説明

電線用着色インク

【課題】色むらの発生を防止できる電線用着色インクを提供する。
【解決手段】電線用着色インクは電線の外表面に一定量ずつ滴射されて該電線の外表面を着色する。電線用着色インクは溶媒とアクリル樹脂と色材とを含んだインク本材100重量部に対してPVA水溶液を5重量部以上15重量部以下配合している。PVA水溶液の濃度が10%以上でかつ15%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電線の外表面に向かって一定量ずつ滴射されて該電線の外表面を着色する電線用着色インクに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、物品としての複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。コネクタは、端子金具と、この端子金具を収容するコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、導電性の板金などからなり電線の端部に取り付けられてこの電線の芯線と電気的に接続する。コネクタハウジングは、絶縁性の合成樹脂からなり箱状に形成されている。ワイヤハーネスは、コネクタハウジングが前述した電子機器などと結合することにより、端子金具を介して各電線が前述した電子機器と電気的に接続して、前述した電子機器に所望の電力や信号を伝える。
【0004】
前記ワイヤハーネスを組み立てる際には、まず電線を所定の長さに切断した後、該電線の端部などの被覆部を除去(皮むき)して端子金具を取り付ける。必要に応じて電線同士を接続する。その後、端子金具をコネクタハウジング内に挿入する。こうして、前述したワイヤハーネスを組み立てる。
【0005】
前述したワイヤハーネスの電線は、芯線の大きさと、被覆部の材質(耐熱性の有無などによる材質の変更)と、使用目的などを識別する必要がある。なお、使用目的とは、例えば、エアバック、ABS(Antilock Brake System)や車速情報などの制御信号や、動力伝達系統などの電線が用いられる自動車の系統(システム)である。
【0006】
そこで、ワイヤハーネスに用いられる電線は、前述した被覆部を構成する合成樹脂を芯線の周りに押し出し被覆する際に、被覆部を構成する合成樹脂に所望の色の着色剤を混入して、該被覆部を所望の色に着色してきた(例えば、特許文献1ないし3参照)。この場合、電線の外表面の色を変更する際に、前述した押し出し被覆を行う押し出し被覆装置を停止する必要がある。この場合、電線の色替えの度に、押し出し被覆装置を停止する必要があり、電線の製造にかかる所要時間と手間が増加して、電線の生産効率が低下する傾向であった。
【0007】
または、押し出し被覆装置が押し出し被覆を行っている状態で合成樹脂に混入する着色剤の色を変更してきた。この場合、着色剤の色を変更した直後では、被覆部を構成する合成樹脂の色が、被覆部の変更前の着色剤の色と変更後の着色剤の色とが混ざり合った色になる。このため、電線の材料歩留まりが低下する傾向であった。
【0008】
前述した電線の生産性の低下と電線の材料歩留まりの低下を防止するために、本発明の出願人は、例えば、単色の電線を製造しておき、必要に応じて物品としての電線の外表面を所望の色に着色してワイヤハーネスを組み立てることを提案している(特許文献4参照)。また、本発明の出願人は、製造後の単色の電線を着色する際に、液状の電線用着色インクを物品としての電線の外表面に向かって一定量ずつ滴射して、該電線用着色インクの液滴を電線の外表面に付着させることで電線を所望の色に着色する電線の着色装置を提案している(特許文献5参照)。
【0009】
前述した特許文献5に記載された電線の着色装置では、溶媒としての有機溶剤と、バインダ(結合材)としてのPMMA(Polymethylmethacrylate)樹脂と、色材と、分散剤などで構成された電線用着色インクを用いてきた。この種の電線の着色装置は、長尺の電線を所望の長さに切断する切断工程や、該電線の端末に端子金具を取り付ける圧着工程で用いられて、これらの工程中に電線の外表面を着色することが求められている。
【特許文献1】特開平5−111947号公報
【特許文献2】特開平6−119833号公報
【特許文献3】特開平9−92056号公報
【特許文献4】国際公開第03/019580号パンフレット
【特許文献5】特開2004−134371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した電線用着色インクは、速乾性であることが求められて、粘度が比較的低いものが求められている。このため、前述した従来の電線用着色インクを用いると、該電線用着色インクが速乾性であるために、電線に付着した電線用着色インクの液滴の外縁が特に急速に乾燥して乾燥前の中央部の色材が徐々に外縁に引っ張られる。そして、従来の電線用着色インクを用いるとマイグレーション(乾燥工程で色材とより小さい粒子(分子)からなる結合材成分が早い乾燥によりインクの表層に集中する現象)が生じやすく、電線の外表面を着色した箇所の外縁部などに色材が集中するなどして、色むらが生じやすい。電線の外表面を着色した箇所の外縁部などに色材が集中すると、勿論、電線の外表面を着色した箇所の外縁部の色が濃くなり中央部の色が薄くなる。
【0011】
このため、前述した従来の電線用着色インクを用いると、色むらが生じるので、ワイヤハーネスの組み立て工程などにおいて、見る角度によっては、作業員が誤識別(電線の品番を誤ること)することが考えられる。勿論、電線を誤識別することは、ワイヤハーネスの組立工程では望ましくない。
【0012】
したがって、本発明の目的は、色むらの発生を防止できる電線用着色インクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電線用着色インクは、電線の外表面に一定量ずつ滴射されて該電線の外表面を着色する電線用着色インクにおいて、溶媒とアクリル樹脂と色材とを含んだインク本材100重量部に対して、PVA水溶液を5重量部以上15重量部以下配合したことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の本発明の電線用着色インクは、請求項1記載の電線用着色インクにおいて、前記PVA水溶液の濃度が10%以上でかつ15%以下であることを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載された本発明によれば、インク本材100重量部に対してPVA水溶液を5重量部以上15重量部以下配合しているので、電線の外表面に付着した液滴の乾燥速度を若干遅らせて、乾燥中にアクリル樹脂が表層に集中することを防止できるとともに、色材の分散性が向上して(分散しやすくなって)、色むらの発生を防止できる。さらに、電線の外表面に付着した液滴の乾燥速度を若干遅らせるので、乾燥速度が極端に遅くなって、電線の外表面を汚すことを防止できる。
【0016】
請求項2に記載された本発明によれば、PVA水溶液の濃度が10%以上で15%以下であるので、乾燥中にアクリル樹脂が表層に集中することをより防止できるとともに、色材の分散性が向上して(分散しやすくなって)、色むらの発生をより防止できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、色むらの発生を防止できるとともに、インク本材100に対してPVA水溶液を配合しているので、溶媒の揮発を抑制できて濃度の変化を抑制できるとともに、乾燥して形成された塗膜の堅牢性の低下を防止できる。
【0018】
請求項2に記載された本発明によれば、色むらの発生をより防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかる電線用着色インク(以下、単にインクと呼ぶ)を用いる電線の加工装置としての電線の着色装置(以下単に着色装置と呼ぶ)1を、図1ないし図4に基づいて説明する。着色装置1は、物品としての電線3を所定の長さに切断して、この物品としての電線3の外表面3aの一部に印6を形成する装置である。即ち、着色装置1は、物品としての電線3の外表面3aを着色する即ちマーキング(Marking)する。
【0020】
物品としての電線3は、移動体としての自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。電線3は、図4(a)に示すように、導電性の芯線4と、絶縁性の被覆部5とを備えている。芯線4は、複数の素線が撚られて形成されている。芯線4を構成する素線は、導電性の金属で構成されている。また、芯線4は、一本の素線から構成されても良い。被覆部5は、例えば、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride:PVC)、ポリオレフィン(PE、PP等)などの合成樹脂で構成されている。被覆部5は、芯線4を被覆している。このため、電線3の外表面3aとは、被覆部5の外表面をなしている。
【0021】
また、被覆部5は、単色Pである。なお、被覆部5を構成する合成樹脂に所望の着色剤を混入して、電線3の外表面3aを単色Pにしても良く、被覆部5を構成する合成樹脂に着色剤を混入することなく、単色Pを合成樹脂自体の色として良い。被覆部5を構成する合成樹脂に着色剤を混入せずに、単色Pが合成樹脂自体の色の場合、被覆部5即ち電線3の外表面3aは、無着色であるという。このように、無着色とは、被覆部5を構成する合成樹脂に着色剤を混入せずに、電線3の外表面3aが合成樹脂自体の色であることを示している。電線3の外表面3aは、前述した無着色であっても良く、例えば白色などの単色であっても良い。
【0022】
電線3の外表面3aには、複数の点7からなる印6が形成されている。点7は、色B(図4中に平行斜線で示す)である。色Bは、単色Pと異なる。点7は、複数設けられており、予め定められるパターンにしたがって、電線3の長手方向に沿って並べられている。図示例では、電線3の長手方向に沿って、点7が等間隔に並べられている。また、互いに隣り合う点7の中心間の距離は、予め定められている。
【0023】
前述した構成の電線3は、複数束ねられるとともに端部などにコネクタなどが取り付けられて前述したワイヤハーネスを構成する。コネクタが自動車などの各種の電子機器のコネクタにコネクタ結合して、ワイヤハーネス即ち電線3は、各電子機器に各種の信号や電力を伝える。
【0024】
また、前述した印6の各点7の色Bが種々の色に変更されることにより、電線3同士を識別可能としている。図示例では、全ての点7の色Bを同じにしているが、必要に応じて点7毎に色Bを変更して、点7同士の色Bを異ならせても良い。印6の各点7の色Bは、ワイヤハーネスの電線3の線種、系統(システム)の識別などを行うために用いられる。即ち、前述した印6の各点7の色Bは、ワイヤハーネスの各電線3の線種及び使用目的を識別するために用いられる。
【0025】
着色装置1は、図1に示すように、装置本体としてのフレーム10と、電線送り加工ユニット11と、薬液吐出装置としての薬液吐出ユニット15と、制御手段としての制御装置19とを備えている。
【0026】
フレーム10は、工場などのフロア上などに設置される。フレーム10は、水平方向に伸びている。電線送り加工ユニット11は、制御装置19からの命令とおりに、長尺の電線3を該電線3の長手方向に沿って間欠的に移動させながら、該電線3を所望の長さに切断する。電線送り加工ユニット11は、制御装置19に接続して、該制御装置19に向かって電線3の移動量を出力するエンコーダ17を備えている。このため、電線3は、図1中の矢印Kに沿って移動する。矢印Kは、電線3の移動方向をなしている。
【0027】
薬液吐出ユニット15は、図2に示すように、ユニット本体30と、複数の着色ノズル31と、薬液用容器32と、加圧流体供給源としての加圧気体供給源33とを備えている。ユニット本体30は、フレーム10に固定される。ユニット本体30は、複数の着色ノズル31を支持する。
【0028】
着色ノズル31は、後述の薬液用容器32からの液状のインクを、電線3の外表面3aに向かって一定量ずつ滴射する。着色ノズル31は、滴射したインクの液滴を電線3の外表面3aに付着させて、該電線3の外表面3aの少なくとも一部を着色する(マーキング)する。
【0029】
着色ノズル31は、図3に示すように、円筒状(筒状)のノズル本体34と、このノズル本体34内に収容されたインサート部材35と、流入管36と、ノズル54と、弁機構38とを備えている。
【0030】
インサート部材35は、円筒状(筒状)に形成されているとともに、内側に電線用着色インクを通す流路39が形成されている。流路39内には、後述の薬液用容器32などから供給されるインクで満たされる。インサート部材35は、本明細書に記した液状のインクを収容する収容部をなしている。流入管36は、流路39と連通しており、薬液用容器32からのインクを流路39内に導く。
【0031】
ノズル54は、第1のノズル部材37と、第2のノズル部材50と、接続パイプ51とを備えている。第1のノズル部材37は、円筒状に形成されているとともに、流路39内と連通しており、流路39内のインクを着色ノズル31外に導く。第1のノズル部材37の内径は、ノズル本体34の内径即ち流路39の外径より小さい。第1のノズル部材37は、ノズル本体34と同軸に配されている。第1のノズル部材37は、ステンレス鋼からなる。
【0032】
第2のノズル部材50は、円筒状に形成されている。第2のノズル部材50は、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone:以下PEEKと呼ぶ)からなる。第2のノズル部材50の外径は、第1のノズル部材37の外径と等しい。このように、ノズル54は、筒状に形成されており、内側にインクが流れるとともに、インサート部材35内に連通している。
【0033】
また、第2のノズル部材50の内径は、第1のノズル部材37の内径より小さい。第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37と同軸に配されているとともに、該第1のノズル部材37に連結している。
【0034】
第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37より電線3寄りに配されている。また、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との間は、水密になっている。第2のノズル部材50と第1のノズル部材37は、内側に第1のノズル部材37などの軸芯に沿ってインクが流れる。
【0035】
このため、第2のノズル部材50の第1のノズル部材37寄りに端面50aは、第1のノズル部材37の内面から該第1のノズル部材37の内側に向かって突出している。また、端面50aは、軸芯に対し直交(交差)する方向に沿って平坦に形成されている。端面50aは、段差をなしており、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との間に形成されている。
【0036】
接続パイプ51は、フッ素樹脂からなり円筒状に形成されている。接続パイプ51の内径は、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50の外径と略等しい。接続パイプ51は、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との双方の外側に嵌合しており、これらの第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とを連結する。また、接続パイプ51は、第2のノズル部材50を第1のノズル部材37から着脱自在としている。
【0037】
弁機構38は、コイル40と、弁本体41と、コイルばね42と、を備えている。コイル40は、流路39の外側に設けられインサート部材35内に埋設されている。コイル40は、外部から電流が印加される。弁本体41は、導電性の本体部43と、弁体44とを備えている。本体部43は、円柱状の円柱部45と、この円柱部45の一端に連なる円盤状の円板部46とを一体に備えている。
【0038】
本体部43は、円板部46が第1のノズル部材37の基端部37aと相対し、円柱部45の長手方向がノズル本体34の長手方向と平行な状態で、流路39内に収容されている。また、本体部43即ち弁本体41は、円柱部45の長手方向即ちノズル本体34の長手方向に沿って移動自在に設けられている。
【0039】
弁体44は、本体部43の円板部46に取り付けられている。即ち、弁体44は、インサート部材35内に収容されている。弁体44は、第1のノズル部材37の基端部37aと相対する。弁体44は、本体部43の円板部46に取り付けられているため、第1のノズル部材37の基端部37aに接離自在になっている。なお、接離とは、近づいたり離れたりすることである。また、前述した第1のノズル部材37の基端部37aは、ノズル54の収容部としてのインサート部材35内に位置する基端部をなしている。
【0040】
弁体44は、第1のノズル部材37の基端部37aに接触すると、この基端部37aとの間を水密に保ち、流路39内のインクが第1のノズル部材37内に侵入することを防止する。また、弁体44は、第1のノズル部材37の基端部37aから離れると、第1のノズル部材37及び第2のノズル部材50内を通ってインクが電線3の外表面3aに向かって滴射されることを許容する。
【0041】
このように、弁体44は、図3中に二点鎖線で示す開位置と、図3中に実線で示す閉位置とに亘って基端部37aに接離する。開位置では、弁体44は、基端部37aから離れてインクを第1のノズル部材37と第2のノズル部材50内を通して電線3に向かって滴射させる。閉位置では、弁体44は、基端部37aに接触してインクを第1のノズル部材37と第2のノズル部材50内を通して電線3に向かって滴射することを規制する。弁体44は、基端部37aに接離することで、ノズル54からインクを滴射させる。
【0042】
コイルばね42は、円板部46を弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aに近づく方向に付勢している。
【0043】
前述した構成の着色ノズル31は、ユニット本体30に取り付けられている。また、着色ノズル31は、ユニット本体30に取り付けられると、電線3の移動方向Kに沿って複数並べられている。図示例では、ユニット本体30は、着色ノズル31を電線3の移動方向Kに沿って五つ並べている。
【0044】
また、各着色ノズル31は、図2に示すように、第1のノズル部材37の軸芯の延長上に電線3の最上部が位置する状態で、ユニット本体30に支持される。なお、着色ノズル31は、軸芯に沿ってインクを滴射する。このため、着色ノズル31は、電線3の最上部に向かってインクを一定量ずつ滴射する。前述した着色ノズル31は、ノズルをなしている。
【0045】
薬液用容器32は、着色ノズル31各々に対応して、設けられている。図示例では、薬液用容器32と、着色ノズル31とは、1対1で対応している。薬液用容器32は、前述したインクを封入する。
【0046】
薬液用容器32には、加圧流体供給管58と薬液排出管59が取り付けられている。加圧流体供給管58には、加圧気体供給源33から加圧された流体としての加圧された気体が供給される。また、加圧流体供給管58と、加圧気体供給源33との間には、バルブ62が設けられている。バルブ62は、開くと加圧された気体を薬液用容器32内に供給し、閉じると加圧された気体を薬液用容器32内に供給することを停止する。
【0047】
薬液排出管59は、着色ノズル31の流入管36に接続している。薬液排出管59は、薬液用容器32内に加圧された流体としての加圧された気体が供給されると、薬液用容器32内のインクを流入管36即ち着色ノズル31に向かって排出する。即ち、薬液排出管59は、薬液用容器32内のインクを排出するためのものである。
【0048】
加圧気体供給源33は、バルブ62を介して薬液用容器32の加圧流体供給管58と接続している。加圧気体供給源33は、バルブ62及び加圧流体供給管58を介して、薬液用容器32内に加圧された流体としての加圧された気体を供給する。この加圧気体供給源33は、複数の薬液用容器32に対応して設けられて、該対応する薬液用容器32に加圧された気体を供給しても良い。
【0049】
前述した構成の薬液吐出ユニット15は、制御装置19からの命令に基づいて、バルブ62が開放されて、加圧気体供給源33からの加圧された気体が各薬液用容器32内に供給される。そして、薬液吐出ユニット15は、制御装置19からの命令によって、薬液用容器32内が所定の圧力に保たれる。すると、各薬液用容器32内のインクが、着色ノズル31に供給される。
【0050】
そして、前述した構成の薬液吐出ユニット15は、制御装置19からの命令に基づいて、任意の着色ノズル31のコイル40に印加されて後述の弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aから離れる。そして、薬液吐出ユニット15は、任意の着色ノズル31の流路39内のインクを一定量ずつ電線3に向かって滴射する。
【0051】
本明細書では、粘度が10mPa・s(ミリパスカル秒)以下のインクを用いる。前述したインクとは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。有機物質としては、色材として染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、インクとは、着色液または塗料である。なお、このインクの詳細な説明は、後ほど記載する。
【0052】
着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、溶媒中に顔料が分散しているものを示している。このため、着色液が電線3の外表面3aに付着すると、染料が被覆部5内にしみ込み、塗料が電線3の外表面3aに付着すると、顔料が被覆部5内にしみ込むことなく外表面3aに接着する。
【0053】
即ち、薬液吐出ユニット15は、電線3の外表面3aの一部を染料で染める又は電線3の外表面3aに顔料を塗る。このため、電線3の外表面3aを着色するとは、電線3の外表面3aの一部を染料で染める(染色する)ことと、電線3の外表面3aの一部に顔料を塗ることとを示している。
【0054】
また、前記溶媒は、被覆部5を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が被覆部5内に確実にしみ込んだり、顔料が外表面3aに確実に接着することとなる。
【0055】
さらに、前述した滴射とは、着色ノズル31から液状のインクが、液滴の状態即ち滴の状態で、電線3の外表面3aに向かって付勢されて打ち出されることを示している。
【0056】
制御装置19は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置19は、電線送り加工ユニット11と、着色ノズル31則ち薬液吐出ユニット15などと接続しており、これらの動作を制御することにより、着色装置1全体の制御をつかさどる。
【0057】
制御装置19は、予め印6のパターンを記憶している。制御装置19は、バルブ62を開閉(制御)して、薬液用容器32内の圧力を、薬液用容器32を破損させることなく該薬液用容器32内のインクを押圧できる予め定められた所定の圧力に保つ。制御装置19は、エンコーダ17から所定のパルス状の信号即ち電線3の移動量に応じた情報が入力すると、予め定められた着色ノズル31のコイル40に一定時間印加して、該着色ノズル31から電線3に向かってインクを一定量ずつ滴射させる。制御装置19は、予め記憶した印6のパターンにしたがって、電線3の移動速度が速くなると着色ノズル31からインクを滴射する時間間隔を短くし、電線3の移動速度が遅くなると着色ノズル31からインクを滴射する時間間隔を長くする。こうして、制御装置19は、予め記憶したパターンにしたがって、電線3を着色する。制御装置19は、エンコーダ17が測定した電線3の移動量に基づいて、着色ノズル31にインクを一定量ずつ滴射させる。
【0058】
また、制御装置19は、エンコーダ17からの情報により、電線3が所定量移動したと判定すると、電線3を停止した後、該電線3を切断する。
【0059】
前述した構成の着色装置1で、電線3の外表面3aに印6を形成する即ち電線3の外表面3aを着色する際には、まず、フレーム10に長尺の電線3を取り付ける。
【0060】
また、所定の色のインクを封入した薬液用容器32に加圧流体供給管58と薬液排出管59とを取り付けて、これらを加圧気体供給源33と着色ノズル31と接続する。そして、薬液吐出ユニット15のユニット本体30の所定箇所に着色ノズル31を取り付ける。その後、バルブ62を開いて、加圧気体供給源33からの加圧された気体を、各薬液用容器32内に供給する。すると、各薬液用容器32内のインクが着色ノズル31に供給される。
【0061】
そして、電線送り加工ユニット11を駆動して、電線3の長手方向に沿って移動させる。
【0062】
そして、エンコーダ17から所定の順番のパルス状の信号が制御装置19に入力すると、制御装置19は、予め定められた着色ノズル31のコイル40に一定時間、所定間隔毎に印加する。すると、着色ノズル31は、インクを一定量ずつ電線3の外表面3aに向かって滴射する。
【0063】
そして、電線3の外表面3aに付着したインクから前述した溶媒が蒸発して、電線3の外表面3aを染料で染める又は外表面3aに顔料を塗る。電線3の外表面3aに付着したインクから蒸発した溶媒は、電線送り加工ユニット11のダクト内から吸引手段に吸引される。こうして、電線3の外表面3aが着色される。
【0064】
エンコーダ17などからの情報により、制御装置19が所定の長さの電線3を送り出したと判定すると、この制御装置19は、電線3の移動を停止する。
【0065】
そして、制御装置19は、電線3を切断する。こうして、図4などに示された外表面3aに印6が形成された電線3が得られる。
【0066】
また、前述した着色ノズル31から液状のインクを電線3の外表面3aに向かって一定量ずつ滴射すると、軸芯に沿って第1のノズル部材37と第2のノズル部材50内を流れるインクの一部は、第2のノズル部材50の端面50aに衝突する。そして、端面50aに衝突した電線用着色インクの一部は渦を発生して、インクを攪拌することとなる。そして、第2のノズル部材50内のインクの濃度が一様に保たれる。
【0067】
また、前述した着色ノズル31から液状のインクを電線3の外表面3aに向かって一定量ずつ滴射する際に、流路39から第1のノズル部材37内にインクが侵入すると、該インクの圧力が高くなる。そして、インクの圧力は、第1のノズル部材37内では略一定となる。インクの一部が端面50aに衝突すると、該インクの圧力は、急激に高くなる。そして、第2のノズル部材50から電線3の外表面3aなどに向かって滴射されると、インクの圧力は急激に低下する。
【0068】
また、前述した着色ノズル31から液状のインクを電線3の外表面3aに向かって一定量ずつ滴射する際に、流路39から第1のノズル部材37内にインクが侵入すると、該インクの流速(速度)が低くなる。そして、インクの流速(速度)は、第1のノズル部材37内では略一定となるとともに、第2のノズル部材50に向かうにしたがって流速は遅く一定になる。
【0069】
インクの一部が端面50aに衝突すると、該インクの流速(速度)は、急激に速くなる。そして、第2のノズル部材50から電線3の外表面3aなどに向かって滴射されると、インクの速度は速いままに保たれる。このように、インクが第2のノズル部材50内に侵入すると、該インクの圧力と流速(速度)が急激に高く又は速くなる。そして、圧力が高くかつ流速が速い液状のインクが電線3の外表面3aに向かって滴射される。
【0070】
前述したインクは、溶媒と、アクリル樹脂と、色材とを含んだインク本材100重量部に対して、濃度が10%以上でかつ15%以下のPVA(Polyvinylalcohol)水溶液5重量部以上15重量部以下配合したものである。
【0071】
本発明でいうインク本材とは、例えば、溶媒96重量部と、アクリル樹脂3重量部と、色材1重量部とを配合したものである。溶媒としては、アクリル樹脂成分の溶解性、揮発性、取り扱い性等を勘案して用いるが、これらを満足するものとしてケトン類(有機溶剤)を用いる。具体的にはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を用いる。また、溶媒として、メタノール、エタノールなどの揮発性の高いアルコール類等の易揮発性溶媒が上記ケトン類に配合されたものを用いてもよい。
【0072】
色材としては、インクジェット用インクに配合されうる着色成分であれば良く、顔料、染料、あるいはこれらの中間的な着色材料などを用いる。含有量としては電線3の外表面3aに滴射されたときに、電線3の外表面3aに明確なマーキングが可能な濃度で、かつ、滴射が可能な濃度であれば良い。
【0073】
ここで具体的には顔料としてはアクリル樹脂の溶剤に対して均一分散し、着色ノズル31を詰らせないものを適宜選択して使用することができる。また、染料としては黄色系ではオイルイエロー129(C.I.ソルベントイエロー29)、オイルイエロー3G(C.I.ソルベントイエロー16)などが挙げられ、赤色系ではオイルレッド513(C.I.ソルベントレッド27)、オイルレッドRR(C.I.ソルベントレッド24)などが挙げられる。青色系ではオイルブルー2N(C.I.ソルベントブルー35)、ファストブルー1605(C.I.ソルベントブルー38)、黒色系ではオイルブラックHBB(C.I.ソルベントブラック8)、オイルブラックBS(C.I.ソルベントブラック7)などが挙げられ、これらはオリエント化学工業社等から入手できる。
【0074】
ここで、電線3の外表面3aの色が濃色の場合には、顔料や、顔料と染料との中間的な性格を持つ着色材料を色材として用いることが望ましく、電線3の外表面3aの色が白色や淡色の場合には、色材として染料であっても好適に使い得る。
【0075】
アクリル樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、及び、ポリアクリル酸メチル及びその変性体を用いることができ、これらから選択して用いるが、2種以上を混合使用しても良い。
【0076】
また、本発明のインク中のアクリル樹脂としては、マーキングの堅牢性を高める柔軟成分であるゴム成分が予め配合されているアクリル樹脂を用いることもでき、このようなアクリル樹脂は旭化成社から入手可能である。
【0077】
本発明のインク本材は、前述した溶媒とアクリル樹脂と色材との他に、顔料等の分散成分の分散性を向上させる分散剤、粘度を調整するための粘度調整剤などを適量配合してもよい。
【0078】
本発明でいうPVA水溶液の濃度とは、所謂、質量パーセントであり、PVA水溶液中のPVAの質量をPVA水溶液全体の質量で除して、100をかけた値である。
【0079】
本発明のインクは、前述した原料を均一になるよう攪拌・混合して溶解・分散させて得るが、そのとき、ノズル54(内径0.03〜0.1mm)から適当な液量の液滴(10〜100nL)が吐出される粘度範囲に調整される。このような粘度範囲(使用温度での)としては通常0.1mPa・s以上2mPa・s以下であり、好ましい範囲は0.5mPa・s以上1.4mPa・s以下である。また、色材の配合量は、充分な視認性が得られる濃度以上とすることが必要である。
【0080】
本実施形態によれば、インク本材100重量部に対してPVA水溶液を5重量部以上15重量部以下配合しているので、電線3の外表面3aに付着したインクの液滴の乾燥速度を若干遅らせて、乾燥中に電線3の外表面3aに付着したインクの液滴の外縁に色材が集中することを防止できるとともに、色材の分散性が向上して(分散しやすくなって)、色むらの発生を防止できる。
【0081】
また、インク本材100に対してPVA水溶液を配合しているので、溶媒の揮発を抑制できてインクの濃度の変化を抑制できるとともに、乾燥して形成された塗膜の堅牢性の低下を防止できる。
【0082】
さらに、電線3の外表面3aに付着した液滴の乾燥速度を若干遅らせるので、乾燥速度が極端に遅くなって、電線3の外表面3aを汚すことを防止できる。
【0083】
また、PVA水溶液の濃度が10%以上で15%以下であるので、乾燥中にアクリル樹脂が表層に集中することをより防止できるとともに、色材の分散性が向上して(分散しやすくなって)、色むらの発生をより防止できる。
【0084】
インクが第2のノズル部材50の端面50aに衝突して、攪拌される。又、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とが同軸に配され、端面50aが軸芯に対し直交(交差)しているので、インクがより確実に攪拌される。このため、インク中の色材としての染料または顔料の濃度が一様に保たれる。このため、極端に濃度が濃くなったインクが着色ノズル31のノズル54に付着することを防止できる。
【0085】
また、第1のノズル部材37内から第2のノズル部材50内に侵入すると、インクは、急激に加圧される。このため、第2のノズル部材50から電線3の外表面3aに向かって滴射されたインクは、勢い良く電線3の外表面3aに向かって打ち出されることとなる。このため、インクが、第2のノズル部材50に付着することを防止できる。
【0086】
このように、インクが第2のノズル部材50に付着することを防止できるので、第2のノズル部材50から一定量ずつ確実に電線3の外表面3aに向かってインクを滴射できる。また、インクが第2のノズル部材50に付着することを防止できるので、勿論、第2のノズル部材50などに付着したインクが、滴射されたインクの滴射される方向に影響を与えることを防止できる。したがって、電線3の外表面3aの所望の位置に向かってインクを確実に一定量ずつ滴射することができ、電線3の外表面3aの所望の位置を所望の色に着色できるとともに、着色した箇所(前述した点7)を所望の面積(大きさ)に保つことができる。
【0087】
電線3の長手方向に沿って、電線3と着色ノズル31とを相対的に移動させている間に、着色ノズル31が一定量ずつインクを電線3に向かって滴射する。このように、電線3と着色ノズル31との相対的な移動中に、電線3を着色する。このため、電線3を着色するために、電線3を停止する必要がないので、作業効率を低下させることがない。また、電線3と着色ノズル31との相対的な移動中に電線3に向かって一定量ずつインクを滴射するため、電線3の任意の位置を着色でき、勿論連続的に電線3を着色できる。
【0088】
エンコーダ17が電線3の移動量を測定して、制御装置19が着色ノズル31を電線3の移動量に応じて制御する。このため、電線3の移動速度が速くなるとインクを滴射する間隔を短くし、電線3の移動速度が遅くなるとインクを滴射する間隔を長くすることができる。このように、電線3の移動速度が変化しても、電線3の外表面3aに付着したインクの間隔を一定に保つことができる。
【0089】
したがって、電線3の移動速度が変化しても、予め定められるパターンにしたがって電線3の外表面3aにインクを付着させることができる。即ち、電線3の移動速度が変化しても、予め定められるパターンにしたがって、電線3を着色できる。
【0090】
次に、本発明の発明者らは、濃度が5%、10%、15%、20%のPVA水溶液各々を、前述したインク本材100重量部に対して3重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部配合して得たインクを、電線3の外表面3aに向かって滴射した際のマーキング(着色)状況の良否を確認した。結果を表1に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
結果を表1に示した実験では、インク本材として、溶媒としての含有量99%以上のアセトンを96重量部と、アクリル樹脂としてのPMMAを3重量部と、色材としての油溶性染料(オリエント工業製C.I.ソルベントブルー)を1重量部とを配合したものを用いた。結果を表1に示した実験では、内径が0.065mmのノズル54を用いて、被覆部5がポリプロピレンで構成された電線3(外径:1.4mm、外観色:白)を長さ方向に移動させながら、乾燥後の膜厚が約10μmになるようにマーキングを行った。
【0093】
表1中の色むらが○とは、マーキング箇所(前述した点7)の表面の色の濃淡がある箇所の面積が、該マーキング箇所(前述した点7)の表面全体の面積の1/3より少なくて、該マーキング箇所(前述した点7)の色を確実に識別可能な場合を示している。表1中の色むらが×とは、マーキング箇所(前述した点7)の表面の色の濃淡がある箇所の面積が、該マーキング箇所(前述した点7)の表面全体の面積の1/3以上で、該マーキング箇所(前述した点7)の色を識別不可能な場合を示している。
【0094】
表1中の堅牢性は、以下のように評価を行った。曲率R:37.5(15mm)の台の上に、台の曲面に沿わせてマーキングを施した一本の電線3を、そのマーキングが上になるように固定する。三橋フェルト社製白フェルト2号(羊毛80%、厚さ3mm)を上方からこの電線3に一定圧力で押しつけながら、電線3に沿って一定距離間を30回往復動させた。
【0095】
その後にこの電線3を観察して、そのマーキング(点7)の形状が識別可能であり、インクの剥がれが全くない又はインクが多少剥がれた場合に自動車用ワイヤーハーネスでも用いることができる電線3としても優れた堅牢性があるとして、堅牢性「○」とした。インクの剥がれによりマーキング(印)の識別が不可能である場合を、堅牢性「×」とした。
【0096】
表1中の回り込みが○とは、マーキング箇所(前述した点7)の裏側にインク間に隙間が無い場合を示し、表1中の回り込みが×とは、マーキング箇所(前述した点7)の裏側にインク間に隙間が有る場合を示している。
【0097】
表1によれば、濃度が10%未満のPVA水溶液とインク本材とを配合したインクでは、色むらと堅牢性に特に問題が生じることが明らかとなった。濃度が15%を超えるPVA水溶液とインク本材とを配合したインクでは、特に回り込みに問題が生じることが明らかとなった。
【0098】
表1によれば、PVA水溶液5重量部未満とインク本材100重量部とを配合したインクでは、色むらと堅牢性に特に問題が生じることが明らかとなった。PVA水溶液15重量部超とインク本材100重量部とを配合したインクでは、特に回り込みに問題が生じることが明らかとなった。
【0099】
表1によれば、濃度が10%以上でかつ15%以下のPVA水溶液5重量部以上15重量以下と、インク本材100重量部とを配合したインクでは、色むらと堅牢性と回り込みの全てに問題のないマーキングを行うことができることが明らかとなった。
【0100】
前述した実施形態では、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とを互いに別体としている。しかしながら、本発明では、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とを一体にしても良い。
【0101】
さらに、本発明では、インク本体として、アクリル系塗料、インク(染料系、顔料系)、UVインクなどの種々のものを用いても良い。
【0102】
さらに、前述した実施形態では、自動車に配索されるワイヤハーネスを構成する電線3に関して記載している。しかしながら、本発明では、電線3を自動車に限らず、ポータブルコンピュータなどの各種の電子機器や各種の電気機械に用いても良いことは勿論である。
【0103】
また、前述した実施形態では、加圧された流体としての加圧された気体を薬液用容器32内に供給している。しかしながら、本発明では、気体に限らず液体などの種々の流体を、加圧して薬液用容器32内に供給しても良いことは勿論である。
【0104】
また、前述した実施形態では、ノズルとして、弁機構38を備えた着色ノズル31を示している。しかしながら、本発明の特許請求の範囲に記載されたノズルは、弁機構38を備えていない単なる筒やオリフィス状に形成しても良い。
【0105】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の一実施形態にかかる薬液吐出ユニットを備えた電線の着色装置の構成を示す側面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う電線の着色装置の薬液吐出ユニットの断面図である。
【図3】図2に示された薬液吐出ユニットの各着色ノズルの構成を示す断面図である。
【図4】(a)は図1に示された電線の着色装置で着色された電線の斜視図である。 (b)は図4(a)に示された電線の平面図である。
【符号の説明】
【0107】
3 電線
3a 外表面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の外表面に一定量ずつ滴射されて該電線の外表面を着色する電線用着色インクにおいて、
溶媒とアクリル樹脂と色材とを含んだインク本材100重量部に対して、PVA水溶液を5重量部以上15重量部以下配合したことを特徴とする電線用着色インク。
【請求項2】
前記PVA水溶液の濃度が10%以上でかつ15%以下であることを特徴とする請求項1記載の電線用着色インク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−13723(P2008−13723A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189011(P2006−189011)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】