説明

電解水生成装置及び電解水生成方法

【課題】弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水又はアルカリ水のいずれか一つを選択的に、安定して供給可能な電解水生成装置及び電解水生成方法を提供する。
【解決手段】一対の電極を備え、中性膜により第1及び第2の電極室に区画された電解槽と、定電流電源と、電極の極性を切り替えるための極性切替手段と、原水を電解槽に供給する原水供給路と、原水に中和電解質を選択的に供給する中和電解質供給手段と、第2の電極室に入口側と出口側とを接続する循環路と、循環手段と、循環路を流通する水に、固体電解質を供給する固体電解質供給手段と、第1の電極室で生成された電解水を、第1の電極室から排出する電解水排出路とを備え、弱酸性次亜塩素酸水を生成する第1の運転モードと、強酸性水を生成する第2の運転モードと、アルカリ水を生成する第3の運転モードのいずれか1つを選択的に供給可能な電解水生成装置及び電解水生成方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水生成装置及び電解水生成方法に関する。具体的には、一つの装置で、目的・用途に応じて、pHが9.0以上のアルカリ水、pHが3.0以下の強酸性水、好ましくはpHが5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水のいずれか一つの電解水を選択的に生成し、安定したpHを維持した電解水を供給することができる電解水生成装置及び電解水生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電解水生成装置において生成される電解水は、アルカリ水(pH9.0以上)、弱酸性水(pH3.5を超えてpH6.9以下)、強酸性水(pH3.0以下)が挙げられる。一般的なアルカリ水(pH9.0以上)は、脱脂、洗浄、防錆等の効果を有し、強酸性水(pH3.0以下)は、洗浄、殺菌、アストリンゼント(収れん)効果を有し、弱酸性水(pH3.5を超えてpH6.9以下)は、洗浄、殺菌、漂白、脱臭、アストリンゼント効果を有するといわれている。
【0003】
次亜塩素酸水は、pHによって状態が変化することが知られており、pHが2.0〜3.5程度の強酸性水領域では、下記式(1)の反応によって、次亜塩素酸(HClO)の一部が溶存塩素ガス(Cl)に変化する。
【数1】

【0004】
pHが8〜9程度のアルカリ性水領域では、下記式(2)のように、次亜塩素酸(HClO)が次亜塩素酸イオン(ClO)と水素イオン(H)に解離し、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの比が約1:9程度となる。
【数2】

【0005】
pHが5.0〜6.5の弱酸性水領域では、水中に含まれる遊離塩素濃度中、非解離型の次亜塩素酸(HClO)が高比率(約90%以上)で存在する。非解離型の次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)、溶存塩素ガス(Cl)は、いずれも殺菌効果を有し、水中の次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)、溶存塩素ガス(Cl)の合計量を遊離塩素濃度として示している。水中の次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)、溶存塩素ガス(Cl)の中で最も殺菌力が強く安全性が高いのは、次亜塩素酸(HClO)であり、次亜塩素酸の濃度の高いpH5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水は、口腔内の洗浄、衣類の洗浄、野菜類等の洗浄殺菌、哺乳瓶等の食器の洗浄殺菌、手指の除菌、近年においては歯科用殺菌水(例えば、特許文献1、2)として使用されている。
【0006】
一般的に、電解水は、陽極と陰極の間に隔膜のない一室型電解槽を用いて生成されるものと、陽極と陰極がイオン交換膜等の隔膜で仕切られた二室型電解槽を用いて生成されるものと、両方を併用するものとがある。例えば、一室型の無隔膜電解槽を用いて、所定濃度の塩酸(HCl)水溶液に所定量の食塩(NaCl)を溶解させてなる水溶液を電解して、pH3〜7の次亜塩素酸水を提供する方法が開示されている(特許文献3)。
【0007】
また、二室型の有隔膜電解槽で、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物塩と、メタケイ酸ナトリウム等の水に溶けてアルカリ性を示す化合物とを含む溶液を添加した水を電気分解し、電解槽の陰極側にpH10〜12.5の強アルカリ水を生成させるとともに、陽極側にpH3〜7.5の次亜塩素酸殺菌水を生成させて、強アルカリ水と次亜塩素酸殺菌水を同時に生成させる方法が開示されている(特許文献4)。
【0008】
さらに、二室型の有隔膜電解槽で水を電解し、得られたアルカリ水と酸性水を一対の排水管から各別に排出し、一室型の無隔膜電解槽で塩化物水溶液を電解して次亜塩素酸水を含む水に調整して、この次亜塩素酸を含む水を排出する排出管を、有隔膜電解槽から排出する排出管に接続して、アルカリ水、酸性水、及び次亜塩素酸水を適宜混合し、pHが3〜7程度で次亜塩素酸(HClO)を多く含むソフト殺菌水と、pHが3以下で塩素(Cl)を多く含むハード殺菌水とを供給する装置が開示されている(特許文献5)。
【0009】
その他に、二室型の有隔膜電解槽で、塩化ナトリム等の塩化物塩を含む水溶液を電解して、陰極側でpH10.5〜13.5の強アルカリ水を生成し、陽極側で塩素ガス(Cl)を含む強酸性水を生成して、この強酸性水を水と混合してpH3〜7.5の次亜塩素酸水に調整する、強アルカリ水、強酸性水、次亜塩素酸水の同時生成方法が提案されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開WO2009/098870
【特許文献2】国際公開WO2007/072697
【特許文献3】特開平4−131184号公報
【特許文献4】特開平9−262587号公報
【特許文献5】特開平6−312189号公報
【特許文献6】特開平10−76270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献3のように、一室型の無隔膜電解槽に供給する原水に、直接塩化ナトリウム(NaCl)や塩化カリウム(KCl)等の電解質を溶解させると、電解質が100%電解されることなく、生成した電解水中に若干のNaCl、KCl成分が溶存し、殺菌、洗浄等に使用した際に、塩化物として残留し、腐食等の原因となる問題がある。
【0012】
また、二室型の有隔膜電解槽で、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の電解質を含む原水を電気分解した場合、電気分解が進むにつれて、陽極側の次亜塩素酸イオン(ClO)の濃度が大きくなり、所望の濃度の非解離型の次亜塩素酸(HClO)が溶存した好適にはpH5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水を供給することが困難になる。所望の濃度の非解離型の次亜塩素酸(HClO)を含有する弱酸性次亜塩素酸水を供給するために、直流電流を大きくしたり、通水流量を減少することが考えられるが、直流電流を大きくしたり、通水流量を減少させた場合には、原水が酸性側に傾きすぎて塩素ガス(Cl)濃度が大きくなる場合があり、所望の濃度の非解離型の次亜塩素酸(HClO)に調整した弱酸性次亜塩素酸水を供給することは困難である。例えば、上記特許文献4において、電解槽の陰極側で生成されたアルカリ水の一部を、陽極側で生成された酸性水に添加して、pH3〜7.5の次亜塩素酸殺菌水を調整して供給しているが、電気分解が進むとともに、酸性水に混合するアルカリ水の量を変化させて調整しなければならず、安定したpHを有し、所望の次亜塩素酸濃度となる弱酸性次亜塩素酸水の供給は困難である。上記特許文献5においても、安定した濃度の弱酸性次亜塩素酸水(HClO)を生成するためには、無隔膜電解槽における電気分解の程度に応じて、有隔膜電解槽で生成したアルカリ水と酸性水の混合比率を変化させて調整しなければならず、やはり安定した濃度の弱酸性次亜塩素酸水を供給することは困難である。
【0013】
pHが9.0以上のアルカリ水、pHが3.0以下の強酸性水、好適なpH5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水は、それぞれ適用する用途が異なり、例えば先ずアルカリ水で脂肪分等の汚れ成分の除去(脱脂)を行ってから、次に用途に応じて、弱酸性次亜塩素酸水又は強酸性水で除菌、殺菌等を行う場合がある。このような場合に、アルカリ水、弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水を一つの装置で供給することができると利便性が高い。上記特許文献6においては、アルカリ水、強酸性水、pH3.0〜7.5の次亜塩素酸水の生成が可能であるが、次亜塩素酸水は、陽極側で塩素ガスを含む強酸性水を生成し、この塩素ガスを含む強酸性水と水とを混合して生成しているので、電気分解の程度に応じて、強酸性水と水との混合比率を変化させて調整しなければならず、次亜塩素酸(HClO)を高濃度で含有するように一定のpHに調整した弱酸性次亜塩素酸水を供給することは困難である。また、塩素ガスは毒性、腐食性が強いので、作業者の安全性が脅かされるおそれがあり、周辺機器が腐食する等の問題が生じる場合もある。また、特許文献6の方法では、アルカリ水と、強酸性水と、次亜塩素酸水が同時に生成されるので、アルカリ水と、強酸性水と、次亜塩素酸水のいずれか一つを選択的に用いる場合や、アルカリ水で脱脂、洗浄した後に、次亜塩素酸水又は強酸性水で、洗浄、除菌、殺菌を行う場合のように、アルカリ水、次亜塩素酸水及び/又は強酸性水のいずれかを段階的に用いる場合に利便性が悪いという問題もある。
【0014】
本発明は、一つの装置で、pHが9.0以上のアルカリ水、pHが3.0以下の強酸性水及び好ましくはpHが5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水のいずれか一つの電解水を、用途及び目的に応じて選択的したpH領域を安定に保持したままで供給することができる電解水生成装置及び電解水生成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、弱酸性次亜塩素酸水を生成する第1の運転モードと、強酸性水を生成する第2の運転モードと、アルカリ水を生成する第3の運転モードのいずれか一つの運転モードの選択が可能な装置又は方法によって、pH9.0以上のアルカリ水、好ましくはpH5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水、及びpH3.0以下の強酸性水のいずれか一つの電解水を選択的に生成し、安定した供給をすることができ、上記課題を解決できることを見出した。
【0016】
[1]一対の電極を備え、中性膜により第1の電極室と第2の電極室に区画され、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくも一種の原水を導入し、電気分解により電解水を生成する電解槽と、一対の電極に電流を流すための定電流電源と、電極の極性を切り替えるための極性切替手段と、第1の電極室に接続し、第1の電極室へ原水を供給する原水供給路と、原水供給路を流通する原水に、中和電解質を選択的に供給する中和電解質供給手段と、第2の電極室の入口側と出口側とを接続する循環路と、第2の電極室の出口側から排出される水の一部を入口側から再び第2の電極室に流入させる循環手段と、循環路を流通する水に、固体電解質を供給する固体電解質供給手段と、第1の電極室で生成された電解水を、第1の電極室から排出する電解水排出路とを備え、極性切替手段により、第1の電極室の電極を陽極とし、第2の電極室の電極を陰極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加した原水を第1の電極室に供給して、第1の電極室で弱酸性次亜塩素酸水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第1の運転モードと、極性切替手段により、第1の電極室の電極を陽極とし、第2の電極室の電極を陰極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室に供給して、第1の電極室で強酸性水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第2の運転モードと、極性切替手段により、第1の電極室の電極を陰極とし、第2の電極室の電極を陽極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室に供給して、アルカリ水を生成し、第2の電極室で弱酸性次亜塩素酸水及び/又は強酸性水を生成する第3の運転モードのいずれか1つの運転モードを選択して、弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水又はアルカリ水を選択的に生成することが可能に構成されている電解水生成装置に関する。
【0017】
[2]第1の電極室から排出された電解水に水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくも一種の原水を供給して電解水の希釈を可能とする希釈用水供給路と、希釈用水供給路から供給された原水と電解水とを混合する混合槽とを備えた、[1]記載の電解水生成装置に関する。
[3]弱酸性次亜塩素酸水のpHが5.0〜6.5であり、強酸性水のpHが3.0以下であり、アルカリ水のpHが9.0以上である、[1]又は[2]記載の電解水生成装置に関する。
[4]混合槽の下流の電解水排出路に、pH測定手段と、遊離塩素濃度測定手段と、第1の流量測定手段とを備えた、[2]又は[3]に記載の電解水生成装置に関する。
[5]希釈用水供給路に流量調整手段及び/又は第2の流量測定手段を備えた[2]〜[4]のいのずれかに記載の電解水生成装置に関する。
[6]循環路に第3の流量測定手段を備えた、[1]〜[5]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
[7]中和電解質供給手段が、原水供給路を流通する原水に、中和電解質を含む水溶液を噴霧するノズル及び定量ポンプによって構成されている、[1]〜[6]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
[8]原水供給路に開閉弁を備え、希釈用水路に開閉弁を備えた、[2]〜[7]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
[9]固体電解質供給手段が、固体電解質を内部に貯留し、循環路を循環する電解水の導入部及び排出部を有する個体電解質槽を備えた、[1]〜[8]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
【0018】
[10]中和電解質が炭酸水素ナトリウムである、[1]〜[9]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
[11]固体電解質が塩化物塩と、炭酸塩とを含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
[12]塩化物塩が塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムであり、炭酸塩が炭酸ナトリウムである、[11]記載の電解水生成装置に関する。
[13]第1の電極室の電極を中性膜と密着させて配置し、第2の電極室の電極を中性膜から0.1〜5mmの間隔を設けて配置した、[1]〜[12]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
[14]電極が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金、イリジウム、パラジウム及びタンタルからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む膜を被覆したものである、[1]〜[13]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
[15]第1の電極室の電極が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜を被覆したものであり、第2の電極室の電極が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金を含む膜を被覆したものである、[1]〜[14]のいずれかに記載の電解水生成装置に関する。
【0019】
[16]一対の電極を備え、中性膜により第1の電極室と第2の電極室に区画され、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくも一種の原水を導入し、電気分解により電解水を生成する電解槽と、一対の電極に一定の電流を流すための定電流電源と、電極の極性を切り替えるための極性切替手段と、第1の電極室に接続し、第1の電極室へ原水を供給する原水供給路と、原水供給路を流通する原水に、中和電解質を選択的に供給する中和電解質供給手段と、第2の電極室に入口側と出口側とを接続する循環路と、第2の電極室の水の出口側から排出される水の一部を再び入口側から第2の電極室に再び第2の電極室に流入させる循環手段と、循環路を流通する水に、固体電解質を供給する固体電解質供給手段と、第1の電極室に接続し、第1の電極室で生成された電解水を、第1の電極室から排出する電解水排出路とを備えた電解水生成装置を用いて、極性切替手段により、第1の電極室の電極を陽極とし、第2の電極室の電極を陰極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加した原水を第1の電極室に供給して、第1の電極室で弱酸性次亜塩素酸水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第1の運転モードと、極性切替手段により、第1の電極室の電極を陽極とし、第2の電極室の電極を陰極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室に供給して、第1の電極室で強酸性水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第2の運転モードと、極性切替手段により、第1の電極室の電極を陰極とし、第2の電極室の電極を陽極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室に供給して、アルカリ性水を生成し、第2の電極室で弱酸性次亜塩素酸水及び/又は強酸性水を生成する第3の運転モードのいずれか1つの運転モードを選択して、弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水又はアルカリ性水を選択的に生成することを特徴とする、電解水生成方法に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一つの装置で、好ましくはpHが5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水、pHが3.0以下の強酸性水、又はpHが9.0以上のアルカリ水のいずれか一つを、用途及び目的に応じて、安定したpHを維持して、選択的に供給することができ、利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の電解水生成装置の一実施形態の概略構成を説明する図である。
【図2】本発明の電解水生成装置の一部である、中和電解質供給手段の概略構成を説明する図である。
【図3】本発明の電解水生成装置の一部である、電解槽の概略構成を説明する図である。
【図4】本発明の第1の運転モードを選択し、弱酸性次亜塩素酸水を生成する場合の電解槽におけるイオンの動き及び反応を模式的に表す説明図である。
【図5】本発明の第2の運転モードを選択し、強酸性水を生成する場合の電解槽におけるイオンの動き及び反応を模式的に表す説明図である。
【図6】本発明の第3の運転モードを選択し、アルカリ水を生成する場合の電解槽におけるイオンの動き及び反応を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、図1〜6に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0023】
図1は、本発明の電解水生成装置の一実施形態の概略構成を説明する図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の電解水生成装置1は、一対の電極2,3を備え、中性膜4により第1の電極室5と第2の電極室6に区画され、第1の電極室5に原水を導入して電気分解して電解水を生成する電解槽7と、一対の電極2,3に一定の電流を流すための定電流電源8と、電極の極性を切り替えるための図示を省略した極性切替手段と、第1の電極室5に接続し、原水を電解槽7に供給する原水供給路9と、電解槽7に流入する前の原水供給路9を流通する原水に、中和電解質の選択的に供給する中和電解質供給手段10と、第2の電極室6に入口側と出口側とを接続する循環路11と、第2の電極室6出口側から排出される水の一部を入口側から再び第2の電極室6に流入させる循環手段12と、循環路11を流通する水に、固体電解質を供給する固体電解質供給手段13と、第1の電極室5で生成された電解水を、第1の電極室5から排水する電解水排出路14とを備えている。なお、電極2,3に電流が流されない状態(定電流電源8がオフ(停止)の状態)では、電解槽7において原水供給路9から供給された原水の電気分解が行われず、電解水排出路14には、原水が流通する。
【0025】
本明細書において、「水」とは、「電解水」、「原水」を含む意味であり、例えば、定電流電源をオフのまま、循環路11に内に水を循環させる場合、電極2,3に電流が流されていないので、原水供給路9から供給された原水が循環路11及び第2の電極室6を循環する。一方、定電流電源8をオンにした場合には、電解槽7において電解水が生成され、第2の電極室6内の電解水が循環路11及び第2の電極室6を循環する。
【0026】
本明細書において、「電解水」とは、電解槽7において電気分解された水を意味し、「弱酸性次亜塩素酸水」、「強酸性水」及び「アルカリ水」を含む意味である。
また、本明細書において、「原水」とは、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくとも一種の水を意味する。
【0027】
さらに本発明の電解水生成装置1は、電解水排出路14から排出された電解水に水を供給して、所望の濃度の弱酸性次亜塩素酸水を生成するための希釈用水供給路15と、電解水排出路14から供給された電解水と希釈用水供給路15から供給された水とを混合する希釈用混合槽16とを備えていることが好ましい。希釈用水供給路15は、原水供給路9から分岐させたものでもよい。図1に示す一実施形態の電解水生成装置1においては、原水供給路9から分岐させた希釈用水供給路15から電解水に、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくとも一種の水が供給される。
【0028】
電解水と希釈用の水を混合する混合槽16の下流側の電解水排出路14には、電解水排出路14を流通する電解水のpHを測定するpH測定手段(pHセンサ)17と、遊離塩素濃度測定手段(遊離塩素濃度センサ)18と、第1の流量測定手段(第1の流量センサ)19とを備えていることが好ましい。本明細書中、遊離塩素濃度とは、水中に含まれる次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)及び溶存塩素ガス(Cl)の合計量を意味し、水中に存在する残留塩素の濃度を意味する。水中には遊離塩素(HClO、ClO、Cl)が、平衡状態で共存しており、これらの遊離塩素の中でも、殺菌に最も効果があり、安定している塩素の形態は次亜塩素酸(HClO)であり、水中の遊離塩素濃度中の次亜塩素酸(HClO)の濃度が最も高い(約90%以上)pH領域は、pH5.0〜6.5である。
【0029】
希釈用水供給路15には、希釈用水供給路15を流通する水の流量を調整する流量調整手段(電動流量調整バルブ)20、及び/又は、希釈用水供給路15を流通する水の流量を測定する第2の流量測定手段(第2の流量センサ)21を備えていることが好ましい。
【0030】
第2の電極室6に入口側と出口側とを接続した循環路11には、循環路11を流通する水の流量を測定する第3の流量測定手段(第3の流量センサ)22を備えていることが好ましい。循環手段12としては、循環ポンプ等を用いることができる。
【0031】
図2は、中和電解質供給手段10の概略構成を説明する図である。図1及び図2に示すように、中和電解質供給手段10は、中和電解質を収納した補充ボトル101と、中和電解質を含む溶液を貯留したタンク102と、タンク102内の中和電解質溶液量を測定する液体レベルセンサ103と、定量ポンプ104と、定量ポンプ104の先端部に噴霧ノズル105を備えた構成とされていることが好ましい。液体レベルセンサ103としては、例えばフロート・センサ等が挙げられる。液体レベルセンサ103は、タンク102内の中和電解質溶液の液量が規定値以下になった時に、ライトの点灯や、アラーム音等を発して、タンク102内の中和電解質溶液の液量が規定量を満たしていないことを知らせる機能を備えていることが好ましい。
【0032】
中和電解質供給手段10のタンク102から定量ポンプ104へは、中和電解質溶液供給路106を流通して中和電解質溶液が供給され、定量ポンプ104から噴霧ノズル105へは噴霧管107を流通して中和電解質溶液が供給される。噴霧ノズル105から原水供給路9を流通する原水に噴霧される中和電解質溶液の霧化粒度の直径は、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは20〜80μmである。このように小さい粒度の中和電解質溶液を噴霧して添加することにより、原水供給路7内を流通する原水に略均一に中和電解質溶液を添加することができ、電解槽7の第1の電極室5で安定したpHを有する電解液を生成することができる。
【0033】
例えば、中和電解質を添加することなく、原水の電気分解のみで弱酸性次亜塩素酸水を生成しようとする場合には、電極に流す電流を大きくするか、電極槽に供給する原水の量を少なくして、正極(陽極)側で生成される塩素(Cl)量を多くし、この塩素が水(HO)と反応して生成される次亜塩素酸(HClO)量を多くする必要がある。しかし、電流を大きくする、供給する原水の量を減少する方法では、塩素(Cl)の生成量をコントロールすることが難しく、塩素(Cl)の生成量が多くなるとpHが低下し、非解離型の次亜塩素酸(HClO)の含有量が多く含まれるpH5.0〜6.5となるように電解水のpHを調整することが困難となる。電解槽7に供給される原水に、予め中和電解質を略均一に添加することによって、pHを低下させることなく、最も次亜塩素酸(HClO)含有量の多くなるpH5.0〜6.5となるように電解水のpHを調整することができる。弱酸性次亜塩素酸水は、好ましくはpH3.5を超えて7.0以下、より好ましくはpH4.0〜6.9、さらに好ましくはpH5.0〜6.5である。
【0034】
中和電解質は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)であることが好ましい。予め中和電解質として、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を原水に添加することによって、電解槽7において電気分解時に中和反応が生じ、酸性側に大きく傾くことなく、最も次亜塩素酸(HClO)濃度が高くなるpH5.0〜6.5の好適範囲にpHを調整した電解水を得ることが可能となる。炭酸水素ナトリウム(NaHCO:別名重炭酸ナトリウム、重炭酸ソーダ)は、厚生労働省で定められた食品添加物であり、炭酸水素ナトリウムを中和電解質として生成した電解水は、安全性が高く、例えば口腔内洗浄等に好適に用いることができる。炭酸水素ナトリウムを含む溶液を、定量ポンプ104及び噴霧ノズル105を備えた構成とされている中和電解質供給手段10によって、原水に供給することにより、一定量の炭酸水素ナトリウムを略均一に原水に供給することができ、電解槽7において、一定の電流が流れる電極2,3によって、pHや遊離塩素酸濃度が一定の範囲であり、安定したpH及び次亜塩素酸濃度の弱酸性次亜塩素酸水を生成することが可能となる。
【0035】
固体電解質供給手段13は、固体電解質を内部に貯留する固体電解質槽からなることが好ましく、固体電解質供給手段(固体電解質槽)13内の固体電解質の量を測定する固体物測定手段(固体物センサ)23を備えていることが好ましい。固体物センサ23としては、固体電解質槽内部を目視で確認できる確認用の透明窓や、固体電解質槽13内部の固体物を赤外線で確認する赤外線センサ等が挙げられる。固体物センサ23は、固体電解質槽13に貯留した固体電解質が規定量以下になったときにライト等を点灯し、又はアラーム音等を発して、固体電解槽13内部の固体電気質が規定量を満たしていないことを知らせる機能を備えていることが好ましい。電解質を固体化することにより固体電解質槽13内を循環路11から供給される水が流通することによって、粉末状の電解質を使用した場合に溶解していない粉末状の電解質が循環路11に流出して、循環路11が詰まったり、粉末状の電解質が電極3に付着して電気分解を妨げたりする等の不都合を回避することができる。また、循環路11を流通する水が飽和するまで、固体電解質槽13から電解質が供給され、電気分解によって消耗した電解質を供給することができる。
【0036】
固体電解質は、塩化物塩と、炭酸塩とを含むものであることが好ましい。電解槽5の循環側の電極3を陽極(正極)とした場合、陽極側にマイナスイオン(OH、Cl等)が引き付けられて、毒性、腐食性が強い塩素ガス(Cl)が発生する。本発明は、固体電解質として塩化物塩と炭酸塩を併用することによって、中和反応により塩素ガス(Cl)の生成を抑制することができる。塩化物塩と炭酸塩の比は、特に限定されるものではないが、塩化物塩100質量部に対して、炭酸塩が好ましくは10〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部である。
【0037】
塩化物塩としては、例えば厚生労働省で食品添加物として定められている、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の塩化物塩を用いることができる。中でも、塩化物塩の分子量、入手の容易性、保管管理の容易性、溶解性等を考慮して、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムを用いることが好ましい。炭酸塩として、例えば厚生労働省で食品添加物として定められている、炭酸カリウム、炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭酸塩を用いることができる。中でも、入手の容易性、保管管理の容易性、溶解性、水和物形成性などを考慮した場合には、炭酸ナトリウムを使用することが好ましい。これらの塩化物塩及び炭酸塩は、厚生労働省で定められた食品添加物であり、これらの固体電解質を用いて生成した電解水は安全性が高く、例えば口腔内洗浄等に好適に用いることができる。
【0038】
さらに本発明は、電解水排出路14に設けたpHセンサ17と、遊離塩素濃度センサ18と、第1の流量センサ19と、希釈用水供給路15に設けた第2の流量センサ21と、循環路11に設けた第3の流量センサ22で測定した水の流量信号に基づいて、定電流電源8の駆動の開始(オン)/停止(オフ)を選択し、電極槽7の一対の電極2,3に一定の電流を流す機能を備えた制御部24を備えることが好ましい。また、制御部24は、第1の流量センサ19で測定した電解水排出路14を流通する電解水の流量信号、第2の流量センサ21で測定した希釈用水排水路15を流通する希釈用の水の流量信号、第3の流量センサ22で測定した循環路11を流通する水の流量信号を検知し、これらの水の流量が規定値以下である場合には、電極槽7内の電極2,3及び中性膜4を保護するために、定電流電源8を自動的に停止(オフ)する機能を備えていることが好ましい。また、定電流電源8を自動的に停止(オフ)した場合には、ライトの点灯、又はアラーム音等を発して、定電流電源8のオフを知らせる機能を備えていることが好ましい。さらに制御部24は、一対の電極2,3の極性を切り替えるリレー部品(マグネット・リレー)等の極性切替手段を制御する機能を備えていることが好ましい。
【0039】
制御部24は、pHセンサ17と、第1の流量センサ19で測定した電解水排出路14を流通する電解水の流量信号、第3の流量センサ22で測定した循環路11を流通する水の流量信号をポンプコントローラ25に伝達し、ポンプコントローラ25により、中和電解質供給手段10の定量ポンプ104の回転速度を変化させて、中和電解質溶液の供給量を調整する制御機能を備えることが好ましい。
【0040】
制御部24は、pHセンサ17と、遊離塩素濃度センサ18と、第1の流量センサ19で測定した電解液排出路14を流通する電解水に基づく各信号と、第2の流量センサ21で測定した希釈用水供給路15を流通する水の流量信号とを、流量コントローラ26に伝達し、流量コントローラ26により、希釈用水供給路15に備えた電動流量調整バルブ20の開閉量を調整して、希釈用の水の流量を調整する制御機能を備えることが好ましい。
【0041】
原水供給路9には、原水を電解槽7に供給する原水供給路9から分岐する分岐排出路27を備えることが好ましい。分岐排出路27は、固体電解質槽13と連結する排出用連結路28を備えていることが好ましい。分岐排出路27によって、電解水生成装置1を作動させない場合等に、電解槽7に供給する必要がなくなった原水を電解水生成装置1の外部に排出することができ、排出用連結路28によって、電解水生成装置1を作動させない場合等に、固体電解質槽13にたまっている水を外部に排出することができる。
【0042】
制御部24には、シーケンサ制御回路を備えた制御機や、CPUボード等を備えていてもよい。
【0043】
本発明の電解水生成装置1は、原水供給路9に第1の電磁弁SV1を備え、希釈用水供給路15に第2の電磁弁SV2を備え、分岐排出路27に第3の電磁弁SV3を備えて構成されることが好ましい。これらの第1〜3の電磁弁SV1、SV2、SV3の開閉を自動選択する機能を制御部24に備えて構成されることが好ましい。
【0044】
原水供給路9には、さらに流量調整手段(流量調整バルブ)27を備えていることが好ましい。原水供給路9に設けた流量調整バルブ27は、手動等により予め原水供給路9を流通させる原水の量を決定することが可能である。制御部24に、原水供給路9に設けた流量調整バルブ27の開閉量を制御して、原水供給路9を流通する原水の流量の調整が可能となる制御機能を備えてもよい。
【0045】
図3は、本発明の電解水生成装置1の一部を示し、電解槽7の好適な一実施形態の概略構成を説明する図である。
図3に示すように、本発明の電解水生成装置1は、電解槽7において、第1の電極室5の電極2を中性膜4と密着させて配置し、第2の電極室6の電極3を中性膜4から0.1〜5mmの間隔を設けて配置することが好ましい。このように電極2,3を配置することによって、電気分解によって生成されるイオンの透過率が向上する。例えば、第1の電極室5の電極2を正極(陽極)とし、中和電解質供給手段10から中和電解質として炭酸ナトリウムを添加した原水が電解槽7に供給された場合、中性膜4を通って第1の電極室に移動したマイナスイオンが中性膜4に密着している電極2に電子を放出しやすくなり、第1の電極室5において、次亜塩素酸(HClO)、塩素(Cl)を生成しやすくなる。例えば、第2の電極室6の電極3を負極とした場合、電極3が中性膜4を通って第2の電極室6に移動したプラスイオンは、中性膜4から0.1〜5mmの間隔を設けて配置された電極3に引き寄せられて、電極3から電子を受け取り、第2の電極室6でアルカリ水が生成されて、循環路11を流通する。中性膜4としては、例えば合成樹脂製の膜等が挙げられる。合成樹脂製の膜には分子レベルの微孔が有り、水の透過が僅かである一方、イオン分子は透過するからである。
【0046】
電極2,3は、溶解性が低いチタン又はチタン合金からなる基材に、比較的溶解性が低く、通電性の良好な白金、イリジウム、パラジウム及びタンタルからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属を含む膜を被覆したものであることが好ましい。より好ましくは、第1の電極室5に設ける電極2が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜を被覆したものであり、第2の電極室6に設ける電極3が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金を含む膜を被覆したものである。第1の電極室5に設ける電極2が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜を被覆したものである場合、イリジウムの触媒作用により、弱酸性次亜塩素酸水が効率よく生成される。一方、循環路11が接続された第2の電極室6は、弱酸性次亜塩素酸水が生成されることはないので、イリジウムの触媒作用を必要とせず、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金を含む膜を被覆したものを用いることができる。電極の形状は特に限定することなく適宜選択した形状の電極を使用することができる。好適には、電解槽7に供給された原水の電気分解が効率よく行われるように、エキスパンド、丸孔、十字孔、角孔、スリット状の長孔が形成された電極を使用することが好ましい。
【0047】
本発明の電解水生成装置1は、
(1)極性切替手段により、電解槽7における第1の電極室5に設けた電極2を陽極とし、第2の電極室6に設けた電極3を陰極として、中和電解質供給手段10から中和電解質(例えば、炭酸水素ナトリウム(NaHCO))が添加された原水を第1の電極室5に供給し、第1の電極室5で弱酸性次亜塩素酸水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第1の運転モードと、
(2)極性切替手段により、第1の電極室5の電極2を陽極とし、第2の電極室6の電極3を陰極とし、中和電解質供給手段10により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室5に供給して、第1の電極室5で強酸性水を生成し、第2の電極室6でアルカリ水を生成する第2の運転モードと、
(3)極性切替手段により、第1の電極室5の電極2を陰極とし、第2の電極室6の電極3を陽極とし、中和電解質供給手段10により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室5に供給して、アルカリ水を生成し、第2の電極室6で弱酸性次亜塩素酸水及び/又は強酸性水を生成する第3の運転モードのいずれか1つの運転モードを選択して、弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水又はアルカリ水を選択的に生成することが可能に構成されている。
電解水生成装置1は、第1〜3の運転モードを選択し、選択した運転モードに対応するように、極性切替手段により、電極2,3の極性を切り替える制御機能を、例えば制御部24に備えていることが好ましい。
【0048】
次に、本発明の図1に示す電解水生成装置1を用いて、弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水又はアルカリ水のいずれか一つの電解水を生成する方法について詳述する。
【0049】
[第1の運転モード:弱酸性次亜塩素酸水の生成]
本発明の図1に示す電解水生成装置1を用いて、第1の運転モードを選択し、好ましくはpH5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水を生成する方法について説明する。
(i)まず、原水供給路9の電磁弁SV1を開き、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくとも一種の原水を第1の電極室5から電解槽7に供給する。循環路11の循環手段(循環ポンプ)12を作動させ、電解槽7に供給された原水の循環を開始する。原水供給路9を流通する原水の流量は、予め原水供給路9に設けた流量調整手段(流量調整バルブ)27によって決定する。
(ii)中和電解質供給手段10を作動させ、定量ポンプ104の稼動により噴霧ノズル105から中和電解質(例えば炭酸水素ナトリウム(NaHCO))を原水に添加する。
(iii)電解水排出路14に設けた第1の流量センサ19が、電解槽7から電気分解されないままで排出された原水の流量信号を感知し、循環路11に設けた第2の流量センサ22が、循環路11を流通する電気分解されないままの原水の流量信号を感知して、これらの流量信号に基づき、制御部24により、定電流電源8をオンにし、極性切替手段により、第1の電極室5の電極2を陽極にし、第2の電極室6の電極3を負極にするように、電極2,3に一定の電流を流す。
(iv)電解槽7において原水の電気分解が開始し、電解水排出路14から生成された弱酸性次亜塩素酸水が排出される。電解水排出路14を流通する弱酸性次亜塩素酸水のpHを制御部24にて設定した規定pH値、例えばpH5.0〜6.5の範囲であるかどうか、pHセンサ17にて検知する。弱酸性次亜塩素酸水がpH5.0未満の場合には、制御部24より信号をポンプコントローラ25に発信して、定量ポンプ104の回転を速くして中和電解質(例えば炭酸水素ナトリウム)の添加量を増加する。弱酸性次亜塩素酸水がpH6.5を超えている場合には、制御部24より信号をポンプコントローラ25に発信して、定量ポンプ104の回転を遅くして中和電解質の添加量を減少する。
【0050】
図4は、第1の運転モードを選択し、弱酸性次亜塩素酸水を生成する場合の電解槽7におけるイオンの動き及び反応を模式的に表す説明図である。なお、図4〜6においては、第1の電極室5の電極2、第2の電極室6の電極3は、両方とも中性膜4から間隔をあけて配置しているが、第1の電極室5の電極2は、中性膜4に密着させて配置し、第2の電極室6の電極3は、中性膜から0.1〜5mmの間隔をあけて配置することが好ましい。
【0051】
図4に示すように、第1の電極室(陽極側)5では、以下の反応を生じる。
【数3】

【0052】
原水供給路9から電解槽7に供給される原水に、中和電解質として例えば炭酸水素ナトリウムが添加されている場合には、第1の電極室(陽極側)5では、さらに以下の反応を生じる。
【数4】

【0053】
原水に炭酸水素ナトリウムが添加されることによって、上記式(6)に示す中和反応が生じ、電解水生成側の電解水が大きく酸性側に傾くことなく、水中の遊離塩素濃度中の非解離型の次亜塩素酸(HClO)の濃度が約90%以上と高くなるpH5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水を生成することができる。
【0054】
一方、第2の電極室(陰極側)6では、以下の反応を生じる。電解槽7に供給され、循環ポンプ13によって、循環路11を流通する原水には、固体電解質供給手段(固体電解質槽)13に貯留した塩化物塩(例えばNaCl及び/又はKCl)、並びに炭酸ナトリウム(NaCO)から電解質が供給される。
【数5】

【0055】
上記式(8)〜(12)の反応によって、一部の水酸化物イオンは、電極3(陰極)に引き付けられたナトリウムイオンと反応し、水酸化ナトリウム(NaOH)を生成し、第2の電極室6(陰極側)の水はアルカリ水となる。第2の電極室6で生成した塩素イオン(Cl)と一部の水酸化物イオン(OH)は、電極2(陽極)に引き付けられて、中性膜4を通って、第1の電極室(陽極側)5に移動し、塩素ガス(Cl)、次亜塩素酸(HClO)、塩化水素(HCl)、水(HO)を生成する。
【0056】
電解水中の次亜塩素酸(HClO)濃度は、理論上、電極2,3に流した電流値から得ることができる。次亜塩素酸(HClO)は下記式(4)、(5)の反応によって生成される。
【0057】
【数6】

【0058】
電解反応効率が100%、電極2,3に流す直流電流25アンペア(A)、毎分1L(1L/分)の原水を電解槽7に供給した場合、理論上、下記式(13)〜(16)により次亜塩素酸(HClO)濃度が約411.81mg/L(411.81ppm)の弱酸性次亜塩素酸水が生成される。
【0059】
【数7】

【0060】
本発明によれば、4ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を電極2,3に流すことによって、1L/分の流量で389〜400ppmの弱酸性次亜塩素酸水を生成することができ、この数値は、理論値(411.83mg)とほぼ同程度の数値であり、効率良く、かつ水中の遊離塩素濃度中の次亜塩素酸(HClO)を高濃度(約90%以上)で含むpH5.0〜6.5を維持した弱酸性次亜塩素酸水を安定して生成することができる。本発明によれば、原水の供給流量及び原水の温度に影響を受けることなく、電極に付着した付着物等による電気抵抗の影響を抑制して、安定した高濃度の次亜塩素酸(HClO)を含有する弱酸性次亜塩素酸水を提供することができる。従来のように、例えば電流を大きくしたり、原水の流量を減少することによって、弱酸性次亜塩素酸水を生成すると、生成された電解水のpHも増減するので、次亜塩素酸を高濃度で含むpH5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水を生成することが難しくなる。
【0061】
次に、第1の運転モードにおいて、所望の濃度の弱酸性次亜塩素酸水を得るための操作について説明する。第1の運転モードにおいて、所望の濃度の弱酸性次亜塩素酸水を得るために、電解槽7で得られた弱酸性次亜塩素酸水に、希釈用水供給路15から水を供給し、弱酸性次亜塩素酸水と希釈用の水とを混合することによって、所望の濃度の次亜塩素酸を含有する弱酸性次亜塩素酸水を生成することが可能となる。
【0062】
(i)まず、原水供給路9の電磁弁SV1を開き、電解槽7に原水を供給する。循環路11の循環手段(循環ポンプ)12を作動させ、電解槽7に供給された原水の循環を開始する。さらに希釈水供給路15の電磁弁SV3を開き、希釈混合部16に希釈用の水を供給する。
(ii)中和電解質供給手段10を作動させ、定量ポンプ104の稼動により噴霧ノズル105から中和電解質(例えば炭酸水素ナトリウム(NaHCO))を原水に添加する。
(iii)電解水排出路14に設けた第1の流量センサ19が、電解槽7から電気分解されないままで排出された原水の流量を感知し、循環路11に設けた第2の流量センサ22が、循環路11を流通する電気分解されないままの原水の流量を感知し、さらに希釈用水供給路15に設けた第3の流量センサ21が希釈用水供給路15を流通する水の流量を感知し、これらの流量信号に基づき、制御部24により、定電流電源8をオンにし、極性切替手段により、第1の電極室5の電極2を陽極にし、第2の電極室6の電極3を陰極にするように、電極2,3に一定の電流を流す。
(iv)電解槽7において原水の電気分解が開始し、電解水排出路14から生成された弱酸性次亜塩素酸水が排出される。電解水排出路14を流通する弱酸性次亜塩素酸水のpHを制御部24にて設定した規定pH値、例えばpH5.0〜6.5の範囲であるかどうか、pHセンサ17にて検知する。弱酸性次亜塩素酸水がpH5.0未満の場合には、制御部24より信号をポンプコントローラ25に発信して、定量ポンプ104の回転を速くして中和電解質(例えば炭酸水素ナトリウム)の添加量を増加する。弱酸性次亜塩素酸水がpH6.5を超えている場合には、制御部24より信号をポンプコントローラ25に発信して、定量ポンプ104の回転を遅くして中和電解質の添加量を減少する。
(v)さらに、電解水排出路14に設けた遊離塩素濃度センサ18が、電解水排出路14を流通する電解水中の次亜塩素酸(HClO)等の濃度を検知し、弱酸性次亜塩素酸水中の次亜塩素酸(HClO)等の濃度が所望の濃度となるように、制御部24から流量コントローラ26に信号を発信し、流量コントローラ26によって、希釈用水供給路15に設けられた電動流量調整バルブ20の開閉が調整し、希釈用混合槽16に供給される希釈用の水の量を調整する。
【0063】
上記のように、電解水生成装置1に、4ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を電極2,3に流すことによって、1L/分の流量で次亜塩素酸(HClO)等の濃度が400ppmであり、かつpH5.0〜6.5に維持した弱酸性次亜塩素酸水を生成することができる。このpH5.0〜6.5を維持した弱酸性次亜塩素酸水は、水中の遊離塩素濃度中の次亜塩素酸(HClO)を高濃度(約90%以上)で含むので、例えば、次亜塩素酸濃度80ppmの弱酸性次亜塩素酸水を得る場合には、希釈用水供給路15から4L/分の流量の希釈用の水が希釈用混合槽16に供給されるように、制御部24から流量コントローラ26に信号を発する。次亜塩素酸(HClO)濃度が400ppmの電解水(1L/分)と、希釈用の水(4L/分)を混合することによって、理論上、400ppmの5分の1の濃度である80ppmの弱酸性次亜塩素酸水を生成することができる。例えば制御部24に、「40ppm」、「50ppm」、「80ppm」、「100ppm」、「400ppm」等のボタンを設け、これらのボタンを選択することによって、希釈用水供給路15から希釈用混合槽16に9L/分、7L/分、4L/分、1L/分、0L/分の希釈用の水が供給され、選択したボタンの濃度の次亜塩素酸(HClO)を含有する弱酸性次亜塩素酸水を生成することができる。
【0064】
[第2の運転モード:強酸性水の生成]
次に、第2の運転モードを選択し、強酸性水、好ましくはpH3.0以下の強酸性水を生成する方法について説明する。
(i)まず、原水供給路9の電磁弁SV1を開き、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくとも一種の原水を第1の電極室5から電解槽7に供給する。循環路11の循環手段(循環ポンプ)12を作動させ、電解槽7に供給された原水の循環を開始する。原水供給路9を流通する原水の流量は、予め原水供給路9に設けた流量調整手段(流量調整バルブ)27によって決定する。
(ii)中和電解質供給手段10を作動させることなく、中和電解質(例えば炭酸水素ナトリウム(NaHCO))を原水に添加しない。
(iii)電解水排出路14に設けた第1の流量センサ19が、電解槽7から電気分解されないままで排出された原水の流量を感知し、循環路11に設けた第2の流量センサ22が、循環路11を流通する電気分解されないままの原水の流量を感知して、これらの流量信号に基づき、制御部24により、定電流電源8をオンにし、極性切替手段により、第1の電極室5の電極2を陽極にし、第2の電極室6の電極3を負極にするように、電極2,3に一定の電流を流す。
(iv)電解槽7において原水の電気分解が開始し、電解水排出路14から生成された強酸性水が排出される。電解水排出路14を流通する強酸性水のpHを制御部24にて設定した規定pH値、例えばpH3.0以下であるかどうか、pHセンサ17にて検知する。
(v)さらに、pHセンサ17にて検知した電解水(強酸性水)のpHの数値が低い場合には、希釈水供給路15から水を供給し、希釈混合部16で生成した強酸性水と水とを混合することによって、所望の濃度の強酸性水を生成することが可能となる。
【0065】
図4は、強酸性水を生成する場合の電解槽7におけるイオンの動き及び反応を模式的に表す説明図である。
【0066】
図4に示すように、第1の電極室(陽極側)5では、以下の反応を生じる。
【数8】

【0067】
強酸性水生成時には、原水供給路9から電解槽7に供給される原水に、中和電解質が添加されず、pHが3.0以下と酸性側に傾いていることから、上記式(5’)に示すように、生成された次亜塩素酸(HClO)の一部が再び塩素ガス(Cl)に変化し、電解水中に含まれる次亜塩素酸(HClO)濃度が低減する。
【0068】
一方、第2の電極室(負極側)6では、以下の反応を生じる。電解槽7に供給され、循環ポンプ12によって、循環路11を流通する原水には、固体電解質供給手段(固体電解質槽)13に貯留した塩化物塩(例えばNaCl及び/又はKCl)、並びに炭酸ナトリウム(NaCO)から電解質が供給される。
【数9】

【0069】
上記式(8)〜(12)の反応によって、一部の水酸化物イオンは、電極3(負極)に引き付けられたナトリウムイオンと反応し、水酸化ナトリウム(NaOH)を生成し、第2の電極室6(陰極側)の水はアルカリ水となる。
【0070】
第2の運転モードにおいても、希釈用水供給路15から水を供給し、希釈混合部16で生成した強酸性水と水とを混合することによって、所望の濃度の次亜塩素酸(HClO)及び塩素(Cl)を含有する強酸性水を生成することが可能となる。
【0071】
[第3の運転モード:アルカリ水の生成]
次に、第3の運転モードを選択し、アルカリ水、好ましくはpH9.0以上のアルカリ水を生成する方法について説明する。
(i)まず、原水供給路9の電磁弁SV1を開き、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくとも一種の原水を第1の電極室5から電解槽7に供給する。循環路11の循環手段(循環ポンプ)12を作動させ、電解槽7に供給された原水の循環を開始する。原水供給路9を流通する原水の流量は、予め原水供給路9に設けた流量調整手段(流量調整バルブ)27によって決定する。
(ii)中和電解質供給手段10を作動させることなく、中和電解質(例えば炭酸水素ナトリウム(NaHCO))を原水に添加しない。
(iii)電解水排出路14に設けた第1の流量センサ19が、電解槽7から電気分解されないままで排出された原水の流量を感知し、循環路11に設けた第2の流量センサ22が、循環路11を流通する電気分解されないままの原水の流量を感知して、これらの流量信号に基づき、制御部24により、定電流電源8をオンにし、極性切替手段により、第1の電極室5の電極2を陰極にし、第2の電極室6の電極3を陽極にするように、電極2,3に一定の電流を流す。
(iv)電解槽7において原水の電気分解が開始し、電解水排出路14から生成されたアルカリ水が排出される。電解水排出路14を流通するアルカリ水のpHを制御部24にて設定した規定pH値、例えばpH9.0以上であるかどうか、pHセンサ17にて検知する。
(v)さらに、pHセンサ17にて検知した電解水(アルカリ水)のpHの数値が高い場合には、希釈水供給路15から水を供給し、希釈混合部16で生成したアルカリ水と水とを混合することによって、所望の濃度のアルカリ水を生成することが可能となる。
【0072】
図5は、アルカリ水を生成する場合の電解槽7におけるイオンの動き及び反応を模式的に表す説明図である。
【0073】
図5に示すように、第1の電極室(陰極側)5では、以下の反応を生じる。
【数10】

【0074】
上記式(8)〜(12)の反応によって、一部の水酸化物イオンは、第1の電極室(陰極側)5に引き付けられたナトリウムイオンと反応し、水酸化ナトリウム(NaOH)を生成し、第1の電極室5(陰極側)の電解水がアルカリ水となり、電解水排出路14からアルカリ水を供給することができる。
【0075】
一方、第2の電極室(陽極側)6では、以下の反応を生じる。電解槽7に供給され、循環ポンプ13によって、循環路11を流通する原水には、固体電解質供給手段(固体電解質槽)13に貯留した塩化物塩(例えばNaCl及び/又はKCl)、並びに炭酸ナトリウム(NaCO)から電解質が供給される。
【数11】

【0076】
第3の運転モードでは、原水供給路9から電解槽7に供給される原水に、中和電解質が添加されず、第2の電極室(陽極側)6で生成される電解水は、pHが3.0以下の酸性側に傾きやすく、上記式(5’)に示すように、生成された次亜塩素酸(HClO)の一部が再び塩素ガス(Cl)に変化し、電解水中に含まれる次亜塩素酸(HClO)濃度が低減した強酸性水及び/又は弱酸性次亜塩素酸水となる。
【実施例】
【0077】
[第1の運転モード:弱酸性次亜塩素酸水の生成]
(実施例1)
次に、図1に示す実施態様の電解水生成装置1を用いて第1の運転モードを選択し、中和電解質を噴霧ノズル105から炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を含む中和電解質溶液(炭酸水素ナトリウム濃度質量1.14mol/kg)を噴霧粒度が直径約50μmとなるように6mL/分の流量で原水に添加した。
【0078】
第1の電極室5の電極2を陽極とし、第2の電極室6の電極3を陰極となるように極性切替手段により、電極2,3の極性を切り替えて、電極2,3に4ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を流し、毎分1L(1L/分)の流量で、原水を電解槽7に供給した。第1の運転モードにおいて、第1の電極室5の電極(陽極)2は、チタンからなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。一方、第1の運転モードにおいて、第2の電極室6の電極(陰極)3は、チタンからなる基材に、白金を含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。第1の電極室5の電極(陽極)2は、中性膜4に密着させて配置し、第2の電極室6の電極(陰極)3は、中性膜4から0.3mmの間隔をあけて配置した。
【0079】
第1の運転モードを適用して電解槽7にて、中和電解質が添加された原水の電気分解を行い、電解水排出路14に設けたpHセンサ17を用いて、電極2,3に電流を流してから、1分ごとに5分間、得られた電解水(弱酸性次亜塩素酸水)のpHを測定した。1回の採取水量を50mlとした。結果を表2に示す。
【0080】
(実施例2)
第1の運転モードを選択し、噴霧ノズル105を用いることなく、実施例1と同様の電解質溶液を、直径約2mmの液滴状態で、6mL/分の流量で原水に添加したこと以外は、実施例1と同様にして、1分ごとに5分間、得られた電解水(弱酸性次亜塩素酸水)のpHを測定した。結果を表2に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
表1に示すように、実施例1の中和電解質溶液を噴霧ノズルによって原水に添加した場合は、電解水のpH値は、5分間で大きな変化がなく、pH5.0〜6.5の範囲で安定しており、安定した高濃度の弱酸性次亜塩素酸水を生成することができることが確認できた。一方、実施例2の中和電解質溶液を平均直径が約2mmの液滴状態で原水に添加した場合は、電解水のpH値にばらつきがあり、pH6.5を超えてしまう場合もあった。
【0083】
(実施例3)
次に、図1に示す実施態様の電解水生成装置1を用いて第1の運転モードを選択し、一対の電極(陽極、陰極)2,3の両方を中性膜4に密着させて配置した。第1の電極室5の電極2を陽極とし、第2の電極室6の電極3を陰極となるように極性切替手段により、電極2,3の極性を切り替えて、電極2,3に、3.1ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を流し、毎分1L(1L/分)の流量で、原水を電解槽7に供給した。中和電解質を噴霧ノズル105から炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を含む中和電解質溶液(炭酸水素ナトリウム濃度質量1.14mol/kg)を噴霧粒度が直径約50μmとなるように6mL/分の流量で原水に添加した。第1の運転モードにおいて、第1の電極室5の電極(陽極)2は、チタンからなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。一方、第1の運転モードにおいて、第2の電極室6の電極(陰極)3は、チタンからなる基材に、白金を含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。生成された弱酸性次亜塩素酸水のpHをpHセンサ17により測定し、遊離塩素濃度を遊離塩素濃度センサ18を用いて測定した。なお、pHセンサ17で測定する1回の採取水量は50mlとし、電極2,3に電流を流してから、3分後に、pH及び遊離塩素濃度を測定した。測定した遊離塩素濃度から、実施例3と同様の条件で電気分解した場合の弱酸性次亜塩素酸水中の次亜塩素酸濃度の理論値を下記のように算出し、理論値(100%)に対する、弱酸性次亜塩素酸水中の遊離塩素濃度の実測値の割合を算出した。結果を表2に示す。
遊離塩素濃度の理論値の算出式
【数12】

【0084】
(実施例4)
図1に示す実施態様の電解水生成装置1を用いて第1の運転モードを選択し、第1の電極室5の電極(陽極)2を中性膜4に密着させて配置し、第2の電極室6の電極(陰極)3を中性膜から0.3mmの間隔をあけて配置した。電極2,3には、4ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を流し、毎分1L(1L/分)の流量で、原水を電解槽7に供給したこと以外は、実施例3と同様にして、生成された弱酸性次亜塩素酸水のpH及び遊離塩素濃度を測定し、理論値(100%)に対する、弱酸性次亜塩素酸水中の遊離塩素濃度の実測値の割合を算出した。結果を表2に示す。
【0085】
(実施例5)
図1に示す実施態様の電解水生成装置1を用いて第1の運転モードを選択し、一対の電極(陽極、陰極)2,3の両方を中性膜4から0.3mmの間隔をあけて配置した。電極2,3には、5.8ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を流し、毎分1L(1L/分)の流量で、原水を電解槽7に供給したこと以外は、実施例3と同様にして、生成された弱酸性次亜塩素酸水のpH及び遊離塩素濃度を測定し、理論値(100%)に対する、弱酸性次亜塩素酸水中の遊離塩素濃度の実測値の割合を算出した。結果を表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
表2に示すように、第1の運転モードにおいて、電解水を生成する側の電極(陽極)2を中性膜4に密着させて配置し、循環側の電極(陰極)3を中性膜から0.3mmの間隔をあけて配置した場合(実施例4)には、電気分解によって生成されるイオンの中性膜への透過率が向上し、遊離塩素濃度がほぼ理論値と同程度であり、かつpH5.0〜6.5であり、次亜塩素酸(HClO)を高濃度で含む弱酸性次亜塩素酸水を生成することができた。一方、電極2,3の両方を中性膜4に密着させて配置し(実施例3)、又は、電極2,3の両方を中性膜4から同距離の間隔をあけて配置した場合(実施例5)には、実施例4の場合と比べて、弱酸性次亜塩素酸水中に含まれる遊離塩素濃度が低下し、pHもバラツキが生じた。
【0088】
(実施例6)
図1に示す実施態様の電解水生成装置1を用いて第1の運転モードを選択し、第1の電極室5の電極2を陽極とし、第2の電極室6の電極3を陰極となるように極性切替手段により、電極2,3の極性を切り替えて、電極2,3に、4ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を流し、毎分1L(1L/分)の流量で、原水を電解槽7に供給した。第1の電極室5の電極(陽極)2は、チタンからなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。一方、第1の運転モードにおいて、第2の電極室6の電極(陰極)3は、チタンからなる基材に、白金を含み、イリジウムは含まない膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。
第1の電極室5の電極(陽極)2は、中性膜4に密着させて配置し、第2の電極室6の電極(陰極)3は、中性膜4から0.3mmの間隔をあけて配置した。電極2,3には、4ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を流し、毎分1L(1L/分)の流量で、原水を電解槽7に供給した。中和電解質を噴霧ノズル105から炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を含む中和電解質溶液(炭酸水素ナトリウム濃度質量1.14mol/kg)を噴霧粒度が直径約50μmとなるように6mL/分の流量で原水に添加した。生成された弱酸性次亜塩素酸水のpHをpHセンサ17により測定し、遊離塩素濃度を遊離塩素濃度センサ18を用いて測定した。なお、pHセンサ17で測定する1回の採取水量は50mlとし、電極2,3に電流を流してから、3分後に、pH及び遊離塩素濃度を測定した。測定した遊離塩素濃度から、実施例3と同様の条件で電気分解した場合の弱酸性次亜塩素酸水中の次亜塩素酸濃度の理論値を算出し、理論値(100%)に対する、弱酸性次亜塩素酸水中の遊離塩素濃度の実測値の割合を算出した。結果を表3に示す。
【0089】
(実施例7)
図1に示す実施態様の電解水生成装置1を用いて第1の運転モードを選択し、第1の電極室5の電極(陽極)2は、チタンからなる基材に、白金を含み、イリジウムを含まない膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いたこと以外は、実施例6と同様にして、生成された弱酸性次亜塩素酸水のpH及び遊離塩素濃度を測定し、理論値(100%)に対する、弱酸性次亜塩素酸水中の遊離塩素濃度の実測値の割合を算出した。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
表3の実施例6に示すように、第1の運転モードにおいて、第1の電極室5の電極2が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜を被覆したものである場合、イリジウムの触媒作用により、理論値に対して、遊離塩素濃度が94.5%と理論値に近く、かつpHが6.3と次亜塩素酸(HClO)を高濃度で含む弱酸性次亜塩素酸水を効率よく生成することができた。一方、表3の実施例7に示すように、第1の運転モードにおいて、第1の電極室5の電極2が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金を含み、イリジウムを含まない膜を被覆したものである場合、実施例6の場合と比べて、理論値に対して、遊離塩素濃度が37.2%と低く、かつpHが7.2と次亜塩素酸の濃度が低い弱酸性次亜塩素酸水が生成された。
【0092】
[第2の運転モード:強酸性水の生成]
(実施例8)
次に、図1に示す実施態様の電解水生成装置1を用いて第2の運転モードを選択し、中和電解質を添加することなく、第1の電極室5の電極2を陽極とし、第2の電極室6の電極3を陰極となるように極性切替手段により、電極2,3の極性を切り替えて、電極2,3に4ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を流し、毎分1L(1L/分)の流量で、原水を電解槽7に供給した。第2の運転モードにおいて、第1の電極室5の電極(陽極)2は、チタンからなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。一方、第1の運転モードにおいて、第2の電極室6の電極(陰極)3は、チタンからなる基材に、白金を含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。第1の電極室5の電極(陽極)2は、中性膜4に密着させて配置し、第2の電極室6の電極(陰極)3は、中性膜4から0.3mmの間隔をあけて配置した。
【0093】
第2の運転モードを適用して電解槽7にて、中和電解質が添加されていない原水の電気分解を行い、電解水排出路14に設けたpHセンサ17を用いて、電極2,3に電流を流してから、3分後に、得られた電解水(強酸性水)のpHを測定した。1回の採取水量を50mlとした。結果を表4に示す。表4に示すように、pH3.0以下の強酸性水が得られた。
【0094】
【表4】

【0095】
[第3の運転モード:アルカリ水の生成]
(実施例9)
次に、図1に示す実施態様の電解水生成装置1を用いて第3の運転モードを選択し、中和電解質を添加することなく、第1の電極室5の電極2を陰極とし、第2の電極室6の電極3を陽極となるように極性切替手段により、電極2,3の極性を切り替えて、電極2,3に4ボルト(V)、25アンペア(A)の電流を流し、毎分1L(1L/分)の流量で、原水を電解槽7に供給した。第3の運転モードにおいて、第1の電極室5の電極(陰極)2は、チタンからなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。一方、第1の運転モードにおいて、第2の電極室6の電極(陽極)3は、チタンからなる基材に、白金を含む膜(厚さ1μm)を被覆し、中性膜4に対向させた面の面積が315cmのものを用いた。第1の電極室5の電極(陰極)2は、中性膜4に密着させて配置し、第2の電極室6の電極(陽極)3は、中性膜4から0.3mmの間隔をあけて配置した。
【0096】
第3の運転モードを適用して電解槽7にて、中和電解質が添加されていない原水の電気分解を行い、電解水排出路14に設けたpHセンサ17を用いて、電極2,3に電流を流してから、3分後に、得られた電解水(アルカリ水)のpHを測定した。1回の採取水量を50mlとした。結果を表5に示す。表5に示すように、pH9.0以上のアルカリ水が得られた。
【0097】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、pHが9.0以上のアルカリ水、pHが3.0以下の強酸性水、好適なpH5.0〜6.5の弱酸性次亜塩素酸水のいずれか1つの電解水を選択的に安定して生成することができ、それぞれ適用する用途が異なる弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水、又はアルカリ水を選択的に一つの装置で供給することができ、利便性が高く、病院、歯医者等の医療機関や、工場等において使用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0099】
1 電解水生成装置
2 電極
3 電極
4 中性膜
5 第1の電極室
6 第2の電極室
7 電解槽
8 定電流電源
9 原水供給路
10 中和電解質供給手段
11 循環路
12 循環手段(循環ポンプ)
13 固体電解質供給手段(固体電解槽)
14 電解水排出路
15 希釈用水供給路
16 希釈用混合槽
17 pH測定手段(pHセンサ)
18 遊離塩素濃度測定手段(遊離塩素濃度センサ)
19 第1の流量測定手段(第1の流量センサ)
20 流量調整手段(電動流量調整バルブ)
21 第2の流量測定手段(第2の流量センサ)
22 第3の流量測定手段(第3の流量センサ)
23 固体物センサ
24 制御部
25 ポンプコントローラ
26 流量コントローラ
27 分岐排出路
28 排出用連結路
101 補充ボトル
102 タンク
103 液体レベルセンサ
104 定量ポンプ
105 噴霧ノズル
106 中和電解質溶液供給路
107 噴霧管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極を備え、中性膜により第1の電極室と第2の電極室に区画され、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくも一種の原水を導入し、電気分解により電解水を生成する電解槽と、
一対の電極に電流を流すための定電流電源と、
電極の極性を切り替えるための極性切替手段と、
第1の電極室に接続し、第1の電極室へ原水を供給する原水供給路と、
原水供給路を流通する原水に、中和電解質を選択的に供給する中和電解質供給手段と、
第2の電極室の入口側と出口側とを接続する循環路と、
第2の電極室の出口側から排出される水の一部を入口側から再び第2の電極室に流入させる循環手段と、
循環路を流通する水に、固体電解質を供給する固体電解質供給手段と、
第1の電極室で生成された電解水を、第1の電極室から排出する電解水排出路とを備え、
極性切替手段により、第1の電極室の電極を陽極とし、第2の電極室の電極を陰極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加した原水を第1の電極室に供給して、第1の電極室で弱酸性次亜塩素酸水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第1の運転モードと、
極性切替手段により、第1の電極室の電極を陽極とし、第2の電極室の電極を陰極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室に供給して、第1の電極室で強酸性水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第2の運転モードと、
極性切替手段により、第1の電極室の電極を陰極とし、第2の電極室の電極を陽極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室に供給して、アルカリ水を生成し、第2の電極室で弱酸性次亜塩素酸水及び/又は強酸性水を生成する第3の運転モードのいずれか1つの運転モードを選択して、弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水又はアルカリ水を選択的に生成することが可能に構成されていることを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
第1の電極室から排出された電解水に水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくも一種の原水を供給して電解水の希釈を可能とする希釈用水供給路と、希釈用水供給路から供給された原水と電解水とを混合する混合槽とを備えた、請求項1記載の電解水生成装置。
【請求項3】
弱酸性次亜塩素酸水のpHが5.0〜6.5であり、強酸性水のpHが3.0以下であり、アルカリ水のpHが9.0以上である、請求項1又は2記載の電解水生成装置。
【請求項4】
混合槽の下流の電解水排出路に、pH測定手段と、遊離塩素濃度測定手段と、第1の流量測定手段とを備えた、請求項2又は3記載の電解水生成装置。
【請求項5】
希釈用水供給路に流量調整手段及び/又は第2の流量測定手段を備えた請求項2〜4のいずれか1項載の電解水生成装置。
【請求項6】
循環路に第3の流量測定手段を備えた、請求項1〜5のいずれか1項記載の電解水生成装置
【請求項7】
中和電解質供給手段が、原水供給路を流通する原水に、中和電解質を含む水溶液を噴霧するノズル及び定量ポンプによって構成されている、請求項1〜6のいずれか1項記載の電解水生成装置。
【請求項8】
原水供給路に開閉弁を備え、希釈用水路に開閉弁を備えた、請求項2〜7のいずれか1項記載の電解水生成装置。
【請求項9】
固体電解質供給手段が、固体電解質を内部に貯留し、循環路を循環する電解水の導入部及び排出部を有する個体電解質槽を備えた、請求項1〜8のいずれか1項記載の電解水生成装置。
【請求項10】
中和電解質が炭酸水素ナトリウムである、請求項1〜9のいずれか1項記載の電解水生成装置。
【請求項11】
固体電解質が塩化物塩と、炭酸塩とを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の電解水生成装置。
【請求項12】
塩化物塩が塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムであり、炭酸塩が炭酸ナトリウムである、請求項11記載の電解水生成装置。
【請求項13】
第1の電極室の電極を中性膜と密着させて配置し、第2の電極室の電極を中性膜から0.1〜5mmの間隔を設けて配置した、請求項1〜12のいずれか1項記載の電解水生成装置。
【請求項14】
電極が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金、イリジウム、パラジウム及びタンタルからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む膜を被覆したものである、請求項1〜13のいずれか1項記載の電解水生成装置。
【請求項15】
第1の電極室の電極が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金及びイリジウムを含む膜を被覆したものであり、第2の電極室の電極が、チタン又はチタン合金からなる基材に、白金を含む膜を被覆したものである、請求項1〜14のいずれか1項記載の電解水生成装置。
【請求項16】
一対の電極を備え、中性膜により第1の電極室と第2の電極室に区画され、水道水、軟水及び純水からなる群より選ばれる少なくも一種の原水を導入し、電気分解により電解水を生成する電解槽と、
一対の電極に電流を流すための定電流電源と、
電極の極性を切り替えるための極性切替手段と、
第1の電極室に接続し、第1の電極室へ原水を供給する原水供給路と、
原水供給路を流通する原水に、中和電解質を選択的に供給する中和電解質供給手段と、
第2の電極室の入口側と出口側とを接続する循環路と、
第2の電極室の出口側から排出される水の一部を入口側に再び第2の電極室に流入させる循環手段と、
循環路を流通する水に、固体電解質を供給する固体電解質供給手段と、
第1の電極室で生成された電解水を、第1の電極室から排出する電解水排出路とを備えた電解水生成装置を用いて、
極性切替手段により、第1の電極室の電極を陽極とし、第2の電極室の電極を陰極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加した原水を第1の電極室に供給して、第1の電極室で弱酸性次亜塩素酸水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第1の運転モードと、
極性切替手段により、第1の電極室の電極を陽極とし、第2の電極室の電極を陰極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室に供給して、第1の電極室で強酸性水を生成し、第2の電極室でアルカリ水を生成する第2の運転モードと、
極性切替手段により、第1の電極室の電極を陰極とし、第2の電極室の電極を陽極とし、中和電解質供給手段により、中和電解質を添加しない原水を第1の電極室に供給して、アルカリ性水を生成し、第2の電極室で弱酸性次亜塩素酸水及び/又は強酸性水を生成する第3の運転モードのいずれか1つの運転モードを選択して、弱酸性次亜塩素酸水、強酸性水又はアルカリ性水を選択的に生成することを特徴とする電解水生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−71103(P2013−71103A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214467(P2011−214467)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(512224682)アクアエコ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】