説明

電解処理装置、平版印刷版支持体、平版印刷原版、および電解処理方法

【課題】高い搬送速度および電流密度で電解粗面化処理などの電解処理を行なう場合においてもチャターマークの発生を効果的に抑制できる電解処理装置および電解処理方法などの提供。
【解決手段】複数個の電解槽2A、2Bが直列に配置され、電解槽2A、2Bには、アルミニウムウェブWの走行経路に面するように配設され、交番電流が印加される電極8A、8Bが設けられ、電解槽2A、2Bにおける前記交番電流の電流密度は、最下流側の電解槽2Bにおいて最も低くなるように設定され、電解槽2Aにおいては、金属ウェブが導出される出口部分に低電流密度ゾーン87Aが設けられている電解処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解処理装置、平版印刷版支持体、平版印刷原版、および電解処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電解処理装置および電解処理方法に関し、特に、連続した帯状の金属板を、高い電流密度および搬送速度で電解処理するときにも、前記金属板の表面におけるチャターマークの発生を効果的に抑制できる電解処理装置および電解処理方法に関する。
【0003】
平版印刷版の原版である平版印刷原版は、一般的に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、「アルミニウム等」ということがある。)の板の表面を粗面化し、次いで前記表面を陽極酸化処理することにより、陽極酸化皮膜を形成して平版印刷版用支持体を得、前記平版印刷版用支持体における陽極酸化皮膜が形成された表面に感光性または感熱性の製版層を形成するという手順に従って作製される。
【0004】
そして、前記平版印刷原版の製版層に文字および絵などの印刷画像を焼き付け、現像することにより、平版印刷版が作製される。
【0005】
前記アルミニウム板は、ナイロンなどの毛を有するブラシローラまたは表面が研磨布からなる研磨ローラ等による機械的粗面化処理、アルカリ溶液中で前記アルミニウム板の表面を化学的に粗面化するエッチング処理、および前記アルミニウム板を電極の一方として電解粗面化する電解粗面化処理などにより、粗面化される。
【0006】
しかしながら、前記電解粗面化処理は、通常、酸性電解液中で前記アルミニウム板に正弦波電流、矩形波電流、または台形波電流などの交番電流を印加して行なうので、電解槽の入口において、前記アルミニウム板に正電圧および負電圧が交互に印加される。
【0007】
前記アルミニウム板においては、正電圧が印加されるとカソード反応が起き、負電圧が印加されるとアノード反応が起きる。そしてカソード反応時には、水酸化アルミニウムを主体とする酸化皮膜が生成し、アノード反応時には、前記酸化皮膜が溶解してピットと称する蜂の巣状の小孔が生じる。
【0008】
したがって、前記電解槽内を通過するアルミニウム板は、前記電解槽の入口において正電圧が印加されると先ずカソード反応をし、負電圧が印加されると先ずアノード反応をするから、前記電解槽の入口において印加される電流の極性によって前記アルミニウム板の表面状態が異なり、前記アルミニウム板の幅方向に伸びる縞状の面質ムラすなわちチャターマークが生じることがある。特に、高い搬送速度および高い電流密度で電解粗面化処理を行なうときには、前記チャターマークの発生が顕著に見られることがあった。
【0009】
前記チャターマークの発生を抑える方法として、たとえば、電解槽の入り口部分に低電流密度処理を行うソフトゾーンを設けた電解処理装置(特許文献1)、電解槽の各電極の前端、後端に低電流密度ゾーンを設け、残余の部分は一定電流密度ゾーンとした電解処理装置(特許文献2)、および電解槽の入り口部にソフトスタート部を設けた電解処理装置において、ソフトスタート部の電流密度、区間長、および金属ウェブの搬送速度について特定の関係式が成り立つように前記ソフトスタート部の長さを設定した電解処理装置(特許文献3)が提案された。
【0010】
また、複数の電解槽を直列に配列した電解処理装置において、最下流の電解槽の電流密度が最も低くなるように電流密度を設定したもの(特許文献4)も提案された。
【0011】
【特許文献1】特開昭60−067700号公報
【特許文献2】特開平1−230800号公報
【特許文献3】特開2003−003229号公報
【特許文献4】特開2003−171800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、これらの電解処理装置においても、高い搬送速度および高い電流密度で電解粗面化処理をおこなう場合には、チャターマークの発生を完全に抑制することは困難であった。
【0013】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、高い搬送速度および電流密度で電解粗面化処理などの電解処理を行なう場合においてもチャターマークの発生を効果的に抑制できる電解処理装置および電解処理方法、並びに前記電解処理装置で製造され、チャターマークのような面質ムラの発生の無い平版印刷版支持体、および前記平版印刷版支持体を有する平版印刷原版の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、一定方向に走行する金属ウェブを電解処理する電解処理装置であって、酸性電解液中で交番電流により連続的に電解処理する複数個の電解槽が直列に配置され、夫々の電解槽には、前記金属ウェブの走行経路に面するように配設されているとともに、前記交番電流が印加される1個または2個以上の電極が設けられるとともに、前記電極の金属ウェブが導入される入口部分にソフトスタート部が設けられ、前記複数個の電解槽における前記交番電流の電流密度は、金属ウェブの走行方向に沿って最下流側に位置する電解槽において最も低くなるように設定されているとともに、少なくとも前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽においては、金属ウェブが導出される出口部分に低電流密度ゾーンが設けられていることを特徴とする。
【0015】
前記電解処理装置においては、前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽においては、金属ウェブが導出される出口部分に低電流密度ゾーンが設けられている。また、各電極における金属ウェブの入口部分にソフトスタート部が設けられている。
【0016】
ここで、ソフトスタート部は、前記電極の金属ウェブの走行方向に沿ってより下流側の部分と比較して電流密度がより低く設定されている。同様に、低電流密度ゾーンにおいても、前記電極の金属ウェブの走行方向に沿ってより上流側の部分よりも低い電流密度で電解処理が行われる。したがって、ソフトスタート部においては、カソード反応およびアノード反応が抑制される。また、前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽における出口部分に低電流密度ゾーンが形成することにより、最下流側の電解槽におけるチャターマークの発生が抑制される。
【0017】
したがって、前記電解処理装置によれば、金属ウェブ上におけるチャターマークのような面質ムラの発生を抑制できる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電解処理装置において、前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽においては、金属ウェブの走行方向に沿って最も下流側に位置する電極における金属ウェブが導出される側の端部である出口側端部に低電流密度ゾーンが設けられていることを特徴とする。
【0019】
電解処理装置においては、電極と金属ウェブとの間に交番電流が印加されることにより、前記金属ウェブが粗面化される。
【0020】
したがって、前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽において、最も下流側に位置する電極における出口側端部に低電流密度ゾーンを設けることにより、前記電解槽における出口部分に低電流密度ゾーンが形成されるから、下流側において隣接する電解槽におけるチャターマークの発生が抑制される。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電解処理装置において、前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽には複数の電極が設けられ、且つ前記複数の電極の夫々における出口側端部に低電流密度ゾーンが設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の電解処理装置においては、前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽には複数の電極が設けられているから、1つの電解槽内部においても、一の電極と、前記一の電極の下流側に位置する他の電極との間でチャターマークが発生する可能性がある。
【0023】
しかしながら、前記電解処理装置においては、前記複数の電極の夫々における出口側端部に低電流密度ゾーンが設けられているから、1つの電解槽内部においてもチャターマークのような面質ムラが生じることが効果的に抑制される。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電解処理装置において、前記最下流側に位置する電解槽においても複数の電極が設けられ、且つ前記複数の電極のうち、最も出口側に位置する電極以外の電極の出口側端部に低電流密度ゾーンが設けられていることを特徴とする。
【0025】
最下流の電解槽に複数の電極を設けたときは、前記電解槽内部においても、一の電極と、前記一の電極の下流側に位置する他の電極との間でチャターマークが発生する可能性がある。しかしながら、請求項4に記載の電解処理装置においては、前記最下流に位置する電解槽においても、上流側に位置する電極の出口側端部に低電流密度ゾーンが設けられているから、電解槽内部でのチャターマークなどの面質ムラの発生が効果的に抑制される。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の電解処理装置において、前記低電流密度ゾーンにおける金属ウェブの処理時間Tが、電解槽内部における金属ウェブの全処理時間の6%以上に設定されているとともに、前記電解槽における前記低電流密度ゾーンの電流密度をd(A/dm)、前記低電流密度ゾーン以外の区間の電流密度をD(A/dm)とすると、d/D≦0.75、且つd≦30(A/dm)となるようにdが設定されていることを特徴とする。
【0027】
請求項5に記載の電解処理装置においては、低電流密度ゾーンにおける金属ウェブの処理時間Tおよび電流密度dが上のように設定されていることにより、チャターマークなどの面質ムラの発生をより効果的に抑制できる。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の電解処理装置において、前記電極の出口側端部が、前記金属ウェブの走行方向に沿って前記金属ウェブの走行経路から連続的に遠ざかるように形成されることにより、前記電極の低電流密度ゾーンが形成されていることを特徴とする。
【0029】
電解処理装置においては、電極と金属ウェブの搬送面との間隔が大きいと、前記電極と前記搬送面との間に存在する酸性電解液の層が厚くなるから、前記電極と前記金属ウェブとの間の電気抵抗が高い。一方、前記間隔が小さいと、前記酸性電解液の層の厚さが小さくなるから、前記電極と前記金属ウェブとの間の電気抵抗が低い。
【0030】
ここで、請求項6に記載の電解処理装置においては、電極の出口側端部が、前記金属ウェブの走行方向に沿って前記金属ウェブの走行経路から連続的に遠ざかるように形成される。
【0031】
したがって、前記電極と前記金属ウェブとの間の電気抵抗は、前記金属ウェブの搬送方向に対して下流側に行くほど増大するから、前記電極と前記金属ウェブとの間に流れる電流は、下流側に行くほど減少する。
【0032】
このように、請求項6に記載の電解処理装置は、従来の電解槽に何らの装置や部品を付加することなく低電流密度ゾーンを形成できるから、構成が簡略化できる。
【0033】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の電解処理装置において、前記電極が、少なくとも前記低電流密度ゾーンにおいて互いに絶縁された複数の小電極に分割され、前記小電極に交番電流を供給する電源と前記小電極との間に、電流を絞る電流絞り手段が設けられていることを特徴とする。
【0034】
請求項7に記載の電解処理装置においては、電解槽に形成された低電流密度ゾーンでは電極は互いに絶縁された小電極に分割されている。そして、前記小電極と電源との間に電流絞り手段が設けられている。
【0035】
したがって、前記電極における交番電流の密度は、前記電極における中央部、即ち出口側端部と入り口側端部との間の部分に比較して前記電極の出口側端部のほうが低いから、一の電極を通過した金属ウェブが他の電極を通過することによるチャターマークなどの面質ムラの発生が効果的に抑制される。
【0036】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の電解処理装置において、前記電流絞り手段がインダクタンスコイルであるものに関する。
【0037】
請求項8に記載の電解処理装置においては、電流絞り手段としてインダクタンスコイルを用いている。
【0038】
前記電解処理装置においては、前記電流から小電極に交番電流が供給されるから、前記交番電流がインダクタンスコイルを通過することにより、インダクタンスを生じ、電流が絞られる。したがって、抵抗損失なく電流を絞ることができる。また、インダクタンスコイルには何らの制御装置も必要ないから、前記電解処理装置は構成が簡略であるという特長も有する。
【0039】
インダクタンスコイルは、また、インダクタとも称され、鉄心を有するコイルも有しないコイルも使用できる。
【0040】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の電解処理装置において、電流絞り手段として抵抗器を用いたことを特徴とする。
【0041】
請求項9に記載の電解処理装置においては、前記電流絞り手段として抵抗器を使用しているから、前記電源と前記小電極との間には抵抗負荷しかない。したがって、力率が1である。
【0042】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の電解処理装置において、前記電極が、出口側端部に位置して低電流密度ゾーンを形成する出口側電極と、前記金属ウェブの搬送方向に沿って前記出口側電極よりも上流側の中央部電極とに区分され、前記出口側電極と中央部電極とは別個の電源に接続されていることを特徴とする。
【0043】
請求項10に記載の電解処理装置においては、前述のように前記電極が出口側電極と中央部電極とに区分され、しかも両者は夫々別個の電源に接続されているから、出口側電極における電流密度、即ち低電流密度ゾーンにおける電流密度を中央部電極とは別個独立に制御できる。
【0044】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10の何れか1項に記載の電解処理装置において、最下流側に位置する電解槽とそれ以外の電解槽とにおける電流密度比が1:1.2〜1:2の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0045】
請求項11に記載の電解処理装置においては、最下流側に位置する電解槽とそれ以外の電解槽とにおける電流密度比が特定の比率になるように設定されているから、前記面質ムラの発生をさらに効果的に抑制できる。
【0046】
請求項12に記載の発明は、平版印刷版用支持体において、アルミニウムウェブを、請求項1〜11の何れか1項に記載の電解処理装置で電解粗面化処理したことを特徴とする。
【0047】
前記電解処理装置によれば、アルミニウムウェブを交番電流で電解粗面化する際の面質ムラの発生を最小限に抑えることができる。したがって、得られる平版印刷版用支持体は面質ムラが極めて少ない。
【0048】
請求項13に記載の発明は、平版印刷原版において、請求項13に記載の平版印刷版用支持体と、前記平版印刷版用支持体における粗面化面に形成された製版層とを備えることを特徴とする。
【0049】
請求項13に記載の平版印刷原版に使用されている平版印刷版用支持体は、チャターマークのような面質ムラが極めて少ない。したがって、前記平版印刷原版によれば、印刷画面に、前記面質ムラに起因する印刷ムラが生じるのを効果的に抑制できる。
【0050】
請求項14の発明は、一定方向に走行する金属ウェブを電解処理する電解処理方法であって、酸性電解液中で交番電流を印加する複数の電解槽に、前記金属ウェブを順次通過させることにより、前記金属ウェブを電解処理するとともに、各電解槽においては、前記交番電流が印加される1個または2個以上の電極を前記金属ウェブの走行経路に面するように配設するとともに、前記電極の金属ウェブの入口部の電流密度を前記部分よりも金属ウェブの走行方向に沿って下流側の部分における電流密度よりも低く設定し、前記複数の電解槽においては、金属ウェブの走行方向に沿って最下流側に位置する電解槽の電流密度を最も低く設定し、前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽においては、金属ウェブが導出される出口部分における電流密度を、それよりも金属ウェブの走行方向に対して上流側の部分における電流密度よりも低く設定することを特徴とする。
【0051】
請求項14に記載の電解処理方法においては、請求項1のところで述べたのと同様の理由により、金属ウェブ上におけるチャターマークのような面質ムラの発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、高い搬送速度および電流密度で電解粗面化処理などの電解処理を行なう場合においても面質ムラの発生を効果的に抑制できる電解処理装置および電解処理方法、並びに前記電解処理装置で製造される平版印刷版支持体が提供される。更に、前記電解処理装置で製造され、チャターマークのような面質ムラの発生の無い平版印刷版支持体、および前記平版印刷版支持体を有する平版印刷原版も提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
1.実施形態1
本発明の電解処理装置の一例であって、アルミニウムウェブを電解粗面化処理して平版印刷版用支持体とする電解粗面化処理装置の一例について以下に説明する。
【0054】
図1に示すように、実施形態1に係る電解粗面化処理装置100は、アルミニウムウェブWの搬送方向tに対して上流側に位置する電解槽2Aと、前記搬送方向tに対して電解槽2Aよりも下流側に位置する電解槽2Bとを備える。
【0055】
電解槽2A、電解槽2Bの何れも、酸性電解液が貯留される電解槽本体4と、電解槽本体4の内部に水平方向に配設され、軸線の周りに図1における時計方向に回転してアルミニウムウェブWを搬送方向tに沿って送る送りローラ6とを備えている。
【0056】
電解槽本体4の内壁面は、略円筒状に形成され、前記内壁面上には、半円筒状の電極8Aおよび8Bが送りローラ6を囲むように設けられている。
【0057】
電極8Aおよび8Bは、それぞれ円周方向に沿って複数の小電極82Aおよび82Bに分割され、各小電極82Aおよび82Bの間には、それぞれ絶縁層84Aおよび84Bが介装された分割型電極である。
【0058】
小電極82Aおよび82Bは、例えば、グラファイトや金属などを用いて形成でき、絶縁層84Aおよび84Bは、例えば塩化ビニル樹脂などにより形成できる。
【0059】
絶縁層84Aおよび84Bの厚さは、1〜10mmが好ましい。
【0060】
また、電極8Aおよび8Bの何れにおいても、小電極82Aおよび82Bは、それぞれ電源ACに接続されている。小電極82A、82B、および絶縁層84A、84Bは、何れも絶縁性の電極ホルダー86によって保持されて電極8Aおよび8Bを形成している。
【0061】
前記電源ACは、交番電流を電極8A、8Bに印加する。前記電源ACは、誘導電圧調整器および変圧器を用いて商用交流を電流・電圧調整することにより正弦波を発生させる正弦波発生回路、前記商用交流を整流するなどの手段により得られた直流から台形波電流または矩形波電流を発生させるサイリスタ回路などが挙げられる。
【0062】
電解槽2Aおよび2Bの上部には、アルミニウムウェブWが導入・導出される開口部20が形成されている。開口部20における電極8Bの下流側末端近傍には、電解槽本体4に酸性電解液を補充する酸性電解液補充流路10が設けられている。前記酸性電解液に配合される酸性電解質としては硝酸、硫酸、塩酸、燐酸、スルホン酸が挙げられる。前記酸性電解質は1種類のみであってもよく、2種類以上を使用してもよい。また前記酸性電解液には酸性電解質のほか、アルミニウムイオンなどを含んでいてもよい。
【0063】
電解槽2Aおよび2Bの上方における開口部20近傍には、アルミニウムウェブWを電解槽2Aおよび2B内部に案内する一群の上流側案内ローラ12と、電解槽2Aまたは2B内で電解粗面化処理されたアルミニウムウェブWを電解槽2Aまたは2Bの外部に案内する下流側案内ローラ14とが配設されている。
【0064】
電解槽2Aおよび2Bには、それぞれ、電解槽本体4の上流側に隣接して補助電解槽16が設けられている。補助電解槽16は、電解槽本体4よりも浅く、底面16Aが平面状に形成されている。そして、底面16A上には、板状の補助電極18が設けられている。
【0065】
補助電極18は、白金などの高耐食性の金属またはフェライトなどから形成されたものが好ましく、また、棒状であってもよい。
【0066】
補助電極18は、交流電源ACにおける電極8Bが接続される側に、電極8Bに対して並列に接続され、中間には、ダイオード22が、交流電源ACから補助電極18に向う方向に電流が流れるように接続されている。
【0067】
電解槽2Aおよび2Bにおける電極8Aおよび8Bの上流側端部には、それぞれソフトスタート部88Aおよび88Bが設けられている。
【0068】
ソフトスタート部88Aおよび88Bは、それぞれ搬送方向tに沿って送りローラ6の表面に漸近する区間である漸近部88Aおよび88Bと、前記漸近部の下流側に位置し、小電極82Aおよび82Bと交流電源ACとの間にインダクタンスコイル24が挿入された区間であるインダクタンス挿入部88Aおよび88Bとを有する。
【0069】
更に、上流側の電解槽2Aにおいては、搬送方向tに沿って下流側、即ちアルミニウムウェブWの導出側に位置する電極8Aの出口側の小電極82Aと交流電源ACとの間にインダクタンスコイル25が装入されて低電流密度ゾーン87Aが形成されている。低電流密度ゾーン87Aは、アルミニウムウェブWの処理時間が、電解槽2A内におけるアルミニウムウェブWの全処理時間の6%以上になるように形成されていることが好ましい。
【0070】
電解槽2Aにおける電極8Aおよび8Bに印加される交番電流の電流密度は、電解槽2Bにおける電極8Aおよび8Bに印加される交番電流の電流密度よりも高く、好ましくは、前者は後者の1.2〜2倍である。なお、電解槽2A、2Bにおける電流密度は、ソフトスタートゾーン88A、88B、および低電流密度ゾーン87Aを含んだ槽内の平均電流密度として定義される。
【0071】
電解槽2Bにおける電極8Aおよび8Bに印加される交番電流の電流密度は、15〜30A/dmの範囲が好ましい。また、8Aにおいては、低電流密度ゾーン87Aにおける電流密度d(A/dm)とそれ以外の部分における電流密度D(A/dm)との比率d/Dが0.75以下、好ましくは0.3〜0.75の範囲になるようにインダクタンスコイル25のインダクタンスが設定されている。
【0072】
なお、ソフトスタート部88A,88B,および低電流密度ゾーン87Aにおいては、インダクタンスコイル25に代えて抵抗器を使用してもよいし、また、電極8A、8Bの残余の部分とは異なる電源に接続してもよい。
【0073】
図1に示す電解粗面化処理装置100の作用について以下に説明する。
【0074】
図1における右方から電解槽2Aに案内されたアルミニウムウェブWは、先ず補助電解槽16に導入されて陽極反応する。そして、上流側案内ローラ12によって電解槽本体4に導入される。
【0075】
アルミニウムウェブWは、電解槽本体4の内部を送りローラ6によって搬送方向tに沿って搬送され、先ず、ソフトスタート部88Aを通過する。ソフトスタート部88Aにおいては、電流密度は、上流側端部すなわち始点においては、電解槽2Aに印加される交番電流の電流密度MCよりも遥かに小さく、アルミニウムウェブWが下流側に向って移動するにつれ、電流密度が増大し、ソフトスタート部88Aの下流側端部すなわち終点においては、前記電流密度MCに等しくなる。
【0076】
アルミニウムウェブWは、ソフトスタート部88Aを通過したのち、電解槽本体4の電極8Aに沿って搬送され、電源ACから電極8Aに印加された交番電流により、電極8Aに向いた側の面がアノードまたはカソード反応する。そして、最後に低電流密度ゾーン87Aを通過する。
【0077】
電極8Aを通過したアルミニウムウェブWは、次ぎに、電解槽本体4に形成されたソフトスタート部88Bを通過する。ソフトスタート部88Bにおいても、同様に、電流密度は、始点においては、前記電流密度MCに比較して遥かに小さく、アルミニウムウェブWが下流側に向って移動するにつれて増大し、終点においては、前記電流密度MCに等しくなる。
【0078】
アルミニウムウェブWは、ソフトスタート部88Bを通過したのち、同様に、電極8Bに沿って搬送され、電源ACから電極8Bに印加された交番電流により、電極8Aに向いた側の面がアノードまたはカソード反応して、全面にハニカムビットが形成される。
【0079】
電解槽本体4内部で電解粗面化処理されたアルミニウムウェブWは、低電流密度ゾーン87Aを通過した後、下流側案内ローラ14によって電解槽2Aの外部に導出される。
【0080】
電解槽2Aから導出されたアルミニウムウェブWは、次ぎに、電解槽2Bに案内される。
【0081】
電解槽2Bに案内されたアルミニウムウェブWは、先ず、電解槽2Bにおける補助電解槽16に導入されて陽極反応する。
【0082】
前記アルミニウムウェブWは、次いで、上流側案内ローラ12によって電解槽本体4内部に導入される。電解槽2Bの備える電解槽本体4の内部においても、ソフトスタート部88Aおよび88Bの始点においては、電解槽2Bにおける電流密度MCよりも小さく、終点においては前記電流密度MCに等しくなる。そして、ソフトスタート部88Aおよび88Bよりも下流側においては、電流密度MCで電解粗面化処理される。
【0083】
ここで、電解槽2Bにおける電流密度MCは、電解槽2Aにおける電流密度MCよりも小さく、具体的には、MC/1.2〜MC/2の範囲である。
【0084】
電解槽2Bにおける電解槽本体4を通過したアルミニウムウェブWは、下流側案内ローラ14により、電解槽本体4の外部に導出される。
【0085】
ここで、電解槽2A、2Bに印加される交番電流としては、台形波電流のほか、正弦波電流、および矩形波電流が挙げられる。また、前記台形電流、正弦波電流、または矩形波電流に直流を重畳した電流も包含する。
【0086】
実施形態1に係る電解粗面化装置100においては、最も下流側に位置する電解槽2Bにおいては、上流側の電解槽2Aの電流密度の1/1.2〜1/2の電流密度で電解粗面化処理を行うから、[発明が解決しようとする課題]の欄で述べた面質ムラが特に生じ難い。
【0087】
また、電解槽2A、2Bにおける電解槽本体4には、ソフトスタート部88A、88B、および低電流密度ゾーン87Aが設けられているから、電解槽2A、2Bの何れにおいてもアルミニウムウェブWには最初は低い電流密度の電流が印加され、また、電解槽2Aの出口には低電流密度ゾーン87Aが形成されているから、大電流密度で粗面化を行なう場合において、アルミニウムウェブWの搬送速度を高くしても、チャターマークが発生することがなく、アルミニウムウェブWの粗面化面全体に均一なハニカム状ビットが形成される。
【0088】
2.実施形態2
本発明の電解処理装置に包含される電解粗面化処理装置の他の例について以下に説明する。
【0089】
図2に示すように、実施形態2に係る電解粗面化処理装置102の上流側の電解槽2Aにおいては、搬送方向tに沿って下流側、即ちアルミニウムウェブWの導出側に位置する電極8Aの出口側の小電極82Aと交流電源ACとの間にインダクタンスコイル25が装入されて低電流密度ゾーン87Aが形成されている。同様に、搬送方向tに沿って上流側、即ちアルミニウムウェブWの導出側に位置する電極8Bの出口側の小電極82Bと交流電源ACとの間にインダクタンスコイル25が装入されて低電流密度ゾーン87Bが形成されている。なお、低電流密度ゾーン87Bは、低電流密度ゾーン87Aと同様に、アルミニウムウェブWの処理時間が、電解槽2A内におけるアルミニウムウェブWの全処理時間の6%以上になるように形成されていることが好ましい。
【0090】
電解粗面化処理装置102は、これらの点を除いて実施形態1に係る電解粗面化処理装置と同様の構成を有する。なお、電解粗面化処理装置102においては、電解槽2A、2Bの電流密度は、ソフトスタートゾーン88A、88B、および低電流密度ゾーン87A、87Bを含んだ槽内の平均電流密度として定義される。
【0091】
3.実施形態3
本発明の電解処理装置に包含される電解粗面化処理装置の更に別の例について以下に説明する。
【0092】
図3に示すように、実施形態3に係る電解粗面化処理装置104の上流側の電解槽2Aにおいては、搬送方向tに沿って下流側、即ちアルミニウムウェブWの導出側に位置する電極8Aの出口側の小電極82Aと交流電源ACとの間にインダクタンスコイル25が装入されて低電流密度ゾーン87Aが形成されている。同様に、搬送方向tに沿って上流側、即ちアルミニウムウェブWの導出側に位置する電極8Bの出口側の小電極82Bと交流電源ACとの間にインダクタンスコイル25が装入されて低電流密度ゾーン87Bが形成されている。低電流密度ゾーン87Bは、低電流密度ゾーン87Aと同様に、アルミニウムウェブWの処理時間が、電解槽2A内におけるアルミニウムウェブWの全処理時間の6%以上になるように形成されていることが好ましい。
【0093】
更に、下流側の電解槽2Bにおいても、搬送方向tに沿って上流側、即ちアルミニウムウェブWの導出側に位置する電極8Bの出口側の小電極82Bと交流電源ACとの間にインダクタンスコイル25が装入されて低電流密度ゾーン87Bが形成されている。電解槽2Bにおいても、低電流密度ゾーン87Bは、アルミニウムウェブWの処理時間が、電解槽2A内におけるアルミニウムウェブWの全処理時間の6%以上になるように形成されていることが好ましい。
【0094】
電解粗面化処理装置104は、これらの点を除いて実施形態1に係る電解粗面化処理装置と同様の構成を有する。
【実施例】
【0095】
(実施例1〜5、参考例1、および比較例1〜4)
図4に示す電解粗面化装置106を用い、幅1000mm、厚さ0.24mmのアルミニウムウェブに電解粗面化処理を施した。電解槽2A、2Bの電流密度比MC/MCを1.3に設定し、電解槽2Aにおいて電極8Bの入口側端部および出口側端部を夫々区間A、aとし、電極8Aの入口側端部および出口側端部を夫々区間B、bとした。また、電解槽2Bにおいて電極8Bの入口側端部および出口側端部を夫々区間C、cとし、電極8Aの入口側端部および出口側端部を夫々区間D、dとした。
【0096】
図4および表Iに示すように、実施例1〜5、参考例1、および比較例1〜4のいずれにおいても区間A、B、C、Dにソフトスタート部88A、88Bを形成した。一方、区間A、b、c、dの何れに低電流密度ゾーンを形成したかのかは表1に示す通りである。
【0097】
電解粗面化処理装置106で電解粗面化されたアルミニウムウェブWの品質については、白色濃淡ムラ、チャターマーク、およびスジの有無を目視で観察し、◎:優、○:良、△:不可、×:不可(悪)の4段階で評価した。結果を表1に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
表1に示すように、少なくとも上流側に位置する電解槽2Aにおける電極8Aの出口側に位置する領域b低電流密度ゾーンをに設けた実施例1〜5および参考例1においては、電解粗面化処理後のアルミニウムウェブWの電解粗面化面には、白色濃淡ムラ、チャターマーク、およびスジは殆ど見られず、面質が良好であった。しかし、下流側の電解槽2Bのみに低電流密度ゾーンを設けた比較例1および低電流密度ゾーンを設けなかった比較例1〜4においては、得られた平版印刷版用支持体の表面に明らかに白色濃淡ムラ、チャターマーク、およびスジが認められた。
【0100】
また、上流側に位置する電解槽2Aの低電流密度ゾーンにおけるアルミニウムウェブWの処理時間Tの、電解槽2AにおけるアルミニウムウェブWの全処理時間に対する割合が6%の実施例1〜5においては、前記割合が4%である参考例1に比較して良好な面質の平版印刷版用支持体が得られた。
【0101】
次に、電解槽2A、2Bの電流密度比MC/MCを1.2〜2の範囲で変化させた以外は、実施例1〜5、参考例1、および比較例1〜4と同様にしてアルミニウムウェブの電解粗面化処理を行ったところ、表Iと同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は実施形態1に係る電解処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は実施形態2に係る電解処理装置の構成を示す概略図である。
【図3】図3は実施形態3に係る電解処理装置の構成を示す概略図である。
【図4】図4は実施例1〜5、参考例1、および比較例1〜4で使用した電解処理装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0103】
2A 電解槽
2B 電解槽
4 電解槽本体
6 送りローラ
8A 電極
8B 電極
16 補助電解槽
18 補助電極
82A 小電極
84A 絶縁層
87A 低電流密度ゾーン
87B 低電流密度ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に走行する金属ウェブを電解処理する電解処理装置であって、
酸性電解液中で交番電流により連続的に電解処理する複数個の電解槽が直列に配置され、
夫々の電解槽には、前記金属ウェブの走行経路に面するように配設されて前記交番電流が印加される1個または2個以上の電極が設けられるとともに、前記電極の金属ウェブが導入される入口部分にソフトスタート部が設けられ、
前記複数個の電解槽における前記交番電流の電流密度は、金属ウェブの走行方向に沿って最下流側に位置する電解槽において最も低くなるように設定されているとともに、
少なくとも前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽においては、金属ウェブが導出される出口部分に低電流密度ゾーンが設けられていることを特徴とする電解処理装置。
【請求項2】
前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽においては、金属ウェブの走行方向に沿って最も下流側に位置する電極における金属ウェブが導出される側の端部である出口側端部に低電流密度ゾーンが設けられている請求項1に記載の電解処理装置。
【請求項3】
前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽においては複数の電極が設けられ、且つ前記複数の電極の夫々における出口側端部に低電流密度ゾーンが設けられている請求項1に記載の電解処理装置。
【請求項4】
前記最下流側に位置する電解槽においても複数の電極が設けられ、且つ前記複数の電極のうち、最も出口側に位置する電極以外の電極の出口側端部に低電流密度ゾーンが設けられている請求項3に記載の電解処理装置。
【請求項5】
前記低電流密度ゾーンにおける金属ウェブの処理時間Tは、電解槽内部における金属ウェブの全処理時間の6%以上に設定されているとともに、前記電解槽における前記低電流密度ゾーンの電流密度をd(A/dm)、前記低電流密度ゾーン以外の区間の電流密度をD(A/dm)とすると、d/D≦0.75、且つd≦30(A/dm)となるようにdが設定されている請求項1〜4の何れか1項に記載の電解処理装置。
【請求項6】
前記電極の出口側端部が、前記金属ウェブの走行方向に沿って前記金属ウェブの走行経路から連続的に遠ざかるように形成されることにより、前記電極の低電流密度ゾーンが形成されている請求項1〜5の何れか1項に記載の電解処理装置。
【請求項7】
前記電極は、少なくとも前記低電流密度ゾーンにおいて互いに絶縁された複数の小電極に分割され、前記小電極に交番電流を供給する電源と前記小電極との間に、電流を絞る電流絞り手段が設けられている請求項1〜5の何れか1項に記載の電解処理装置。
【請求項8】
前記電流絞り手段はインダクタンスコイルである請求項7に記載の電解処理装置。
【請求項9】
前記電流絞り手段は抵抗器である請求項7に記載の電解処理装置。
【請求項10】
前記電極は、出口側端部に位置して低電流密度ゾーンを形成する出口側電極と、前記金属ウェブの搬送方向に沿って前記出口側電極よりも上流側の中央部電極とに区分され、前記出口側電極と中央部電極とは別個の電源に接続されている請求項1〜5の何れか1項に記載の電解処理装置。
【請求項11】
前記最下流側に位置する電解槽とそれ以外の電解槽とにおける電流密度比が1:1.2〜1:2の範囲に設定されている請求項1〜10の何れか1項に記載の電解処理装置。
【請求項12】
アルミニウムウェブを、請求項1〜11の何れか1項に記載の電解処理装置で電解粗面化処理したことを特徴とする平版印刷版用支持体。
【請求項13】
請求項12に記載の平版印刷版用支持体と、前記平版印刷版用支持体における粗面化面に形成された製版層とを備えることを特徴とする平版印刷原版。
【請求項14】
一定方向に走行する金属ウェブを電解処理する電解処理方法であって、
酸性電解液中で交番電流を印加する複数の電解槽に、前記金属ウェブを順次通過させることにより、前記金属ウェブを電解処理するとともに、
各電解槽においては、前記交番電流が印加される1個または2個以上の電極を前記金属ウェブの走行経路に面するように配設するとともに、前記電極の金属ウェブの入口部の電流密度を前記部分よりも金属ウェブの走行方向に沿って下流側の部分における電流密度よりも低く設定し、
前記複数の電解槽においては、金属ウェブの走行方向に沿って最下流側に位置する電解槽の電流密度を最も低く設定し、
前記最下流側に位置する電解槽以外の電解槽においては、金属ウェブが導出される出口部分における電流密度を、前記出口部分よりも金属ウェブの走行方向に対して上流側の部分における電流密度よりも低く設定する
ことを特徴とする電解処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−246971(P2008−246971A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93710(P2007−93710)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】