説明

電荷量測定装置

【課題】測定開始時にコンデンサに溜まっている電荷を減少させることができ、粉体電荷量測定をより正確に行うことができる電荷量測定装置を提供すること。
【解決手段】ステップS4又はステップS12において、初期化指示手段の指示(リセットスイッチ14の操作)により開始されたリセット制御(初期化制御)の継続時間が、所定時間を経過しているか否かを判断する。所定時間が経過していない場合(S4:No、S12:No)、リセット制御(初期化制御)の開始から、その継続時間までに行われた駆動指示手段による指示(ポンプスイッチ13の操作)、解除指示手段による指示(リセットスイッチ14の操作)は無視される。そして、所定時間が経過後は(S4:Yes、S12:Yes)、駆動指示手段及び解除指示手段の指示によって、初期化制御の解除とポンプ4(吸引手段)の駆動が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器に収納された粉体などの被測定媒体の電荷量を測定する電荷量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、トナー1及びキャリア2が入った現像剤容器8内のトナーを、吸引手段33によって吸引し、吸引したトナーの電荷量をコンデンサを含む電荷量測定手段36によって測定する技術が開示されている。現像剤容器の開口部には、トナーを通しキャリアを通さない大きさの孔径を持つメッシュ3が設けられており、このメッシュを通して現像剤容器内のトナーのみが吸引手段によって吸引される。
【0003】
上述の文献においては、さらに、電荷量測定手段のコンデンサと並列接続した短絡スイッチ39が設けられており、吸引手段を駆動させる前にこの短絡スイッチをON操作してコンデンサの電荷を放電させ、測定開始時にコンデンサに不要な電荷が溜まらないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3567463号(再表WO97/036174)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1においては、放電は短絡スイッチの操作中のみに限られ、短絡状態を維持できるものではない。したがって、スイッチの操作が短い場合などには不要な電荷を十分に放電できないおそれがある。また、短絡してから吸引手段を駆動させるまでの間に何らかの要因でコンデンサに不要な電荷が溜まるおそれもある。これら要因により、粉体電荷量の測定値に誤差が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、測定開始時にコンデンサに溜まっている電荷を減少させることができ、粉体電荷量測定をより正確に行うことができる電荷量測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電荷量測定装置は、収納容器と、被測定媒体を前記収納容器に吸引するための吸引手段と、前記吸引手段の動作に応答して前記収納容器内に収納された被測定媒体の電荷量を測定する測定手段と、初期化指示手段と、前記初期化指示手段の指示操作に応答して、前記測定手段が初期化されるように初期化制御を行う初期化手段と、解除指示手段と、前記解除指示手段の指示操作に応答して、前記初期化制御を解除する解除手段と、駆動指示手段と、前記駆動指示手段の指示操作に応答して、前記吸引手段を駆動する駆動制御手段と、前記初期化制御が開始されてから所定時間が経過するまでは、前記解除指示手段及び前記駆動指示手段の指示操作が行われても、前記解除手段及び前記駆動制御手段による制御が行われないようにする制御禁止手段と、を備えているものである。
【0008】
また、本発明の電荷量測定装置は、前記所定時間経過後に前記駆動指示手段の指示操作が行われると、前記解除指示手段の指示操作が行われなくても前記初期化制御が解除され、その後、前記吸引手段が駆動されるように、前記解除手段及び前記駆動制御手段を制御する自動解除手段をさらに備えていることことが好ましい。
【0009】
また、本発明の電荷量測定装置は、自動初期化指示手段と、前記自動初期化指示手段の指示操作がなされた場合に、前記駆動指示手段の指示操作が行われると、前記初期化指示手段の指示操作が行われなくても前記初期化手段による初期化制御が行われ、前記解除指示手段の指示操作が行われなくても前記所定時間経過後に前記初期化制御が解除され、その後、前記吸引手段が駆動されるように、前記初期化手段、前記解除手段及び前記駆動制御手段を制御する自動初期化手段と、をさらに備えていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の電荷量測定装置は、前記初期化指示手段と前記解除指示手段とが共通のスイッチで構成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の電荷量測定装置は、前記初期化指示手段と前記自動初期化指示手段とが共通のスイッチで構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電荷量測定装置によると、いったん初期化指示手段を操作すれば、解除指示手段により解除するまで、必ず初期化状態が維持されるので、測定手段の例えばコンデンサに溜まった電荷を十分に放電でき、不要な電荷が溜まることを防止できる。さらに、初期化制御が開始されてから所定時間が経過するまでは、吸引手段の駆動や初期化状態の解除が行われることがないので、測定精度が担保される。したがって、測定開始時に電荷量の測定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電荷量測定装置の概略図である。
【図2】図1に示す電荷量測定装置のファラデーケージの模式図であって、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材とを分離させたときの図である。
【図3】図1に示す電荷量測定装置の機能ブロック図である。
【図4】図1に示す電荷量測定装置の通常モード時の動作を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す電荷量測定装置の通常モードと自動リセットモードの切替フローを示すフローチャートである。
【図6】図1に示す電荷量測定装置の自動リセットモード時の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す電荷量測定装置の通常モード時の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】図1に示す電荷量測定装置の通常モード時の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】図1に示す電荷量測定装置の自動リセットモード時の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】図1に示す電荷量測定装置の通常モード時の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図11】図1に示す電荷量測定装置の通常モード時の動作の変形例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電荷量測定装置1の概略図である。なお、内部構成の理解を容易とするため、筐体2の側板を取り外した状態を示すと共に、測定基板6の内部を電気回路図で示している。
【0015】
(電荷量測定装置の構成)
電荷量測定装置1は、図示しない電源部、ポンプ4(吸引手段)、測定基板6(測定手段)、及び、制御装置7を内蔵した筐体2と、吸引管8を介してポンプ4と接続されるファラデーケージ3(収納容器)とを有している。ファラデーケージ3は、同軸ケーブル9によって、筐体2内の測定基板6とも接続されている(電気的に接続されている)。
【0016】
筐体2は、操作面に、吸引管8が差し込まれる取り付け口10と、同軸ケーブル9が差し込まれる端子11と、電源スイッチ12と、その他4つのスイッチ13〜16(ポンプスイッチ13、リセットスイッチ14、ホールドスイッチ15、及び、レンジ切替スイッチ16)(詳細は後述)と、液晶画面17とを有している。ポンプ4は、吸引管8が取り付け口10に接続されることによってファラデーケージ3と接続される。そして、吸引管8を介して外部の粉体(被測定媒体)をファラデーケージ3内に吸引することができるようになる。なお、本実施形態においては、粉体の電荷量を測定しているが、粉体以外のものの電荷量を測定することもできる。例えば、粉体よりも粒が大きいもの(一般に粒体と言われるもの)や、粉体よりも粒が小さいもの(例えば、ミスト)の電荷量を測定しても良い。
【0017】
ファラデーケージ3は、収納容器の代表例である。粉体の電荷量を測定する際に使用される収納容器は、通常ファラデーケージであるが、粉体を閉じ込めることができ、外壁全体及び内壁全体が金属やグラファイトなどの導電性物質で覆われているものならば何でも良い。以下、特に断らない限り、収納容器はファラデーケージと記載し、代表する。
【0018】
ポンプ4は、吸引手段の代表例である。ポンプとして、油回転ポンプを選択する場合が多いが、クライオポンプ、油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプなどでもよい。また、上記複数種類のポンプを適宜組み合わせたものでもよい。さらに、本実施形態では、ポンプ4を用いて粉体を吸引することにより、粉体を吸引してファラデーケージ3内に収納しているが、負圧吸引、ブローオフやその他粉体を吸引する手段を行うものであればポンプに限らず、どのようなものでもかまわない。以下、吸引手段は、特に断らない限り、ポンプと記載し、代表する。
【0019】
測定基板6(金属製箱によりシールドされている)は、電荷量を測定する測定手段であり、端子11に差し込まれた同軸ケーブル9を介してファラデーケージ3内の粉体の電荷量を測定することができる。測定基板6は、図1に示すように、コンデンサ5と電圧計6a(電位計でも良い)と短絡スイッチ6bとを有している。コンデンサ5と電圧計6aとを並列に接続し、電位差を測定することにより、コンデンサ5に蓄電した電荷量が測定され、ファラデーケージ3内の粉体の電荷量が測定される。また、コンデンサ5と並列に短絡スイッチ6bを接続しており、ON(短絡)動作によりコンデンサ5に溜まった不要な電荷を放電することができる。なお、測定手段としてエレクトロメータを使用しても良い。以下、特に断らない限り、電荷量を測定する測定手段は測定基板と記載し、代表する。
【0020】
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの複数のハードウェアから構成されている。ROMには、制御装置7の動作を制御する制御プログラムなどが格納されている。そして、その制御プログラムが実行されることによって、図3の機能ブロック図に示すように、初期化部101、解除部102、初期化制御継続部103、駆動制御部104、停止制御部105、リセットホールド部106、自動解除部107、自動初期化部108、電荷量測定値取得部109、インディケータ制御部110、表示部111、判断部112の機能を発揮させている。なお、ROMに記憶されたのと同様の制御プログラムを、例えばCD−ROMやFD(フロッピー(登録商標)ディスク)などのメディアに格納することも可能である。また、本実施形態では、制御装置7は筐体2に内蔵されているが、制御装置7はPC(Personal Computer)等、筐体2とは別体のものであってもよい。
【0021】
スイッチ13〜15(ポンプスイッチ13、リセットスイッチ14、及び、ホールドスイッチ15)は、表面の凸部材を押すことにより操作可能なスイッチである。なお、スイッチ13〜15は、操作面になくてもよく、例えばペダル式のフットスイッチであってもよい。
【0022】
ポンプスイッチ13は、駆動指示手段の代表例である。操作者は、ポンプスイッチ13を操作することによって、後述する駆動制御部104にポンプ4の駆動を指示することができる。また、ポンプスイッチ13は、後述する停止制御部105にポンプ4の停止を指示する停止指示手段としての機能も果たしている。ポンプスイッチ13の操作により、どちらの制御(ポンプ4の駆動又は停止)が指示されるかは、ポンプ4の駆動状態等にもよるが、その説明は後述する。なお、駆動指示手段と停止指示手段とは別のスイッチであってもよい。
【0023】
リセットスイッチ14は、初期化指示手段、解除指示手段、及び、自動初期化指示手段を構成するスイッチであり、特に、リセットスイッチ14に判断部112を含んだものが初期化指示手段及び解除指示手段の代表例である。判断部112は、リセットスイッチ14の操作が短押し(例えば、1秒未満)であるか、長押し(例えば、1秒以上)であるかを判断するものである。そして、短押しと判断した場合に、後述する初期化部101に測定基板6の初期化制御を指示したり、後述する解除部102に初期化制御の解除を指示する。したがって、操作者は、リセットスイッチ14を短押しすることによって、初期化制御を指示したり、初期化制御の解除を指示したりすることができる。リセットスイッチ14の短押しにより、どちらの制御(初期化、解除)が指示されるかは、初期化制御の制御状態等にもよるが、その説明は後述する。
【0024】
一方、リセットスイッチ14に判断部112と記憶部112Sとを含んだものが自動初期化指示手段の代表例である。記憶部112Sは、自動リセットモードがON(ONの状態を自動リセットモードと記載する)であるか、OFF(OFFの状態を通常モードと記載する)であるかを記憶するものである。本実施形態においては、ONであることを“状態記憶変数S=1”で表し、OFFであることを“状態記憶変数S=0”で表す。そして、リセットスイッチ14の操作が長押し(例えば、1秒以上)であると判断部112が判断した場合に、判断部112から記憶部112Sに電気信号が届き、状態記憶変数が切り替わる。即ち、状態記憶変数=0つまりOFFであったとき、判断部112から記憶部112Sに電気信号が届くと、状態記憶変数=1つまりONに切り替わる。また、状態記憶変数=1つまりONであったとき、判断部112から記憶部112Sに電気信号が届くと、状態記憶変数=0つまりOFFに切り替わる。したがって、操作者は、リセットスイッチ14を長押しすることによって、自動リセットモードのON/OFFの切り替えを指示することができる。即ち、通常モードと自動リセットモードの切り替えを行うことができる。
【0025】
ここで、自動リセットモードとは、後述する自動初期化部108による制御を発揮し得る(行うことができる)モードであり、通常モードとは、自動初期化部108による制御が発揮できない(行うことができない)モードである。なお、初期化指示手段、解除指示手段、及び、自動初期化指示手段はそれぞれ別のスイッチであってもよいし、いずれか一つの指示手段のみ別のスイッチとしてもよい。また、自動初期化指示手段が短押しに対応し、初期化指示手段及び解除指示手段が長押しに対応するように短押し、長押しを入れ替えてもよい。また、本実施形態においては、自動リセットモードのON/OFFの切り替えは、記憶部112Sの状態記憶変数が切り替わることによって実行されるが、内部スイッチ等の機械的要素が切り替わることによってON/OFFが切り替わるようにしてもよい。
【0026】
また、ポンプスイッチ13とリセットスイッチ14はそれぞれ、一体化されたインディケータ13a、14aとを有している(図1参照)。そして、リセット制御が制御中の場合やポンプ4が駆動中の場合に、LED、ELまたは白熱電灯などによって点灯することが可能である(ポンプ4が駆動中はインディケータ13aが点灯し、リセット制御中はインディケータ14aが点灯する)。なお、スイッチとインディケータとは一体化されてなくてもよい。また、液晶画面17にリセット制御が制御中であることやポンプ4が駆動中であることが分かるように表示してもよい。
【0027】
ホールドスイッチ15は、後述する電荷量測定値取得部109で所定時間ごとに取得された電荷量を、液晶画面17にホールドするように制御装置7に指示するスイッチである。制御装置7は、ホールドスイッチ15がONされた時、その時点で電荷量測定値取得部109で取得されている電荷量の測定値を保持してその測定値を液晶画面17にホールドするよう制御する。ホールドはホールドスイッチ15のOFF操作により解除される。なお、本実施の形態において、前もってホールドスイッチ15の長押し(たとえば1秒)することによって自動ホールドモードに移行させることができる。自動ホールドモードでは、ポンプ駆動の所定時間後において、電荷量測定値取得部109で取得している電荷量の測定値を自動的に保持して液晶画面17にホールドする。なお、ホールドスイッチ15は、なくてもよい。また、ホールドスイッチ15にも、ホールドスイッチ15と一体化されたインディケータが設けられ、ONの状態で点灯するようにしてもよい。
【0028】
レンジ切替スイッチ16は、表面のつまみ部分を操作することにより、電荷量値の最大表示を2段階(例えば、2.0μC、0.2μC)に切替可能なスイッチである。レンジ切替スイッチ16はなくてもよいが、測定基板6の測定精度が、例えばフルスケールの±1%程度の精度である場合等には、レンジ切替スイッチ16を設けることで測定誤差を小さくすることができ、より正確な測定値を得ることが可能となる。なお、レンジ切替スイッチ16は3段階以上に切替可能としても良い。
【0029】
(ファラデーケージの詳細)
次に、図2を参照しつつファラデーケージ3について詳しく説明する。図2は、ファラデーケージ3を構成する第1のハウジング部材20と第2のハウジング部材30とを分離させたときの模式図である。ファラデーケージ3は、ファラデーケージ本体50と、ファラデーケージ本体50内に収納され、ファラデーケージ本体50に対して着脱可能なフィルタカートリッジ40と、フィルタユニット41とを有している。
【0030】
ファラデーケージ本体50は、第1のハウジング部材20と、第2のハウジング部材30とを有し、分離可能な構成となっている。なお、フィルタカートリッジ40は、これら両ハウジング部材20、30が組み付けられたときに形成された空間に収容されている。また、ファラデーケージ本体50には、ポンプ4に接続された吸引管8をファラデーケージ本体50に接続する接続部材70が設けられている。
【0031】
フィルタユニット41は、吸引管8の途中部位に設けられている。このため、ファラデーケージ3は、ポンプ4が駆動されることによって、その軸方向に平行な方向であって図2中左方から右方に向かう方向(吸引方向A)に外部から気体と共に帯電した粉体を吸引する。この吸引によって、外部からファラデーケージ本体50に吸い込まれた気体は、接続部材70の孔70a、吸引管8及びフィルタユニット41を通ってポンプ4に流れる。すなわち、接続部材70、吸引管8及び吸引管8の途中部位に設けられたフィルタユニット41は、気体の排出経路の一部を構成している。
【0032】
第1のハウジング部材20は、アルミニウム合金からなる外側第1カバー21と、第1ホルダ(絶縁体)22と、ステンレス鋼からなる内側第1ケース23とを有している。内側第1ケース23は、外側第1カバー21との間において第1ホルダ22を挟む位置に配置されており、外側第1カバー21と内側第1ケース23とが電気的に絶縁された状態で配置されている。なお、外側第1カバー21は、アルミニウムから構成されていてもよいし、他の金属、前記金属からなる合金、さらには導電材料であればなんでもよい。また、内側第1ケース23は、ステンレス鋼以外の導電材料から構成されていてもよい。円筒状の第1ホルダ(絶縁体)22は、絶縁性を有するものであればなんでもよい。
【0033】
外側第1カバー21の吸引方向Aの上流端には、第1ホルダ22及び内側第1ケース23の一部が挿通可能な孔31aを有する環状フランジ31が形成されている。
【0034】
第2のハウジング部材30は、外側第1カバー21を部分的に覆うようなアルミニウム合金からなる外側第2カバー51と、第2ホルダ52と、ステンレス鋼からなり外側第2カバー51との間において第2ホルダ52を挟む位置に配置された内側第2ケース53と、第2ホルダ52との間において外側第2カバー51を挟む位置に配置された継ぎ手ホルダ54とを有しており、外側第2カバー51と内側第2ケース53が第2ホルダ52によって電気的に絶縁された状態で配置されている。なお、外側第2カバー51は、外側第1カバー21と同様に、アルミニウムから構成されていてもよいし、他の金属、前記金属からなる合金、さらには導電材料であればなんでもよい。また、内側第2ケース53は、ステンレス鋼以外の導電材料から構成されていてもよい。第2ホルダ(絶縁体)52は、絶縁性を有するものであればなんでもよい。
【0035】
外側第2カバー51の吸引方向Aの下流端には、第2ホルダ52の一部が挿通可能な孔61aを有する環状フランジ61が形成されている。また、環状フランジ61には、測定基板6に接続された同軸ケーブル9を通す孔が形成されており、同軸ケーブル9の外側シールド線が外側第2カバー51に接続されており、芯線が内側第2ケース53に接続されている。つまり、外側第2カバー51は、接地されている。
【0036】
フィルタユニット41は、接続部材70及び吸引管8を介してファラデーケージ本体50の外部に設けられている。フィルタユニット41は、円筒状の樹脂ケース42と、樹脂ケース42内に収納されたフィルタ部材43とを有している。樹脂ケース42は、透明な円筒状の本体部42aと、吸引管8を本体部42aの両端に接続する接続部42bとを有している。接続部42bは、吸引管8を着脱自在なワンタッチ式に構成されている。これにより、フィルタユニット41の吸引管8に対する着脱が容易になる。
【0037】
フィルタ部材43は、本体部42a内に収納されている。このようにフィルタ部材43が、その全体が透光領域となる本体部42aに収納されていることで、フィルタユニット41で粉体を捕集したか否かが一目で分かる。そのため、フィルタ83(後述する)の破損あるいは装着忘れを確認することができる。また、フィルタ部材43は中空糸膜フィルタであり、フィルタカートリッジ40内に収納されたフィルタ83よりもその濾過精度が高いものが設けられている。すなわち、例えばフィルタ83として粒子保持能が1.0μmあるいは0.7μmの濾紙を用いている場合、フィルタ部材43として、濾過精度0.01μmの中空糸膜フィルタが設けられる。
【0038】
フィルタカートリッジ40は、互いに嵌合可能な2つのハウジング81、82と、両ハウジング81、82内に収納されたフィルタ83とで構成されている。これら2つのハウジング81、82が嵌合されることで1つの容器を構成する。
【0039】
ハウジング81は、その先端部が、孔31a内に挿通した内側第1ケース23内に挿入されており、その先端部において開口81aを有する。また、ハウジング82は、ハウジング81と嵌合しない方の先端部が、孔61a内に挿通した内側第2ケース53内に挿入されており、その先端部において開口82aを有する。よって、ポンプ4が駆動することによって、外部から開口81aを介してハウジング81及びハウジング82へと、そして開口82a及び接続部材70の孔70aを介して吸引管8へと気体が吸い込まれ、これによって、外部からフィルタカートリッジ40内に粉体を吸引することが可能である。このとき、吸い込んだ粉体はフィルタ83に捕獲されるため、フィルタカートリッジ40内に収納される。よって、ファラデーケージ本体50からフィルタカートリッジ40を取り外し、例えば電子天秤によって粉体吸引前後のフィルタカートリッジ40の重量を測定することによって、フィルタカートリッジ40内に収容された粉体の総重量を求めることができる。
【0040】
また、2つのハウジング81,82は、導電性材料である金属微粉末が添加されたポリプロピレン樹脂から構成されており、全体的に導電性を有している。フィルタカートリッジ40の容器は、導電性材料が添加された合成樹脂からなっており、その重量は約2〜3g程度である。
【0041】
なお、本実施形態においては、ハウジング81、82を構成する材料として、金属微粉末及びポリプロピレン樹脂が採用されているが、導電性を有しておれば金属微粉末以外の導電性材料、例えば金属繊維あるいはカーボンブラックなど、また構成樹脂はポリプロピレン樹脂以外の合成樹脂、例えばポリエチレン樹脂あるいはスチレン系樹脂などであってもよい。本実施形態のようにハウジング81、82は、導電性を有していることが好ましいが、導電性を有していなくてもかまわない。例えば、ポリプロピレン樹脂のみ、あるいはスチレン系樹脂のみなどから構成されていてもかまわない。
【0042】
(制御装置の詳細)
次に、図3を参照しつつ制御装置7について詳しく説明する。図3は、図1に示す電荷量測定装置1の機能ブロック図である。
【0043】
初期化部101(初期化手段)は、測定基板6によって測定される粉体の電荷量の測定値がゼロにリセットされるように測定基板6を初期化制御(以下、リセット制御とも記載する)する。すなわち、具体的にはここでは、測定基板6の短絡スイッチ6bを制御操作して短絡し、コンデンサ5に溜まった電荷を放電する。初期化部101によるリセット制御は、以下の場合に開始される。
(a)リセット制御がOFFの状態で、リセットスイッチ14が操作(短押し。以下、単に「操作」と記載した場合は「短押し」を意味する。)されたとき(後述するS5に対応)
(b)後述する自動初期化部108による自動初期化制御が開始されたとき(S201に対応)
【0044】
解除部102(解除手段)は、初期化部101によるリセット制御を解除するよう制御する。具体的には、短絡スイッチ6bを制御操作して短絡を解除する。解除部102による解除制御は、以下の場合に開始される。
(a)リセット制御がONの状態で、且つ、後述する所定時間が経過した後に、リセットスイッチ14が操作されたとき(S7に対応)
(b)リセット制御がONの状態で、且つ、所定時間が経過した後に、ポンプスイッチ13が操作されたとき(後述する自動解除部107の制御が開始されたとき)(S14に対応)
(c)後述する自動初期化部108による制御によって、初期化制御が開始され、さらに所定時間が経過したとき(S204に対応)
【0045】
初期化制御継続部103は、初期化部101によるリセット制御を解除部102による解除制御が行われるまで継続させるよう制御する。即ち、リセット制御が開始されると、解除制御が行われるまでリセット制御が継続される。
【0046】
駆動制御部104(駆動制御手段)は、ポンプ4を駆動制御する。ポンプ4が駆動すると、外部の粉体がファラデーケージ3内に吸引される。駆動制御部104による駆動制御は、以下の場合に開始される。
(a)リセット制御がOFFの状態で、且つ、ポンプ4が停止している場合に、ポンプスイッチ13が操作されたとき(S23に対応)
(b)後述する自動解除部107による制御によって、リセット制御が解除されたとき(S16に対応)
(c)後述する自動初期化部108による制御によって、リセット制御が解除されたとき(S206に対応)
【0047】
停止制御部105は、ポンプ4が停止するよう制御する。ポンプ4が停止すると、外部の粉体のファラデーケージ3内への吸引が停止する。停止制御部105による停止制御は、初期化制御が開始されてから所定時間が経過するまでの間以外において、ポンプ4が駆動している状態で、ポンプスイッチ13が操作されたときに開始される(S21に対応)。なお、駆動制御部104の制御によりポンプ4の駆動が開始されてから、予め制御装置7に記憶させておいた測定時間が経過すると、自動的に停止制御部105によりポンプ4が停止するよう制御する制御部をさらに有していてもよい。
【0048】
リセットホールド部106(制御禁止手段)は、初期化部101によるリセット制御が開始されてから所定時間が経過するまでリセット状態をホールドする。ホールドとは、リセットスイッチ14及び/又はポンプスイッチ13の操作が行われても、解除部102による解除制御及び駆動制御部104による駆動制御が行われないよう制御することを言う。即ち、リセット制御が開始されてから所定時間が経過するまでは、リセット制御が解除されないと共に、ポンプ4が駆動することもない。本実施形態では、所定時間はたとえば2秒としている。本実施形態においては、リセット制御を少なくとも2秒行えば、コンデンサ5に溜まった電荷を十分に放電する(ゼロにリセットされる、電荷を減少させる)ことができることが確認できた。なお、所定時間はこれに限られず、2秒未満、2秒以上であってもよい。
【0049】
自動解除部107(自動解除手段)は、所定時間経過後、且つ、ポンプ4が停止している場合に、ポンプスイッチ13が操作されると、制御を実行する。具体的には、リセットスイッチ14による操作が行われていなくても、解除部102によりリセット制御が解除され、その後、駆動制御部104によりポンプ4が駆動されるように、解除部102及び駆動制御部104を制御する(S14及びS16に対応)。なお、ポンプ4が駆動している場合は、停止制御部105によるポンプ4の停止制御が優先され、自動解除部107による制御は実行されない。
【0050】
自動初期化部108(自動初期化手段)は、自動リセットモード時のみ機能する制御部である。そして、自動初期化部108は、自動リセットモードがONの状態で、且つ、ポンプ4の駆動がOFFの場合に、ポンプスイッチ13が操作されると、制御を実行する。具体的には、リセットスイッチ14による操作が行われていなくても、初期化部101によるリセット制御が開始されると共に所定時間経過後に解除部102によりリセット制御が解除され、さらに、その後駆動制御部104によりポンプ4が駆動されるように、初期化部101、解除部102及び駆動制御部104を制御する(S201、S204、及びS206に対応)。
【0051】
電荷量測定値取得部109は、取得値記憶部109aを有している。そして、一定時間毎に、測定基板6によって測定された電荷量を取得し、取得値記憶部109a内に格納する。具体的には、予め制御装置7に記憶させておいた電荷量取得時間(例えば、1秒)の整数倍に達する毎に、測定された電荷量の取得及び格納が行われる。
【0052】
インディケータ制御部110は、ポンプ4が駆動していると制御装置7が判断すると、インディケータ13aを点灯させ、ポンプ4が停止していると制御装置7が判断すると、インディケータ13aを消灯させるように制御する。また、同様に、リセット制御中であると制御装置7が判断すると、インディケータ14aを点灯させ、リセット制御中でないと制御装置7が判断すると、インディケータ14aを消灯させるように制御する。ただし、インディケータ13a、14aを点灯及び消灯するタイミングはこれに限られない。例えば、ポンプ4の駆動を停止する直前にインディケータ13aを消灯してもよい。
【0053】
表示部111は、取得値記憶部109a内に格納された電荷量測定値を随時、液晶画面17に表示する。なお、電荷量測定値は表示しなくてもよい。また、液晶画面17はなくてもよく、PC等のディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0054】
判断部112は、記憶部112Sを有する。判断部112は、リセットスイッチ14の操作が短押し(例えば、1秒未満)であるか、長押し(例えば、1秒以上)であるかを判断するものである。そして、判断部112がリセットスイッチ14の操作が長押しと判断した場合には、記憶部111Sに電気信号を伝える。そして、記憶部111Sは、その電気信号を受信すると、状態記憶変数を切り替える。
【0055】
なお、電荷量測定装置1がさらに電子天秤やパーソナルコンピュータ(PC)を備え、制御装置7が重量測定制御部と測定値記憶部を有していてもよい。重量測定制御部は、電子天秤によってフィルタカートリッジ40の重量が測定されると、測定された重量を測定値記憶内に格納する。さらに、電荷量測定値取得部109によって粉体全体の電荷量の測定値取得が行われた後、電子天秤によってフィルタカートリッジ40の重量が測定されると、測定された重量を測定値記憶部内に格納した後、測定値記憶部を参照し、最近測定された2つの重量の差を粉体の総重量として導出する。したがって、粉体の吸引を行う前後にフィルタカートリッジ40を電子天秤にのせることによって、フィルタカートリッジ40内に吸引された粉体の総重量を求めることができる。なお、粉体の総重量を液晶画面17やPC等のディスプレイに表示するようにしても良い。
【0056】
さらに、制御装置7が1グラム当たりの電荷量導出部を有していてもよい。1グラム当たりの電荷量導出部は、取得値記憶部109aに記憶された粉体全体の電荷量のうち、一番最近取得された電荷量を、重量測定制御部によって導出された粉体の総重量で割ることによって、粉体の1グラム当たりの電荷量を導出する。したがって、粉体の1グラム当たりの電荷量を容易に算出することができる。なお、粉体の1グラム当たりの電荷量を液晶画面17やPC等のディスプレイに表示するようにしても良い。
【0057】
(動作)
続いて、電荷量測定装置1の通常モード時の動作について図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0058】
まず、制御装置7はスイッチ操作が行われたか否かを判断し(S1)、スイッチ操作が行われたと判断するまで待機する(S1:No)。一方、スイッチ操作が行われたと判断した場合(S1:Yes)、そのスイッチ操作がリセットスイッチ14の操作であるか否かを判断する(S2)。リセットスイッチ14の操作であると判断した場合(S2:Yes)、次にリセット制御が制御中であるか否かを判断する(S3)。一方、リセットスイッチ14の操作でないと判断した場合(S2:No)、ステップS10に進む。なお、ステップS1でのスイッチ操作とは、ポンプスイッチ13又はリセットスイッチ14のどちらかの操作を指す。したがって、ホールドスイッチ15及びレンジ切替スイッチ16の操作はステップS1におけるスイッチ操作とは判断されない。また、スイッチ操作とは、特に断らない限り短押しを意味する。
【0059】
次に、ステップS3において、リセット制御が制御中(ON)である場合(S3:Yes)、リセット制御がONの状態が所定時間を経過しているか否かを判断する(S4)。一方、リセット制御が制御中でない(OFF)場合(S3:No)、初期化部101の制御によりリセット制御を開始する(S5)。
【0060】
ステップS6においては、インディケータ制御部110が、インディケータ14aが点灯するように制御してリセット表示がONとなる。前記したように、本実施形態においては、リセットスイッチ14とインディケータ14aは、同一手段で一体的に構成されているので、リセット制御が開始されるとリセットスイッチ14自体が点灯する。そして、ステップS1に戻る。
【0061】
ステップS4においては、リセット制御がONの状態が所定時間を経過している場合(S4:Yes)、解除部102の制御によりリセット制御を解除する(S7)。そして、インディケータ制御部110が、インディケータ14aが消灯するように制御してリセット表示がOFFとなる(S8)。その後、ステップS1に戻る。一方、所定時間を経過していない場合(S4:No)、リセットスイッチ14の操作を無視する(S9)。なお、リセット表示もONの状態のままとなる。その後、ステップS1に戻る。
【0062】
ステップS10においては、ステップS1で行われたスイッチ操作がポンプスイッチ13の操作であるか否かを判断する。ただし、ステップS2によりリセットスイッチ14の操作ではないので、制御装置7は自動的にポンプスイッチ13の操作が行われたと判断する(S10:Yes)。
【0063】
次に、リセット制御中であるか否かを判断する(S11)。リセット制御が制御中(ON)である場合(S11:Yes)、リセット制御がONの状態が所定時間を経過しているか否かを判断する(S12)。一方、リセット制御が制御中でない(OFF)場合(S11:No)、ステップS20に進む。
【0064】
ステップS12において、リセット制御がONの状態が所定時間を経過している場合(S12:Yes)、ポンプ4が駆動中であるか否かを判断する(S13)。そして、ポンプ4が停止中(OFF)である場合(S13:No)、解除部102の制御によりリセット制御を解除する(S14)。その後、リセット表示がOFFとなる(S15)。そして、自動的に駆動制御部104はポンプ4を駆動制御する(S16)。これは、前記したように、所定時間経過後、且つ、ポンプ4の駆動がOFFの場合に、ポンプスイッチ13が操作されると、リセットスイッチ14による操作が行われていなくても、自動解除部107の制御が開始されるからである。自動解除部107は、解除部102によりリセット制御が解除され、その後、駆動制御部104によりポンプ4が駆動されるように、解除部102及び駆動制御部104を制御する。ポンプ4が駆動されると、外部の粉体がファラデーケージ3内に吸引される。そして、測定基板6にて、粉体の電荷量が測定される(粉体の総重量における電荷量が測定される。)。
【0065】
次に、インディケータ制御部110が、インディケータ13aが点灯するように制御してポンプ駆動表示がONとなる(S17)。その後、取得値記憶部109aに記憶された電荷量の測定値が随時、液晶画面17に表示される(S18)。この状況において、ホールドスイッチ15がONされれば制御装置7は、その時点で電荷量測定値取得部109で取得している測定値を液晶画面17にホールドするよう制御する。そして、ステップS1に戻る。ホールドスイッチ15のONされなければ、測定値の表示は、最後に取得した電荷量の測定値が順次表示される。また図示していないが、自動ホールドモードに設定されていれば、ステップS21やステップS22の後に、最終値測定値としてその時点で保持している測定値をホールド表示する。なお、ポンプ4が駆動中である場合(S13:Yes)、S21に進む。
【0066】
一方、所定時間を経過していない場合(S12:No)、ポンプスイッチ13の操作を無視する(S19)。その後、ステップS1に戻る。
【0067】
ステップS20においては、ポンプ4が駆動中(ON)であるか否かを判断する。ポンプ4が駆動中(ON)である場合(S20:Yes)、停止制御部105はポンプ4の駆動を停止するよう制御する(S21)。その結果、外部の粉体のファラデーケージ3内への吸引が終了する。そして、インディケータ制御部110が、インディケータ13aが消灯するように制御してポンプ駆動表示がOFFとなる(S22)。その後、ステップS1に戻る。
【0068】
一方、ポンプ4が停止中(OFF)である場合(S20:No)、記憶部112Sの状態記憶変数を参照して自動リセットモードのON/OFFを判断する(S20MC)。自動リセットモードがOFFの場合(S20MC:No)、駆動制御部104はポンプ4を駆動制御する(S23)。そして、ポンプ駆動表示がONとなる(S24)。その後、取得値記憶部109aに記憶された電荷量の測定値が随時、液晶画面17に表示される(S25)。なお、液晶表示17の表示においてホールドスイッチ15による動作は、先に説明したステップS18と同様である。そして、ステップS1に戻る。また、自動リセットモードがONの場合(S20MC:Yes)、図6のステップS201に進む。以上で、通常モード時の動作フローを終了する。
【0069】
続いて、通常モードと自動リセットモードの切替フローについて、図5に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0070】
まず、制御装置7はリセットスイッチ14が操作(短押し、長押し含む。)されたか否かを判断し(S101)、リセットスイッチ14が操作されたと判断するまで待機する(S101:No)。一方、リセットスイッチ14が操作されたと判断した場合(S101:Yes)、判断部112はリセットスイッチ14が長押しで操作された(例えば、1秒)か否かを判断する(S102)。長押しで操作されていないと判断した場合(即ち、短押しで操作されたと判断した場合)(S102:No)、ステップS3へ移動する(図4参照)。一方、長押しで操作されたと判断した場合(S102:Yes)、記憶部112Sの状態記憶変数を参照して自動リセットモードのON/OFFを判断する(S103)。
【0071】
自動リセットモードがONである場合(S103:Yes)、記憶部112Sの状態記憶変数がS=1からS=0に切り替わり、自動リセットモードがOFFとなる(S104)。即ち、自動リセットモードから通常モードに切り替わる。一方、自動リセットモードがOFFである場合(S102:No)、記憶部112Sの状態記憶変数がS=0からS=1に切り替わり、自動リセットモードがONに切り替わる(S105)。即ち、通常モードから自動リセットモードに切り替わる。以上でリセットモードの切替フローは終了する。
なお、ホールドスイッチ15による自動ホールドモードのON/OFFの切替えも、同様のフローにより切り替えることができるので、説明は省略する。
【0072】
続いて、自動リセットモード時の電荷量測定装置1の動作について、図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図6において、図4と同じステップについては同じ符号で示している。
【0073】
ステップS10において、制御装置7はポンプスイッチ13が操作されたか否かを判断し)、操作されたと判断するまで待機する(S10:No)。ポンプスイッチ13が操作されたと判断した場合(S10:Yes)、リセット制御が制御中であるか否かを判断する(S11)。リセット制御が制御中である場合(S11:Yes)、図4のステップ12に進む。一方、リセット制御が停止中である場合(S11:No)、ポンプ4が駆動中であるか否かを判断する(S20)。そして、ポンプ4が停止中(OFF)である場合(S20:No)、記憶部112Sの状態記憶変数を参照して自動リセットモードのON/OFFを判断する(S20MC)。一方、ポンプ4が駆動中(ON)の場合(S20:Yes)、図4のステップ21に進む。
【0074】
ステップS20MCにおいて、自動リセットモードがONである場合(S20MC:Yes)、初期化部101の制御によりリセット制御を開始する(S201)。すなわち、前記したように、自動リセットモードがONであって、且つ、ポンプ4が停止中の場合、ポンプスイッチ13の操作が行われると、自動初期化部108の制御が開始され、リセットスイッチ14による操作が行われていなくても、リセット制御が開始されるよう初期化部101を制御する。その後、リセット表示がONとなる(S202)。そして、リセット制御がONの状態が所定時間を経過しているか否かを判断する(S203)。一方、自動リセットモードがOFFである場合(S20MC:No)、通常モード時にポンプスイッチ13が操作されたことになるので、図4のステップS23に進む。
【0075】
ステップS203においては、リセット制御がONの状態が所定時間を経過している場合(S203:Yes)、解除部102によりリセット制御を解除する(S204)。自動初期化部108が、自動的にリセット制御を解除するように解除部102を制御するためである。その後、リセット表示がOFFとなる(S205)。一方、所定時間を経過していない場合(S203:No)、所定時間が経過するまで待機する。
【0076】
次に、駆動制御部104は自動的にポンプ4を駆動制御する(S206)。これによって、自動初期化部108が、自動的にポンプ4の駆動が行われるように駆動制御部104を制御する。その後、ポンプ駆動表示がONとなる(S207)。そして、電荷量の測定値を液晶画面17に表示する(S208)。その後、ステップS1に戻る。なお、ポンプ4の駆動時間が予め制御装置7に記憶しておいた測定時間を経過すると、自動的にポンプ4が停止するよう停止制御部105を制御する制御部を有していてもよい。以上で、自動リセットモード時の測定フローを終了する。
【0077】
続いて、通常モード時の動作を、図7及び図8に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。
【0078】
まず、図7においては、リセットスイッチ14の操作が行われると、初期化部101の制御によりリセット制御が開始(ON)されると共に、制御禁止部106の制御により制御禁止状態がONとなる(T1)。そして、所定時間が経過するまでは制御禁止状態が継続する。所定時間に達すると(T2)、制御禁止状態は解除(OFF)される。ここで、所定時間とはT1〜T2の期間であり、その間にポンプスイッチ13及び/又はリセットスイッチ14が操作されても(T3)、ポンプ4が駆動したり、リセット制御が解除されることはない。なお、リセット制御は、初期化制御継続部103の制御により所定時間経過後も継続する(ONのままとなる)。
【0079】
所定時間経過後にリセットスイッチ14が操作されると、解除部102の制御によりリセット制御が解除(OFF)される(T4)。そして、その後にポンプスイッチ13が操作されると、駆動制御部104の制御によりポンプ4の駆動が開始(ON)される(T5)。
【0080】
次に、図8は、所定時間(T11)に達した後、リセットスイッチ14よりも先にポンプスイッチ13が操作された場合の動作を示す。先にポンプスイッチ13が操作されると、自動解除部107の制御が開始される。自動解除部107は、まず、解除部102の制御によりリセット制御が解除(OFF)され、その後、駆動制御部104の制御によりポンプ4の駆動が開始(ON)されるように、解除部102と駆動制御部104を制御する(T12)。なお、リセット制御が解除されてから、ポンプ4の駆動が開始されるまでの時間差はほとんどない。
【0081】
続いて、自動リセットモード時の動作を、図9に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。
【0082】
まず、リセットスイッチ14が長押しされると(T21〜T22)、自動リセットモードがONに切り替わる(T22)。その後、ポンプスイッチ13が操作されると、自動初期化部108の制御が開始される。自動初期化部108は、まず、リセット制御が開始されるように初期化部101を制御する(T23)。また、初期化制御が開始されることにより、制御禁止部106の制御により制御禁止状態がONとなる(T23)。そして、所定時間が経過するまでは制御禁止状態が継続する。所定時間に達すると(T24)、制御禁止状態がOFFになると共に、自動初期化部108は、まず、リセット制御が解除(OFF)されるように解除部102を制御し、その後、ポンプ4の駆動が開始(ON)されるように駆動制御部104を制御する(T24)。
【0083】
(効果1)
次に、本実施形態に示す電荷量測定装置1の効果を説明する。電荷量測定装置1は、制御装置7に初期化制御が解除されるまで初期化制御を継続させる初期化制御継続部103(初期化制御継続手段)を有しているので、いったん初期化指示手段(リセットスイッチ14)を操作すれば、初期化(接地、放電)状態が維持される。その結果、従来の電荷量測定装置(引用文献1参照)と比較して、コンデンサに溜まった電荷を十分に放電でき、不要な電荷が溜まることも防止できる。さらに、制御禁止部106(制御禁止手段)を有しているので、初期化制御が開始されてから所定時間が経過するまでは、吸引手段の駆動や初期化状態の解除が行われることがない。したがって、測定基板6の初期化が十分行われていない状態で、操作者が誤って初期化制御を解除したりポンプ4を駆動したりすることがないので、測定精度が担保される。その結果、測定開始時(ポンプ駆動時)に粉体電荷量の測定を正確に行うことができる。
【0084】
(効果2)
また、電荷量測定装置1は自動解除部107を有している。それによって、所定時間経過後に、ポンプスイッチ13を操作するだけで初期化制御の解除とポンプ4の駆動を同時に指示できる。その結果、リセットスイッチ14を操作する手間を省くことができる。さらに、リセットスイッチ14操作後に、ポンプスイッチ13を操作してポンプ4を駆動させる場合に比べて、不要な電荷をより低減できる。これは、スイッチ操作の数が減ることで、スイッチ操作の際にコンデンサ5に不要な電荷が溜まってしまう可能性が低減するからである。さらに、スイッチ操作が1回であるので、スイッチ操作間に不要な電荷が溜まってしまうことを防止できるからとも言える。
【0085】
(効果3)
また、電荷量測定装置1は自動初期化指示手段と自動初期化部108とを有している。これによって、リセットスイッチ14を長押しして、自動リセットモードをONにすれば、ポンプスイッチ13を操作するだけで、初期化制御の開始、初期化制御の解除、及び、ポンプ4の駆動を自動で行うことができる。したがって、電荷量測定作業の煩雑さを解消できる。さらに、スイッチ操作の機会が減り、不要な電荷が溜まる確率をより低減できる。
【0086】
(効果4、5)
また、電荷量測定装置1は初期化指示手段と解除指示手段とが共通のスイッチ(リセットスイッチ14)で構成されている。さらに、電荷量測定装置1は初期化指示手段と自動初期化指示手段とが共通のスイッチ(リセットスイッチ14)で構成されている。よって、スイッチ操作の煩雑さが解消され、スイッチ操作を誤りにくい。
【0087】
(変形例)
次に、電荷量測定装置の変形例について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第1実施形態と本変形例において、電荷量測定装置の構成自体は変わらないため、同じ符号を用いる。本変形例は、自動解除部107(自動解除手段)による解除制御が第1実施形態と一部相違する。その結果、解除部102(解除手段)による解除制御が開始されるタイミングも一部相違することとなる。
【0088】
具体的には、本変形例の自動解除部107(自動解除手段)による自動解除制御は、前記した第1実施形態の場合(段落0049に記載)に加えて、以下のようにも制御する。即ち、ポンプ駆動中にリセットスイッチ14による操作が行われてリセット制御が開始され、且つ、所定時間が経過すると、リセットスイッチ14による操作が行われていなくても、解除部102によりリセット制御が解除されるように、解除部102を制御する(S306に対応)。
【0089】
したがって、本変形例の解除部102(解除手段)による解除制御は、前記した第1実施形態の場合(段落0044に記載の(a)〜(c))に加えて、以下の(d)の場合にも開始されることとなる。
(d)ポンプ駆動中にリセット制御が開始され、且つ、所定時間が経過したとき(S306に対応)
【0090】
(動作)
次に、本変形例の電荷量測定装置1の通常モード時の動作について図10に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、第1実施形態の動作と同様の動作については、説明を割愛する。また、本変形例の電荷量測定装置1の通常モードと自動リセットモードの切替フロー、及び自動リセットモード時の動作については、第1実施形態と同じであるため説明を割愛する。
【0091】
本変形例の電荷量測定装置1の通常モード時の動作は、第1実施形態の電荷量測定装置1の通常モード時の動作(図4参照)に、ステップS301〜S307を加えたものである。ステップS301は、リセットスイッチ14が操作された場合に(S2:Yes)、ポンプ4が駆動中であるか否かを判断するステップである。そして、ポンプ4が駆動中である場合(S301:Yes)、ステップS302に進む。ポンプ4が駆動中でない場合には(S301:No)、ステップS4に進む。
【0092】
ステップS302においては、リセット制御中であるか否かを判断する。リセット制御中である場合(S302:Yes)、リセットスイッチ14の操作を無視する(S9)。その後、ステップS1に戻る。リセット制御中でない場合(S302:No)、ステップS303〜S307に進む。その後、ステップS1に戻る。なお、ステップS303〜S307は、ステップS201〜S205と同様の動作であるためその説明は割愛する。
【0093】
続いて、変形例の通常モード時の動作を、図11に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。
【0094】
まず、図11においては、ポンプスイッチ13の操作が行われると、駆動制御部104の制御によりポンプ4が開始(ON)される(T31)。その後、リセット制御が停止中(OFF)において、リセットスイッチ14が操作されると、初期化部101の制御によりリセット制御が開始(ON)されると共に、制御禁止部106の制御により所定時間が経過するまで制御禁止状態(ON)となる(T32)。そして、所定時間が経過すると、制御禁止状態が解除(OFF)となると共に、解除部102の制御によりリセット制御が解除(OFF)される(T33)。
【0095】
(変形例の効果)
本変形例の自動解除部107は、ポンプ駆動中にリセットスイッチ14による操作が行われてリセット制御が開始され、且つ、所定時間が経過した場合には、リセットスイッチ14による操作が行われていなくても、解除部102によりリセット制御が解除されるように、解除部102を制御する。よって、ポンプ駆動後に、リセットスイッチ14による操作を一度行うだけで、リセット制御の開始及び解除が行われる。したがって、例えば、ユーザがリセット制御を行う前に誤ってポンプ4を駆動させた場合であっても、リセット制御を迅速に行うことができる。その結果、ポンプ4を駆動させたままでも、電荷量測定を正確に行うことができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0097】
本実施形態において、制御装置7は初期化制御を開始してから所定時間が経過するまでは、リセットスイッチ14を操作してもその操作を無視するよう制御しているが、所定時間内にリセットスイッチ14が操作されると、所定時間経過後に自動的に初期化制御の解除が行われるように制御してもよい。
【0098】
また、本実施形態において、制御装置7は初期化制御を開始してから所定時間が経過するまでは、ポンプスイッチ13を操作してもその操作を無視するよう制御しているが、所定時間内にポンプスイッチ13が操作されると、所定時間経過後に自動的に初期化制御の解除とポンプ4の駆動が行われるように制御してもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 電荷量測定装置
2 筐体
3 ファラデーケージ(収納容器)
4 ポンプ(吸引手段)
5 コンデンサ
6 測定基板(測定手段)
7 制御装置
8 吸引管
9 軸ケーブル
13 ポンプスイッチ(駆動指示手段、停止指示手段)
14 リセットスイッチ
101 初期化部(初期化手段)
102 解除部(解除手段)
103 初期化制御継続部
104 駆動制御部(駆動手段)
105 停止制御部
106 リセットホールド部(制御禁止手段)
107 自動解除部(自動解除手段)
108 自動初期化部(自動初期化手段)
112 判断部
112S 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納容器と、
被測定媒体を前記収納容器に吸引するための吸引手段と、
前記吸引手段の動作に応答して前記収納容器内に収納された被測定媒体の電荷量を測定する測定手段と、
初期化指示手段と、
前記初期化指示手段の指示操作に応答して、前記測定手段が初期化されるように初期化制御を行う初期化手段と、
解除指示手段と、
前記解除指示手段の指示操作に応答して、前記初期化制御を解除する解除手段と、
駆動指示手段と、
前記駆動指示手段の指示操作に応答して、前記吸引手段を駆動する駆動制御手段と、
前記初期化制御が開始されてから所定時間が経過するまでは、前記解除指示手段及び前記駆動指示手段の指示操作が行われても、前記解除手段及び前記駆動制御手段による制御が行われないようにする制御禁止手段と、
を備えていることを特徴とする電荷量測定装置。
【請求項2】
前記所定時間経過後に前記駆動指示手段の指示操作が行われると、前記解除指示手段の指示操作が行われなくても前記初期化制御が解除され、その後、前記吸引手段が駆動されるように、前記解除手段及び前記駆動制御手段を制御する自動解除手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の電荷量測定装置。
【請求項3】
自動初期化指示手段と、
前記自動初期化指示手段の指示操作がなされた場合に、前記駆動指示手段の指示操作が行われると、前記初期化指示手段の指示操作が行われなくても前記初期化手段による初期化制御が行われ、前記解除指示手段の指示操作が行われなくても前記所定時間経過後に前記初期化制御が解除され、その後、前記吸引手段が駆動されるように、前記初期化手段、前記解除手段及び前記駆動制御手段を制御する自動初期化手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電荷量測定装置。
【請求項4】
前記初期化指示手段と前記解除指示手段とが共通のスイッチで構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電荷量測定装置。
【請求項5】
前記初期化指示手段と前記自動初期化指示手段とが共通のスイッチで構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電荷量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−88270(P2013−88270A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228510(P2011−228510)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(593122789)ユーテック株式会社 (118)
【Fターム(参考)】