説明

電解式汚染水浄化方法および浄化システム

【課題】低濃度の有害金属イオンを連続的に除去する電解式汚染水浄化方法および浄化システムを提供する。
【解決手段】汚有害金属イオンを含んでいる汚染水の前記有害金属イオンを電解装置のカソード近傍に集める電解工程と、前記汚染水へ注入された鉄イオン及び前記カソード近傍に集められた前記有害金属イオンを反応させてフェライトを生成するフェライト化工程と、前記生成されたフェライトを除去する除去工程とを含む電解式汚染水浄化方法であって、前記電解工程が、少なくとも一つの3室型電解槽を有する電解装置の最終段となる3室型電解槽の中間室の出口から、前記電解装置の初段の3室型電解槽の中間室の入口へ、水を循環させる循環工程を含み、前記フェライト化工程が、前記3室型電解槽のカソード室から得られる前記有害金属イオンを含む水の温度を維持した状態で行われる事を特徴とする電解式汚染水浄化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染水、特に汚染された海水中の有害金属を固体化しこれを除去して汚染水を浄化する浄化方法および浄化システムに関するものであり、より詳細には電解により有害金属イオンを集め、有害金属イオンを鉄イオンと反応させるフェライト化反応を用いて有害金属イオンを固体化して除去することで汚染水を浄化する電解式汚染水浄化方法および電解式浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業活動に伴う排水には有害物質が含まれることが多く環境保護の観点から排水をそのまま下水、河川、海などへ放水することは許されない。特に、原子力発電所から漏れ出た放射性物質については、プランクトンに取り込まれた放射性物質が小魚に食べられさらに大型魚類が小魚を食べるという食物連鎖により凝縮されることもあって内部被曝による人体への影響が懸念されている。
【0003】
原子力発電所から漏れ出る有害物質の中で放射性セシウム137は半減期30年の放射性同位体であり、安定同位体に「戻る」過程で、ガンマ線という非常に波長の短い電磁波を放射する。ガンマ線には、ウランから放出されるアルファ線ほどの有害性はないが、飛散距離が長く、封じ込めることがきわめて難しい。
【0004】
しかも、セシウムは非常に「反応しやすい」金属なので、環境中ではつねに他の元素と結合した状態で発見される。そのため、国際原子力機関(IAEA)が進めているチェルノブイリ原発事故の環境影響調査を率いるフリッツ・ステインハウスラー氏によると、セシウムは屋根材やコンクリートや土壌に容易に結合するという。そして、ひとたび汚染された物質から、放射性セシウムを除去することは不可能に近い。
【0005】
従って、原子力発電所からの排水を外部へ放出する前に排水中の放射性セシウム137を徹底して除去することが求められる。
【0006】
放射性セシウム137の有力な除去方法として多孔質材料のゼオライトを用いる方法がある。表面に微細な穴の多い「天然ゼオライト」10グラムを、放射性セシウム137を溶かした海水100ミリ・リットルに入れて混ぜると5時間で約9割のセシウムが吸着されることが確認されている。しかし、この方法は時間が掛かりしかも海水の約10%の重量のゼオライトを投入する必要があるので、一旦海に放出された放射性物質を回収するには不向きである。
【0007】
そして、問題になる放射性物質は、その放射能の強度が規制値を大幅に上回る状態でも海水中ではその濃度は非常に低いので、海水中の有害物質の除去を実効的に行うためには、大量の海水を迅速に連続的に処理する必要がある。
【0008】
連続的に有害物質の回収を行うために、ゼオライトと磁性粒子の混合物を造粒した粒子に、流体中の有害物質を吸着等により捕集させ、有害物質を捕集した粒子を磁気分離により磁石で回収して流体中の有害物質を除去する方法が提案されている(特許文献1を参照)。
【0009】
磁気分離についてはこれまでに多くの検討がなされているが、その方法は水中に凝集剤を添加した後、もしくは凝集剤と同時に磁性体を投入することで、水中の溶存成分および浮遊物を吸着した凝集剤と磁性体とでフロックを形成させ、このフロックに対して強い磁場を印加することで強制的にフロックを分離または水中から除去することである。
【0010】
フロックを効率よく回収する方法として、金網や高分子膜でフロックと水を分離させてから磁場を印加することでフロックを回収する方法が開示されている。この中では、汚濁粒子を有する水に対して凝集剤及び磁性粉を段階的に混入させ攪拌することで磁性フロックを形成し、フロックを含む水を数ミクロンから数十ミクロンの目開きを有したステンレス鋼の網で作られた回転ドラムに投入することで水とフロックを分離し、その後磁場発生手段によってフロックを回収している(特許文献2を参照)。
【0011】
しかしながら、従来提案されている何れの方法も、磁性体以外の材料を併用して有害物質の除去をおこなっており、除去された材料が新たな汚染源とならないための廃棄物処理も新たな問題となる。
【0012】
汚染水の浄化方法として水に不溶性の廃棄物としてスピネルフェライトが得られるフェライト法を用いる際には、その温度とpHを適宜に保つことが求められる。そこで、温度に関しては、下水処理の際に嫌気性の微生物を用いて原水の温度を上昇させることが行われている(特許文献3を参照)。
【0013】
また、ppmオーダーの低濃度の汚染金属を除去するために、電解採取可能な多価の金属、例えば、錫、銅、コバルト、クロム、鉄、亜鉛、及び類似の遷移金属について、電解採取の手法が用いられている(特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−177709号公報
【特許文献2】特開2005−111424号公報
【特許文献3】特開平10−118518号公報
【特許文献4】特開平07−280998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
フェライト化法を用いた従来技術においては、反応物質である汚染金属濃度の低い状態の汚染金属の除去には時間が掛かることもあって連続運転が難しいという問題があった。また、フェライト化反応には50度C以上の温度が必要とされるが特許文献4に開示された嫌気性微生物による有機物の分解に伴う発熱の利用は、有機物が下水などに比べ少ない汚染水では、この方法を使うことが出来ないので、昇温に伴うエネルギーコストが問題となる。
【0016】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、低濃度の有害金属イオンを連続的に除去する電解式汚染水浄化方法および浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従来の鉄化合物を用いたフェライト化反応による水中の金属イオンの除去は2価の金属を対象にするものが多いが、本願発明者は、対象金属は必ずしも2価でなくても鉄化合物と汚染水をフェライト化に必要なpHと温度に置くことで、フェライトのスピネル構造の中に金属が取り込まれることに着目した。
【0018】
また、低濃度の金属イオンの濃度を電解装置を使うことで高め、電解に伴う温度上昇とpHの上昇を利用することで効率的にフェライト化反応による有害金属の除去を行えることに着目して本発明を完成した。
【0019】
請求項1に記載された発明は、有害金属イオンを含んでいる汚染水の前記有害金属イオンを電解装置のカソード近傍に集める電解工程と、前記汚染水へ注入された鉄イオン及び前記カソード近傍に集められた前記有害金属イオンを反応させてフェライトを生成するフェライト化工程と、前記生成されたフェライトを除去する除去工程とを含む電解式汚染水浄化方法であって、前記電解工程が、少なくとも一つの3室型電解槽を有する電解装置の最終段となる3室型電解槽の中間室の出口から、前記電解装置の初段の3室型電解槽の中間室の入口へ、水を循環させる循環工程を含み、前記フェライト化工程が、前記3室型電解槽のカソード室から得られる前記有害金属イオンを含む水の温度を維持した状態で行われる事を特徴とする電解式汚染水浄化方法である。
【0020】
本発明は、図1に示すように、カソードの置かれるカソード室、アノードの置かれるアノード室、そしてこれらの間に位置する中間室の3室で構成される3室型電解槽の中間室へ汚染水を導入し、電解によりカソード室へ水中で陽イオンとなる有害金属のイオンを集めてイオン濃度を上昇させて、これに鉄イオンを反応させてフェライト化による有害金属の除去を行うものである。
【0021】
3室電解槽の中間室に汚染水(汚染海水)が導入され、電解後の中間室からの水は検出器(センサ)で有害金属濃度が検出され3方弁を介して再度中間室の入口へ戻って水が循環することになる。
【0022】
アノードとカソードを介して供給される電気エネルギは通電と共に溶液抵抗を介してジュール熱を発生し電解槽の中の水温を上昇させる。また、カソード室は水素イオン濃度が高くなるのでpHが上昇する。この温度とpHが上昇した状態を維持することで、有害金属イオンを含んだ水と鉄イオンがフェライト化反応でスラッジとなる。
【0023】
請求項2に記載された発明は、前記循環工程が、循環される水に含まれる前記有害金属含有量の検出値または前記3室型電解槽のアノード極とカソード極間に流れる電解電流の検出値に基づいて、循環される水の一部を前記循環工程の外部へ排出する制御工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の循環型汚染水浄化方法である。
【0024】
電解の進行状況は、中間室からの水に含まれる汚染金属の濃度を検出するか、電解の際に流れる電流値を検出すること知ることができる。本発明は、これらの検出された値が所定の値まで下がったら有害金属の除去が進んだとして3方弁を介して外部へ浄化水として排出する制御工程を含むので効率的に浄化水を得ることができる。
【0025】
請求項3に記載された発明は、前記フェライト除去工程が、サイクロンフィルタによるフェライト除去工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の循環型汚染水浄化方法である。
【0026】
サイクロンフィルタは図5に示すような構造を有し、フィルタ中の水中の粒子が遠心力でフィルタの内壁に押しやられ下へ落下することで、水中の粒子を除去することができる。メンブレンフィルタのように目詰まりやフィルタ交換が不要なので連続運転が可能になる。
【0027】
請求項4に記載された発明は、前記有害金属が放射性セシウムであり、前記有害金属含有量の検出値が放射線強度であることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の循環型汚染水浄化方法である。
【0028】
本発明は金属イオンであれば様々な金属イオンに対して有効であり、水にイオンとして良く溶けるセシウムも対象となる。そして、同位体である放射性セシウム137も本発明の対象となり、水中の濃度をその放射線強度で検出することができる。図1のセンサ22は、例えばGeなどの半導体検出器を用いた放射線検出器を使うことができる。
【0029】
請求項5に記載された発明は、前記汚染水が海水であり、前記循環工程に先だって、前記海水中のナトリウムを除去するナトリウム除去工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項に記載の循環型汚染水浄化方法である。
【0030】
汚染水が海水で除去対象がセシウムの場合、海水中に大量に含まれるナトリウムと、セシウムと同じアルカリ金属なので、その化学的な性質が良く似ている。従って、予めナトリウムを除去しておくことで効率的にセシウムを除去することができる。このことは、除去対象金属がセシウム以外であっても海水の場合には、ナトリウム除去は循環工程での有害金属除去の効率を上げることにつながる。また、ナトリウムの除去はイオン交換膜などの交換必要な手段よりも図3に示すような電解式の装置で行うことが好ましい。
【0031】
請求項6に記載された発明は、有害金属イオンを含んでいる汚染水の前記有害金属イオンを電解装置のカソード近傍に集める電解手段と、前記汚染水へ注入された鉄イオン及び前記カソード近傍に集められた前記有害金属イオンを反応させてフェライトを生成するフェライト化反応手段と、前記生成されたフェライトを除去するフェライト除去手段とを備える電解式汚染水浄化システムであって、前記電解手段が、少なくとも一つの3室型電解槽を含む電解装置を有し、その最終段となる3室型電解槽の中間室の出口から初段の3室型電解槽の中間室の入口へ、水を循環させる循環路を有し、前記フェライト化反応手段が、保温されたフェライト化反応槽を有し、該フェライト化反応槽と前記最終段となる3室型電解槽のカソード室との間に前記カソード室からの水を温度を保った状態で導く保温経路および前記該フェライト化反応槽からの水を温度を保った状態で前記カソード室へ導く保温経路を有することを特徴とする電解式汚染水浄化システムである。
【0032】
図1に示すように本発明の循環型汚染水浄化システムは、少なくとも一つの3室型電解槽が含まれている電解装置10を備えている。電解装置に含まれる3室型電解槽26の最終段の中間室から出た水が再度、初段の3室型電解槽の中間室へ戻るための循環路13が設けられている。鉄化合物を注入する注入手段により支持電解質として鉄化合物を使うことで有害金属のフェライト化を進行させることができる。
【0033】
請求項7に記載された発明は、前記循環路を流れる水に含まれる前記有害金属含有量を検出する検出器または前記3室型電解槽のアノード極とカソード極間に流れる電解電流を検出する電流計を有し、前記検出器または前記電流計の検出値に基づいて、前記循環路の一部を切り替えて循環する水の一部を前記循環路の外部へ排出する制御手段を有することを特徴とする請求項6に記載の循環型汚染水浄化システムである。
【0034】
循環路を流れる汚染水は電解の進行に伴い、その中の有害金属の濃度が低下するのでその濃度が所定の値以下になれば、循環路の外部へ浄化水として排出することができる。電解の進行は、循環する水の中の有害金属の濃度を検出するか、電解に使われる電流値を検出すれば知ることができる。
【0035】
請求項8に記載された発明は、前記フェライト除去手段にサイクロンフィルタが含まれることを特徴とする請求項6または7に記載の循環型汚染水浄化システムである。
【0036】
サイクロンフィルは図5に示すような構造を有し、水中の粒子を連続的に除去することができる。
【0037】
請求項9に記載された発明は、前記有害金属が放射性セシウムであり、前記検出値が放射線強度であることを特徴とする請求請求項7又は8に記載の循環型汚染水浄化システムである。
【0038】
放射性セシウム137も有害金属の一つとして、本発明の対象となり、水中の濃度をその放射線強度で検出することができる。図1のセンサ22は、例えばGeなどの半導体検出器を用いた放射線検出器を使うことができる。
【0039】
請求項10に記載の発明は、前記汚染水が海水であり、前記電解装置の前段に前記海水中のナトリウムを除去するナトリウム除去装置を有することを特徴とする請求項6乃至9何れか1項に記載の循環型汚染水浄化システムである。
【0040】
電解装置の前段にナトリウム除去装置を備えることで、特に、有害金属としてセシウムなどのアルカリ金属を対象とする場合は、予めナトリウムを取り除くことで、セシウムの除去が効率的に行える。
【0041】
請求項11に記載の発明は、有害金属を含む汚染水および水中で鉄イオンとなる処理剤を含む処理水からなる被処理水1を混合する混合手段と、該混合手段から得られる被処理水2を浄化する浄化手段とを備えた多段階海水浄化システムであって、前記混合手段が、その入り口付近に水の向きを回転方向に変換する回転板およびその容器の内壁に突起物を有し、高圧で送水された前記被処理水1を前記容器内で前記回転板により回転させ前記突起物に衝突を繰り返させて前記汚染水および処理水を混合することで前記処理剤へ前記有害金属が取りこまれた粒子を含む被処理水2を生成する手段であり、前記浄化手段が前記被処理水2から前記粒子および前記有害金属を除去する手段であり、前記浄化手段の最終段に請求項10に記載の前記循環型汚染水浄化システムを有することを特徴とする多段階海水浄化システムである。
【0042】
ミクロレベルで粒子を混合する混合手段の後処理の浄化手段の最終段に循環型汚染水浄化システムを備えることで、多段階海水浄化システムからの浄化水の中の有害金属濃度を下げることができる。
【0043】
請求項12に記載された発明は、前記請求項11に記載の多段階海水浄化システムおよび発電装置が搭載され海面上に浮かんで海水の浄化を行う海水浄化構造体である。
【0044】
この海水浄化構造体により、海中に海域を区切るシートを降ろして閉海域とした状態の海へ多段階海水浄化システムおよび発電装置が搭載され海面上に浮かんで海水の浄化を行う海水浄化構造体を浮かべて連続的に海水の処理を行うことで海水の浄化が効果的に行われる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、低濃度の有害金属を含んだ汚染水から有害金属を連続的に除去することが可能になり、特に、原子力発電所からの排水中の有害金属の除去に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る電解型汚染水浄化システムの構成を示すブロック図である。
【図2】3室型電解槽の説明図である。
【図3】ナトリウム除去装置の説明図である。
【図4】支持電解質を注入する注入装置の説明図である
【図5】被処理水中の固体粒子を回収するサイクロンフィルタの説明図である。
【図6】海水と微粒子を混合するミキサ(混合手段)の説明図である。
【図7】海水浄化構造体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1を用いて本発明に係る汚染水浄化方法及び浄化システムの詳細を説明する。
【0048】
電解工程では汚染水が電解装置10と循環路13を経ることで電解により有害金属を減少させられる。フェライト化工程に必要な鉄イオンは循環路の途中に置かれたサイクル槽12及びフェライト化反応槽14など、有害金属と共存するように注入される。フェライト化して固体化して有害金属を含むスラッジは、サイクロンフィルタなどを用いた除去工程で除去される。
【0049】
電解時の通電により電解槽の中の水温は数十度に上昇するが、その温度を維持した状態でフェライト化反応槽へ導くことで、フェライト化に必要な温度を得ることができるので省エネルギとなる。
【0050】
電解装置10は、内部に少なくとも一つの3室型電解槽26を備えている。3室型電解槽26が一つの場合は、初段がすなわち最終段となる。
【0051】
図1の電解装置10には、一つの例として図2に示す3段の3室型電解槽26が設けられており、カソードが置かれて陽イオンが集まる部分をカソード室(C)31、アノードが置かれて陰イオンが集まる部分をアノード室(A)32、これらに挟まれて汚染水が流入する部分を中間室(M)33と言う。そして、各室から出た水はそれぞれ次段の該当する室へ流入する。このように多段にするのは、大電流を流すと温度上昇が激しくなり樹脂製の電解槽が変形するなどの悪影響が出るためである。
【0052】
ここで、3室型電解槽について図2を用いて説明する。電解はイオンを含む水中へアノードとカソードを入れて電流を流すことで行われるので隔膜は必ずしも必要ではないが電解槽を隔膜を設けて3室にすることで各室で生成される水が混合することなく高品質の水が得られる。カソードの近傍には陽イオンが集まり、アノードの近傍には陰イオンが集まる。
【0053】
通常は3室型の電極は隔膜と密着した構造となっており、中間室側に夫々陽イオン用隔膜35、陰イオン用隔膜36が置かれそのすぐ後ろにカソード34とアノード37が置かれる。この隔膜にはイオン交換膜を用いることが適切である。実験に用いた装置は、通常10A〜15Aで運転するが、電解電流を20A以上にするとイオン交換膜は樹脂製なので大電流に伴う温度上昇などで劣化が起こる。
【0054】
また、第2の電極として隔膜から離してカソード34Aを設けてカソード室の中を電流が流れるようにすると溶液中を電流が流れることで溶液抵抗によるジュール熱が発生してカソード室の温度を所定の温度にすることができる。この場合、二つのカソードへ印加する電圧を変えてその役割を分担させてもよい。
【0055】
上述の3室型電解槽を図1の電解装置で複数段用いる場合、初段の電解槽の中間室Mには汚染水(汚染海水)が流入し、電解により陽イオンとなる有害金属イオンがマイナス電位へクーロン力でカソード電極近傍へ引き寄せられ集められので、カソード室Cでは有害金属イオンの濃度が上昇し中間質の汚染水の有害金属イオン濃度が減少する。有害金属イオンが減った中間室の水は次段の電解槽の中間室へ流入して再度電解を受け浄化が進み、必要に応じて最終段の中間室の出口からの水は循環路を通って初段の電解槽の中間室へ再度流入する。
【0056】
電解槽の数は処理される水の汚染度と浄化水に求められる有害物質濃度に依存して決める。電解槽の数を制限して高い浄化性能を得るために汚染水を循環させて複数回電解装置を通過させることには経済的な合理性がある。
【0057】
初段のアノード室Aには純水が供給される。アノード室にはアノードが置かれるので水中の陰イオンが集まる。陰イオンが濃縮された水は次段のアノード室へ流入する。アノード室からの水に含まれる有害金属イオン濃度は無視できるのでアノード室からの水は必要に応じてpHが低い再生水として使用が可能である。
【0058】
初段のカソード室Cには純水および必要に応じて鉄イオンが供給される。カソード室にはカソードが置かれるので水中の陽イオンが集まり有害金属イオンなどの陽イオンが濃縮される。陽イオンが濃縮された水は次段のカソード室へ流入する。鉄イオンの供給は除去対象の有害金属イオンの濃度に対して10倍以上の濃度が望ましい。
【0059】
後述する海水中のナトリウムを除去された汚染海水2は一旦サイクル槽へ貯留される。初段の中間質(M)には、このサイクル槽12から汚染水(汚染海水)が流入する。中間室へ流入した汚染水に含まれるイオンはそれぞれの極性に応じてクーロン力により引き寄せられてカソード室とアノード室へ移動するので、中間室の水のイオン濃度は減少することになる。
【0060】
電解を効率的に行うためにサイクル槽へ電解電流を流すための支持電解質を注入した。今回は、有害金属と後述するフェライト化反応を起こさせるために、水中で鉄イオンを生成するフェロシアン化鉄(C18Fe718)、重炭酸鉄(Fe(HCO3)2、塩化鉄(FeCl2)、硫酸鉄(FeSO4)などを用いたが、支持電解質としては鉄イオンを含まない材料、例えばKCO3、KOH,KCl、NaHCO3、NaClなどでも使える。海水の場合は汚染海水中のNaClを支持電解質として使ってもよい。
【0061】
フェライト化反応に必要な鉄イオンは、上述のサイクル槽での支持電解質として注入する他、フェライト化反応槽で注入してもよい。また、有害金属イオンの濃度が高い3室型電解槽のカソード室へ純水に混ぜて注入してもよい。ここで、純水は余分なイオンを含まない水であればよいので水道水でも使える。
【0062】
最終段の3室型電解槽のカソード室からの水は有害金属イオン濃度が電解前の汚染水に比べ高くなっており、その水はフェライト化反応槽へ温度を維持した状態で導かれる。
また、フェライト化反応槽も内部の水の温度を維持するために保温する。保温には断熱被覆29で周囲を覆い、必要に応じてヒータなどの昇温手段を用いてもよい。
【0063】
カソード室のpHは水が電気分解されて水素イオンが水素ガスとして外部へ出て水酸化イオン濃度が上昇するのでpH10〜11になる。そして、このpHはフェライト化反応に適切な値でもある。すなわち、3室型電解槽のカソード室およびカソード室からの水を温度を維持して導いたでフェライト化反応槽は、電解により自動的にフェライト化反応に適切な条件が出来上がることになる。
【0064】
フェライト化反応槽からの水は反応終了水として必要に応じて陽イオン交換樹脂を通してから浄化水として外部へ放出することができる。また、フェライト化反応槽の水の一部を必要に応じて閉止弁28を通してカソード室へ流入する純水に混ぜでもよい。こうすることにより、純水の使用量を減らすと共にカソード室を通過することで電解に伴う水温の上昇が得られる。
【0065】
フェライト化反応が進んで有害金属イオンがフェライトとして固体化され除去されると汚染水中の有害金属イオンの濃度が減少する。電解の進み具合は、循環路13中に置かれたイオン検出器の検出値で知ることができる。また、イオン濃度が低下すると一定電圧での電解の場合電解電流が低下するので電流計39で電解電流値を検出してこれを目安となる検出値としてもよい。そして、検出値が所定の値になると、汚染水の浄化が行われたことがわかるので、循環路の途中に置かれた3方弁24を使い外部へ浄化水として放出することができる。
【0066】
電解の進行度を電解電流で検出する場合、当初10A〜15A付近で運転して、電解が進んで最終的には1Aまで電解を進めることを行った。
【0067】
ここで有害金属が放射性セシウム137Csの場合、検出器(センサ)22は、ゲルマニウムなどの半導体を用いた放射能検出器が使えるので、所定の放射能強度以下であれば浄化水として外部へ放出することができる。
【0068】
汚染水が海水の場合、有害金属としてセシウムを想定するとセシウムが海水中に含まれるナトリウムと同じアルカリ金属なので、セシウム除去を効率的に行うために予めナトリウムを除去することが望ましい。ナトリウムの除去の簡便法としてイオン交換法があるが頻繁にカラムの交換が必要になり連続運転には適さない。
【0069】
そこで、図3に示すように、前述の3室電解槽を使って電解法によるナナトリウムの除去を行うことにした。3室電解槽42の内容は図2に示したものと同等である。
【0070】
汚染海水1は先ず貯留槽44へ入り、3室電解槽の中間室へ流入する。ここで電解されてナトリウムイオンはカソード室へ移動し水と反応して水素ガスを放出し水酸化ナトリウムとなり炭酸水素ナトリウム生成槽へ導かれる。ここで炭酸ガスが注入されて固体の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が生成されるので、これをサイクロンフィルタ48で外部へ取り出す。
【0071】
3室型電解槽の中間室はその出口と入り口を循環路47により結ばれている。ここを流れる海水は電解が進むにつれてナトリウムイオン濃度が減少する。ナトリウムイオン濃度を検出器(センサ)で検出してその検出値が所定の値になれば3方弁43を介して、次段の浄化システムへ汚染海水2として放出する。
【0072】
3室型電解槽のアノード室は塩素イオン、酸素イオンが集まり水に溶けて塩酸、次亜塩素酸となり、強い殺菌力を有するので殺菌水として利用することができる。
【0073】
ナトリウム除去について、海水1200m3/日で処理することを目標にすると、50000l/hを処理する必要がある。海水の塩分濃度を3%とすると、1500g/hのNaClを除去することになる。今回実験を行った電解装置では電解電流10Aで7g/h強なので、約200台の電解槽を並列運転することで連続処理ができる。
【0074】
本発明では電解装置が主要な役割を担うが、電解を効果的に行うためには、支持電解質を適量に含んだ水を電解装置へ供給する必要がある。特に電解装置が多段の電解槽で構成される場合は、各段での電解を適切に行うためにきめ細かい支持電解質の注入が求められる。
【0075】
図4に多段階の電解を行う場合に各段階でイオン濃度を検出してその検出値に基づいて支持電解質の注入を行う仕組みを説明する。電解装置10には4段の電解槽26(D1〜D4)が設けられており、電解槽D1から流出する水のイオン濃度を検出器57で検出して検出値S1を得る。同様に電解槽D2から流出する水のイオン濃度を検出器58で検出して検出値S2,同様に電解槽D3から流出する水のイオン濃度を検出器59で検出して検出値S3を得る。
【0076】
得られた検出値(S1〜S3)は制御記52へ送られここで所定の処理が行われてポンプ56へ指示が送られる。その指示に基づいて支持電解質供給ポンプ56は支持電解質貯蔵槽からの支持電解質を、決められた注入量(J1〜J3)をD2への流入場所へJ1,D3への流入場所へJ2、D4への流入場所へJ3が注入する。このような構成を取る事できめ細かな電解を行うことができる。なお、検出対象のイオンが放射能を持つ場合は、検出器は放射能検出器を用いることができる。
【0077】
ナトリウムとセシウムの夫々の電気伝導率は同一濃度、同一温度で21.2×106s/m、と5.5×106s/mなので、セシウムはナトリウムのほぼ4分の1の速度で除去することができる。
【0078】
次に、図5に示すサイクロン形フィルタ60について説明する。サイクロン型フィルタは液体中の固体粒子を遠心力で分離除去するもので、高速でサイクロン型フィルタ60へ被処理水導入口61から流入した水は漏斗状の壁に沿って激しく回転する水67になる。回転に伴って固体粒子は強い遠心力を受けて壁の内側に衝突して回転速度が低下して遠心力が弱まり壁から離れて重力の影響で下へ落下し、スラッジ69として外部へスラッジ排出口65を通って排出される。そして、固体粒子を除去された水68が処理水排出口63から外部へ排出される。
【0079】
図6には、多段階海水浄化システムで使われる混合手段(ミキサ)を示す。汚染水と鉄イオンをとなる処理剤を含む処理水とからなる非処理水1は図6の72で示される。処理水としては処理剤として水中で鉄イオンとなるマグネタイト、鉄粉、水酸化鉄、重炭酸鉄などを1%重量程度混ぜて使用する。これらのマグネタイト以外の材料は酸化してマグネタイトへと変化させる。この混合は汚染水の状態に依存する。
【0080】
必要に応じて、被処理水にポンプ71を使って空気を混ぜても良い。
【0081】
汚水と処理水からなる被処理水1はミキサ70によってミクロレベルで混合される。図6を用いて混合手段(「ミキサ」とも言う。)70について説明する。
【0082】
ミクロレベルで混合するには被処理水にポンプ73により高圧を掛けてミキサ70の容器内へ噴出させる。ミキサ70の容器内の入り口に近い中心部に水の進行方向に向けて螺旋状になった回転板75を用意する。高速で容器内へ噴出された水はこの回転板に衝突して噴出方向のエネルギにより螺旋状に運動する。螺旋状に運動する水74は遠心力により容器の内壁に沿って移動するが、内壁には突起76が設けられているので、回転する水はこの突起に激しく衝突して細かく分断される。この突起76は容器の内壁に複数設けられているので、移動する水は繰り返し細かく分断されることになる。この分断過程で汚染水と処理水が激しく混ざり合ってミクロレベルでの混合が起こる。
【0083】
ミキサとしては、送水圧として数Kg/cm2 で、数100リットル/分を用いた。この混合の過程で水は0.5〜3μm程度に分断されて、処理水中の鉄イオンを生成する処理材と有害金属イオンが取り込まれる。この取り込み過程は所謂フェライト反応に近いものである。
【0084】
所謂フェライト反応は、M1-xFexOFe23(Mは2価の金属)の形でスピネル構造のフェライト中に金属Mが取り込まれるが、マイクロミキサを使うことでMは必ずしも2価でなくても1価〜6価の金属でも同様な反応が起こるので、例えば、水中で1価のイオンとなるセシウムもフェライト反応に類似した反応によって鉄の酸化物中に取り込まれる。
【0085】
フェライト化して粒子を含む被処理水2は遠心力で粒子を沈殿させるサイクロンフィルタへ送られる。
【0086】
粒子が取り除かれた被処理水3は、図示しない磁気フィルタへ入り超電導磁石による非常に強い磁界に置かれる。磁界中ではマグネタイトはもちろん、常磁性の金属イオンもごく小さい値ではあるが磁化を示すので磁極に引きつけられて被処理水から分離される。
【0087】
こうして、磁気フィルタからはスラッジが除かれた被処理水4を得ることができる。
【0088】
被処理水4に対して、特定の金属を吸着するキレート剤を用意して図示しないキレート処理を行うことで被処理水6を得ることができる。
【0089】
上記の処理で不十分な場合は、循環路を使って多段階海水浄化システムの初段へ戻して繰り返し処理を行うこともできる。そして、最終段へ電解式汚染浄化システム86を追加することで海水の浄化がより完全に行われる。
【0090】
このような、多段階海水浄化システムを海で稼働させるには、図7に示すように、閉海域92へこのシステム85、電解式汚染浄化システム86、電源87を備えて浮遊体89へ搭載した海水浄化構造体80を浮かべると効果的である。閉海域92は海中カーテン90により外部と遮断されている。
【0091】
図7において、汚染海水82はポンプ81によって汲み上げられてから処理水が混入されて被処理水1となり貯留槽から多段階海水処理システム85へと送られる。多段階海水処理システム55により処理された被処理水は電解式汚染浄化システム86を経て、閉海域の外へ浄化海水88として放出されて閉海域の海水の浄化が効果的に行われる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は工業化で汚染された汚染水(海水)、特に原子力発電所から出る排水で汚染された水に含まれる放射性の有害金属を除去することができる浄化方法及び浄化システムを提供するものでありその社会的な効用は大きい。
【符号の説明】
【0093】
10 電解装置
12 サイクル槽
13 循環路
14 フェライト化反応槽
16 フェライト除去用サイクロンフィルタ
18 陽イオン交換樹脂
22 イオン濃度検出器
24 外部排出用3方弁
26 3室型電解槽
28 閉止弁
29 断熱被覆
31 カソード室(C)
32 アノード室(A)
33 中間室(M)
34 カソード
34A カソード
35 陽イオン用隔膜
36 陰イオン用隔膜
37 アノード
38 電源
39 電流計
40 ナトリウム除去装置
41 ナトリウムイオン濃度検出器
42 塩化ナトリウム電解槽
43 汚染海水2排出用3方弁
44 貯留槽
46 炭酸水素ナトリウム生成槽
47 循環路
48 炭酸水素ナトリウム除去用サイクロンフィルタ
50 支持電解質供給装置
52 制御器
54 支持電解質貯留槽
56 支持電解質供給ポンプ
57,58,59 イオン濃度検出器
60 サイクロンフィルタ
61 導水口
63 排水口
65 スラッジ排出口
66 被処理水
67 高速回転水
68 処理済水
69 スラッジ
70 混合機(ミキサ)
71 空気ポンプ
72 被処理水1
73 高圧ポンプ
74 螺旋状に運動する水
76 突起
80 海水浄化構造体
81 水中ポンプ
82 海水導入管
83 入口貯留槽
85 多段階海水処理システム
86 電解式汚染水浄化システム
87 電源
88 浄化海水排出管
89 浮遊体
90 海中カーテン
91 外海
92 閉域海
93 海底

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害金属イオンを含んでいる汚染水の前記有害金属イオンを電解装置のカソード近傍に集める電解工程と、前記汚染水へ注入された鉄イオン及び前記カソード近傍に集められた前記有害金属イオンを反応させてフェライトを生成するフェライト化工程と、前記生成されたフェライトを除去する除去工程とを含む電解式汚染水浄化方法であって、
前記電解工程が、少なくとも一つの3室型電解槽を有する電解装置の最終段となる3室型電解槽の中間室の出口から、前記電解装置の初段の3室型電解槽の中間室の入口へ、水を循環させる循環工程を含み、
前記フェライト化工程が、前記3室型電解槽のカソード室から得られる前記有害金属イオンを含む水の温度を維持した状態で行われる事を特徴とする電解式汚染水浄化方法。
【請求項2】
前記循環工程が、循環される水に含まれる前記有害金属含有量の検出値又は前記電解装置のアノードとカソード間に流れる電解電流の検出値に基づいて、循環される水の一部を外部へ排出する制御工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の電解式汚染水浄化方法。
【請求項3】
前記除去工程が、サイクロンフィルタによるフェライト除去を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解式汚染水浄化方法。
【請求項4】
前記有害金属が放射性セシウムであり、前記有害金属含有量の検出値が放射線強度であることを特徴とする請求項2又は3に記載の電解式汚染水浄化方法。
【請求項5】
前記汚染水が海水であり、前記電解工程に先だって、前記海水中のナトリウムを除去するナトリウム除去工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項に記載の電解式汚染水浄化方法。
【請求項6】
有害金属イオンを含んでいる汚染水の前記有害金属イオンを電解装置のカソード近傍に集める電解手段と、前記汚染水へ注入された鉄イオン及び前記カソード近傍に集められた前記有害金属イオンを反応させてフェライトを生成するフェライト化反応手段と、前記生成されたフェライトを除去するフェライト除去手段とを備える電解式汚染水浄化システムであって、
前記電解手段が、少なくとも一つの3室型電解槽を含む電解装置を有し、その最終段となる3室型電解槽の中間室の出口から初段の3室型電解槽の中間室の入口へ、水を循環させる循環経路を有し、
前記フェライト化反応手段が、保温されたフェライト化反応槽を有し、該フェライト化反応槽と前記最終段となる3室型電解槽のカソード室との間に前記カソード室からの水を温度を保った状態で導く保温経路および前記該フェライト化反応槽からの水を温度を保った状態で前記カソード室へ導く保温経路を有することを特徴とする電解式汚染水浄化システム。
【請求項7】
前記循環経路の途中に循環される水に含まれる前記有害金属含有量を検出する検出器が設けられて得られる検出値又は前記電解装置のアノード極とカソード極間に流れる電流を検出する電流計が設けられて得られる電解電流の検出値に基づいて、循環される水の一部を外部へ排出する制御手段が設けられることを特徴とする請求項6に記載の電解式汚染水浄化システム。
【請求項8】
前記フェライト除去手段にサイクロンフィルタが含まれることを特徴とする請求項6又は7に記載の電解式汚染水浄化システム。
【請求項9】
前記有害金属が放射性セシウムであり、前記有害金属含有量の前記検出値が放射線強度であることを特徴とする請求請求項7又は8に記載の電解式汚染水浄化システム。
【請求項10】
前記汚染水が海水であり、前記電解装置の前段に前記海水中のナトリウムを除去するナトリウム除去装置を有することを特徴とする項6乃至9何れか1項記載の電解式汚染水浄化システム。
【請求項11】
有害金属を含む汚染水および水中で鉄イオンとなる処理剤を含む処理水からなる被処理水1を混合する混合手段と、該混合手段から得られる被処理水2を浄化する浄化手段とを備えた多段階海水浄化システムであって、
前記混合手段が、その入り口付近に水の向きを回転方向に変換する回転板およびその容器の内壁に突起物を有し、高圧で送水された前記被処理水1を前記容器内で前記回転板により回転させ前記突起物に衝突を繰り返させて前記汚染水および処理水を混合することで前記処理剤へ前記有害金属が取りこまれた粒子を含む被処理水2を生成する手段であり、
前記浄化手段が前記被処理水2から前記粒子および前記有害金属を除去する手段であり、前記浄化手段の最終段に請求項10に記載の前記電解式汚染水浄化システムを有することを特徴とする多段階海水浄化システム。
【請求項12】
前記請求項11に記載の多段階海水浄化システム及び発電装置が搭載され海面上に浮かべられて海水の浄化を行う海水浄化構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10077(P2013−10077A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144682(P2011−144682)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(591214033)
【Fターム(参考)】