説明

電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法及び回路

【課題】本発明は、電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法を提供している。
【解決手段】この方法は、1)、電磁誘導炉の動作電流範囲から2つの電流テスト値を抽出し、この2つの電流テスト値及びゼロ電流の場合で電磁誘導炉を稼働させ、この2種類の稼働状態における電流信号の電圧値を検出し、CPUはこの2グループのデータを用いて、y(i)=k×i+bとの算式に従って係数k及びインターセプトbを算出し、係数k及びインターセプトbを記憶させるステップと、2)、動作する場合に、CPUは、電流検出収集回路で検出した電流信号の電圧値y(i)と、係数k及びインターセプトbを用いて、i = 1/k×y(i)−b/kとの算式に従って、電流値を算出し、さらに、電流値と電電圧値とで現在のパワーを算出する。校正プログラムはチップ内に構築され、設定パラメータで校正パラメータを自動的に収集し算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導炉の技術に関し、具体的に、電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法及び校正回路に関する。
【背景技術】
【0002】
通常電磁誘導炉では、電磁誘導炉のパワーの算出に、現在の動作電圧、動作電流を検出して、パワー=電圧×電流との算式により、現在のパワーを算出することが一般である。
そして、電流サンプリング回路は、一般に、相互感応器又はコンスタンタン線抵抗により電流小信号をサンプリングして電圧信号に変換させ、さらに増幅することにより算出する。このような方式は、その誤差が比較的に大きいため、線型式y=kx+b(k≠0)に基づいて、ポテンショメータを用いて算式における係数kが修正されるように調整することが一般であったが、このような方式では、ポテンショメータが増加され、輸送や使用中において、ポテンショメータがいずれも抵抗値がシフトしやすくなって、電磁誘導炉のパワーの誤差が大きくなる。
また、通常電磁誘導炉の製品情報であって、一般に、機体や、包装箱に張り紙形式で製品型番、シリアルナンバー、製造日又はバーコード情報等を表示したが、このような方式は、偽造の難しさが低く、簡単な張り紙の印刷により、包装工程でブランド品の製品を偽造することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の電磁誘導炉の技術に存在する上記ような欠陥を解消するために、電磁誘導炉のパワー校正、リアルタイムなパワー算出、及び制御のニーズを満足するような、電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法及びその校正方法を実現する校正回路を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法であって、
1)、電磁誘導炉の動作電流範囲で2つの電流テスト値 i1、i2を抽出し、メイン回路を当該電流テスト値
i1、i2及びゼロの場合で順に稼働させ、1つの電流検出収集回路で前記3種類の稼働状態における電流信号をそれぞれ収集し、その電流検出収集回路の出力電圧値y(i 1)、y(i
2)、y(i 0)を記憶し、CPUは前記3グループのデータを用いて、y(i)=k×i+b(k≠0)との算式に従って係数k及びインターセプトbを算出し、この係数k及びインターセプトbをメモリに記憶させるステップと、
2)、電磁誘導炉が動作する場合に、CPUは、前記電流検出収集回路から検出した現在の電流信号の電圧値y(i)と、前記メモリでの係数k及びインターセプトbを用いて、i
= 1/k×y(i)−b/kとの算式に従って、現在の電流信号iを算出し、さらに、この現在の電流信号と電圧検出収集回路から検出した現在の電圧信号とで現在のパワー値を算出するステップとを含む。
【0005】
上記した方法を実現する電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路であって、
電流サンプリング回路と、増幅器と、A/D変換部とを有し、増幅器がこの電流サンプリング回路とA/D変換部の一方の入力端との間に接続された電流検出収集回路と;
電圧サンプリング回路及び前記A/D変換部を有し、この電圧サンプリング回路の出力が前記A/D変換部の他方の入力端に接続された電圧検出収集回路と;
制御プログラムや、演算プログラム、電流又はパワー校正パラメータを記憶するためのメモリと;
一方の入力端が前記A/D変換部の出力端に接続され、前記メモリと接続されたCPUと;を備え、
CPUは、設定電流テスト値と検出した電流信号の電圧値で電流又はパワーの校正パラメータを算出し、前記メモリに記憶し、さらに、その校正パラメータを用いて、現在の電流と現在のパワーを自動的に校正する。
そのうち、前記増幅器、A/D変換部、CPU、及びメモリは、同一のチップ内に集積されている。
【0006】
本発明は、初めに電磁誘導炉のパワーの自動的校正手段を提案し、自動的パワー校正プログラムモジュールをチップ内に構築し、電磁誘導炉を生産する際に、設定パラメータに従って自動的に収集し、パワーや電流校正パラメータを算出し、この校正パラメータをチップに内蔵されたメモリに記録する。さらに、このメモリは、パワーダウンの記憶機能を有している。電磁誘導炉が動作する場合、CPUは、チップに内蔵されたメモリにおける校正パラメータを読み取って、電流信号を校正し、さらに、CPUの電磁誘導炉のパワーに対する調整や保護に正しい依拠をを提供するために、電圧信号とで現在のパワー値を算出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来のハードウェアのポテンショメータの校正方式を取り替えすことができ、コストを削減し、製品の信頼性を向上することができる。
そのパワーの自動的校正回路における増幅器、A/D変換部、CPU、及びメモリは、同一のチップ内に集積されたため、チップが高度に集積され、周辺アプリケーション回路が簡単であり、生産やメンテナンスの難しさとコストを大きく低下させている。
そのメモリには、電磁誘導炉の製品情報が記憶され、キー操作により、デジタルチューブ又はLEDに製品情報を表示させ、情報セキュリティ効果がよく、製品の偽造の難しさを大幅に増加させている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の原理のブロック図である。
【図2】その実施例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について、図面を参照して詳しく説明する。
図1及び図2を参照すると、示された電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路は、主に、電流検出収集回路と、電圧検出収集回路と、メモリと、デジタル論理制御処理部CPUとを含んでいる。
電流検出収集回路は、電流サンプリング回路と、増幅器と、A/D変換部を備え、増幅器は、この電流サンプリング回路とA/D変換部の一方の入力端との間に接続されている。そのうち、電流サンプリング回路は、整流ブリッジBG1とIGBTのドレインとの間に直列接続されたコンスタンタン線の抵抗RKと、そのコンスタンタン線の抵抗RKに接続された抵抗R8とを含み、抵抗R8の一方端には増幅器の入力端(即ち、図2におけるCHK−S008チップの13
Pin)が接続され、増幅器の入力端と出力端(即ち、図2における CHK−S008チップの12 Pin)との間には、並列接続された抵抗R12と容量C7の帰還回路が接続され、増幅器の入力端は、容量C8を介して接地され、コンスタンタン線の抵抗RK1は、容量C5と並列接続されている。
【0010】
電圧検出収集回路は、電圧サンプリング回路と前記A/D変換部とを備え、電圧サンプリング回路の出力はA/D変換部の他方の入力端に接続されている。そのうち、電圧サンプリング回路は、ダイオードD1、D2と、ダイオードD1及びD2の負極と接地との間に接続された分圧抵抗R17
、R18とを含み、ダイオードD1、D2の正極は、上記整流ブリッジBG1の2つの交流入力線にそれぞれ接続され、抵抗R18は容量C22と並列接続され、抵抗R17 、R18の共通端は、A/D変換部の一方の入力端(即ち、図2におけるCHK−S008チップの7
Pin)へ電圧信号を出力する。
デジタル論理制御処理部CPUの一方の入力端は、前記A/D変換部の出力端に接続され、メモリはCPUの対応するポートに接続され、メモリには、制御プログラムや、演算プログラム、電流増幅器のリニア校正プログラム等が記憶されている。メモリは、不揮発性メモリであり、パワーダウン記憶機能を有している。
上記増幅器、A/D変換部、デジタル論理制御処理部CPU、及びメモリは、1つのSoC (System on a Chip)チップ、例えば、図2におけるCHK−S008チップ内に集積されている。
【0011】
そのうち、CHK−S008チップ内の不揮発性メモリ内のある領域には、CPUが校正プログラムを実行する際に電磁誘導炉のパワーを校正するための電流校正パラメータが記憶されている。不揮発性メモリ内の製品情報記憶領域は、例えば、製品バーコード、メーカー番号、シリアルナンバー、製造日等の電磁誘導炉の製品情報を記憶することができる。キー操作により、デジタルチューブ又はLEDに製品情報を表示させ、情報セキュリティ効果を増強することができ、製品の偽造の難しさを大幅に増加させている。
上記電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路によってパワーの自動的校正を実現する方法であって、
1)、電磁誘導炉の動作電流範囲で2つの電流テスト値 i1、i2を抽出し、メイン回路を当該電流テスト値
i1、i2及びゼロの場合で順に稼働させ、上記電流検出収集回路で前記3種類の稼働状態における電流信号をそれぞれ収集し、その電流検出収集回路の出力電圧値y(i 1)、y(i
2)、y(i 0)を記憶し、
CPUは前記i1及びy(i 1) と、i2及びy(i 2)との2グループのデータを用いて、y(i)=k×i+b(k≠0)との算式に従って係数kと、電流テスト値がゼロに対応する電圧値y(i
0)、即ちインターセプトbとを算出し、この係数k及びインターセプトbをメモリに記憶させるステップと、
2)、電磁誘導炉が動作する場合に、CPUは、前記電流検出収集回路から検出した現在の電流信号の電圧値y(i)と、前記メモリでの係数k及びインターセプトbを用いて、i
= 1/k×y(i)−b/kとの算式に従って、現在の電流信号iを算出し、さらに、この現在の電流信号と上記電圧検出収集回路から検出した現在の電圧信号とで現在のパワー値を算出するステップとを含む。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法であって、
1)、電磁誘導炉の動作電流範囲で2つの電流テスト値 i1、i2を抽出し、メイン回路を当該電流テスト値
i1、i2及びゼロの場合で順に稼働させ、電流検出収集回路で3種類の稼働状態における電流信号の電圧値y(i
1)、y(i 2)、y(i 0)を検出し、CPUは前記3グループのデータを用いて、y(i)=k×i+b(k≠0)との算式に従って係数k及びインターセプトbを算出し、この係数k及びインターセプトbをメモリに記憶させるステップと、
2)、電磁誘導炉が動作する場合に、CPUは、前記電流検出収集回路から検出した現在の電流信号の電圧値y(i)と、前記メモリでの係数k及びインターセプトbを用いて、i
= 1/k×y(i)−b/kとの算式に従って、現在の電流信号iを算出し、さらに、この現在の電流信号と電圧検出収集回路から検出した現在の電圧信号とで現在のパワー値を算出するステップとを含むことを特徴とする電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法。
【請求項2】
前記電流検出収集回路は、電流サンプリング回路と、増幅器と、A/D変換部を含み、増幅器は、この電流サンプリング回路とA/D変換部の一方の入力端との間に接続され;前記電圧検出収集回路は、電圧サンプリング回路と、前記A/D変換部とを含み、この電圧サンプリング回路の出力は、前記A/D変換部の他方の入力端に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法。
【請求項3】
前記電圧サンプリング回路は、ダイオードD1、D2と、ダイオードD1及びD2の負極と接地との間に接続された分圧抵抗R17
、R18とを含み、ダイオードD1、D2の正極は、整流ブリッジの2つの交流入力線にそれぞれ接続され、抵抗R18は容量C22と並列接続され、抵抗R17 、R18の共通端は、A/D変換部の一方の入力端へ電圧信号を出力し、
前記電流サンプリング回路は、整流ブリッジとIGBTのドレインとの間に直列接続されたコンスタンタン線の抵抗RKと、そのコンスタンタン線の抵抗RKに接続された抵抗R8とを含み、電流サンプリング回路の出力は増幅器の入力端に接続され、増幅器の入力端と出力端との間には、並列接続された抵抗と容量の帰還回路が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導炉のパワーの自動的校正方法。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法を実現する電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路において、
電流サンプリング回路と、増幅器と、A/D変換部とを有し、増幅器がこの電流サンプリング回路とA/D変換部の一方の入力端との間に接続された電流検出収集回路と;
電圧サンプリング回路及び前記A/D変換部を有し、この電圧サンプリング回路の出力がA/D変換部の他方の入力端に接続された電圧検出収集回路と;
制御プログラムや、演算プログラム、電流又はパワー校正パラメータを記憶するためのメモリと;
一方の入力端が前記A/D変換部の出力端に接続され、前記メモリと接続されたCPUと;を備え、
CPUは、設定電流テスト値と検出した電流信号の電圧値で電流又はパワーの校正パラメータを算出し、前記メモリに記憶し、さらに、その校正パラメータを用いて、現在の電流と現在のパワーを自動的に校正することを特徴とする電磁誘導炉のパワーの自動的校正装置。
【請求項5】
前記増幅器、A/D変換部、CPU、及びメモリは、同一のチップ内に集積されていることを特徴とする請求項4に記載の電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路。
【請求項6】
前記電流サンプリング回路は、整流ブリッジとIGBTのドレインとの間に直列接続されたコンスタンタン線の抵抗RKと、そのコンスタンタン線の抵抗RKに接続された抵抗R8とを含み、電流サンプリング回路の出力は増幅器の入力端に接続され、増幅器の入力端と出力端との間には、並列接続された抵抗と容量の帰還回路が接続されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路。
【請求項7】
前記電圧サンプリング回路は、ダイオードD1、D2と、ダイオードD1及びD2の負極と接地との間に接続された分圧抵抗R17
、R18とを含み、ダイオードD1、D2の正極は、整流ブリッジの2つの交流入力線にそれぞれ接続され、抵抗R18は容量C22と並列接続され、抵抗R17 、R18の共通端は、A/D変換部の一方の入力端へ電圧信号を出力することを特徴とする請求項6に記載の電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路。
【請求項8】
前記電圧サンプリング回路は、ダイオードD1、D2と、ダイオードD1及びD2の負極と接地との間に接続された分圧抵抗R17
、R18とを含み、ダイオードD1、D2の正極は、整流ブリッジの2つの交流入力線にそれぞれ接続され、抵抗R18は容量C22と並列接続され、抵抗R17 、R18の共通端は、A/D変換部の一方の入力端へ電圧信号を出力することを特徴とする請求項4又は5に記載の電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路。
【請求項9】
前記メモリは不揮発性メモリであることを特徴とする請求項4又は5に記載の電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路。
【請求項10】
前記メモリ内の製品情報記憶領域には、電磁誘導炉の製品情報が記憶されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の電磁誘導炉のパワーの自動的校正回路。



【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−525290(P2011−525290A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513851(P2011−513851)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001397
【国際公開番号】WO2010/066102
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510310303)シンセン市シンフイ科科技有限公司 (3)
【Fターム(参考)】