説明

電解水生成装置

【課題】水の低電気伝導率地域から高電気伝導率地まで殆どの電気伝導率地域において電解水生成装置の電流検出精度を確保し、構造の簡素化及び低コスト化を図ること。。
【解決手段】電解槽12の陰極と陽極との間に流れる電流を検知するための電流検知用の抵抗と、この電流検知用の抵抗に発生する電圧出力を増幅するための増幅手段とを備えると共に、電流検知用の抵抗に発生する電圧出力に応じて増幅手段の増幅率を変更するように制御する制御部25を備えた電解水生成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水を電気分解してアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成する電解水生成装置に関し、詳しくは水の電気伝導率の低域から高域において、電流の検出精度を最適化して安定したpHの制御を行うための電解水生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の安全な水や健康に対する関心の高まりに伴って、水道水等の原水を電解槽内で電気分解することでアルカリイオン水と酸性イオン水を生成する電解水生成装置が一般家庭にも広く普及するに至っている。この電解水生成装置は、アルカリイオン水と酸性イオン水の一方を吐水路から利用可能に吐出し、他方を排水路から排出する構成であり、特に健康に良いとされるアルカリイオン水については飲用に供されることになる。
【0003】
従来から、電解水生成装置としては、水道水等の原水を浄化槽で浄化した後、電解質添加部に供給してカルシウム塩等の電解質を添加する。さらに電解槽に供給して電気分解して、酸性イオン水やアルカリイオン水を装置外部に吐出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この電解水生成装置では、一対の電極間に流す電流を検出するための電流検出手段として、電流検出用の抵抗に発生する電圧を増幅器により増幅してから制御部に信号として取り込む構成となっている。つまり、電流検出手段として電流検知用の抵抗を有し、この抵抗に発生する電圧出力を増幅するための増幅器として、増幅率の異なるものを少なくとも2つ以上有する。さらに抵抗に発生する電圧出力に応じていずれか1つの増幅器を選択する切替手段を有する。この切替手段によって低電気伝導率地域の場合には増幅率が高い増幅器を選択し、高電気伝導率地域の場合には増幅率の低い増幅器を選択する。これにより、一対の電極間に流す電流の検出精度を確保できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−224672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電解水生成装置では、水の電気伝導率が低い低電気伝導率地域から高い高電気伝導率地域までの全ての電気伝導率に対応するためには、増幅率の異なる少なくとも2つ以上の増幅器を備えなければならない。このため従来にあっては、電流検出精度を確保するためには増幅器の数が増えて構成が複雑となり且つコストが高くつくという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、水の低電気伝導率地域から高電気伝導率地まで殆どの電気伝導率地域において電流検出精度を確保できると共に、構造の簡素化及び低コスト化を図ることが可能な電解水生成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、陰極室と陽極室に各々電気分解を行うための電解用電極を備えて通水された原水を電気分解して前記陰極室でアルカリイオン水を生成し前記陽極室で酸性イオン水を生成する電解槽と、前記電解槽の電解用電極間に印加する電解の強度を制御する制御部と、前記生成されたアルカリイオン水を吐出する吐出路及び前記生成された酸性イオン水を排水する排水路が設けられた電解水生成装置であって、前記陰極と前記陽極との間に流れる電流を検知するための電流検知用の抵抗と、前記電流検知用の抵抗に発生する電圧出力を増幅するための増幅手段と、を備え、前記制御部は、前記電流検知用の抵抗に発生する電圧出力に応じて前記増幅手段の増幅率を変更するように制御することを特徴としている。
【0009】
また、前記増幅手段は、前記電流検知用の抵抗とは別に増幅手段の増幅率を変更するための複数の抵抗器を備えた構成とするのが好ましい。
【0010】
また、前記増幅手段は、前記電流検知用の抵抗とは別に増幅手段の増幅率を変更するためひとつの可変抵抗を備えた構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、水の低電気伝導率地域から高電気伝導率地まで殆どの電気伝導率地域において電流検出精度を確保できると共に、構造の簡素化及び低コスト化を図り得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における電解水生成装置の概略構造図である。
【図2】同上の電解水生成装置の実施例1における電流検知手段と増幅手段の回路図である。
【図3】同上の電解槽に流れる電流値と水の電気伝導率との関係を示すグラフである。
【図4】同上の増幅手段における増幅率を切り替える動作を説明するフローチャートである。
【図5】同上の電解水生成装置の実施例2における電流検知手段と増幅手段の回路図である。
【図6】図5の増幅手段における増幅率を切り替える動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本電解水生成装置の実施の形態について、(実施例1)、(実施例2)の順に図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1) 図1は本実施例1における電解水生成装置の概略構造図である。
【0014】
同図において、水道水等の原水管1は、水栓2を介して、本体部3の浄水部4に接続されている。浄水部4は、内部に原水中の残留塩素、トリハロメタン、カビ臭等を吸着する活性炭および一般細菌や不純物を精度よく取り除く中空糸膜等を備えている。浄水部4で濾過された水は、導入路5aから流量検知部6に流れる。流量検知部6は通水を確認して制御部25に制御指示する。浄水部4で濾過された水は、流量検知部6を通って導入路5b,5cに分流される。導入路5cには、カルシウム供給部用絞り7とカルシウム供給部8とが設けられている。カルシウム供給部用絞り7は、導入路5cを流れる流量を調整する。カルシウム供給部8は、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウムイオンを原水中に付与して原水の電気伝導度を高める。導入路5cは導入路5bに合流する。導入路5bの下流は、導入路5dを介して、第1の電極室用導入路9に連通しており、更に電解槽12の第1の電極室12a内に連通している。また、導入路5dには第2の電極室用導入路10が分岐されている。第2の電極室用導入路10は、第2の電極室用導入路10を流れる流量を調整する第2の電極室用絞り11を介して、電解槽12の第2の電極室12b内に連通している。
【0015】
電解槽12は、濾過された水を電気分解してアルカリイオン水および酸性イオン水を生成するものであり、その内部には、隔膜13a,13bによって分離された第1の電極室12aと第2の電極室12bとが形成されている。第1の電極室12a内には、第1の電極室用電極板14a,14bが対向配置されている。第2の電極室12b内には、第2の電極室用電極板15が配置されている。
【0016】
第2の電極室12bの下流側には、第2の電極室12bの水(第2の電極室用電極板15が陽極の場合は酸性イオン水)を排出する排水路18a,18bに接続されている。排水路18a,18bの途中には、排水路18aを流れる流量を制限する排水路用絞り19が介在されている。ここでは、第1の電極室12aの内圧よりも第2の電極室12bの内圧の方を高くして、第2の電極室12bの水が第1の電極室12aに流れ込もうとする状態となっている。
【0017】
第2の電極室12b内部の下流側には、酸性イオン水導入機能を有する合流部16が設けられている。合流部16は第1の電極室12a内の下流側に臨んで配置されている。合流部16は第2の電極室12b内で生成されたイオン水(第2の電極室用電極板15が陽極の場合は酸性イオン水)の一部を第1の電極室12a内に導入する働きをする。これにより、第1の電極室12aでの水素の発生量が増加して、溶存水素量の多いアルカリイオン水(飲用水)を生成することが可能となる。この溶存水素量の多い飲用水は、例えばパーキンソン病やメタボリックシンドローム、生活習慣病等の予防や改善に効果があることが知られている。
【0018】
第1の電極室12aの下流には、吐水路17が接続されている。吐水路17は、第1の電極室12aの水(第1の電極室用電極板14aおよび14bが陰極の場合はアルカリイオン水)を飲用水として吐出する。吐水路17の上流には吐水バイパス路20が分岐接続されている。吐水バイパス路20は、流量を制限する吐水バイパス路用絞り21を介して、pHセンサー部22に接続されている。pHセンサー部22は、第1の電極室12aから吐水バイパス路20内に流出されるアルカリイオン水のpH値を測定する。吐水バイパス路20の下流は、前記排水路18bに合流している。
【0019】
制御部25は、本体部3の動作制御や電気分解を行うための電解のエネルギーを電解槽12に供給するマイクロコンピュータで構成される。図中の23は電源プラグ、24は電源プラグ23からの交流電源を直流電源に変換する電源部である。26は利用者がアルカリイオン水や酸性イオン水、浄水の水質やpH強度、各種機能の選択設定を行なう操作表示部である。
【0020】
利用者はアルカリイオン水生成モード、酸性イオン水生成モードまたは浄水モード等、所望の水質モードおよびpH強度を操作表示部26の所定のボタンを操作することにより選択し、水栓2を開いて通水を行なう。水栓2から導入された原水は、浄水部4で原水中の残留塩素やトリハロメタン、カビ臭、一般細菌等の不純物が取り除かれ、導入路5aを通って流量検知部6を通過する。その後、原水の一部が導入路5c側に分岐されてカルシウム供給部用絞り7にて適量に流量制限される。そして、カルシウム供給部8にてグリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等が溶解されて電気分解容易な水に処理され、その後、再び導入路5bと合流する。合流された原水は電解槽12内の第1の電極室12aおよび第2の電極室12bのそれぞれ専用に設けられた第1の電極室用導入路9および第2の電極室用導入路10を経てそれぞれの電極室12a,12bに導入される。ここで、第2の電極室用絞り11は第1の電極室12aおよび第2の電極室12bの内圧バランスを調整するために設けられている。つまり、第1の電極室12aの出口側と第2の電極室12bの出口側を通過する流量比に対して第1の電極室用導入路9と第2の電極室用導入路10を通過する流量比を変えることにより調整できる。本実施例1では、[(第1の電極室12aの出口側流量)/(第2の電極室12bの出口側流量)>(第1の電極室用導入路9の流量)/(第2の電極室用導入路10の流量)]となるようにあらかじめ調整されている。
【0021】
一方、電源プラグ23からはAC100Vが供給され、電源部24内のトランスおよび制御用直流電源で電気分解に必要なエネルギーを発生させる。そして制御部25を介して電解槽12の第1の電極室用電極板14a、14bおよび第2の電極室用電極板15に電気分解に必要なエネルギーが供給される。この時、相対的にプラス電圧を印加する電極を陽極、マイナス電圧を印加する電極を陰極とすると、電解槽12内に隔膜13aおよび13bで仕切られた陽極室と陰極室とが形成される。尚、アルカリイオン水生成モード時においては第1の電極室用電極板14aおよび14bが陰極となり、第2の電極室用電極板15が陽極となる。
【0022】
さて、通水が開始されると制御部25は流量検知部6からの出力信号を読み取り、単位時間当たりに流れる流量レベルが一定量を越えると、この状態を通水中と判断する。この時、すでに選択されている水質モードおよびpH強度に応じた電気分解条件のもと制御部25は電解槽12に対して所定の電解のエネルギーを供給する。アルカリイオン水生成モード時においては第1の電極室用電極板14aおよび14bが陰極となり、第2の電極室用電極板15が陽極となる。この時、吐水路17より健康に良いとされるアルカリイオン水を吐出されると共に排水路18aより酸性イオン水を排出する。
【0023】
次に、電解槽12に流れる電流の検出精度を最適化して、安定したpHの制御を行う方法を説明する。
【0024】
図2は、本実施例1における増幅器28の電流検出増幅率を変更する回路構成の一例を示した詳細図である。
【0025】
同図において、電解槽12に流れる電流値は、電流検知用の抵抗31により検知される。つまり、電流検知用の抵抗31において発生した電圧を増幅器28によって増幅して制御部25に入力する。制御部25は、増幅率を切り替えるための切替手段50と、増幅器28からの信号を受け取り処理する処理手段(図示略)とを備えている。
【0026】
ここでは、電流検知用の抵抗31は、増幅器28の第1の入力ポートP3に接続されている。増幅器28の第2の入力ポートP2には、増幅率を決定するための抵抗29と、抵抗32〜35とがそれぞれ接続されている。このうち抵抗29は増幅器28の入力ポートP2と出力ポートP1との間に接続され、他の抵抗32〜35はそれぞれ、増幅器28の入力ポートP2と制御部25の切替手段50との間に接続されている。これにより増幅器28の増幅率は、抵抗29と抵抗32〜35との比率で決定される。本実施例1においては、増幅率は切替手段50によって4段階に変更可能となっている。つまり、切替手段50によって抵抗32のみを選択すれば増幅率が48倍となるように構成されている。また抵抗32,33を選択すれば増幅率が24倍となり、抵抗32,33,34を選択すれば増幅率が12倍となり、抵抗32,33,34,35を選択すれば増幅率が6倍となるように構成されている。本実施例1では、電流検知用の抵抗31は電流値による発熱を考慮して、10mΩとしている。
【0027】
制御部25は、通水が検知されたときにFET等からなるスイッチ30を導通させて電解槽12の一対の電解用電極板14a,15:14b,15(図1)間に電圧を印加して電気分解を開始する。このとき電流検知用の抵抗31に発生する電圧出力が増幅器28で増幅されて制御部25に入力されるようになっている。
【0028】
図3は、水の電気伝導率と電解槽12に流れる電流値の関係の一例を示したグラフである。一般の水道水では電気伝導率は40μS/cm〜800μS/cmの範囲にある。図3中のLで示すように、電気伝導率が40μS/cmのときは電解槽12の電流値が2A、800μS/cmのときは24Aとなる。
【0029】
以上の構成において、本実施例1における電解水生成装置の動作と増幅器28の増幅率を切り替える動作とを説明する。
【0030】
図4は本実施例1における増幅率を変更する方法を示したフローチャートである。
【0031】
先ずは、水の電気伝導率が800μS/cmの場合を考えてみる。
【0032】
使用者が通水を開始すると(図4のステップS1)、制御部25からスイッチ30に信号が送られ、スイッチ30が導通して電解槽12に電流が流れる。通水初期では増幅率の設定は、切替手段50により抵抗32(図2)のみを選択することで48倍になるように設定しておく(ステップS2)。この場合の電解槽12の電流値は、図3のグラフから24Aとなるため、電流検知用の抵抗31からの電圧出力は240mV(=10mΩ×24A)となり、増幅器28の出力電圧は11.5V(=240mV×48)となる。しかし、増幅器28の電圧は電源電圧に支配されるため一般の増幅器28であれば電源電圧が5Vであれば最大でも3.5V程で飽和してしまう。本実施例1の場合は実際の最大出力を3.5Vとしている。
【0033】
この増幅器28の出力を予め定めた閾値2Vと比較し(ステップS3)、閾値2Vよりも小さければそのままの増幅率を維持する(ステップS4)。本実施例1では、増幅率48倍時の出力(3.5V)が閾値2Vよりも大きいため、切替手段50により抵抗32と抵抗33(図2)を選択して、二番目に大きい増幅率24倍に設定変更する(ステップS5)。
【0034】
このように増幅率が24倍に設定された増幅器28の出力電圧は、5.76V(=240mV×24)となり、先ほどと同様に、出力を閾値2Vと比較して(ステップS6)、小さければそのままの増幅率を維持する(ステップS7)。本実施例1では出力(3.5V)が閾値2Vよりも大きいため、切替手段50により抵抗32と抵抗33と抵抗34(図2)を選択して、三番目に大きい増幅率12倍に設定変更する(ステップS8)。
【0035】
このように増幅率が12倍に設定された増幅器28の出力電圧は2.88V(=240mV×12)となり、先ほどと同様に、出力を閾値2Vと比較して(ステップS9)、小さければそのままの増幅率を維持する(ステップS10)。本実施例1では出力(2.88V)が閾値2Vよりも大きいため、切替手段50により抵抗32と抵抗33と抵抗34と抵抗35(図2)を選択して、四番目に大きい増幅率6倍に設定変更する(ステップS11)。
【0036】
このように増幅率が6倍に設定された増幅器28の出力電圧は1.44V(=240mV×6)になる。この出力を閾値2Vと比較する(ステップS12)。本実施例1では閾値2Vよりも小さいためそのままの増幅率を維持する(ステップS13)。
【0037】
水の電気伝導率が例えば2000μS/cmのような場合は、電解を停止する(ステップS14)。
【0038】
水の電気伝導率が例えば40μS/cmの場合を考えてみると、電流値は2A(図4)となるため電流検知用の抵抗31からの電圧出力は20mV(=10mΩ×2A)となり、増幅率48倍時には増幅器28の出力電圧が0.96V(=20mV×48)となり、閾値2Vよりも低いため、そのままの増幅率を維持する(ステップS4)。
【0039】
上記構成によれば、水の電気伝導率に応じて増幅率を最適な状態に維持できるので、電流検出精度を一定に保つことが容易となる。これにより、水の低電気伝導率地域から高電気伝導率地域まで殆どの地域において電流検知精度を確保しやすくなり、結果として、安定したpHの制御を行うことが可能となる。しかも、増幅器28の数はひとつで済むので、構造を簡素化でき、装置の小型化が可能になると共に、コストの低減を図ることができる。
【0040】
なお、増幅率を4段階(48倍→6倍)に切り替える場合を例示したが、増幅率変更のための抵抗の数は適宜に設計変更可能である。
(実施例2) 図5は、実施例2における増幅器28の電流検出増幅率を切り替える方法を示した回路図である。
【0041】
本実施例2が前記実施例1と異なる部分は、増幅率を切り替えるための抵抗33、34、35(図2)の代わりに、抵抗値を能動的に可変できる可変抵抗素子を備えていることである。本実施例2においては可変抵抗素子として、抵抗39と並列にトランジスタ40が接続されている。制御部25の切替手段51より0Vから5Vの出力をトランジスタ40のベースに印加することにより、トランジスタ40のコレクタ、エミッタ間の抵抗値は無限大から0Ωに切り替えることができる。このことにより増幅率は、抵抗29と抵抗32とで決定される48倍から、抵抗29と抵抗32と抵抗39とで決定される6倍まで可変できるようになっている。なお、可変抵抗素子はFET等でもよい。他の構成は、前記実施例1の図2と同じ構成および作用効果を有するものとし、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0042】
図6は本実施例2における電解水生成装置について増幅率を切り替える方法を示したフローチャートである。なお、アルカリイオン水と酸性イオン水の生成過程については前記実施例1と同様であり、詳細な説明は省略する。以下、異なる点だけを説明する。
【0043】
使用者が通水を開始すると(図6のステップS21)、制御部25からスイッチ30に信号が送られ、電解槽12に電流が流れる。通水初期では増幅率は48倍に設定される。つまり、トランジスタ40のベースに5Vを印加し、コレクタ、エミッタ間を0Ωにすることで、増幅率を抵抗29と抵抗32とで決定される48倍になるように設定しておく(ステップS22)。
【0044】
次に、電流検知用の抵抗31から出力された電圧を閾値(例えば2V)と比較し(ステップS23)、小さければそのままの増幅率を維持し(ステップS24)、大きければトランジスタ40のベースに4.9Vを印加する(ステップS25)。このように、トランジスタ40のベース電圧を0.1Vステップで段階的に小さくしていき、閾値より小さくなるまで繰り返す。これはベース電圧が0Vになるまで繰り返され(ステップS26→S23)、0Vになると電解を停止する(ステップS27)。
【0045】
上記構成によれば、水の電気伝導率に応じて増幅率を最適な状態に維持できるので、電流検出精度を一定に保つことが容易となる。これにより前記実施例1と同様に、水の低電気伝導率地域から高電気伝導率地域まで殆どの地域において電流検知精度を確保しやすくなり、結果として、安定したpHの制御を行うことが可能となる。しかも本実施例2では、増幅器28の数はひとつで済み、しかも前記本実施例1と比較して、増幅率変更用の抵抗の数を減らすことができるので、構造をより簡素化でき、装置の小型化及びコストの低減を一層図ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 原水管
2 水栓
3 本体部
4 浄水部
12 電解槽
12a 第1の電極室
12b 第2の電極室
14a、14b 第1の電極室用電極板
15 第2の電極室用電極板
25 制御部
28 増幅器
29,32〜35,39 増幅率変更用の抵抗
31 電流検知用の抵抗
40 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極室と陽極室に各々電気分解を行うための電解用電極を備えて通水された原水を電気分解して前記陰極室でアルカリイオン水を生成し前記陽極室で酸性イオン水を生成する電解槽と、前記電解槽の電解用電極間に印加する電解の強度を制御する制御部と、前記生成されたアルカリイオン水を吐出する吐出路及び前記生成された酸性イオン水を排水する排水路が設けられた電解水生成装置であって、前記陰極と前記陽極との間に流れる電流を検知するための電流検知用の抵抗と、前記電流検知用の抵抗に発生する電圧出力を増幅するための増幅手段と、を備え、前記制御部は、前記電流検知用の抵抗に発生する電圧出力に応じて前記増幅手段の増幅率を変更するように制御することを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
前記増幅手段は、前記電流検知用の抵抗とは別に増幅手段の増幅率を変更するための複数の抵抗器を備えたことを特徴とする請求項1記載の電解水生成装置。
【請求項3】
前記増幅手段は、前記電流検知用の抵抗とは別に増幅手段の増幅率を変更するためひとつの可変抵抗を備えたことを特徴とする請求項1記載の電解水生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−223686(P2012−223686A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92314(P2011−92314)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】