説明

電解セル

【課題】 本発明はリザーバタンク等の気液分離装置を設けることなく、簡易構造で被電解水の吹き零れ又は噴出を有効に防止しつつ電解ガスを安定して排気することができる電解セルを提供する。
【解決手段】 電解膜の陽極面側及び陰極面側と対面してそれぞれ整流板を設け、各整流板の一面側に上記電解膜で発生した電解ガスと被電解水の上昇流路を形成すると共に、同整流板の他面側に被電解水の下降流路を形成し、同整流板の上位に上昇流路と下降流路を連通する上部通水口を形成すると共に、同整流板の下位に下降流路と上昇流路を連通する下部通水口を形成し、被電解水を上記上部通水口と上記下部通水口を通じて上記上昇流路と上記下降流路とに循環せしめる構成とし、上記上部通水口に上記上昇流路を通じて上昇した電解ガスを排気し被電解水を上記下降流路に供する排気管を設けた電解セル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電解膜を用いて水を電気分解する電解セル、例えば重水、トリチウム水等の試料水中の純水を固体高分子電解質(Solid Polymer Electrolyte)から成る電解膜を用いて電解し減容して該試料水を濃縮する電解セルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種電解セルは電解膜で隔てられた陽極室及び陰極室を備え、該陽極室及び陰極室にそれぞれ設けられた電極(陽極と陰極)により上記電解膜を挾持して水の電解を行う。その過程で上記陽極室内に酸素ガスが発生し、同時に水素イオンが上記電解膜を通過して上記陰極室内に水素ガスが発生することとなる。
【0003】
そのため、上記酸素ガス又は水素ガスから成る電解ガスを陽極室及び陰極室からそれぞれ排気する手段が必須となり、この排気手段として従来は下記特許文献1又は特許文献2に示すように、気体と液体を分離するリザーバタンク等の気液分離装置を陽極室と陰極室とに連通するようにそれぞれ設け、該気液分離装置に電解ガスと一緒に被電解水を導き入れ、該気液分離装置内で電解ガスと被電解水とを分離して、該分離した電解ガスを排気している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3748304号公報
【特許文献2】特開平8−260176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、従来の電解セルにあっては、上記気液分離装置により大型化、複雑化する問題点を有しており、特に電解セルを多段に並設する場合には各電解セルに気液分離装置を設けねばならず、より大型化、複雑化してしまう問題点を有している。
【0006】
そのため、被電解水の噴き零れや噴出を防止しつつ簡易構造で気液分離を達成する手段が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はリザーバタンク等の気液分離装置を設けることなく、簡易構造で被電解水の吹き零れ又は噴出を有効に防止しつつ電解ガスを安定して排気することができる電解セルを提供する。
【0008】
要述すると、本発明は電解膜の陽極面側及び陰極面側と対面してそれぞれ整流板を設け、各整流板の一面側に上記電解膜で発生した電解ガスと被電解水の上昇流路を形成すると共に、同整流板の他面側に被電解水の下降流路を形成し、同整流板の上位に上昇流路と下降流路を連通する上部通水口を形成すると共に、同整流板の下位に下降流路と上昇流路を連通する下部通水口を形成し、被電解水を上記上部通水口と上記下部通水口を通じて上記上昇流路と上記下降流路とに循環せしめる構成とし、上記上部通水口に上記上昇流路を通じて上昇した電解ガスを排気し被電解水を上記下降流路に供する排気管を設けることを特徴とし、電解ガスによる被電解水の乱流を防止し該被電解水の整流を図ると共に、別途に気液分離装置を設けることなく電解セル内で確実に気液分離を行うことができる。
【0009】
好ましくは上記整流板の一面又は/及び他面に分流路を設け、被電解水を効果的に循環させることができる。
【0010】
又上記上部通水口を流れる被電解水の水位を保つ水位センサーを設け、気液分離を有効に行うと共に被電解水の噴き零れや噴出を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電解セルは水の電解によって発生した電解ガスによる被電解水の乱流を防止して、該被電解水を所望の方向へ循環させつつ、電解セル内で電解ガスと被電解水との気液分離を確実に達成し該分離した電解ガスを安定して排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電解セルの分解斜視図。
【図2】本発明に係る電解セルの断面図。
【図3】Aは本発明に係る電解セルを構成するブロック体の正面図、Bは同ブロック体の断面図。
【図4】本発明に係る電解セル内に配される整流板の斜視図。
【図5】Aは上記整流板の正面図、Bは同整流板の側面図。
【図6】上記整流板に通気溝を形成した他例を示す斜視図。
【図7】上記整流板の隔壁を短寸にした他例を示す斜視図。
【図8】Aは上記整流板に分流路を形成しない他例を示す斜視図、BはAにおける整流板を配した電解セルの要部拡大断面図。
【図9】本発明に係る電解セルを多段に備えたトリチウム濃縮装置を概示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図9に基づき、本発明に係る電解セルの最適な実施例について説明する。
【0014】
本発明に係る電解セル1は、図1,図2に示すように、内部に固体高分子電解質から成る電解膜2で隔てられた陽極室3及び陰極室4を画成する一対の金属製のブロック体5,6と、該陽極室3内及び陰極室4内のそれぞれに配され上記電解膜2を挾持する電極(陽極)7及び電極(陰極)8を備え、上記陽極室3内及び上記陰極室4内に上記電極7,8と上記ブロック体5,6間に配される整流板9,10を設ける構成となっている。
【0015】
換言すると、陽極室3を画成するブロック体5と陽極7間に整流板9を配し、陰極室4を画成するブロック体6と陰極8間に整流板10を配し、上記整流板9が電解膜2の陽極面2a側に陽極7を介して間接的に対面すると共に、上記整流板10が電解膜2の陰極面2b側に陰極8を介して間接的に対面して設けられる。尚本発明は電解膜2に直接触媒電極を設け、該触媒電極を持つ電解膜の陽極面側及び陰極面側に直接的に上記整流板9,10を対面して設けることを排除しない。
【0016】
尚図中11,12はゴム等から成るリング状の絶縁体であり、絶縁体11は内円開口部に上記陽極7を収容し、絶縁体12は内円開口部に上記陰極8を収容し、両絶縁体11,12は上記電解膜2の外周縁部を挾持した状態で上記陽極室3を画成するブロック体5と上記陰極室4を画成するブロック体6により圧接され該ブロック体5とブロック体6間で絶縁しつつ上記陽極室3及び陰極室4からの被電解水の漏れを防止している。
【0017】
上記各構成部材について詳述すると、上記ブロック体5は内面に断面円形状の凹部5aを形成し、該凹部5aにて上記陽極室3を画成すると共に同凹部5a内に上記整流板9を収容する。同様に上記ブロック体6は内面に断面円形状の凹部6aを形成し、該凹部6aにて上記陰極室4を画成すると共に同凹部6a内に上記整流板10を収容する。
【0018】
又上記ブロック体5は、図3に示すように、陽極室3内における気液分離により分離された電解ガス(酸素ガス)を排気する排気管13を上記陽極室3と連通して立設し、好ましくは上記凹部5aの内底面に上記排気管13と連通する断面半円状の排気溝5bを設け、上記排気管13を後記する上部通水口19の下降流路18側に開口して効率良く電解ガスを排気する。依って上記排気管13は後記する上昇流路17を通じて上昇した電解ガスを排気すると共に被電解水を後記する下降流路18に供し、電解ガスと被電解水との気液分離に貢献する。
【0019】
同様に上記ブロック体6は、図3に示すように、陰極室4内における気液分離により分離された電解ガス(水素ガス)を排気する排気管14を上記陰極室4と連通して立設し、好ましくは上記凹部6aの内底面に上記排気管14と連通する断面半円状の排気溝6bを設け、上記排気管14を後記する上部通水口19の下降流路18側に開口して効率良く電解ガスを排気する。依って上記排気管14は後記する上昇流路17を通じて上昇した電解ガスを排気すると共に被電解水を後記する下降流路18に供し、電解ガスと被電解水との気液分離に貢献する。
【0020】
更に図1,図2に示すように、上記陽極室3を画成するブロック体5は凹部5aの最下端に接続される検知管15を設け、該検知管15に後記する水位センサー16を設け、上記陽極室3内の被電解水の水位を制御する構造を有する。尚本実施例では上記陽極室3を画成するブロック体5のみに上記検知管15及び水位センサー16を設ける例を示したが、上記陰極室4を画成するブロック体6にも上記検知管15及び水位センサー16を設けることも実施に応じ任意である。
【0021】
上記電極7,8は円板状の多孔質電極であり、多数の孔(空隙)を内在し、通気性及び通水性を有するものである。又上記したように電解膜2に触媒電極を設けた場合には該触媒電極に給電を行う給電部材として機能するようにしても良い。
【0022】
次に上記陽極室3内に配される整流板9は、図4,図5に示すように、上記ブロック体5の凹部5aに相似する板状を呈し、上記陽極7を介して上記電解膜2の陽極面2a側と対面する一面(内面)9aと上記ブロック体5の内面、即ち凹部5aの内底面と対面する他面(外面)9bを有し、図2に示すように、上記一面9a側に上記陽極7から発生した電解ガスと被電解水の上昇流路17を形成すると共に、上記他面9b側に被電解水の下降流路18を形成する。
【0023】
又上記整流板9は上部に上記一面9aと上記他面9b間を貫通する上部切り欠き9cを有し、図2に示すように、該上部切り欠き9cにより当該整流板9の上位に上記上昇流路17と上記下降流路18を連通する上部通水口19を形成し、同下部に上記一面9aと上記他面9b間を貫通する下部切り欠き9dを有し、該下部切り欠き9dにより当該整流板9の下位に上記上昇流路17と上記下降流路18を連通する下部通水口20を形成する。
【0024】
同様に上記陰極室4内に配される整流板10は、図4,図5に示すように、上記ブロック体6の凹部6aに相似する板状を呈し、上記陰極8を介して上記電解膜2の陰極面2b側と対面する一面(内面)10aと上記ブロック体6の内面、即ち凹部6aの内底面と対面する他面(外面)10bを有し、図2に示すように、上記一面10a側に上記陰極8から発生した電解ガスと被電解水の上昇流路17を形成すると共に、上記他面10b側に被電解水の下降流路18を形成する。
【0025】
又上記整流板10は上部に上記一面10aと上記他面10b間を貫通する上部切り欠き10cを有し、図2に示すように、該上部切り欠き10cにより当該整流板10の上位に上記上昇流路17と上記下降流路18を連通する上部通水口19を形成し、同下部に上記一面10aと上記他面10b間を貫通する下部切り欠き10dを有し、該下部切り欠き10dにより当該整流板10の下位に上記上昇流路17と上記下降流路18を連通する下部通水口20を形成する。
【0026】
上記整流板9,10は好ましくは一面9a,10a及び他面9b,10bに垂直方向に延びる隔壁21にて隔てられた分流路22を形成し、該分流路22にて上記上昇流路17及び上記下降流路18を形成し、効率良く被電解水の流れを整えることができる。上記分流路22は複数であれば特に数を限定しない。
【0027】
上記のように、整流板9,10の一面9a,10a及び他面9b,10bに分流路22を形成した場合には、図6に示すように、各隔壁21の上端面に該隔壁21によって隔てられた上部切り欠き9c,10cと連通する通気溝24を形成し、該通気溝24により上部通水口19にて分離された電解ガスを効果的に排気管13,14に集約し排気することができる。
【0028】
又は、図7に示すように、上記ブロック体5,6の凹部5a,6aの内周面上端と上記整流板9,10の隔壁21の上端間に上部切り欠き9c,10cと連通する連通空間25を画成し、該連通空間25により上部通水口19にて分離された電解ガスを効果的に排気管13,14に集約し排気することができる。
【0029】
尚上記一面9a,10a及び他面9b,10bの双方に分流路22を形成する場合には上記一面9a,10a(隔壁21の一端面)を電極7,8に圧接し、上記他面9b,10b(隔壁21の他端面)をブロック体5,6の内面に圧接し、該ブロック体5,6に通電すれば、該ブロック体5,6から電極7,8へ電流を流す導電部材として使用に供することができる。
【0030】
又上記整流板9,10の他例として、図8Aに示すように、一面9a,10a及び他面9b,10bに上記分流路22を形成せず、図8Bに示すように、一面9a,10aを多孔質の電極7,8に当接し、他面9b,10bをブロック体5,6の内面、即ち凹部5a,6aの内底面から間隔23を介して配置し、上記多孔質電極7,8が有する多数の空隙により上記上昇流路17を形成すると共に、上記ブロック体5,6と他面9b,10b間の間隔23により上記下降流路18を形成することができる。
【0031】
又は上記整流板9,10の一面9a,10a又は他面9b,10bの何れかに上記分流路22を形成することができる。上記一面9a,10aに分流路22を形成する場合には他面9b,10bをブロック体5,6の凹部5a,6aの内底面から間隔を置いて配し、該間隔にて上記下降流路18を形成する。又上記他面9b,10bに分流路22を形成する場合には、一面9a,10aを上記多孔質電極7,8に当接し該多孔質電極7,8が有する多数の空隙にて上記上昇流路17を形成する。
【0032】
上記の構成の本発明に係る電解セル1による水の電解について詳述すると、図2,図8Bに示すように、上記整流板9により電極7(陽極)で発生した電解ガス(酸素ガス)の気泡と該電解ガスの気泡と一緒に上昇する被電解水を上記上昇流路17を通じて上昇させ、該電解ガスと被電解水を上記上部通水口19へと導く。即ち図中点線の矢印にて示すように、電解ガスが上記上昇流路17を通じて上昇すると共に、図中実線の矢印にて示すように、被電解水が上記電解ガスと一緒に上記上昇流路17を通じて上昇することとなる。
【0033】
この際には上記上部通水口19において上記上昇流路17を通じて上昇した電解ガスと被電解水が気液分離し電解ガスが排気管13を通じて排気されると共に、被電解水は上記下降流路18へと導かれる。即ち図中点線の矢印にて示すように、電解ガスが被電解水から上方へ分離し排気管13へと流れると共に、図中実線の矢印にて示すように、被電解水は上記下降流路18へと流れ込むこととなる。
【0034】
次いで、上記下降流路18を通じて下降した被電解水が上記下部通水口20を通じて再び上記上昇流路17へと導かれ、上述の循環を繰り返すと共に被電解水の一部は電解膜2を通じて陰極室4側へ導かれる。即ち図中実線の矢印にて示すように、被電解水が上記下降流路18及び上記下部通水口20を流れて再び上記上昇流路17に導かれて図中左回り方向の循環を繰り返すと共に、被電解水の一部は電解により発生した水素イオンに導かれ随伴水として電解膜2を通じ陰極室4側へ導かれることとなる。
【0035】
同様に上記整流板10により電極8(陰極)で発生した電解ガス(水素ガス)の気泡と該電解ガスの気泡と一緒に上昇する被電解水を上記上昇流路17を通じて上昇させ、該電解ガスと被電解水を上記上部通水口19へと導く。即ち図中点線の矢印にて示すように、電解ガスが上記上昇流路17を通じて上昇すると共に、図中実線の矢印にて示すように、被電解水が上記電解ガスと一緒に上記上昇流路17を通じて上昇することとなる。
【0036】
この際には上記上部通水口19において上記上昇流路17を通じて上昇した電解ガスと被電解水が気液分離し電解ガスが排気管14を通じて排気されると共に、被電解水は上記下降流路18へと導かれる。即ち図中点線の矢印にて示すように、電解ガスが被電解水から上方へ分離し排気管14へと流れると共に、図中実線の矢印にて示すように、被電解水は上記下降流路18へと流れ込むこととなる。
【0037】
次いで、上記下降流路18を通じて下降した被電解水が上記下部通水口20を通じて上記上昇流路17へと導かれ、上述の循環を繰り返す。即ち図中実線の矢印にて示すように、被電解水が上記下降流路18及び上記下部通水口20を流れて再び上記上昇流路17に導かれて図中右回り方向の循環を繰り返す。尚電解セル1を多段に並設し電解を連続して行う場合には被電解水の一部はブロック体6に穿設された貫通孔25を介してチューブ等により次段の電解セル1又は外部タンク等へ導かれる。
【0038】
更に本発明に係る電解セル1は上記ブロック体5に設けられた水位センサー16により上記上部通水口19を流れる被電解水の水位を調整し電解ガスの排気の際に被電解水が排気管13,14内へ流入するのを防ぎ、もって被電解水の噴き零れや噴出を防止する。
【0039】
好ましくは上記水位センサー16に通電制御手段を付与し、該水位センサー16により被電解水の水位が上記上部通水口19に達しない場合、又は同水位が上記上部通水口19の上端まで達する場合を検知した際には電極7,8に対する通電をオフ制御し確実に被電解水の噴き零れや噴出を防止する。
【0040】
以上のように、本発明に係る電解セル1は陽極室3内及び陰極室4内の被電解水を、整流板9,10により形成された上部通水口19と下部通水口20を通じて、同整流板9,10により形成された上昇流路17と下降流路18とに循環せしめる構成を有し、該構成により被電解水の乱流を防止して流れを制御し、上記上部通水口19に電解により生じた電解ガスと被電解水を導いて、該上部通水口19内で電解ガスと被電解水との分離を確実に達成して該電解ガスを安定排気することができる。
【0041】
又水位センサー16により上記上部通水口19に流れる被電解水の水位を制御し被電解水の噴き零れや噴出を確実に防止して上記電解ガスの排気を行うことができる。
【0042】
尚本発明において、上記整流板9,10の形状は陽極室3,陰極室4の内部形状又は電極7,8の極面形状に応じて適宜選択できる。換言すると、本実施例においては陽極室3を画成する凹部5aの断面形状、陰極室4を画成する凹部6aの断面形状及び電極7,8の断面形状を円形状として説明したが、これを矩形状、多角形状等にすることを排除しない。
【0043】
本発明に係る電解セル1は、例えば図9に示すように、トリチウムを含む試料水中の純水を電解し該試料水を濃縮するトリチウム濃縮装置31に多段に並設し、試料水タンク32から最前段の電解セル1へ試料水を流入し、該最前段の電解セル1から各段の電解セル1で連続して電解による試料水の濃縮を行い、最後段の電解セル1から濃縮された試料水を濃縮水貯留器33へ溜めて、該濃縮された試料水にてトリチウムの測定を行うことができる。尚電解セル1はブロック体5,6の貫通孔25にチューブを接続するか、又は該貫通孔25を絶縁体を介して突き合わせて各段の電解セル1に試料水が連続して流入するように並設する。
【0044】
この場合には本発明に係る電解セル1はセル内で確実に気液分離が達成できるため、各電解セル1に気液分離装置を別途設ける必要がなく、トリチウム濃縮装置31を徒に複雑化、大型化することがない。
【符号の説明】
【0045】
1…電解セル、2…電解膜、2a…陽極面、2b…陰極面、3…陽極室、4…陰極室、5…ブロック体(陽極側)、6…ブロック体(陰極側)、7…電極(陽極)、8…電極(陰極)、9…整流板(陽極側)、9a…整流板の一面(内面)、9b…整流板の他面(外面)、9c…上部切り欠き、9d…下部切り欠き、10…整流板(陰極側)、10a…整流板の一面(内面)、10b…整流板の他面(外面)、10c…上部切り欠き、10d…下部切り欠き、11…絶縁体(陽極側)、12…絶縁体(陰極側)、13…排気管(陽極側)、14…排気管(陰極側)、15…検知管、16…水位センサー、17…上昇流路、18…下降流路、19…上部通水口、20…下部通水口、21…隔壁、22…分流路、23…間隔、24…通気溝、25…貫通孔、31…トリチウム濃縮装置、32…試料水タンク、33…濃縮水貯留器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解膜の陽極面側及び陰極面側と対面してそれぞれ整流板を設け、各整流板の一面側に上記電解膜で発生した電解ガスと被電解水の上昇流路を形成すると共に、同整流板の他面側に被電解水の下降流路を形成し、同整流板の上位に上昇流路と下降流路を連通する上部通水口を形成すると共に、同整流板の下位に下降流路と上昇流路を連通する下部通水口を形成し、被電解水を上記上部通水口と上記下部通水口を通じて上記上昇流路と上記下降流路とに循環せしめる構成とし、上記上部通水口に上記上昇流路を通じて上昇した電解ガスを排気し被電解水を上記下降流路に供する排気管を設けたことを特徴とする電解セル。
【請求項2】
上記整流板の一面又は/及び他面に分流路を設けたことを特徴とする請求項1記載の電解セル。
【請求項3】
上記上部通水口を流れる被電解水の水位を保つ水位センサーを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の電解セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−112864(P2013−112864A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260878(P2011−260878)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(506209422)地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター (134)
【Fターム(参考)】