説明

電解槽用ホース接続治具及び電気分解装置ユニット

【課題】運転中でも適宜、腐食の進行を確認できるとともに、粉塵、金属分の発生を皆無にでき、更に簡便かつ短時間でニップルを交換でき、作業環境の汚染防止、作業時間等の短縮に貢献できることを課題とする。
【解決手段】一端が前記ノズルの先端部に位置するとともに、他の部位が前記ホースの内側に挿入されて配置され、かつ前記ホースが挿入される外周部に第1テーパー面が形成された、補助電極としての機能を備えたニップル43と、前記ニップルの第1テーパー面の外側に前記ホースを介して配置され、内周部に前記ニップルの第1テーパー面と前記ホースを介して接する第2テーパー面が形成されたリング46と、前記ノズルの外周部に螺合されるとともに、前記リングに接合して前記ニップルとともに前記ホースを固定する袋ナット47とを具備することを特徴とする電解槽用ホース接続治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化アルカリ水溶液をイオン交換膜法により電気分解を電気分解装置用電解槽に液を供給又は排出する集合配管のノズルと外部とを接続するときに使用される電解槽用ホース接続治具、及び電気分解装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
塩化アルカリ水溶液を電解して水酸化アルカリ、塩素、及び水素を工業的に製造するイオン交換膜法アルカリ電解は、隔膜法、水銀法などの従来法に較べて高純度の水酸化アルカリを低いエネルギー消費量で得られるため、今日広く普及されている。
【0003】
この方法は、図4に示すように、塩化ナトリウム水溶液が入った2つのセル1,2を陽イオン交換膜3で隔離した状態で電流を流し、陽極側で塩素、陰極側で水素がそれぞれ生成する。また、イオン交換膜はNaイオンだけ透過するので、陰極側で苛性ソーダが得られる。従って、これら生成物と接触する陽極並び陰極側の入口及び出口に取付け使用されるホースとしては、従来、耐熱性、耐薬品性、耐圧気密性及び耐屈曲性に優れた高度の信頼性を有するフッ素樹脂製ホースが使用されている。なお、図4において、符番4は陽極、符番5は陰極を示し、塩化ナトリウム水溶液はインレット6から供給されてアウトレット7から排出されるようになっている。
【0004】
図7は、上記塩化アルカリ水溶液の電解を行うための電解槽の外観図を示す。図中の符番11は電解槽本体を示す。この電解槽本体11の一方の側部には、ルーズヘッド12を移動させる為の油圧シリンダー13やリアヘッド14が設けられている。カソード液を供給するためのカソード液入口サブヘッダー14等が設けられている。前記ルーズヘッド12の内側には、陽極として機能する末端セル15が隣接して配置されている。この末端セル15は、アーム16により側板17に固定されている。前記電解槽本体11の他方の側部には固定ヘッド18が配置され、その固定ヘッド18に隣接して陰極として機能する末端セル19が配置されている。この末端セル19は、側板16にアーム17により固定されている。
【0005】
前記電解槽本体11には、セルハンガー20により吊るされたバイポーラセル21がセットされるようになっている。前記電解槽本体11の近くには、電解槽本体11にカソード液を供給するためのカソード液入口サブヘッダー22、アノード液を供給する為のアノード液入口サブヘッダー23、カソード液出口サブヘッダー24、及びアノード液出口サブヘッダー(図示せず)が配置されている。前記カソード液入口サブヘッダー22等の各サブヘッダーのノズル(図示せず)と電解槽本体11とは、フッ素樹脂ホース25により接続されている。ここで、フッ素樹脂ホースとしては、塩素ガス、水素ガス、苛性ソーダ等の生成物と接触することから、従来、耐熱性、耐薬品性、耐圧気密性及び耐屈曲性に優れた高度の信頼性を有するものが用いられている。なお、図中の符番26は締結用ナットを示す。
【0006】
ところで、電解槽本体とサブヘッダーのノズルとを接続する接続方式としては、ホース端部にトランスファー成形、高周波溶接、スピン溶接、熱風溶接、高周波誘導加熱、バッドウェルド等でフランジ部を形成させ、そのフランジ部を袋ナットで電解槽とサブヘッダーを締め付けてシールする方式(特許文献1)(図3参照)が提案され、採用されている。図3において、符番31はサブヘッダー32に溶接されたノズルを示す。このノズル32の一端には、ホース33がOリング34を介して取り付けられている。前記ノズル31には、該ノズル31の電解腐食を防止するため補助電極35が溶接により取り付けれている。前記ホース33は、ノズル32に螺合する袋ナット36によりノズル31の先端に固定されている。
【0007】
また、特許文献2のように、継手本体の突出部にチューブの拡径部を嵌め、その状態で継手本体にナットをねじ込み締め付けることで、チューブの引き抜き抵抗を増すとともに突出部にホースを密着させるチユープ継手方式が知られている。更に、特許文献3のように、高いシール性が確保され、管締付用部材の螺合をスムーズに行うことができ、増し締めを必要とすることなく、チューブ抜け及び液漏れを防止できる樹脂製管継手も提案されている。
【特許文献1】特開2000−127190
【特許文献2】特開2003−269673
【特許文献3】特開2001−317679
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のように、ホース端部にトランスファー成形等でフランジ部を形成させ、そのフランジ部を袋ナットで電解槽やサブヘッダーのノズルにOリングを締め付けてシールする方式の場合、ホース端部にフランジを形成させるために専用の設備、金型等を要し、且つ製造工数も多大のものとなる。また、成形されたフランジ部は、当然のことながら、ホースと同材質のフッ素樹脂であることから、繰り返し使用した場合、クリープ・応力緩和等により形状変化が生じ、ホース使用寿命を左右する可能性がある。
【0009】
また、上述したように、ノズルの電解腐食を防止するために補助電極がノズルに取り付けられている。しかし、補助電極は、ノズルに取り付けた後、フランジ付ホースを取り付けるために、補助電極の腐食進行の確認が困難であった。
【0010】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、ニップルを補助電極として使用できるため、運転中でも適宜、腐食の進行を確認することができるとともに、化学プラント等で問題になる、粉塵、金属分の発生を皆無とすることができ、更に簡便かつ短時間でニップルを交換でき、作業環境の汚染防止、作業時間等の短縮に貢献できる電解槽用ホース接続治具及び電気分解装置ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電解槽用ホース接続治具は、塩化アルカリ水溶液を電解する電気分解装置用電解槽に液を供給又は排出する集合配管のノズルと外部とを接続するときに使用される電解槽用ホース接続治具において、一端が前記ノズルの先端部に位置するとともに、他の部位が前記ホースの内側に挿入されて配置され、かつ前記ホースが挿入される外周部に第1テーパー面が形成された、補助電極としての機能を備えたニップルと、前記ニップルの第1テーパー面の外側に前記ホースを介して配置され、内周部に前記ニップルの第1テーパー面と前記ホースを介して接する第2テーパー面が形成されたリングと、前記ノズルの外周部に螺合されるとともに、前記リングに接合して前記ニップルとともに前記ホースを固定する袋ナットとを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電気分解装置ユニットは、液を供給又は排出する集合配管のノズルを備えた電気分解装置用電解槽と、請求項1記載の電解槽用ホース接続治具と、この電解槽用ホース接続治具を用いて前記ノズルに接続される電解槽用ホースとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ニップルを補助電極として使用できるため、運転中でも適宜、腐食の進行を確認することができるとともに、化学プラント等で問題になる、粉塵、金属粉の発生を皆無とすることができる。また、従来、補助電極が腐食退化した場合は、溶接等の接続部分を取り除き、再度溶接を行う等の作業が必要であったが、本発明の場合は補助電極として機能するニップルがホース接続治具の一構成であるため、簡便かつ短時間でニップルを交換でき、作業環境の汚染防止、作業時間等の短縮に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明に使用されるフッ素樹脂製ホースとしては、限定するものではないが、例えば、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、変性四フッ化エチレン樹脂、四フッ化工チレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(PFEP)製ホースが挙げられる。なお、前記ホースは、塩水の電解槽の生成物である、塩素ガス、水素ガス、苛性ソーダ等に対する耐薬品性や、それら薬品の温度である約90℃の耐熱性に耐えうるものでなければならない。
本発明に使用される袋ナットの材質としては、これも限定するものではないが、通常、例えばチタン、ステンレスが挙げられる。
【0015】
本発明に使用するニップルの材質としては、ホース接続用の役割と併せて補助電極としての機能を備えるために、陽極側では例えばチタンの無垢やチタン表面にチタンやルテニウム,イリジウムなどの酸化物を被覆したもの、陰極側では例えばニッケルやステンレスなどが望ましい。ここで、陽極側のチタン表面には、チタン素材の腐食を防止して耐久性を確保する目的で酸化物を形成させる。この酸化物は、犠牲電極として作用する際に、図7のフッ素樹脂ホース25の両端で生じる微小な電解の電圧を低下させる目的も併せて有する。
【0016】
本発明に使用するリング材質としては、限定するものではないが、例えばチタン、ステンレスが挙げられる。また、リングの形状としては、図2に示すように、リングが、ニップルに挿入されたホース部を広い領域で覆うような形状にすることが、安全性、チューブの耐クリープ性の点で有利であり、採用可能である。
【0017】
本発明のホース接続治具において、前記ニッケルの外周部、リングの内周部に形成する夫々のテーパー面の傾斜角(θ)は、チューブをニップルとノズルのテーパー面部分で挟み込んで固定するため、外れを防止する点から5°〜15°の範囲が好ましい。ここで、傾斜角が5°未満では、ホース内部にかかる圧力の作用でホースがニップルのテーパー面部分より抜け出る恐れがある。また、ナットで締め付ける際締め込み長さが長く必要となり、ナット、サブヘッダーが大きくなる。傾斜角が15°を超えると、ホース内径の拡管率が大きくなり、ホースの挫屈クラックなどホースの耐久性に影響を及ぼし、信頼性が低下する原因となる。
【0018】
次に、本発明に係る電解槽用ホース接続治具の具体的な実施形態について説明する。
(実施の形態1)
図1を用いて説明する。図中の符番41は、集合配管としてのサブヘッダーを示す。このサブヘッダー41には、先端部に座グリ42aが形成されたノズル42が溶接により接続されている。前記ノズルの先端部の座グリ42aには、フランジ部43aを有したニップル43がホース端部のシールを行うためのOリング44を介して配置されている。ここで、ニップル43は補助電極としての機能を備え、ホース45が装着される外周部には軸方向に対して約10°に傾斜した第1テーパー面43bが形成されている。
【0019】
前記ニップル43のテーパー面部分には、前記ホース45を介してリング46が挿着されている。ここで、リング46の内周部には、前記ニップル43のテーパー面43bとホース45を介して接するように第2テーパー面46aが形成されている。なお、第2テーパー面46aの傾斜角も第1テーパー面43bと同様である。前記ノズル42の外周部には、前記リング46に接合して前記ニップル43とともに前記ホース45を固定する袋ナット47が螺合されている。
【0020】
(実施の形態2)
図2を参照する。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。実施の形態1に係る電解槽用ホース接続治具は、図1の接続治具と比べ、リング48の形状が異なる。即ち、リング48は、図2に示すように、ニップル43に挿入されたホース部を広い領域で覆うように長い形状になっている。図2の接続治具の場合、リング48がより広い領域でホース部を覆うため、安全性、チューブの耐クリープ性の点で有利である。
【0021】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
図1を用いて説明する。なお、図1では便宜上ホースの一端部のみが図示されている。本実施例1では、外径9mm×内径6mm×長さ1200mmのPFA樹脂(ダイキン工業社製の商品名:AP−230)製のホース45の両端にチタン製袋ナット47及びステンレス製リング46を通した後、前記ホース45の両端を熱風発生器で加熱、軟化させ、切削加工で得たチタン本体にルテニウム,チタン,イリジウム等の塩化物を塗布し、その後大気中で熱処理したニップル43を前記ホース45の両端に押し込み、最後に袋ナット47をノズル42のネジ部に螺合させた。
【0022】
実施例1に係る電解槽用ホース接続治具は、先端部に座グリ42aが形成されたノズル42と、前記ノズル42の先端部にOリング44を介して配置され,外周部に約10°に傾斜した第1テーパー面43bが形成されかつ補助電極としての機能を備えたニップル43と、前記ニップル43のテーパー面部分に挿着された,内周部に第2テーパー面46aが形成されたリング46と、前記ノズル42の外周部に螺合され、前記ニップル43とともに前記ホース45を固定する袋ナット47とを具備した構成となっている。
【0023】
こうした構成のホース接続治具では、金属製ニップル43をPFA樹脂製ホース45に圧入もしくは、挿入し、リング46、袋ナット47で締め付ける操作のみでホース接続治具付きのPFA樹脂製ホース45を組み立てることが可能であり、大幅に生産効率を向上させることができる。また、常温加工の場合は、熱履歴を受けないため、PFA樹脂製ホース45の性状が保たれ、強度低下等の劣化が生じない。
【0024】
本実施例1の場合、ステンレス製リング及びニップルの切削加工に要する時間、及びホース端部の加熱とニップルの挿入に要する時間を含め、総計40分で継手部を集合し、組み立てることが可能であった。
【0025】
なお、ホース45は拡管せずに補助電極の機能を備えたニップル43を常温もしくは、ホースの材質であるフッ素樹脂の融点以下の温度に加熱後、強制的に圧入しても良い。
【0026】
(実施例2)
図2を用いて説明する。なお、図2では便宜上ホースの一端部のみが図示されている。ステンレス製リングとして、図2に示すようにニップルに挿入されたホース部全体を覆うような形状であるリング48を使用する以外は、実施例1と同じ接続治具でPFA樹脂(ダイキン工業社製AP−230)ホースの両端を固定した。
実施例2の電解槽用ホース接続治具の場合、リング48がニップルに挿入されたホース部を広い領域で覆うような形状であるため、安全性、チューブの耐クリープ性の点で有利である。なお、当然のことながら、ホース接続治具を用いてホースを組み立てる時間は、実施例1と同様であった。
【0027】
(比較例)
図3を用いて説明する。この比較例では、外径9mm×内径6mm×長さ1200mmのPFA樹脂(ダイキン工業社製の商品名:AP−230)ホース33に袋ナット36を挿入した後、片側端部にフランジ成型用金型を装着し、PFA樹脂(ダイキン社製の商品名:AP−230)を金型内部に装填し、電気ヒーターにてPFA樹脂の溶融温度以上まで加熱し、金型上部にエアーシリンダーを用い圧力を付加した。その後、電気ヒーターを切り、圧縮空気で冷却し、フランジ部33aを形成した。次に、PFA樹脂ホースの反対側端部に同じ方法にてフランジ部を形成し、両端にフランジ部と袋ナット1を備えた図3に示す構成のPFA樹脂ホースを得た。本比較例1の場合、ホース両側にフランジ部を形成するのに70分間を要した。
【0028】
比較例の場合は、フッ素樹脂ホースの両端部にフランジ部を形成するもので、フッ素樹脂が溶融するまでに高温で長時間の加熱が必要であり、生産効率的に良い方法とは言えない。また、フッ素樹脂自体が融点以上の高温に長時間さらされるため、樹脂の熱劣化による強度劣化等の物性の変化が生じることも否定できない。具体的には、本比較例の場合、ホース両側にフランジ部を形成するのに70分間を要した。
【0029】
次に、上記実施例1,2及び比較例で作製した電解槽用ホース接続治具を使用し、図5及び図6に示す試験装置により各継ぎ手方式による気密試験、並びに前記接続治具の取り付け・取り外し耐久試験を実施した。図5において、符番51は水50が収容された温水槽を示す。温水槽51の中には、貫通穴無試験用サブヘッダー52、貫通穴付試験用サブヘッダー53が電解槽用ホース接続治具を用いたPFA樹脂ホース54により連結されている。前記サブヘッダー53には、圧力計55を介装した配管56が接続されている。なお、図5,6中の符番57は電気ヒーター、図6中の符番58は水圧ポンプを示す。下記表1は気密試験結果を示し、下記表2、3は耐久試験結果を示す。
【表1】

【0030】
試験方法・条件:図5に示すように各方式のPFA樹脂ホース54の片側の端部を封止状態にし、他方の端部を圧縮空気の導入可能な状態に接続し、先ず、90℃の温水槽51中に前記PFA樹脂ホース54全体を10分間保持した後、圧縮空気を配管56より導入し、0.2Mpaから0.6Mpaまで段階的に0.2Mpa単位で増加させ、各圧力段階で5分間圧力を保持した。このサイクルを3回繰り返し、サイクル毎の気密状態を観察した。
【表2】

【0031】
試験方法・条件:図6に示すように各方式のPFA樹脂ホース54の片側の端部を封止状態にし、他方の端部を加圧水導入可能な状態に接続し、水圧ポンプ58により0.1MPaの水圧をかけ90℃の温水槽51中にPFA樹脂ホース54全体を5分間保持した後、取り外し5分放置後再び0.1MPaの水圧をかける試験を50回繰り返し、各接続治具部分及びPFA樹脂ホース54の変形度合を確認した。
【表3】

【0032】
試験方法、条件:図6に示すように各方式のPFA樹脂ホース54の片側の端部を封止状態にし、他方の端部を圧縮空気の導入可能な状態に接続し、先ず90℃の温水槽51中にPFA樹脂ホース54全体を10分間保持した後、水圧ポンプ58により片側より導入し、PFA樹脂ホース54が破壊するまで圧力を上げ、破壊後に継手部分の変形度合を確認した。
【0033】
以上の結果より、従来の方法で製作した比較例の方法による電解槽用ホース接続治具に比べて、本発明に係る実施例1及び実施例2の電解槽用ホース接続治具の耐久性、シール性は優れており、高い信頼性を有することが実証された。また、実施例並びに比較例中に記述したごとく、本発明に係る実施例1及び実施例2の継手方式が、比較例の樹脂によりフランジ部を形成する方式に比べて大幅に製作工数を削減することができ、大幅なコストダウンが可能となる。
【0034】
(実施例4)
本発明に係る電解分解装置ユニットは、液を供給又は排出する集合配管のノズルを備えた電気分解装置用電解槽と、請求項1記載の電解槽用ホース接続治具と、この電解槽用ホース接続治具を用いて前記ノズルに接続される電解槽用ホースとを備えている。ここで、前記ノズルは、例えば図1や図2に示すノズル42を示す。電気分解装置用電解槽は、例えば図7に示すような電解槽を示す。前記電解槽用ホース接続治具は、例えば図1や図2で述べた接続治具であり、ノズル42とニップル43とリング46と袋ナット47を備えている。電解層用ホースは、例えば図1や図2のPFA樹脂製のホース45を示す。
【0035】
こうした構成の電気分解装置ユニットによれば、運転中でも腐食の進行を確認できるとともに、化学プラント等で問題になる、粉塵、金属粉の発生を皆無とすることができ、更に簡便かつ短時間でニップルを交換でき、作業環境の汚染防止、作業時間等の短縮に貢献することができる。
【0036】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電解槽用ホース接続治具の断面図。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る電解槽用ホース接続治具の断面図。
【図3】比較例に係る電解槽用ホース接続治具の断面図。
【図4】電気分解装置用電解槽による原理図。
【図5】気密試験装置の概略図。
【図6】耐久試験装置の概略図。
【図7】電気分解装置用電解槽の外観図。
【符号の説明】
【0038】
41…サブヘッダー(集合配管)、42…ノズル、43…ニップル、43a…フランジ部、43b,46a…テーパー面、44…Oリング、45…ホース、46,48…リング、47…袋ナット、51…温水槽、52…貫通穴無試験用サブヘッダー、53…貫通穴付試験用サブヘッダー、54…PFA樹脂ホース、55…圧力計、56…配管、57…電気ヒーター、58…水圧ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化アルカリ水溶液を電解する電気分解装置用電解槽に液を供給又は排出する集合配管のノズルと外部とを接続するときに使用される電解槽用ホース接続治具において、
一端が前記ノズルの先端部に位置するとともに、他の部位が前記ホースの内側に挿入されて配置され、かつ前記ホースが挿入される外周部に第1テーパー面が形成された、補助電極としての機能を備えたニップルと、前記ニップルの第1テーパー面の外側に前記ホースを介して配置され、内周部に前記ニップルの第1テーパー面と前記ホースを介して接する第2テーパー面が形成されたリングと、前記ノズルの外周部に螺合されるとともに、前記リングに接合して前記ニップルとともに前記ホースを固定する袋ナットとを具備することを特徴とする電解槽用ホース接続治具。
【請求項2】
前記ノズルの先端と前記ニップル間にシール部材としてのOリングが配置されていることを特徴とする請求項1記載の電解槽用ホース接続治具。
【請求項3】
前記ニップルが、金属チタン、金属ニッケル、もしくはそれら金属の合金のいずれかで構成されることを特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の電解槽用ホース接続治具。
【請求項4】
液を供給又は排出する集合配管のノズルを備えた電気分解装置用電解槽と、請求項1記載の電解槽用ホース接続治具と、この電解槽用ホース接続治具を用いて前記ノズルに接続される電解槽用ホースとを具備することを特徴とする電気分解装置ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−336041(P2006−336041A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159248(P2005−159248)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【出願人】(000211156)中興化成工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】