説明

電解装置

【課題】二室型電解槽電解装置の長所を生かして電解効率を向上させる技術を提供することである。
【解決手段】電解槽を有する電解装置において、
前記電解槽は、
アノード電極が設けられたアノード室と、
前記アノード室とは隔膜によって区分けされてなるカソード電極が設けられたカソード室と、
前記アノード室を前記アノード電極が存するアノード電解水通路室と前記アノード電極が存しない電解質補給室とに区分けする隔壁
とを具備してなり、
前記電解質補給室内の電解質溶液が前記電解質補給室側から前記アノード電解水通路室側に移動できるよう前記隔壁には孔が構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄・消毒性に優れると共に安全性が高いアノード酸化水を生成でき、そして電解効率に優れた二室型電解槽を備えた電解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消毒に用いられている次亜塩素酸水溶液は、その寿命が短い。従って、ボトリングして販売することが困難である。このようなことから、次亜塩素酸水溶液を製造できる電解装置が販売されている。
【0003】
このような電解装置として、図10に示される無隔膜電解槽を備えた電解装置X、図11に示される二室型電解槽を備えた電解装置Y、図12に示される三室型電解槽を備えた電解装置Zのものが知られている。
【0004】
図10中、111は電解室への流入口、112はアノード電極、113はカソード電極、114は電解室からの流出口である。
【0005】
図11中、121はアノード室、122はアノード室121への流入口、123はアノード室121からの流出口、124はアノード電極、125はカソード室、126はカソード室125への流入口、127はカソード室125からの流出口、128はカソード電極、129はアノード室121とカソード室125とを仕切る隔膜である。
【0006】
図12中、131はアノード室、132はアノード室131への流入口、133はアノード室131からの流出口、134はアノード電極、135はカソード室、136はカソード室135への流入口、137はカソード室135からの流出口、138はカソード電極、139はアノード室131とカソード室135との間に設けられた中間室、140はアノード室131と中間室139とを仕切る隔膜、141はカソード室135と中間室139とを仕切る隔膜、142は中間室139への流入口、143は中間室139からの流出口である。
【0007】
さて、上記の3タイプの電解装置の特徴・問題点を下記の表−1に示す。

【0008】
ところで、手洗い等では洗浄と消毒とを併せて考えることが望ましい。
この観点からすると、無隔膜電解槽を用いた電解装置Xによる電解水は好ましく無い。これに対して、二室型電解槽を用いた電解装置Yや三室型電解槽を用いた電解装置Zで得られる電解水は、洗浄と消毒との双方を達成できる。そして、どちらが適しているかを考察すると、操作性や酸化水の機能の面では、三室型電解槽を用いた電解装置Zの方が優れている。例えば、三室型電解槽電解装置Zを用いると、硬水でも軟水器を利用しないで長時間の電解が可能である。
【0009】
さて、NaCl等の塩分を用いることにより、酸化水中に次亜塩素酸等が生成している。従って、この酸化水は消毒効果に優れている。そして、二室型電解槽電解装置Yの場合には、アノード室への供給原水にNaClを添加している。三室型電解槽電解装置Zの場合には、中間室にNaClを添加している。
【0010】
そして、三室型電解槽電解装置Zが用いられた場合、アノード電解水(酸化水)中の塩分濃度が低いので、腐食の問題点が二室型電解槽電解装置Yに比べて小さい。この種の三室型電解槽電解装置Zの場合、アノード室側の隔膜に陰イオン交換膜が、カソ−ド室側の隔膜にカチオン交換膜が用いられる。そして、中間室に飽和食塩水を供給して電解した場合、塩素イオンの陰イオン膜透過度とナトリウムイオンのカチオン交換膜透過度とを比較すると、カチオン交換膜透過度の方が大きい。このことは、電解が進むと、中間室のpHが酸性に傾くことを意味する。そして、中間室のpHが強酸性になると、装置の安全性の問題が起きて来る。
【0011】
これに対して、二室型電解槽電解装置Yの場合には、上記三室型電解槽電解装置Zの問題点が無いものの、NaClの補給に問題が有る。そして、NaClの濃度が低いと、下記の式に示される如く、塩素イオンの酸化反応に加えて水の酸化反応が起こり、電解効率が低下する。逆に、濃度が高すぎると、腐食等の問題点が起きる。しかしながら、二室型電解槽電解装置Yの場合には、三室型電解槽電解装置Zの如く、pHが1以下の強酸性の塩酸が生成されないと言う大きな特長が有る。従って、二室型電解槽電解装置Yの採用は非常に魅力的である。
2Cl−2e→Cl
Cl+2HO−2e→2HClO+2H
2HO−4e→O+4H
【特許文献1】特開2005−58848
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
さて、上記アノード電解水(酸化水)の問題を緩和する為には、食塩濃度を低減しなければならないが、そうすると、電解効率が低下する。
従って、本発明が解決しようとする課題は、二室型電解槽電解装置Yの長所を生かして電解効率を向上させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題は、
電解槽を有する電解装置において、
前記電解槽は、
アノード電極が設けられたアノード室と、
前記アノード室とは隔膜によって区分けされてなるカソード電極が設けられたカソード室と、
前記アノード室を前記アノード電極が存するアノード電解水通路室と前記アノード電極が存しない電解質補給室とに区分けする隔壁
とを具備してなり、
前記電解質補給室内の電解質溶液が前記電解質補給室側から前記アノード電解水通路室側に移動できるよう前記隔壁には孔が構成されてなる
ことを特徴とする電解装置によって解決される。
【0014】
特に、上記の電解装置であって、電解質補給室にイオン交換樹脂が配設されてなる電解装置によって解決される。
【0015】
又、上記の電解装置であって、隔壁がフッ素系カチオン交換膜で構成されてなり、前記フッ素系カチオン交換膜が孔の形成されたアノード電極に隣接して設けられてなる電解装置によって解決される。
【0016】
又、上記の電解装置であって、アノード電極の隔壁が設けられている側とは反対側の面にイオン交換樹脂が設けられてなる電解装置によって解決される。
【0017】
又、上記の電解装置であって、カソード室で生成したカソード電解水とアノード室で生成したアノード電解水とが混合されるように導水路が構成されてなる電解装置によって解決される。特に、上記の電解装置であって、カソ−ド室が二つ以上に分割されてなり、その中の一つのカソード室で生成したカソード電解水とアノード室で生成したアノード電解水とが混合されるように導水路が構成されてなる電解装置によって解決される。中でも、上記の電解装置であって、カソード電解水とアノード電解水との混合水がpH5〜9の範囲内に在るように混合される混合・調整手段を備えた電解装置によって解決される。
【0018】
又、上記の電解装置であって、電解質補給室には電解質水溶液タンクが接続されてなり、前記電解質水溶液タンクにはハロゲン塩(特に、NaCl)が充填されてなる電解装置によって解決される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、洗浄・消毒(殺菌)に優れた水が得られる。
特に、電解効率良く洗浄・消毒(殺菌)に優れた水が得られ、しかもその際に装置には腐食などの問題が起き難く、寿命の長いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は電解装置である。この電解装置は、電解槽を有する。特に、所謂、二室型電解槽を有する。この電解槽は、アノード電極が設けられたアノード室と、該アノード室とは隔膜によって区分けされてなるカソード電極が設けられたカソード室と、前記アノード室を前記アノード電極が存するアノード電解水通路室と前記アノード電極が存しない電解質補給室とに区分けする隔壁とを有する。そして、前記隔壁は、電解質補給室内の電解質溶液が電解質補給室側からアノード電解水通路室側に移動できるように孔が設けられたものである。すなわち、孔を介して、電解質溶液が電解質補給室側からアノード電解水通路室側に移動できるようになっている。又、好ましくは、電解質補給室にイオン交換樹脂が配設(充填)されている。すなわち、電解質補給室にイオン交換樹脂が充填されていると、供給された電解質がイオン交換樹脂に保持されるようになり、アノード電解酸化効率が向上する。又、好ましくは、前記隔壁はフッ素系カチオン交換膜で構成されていて、このフッ素系カチオン交換膜が孔の形成されたアノード電極に隣接(接合)して設けられている。又、好ましくは、アノード電極の隔壁が設けられている側とは反対側の面にイオン交換樹脂が設けられている。すなわち、斯くの如くにして、アノード電極の周囲にイオン交換樹脂を存在させていると、アノード電極表面の実効電解質濃度が高くなり、電解効率が向上する。又、好ましくは、カソード室で生成したカソード電解水とアノード室で生成したアノード電解水とが混合されるように導水路が設けられている。更に好ましくは、カソ−ド室が二つ以上に分割されていて、その中の一つのカソード室で生成したカソード電解水とアノード室で生成したアノード電解水とが混合されるように導水路が構成されている。すなわち、斯くの如くにさせると、一つのカソ−ド室で生成されたカソ−ド電解水とアノード電解水とを混合することによって、pHが5〜9の中性領域の電解酸化水が容易に得られるようになる。又、好ましくは、カソード電解水とアノード電解水との混合水のpHが5〜9の範囲内に在るように混合される混合・調整手段を備えている。又、好ましくは、電解質補給室に電解質水溶液タンクが接続されていて、前記電解質水溶液タンクにはハロゲン塩(特に、NaCl)が充填されている。
【0021】
以下、更に詳しく説明する。
図1及び図2は本発明になる電解装置の要部(電解槽)の概略図である。
本発明になる電解槽は、所謂、二室型電解槽である。表面的には三室型電解槽に似ているが、本発明にあっては、アノード室に設けられた隔壁に孔が形成されていて、前記孔を介して電解質溶液がアノード電極の設けられたアノード室に移行できるようになっている点において、所謂、三室型電解槽とは異なる。
【0022】
図1,2中、1はアノード室、2はアノード室1への水流入口、3はアノード室1からの水流出口、4はアノード電極である。5はカソード室、6はカソード室5への水流入口、7はカソード室5からの水流出口、8はカソード電極である。9は、アノード室1とカソード室5とを仕切る隔膜(カチオン交換膜)である。尚、これ等の構成については、従来からの二室型電解槽によって知られているから、詳細は省略される。
【0023】
さて、カソード電極8は隔膜9の表面に設けられているが、アノード電極4は隔膜9から離れて設けられている。そして、このアノード電極4は、例えば図3に示される如く、多数の孔10が形成されている。すなわち、アノード電極4は多孔性アノード電極である。尚、電解に有効な面積は、例えば80mm×60mmである。
【0024】
11は隔壁である。例えば、フッ素系カチオン交換膜で出来た隔壁11である。すなわち、隔壁11によってアノード室1が複数の部屋に分割されるように隔壁が設けられている。特に、隔壁11はアノード電極4に隣接して設けられている。すなわち、隔壁11の表面にアノード電極4が設けられている。従って、アノード室1は、隔壁11によって、アノード電極4が存在するアノード電解水通路室1aと、アノード電極4が存しない電解質補給室1bとに区分されている。隔壁11にも多数の孔が形成されている。すなわち、隔壁11は多孔性隔壁である。従って、隔壁11に形成されている孔およびアノード電極4に形成されている孔10を介して、電解質補給室1b内の電解質水溶液が電解質補給室1b側からアノード電解水通路室1a側に移行できるようになっている。尚、隔壁11として、フッ素系のカチオン交換膜を用いた場合、オゾンの発生効率が向上する。そして、オゾンの発生により、塩素イオンの直接酸化による酸化性物質の生成に加え、オゾンと塩素イオンによる酸化性物質の生成が可能となり、電解効率が更に向上する。従って、フッ素系のカチオン交換膜を用いることが好ましい。
【0025】
12は、電解質補給室1b内に充填されたガラスビーズ又はイオン交換樹脂である。勿論、電解質補給室1b内に何も充填されてない場合も有るが、好ましくはガラスビーズやイオン交換樹脂12が充填される。そして、充填物質が陰イオン交換樹脂の場合には、充填された陰イオン交換樹脂に電解質補給室1b内に供給されたNaClのClが吸着されるようになり、電解質補給室1b内のClの減少に伴って陰イオン交換樹脂からClが放出されるので、NaClの供給量が少ない場合でもClを効果的に利用できるようになる。尚、13は、電解質補給室1bの電解質溶液流入口である。そして、電解質溶液は隔壁11に形成されている孔およびアノード電極4に形成されている孔10を介して流出できることから、アノード室1やカソード室5の場合とは異なり、電解質溶液流出口は特別には設けられていない。
【0026】
14は、アノード電極(多孔性アノード電極)4の背面側(図2では、アノード電極4の左側)に設けられた陰イオン交換樹脂である。尚、図1に示される電解槽には陰イオン交換樹脂14は設けられていない。このアノード電極4の背面側にも陰イオン交換樹脂14を設けておくことにより、多孔性アノ−ド電極4の背面での酸化反応が利用できるようになり、即ち、イオン交換樹脂14に塩素イオンを保持させて電極背面での電流を有効に利用できるようになり、電解効率が更に向上するようになる。
【0027】
上記本発明の電解槽が組み込まれた電解装置の概略が図4に示される。
図4中、21はタンクであって、このタンク21には電解質(NaCl)水溶液が充填されている。タンク21と電解質補給室1bとはパイプを介して接続されている。そして、パイプの途中に設けられたポンプ22の力によりNaCl水溶液はタンク21から電解質補給室1bに供給される。尚、この供給経路の途中に設けられた流量調整弁23によりNaCl水溶液の流量は制御される。24は軟水器であり、軟水器24の一端側は水道管に接続されており、軟水器24の他端側はパイプを介してアノード電解水通路室1a及びカソード室5に接続されている。すなわち、軟水器24によって軟水に転換された水道水がアノード電解水通路室1a及びカソード室5に供給されるようになっている。25はアノード電解水用タンク、26はカソード電解水用タンクである。そして、アノード電解水用タンク25とアノード電解水通路室1aとはパイプを介して接続されており、アノード電解水通路室1aで電解を受けたアノード電解水はアノード電解水用タンク25に溜められる。又、カソード電解水用タンク26とカソード室5とはパイプを介して接続されており、カソード室5で電解を受けたカソード電解水はカソード電解水用タンク26に溜められる。
【0028】
さて、上記した電解装置を用いて電解が行なわれる場合の現象を図5に沿って説明する。先ず、タンク21から電解質補給室1bにNaCl水溶液が供給される。この供給量は、アノード電解水通路室1aに供給される食塩濃度が所望のものとなるように流量調整弁23により制御される。すなわち、食塩濃度によって電解電流効率が影響を受けるからである。ここでの電解電流効率は通電した電気量に対する残留塩素濃度の割合を意味する。そして、NaCl濃度を大きくすると、電解電流効率が向上する。しかしながら、アノード電解水中のNaCl濃度が大きくなり過ぎると、pHがより酸性になり、装置が腐食を受け易くなる。又、使用するNaCl量を出来るだけ少なくして電解効率を向上させることも大事である。従って、電解質補給室1b内の電解質濃度が、例えば0.1〜8mol/L程度であるよう調整されることが好ましい。供給されたNaCl水溶液の一部は隔壁やアノード電極4の孔を通り抜けてアノード電解水通路室1aに移行し、水道管から導かれて来ている軟水と混ざり合う。そして、Clは、多孔性アノード電極4で酸化作用を受け、塩素ガス(Cl)又は次亜塩素酸イオン(ClO)になる。尚、電解質補給室1b内に存するNaは隔膜(カチオン交換膜)9を介してカソ−ド室5に移行する。このような結果、従来の二室型電解槽電解装置を用いた場合に比べ、少量のNaClにより安全、かつ、高効率で残留塩素濃度が高い酸化水が得られる。
【0029】
更なる具体的実施例について説明する。
[実施例1]
電解効率向上性を評価する為、図11に示された従来の二室型電解槽電解装置(アノード電極とカソ−ド電極間の距離は10mm)を用いて生成されるアノード電解水の特性と、図1に示された本発明になる電解装置(アノード電極とカソ−ド電極間の距離は10mm)を用いて生成されるアノード電解水の特性とを評価した。尚、本発明の場合には、電解質補給室1b内にガラスビーズが充填された場合と、陰イオン交換樹脂が充填された場合との各々において測定された。隔膜(カチオン交換膜)9及び隔壁(フッ素系カチオン交換膜)11は、共に、デュポン社製のカチオン交換膜117が用いられた。電解槽に供給する直流電源の電圧は15Vに設定された。そして、アノード室とカソ−ド室には、各々、1L/minで純水が供給された。各々のアノード電解水の特性は表−2に示される通りである。

【0030】
[実施例2]
上記実施例1は、アノード電極(多孔性アノード電極)4の背面側に陰イオン交換樹脂13が設けられていない図1タイプのものである。これに対して、本実施例2は、アノード電極(多孔性アノード電極)4の背面側に陰イオン交換樹脂13が設けられた図2タイプのものである。この場合におけるアノード電解水の特性が表−3に示される。これによれば、電流効率が向上していることが判る。すなわち、多孔性アノード電極4の背面にも陰イオン交換樹脂が設けられていると、この陰イオン交換樹脂による塩素イオンの有効利用が窺える。

【0031】
[実施例3]
本実施例3は、カソード室5をカソード室5Aとカソード室5Bとに分割した電解槽(図6参照)を用いた場合の例である。図6中、図1,2と同符号のものは同構造(部材)を示す。尚、5A,5Bはカソード室、6A,6Bはカソード室5A,5Bへの水流入口、7A,7Bはカソード室5A,5Bからの水流出口である。15はカソード室5Aとカソード室5Bとを区分けする隔壁、16は多孔性材である。この図6に示される電解槽が組み込まれた図7に示される電解装置が用いられると、カソード室5Bで生成したカソ−ド電解水をアノード電解水に混合すると、pHが5〜8程度の中性領域のアノード電解水を得ることが出来る。尚、pH5〜8程度の中性領域のアノード電解水を得る為には、カソ−ド室Aにおけるカソード電極の面積とカソ−ド室Bにおけるカソード電極の面積と比(面積比)が3:1〜4:1程度にしておくことが望ましい。
【0032】
[実施例4]
中性pHのアノード電解水を生成するには、図8に示す如く、カソード電解水用タンク26からアノード電解水用タンク25にカソ−ド電解水の一部を供給することにより可能になる。すなわち、アノード電解水のpHを測定し、このpH値が所望の中性pH値となるようにカソ−ド電解水を供給する。
【0033】
[実施例5]
中性pHのアノード電解水を生成する為、図9に示される如く、本発明の電解槽を複数個用いることでも可能である。すなわち、電解槽Aで生成したアノード電解水及びカソ−ド電解水と電解槽Bで生成したアノード電解水とを混合してpHを調整することでも可能になる。尚、電解槽Aでの電解に要する直流電源は電流を調整することが出来るようになっているのに対して、電解槽Bでの電解に要する直流電源は固定電流である。すなわち、アノード電解水用タンク25内のpHを測定し、このpH値が所望の中性pH値となるように直流電源の電流を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態になる電解装置の要部(電解槽)の概略図
【図2】本発明の第2実施形態になる電解装置の要部(電解槽)の概略図
【図3】本発明の電解槽で用いられるアノード電極の平面図
【図4】本発明の電解装置のブロック図
【図5】本発明になる電解装置(電解槽)におけるイオン移動の概略説明図
【図6】本発明の第3実施形態になる電解装置の要部(電解槽)の概略図
【図7】本発明の電解装置のブロック図
【図8】本発明の電解装置のブロック図
【図9】本発明の電解装置のブロック図
【図10】従来の電解装置の要部(電解槽)の概略図
【図11】従来の電解装置の要部(電解槽)の概略図
【図12】従来の電解装置の要部(電解槽)の概略図
【符号の説明】
【0035】
1 アノード室
1a アノード電解水通路室
1b 電解質補給室
4 アノード電極
5 カソード室
8 カソード電極
9 隔膜(カチオン交換膜)
10 アノード電極に形成された孔
11 隔壁(フッ素系カチオン交換膜)
12 イオン交換樹脂
14 陰イオン交換樹脂

代 理 人 宇 高 克 己


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽を有する電解装置において、
前記電解槽は、
アノード電極が設けられたアノード室と、
前記アノード室とは隔膜によって区分けされてなるカソード電極が設けられたカソード室と、
前記アノード室を前記アノード電極が存するアノード電解水通路室と前記アノード電極が存しない電解質補給室とに区分けする隔壁
とを具備してなり、
前記電解質補給室内の電解質溶液が前記電解質補給室側から前記アノード電解水通路室側に移動できるよう前記隔壁には孔が構成されてなる
ことを特徴とする電解装置。
【請求項2】
電解質補給室にイオン交換樹脂が配設されてなる
ことを特徴とする請求項1の電解装置。
【請求項3】
隔壁がフッ素系カチオン交換膜で構成されてなり、
前記フッ素系カチオン交換膜が孔の形成されたアノード電極に隣接して設けられてなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の電解装置。
【請求項4】
アノード電極の隔壁が設けられている側とは反対側の面にイオン交換樹脂が設けられてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの電解装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−119578(P2008−119578A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304722(P2006−304722)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(504000052)有限会社スプリング (8)
【Fターム(参考)】