説明

電縫管の内面ビ−ド切削支援システム

【課題】従来から電縫管内面ビ−ド切削は断続ビ−ド(溶接能力不足)、過大ビ−ド(溶接能力過大)により切削抵抗に変化をおこし、バイト刃先の欠けや、バイトの折損のため良質の造管を得られないばかりか多数のNG管を出していた。これは電縫管内面ビ−ド切削は管の内部で行われるためビ−ド切削の様子を見ることが出来ず、ビ−ド切削の良否の判定が遅れたりするからである。
【解決手段】ビ−ド切削装置であるマンドレル(2)に具備したひずみゲ−ジ(4)で切削抵抗を検出しコントロ−ラ−(9)内の演算回路(12)で処理を行うことにより切削抵抗を波形としてデスプレー(13)でとらえビ−ド切削の良否を判定出来る様にした事を特徴とした電縫管内面ビ−ド切削支援システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電縫管オンライン製造工程に於ける溶接ビ−ド切削状況を監視、自動操作する電縫管の内面ビ−ド切削支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電縫溶接管は帯鋼を管状に成形しながら帯鋼の両端面を突き合わせ電気抵抗加熱し、スクイズロ−ルで圧着して製管する。この際、管の内面に生じた溶接ビ−ドはフォ−ミングセクション内の帯成形の開放部より設置したマンドレルに取り付けたバイトで切削される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上述べた従来のオンライン製造工程での電縫管内面ビ−ド切削では次のような問題点があった。
【0004】
電縫管の内面ビ−ド切削部位は包み込まれた管内にあり切削の様子を見ることが出来ない。又ビ−ド切削面の増大や、過大ビ−ドとスクイズロ−ルとの不整合の為に切削抵抗の増大によるバイトの刃先のチッピング(小さな欠け)又はバイトの折損等によるバイト交換で造管の一次停止による時間の損失やビ−ド切削不良の為良質の造管を得る事が出来なかった。
【0005】
ビ−ド切削の良否の判定は経験的に固定ブラケットの振動の具合や音の判断で確認し最終的には定尺切断後に製品断面の目視や触手判断で良品を決めていた。しかし定尺切断後のビ−ド切削良品の判断の場合は溶接担当オペレ−タ−が造管位置より15−40m先にある定尺切断位置まで歩いて確認するので時間を要しオペレ−タ−の負担になった。
【0006】
本発明は、この様な従来の欠点である問題を解決しょうとするものであり、良質な電縫管を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために電縫管ビ−ド切削装置であるマンドレル(2)を固定する為の固定ブラケット(3)の右側に位置するマンドレル(2)に取り付けたひずみゲ−ジ(4)と接続するコントロ−ラ−(9)に切削基準値(造管の材質、径、肉厚、造管の速度、バイトNO)をインプットし造管稼働させてバイト(1)に作用する切削抵抗がひずみゲ−ジ(4)による抵抗変化を電圧の形で取りだしコントロ−ラ−(9)内に構成する増幅器で増幅し演算回路を通じてデスプレ−上に波形として検出させ、その波形が正常波形か異常波形かを監視し、自動操作し、正常波形を維持する事を特徴とした電縫管内面ビ−ド切削支援システムである。
【0008】
デスプレ−上に異常波形が生じた場合には演算回路にフィ−ドバックされ出力回路を通じて警報、溶接停止、造管停止が行われる。
【発明の効果】
【0009】
上述したように本発明の電縫管内面ビ−ド切削支援システムは溶接時に生成されるビ−ド形状の変化のため切削抵抗の増大によるバイト刃先のチッピング(小さな欠け)や折損状態をデスプレ−上に波形として見ることが出来るので直ちに対策を取ることが出来る。又切削が異常な場合には警報が鳴るため溶接停止や造管停止を取ることが出来るので良質の造管を作る事が出来る。
【0010】
波形を監視することによりバイトの磨耗時間も推定出来るためバイトの交換時期を把握出来る。又切削基準値は過去又は事前に行われた正常な造管時の切削抵抗値を平均化したデ−タ−を収録しておくので、使用の場合はその都度採用するので設定時間の合理化を計る事ができる。
【0011】
又造管中の切削状況の良否の確認は造管オペレ−タ−が固定ブラケットの振動を触手で判断したり、定尺切断の現場まで行って製品断面を確認する必要が無いため労力の軽減を計る事ができる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1−図10に基づいて説明する。
切削基準値は下記の通り。
(事例)
材質 SUS
造管径 48mm
造管の肉厚 2mm
バイトNO.11
造管の速度 40m/min
【0013】
図1に於いては本発明に係わる内面ビ−ド切削装置の要部を示す斜視図とコントロ−ラ−(9)の構成図で(1)はバイト、(2)はマンドレル、(3)は固定ブラケット、(4)はひずみゲ−ジ、(5)は電気抵抗加熱位置、(6)はスクイズロ−ル、(7)は内面ビ−ド、(8)は造管中の管、(9)はコントロ−ラ−、(10)はDC電源、(11)は増幅器、(12)は演算回路、(13)はデスプレ−、(14)は出力回路、(15)は警報、(16)は溶接停止、(17)は造管停止、(18)は電源、(19)は造管運転入力、(20)はリセット入力である。
【0014】
図2に於いてはコントロ−ラ−(9)の斜視図で、(21)は電源表示、(22)はリセット釦、(23)は警報器である。
【0015】
図3に於いては切削抵抗の波形が正常状態を示す図で、造管作業を始めるに当たり切削基準値(前例に基づいた数値で事例では材質はSUS、造管径は480造管の肉厚は2mm、バイトNO.11造管の速度40m/min)をコントロ−ラ−(9)に入力して運転する。そして切削抵抗が正常値を示す波形であるので造管作業を継続する。
【0016】
図4においては、バイト(1)の磨耗、チッピング(小さい欠け)により異常波形を示したもので切削抵抗が上限値を越えた時点で警報と同時に溶接停止又は造管停止となり、バイト修正後再起動。
【0017】
図5に於いては、バイト(1)の刃の折損による異常波形を示しなものである。従って切削抵抗の波形が急に下限値を越えた時点で警報と同時に溶接停止又は造管停止となりバイト交換後再起動。
【0018】
図6に於いては、過大ビ−ドとスクイズロ−ルとの不整合によるもので波形が中央値と上限値の間にあって更なる過大ビ−ドとスクイズロ−ルの不整合の場合には切削抵抗の波形が上限値を越えた時点で警報と同時に溶接停止又は造管停止となり不整合調整後再起動。
【0019】
図7に於いては、ビ−ドの断続(溶接能力不足)で切削抵抗の波形が上限値と下限値の間一杯に振れ異常波形となり切削抵抗の波形が下限値を越えた時点で警報と同時に溶接停止又は造管停止となり溶接調整後再起動。
【0020】
図8に於いては、波形が中央値と下限値の間を推移する場合でこの場合はアンダ−カット(浅削り)と言い、バイト(1)の高さ位置が低い為で造管を停止しバイト(1)の高さ調整を行い再起動。
【0021】
図9に於いては、波形が中央値と上限値の間を推移する場合でこの場合はオ−バ−カット(深削り)と言いバイト(1)の高さ位置が高い為で造管を停止しバイト(1)の高さ調整を行い再起動。
【0022】
図10に於いては、バイト(1)の付け忘れで無負加状態の波形となる。この場合は直ちに造管を停止しバイト(1)を取り付け後再起動。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の内面ビ−ド切削装置の要部を示す斜視図とコントロ−ラ−(9)の構成図
【図2】コントロ−ラ−(9)の斜視図
【図3】切削抵抗か正常状態を示す波形図
【図4】切削抵抗がバイトのピッチング(小さい欠け)により発生した波形図
【図5】切削抵抗がバイトの折損により発生した波形図
【図6】切削抵抗に過大ビ−ドとスクイズロ−ル不整合が発生した波形図
【図7】切削抵抗が溶接能力不足の為に発生した波形図
【図8】切削抵抗がアンダ−カット(浅削り)の為に発生した波形図
【図9】切削抵抗がオ−バ−カット(深削り)の為に発生した波形図
【図10】切削抵抗がバイトの付け忘れの為に発生した波形図
【符号の説明】
【0024】
1 バイト
2 マンドレル
3 固定ブラケット
4 ひずみゲ−ジ
5 電気抵抗加熱位置
6 スクイズロ−ル
7 内面ビ−ド
8 造管中の管
9 コントロ−ラ−
10 DC電源
11 増幅器
12 演算回路
13 デスプレ−
14 出力回路
15 警報
16 溶接停止
17 造管停止
18 電源
19 造管運転入力
20 リセット入力
21 電源表示
22 リセット釦
23 警報器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電縫管オンライン製造工程に於いて、バイト(1)を取り付けたマンドレル(2)とマンドレル(2)を固定した固定ブラケット(3)の右側に位置するマンドレル(2)にひずみゲ−ジ(4)を取り付け、ひずみゲ−ジ(4)と接続するコントロ−ラ−(9)に切削基準値をインプットし、バイト(1)に作用する切削抵抗をひずみゲ−ジ(4)に生じた抵抗変化を電圧の形で取りだし増幅し演算回路の処理により切削低抗をデスプレ−上に波形として検出し、その波形が正常波形か異常波形かを監視し、自動操作によって正常な電縫管内面ビ−ド切削を行う事を特徴とした電縫管内面ビ−ド切削支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−636(P2011−636A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162226(P2009−162226)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(504436468)東将精工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】