を行う場合の他の方法として、ポリエステル樹脂としてポリエステルポリオールを用い、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させ、ポリエステルポリウレタンとしてもよい。
【0039】
以上、例示した方法により、非水溶性ポリエステル樹脂の親水性を調整することができ、これらの方法により、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角を60度以下に調整することができる。
【0040】
また、触媒付着層20を形成するポリエステル樹脂の数平均分子量は、2千〜3万であることが好ましい。数平均分子量が2千以上のポリエステル樹脂を用いて触媒付着層20を形成することにより、触媒付着層20を強い被膜とすることができる。また、数平均分子量が3万以下のポリエステル樹脂を用いて触媒付着層20を形成することにより、カールの発生を防止することができる。
【0041】
また、触媒付着層20は、上述したポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。具体的には、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などを含むことができる。これらのポリエステル樹脂以外の樹脂は、親水性であってもよいし、疎水性であってもよいが、触媒付着層20の溶出を防ぐという観点から非水溶性の樹脂であることが好ましい。これらのポリエステル樹脂以外の樹脂を用いて、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角を調整してもよい。但し、ポリエステル樹脂とともに、ポリエステル樹脂以外の樹脂を用いて触媒付着層20を形成する場合、上述したポリエステル樹脂は、触媒付着層20を構成する全樹脂成分の50重量%以上用いることが好ましく、80重量%以上用いることがより好ましく、90重量%以上用いることがさらに好ましい。
【0042】
触媒付着層20の厚み: 本件発明に係る触媒付着層20の厚みは、ポリエステル樹脂を構成するモノマーの種類などにより異なるが、0.05μm〜2.0μmの範囲が好ましく、0.1μm〜1.0μmの範囲がより好ましい。非導電性基材10の表面に当該範囲の厚みの触媒付着層20を設けることにより、ニッケル又はニッケル合金をアイランド状に析出させることができ、かつ、電磁波の透過パスとなるアイランド間のギャップが単位面積(1mm)当たりに、1本〜5000本形成させることが容易になる。
【0043】
ここで、触媒付着層20の厚みが0.05μm未満となると、触媒の付着能が低下する。一方、触媒付着層20の厚みが2μmを超えると、金属光沢の低下や外観色のムラが発生しやすくなる。また、触媒付着層20の厚みを0.1μm〜1.0μmの範囲とすることにより、触媒付着能に優れ、また、得られる金属被膜30の金属光沢や外観色をより秀麗なものとすることができる。
【0044】
金属被膜30: 本件発明に係る金属被膜30は、上述したように、電磁波透過性及び金属光沢を有する金属被膜30である。図1(a)に示すように、当該金属被膜30は、ニッケル又はニッケル合金が非導電性基材10の表面にアイランド(島)状に析出されたものである。但し、図1(a)において、アイランド31間のギャップ32は黒い線で示している。このように、非導電性基材10の表面を不連続に金属被膜30で覆うことにより、アイランド31間のギャップ32を電磁波の透過パスとすることができる。
【0045】
ギャップ32: 本件発明において、上記のアイランド31間のギャップ32は、単位面積(1mm)中に、1本〜5000本存在することが好ましい。単位面積(1mm)中に1本〜5000本のギャップが存在することにより、金属被膜30の厚み方向において、当該ギャップ32を介してミリ波を金属被膜30の一面側から他面側に、あるいは金属被膜30の他面側から一面側に透過させることができる。すなわち、金属被膜30の厚み方向において、いずれの方向から電磁波が入射した場合でも、本件発明に係る金属被膜30はこれを透過することができる。ここで、単位面積(1mm)中にギャップが1本も存在しない場合、電磁波透過性が不十分になる。また、単位面積(1mm)中のギャップの数が5000本よりも多く存在する場合、ギャップの幅によっては、当該金属被膜30の外観の秀麗さを欠く場合がある。ここで、本件発明では、1本のギャップとは次のものを指す。ギャップの長さ方向において他のギャップと交差せず、ギャップの両端部においてのみ他のギャップの端部と接するものを1本のギャップとした。すなわち、本件発明で1本のギャップは、ギャップの長さ方向において、その両端部の間に他のギャップの端部との接点又は他のギャップとの交点のないものを指す。このような数え方で数えた場合、図1(a)に示す点線で矩形状に囲った領域内には、32a〜32iの9本のギャップ32が存在する。
【0046】
金属被膜30の膜厚: 本件発明において、上記のアイランド31の集合体である金属被膜30の膜厚は、0.01μm〜1.0μmであることが好ましい。膜厚が0.01μm未満である場合、光輝性が低下し、外観上、十分な金属光沢を発現することができない場合がある。一方、膜厚が1μmを超えると、アイランド31間のギャップ32に入射した電磁波が、その入射角によってはアイランド31の端面に入射し、減衰する場合があることから、電磁波透過用金属被膜100としての機能を十分に発揮することができなくなる。
【0047】
〈電磁波透過用金属被膜の形成方法〉
次に、上記電磁波透過用金属被膜100の形成方法を説明する。本件発明に係る電磁波透過用金属皮膜は、下記の工程を備えることが好ましい。以下の工程により安価なニッケルを用いて、本件発明に係る電磁波透過用金属皮膜を簡易に製造することができる。
(1) 非導電性基材10の表面に非水溶性ポリエステル樹脂を含む触媒付着層20を形成する触媒付着層形成工程。
(2) 前記触媒付着層形成工程において形成された触媒付着層20上に、無電解めっき法により、非導電性基材10の表面に、金属被膜をアイランド状に形成する無電解めっき工程。
【0048】
触媒付着層形成工程: 触媒付着層形成工程では、上述した非水溶性ポリエステル樹脂と、その他必要に応じて添加する他の樹脂とを適当な溶媒に溶解させた塗布液を、ディップやバーコーティング法などの公知の塗工法により非導電性基材10上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。また、スプレー塗布後、乾燥することにより触媒付着層20を形成してもよい。あるいは、樹脂を用いて非導電性基材10を構成する場合は、非導電性基材10を構成する樹脂材料と、触媒付着層20を構成する非水溶性ポリエステル樹脂等とを共押し出しして成形することなどにより触媒付着層20を形成してもよい。
【0049】
無電解めっき工程: 次に、本件発明に係る無電解めっき工程について説明する。無電解めっき工程において、非導電性基材10の表面に設けられた触媒付着層20上にニッケル又はニッケル合金をアイランド状に析出させて、電磁波透過性及び金属光沢を有する金属被膜30を形成することができる。ここで、無電解めっき工程では、以下のキャタライザー工程と、アクセラレータ工程と、アクチベータ工程と、無電解めっき工程とを備えている。以下、各工程毎に説明する。
【0050】
キャタライザー工程: キャタライザー工程は、触媒付着層20を設けた非導電性基材10を上述したパラジウム及びスズのコロイド触媒(キャタライザー)に浸すことにより、触媒付着層20の表面に触媒としてのパラジウム金属を付着する工程である。このとき、少量のスズが2価又は4価のスズ塩として触媒付着層20の表面に付着する。
【0051】
当該工程で用いる当該コロイド触媒は、例えば、スズの水和物と、パラジウムの水和物とを水に溶解させ、界面活性剤を加えて激しく撹拌しながら還元剤を添加する方法等、従来既知の方法により調整することができる。また、キャタライザーとして一般に市販されているものを用いることもできる。さらに、スズ水溶液に浸漬後、パラジウム水溶液に浸漬してもよい。本件発明では、上述したように、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角を40度〜60度の範囲としているため、触媒の付着性が高く、例えば、当該工程を短時間で行うことができる。
【0052】
但し、上記のキャタライザー工程において、触媒付着層20に触媒を付着させる際に、前処理として酸/アルカリ洗浄等の脱脂処理を行うことが好ましい。本件発明では、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角を上述の範囲内としているため、脱脂処理も極めて短時間で行うことができる。
【0053】
また、一般的には、触媒付着層に触媒を付着させる際に、前処理としてコンディショニングやプレディップという工程を行うが、本件発明では、触媒付着層20の表面の純水に対する接触角が上述の範囲内であり、当該触媒付着層20の触媒の付着性が優れていることから、これらの前処理工程を省略することができる。
【0054】
アクセレータ工程: アクセレータ工程では、濃度が0.1%〜10%程度の硫酸若しくは、0.1g/l〜400g/l程度の硫酸水素ナトリウム溶液からなる促進剤(アクセラレータ)に上述の非導電性基材10を浸漬することにより、触媒付着層20の表面に付着している錫を酸化させて、Pdを還元し、無電解めっき反応を促進化する工程である。当該工程についても、上述の触媒付着層20の特性から当該工程を短時間で行うことができる。
【0055】
アクチベーター工程: アクチベーター工程は、必須の工程ではないが、0.1g/l程度〜1g/l程度の塩化パラジウム溶液に、上述の非導電性基材10を浸漬することにより、
めっき初期析出をより均一的に反応させるために行ってもよい。
【0056】
以上のように、本件発明では、キャタライザー工程後に、アクセレータ工程と、アクチベーター工程とを行うことにより、ニッケル又はニッケル合金を析出させるための触媒金属核を触媒付着層20に強固に吸着させることができる。
【0057】
無電解めっき工程: 次に、無電解めっき法により、触媒付着層20の表面に金属をアイランド状に析出させる。当該工程では、金属被膜を構成する金属として、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、銀、銀合金、錫、錫合金、金及び金合金から選択された少なくとも一種を用いることが好ましい。ここで、例えば、ニッケルを析出させる場合、Ni−P浴、Ni−B浴、Ni−Cu−P浴等の従来既知のニッケルめっき浴を構成するニッケルめっき液に上述の非導電性基材10を浸漬することにより、触媒付着層20に付着したパラジウム金属を触媒として、触媒付着層20の表面にニッケルをに析出させる。このときに用いるニッケルめっき浴の種類に応じて、Ni−P、Ni−B、Ni−Cu−P等のニッケル合金が析出する。
【0058】
本件発明では、本件発明に係る触媒付着層20の上面に無電解めっき法により形成したアイランド状の金属被膜により、非導電性基材10の表面を不連続に覆うことができる。
【0059】
〈車載用レーダー装置〉
以上説明した本件発明に係る電磁波透過用金属被膜100は、上述したように自動車等に設けられるミリ波レーダー装置のカバー部材の表面を被覆する金属被膜30として好適に用いることができる。以下、車載用レーダー装置及びカバー部材について説明する。
【0060】
車載用レーダー装置: 本件発明に係る車載用レーダー装置は、ミリ波を送信波として送信する送信手段と、送信波が先行車等の対象物により反射した電波を受信波として受信する受信手段と、送信波を送信してから受信波を受信するまでの時間を計測する計測手段と、計測手段により測定された時間に基づき対象物との距離や、対象物との相対速度等を算出する演算手段等とを備えたものである。このような車載用レーダー装置は、一般に、車両のフロントグリルの裏面側等、車両の外装部材の裏面側に配置される。車両の外装部材は、通常、意匠上の観点から金属めっきが施されている。このため、これらの車載用レーダー装置が配置される外装部材には、ミリ波を出入射するための開口が設けられる。本件発明に係る車載用レーダー装置は、このような開口を覆うためのカバー部材を備えたものである。本実施の形態では、フロントグリルの車幅方向中央に設けたエンブレム40の後方に車載用レーダー装置を配置するものとし、フロントグリルのエンブレム40取付位置にはミリ波を出入射するための開口が形成されているものとして、以下説明する。
【0061】
エンブレム: 本件発明に係るカバー部材としてのエンブレム40を図2に示す。図2(a)に示すエンブレム40は、図2(b)に示すように、ポリカーボネート樹脂等の透明の非導電性基材10の裏面側に、マスキング部(意匠部分41)を含む背景触塗布層42と、上述した非水溶性ポリエステル樹脂を用いて形成される触媒付着層20と、本件発明に係る金属被膜30層とが順次積層された層構成を有している。但し、背景触塗布層42において、図2(a)に示すエンブレム40を表す意匠部分41は、背景色塗料を塗布する際にマスキングされており、このマスキングされた意匠部分41(マスキング部)には背景色塗料が塗布されていない状態となっている。また、図2(a)に示す例では、「K」の文字で表した部分をエンブレム40を表す意匠部分41としている。背景色塗料として、例えば、ミリ波を遮蔽しない黒色塗料を挙げることができるが、背景色は黒に限定されるものではない。図2に示すエンブレム40を構成する非導電性基材10及び触媒付着層20はそれぞれ透明であるため、マスキング部上に設けられた金属被膜30を非導電性基材10の表面側から観察することができる。従って、当該エンブレム40を非導電性基材10の表面側から観察すると、図示例では「K」の文字を表す意匠部分41にのみ金属被膜が設けられているように見える。
【0062】
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【実施例1】
【0063】
〈触媒付着層の形成〉
市販の厚み1000μmのポリカーボネート樹脂を非導電性基材として、その一方の面に非水溶性ポリエステル樹脂(プラスコートZ−850:互応化学社)を溶媒で希釈した塗布液をスプレー塗布し、その後、乾燥することにより、厚み1μmの触媒付着層を形成した。
【0064】
〈電磁波透過用金属被膜の形成〉
(a)キャタライザー工程
次に、触媒付着層が形成された非導電性基材を、パラジウム及びスズのコロイド触媒液(キャタライザー;ロームアンドハース社)に、45℃の条件下で、60秒間浸漬した。
【0065】
(b)アクセレータ工程
次に、10%の硫酸(和光純薬社)に、キャタライザー工程を経た非導電性基材を45℃の条件下で、30秒浸漬した。
【0066】
(c)アクチベーター工程
次に、0.3g/lの塩化パラジウムに、アクセレータ工程を経た非導電性基材を45℃の条件下で、30秒浸漬した。
【0067】
(d)無電解めっき工程
そして、上述のキャタライザー工程、アクセレータ工程、アクチベーター工程を経て、触媒付着層に触媒としてのパラジウム金属が吸着された非導電性基材を、45℃、pH8.2に調整したニッケルめっき浴に30秒浸漬し、触媒付着層の表面にニッケルがアイランド状に析出した電磁波透過用金属被膜を得た。
【実施例2】
【0068】
実施例1の非水溶性ポリエステル樹脂を、非水溶性ポリエステル樹脂(プラスコートZ−730:互応化学社)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の電磁波透過用金属被膜を得た。
【実施例3】
【0069】
実施例1と同じポリカーボネート樹脂を非導電性基材として、その一方の面(裏面側)に、図2に示すマスキング部を含む背景色塗布層42を黒色塗料を用いて形成し、この背景触塗布層42上に実施例1と同様の非水溶性ポリエステル樹脂を用いて触媒付着層20を形成し、この触媒付着層20の上面に実施例1と同様にしてニッケルを析出させた。その後、実施例3の電磁波透過用金属被膜を得た。
【比較例】
【0070】
実施例1の触媒付着層を設ける代わりに、非導電性基材の一面にコロナ放電処理を施した以外は、実施例1と同様にして比較例の金属被膜を得た。
【0071】
〈評価結果〉
実施例1〜実施例3について、それぞれ触媒付着層の表面の純水に対する接触角と、触媒付着層の表面に形成された金属被膜の電磁波透過性、金属光沢及び密着性を評価した。また、比較例についても、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例1〜実施例3で設けた金属被膜は、図3に示すように触媒付着層の表面にアイランド状に析出されたのに対して、比較例で成膜した金属被膜はアイランド状には析出されず、連続膜となった。また、実施例1〜実施例3で得た金属被膜は電磁波透過性を有するとともに、外観上秀麗な金属光沢を示した。また、実施例1〜実施例3の金属被膜は、非導電性基材との密着性も優れたものであった。これに対して、比較例で成膜した金属被膜は、電磁波透過性がなく、また、非導電性基材との密着性も低いものであった。また、実施例3で形成した金属被膜は、車載用レーダー装置のカバー部材として図2に示すエンブレムを装飾するものである。本評価において、当該金属被膜は、車載用レーダー装置に対して出入射する電磁波を透過することを実証することができた。
【0074】
但し、図3に示す実体顕微鏡写真は、実施例1で得られた金属被膜の表面を撮影したものである。当該撮影には、実体顕微鏡SZX7:オリンパス社を用い、倍率は25倍とした。白い線状に見える部分がアイランド間のギャップである。図3に示す金属被膜は、単位面積(1mm)中に、150本〜800本のギャップが形成されていた。
【0075】
以上説明した本実施の形態は、本件発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本件発明に係る電磁波透過用金属被膜は、ミリ波透過用の金属被膜として、従来用いられていたインジウムの真空蒸着被膜に代えて、安価なニッケル又はニッケル合金を用いて車載用レーダー装置等のカバー部材に設けられる電磁波透過用金属被膜として利用することができる。また、本件発明に係る電磁波透過用金属被膜の形成方法は、電磁波透過用被膜の安価な製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10・・・非導電性基材
20・・・触媒付着層
30・・・金属被膜
31・・・アイランド
32・・・ギャップ
40・・・エンブレム
100・・・電磁波透過用金属被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性基材の表面に設けられた、電磁波の透過可能な金属被膜であり、
当該金属被膜は、当該非導電性基材の表面に設けられた非水溶性ポリエステル樹脂を含む触媒付着層上に、無電解めっき法により金属被膜をアイランド状に形成したものであり、電磁波の透過パスとなるアイランド間のギャップが単位面積(1mm)中に1本〜5000本存在し、且つ、金属光沢を有することを特徴とする電磁波透過用金属被膜。
【請求項2】
前記触媒付着層の厚みは、0.05μm〜2.0μmである請求項1に記載の電磁波透過用金属被膜。
【請求項3】
当該金属被膜の膜厚は、0.01μm〜1μmである請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電磁波透過用金属被膜。
【請求項4】
前記金属被膜は、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、銀、銀合金、錫、錫合金、金及び金合金から選択された少なくとも一種を含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電磁波透過用金属被膜。
【請求項5】
前記非導電性基材は、絶縁性樹脂、セラミックス、紙、ガラス及び繊維から選択された一種である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電磁波透過用金属被膜。
【請求項6】
非導電性基材の表面に請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電磁波透過用金属被膜を形成する電磁波透過用金属被膜の形成方法であって、
以下の工程を備えることを特徴とする電磁波透過用金属被膜の形成方法。
(1) 非導電性基材の表面に非水溶性ポリエステル樹脂を含む触媒付着層を形成する触媒付着層形成工程。
(2) 前記触媒付着層形成工程において形成された触媒付着層上に、無電解めっき法により、非導電性基材の表面に、金属被膜をアイランド状に形成する無電解めっき工程。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電磁波透過用金属被膜を非導電性基材の表面に備えたカバー部材を用いることを特徴とする車載用レーダー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−162839(P2011−162839A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26635(P2010−26635)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000157049)関東化成工業株式会社 (12)
【出願人】(000125978)株式会社きもと (167)
【Fターム(参考)】