説明

電話システム、携帯電話端末、交換装置、ドック装置および着信通知接続方法

【課題】在席時においては、携帯電話端末にかかってきた電話に対しても固定電話機で対応できるようにすると共に、携帯電話端末に登録されている電話帳データを固定電話機においても必要な限度で利用できるようにする。
【解決手段】携帯電話端末5は、ドック装置4を通じてSIPサーバ1に接続されている時に、携帯電話網を通じて自機宛ての着信を受けると、通知された電話番号に基づいて、発信元情報取得部511により電話帳DB514の電話帳データが参照され、発信元情報が取得する。この取得した発信元情報を含む着信情報を、着信情報生成部512が形成し、外部I/F532及び外部端子531を通じてSIPサーバ1に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)サーバや主装置といった交換装置に対して携帯電話端末を接続して構成する電話システム、当該電話システムで用いられる各装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末は、外出の多い業務や屋外での作業の多い業務に従事している人にとって、取引先や所属する会社との連絡を確実に取るための手段として必需品となっている。携帯電話端末は、よく電話をかけたり、よく電話を受けたりする多数の相手先の電話番号や名前を電話帳データとして登録しておくことができる。そして、携帯電話端末においては、電話帳データが登録済みの相手先から電話がかかってきたときには、着信時において、応答操作前に発信元の名前をディスプレイに表示するなどして通知することができる。また、携帯電話端末においては、登録済みの電話帳データの中から目的とする相手先の電話帳データを選択するだけで、いわゆるテンキー(数字キー)を用いて電話番号の入力を行うことなく、当該相手先に電話を掛けることができる。
【0003】
このような携帯電話端末の使い勝手のよさに着目し、携帯電話端末で用いられている電話帳データを事務所などに設置されたボタン電話機などの固定電話機でも利用できるようにすることが考えられている。例えば、後に記す特許文献1には、携帯電話端末の電話帳データをボタン電話システムの子機で表示できるようにする技術が開示されている。また、後に記す特許文献2には、携帯電話端末に登録された電話番号を利用して、他の電話を用いた通信を行うことができるようにする技術が開示されている。これら特許文献1、2に記載の技術は、基本的に、携帯電話端末に登録されている電話帳データをボタン電話機などの固定電話機側にダウンロードすることによって実現される。
【0004】
なお、この明細書において、ボタン電話システムは、SIPサーバや主装置などの交換装置と専用電話端末で構成する構内電話システムを意味し、ボタン電話機は、このようなシステムで用いられる当該専用電話端末を意味する。また、この明細書において、固定電話機は、ボタン電話機等の通話する場所が固定される電話機を意味し、携帯電話端末に対する対比語として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−69225号公報
【特許文献1】特開2001−285448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、業務に用いる携帯電話端末と私的に用いる携帯電話端末とを使い分けるといったことは面倒であるので、通常は1台の携帯電話端末を業務でも私用でも用いるようにすることが多い。したがって、携帯電話端末には、業務用の電話帳データとプライベート用の電話帳データとが混在する場合もある。このため、上述した特許文献1、2に記載の技術のように、携帯電話端末に登録されている電話帳データを固定電話機側にダウンロードして用いる場合には、プライバシーの問題が生じる場合がある。すなわち、他の人に知らせる必要のない相手先の電話番号や名前が他の人に通知されてしまう可能性が生じるのである。
【0007】
そこで、業務上使用することのないプライベートな電話帳データについては、ボタン電話機側にはダウンロードしないようにすることが考えられる。しかし、ダウンロードする電話帳データを選択しながら、携帯電話端末からボタン電話機側に電話帳データをダウンロードするのは手間や時間がかかる場合があり面倒である。このことから考えると、上述した特許文献1、2に記載の技術は、業務で使用される頻度が高い携帯電話端末の場合には有用であるが、プライベートで使用される頻度の高い携帯電話端末の場合には、プライバシーの問題が生じる場合があると考えられる。
【0008】
また、上述した特許文献1、2に記載の技術は、飽くまでも携帯電話端末の電話帳データをボタン電話機などの固定電話機側で使用できるようにするものである。このため、携帯電話端末を業務でも使用しているユーザが事務所に在席している場合には、当然ながら携帯電話端末にかかってきた電話には当該携帯電話端末で応答し、事務所のボタン電話システムにかかってきた電話には当該ボタン電話機で応答しなければならない。すなわち、事務所に在席している間においては、携帯電話端末と事務所のボタン電話器との両方に対応しなければならならず面倒な場合がある。
【0009】
以上のことに鑑み、この発明は、例えば、在席時においては、携帯電話端末にかかってきた電話に対しても固定電話機で対応できるようにすると共に、携帯電話端末に登録されている電話帳データを固定電話機において必要な限度で利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の電話システムは、
広域ネットワークに接続されると共に、配下に1以上の電話端末が接続される交換装置に対して、携帯電話ネットワークを通じて通信を行う携帯電話端末が接続されて構成される電話システムであって、
前記携帯電話端末は、
外部機器との接続端子と、
電話帳データを記憶する記憶手段と、
前記接続端子を通じて前記交換装置に接続されている時に、前記携帯電話ネットワークを通じて自機宛ての着信を受け付けた場合に、通知される相手先の電話番号に基づいて、前記記憶手段の電話帳データを参照し、発信元情報を取得する取得手段と、
取得された前記発信元情報を含む着信情報を生成し、前記接続端子を通じて前記交換装置に提供するようにする着信情報生成手段と、
前記接続端子を通じて前記交換装置からの前記着信に対する応答指示を受け付けた場合に、前記交換装置と前記発信元との間の音声データの中継を行うようにする中継処理手段と
を備え、
前記交換装置は、
外部機器の接続を受け付けるインターフェース手段と、
前記インターフェース手段を通じて前記携帯電話端末からの前記着信情報を受け付けた場合に、前記着信情報に含まれる前記発信元情報を含めた呼び出しメッセージを配下の電話端末に対して提供するように制御する呼び出し制御手段と、
前記呼び出しメッセージに対する配下の電話端末からの応答を受け付けた場合に、応答指示を形成し、前記インターフェースを通じて前記携帯電話端末に提供するように制御する応答指示制御手段と、
前記応答指示を提供した後、応答を行った配下の前記電話端末と前記携帯電話端末との間の音声データを中継するように制御する通話制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0011】
この請求項1に記載の発明の電話システムによれば、当該電話システムは、交換装置に対して携帯電話端末が接続されて構成される。交換装置は、広域ネットワークに接続されると共に、配下に1以上の電話端末が接続されるものである。携帯電話端末においては、外部機器との接続端子を通じて交換装置に接続されている時に、携帯電話ネットワーク(携帯電話網)を通じて自機宛ての着信を受けると、通知された電話番号に基づいて、取得手段により記憶手段の電話帳データが参照され、発信元情報が取得される。そして、取得された発信元情報を含む着信情報が、着信情報提供手段により形成され、交換装置に提供される。この後、交換装置からの着信指示を受け付けると、中継制御手段により、発信元との間に通信路が接続され、交換装置と発信元との間の音声データの中継が行うようにされる。
【0012】
一方、交換装置においては、インターフェース手段を通じて接続された携帯電話端末から着信情報が受け付けられると、呼び出し制御手段により、当該着信情報に含まれる発信元情報を含めた呼び出しメッセージが配下の電話端末に提供される。そして、呼び出しメッセージの提供を受けた配下の電話端末からの応答が受け付けられると、応答指示制御手段により応答指示が形成され、これが携帯電話端末に提供される。この後、通話制御手段により、応答を行った配下の電話端末と携帯電話端末との間の音声データが中継するようにされ、携帯電話端末をいわばゲートウェイとして用いて、発信元と交換装置の配下の電話端末との間で通話を行うことができるようにされる。
【0013】
これにより、携帯電話端末が交換装置に接続されているときには、携帯電話端末にかかってきた電話に対して交換装置の配下の電話端末を通じて対応することができる。しかも、携帯電話端末に登録されている電話帳データを、交換装置の配下の電話端末においても発信元の通知に用いると言うように、必要な限度で利用することができるようにされる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、例えば、在席時においては、携帯電話端末にかかってきた電話に対してもボタン電話器等の固定電話機で対応できるようにすることができる。また、携帯電話端末に登録されている電話帳データを、ボタン電話機等の固定電話機においても必要な限度で利用できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態の電話システムの概要を説明するためのブロック図である。
【図2】SIPサーバ1の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】アドレス管理DB106に形成される管理情報(データベース)の構成例について説明するための図である。
【図4】IP電話端末3の構成例を説明するためのブロック図である。
【図5】ドック装置4の構成例を説明するためのブロック図である。
【図6】携帯電話端末5の構成例を説明するためのブロック図である。
【図7】実施の形態の電話システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図8】携帯電話端末5においての処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】ドック装置4においての処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】発信元情報の通知の他の例を説明するための図である。
【図11】発信元情報の通知の他の例を説明するための図であり、電話帳データの管理例を説明するための図である。
【図12】発信元情報の表示/非表示を、発信元情報に特定の情報等を付加することにより制御する方式を説明するための図である。
【図13】発信元情報の表示/非表示を、発信元情報に特定の情報等を付加することにより制御する場合のドック装置における処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照しながら、この発明によるシステム、装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、例えば、事業所内に形成されるボタン電話システムであって、IP(Internet Protocol)網を通じて電話通信を行うことができるIP電話システムに、この発明を適用した場合を例にして説明する。
【0017】
[電話システムの概要]
図1は、この実施の形態の電話システムの概要を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の電話システムは、SIPサーバ1に対してLAN(Local Area Network)2を通じ、複数のIP電話端末3(1)、3(2)、…と、複数のドック装置4(1)、4(2)、…とが接続されて構成される。
【0018】
SIPサーバ1は、図1に示したように、IP網6と電話網7とに接続され、通信路(通信回線)を接続する端末間のアドレス解決をするものである。つまり、SIPサーバ1は、レジストラ・サーバ機能とプロキシ・サーバ機能とを備え、これらの機能を用いることによって、LAN2に接続された電話システム内の機器との間や、LAN2に接続された機器とIP網6や電話網7に接続された機器との間に、通信路を接続することができるようにするものである。
【0019】
なお、IP網6は、IP(Internet Protocol)を用いて通信を行うネットワークを意味し、具体的にはインターネットである。また、電話網7は、アナログ方式の公衆交換電話網(PSTN(Public Switched Telephone Network))、デジタル回線網(ISDN(Integrated Services Digital Network))、3G回線などと呼ばれる第3世代の高速携帯電話ネットワーク(携帯電話網)などを含むものである。
【0020】
IP電話端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、通話を行うためにユーザによって用いられる通信端末である。IP電話端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、上述したように、SIPサーバ1を通じて、LAN2に接続された同じ事業所内の他のIP電話端末との間や、IP網6や電話網7に接続された外部の電話端末との間で通話を行う場合に用いられる。すなわち、IP電話端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、LAN2に接続されたIP電話端末との間の内線通話と、IP網6や電話網7に接続された外部の電話端末との間の外線通話とを行うことができるものである。
【0021】
ドック装置4(1)、4(2)、…のそれぞれは、詳しくは後述もするが、携帯電話端末5を、LAN2を通じてSIPサーバ1に接続すると共に、携帯電話端末5に対して充電を行う機能を備えたものである。携帯電話端末5は、携帯電話網を通じて通信路を接続して通話を行うことができるものである。また、携帯電話端末5は、携帯電話網を通じてインターネットに接続し、Webページを閲覧したり、種々の情報のダウンロードやアップロードを行ったり、また、電子メールの送信、受信を行ったりすることができるものである。
【0022】
なお、この実施の形態において、IP電話端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、同様に構成されるものである。このため、以下においては、特に区別して示す場合を除き、IP電話端末3(1)、3(2)、…のそれぞれを総称してIP電話端末3という。同様に、この実施の形態において、ドック装置4(1)、4(2)、…のそれぞれは、同様に構成されるものである。このため、以下においては、特に区別して示す場合を除き、ドック装置4(1)、4(2)、…のそれぞれを総称してドック装置4という。
【0023】
そして、この実施の形態の電話システムにおいては、上述したように、携帯電話端末5をドック装置4に接続することによって、LAN2を通じてSIPサーバ1に接続することができると共に、当該携帯電話端末5に対して充電を行うことができる。ここで、「SIPサーバ1に接続」とは、SIPサーバ1との間でデータの送受信を行うことができるようにされることを意味する。
【0024】
このように携帯電話端末5がドック装置4を介してSIPサーバ1に接続された状態にあるときに、携帯電話網を通じて携帯電話端末5に着信があると、携帯電話端末5は着信情報を形成して、これをドック装置4に送信する。当該着信情報は、携帯電話端末5の電話帳データベースに記憶保持されている電話帳データから取得(抽出)された発信元情報を含むものである。
【0025】
ドック装置4は、携帯電話端末5からの着信情報に含まれる発信元情報を含み、SIP(Session Initiation Protocol)に準拠したINVITE(呼び出し)メッセージを形成し、これをLAN2を通じてSIPサーバ1に提供する。なお、発信元情報は、INVITEメッセージのディスプレイネイム(Display name)に挿入される。SIPサーバ1は、ドック装置4からの当該INVITEメッセージを受信すると、配下のIP電話端末3(1)、3(2)、…に対して当該発信元情報を含むINVITEメッセージを提供し、着信があることを通知する。
【0026】
これにより、携帯電話網からの携帯電話端末5への着信を、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3(1)、3(2)、…に通知することができる。この場合、SIPサーバ1からのINVITEメッセージには、携帯電話端末5からの発信元情報がディスプレイネイムに含められているので、IP電話端末3(1)、3(2)、…のそれぞれにおいて発信元の電話番号や名前の通知(表示)を行うことができる。
【0027】
そして、着信通知を受けたIP電話端末3(1)、3(2)、…のいずれかに対して、ユーザが当該着信通知に対する応答操作を行ったとする。この場合、応答操作が行われたIP電話端末3から応答操作がされたことを示す情報が、SIPサーバ1、ドック装置4、携帯電話端末5に通知される。すると、SIPサーバ1、ドック装置4、携帯電話端末5のそれぞれが機能し、発信元と応答操作が行われたIP電話端末3との間に通信路を接続し、発信元と当該IP電話端末3との間で通話を行うことができるようにされる。すなわち、携帯電話端末5をこの実施の形態の電話システムにおける1つのゲートウェイ装置として用いて、携帯電話端末5に対する着信の発信元とSIPサーバ1の配下のIP電話端末3との間に、携帯電話網を通じた通信路を接続し、発信元と当該IP電話端末3との間で通話ができるようにされるのである。
【0028】
そして、発信元情報は、携帯電話端末5から提供されるので、IP電話端末3側に対応する電話帳データが存在しなくても、発信元の電話番号や名前等を発信元情報としてIP電話端末3のディスプレイに表示することができる。換言すれば、着信時における発信元の通知という限られた範囲において、携帯電話端末5に登録されている電話帳データをSIPサーバ1の配下のIP電話端末においても用いることができるようにされる。
【0029】
このように、この実施の形態の電話システムは、携帯電話端末5をゲートウェイ装置として利用すると共に、携帯電話端末5に記憶された電話帳データを、必要な限度でSIPサーバ1の配下のIP電話端末3でも利用することができるようにしている。以下、この実施の形態の電話システムを構成する各機器について具体的に説明する。
【0030】
[SIPサーバ1の構成例]
次に、この実施の形態の電話システムのSIPサーバ1の構成について説明する。図2は、SIPサーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。図2に示すように、SIPサーバ1は、IP網6への接続端子101と、IP網インターフェース(以下、IP網I/Fと略称する。)102と、パケット分解/生成部103とを備えている。また、SIPサーバ1は、電話網インターフェース(以下、電話網I/Fと略称する。)104と、電話網7への接続端子105と、アドレス管理データベース(以下、アドレス管理DBと略称する。)106とを備えている。さらに、SIPサーバ1は、LANインターフェース(以下、LANI/Fと略称する。)107と、LAN2への接続端子108と、制御部110とを備えている。
【0031】
制御部110は、この実施の形態のSIPサーバ1の各部を制御するものであり、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113がシステムバス114を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU111は、ROM112に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM112は、上述のように、CPU111で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
【0032】
また、RAM113は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。なお、図示しないが、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリーなどのいわゆる不揮発性メモリを備え、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
【0033】
接続端子101は、IP網6への接続端部を構成するものである。IP網I/F102は、IP網6を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、IP網I/F102は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをIP網6に送出する。
【0034】
接続端子105は電話網7への接続端部を構成するものである。電話網I/F104は、電話網7を通じて供給されるデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部110に供給する。また、電話網I/F104は、制御部110を通じて供給される送信すべきデータを送信用の形式のデータに変換して、これを電話網7に送出する。
【0035】
接続端子108はLAN2への接続端部を構成するものである。LANI/F107は、LAN2を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、LANI/F107は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをLAN2に送出する。
【0036】
パケット分解/生成部103は、パケットの分解や生成を行うものである。具体的には、LAN2を通じてSIPサーバ1に対して接続されるIP電話端末3等からの電話網7に接続された端末装置に送信すべきパケットは、接続端子108、LANI/F107を通じて制御部110に受け付けられる。当該パケットは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここでパケット分解された後に、電話網I/F104、接続端子105を通じて電話網に送出され、目的とする相手先に送信するようにされる。
【0037】
また、電話網に接続された端末装置からのLAN2を通じてSIPサーバ1に接続される配下のIP電話端末3等へのデータは、接続端子105、電話網I/F104を通じて制御部110に受け付けられる。当該データは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここで所定の形式のパケットとされた後に、LANI/F107、接続端子108を通じて、LAN2に送出されて目的とするIP電話端末3に送信するようにされる。
【0038】
なお、IP網6に接続された端末と、SIPサーバ1にLAN2を通じて接続されるIP電話端末3等との間では、パケットが送受される。このため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、IP網I/F102、LANI/F107において、データ形式が整えられてそのまま送受するようにされる。同様に、SIPサーバ1にLAN2を通じて接続されるIP電話端末3やドック装置4等の機器間においても、パケットが送受されるため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、LANI/F107を通じてパケットが送受するようにされる。
【0039】
そして、アドレス管理DB106は、レジストラ・サーバ機能を実現するために、IP網6やLAN2に接続され、このSIPサーバ1を通じて呼び出す可能性のある端末装置についてのアドレス情報を記憶保持するものである。具体的には、SIPサーバ1の制御部110は、IP網I/F102やLANI/F107を通じて、これらに接続されている種々の端末装置からの登録要求(レジスタ・リクエスト)を受信する。この場合に、制御部110は、受信した要求に含まれるURI(Uniform Resource Identifier)やIPアドレスなどのアドレス情報を抽出する。そして、制御部110は、抽出したアドレス情報をアドレス管理DB106に登録したり、抽出したアドレス情報を用いてアドレス管理DB106の登録情報を更新したりする。
【0040】
このようにして、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報が参照され、自機にLAN2を通じて接続されるIP電話端末3などから要求のあった通信先を確実に特定する。そして、その特定した相手先に送信すべき情報(パケットデータ)を転送するようにするプロキシ・サーバとしての機能をSIPサーバ1が実現するようにしている。また、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報は、自機にLAN2を通じて接続されるIP電話端末3などへの着信の判別などにも用いられる。
【0041】
図3は、アドレス管理DB106に形成される管理情報(データベース)の構成例について説明するための図である。SIPサーバ1のアドレス管理DB106は、IP網6に接続された他のIP電話システムの端末装置のアドレス情報の他、当該SIPサーバ1にLAN接続されたIP電話端末3などについてのアドレス情報をも管理することができるものである。
【0042】
基本的にSIPサーバ1のアドレス管理DB106に形成される管理情報は、上述もしたように、IP網6に接続された端末装置から送信されてくるURI(SIP URI)と、IPアドレスである。そして、この実施の形態のSIPサーバ1のアドレス管理DB106では、図3に示したように、SIPサーバ1にLAN接続されたIP電話端末3については、URIとIPアドレスの他、MAC(Media Access Control)アドレスと内線番号についても管理する。
【0043】
そして、この実施の形態の電話システムのIP電話端末3からIP網6に接続された端末装置に対する発信要求(発呼要求)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106の管理情報に基づいて、目的とする相手先の端末装置を特定し、この特定した端末装置に対して、メッセージの転送を行う。また、IP網6や電話網7を通じて、LAN2に接続されているIP電話端末3に対する着信要求(外線着信)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、送信されてきたメッセージを受け付けて、これを自システム内に送出する。
【0044】
なお、外線着信であっても、例えば個別着信(着信先のIP電話端末を特定した着信)や、SIPサーバ1にLAN接続されたIP電話端末間の内線の発着信の場合には、SIPサーバ1は相手先を特定して着信を通知する。すなわち、この場合、SIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106の管理情報に基づいて、目的とする相手先のIP電話端末3を特定し、この特定したIP電話端末3に対して、メッセージの転送を行う。
【0045】
なお、発信に際して、IP電話番号が用いられる場合には、図1には図示しなかったが、IP網6に接続されているゲートウェイやDNS(Domain Name System)が利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。相手先から、この実施の形態の電話システムを構成するIP電話端末3に対して、IP電話番号を用いて電話をかける場合においても同様に、IP網6に接続されているゲートウェイやDNSが利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。
【0046】
このように、この実施の形態のSIPサーバ1は、パケット分解/生成部103やアドレス管理DB106を備え、SIPサーバ1が接続される種々のネットワークに接続される端末間のメッセージの中継を行うことができるものである。したがって、この実施の形態の主装置1は、外線−内線間の接続や内線間の接続を行ったり、通信回線の使用状況を配下のIP電話端末3に通知したりすることができるものである。
【0047】
また、図1を用いて説明したように、SIPサーバ1には、LAN2及びドック装置4を通じて携帯電話端末5も接続することができるようにしている。そして、後述もするが、SIPサーバ1が、LANI/F107及び接続端子108を通じて接続されるドック装置4を通じて、携帯電話端末5に着信があることを示すINVITEメッセージを受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、ドック装置4からの発信元情報を含むINVITEメッセージを、LANI/F107及び接続端子108を通じてLAN2に送出し、配下のIP電話端末3に対して提供する。
【0048】
そして、SIPサーバ1が、当該INVITEメッセージを送出後、当該INVITEメッセージに対する配下のIP電話端末3からの応答を、LANI/F107及び接続端子108を通じて受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、応答指示を形成し、これをLANI/F107及び接続端子108を通じてLAN2に送出し、ドック装置4を通じて着信が発生している携帯電話端末5に送信するようにする。
【0049】
そして、SIPサーバ1の制御部110は、当該応答指示の送出後、応答を行った配下のIP電話端末と着信が発生している携帯電話端末5との間の音声データを中継するようにする。このように、SIPサーバ1の制御部110は、呼び出し制御手段、応答指示制御手段、通話制御手段としての機能を実現し、ドック装置4を通じて自機に接続される携帯電話端末5への着信に対して、配下のIP電話端末3を通じて応答し、当該IP電話端末3を通じて通話を行えるようにする機能をも実現する。
【0050】
また、制御部110は、IP網I/F102、電話網I/F104、LANI/F107を通じて、使用中の通信回線や空いている通信回線を把握し、適切に回線交換を行うこともできるようにしている。また、制御部110は、把握した通信回線の使用状態等に応じて、LAN2を通じて接続されるIP電話端末3毎に供給すべきLED等の点灯、消灯を制御するための制御情報を形成する。当該制御情報は、LANI/F107、接続端子108を通じてLAN2に送出され、各IP電話端末3等に送信される。
【0051】
なお、図2において、パケット分解/生成部103は、独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。パケット分解/生成部103は、制御部110において実行されるプログラムにより、制御部110の機能として実現することももちろん可能である。
【0052】
[IP電話端末の構成例]
次に、この実施の形態の電話システムで用いられるIP電話端末3の構成について説明する。図4は、この実施の形態の電話システムのIP電話端末3の構成例を説明するためのブロック図である。
【0053】
この実施の形態のIP電話端末3は、図4に示すように、主に電話機能を実現する部分として、LAN接続端子301、LANI/F302、パケット処理部303、通話音声入出力インターフェース(以下、通話音声入出力I/Fという。)304、ハンドセット接続端子305、ハンドセット306、操作入力部311、操作入力インターフェース(以下、操作入力I/Fという。)312、ディスプレイコントローラ313、ディスプレイ314、リンガ315を備えている。
【0054】
また、この実施の形態のIP電話端末3は、各部を制御する制御部320を備えている。制御部320は、CPU321、ROM322、RAM323が、CPUバス324を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU321は、ROM322に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成してこれを各部に供給したり、また、各部から供給されるデータを処理したりするものである。ROM322は、上述のように、CPU321で実行される種々のプログラムや処理に必要になる各種のデータが記憶保持されたものである。また、RAM323は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。
【0055】
[着信時の動作]
そして、LAN2を介して送信されてくるパケットデータは、LAN接続端子301を通じてLANI/F302に供給され、ここで自機において処理可能な形式のデータに変換された後、CPUバス324を介して、パケット処理部303に供給される。パケット処理部303は、供給されたパケットデータに含まれる制御データや音声データを分解して抽出する。ここで抽出された制御データは制御部320に供給され、自機の制御に用いられる。また、自機(自端末)宛の音声データが含まれていた場合には、当該音声データは、CPUバス324を通じて通話音声入出力I/F304に供給されることになる。
【0056】
パケット処理部303において分解されて抽出された制御データが、自機への呼び出しメッセージである場合には、制御部320は、リンガ315を制御して、着信鳴動させる。同時に、制御部320は、ディスプレイコントローラ313を制御し、ディスプレイ314の表示画面に自機に着信があることを通知するメッセージや発信元の電話番号や名前あるいは発信元の内線番号などを表示する。
【0057】
そして、自機への着信に応じて、ユーザがハンドセット306をIP電話端末3の本体から持ち上げると、当該IP電話端末3はオフフック状態となる。この場合、制御部320は、着信に応答するメッセージを形成し、これをパケット処理部303においてパケット化して、LANI/F302に供給する。LANI/F302は、当該パケットデータを送信用のパケットデータに変換し、これをLAN接続端子301を通じてLAN2に送出し、発呼先の端末に送信する。
【0058】
これにより発信元との間において、通信路が生成され、通話が開始される。この場合、相手先からの音声データを含むパケットは、上述もしたように、LAN接続端子301、LANI/F302を通じて、パケット処理部303に供給される。パケット処理部303は、相手先からのパケットをパケット分解し、制御データは制御部320へ、音声データは通信音声入出力I/F304に供給する。
【0059】
通信音声入出力I/F304は、パケット処理部303からの音声データから自機のハンドセット306のスピーカ(受話器)に供給するアナログ音声信号を形成し、これをハンドセット接続端子305を通じてハンドセット306のスピーカに供給する。これにより、相手先から送信されてくる相手先の音声が、ハンドセット306のスピーカ(受話器)から放音される。
【0060】
一方、ハンドセット306のマイクロホン(送話器)によって集音された音声は、ここで電気信号に変換され、ハンドセット接続端子305を通じて通信音声入出力I/F304に供給される。通信音声入出力I/F304は、ハンドセット306からの音声データをデジタル信号に変換するなどの処理を行って、これをパケット処理部303に供給する。パケット処理部303は、通信音声入出力I/F304からの音声データを含む相手先への送信用のパケットを形成し、これをLANI/F302、LAN接続端子301を通じてLAN2に送出し、通信の相手先に送信する。このようにして、IP電話端末3は、自機への着信に応答し、発呼先との間で通信路を生成して通話を行うことができる。
【0061】
[発呼時の動作]
次に、当該IP電話端末3から電話をかける場合(発信(発呼)する場合)の処理について説明する。IP電話端末3から発信する場合には、まず、ハンドセット306をIP電話端末3の本体から持ち上げて、IP電話端末3をオフフック状態にし、操作入力部311を通じて通信の相手先の電話番号、あるいは、内線番号を入力する。ここで入力された情報は、操作入力I/F312を通じて制御部320に供給される。
【0062】
すると、制御部320は、発呼メッセージを形成し、これをパケット処理部303に供給する。パケット処理部303は、自機からの発呼メッセージをパケット化し、これをLANI/F302、LAN接続端子301を通じてLAN2に送出し、目的とする通信の相手先に送信するようにする。
【0063】
この後、目的とする相手先からの応答が返信されてきた場合に通信路を生成する。これにより、LAN接続端子301、LANI/F302、パケット処理部303、通信音声入出力I/F304、ハンドセット接続端子305、ハンドセット306からなる通話系の機能により通話を行うことができるようにされる。このように、IP電話端末3は、自機から目的とする端末に発信して、相手先との間に通信回線を接続して通話を行うこともできる。
【0064】
なお、IP電話端末3は、図4には図示しないが、EEPROMやフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリを備え、これによく電話を掛けたり、電話が掛かってきたりする相手先の電話番号や名前を電話帳データとして登録しておくこともできるようにされている。これにより、当該メモリに登録されている電話帳データから目的とする相手先の電話帳データを選択することにより、当該電話帳データの電話番号を用いて、電話をかけることもできるようにされる。すなわち、携帯電話端末の場合と同様に、電話番号をいちいち入力することなく、登録済みの電話帳データを用いて電話を掛けることもできるようにされる。また、当該電話帳データを用いて、自機への着信時に通知される発信元の電話番号に基づいて、発信元の名前を特定して表示するなどのこともできるようにされる。
【0065】
また、図4において、パケット処理部303は、独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。パケット処理部303は、制御部320において実行されるプログラムにより、制御部320の機能として実現することももちろん可能である。
【0066】
[ドック装置4の構成例]
次に、この実施の形態の電話システムで用いられるドック装置4の構成について説明する。図5は、この実施の形態の電話システムのドック装置4の構成例を説明するためのブロック図である。
【0067】
この実施の形態のドック装置4は、図5に示すように、LAN接続端子401、LANI/F402、外部端子411、外部インターフェース(以下、外部I/Fと略称する。)412、充電電流供給部413、ACコンセント414、呼び出しメッセージ生成部421、中継処理部422、制御部430を備えている。制御部430は、この実施の形態のドック装置4の各部を制御するものであり、CPU431、ROM432、RAM433が、CPUバス434を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。
【0068】
ここで、CPU431は、ROM432に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成してこれを各部に供給したり、また、各部から供給されるデータを処理したりするものである。ROM432は、上述のように、CPU431で実行される種々のプログラムや処理に必要になる各種のデータが記憶保持されたものである。また、RAM433は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。
【0069】
LAN接続端子401は、LAN2への接続端部を構成するものである。LANI/F402は、LAN2を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部430に供給する。また、LANI/F402は、制御部430を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをLAN2に送出する。
【0070】
外部端子411は、外部機器である携帯電話端末5との接続端部を構成するものであり、データ端子と充電端子とを有するものである。このため、図5に示したように、外部端子411には、外部I/F412と、充電電流供給部413とが接続されている。外部端子411に携帯電話端末5などの外部機器が接続されると、外部I/F412は、当該携帯電話端末5との間で接続時の信号のやり取りをすることにより、携帯電話端末5が接続されたことを検知し、制御部430に通知する。これにより、制御部430は、外部端子411を通じて自機に携帯電話端末5が接続されたことを認識することができる。
【0071】
また、外部I/F412は、外部端子411を通じて供給される携帯電話端末5からのデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部430に供給する。また、外部I/F412は、外部端子411に接続された携帯電話端末5に供給する制御部430からのデータを出力用の所定の形式のデータに変換して、これを外部端子411を通じて出力する。
【0072】
充電電流供給部413は、ACコンセント414から送られてくる商用交流電圧から直流の充電電流を生成する。そして、充電電流供給部413は、外部I/F412からの携帯電話端末5がドック装置4に接続されたことの検知通知に基づく制御部430の制御により駆動状態に制御されて、充電電流を、外部端子を通じて携帯電話端末5に供給するようにする。
【0073】
そして、詳しくは後述もするが、ドック装置4を通じて携帯電話端末5がSIPサーバ1に接続された状態にあるときに、当該携帯電話端末5に携帯電話網を通じて着信があると、発信元情報を含む着信情報が携帯電話端末5からドック装置4に提供される。この場合に、ドック装置4の呼び出しメッセージ生成部421は、携帯電話端末5から着信情報に含まれる発信元情報をディスプレイネイムに挿入したINVITEメッセージを形成し、これをSIPサーバ1に提供するようにする。SIPサーバ1は、上述もしたように、当該INVAITEメッセージに応じて配下のIP電話端末3に対して携帯電話端末5に対する着信を通知することができるようにされる。
【0074】
そして、ドック装置4の中継処理部422は、LAN接続端子401及びLANI/F402を通じて提供を受けたSIPサーバ1からのメッセージや音声データ等を、携帯電話端末5に供給する形式のものに変換する。中継処理部422で変換された携帯電話端末5用のメッセージやデータは、外部I/F412及び外部端子411を通じて携帯電話端末5に供給される。また、中継処理部422は、外部端子411及び外部I/F412を通じて提供を受けた携帯電話端末5からの情報や音声データ等を、SIPサーバ1に供給する形式のものに変換する。中継処理部422で変換されたSIPサーバ1用の情報やデータは、LANI/F402及びLAN接続端子401を通じてLAN2に送出され、SIPサーバ1に提供される。
【0075】
このように、ドック装置4は、携帯電話端末5をSIPサーバ1に対して接続し、携帯電話端末5に対する着信に対して、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3で応答し、当該IP電話端末3を通じて、携帯電話端末5への発信元との間で通話を可能にする。また、同時に、ドック装置4は携帯電話端末5への充電を行うことができるものである。
【0076】
なお、この実施の形態において、ドック装置4の外部端子411、外部I/F412、充電電流供給部413からなる部分は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したものである。すなわち、この実施の形態において、ドック装置4の外部端子411はUSB端子である。また、図5において、二重線で示した呼び出しメッセージ生成部421と中継処理部422とは、それぞれ独立した回路部分として示しているが、制御部430において実行されるプログラムにより、制御部430の機能として実現することももちろん可能である。
【0077】
[携帯電話端末5の構成例]
次に、この実施の形態の電話システムで用いられる携帯電話端末5の構成について説明する。図6は、この実施の形態の電話システムの携帯電話端末5の構成例を説明するためのブロック図である。
【0078】
図6に示すように、この実施の形態の携帯電話端末5は、無線通信処理系として、送受信アンテナ501、電話通信部502、送受信信号処理部503、通話音声処理部504を備えている。通話音声処理部504には、受話アンプ505を通じて受話器(スピーカ)506が接続され、また、送話器(マイクロホン)507が、送話アンプ508を通じて接続されている。
【0079】
また、携帯電話端末5は、上述したドック装置4に接続され、自機に着信があった場合において主に機能する部分として、発信元情報取得部511、着信情報生成部512、中継処理部513を備えている。また、携帯電話端末5は、多数の電話帳データが記録される電話帳DB514を備えている。
【0080】
また、携帯電話端末5は、ユーザインターフェースを構成する部分として、操作入力部521、操作入力I/F522、ディスプレイコントローラ523、ディスプレイ524、リンガ525を備えている。なお、図示しないが、携帯電話端末5には、着信などを通知するためのバイブレータなども設けられている。さらに、携帯電話端末5は、外部端子531、外部I/F532、充電回路533、バッテリ534を備えると共に、携帯電話端末5の各部を制御する制御部540を備えている。
【0081】
制御部540は、CPU541、ROM542、RAM543、EEPROM544が、CPUバス545を通じて接続されて形成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU541は、ROM542に記憶されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成して、これを各部に供給したり、各部から送信されてくるデータを受け付けて、これに応じた処理を実行したりする。ROM542は、CPU541において実行されるプログラムや処理に必要になる種々のデータが予め記録されたものである。
【0082】
また、RAM543は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、EEPROM544は、いわゆる不揮発性メモリであり、携帯電話端末5の電源を落としても保持しておくべきデータ等が記憶保持される。EEPROM544には、例えば、種々の設定パラメータ、アプリケーションプログラムや機能アップのための追加プログラムなどが記憶保持される。
【0083】
送受信アンテナ501は、携帯電話網との間でデータを送受する端部である。電話通信部502は、携帯電話網の基地局を通じて相手と通信をするためのものである。送受信信号処理部503は、制御部540の制御の下、電話通信部502を通じて受信した通信情報を解析して、呼制御メッセージや通話信号をデコードし、制御部540に供給すると共に、電話通信部502を通じて送信する送信信号を生成する。
【0084】
通話音声処理部504は、制御部540の制御の下、送受信信号処理部503からの受話音声情報を、デジタル信号からアナログ信号に変換し、受話アンプ505に供給する。受話アンプ505に供給された受話音声信号は、ここで増幅された後に受話器506に供給されて音響再生される。通話音声処理部504は、また、送話器507で収音され、送話アンプ508で増幅された送話音声信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換して、制御部540の制御の下、送受信信号処理部503に供給する。そして、上述したように、送受信信号処理部503は、通話音声処理部504からのデジタル化された送話音声信号から送信する送信信号を生成し、これを電話通信部502に供給して送信するようにする。
【0085】
操作入力部521は、数字キー、オフフックキー、オンフックキー、その他の各種のファンクションキー等が設けられ、ユーザからの操作入力を受け付ける部分である。操作入力部521を通じて受け付けられたユーザからの操作入力は、操作入力I/F522において電気信号に変換されて、制御部540に通知される。これにより、制御部540が操作入力I/F522からの信号に応じて各部を制御することにより、ユーザの指示に応じて処理を行うことができるようにされる。
【0086】
ディスプレイコントローラ523は、制御部540の制御に応じてディスプレイ524に情報を表示するための表示用信号を形成し、これをディスプレイ524に供給する。これによりディスプレイ524には、種々の情報が表示される。例えば、着信時においては、発信元の電話番号や名前、発信時においては、後述する電話帳DB514に登録されている電話帳データ等が表示される。この他、待ち受け時においては、所定の待ち受け画面をディスプレイ524に表示したり、各種のエラーメッセージやガイダンスメッセージなども表示したりすることもできるようにされる。
【0087】
外部端子531は、外部機器であるドック装置4との接続端部を構成するものであり、データ端子と充電端子とを有するものである。このため、図6に示したように、外部端子531には、外部I/F532と、充電回路533とが接続されている。
【0088】
外部I/F532は、外部端子531を通じて接続されたドック装置4との間でデータを送受するためのものである。外部端子531にドック装置4が接続されると、外部I/F532は、当該ドック装置4との間で接続時の信号のやり取りをすることにより、ドック装置4に接続されたことを検知し、制御部540に通知する。これにより、制御部540は、外部端子531を通じて自機がドック装置4に接続されたことを認識することができる。
【0089】
また、外部I/F532は、外部端子531を通じて供給されるドック装置4からのデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部540に供給する。また、外部I/F532は、外部端子531に接続されたドック装置4に供給する制御部540からのデータを出力用の所定の形式のデータに変換して、これを外部端子531を通じて出力する。
【0090】
充電回路533は、外部端子531の充電端子を通じてドック装置4から送られてくる充電電流からバッテリに供給する電流を生成する。そして、充電回路533は、外部I/F532からのドック装置4に接続されたことの検知通知に基づく制御部540の制御により駆動状態に制御されて、充電用に生成した電流をバッテリ534に供給する。これにより携帯電話端末5のバッテリ534の充電が行われる。
【0091】
なお、この実施の形態において、携帯電話端末5の外部端子531、外部I/F532、充電回路533からなる部分は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したものである。すなわち、この実施の形態において、携帯電話端末5の外部端子531はUSB端子である。
【0092】
そして、この実施の形態の携帯電話端末5は、外部端子531を通じてドック装置4に接続され、これが上述したように、外部I/F532からのドック装置4に接続されたことが制御部540に通知されると、制御部540は、自機をこの実施の形態の電話システムのいわゆるゲートウェイ装置として機能させるようにする。すなわち、携帯電話網(いわゆる3G網)を通じての携帯電話端末5への着信は、ドック装置4を通じてSIPサーバ1に通知し、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3を通じて当該着信に応答し、通話を行えるようにする。
【0093】
この場合、発信元情報取得部511、着信情報生成部512、中継処理部513が、制御部540の制御の下、ゲートウェイ装置としての機能を実現する。すなわち、携帯電話端末5が外部端子531を通じてドック装置4に接続されているときに、携帯電話網を通じて携帯電話端末5に着信があったとする。この場合、制御部540は、まず、発信元情報取得部511を制御し、当該着信通知(着信メッセージ)により通知される発信元の電話番号に基づいて、電話帳DB514に登録されている電話帳データを参照し、発信元情報を取得する。
【0094】
電話帳DB514には、よく電話をかけたり、よく電話がかかってきたりする相手先の電話番号、名前、電子メールアドレス、住所、会社名といった種々の情報からなる電話帳データが多数記録されているものである。そして、上述した発信元情報は、少なくとも、発信元の電話番号と氏名とを含むものである。なお、発信元の電話番号に対応する電話帳データが電話帳DB514に登録されていなかったときには、発信元情報は取得できず、該当データはなかったもの(例えば空白)とされる。
【0095】
次に、制御部540は、着信情報生成部512を制御し、発信元情報取得部511により取得された発信元情報を含み、携帯電話端末5に着信があることを通知する着信情報を形成する。ここで形成された着信情報は、制御部540を通じて外部I/F532に供給され、出力用の着信情報に変換されて、外部端子531を通じて出力され、ドック装置4に供給される。そして、当該着信情報は、上述したように、ドック装置4においてSIP対応のINVITE(呼び出し)メッセージに変換されて、SIPサーバ1に供給され、配下のIP電話端末3に提供するようにされる。
【0096】
そして、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3が、携帯電話端末5への当該着信に対して応答したときには、これがSIPサーバ1及びドック装置4を通じて当該携帯電話端末5に応答指示が提供される。携帯電話端末5の制御部540は、これを外部端子531及び外部I/Fを通じて受け付けて、送受信信号処理部503及び電話通信部502を制御して、応答メッセージを返信し、発信元との間に通信路を接続する。
【0097】
この後、制御部540は、中継処理部513を制御し、応答元のIP電話端末3と発信元との通話を、SIPサーバ1、ドック装置4、携帯電話端末5を通じて行えるようにする。すなわち、携帯電話端末5の中継処理部513は、送受信アンテナ501、電話通信部502、送受信信号処理部503を通じて受信してデコードした発信元からの音声データをドック装置4に供給する形式の信号に変換する。中継処理部513で変換されたドック装置4用の音声データは、外部I/F532及び外部端子531を通じてドック装置4に供給される。そして、ドック装置4に供給された発信元からの音声データは、上述したように、当該ドック装置4を通じてSIPサーバ1に供給され、SIPサーバ1から応答操作が行われた配下のIP電話端末3に提供される。
【0098】
また、中継処理部422は、外部端子531及び外部I/F532を通じて提供を受けたドック装置4からの応答元のIP電話端末3からの音声データを、携帯電話網に送出する形式のものに変換する。中継処理部513で変換された携帯電話網送出用の音声データは、送受信信号処理部503で処理された後、制御部540、電話通信部502、送受信アンテナ501を通じて携帯電話網に送出され、発信元(通話の相手先)に送信される。
【0099】
このように、この実施の形態の携帯電話端末5は、ドック装置4に接続されることにより、SIPサーバ1に対して接続するようにされているときには、この実施の形態の電話システムのゲートウェイ装置として機能する。そして、携帯電話端末5に対する携帯電話網からの着信に対して、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3を通じて応答し、発信元との間において、当該IP電話端末3を通じて通話することができるようにされる。
【0100】
そして、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3は、携帯電話端末5の電話帳DB514に登録されている電話帳データに対応するデータを備えていなくても、発信元情報は携帯電話端末5から提供される。したがって、IP電話端末3は、携帯電話端末5の電話帳DB514の電話帳データを必要な範囲で(着信通知を行う場合において)、利用することができるようにされる。
【0101】
なお、この実施の形態において、携帯電話端末5の外部端子531、外部I/F532、充電回路533からなる部分は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したものである。すなわち、この実施の形態において、携帯電話端末5の外部端子531はUSB端子である。また、図6において、二重線で示した発信元情報取得部511と着信情報生成部512と中継処理部513とは、それぞれ独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。発信元情報取得部511、着信情報生成部512、中継処理部513のそれぞれは、制御部540において実行されるプログラムにより、制御部540の機能として実現することももちろん可能である。
【0102】
[電話システムの動作]
次に、携帯電話端末5がドック装置4を通じてSIPサーバ1に接続された状態にあるときに、当該携帯電話端末5に対して携帯電話網(3G回線)を通じて着信があったときの、この実施の形態の電話システムの動作について具体的に説明する。図7は、この実施の形態の電話システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【0103】
図7において最下段に示したように、携帯電話端末5は、携帯電話網(図7では3G回線と記載)に対して接続するようにされている。そして、携帯電話端末5とドック装置4とは、上述もしたように、USB端子を通じてUSBケーブルによって接続される。そして、SIPサーバ1と、IP電話端末3(1)、3(2)、…と、ドック装置4(1)、4(2)、…とは、図1を用いて説明したように、LAN2を通じて、すなわち、LANケーブルを通じて接続される。
【0104】
そして、図7において、右上端部に示すように、携帯電話端末5に対して携帯電話網(3G回線)を通じて着信が発生したとする。この場合、携帯電話端末5は当該着信を受け付け、外部端子531を通じて接続されたドック装置4に対して着信情報を通知する。すなわち、上述もしたように、携帯電話端末5は、着信通知に含まれる発信元の電話番号に基づいて、電話帳DB514から発信元の電話番号と名前などからなる発信元情報を取得し、当該発信元情報を含む着信情報を形成して、これをドック装置4に対して提供する。
【0105】
ドック装置4は、自機に接続された携帯電話端末5から着信情報を受け付けると、着信イベントが発生したことを認識する。この場合、ドック装置4は、上述したように、受信した携帯電話端末5からの着信情報に含まれる発信元情報をディスプレイネイムに挿入したINVITE(呼び出し)メッセージを形成し、これをLAN2を通じてSIPサーバ1に送信する。
【0106】
SIPサーバ1は、ドック装置4からのINVITEメッセージを受信すると、これを配下のIP電話端末3(1)、3(2)、…に送信する。この場合、配下のIP電話端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、INVITEメッセージに応じて呼び出し音を放音する呼び出し処理を実行し、呼び出し中(180 RINGING)メッセージをSIPサーバ1に対して返信する。SIPサーバ1は、配下のIP電話端末3(1)、3(2)、…からの呼び出し中メッセージを受信すると、これを着信を受け付けた携帯電話端末5が接続されているドック装置4に対して送信する。
【0107】
これにより、当該ドック装置4は、自機に接続された携帯電話端末5への着信に対する呼び出しが、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3(1)、3(2)、…において行われていることを把握することができる。この場合、ドック装置4は、呼び出し中であることを示す現在の電話状態表示指示を自機に接続された携帯電話端末5に対して送信する。当該電話状態表示指示を受け付けた携帯電話端末5では、着信鳴動を開始させるなど、電話状態表示を更新する。
【0108】
この後、この例においては、図7に示すように、IP電話端末3(1)において、当該携帯電話端末5に発生した着信に対して応答操作が行われたとする。この場合、IP電話端末3(1)は、着信音の放音を停止させ、INVITEメッセージに対して応答したことを示すメッセージ(200 OK)をSIPサーバ1に対して送信する。これによって、SIPサーバ1においては、配下のIP電話端末3(1)において応答操作が行われたことを把握することができる。
【0109】
そして、SIPサーバ1は、まず、IP電話端末3(1)から着信に対する応答があったことを、着信が発生した携帯電話端末5が接続されているドック装置4に対して送信する。また、SIPサーバ1は、着信応答を送信してきたIP電話端末3(1)以外のIP電話端末3(2)、…等に対しては、呼び出しを停止させるためのキャンセル(CANCEL)メッセージを送信する。これにより、キャンセルメッセージの提供を受けたIP電話端末3(2)、…等では、着信音の放音を停止させると共に、キャンセルメッセージに対する応答(200 OK)をSIPサーバ1に送信する。
【0110】
一方、ドック装置4は、SIPサーバ1からの上述した通知により、自機に接続された携帯電話端末5への着信に対する応答が、IP電話端末3(1)において行われたことを把握することができる。この場合、ドック装置4は、着信応答があったことを示す現在の電話状態表示指示を自機に接続された携帯電話端末5に対して行う。これに応じて、当該電話状態表示指示を受け付けた携帯電話端末5では、着信音の放音を停止させ、通話を開始させるための準備動作を開始し、通話時間の表示を開始するなどの処理を行う。
【0111】
次に、ドック装置4は、自機に接続された携帯電話端末5に対して、応答指示を行う。これにより、当該携帯電話端末5は、応答処理を実行し、着信応答を形成して発信元に送信することにより、当該発信元との間に通信路を接続する。これにより、着信に対する応答を行ったIP電話端末3(1)と発信元との間に通信路が接続される。この場合、IP電話端末3(1)と発信元との間には、図7に示すように、SIPサーバ1、ドック装置4、携帯電話端末5を通じて通信路が接続されることになる。
【0112】
このように、この実施の形態の電話システムにおいては、ドック装置4を通じてSIPサーバ1に接続された携帯電話端末5に対して、携帯電話網を通じた着信があると、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3を通じて応答して、通話を行うことができるようにされる。そして、IP電話端末3に発信元の電話帳データが存在していなくても、着信元の携帯電話端末5の電話帳DB514の電話帳データを使用することができる。すなわち、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3は、着信時においてのみ、携帯電話端末5が保持する電話帳データを使用することができるようにされる。
【0113】
[携帯電話端末5の処理]
次に、この実施の形態の電話システムで用いられる携帯電話端末5において行われる処理について説明する。図8は、この実施の形態の携帯電話端末5において行われる処理について説明するためのフローチャートである。この図8に示す処理は、電源が投入された携帯電話端末5において、主に制御部540において実行される処理である。
【0114】
携帯電話端末5の制御部540は、所定のタイミング毎に、送受信アンテナ501及び電話通信部502により受信する近隣の基地局からの信号に基づいて、自機に着信があるか否かを監視している(ステップS101)。ステップS101の判別処理において、自機に着信はないと判別したときには、制御部540は、操作入力部521及び操作入力I/F522を通じて発信を行うようにする操作を受け付けたか否かを判別する(ステップS102)。
【0115】
ステップS102の判別処理において、発信を行うようにする操作は受け付けていないと判別したときには、制御部540は、ステップS101からの処理を繰り返す。また、ステップS102の判別処理において、発信を行うようにする操作を受け付けたと判別したときには、目的とする相手先に対して発信を行って通話を行うようにする発信処理を実行する(ステップS103)。そして、通話が終了するなどしてオンフックするようにされると、制御部540は、ステップS103の一連の発信処理を終了して、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
【0116】
また、ステップS101の判別処理において、自機に着信があると判別したときには、制御部540は、外部端子531を通じてドック装置4に接続されているか否かを判別する(ステップS104)。上述もしたように、外部端子531を通じてドック装置4に接続されると、制御部540は、外部端子531及び外部I/F532を通じてドック装置4と信号のやり取りを行う。したがって、制御部540は、自機がドック装置4に接続されているか否かを適切に把握することができる。
【0117】
そして、ステップS104の判別処理において、外部端子531を通じてドック装置4に接続されていないと判別したときには、通常の着信処理を行って、発信元との間で通話を行えるようにする(ステップS105)。具体的に、ステップS105の処理は、着信音を放音したり、バイブレータを振動させたり、発信元の氏名をディスプレイ524に表示したりし、ユーザがオフフック操作を行った場合には、携帯電話網を通じて通信路を接続して通話を行うようにする。そして、通話が終了するなどしてオンフックするようにされると、制御部540は、ステップS105の一連の着信処理を終了して、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
【0118】
また、ステップS104の判別処理において、外部端子531を通じてドック装置4に接続されていると判別したときには、制御部540は、着信情報を生成し、これを外部端子531を通じてドック装置4に対して通知(送信)する処理を行なう(ステップS106)。すなわち、ステップS106においては、まず、制御部540が発信元情報取得部511を制御して、着信通知に含まれる発信元の電話番号に基づき、電話帳DB514から発信元の名前などの必要な情報を抽出して電話番号や名前からなる発信元情報を形成する。さらに、ステップS106においては、制御部540が着信情報生成部512を制御して、発信元情報取得部511が取得した発信元情報を含む着信情報を形成し、これを外部I/F532及び外部端子531を通じてドック装置4に通知する。
【0119】
この後、制御部540は、外部端子531及び外部I/F532を通じて、ドック装置4からの指示情報を受信したか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107の判別処理において、指示情報を受信していないと判別したときには、携帯電話網を通じての自機宛ての着信は継続しているか否かを判別する(ステップS108)。ステップS108の判別処理において、自機宛ての当該着信が継続していると判別したときには、ステップS107からの処理を繰り返す。また、ステップS108の判別処理において、発信元がオンフックするなどしたために、自機への着信は継続していない(終了した)と判別したときには、例えば、着信が終了したことをドック装置4に通知するなどの所定の終了処理を実行し(ステップS109)、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
【0120】
また、ステップS107の判別処理において、ドック装置4からの指示情報がある(受信した)と判別したときには、制御部540は、当該指示情報は、応答指示か否かを判別する(ステップS110)。ステップS110の判別処理において、応答指示ではないと判別したときには、制御部540は、当該指示に応じた処理を実行し(ステップS111)、ステップS107からの処理を繰り返すようにする。すなわち、ステップS111では、ドック装置4からの指示が、例えば、上述もした電話状態表示指示である場合には、当該指示に応じて、着信音を放音したり、停止したり、通話を開始するための処理を行ったりするなどのことが行われる。
【0121】
また、ステップS110の判別処理において、ドック装置からの指示情報は応答指示であると判別したときには、制御部540は、応答処理を実行する(ステップS112)。具体的に、ステップS112において、制御部540は、まず着信応答を形成し、これを送受信信号処理部503と電話通信部502と送受信アンテナ501を通じて発信元に送信して、通信路を接続し、通話を行えるようにする。この後、制御部540は、中継処理部513を制御し、自機を通話状態にする(ステップS113)。
【0122】
通話状態にされると、電話通信部502及び送受信信号処理部503を通じて受信した発信元からの音声データが、中継処理部513に供給され、ここでドック装置4に送信する形式の音声データに変換される。この変換された発信元からの音声データが、外部I/F532及び外部端子531を通じてドック装置4に送信され、ドック装置4、SIPサーバ1を通じて応答元のIP電話端末3(1)に送信するようにされる。また、外部端子531及び外部I/F532を通じて受信したIP電話端末3(1)からの音声データが、中継処理部513に供給され、ここで携帯電話網を通じて発信元に送信する形式の音声データに変換される。この変換されたIP電話端末3(1)からの音声データが、送受信信号処理部503及び電話通信部502を通じて携帯電話網に送出され、発信元に対して送信される。
【0123】
この後、制御部540は、発信元とIP電話端末3(1)との間の通話が終了したか否かを判別し(ステップS114)、終了していないと判別したときには、ステップS114の判別処理を繰り返す。また、ステップS114の判別処理において、IP電話端末3(1)と発信元とのいずれかがオンフック操作するなどしたため、通話が終了したと判別したときには、制御部540は、通信回線を解放するなどの所定の終了処理を行って(ステップS115)、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
【0124】
このように、この実施の形態の携帯電話端末5は、ドック装置4を通じてSIPサーバ1に接続されていない状態にあるときには、通常の携帯電話端末として機能し、自機から発信したり、自機への着信に応答したりすることができる。そして、この実施の形態の携帯電話端末5は、ドック装置4を通じてSIPサーバ1に対して接続されると、電話システムのいわゆるゲートウェイ装置として機能し、自機への着信を、この実施の形態の電話システムへの着信として処理するようにする。
【0125】
[ドック装置4の処理]
次に、この実施の形態の電話システムで用いられるドック装置4において行われる処理について説明する。図9は、この実施の形態のドック装置4において行われる処理を説明するためのフローチャートであり、外部端子411を通じて携帯電話端末5が接続されている場合に行われる処理を説明するためのものである。この図9に示す処理は、ドック装置4の主に制御部430において実行される処理である。
【0126】
外部端子411を通じて、自機に携帯電話端末5が接続されている状態にあるときには、制御部430は、外部端子411及び外部I/F412を通じて携帯電話端末5からの着信情報を受信したか否かを監視している(ステップS201)。ステップS201の判別処理において、自機に外部端子411を通じて接続されている携帯電話端末5からの着信情報を受信していないと判別したときには、ステップS201からの処理を繰り返すようにする。
【0127】
ステップS201の判別処理において、自機に外部端子411を通じて接続されている携帯電話端末5からの着信情報を受信したと判別したときには、制御部430は、呼び出しメッセージを形成して、これをSIPサーバ1に通知(送信)する(ステップS202)。すなわち、ステップS202では、制御部430が呼び出しメッセージ生成部421を制御して、ディスプレイネイムに携帯電話端末5からの着信情報の発信元情報を挿入したINVITEメッセージを形成する。そして、制御部430は、当該INVITEメッセージを、LANI/F402及びLAN接続端子401を通じてLAN2に送出し、SIPサーバ1に送信する。
【0128】
そして、制御部430は、自機に接続された携帯電話端末5への着信は継続しているか否かを判別する(ステップS203)。ステップS203の判別処理において、携帯電話端末5への着信が継続していない(着信は終了した)と判別したときには、例えば、着信が終了したことをSIPサーバ1に通知するなどの所定の終了処理を実行する(ステップS204)。この後、制御部430は、ステップS201からの処理を繰り返すようにする。
【0129】
また、ステップS203の判別処理において、携帯電話端末5への当該着信が継続していると判別したときには、制御部430は、LAN接続端子401及びLANI/F402を通じて、SIPサーバ1からの通知を受信したか否かを判別する(ステップS205)。ステップS205の判別処理において、SIPサーバ1からの通知を受信していないと判別したときには、制御部430は、ステップS203からの処理を繰り返すようにする。
【0130】
ステップS205の判別処理において、SIPサーバ1からの通知を受信したと判別したときには、制御部430は、受信した通知は、いずれかのIP電話端末3に対して応答操作が行われたことによる応答通知か否かを判別する(ステップS206)。ステップS206の判別処理において、SIPサーバからの通知は応答通知ではないと判別したときには、制御部430は、受信したSIPサーバ1からの通知に応じた処理を実行し(ステップS207)、ステップS203からの処理を繰り返す。なお、ステップS207においては、図7を用いて説明したように、呼び出し中を通知し、携帯電話端末5の状態表示の変更を指示する処理などが行われる。
【0131】
また、ステップS206の判別処理において、SIPサーバからの通知が応答通知であると判別したときには、制御部430は、外部I/F412及び外部端子411を通じて、携帯電話端末5に対して着信に応答を行うようにする処理を実行する(ステップS208)。具体的には、図7を用いて説明したように、まず、携帯電話端末5に対して発生している着信に対して応答があることを当該携帯電話端末5に通知して、状態表示を更新し、その後、着信に対する応答指示を携帯電話端末5に送信して、通信路を接続するようにする。
【0132】
この後、制御部430は、中継処理部422を制御し、自機を通話状態にする(ステップS209)。ステップS209において、通話状態にされると、外部端子411及び外部I/F412を通じて受信した携帯電話端末5を通じて提供される発信元からの音声データが、中継処理部513に供給され、ここでSIPサーバ1に送信する形式の音声データに変換される。この変換された発信元からの音声データが、LANI/F402及びLAN接続端子401を通じてSIPサーバ1に送信され、ドック装置4、SIPサーバ1を通じて応答元のIP電話端末3(1)に送信するようにされる。また、LAN接続端子401及びLANI/F402を通じて受信したIP電話端末3(1)からの音声データが、中継処理部513に供給され、ここで携帯電話端末5に送信する形式の音声データに変換される。この変換されたIP電話端末3(1)からの音声データが、外部I/F412及び外部端子411を通じて携帯電話端末5に供給され、ドック装置4、携帯電話端末5を通じて応答元のIP電話端末3(1)からの音声データが発信元に送信するようにされる。
【0133】
この後、制御部430は、発信元とIP電話端末3(1)との間の通話が終了したか否かを判別し(ステップS210)、終了していないと判別したときには、ステップS210の判別処理を繰り返す。また、ステップS210の判別処理において、IP電話端末3(1)と発信元とのいずれかがオンフック操作するなどしたため、通話が終了したと判別したときには、制御部430は、通信回線を解放するなどの所定の終了処理を行って(ステップS211)、ステップS201からの処理を繰り返すようにする。
【0134】
このように、ドック装置1は、携帯電話端末5をSIPサーバ1に対して接続すると共に、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3と、携帯電話端末5に対する着信の発信元との間の音声データの中継処理をも行うようにしている。また、上述したデータの送受信処理の他、ドック装置4は、自機に接続された携帯電話端末5に対して充電電流を供給し、携帯電話端末5のバッテリの充電を行う機能をも有している。
【0135】
[SIPサーバ1の処理]
なお、SIPサーバ1は、上述もしたように、通信路(通信回線)を接続する端末間のアドレス解決をするものである。このため、ドック装置4を通じて携帯電話端末5がSIPサーバ1に対して接続するようにされている場合における当該SIPサーバ1においても、LAN2を通じて送受されるドック装置4と配下のIP電話端末3との間においてもアドレス解決を行って、通信路を接続し、通信を行えるようにする処理を行う。
【0136】
すなわち、SIPサーバ1の制御部110は、LAN2を通じてドック装置3からの情報も受け付けるようにする。そして、SIPサーバ1の制御部110が、LAN2を通じてドック装置4から当該ドック装置4に接続された携帯電話端末5に着信があることを示すINVITEメッセージを受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、携帯電話端末5からの発信元情報を含む当該INVITEメッセージをLANI/F107及び接続端子108を通じてLAN2に送出し、配下のIP電話端末3に対して提供する。
【0137】
そして、SIPサーバ1の制御部110は、当該INVITEメッセージを送出後は、当該INVITEメッセージに対する配下のIP電話端末3からの応答を、LANI/F107及び接続端子108を通じて受け付けるようにする。そして、SIPサーバ1の制御部110は、配下のIP電話端末3から当該INVITEメッセージに対する応答を受け付けたとする。この場合SIPサーバ1の制御部110は、応答指示を形成し、これをLANI/F107及び接続端子108を通じてLAN2に送出し、ドック装置4を通じて着信が発生している携帯電話端末5に送信するようにする。
【0138】
さらに、SIPサーバ1の制御部110は、当該応答指示の送出後、応答を行った配下のIP電話端末と着信が発生している携帯電話端末5との間の音声データの中継処理を行うようにする。このように、SIPサーバ1の制御部110は、呼び出し制御、応答指示制御、通話制御の各工程を実行し、ドック装置4を通じて自機に接続される携帯電話端末5への着信に対して、配下のIP電話端末3を通じて応答し、当該IP電話端末3を通じて通話を行えるようにしている。
【0139】
[実施の形態の効果]
このように、この実施の形態の電話システムにおいては、携帯電話端末5をドック装置4に対して接続するだけで、携帯電話端末5をSIPサーバ1に対して接続することができる。そして、携帯電話端末5を電話システムのいわゆるゲートウェイ装置の1つとして利用し、携帯電話端末5へ着信に対して、SIPサーバ1の配下のIP電話端末1を通じ応答し、発信元との間に通信回線を接続して通話を行うようにすることができる。そして、携帯電話端末5の着信時においてのみ、携帯電話端末5の電話帳DB514に登録されている電話帳データを、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3において利用することができるようにされる。したがって、携帯電話端末5の電話帳DB514の電話帳データが、無制限に第三者に利用されてしまい、プライバシーが侵害されるといった不都合を防止することができる。
【0140】
[発信元情報の通知の他の例]
上述した実施の形態においては、携帯電話端末5がドック装置4を通じてSIPサーバ1に接続された状態にあるときに、携帯電話端末5に対して携帯電話網を通じた着信が発生すると、携帯電話端末5から発信元情報を含む着信情報をドック装置4に提供した。発信元情報は、上述もしたように、携帯電話端末5の電話帳DB514に記憶保持されている電話帳データに基づいて生成されるものである。したがって、当該携帯電話端末5への携帯電話網を通じて着信時においてのみ、携帯電話端末5の電話帳データをSIPサーバ1の配下のIP電話端末3において利用することができるようにされる。
【0141】
しかし、プライバシーの保護については十分でない場合もあると考えられる。そこで、以下に説明する発信元情報の通知の他の例は、携帯電話端末5の電話帳DB514に記憶されている電話帳データをより細かく使い分けることにより、プライバシーの保護をより適切に行うと共に、使い勝手の向上を図るようにしようとするものである。
【0142】
図10、図11は、発信元情報の通知の他の例を説明するための図である。そして、以下に説明する例においては、携帯電話端末5の電話帳DB514に保持される電話帳データを、登録時において、例えば、会社用電話帳データと、プライベート電話帳データと、個別着信用電話帳データとに分けて登録することができるようにされる。そして、携帯電話端末5に携帯電話網を通じて着信が発生した場合に、着信通知に含まれる発呼元の電話番号に基づいて、電話帳DB514を参照し、発信元の電話番号が、どの種類の電話帳データとして登録されているかを判別し、この判別結果に応じて、通知内容を異ならせるようにする。
【0143】
具体的には、図10において、上段、中段、下段に分けて示すように、発信元の電話帳データの種類に応じて発信元情報の通知処理を異ならせる。すなわち、携帯電話端末5に着信が発生し、発信元の電話番号が会社用電話帳データとして登録されていたとする。この場合には、図10の上段に示したように、当該会社用電話帳データに登録されている電話番号と名前とを含む発信元情報を生成し、これを着信情報に含めてドック装置4に提供する。会社用電話帳データは業務に必要な情報であり、プライバシーの問題は本来生じないものだからである。ドック装置4は、上述した実施の形態の場合と同様に、発信元情報をディスプレイネイムとして含むINVITEメッセージを形成してSIPサーバ1に送信することにより、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3で発信元情報が表示用情報として用いられる。
【0144】
また、携帯電話端末5に着信が発生し、発信元の電話番号がプライベート電話帳データとして登録されていたとする。この場合には、図10の中段に示したように、当該プライベート電話帳データに登録されている電話番号と名前とを含む発信元情報は生成せずに、発信元情報を含まない着信情報を形成し、これをドック装置4に提供する。プライベート電話帳データは、プライバシーの問題を生じさせるものだからである。ドック装置4は、発信元情報を含まないINVITEメッセージを形成してSIPサーバ1に送信する。これにより、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3には、着信は通知できるが、その発信元は通知しないようにすることができる。
【0145】
なお、着信が発生し、発信元の電話番号がプライベート電話帳データとして登録されていた場合には、当該着信の発生自体を、ドック装置4に通知しないようにすることもできる。すなわち、プライベート電話帳データとして登録されている相手先からの着信については、SIPサーバ1の配下のIP電話端末3を通じて応答できないようにすることもできる。
【0146】
また、携帯電話端末5に着信が発生し、発信元の電話番号が個別着信用電話帳データとして登録されていたとする。この場合には、図10の下段に示したように、当該個別着信用電話帳データに登録されている電話番号と名前とを含み、さらに当該発信元が個別着信対象の相手先であることを示す情報を含む発信元情報を生成し、これを着信情報に含めてドック装置4に提供する。
【0147】
ここで、個別着信は、例えば、通常の着信音とは着信音を変えるなどして、特定の相手先からの着信であることを通知するようにされた相手先からの着信を意味する。この場合、ドック装置4は、発信元の電話番号、名前、発信元が個別着信対象の相手先であることを示す情報を含む発信元情報を含めたINVITEメッセージを形成してSIPサーバ1に送信する。これにより、IPサーバ1の配下のIP電話端末3では、発信元情報を表示用情報として用いることができると共に、例えば、着信音を通常の着信音とは異なるように制御することが可能となる。
【0148】
また、携帯電話端末5の電話帳DB514に保持される個別着信用電話帳データに、SIPサーバ1の配下のどのIP電話端末3に着信させるかを示す情報、例えば、当該IP電話端末3の内線番号を登録しておく。そして、このIP電話端末3を特定する情報をも含めた発信元情報を、ドック装置4を通じてSIPサーバ1に通知するようにする。これにより、SIPサーバ1において、どのIP電話端末3に着信させるかを把握することができるので、SIPサーバ1は当該指示されたIP電話端末3に対してだけ、携帯電話端末5に着信があることを通知するようにすることもできる。
【0149】
上述したように、電話帳データを使い分けるための電話帳データの管理方式としては、図11(A)、(B)に示すように、少なくとも2つの管理方式を用いることができる。図11(A)に示す管理方式は、例えば、電話帳DB514内に、会社用電話帳データファイル514A、プライベート電話帳データファイル514B、個別着信用電話帳データファイル514Cを設ける。そして、会社用電話帳データ、プライベート電話帳データ、個別着信用電話帳データを対応するファイルに登録して管理する。そして、携帯電話端末5への着信時において、発信元情報取得部511は、発信元の電話番号に基づいて、上述した各ファイル514A、514B、514Cの登録データを参照する。これにより、発信元情報取得部511は、発信元の電話帳データが、どのファイルに登録されているかに応じて、発信元の電話帳データがどの種類のものかを判別することができるようにされる。
【0150】
また、図11(B)に示す管理方式は、電話帳データは電話帳DB514において一元管理するが、電話番号、名前、住所や電子メールアドレスなどの他の情報等からなる各電話帳データに対して、当該電話帳データの種類を示す区分(フラグ)を付すようにする。図11(B)に示した例の場合には、会社用電話帳データには「1」、プライベート電話帳データには「2」、個別着信用電話帳データには「3」という区分情報(フラグ情報)を付すようにした場合の例を示している。これにより、携帯電話端末5への着信時において、発信元情報取得部511は、発信元の電話番号に基づいて、電話帳DB514の登録データを参照し、該当する電話帳データの区分(フラグ)に基づいて、発信元の電話帳データがどの種類のものかを判別することができるようにされる。
【0151】
また、携帯電話端末5への着信が、プライベート電話帳データとして登録されているプライベートな発信元からのものである場合には、IP電話端末3における発信元情報の表示はしないが、その他の場合には、発信元情報の表示を行いたいという場合もある。この場合の簡便な制御方法としては、発信元情報を表示しないようにするための特定の情報や特定のフラグを発信元情報に付加して携帯電話端末5からドック装置4に送信するものがある。
【0152】
図12、図13は、発信元情報の表示/非表示を、発信元情報に特定の情報や特定のフラグを付加することにより制御する方式を説明するための図である。図12に示すように、ドック装置4に対して接続されることにより、SIPサーバ1に接続するようにされた携帯電話端末5に対して、携帯電話網を通じて着信があったとする。そして、携帯電話端末5の発信元情報取得部511が取得した発信元情報が、プライベート電話帳データであったために、携帯電話端末5の制御部540は、発信元情報を通知しないと判別したとする。
【0153】
この場合、携帯電話端末5の着信情報生成部512は、例えば、「184」などの着信元情報の非通知を意味する特定の情報、あるいは、着信元情報の非通知を意味する特定のフラグを発信元情報に付加し、この発信元情報を含む着信情報を生成する。この着信情報は、ドック装置4に提供される。
【0154】
そして、ドック装置4においては、図13のフローチャートに示すように、まず、携帯電話端末5からの着信情報に含まれる発信元情報に、着信元情報の非通知を意味する特定の情報やフラグが付加されているか否かを判別する(ステップS202A)。このステップS202Aの判別処理において、付加されていると判別した場合には、SIPサーバ1に対して着信通知だけを行い、当該発信元情報は通知しないようにする(ステップS202B)。また、このステップS202Aの判別処理において、付加されていないと判別した場合には、発信元情報を含むINVITEメッセージを形成して、これをSIPサーバ1に対して提供する(ステップS202C)。
【0155】
このようにすることにより、携帯電話端末5において、プライベート電話帳データとして管理されている発信元の電話番号や名前をSIPサーバ1の配下のIP電話端末3において利用しないようにすることができる。なお、図13に示したステップS202A〜ステップS202Cの処理は、図9に示したステップS202の処理に替えて行われることになる。
【0156】
そして、非通知を示す情報やフラグが付加されている発信元情報を含め、着信情報に含められた全ての発信元情報をドック装置4において着信履歴情報の1つとして記憶保持しておくようにする。これにより、必要な場合には、ドック装置4で記憶保持される発信元情報を参照することにより、携帯電話端末5に対して何処から着信があったかを、携帯電話端末5のユーザが知るようにすることもできる。
【0157】
また、ここでは、ドック装置4において、発信元情報をSIPサーバ1に通知するか否かを判別するようにしたが、これに限るものではない。表示/非表示を示す情報やフラグのついた発信元情報をSIPサーバ1にも提供し、SIPサーバ1において、配下のIP電話端末3に発信元情報を提供するか否かを判別するようにしてもよい。
【0158】
[この発明の方法、プログラム]
なお、上述した実施の形態において、図7のシーケンス図を用いて説明した電話システムの処理が、この発明による方法が適用されて実現されたものである。また、図8に示したフローチャートを用いて説明した処理を実行するプログラムを形成し、これを携帯電話端末に搭載されたコンピュータで実行できるように携帯電話端末に搭載することにより、この発明の携帯電話端末を実現することができる。
【0159】
また、図9に示したフローチャートを用いて説明した処理を実行するプログラムを形成し、これを図4を用いて説明したように、LAN接続端子と外部接続端子を備えた中継装置に搭載されたコンピュータで実行できるように当該中継装置に搭載することにより、この発明のドック装置を実現することができる。
【0160】
[実施の形態の装置や回路部と、請求項の装置や手段との対応]
また、上述した実施の形態からも明らかなように、携帯電話端末5において、外部端子531及び外部I/F532が外部機器との接続端子の機能を実現し、電話帳DB514が記憶手段の機能を実現している。また、携帯電話端末5において、発信元情報取得部511が取得手段の機能を実現し、着信情報生成部512が着信情報生成手段の機能を実現し、中継処理部513が中継処理手段の機能を実現している。
【0161】
また、SIPサーバ1において、LAN接続端子108及びLANI/F107がインターフェース手段としての機能を実現している。また、SIPサーバ1において、主に制御部110が、着信通知制御手段、応答指示制御手段、通話制御手段としての機能を実現している。
【0162】
また、ドック装置4において、外部端子411及び外部I/F412が第1の接続端部としての機能を実現し、LAN接続端子401及びLANI/F402が第2の接続端部としての機能を実現している。また、ドック装置4において、呼び出しメッセージ生成部421が呼び出しメッセージ生成手段としての機能を実現し、中継処理部422が中継処理手段としての機能を実現している。
【0163】
[その他]
また、上述した実施の形態においては、IP電話システムにこの発明を適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。SIPサーバ1の代わりに主装置を用い、IP電話端末3の代わりにいわゆる従来のボタン電話を用いた電話システムにこの発明を適用することができる。この場合に、各機器間で送受されるデータの形式が変わるだけで、同様の処理を行うようにすることができる。
【0164】
また、上述した実施の形態においては、携帯電話端末5とドック装置4とはUSB規格のインターフェースにより接続したが、これに限るものではない。例えば、ブルートゥース(Bluetooth)規格などの近距離無線通信インターフェースやIrDA(Infrared Data Association)規格の赤外線による光無線データ通信インターフェースなどにより接続することも可能である。すなわち、有線、無線を問わず、種々のデジタルインターフェースによって、携帯電話端末5とドック装置4とを接続することができる。
【0165】
また、SIPサーバ1と携帯電話端末5とを直接に接続可能な場合には、ドック装置4を用いずに、SIPサーバ1と携帯電話端末5とを直接に接続するようにしてもよい。この場合、ドック装置4の機能をSIPサーバ1が包含することになる。
【0166】
また、携帯電話端末5としては、一般的な携帯電話端末の他、いわゆるスマートホンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末など、携帯電話網を通じて通信を行うことが可能な種々の携帯通信端末を用いることが可能である。このため、携帯電話端末5の操作入力部521は、表示画面に表示される表示情報と当該表示画面に貼付されるタッチパネルとにより実現されるいわゆるソフトウェアキーボードの構成とされる場合もある。
【符号の説明】
【0167】
1…SIPサーバ、101…IP網への接続端子、102…IP網I/F、103…パケット分解/生成部、104…電話網I/F、105…電話網への接続端子、106…アドレス管理DB、107…LANI/F、108…LANへの接続端子、110…制御部、2…LAN、3…IP電話端末、301…LAN接続端子、302…LANI/F、303…パケット処理部、304…通話音声入出力I/F、305…ハンドセット接続端子、306…ハンドセット、311…操作入力部、312…操作入力I/F、313…ディスプレイコントローラ、314…ディスプレイ、315…リンガ、320…制御部、4…ドック装置、401…LAN接続端子、402…LANI/F、411…外部端子、412…外部I/F、413…充電電流供給部、414…ACコンセント、421…呼び出しメッセージ生成部、422…中継処理部、430…制御部、5…携帯電話端末、501…送受信アンテナ、502…電話通信部、503…送受信信号処理部、504…通話音声処理部、505…受話アンプ、506…受話器(スピーカ)、507…送話器(マイクロホン)、508…送話アンプ、511…発信元情報取得部、512…着信情報生成部、513…中継処理部、514…電話帳DB、521…操作入力部、522…操作入力I/F、523…ディスプレイコントローラ、524…ディスプレイ、525…リンガ、531…外部端子、532…外部I/F、533…充電回路、534…バッテリ、540…制御部、6…IP網、7…電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域ネットワークに接続されると共に、配下に1以上の電話端末が接続される交換装置に対して、携帯電話ネットワークを通じて通信を行う携帯電話端末が接続されて構成される電話システムであって、
前記携帯電話端末は、
外部機器との接続端子と、
電話帳データを記憶する記憶手段と、
前記接続端子を通じて前記交換装置に接続されている時に、前記携帯電話ネットワークを通じて自機宛ての着信を受け付けた場合に、通知される相手先の電話番号に基づいて、前記記憶手段の電話帳データを参照し、発信元情報を取得する取得手段と、
取得された前記発信元情報を含む着信情報を生成し、前記接続端子を通じて前記交換装置に提供するようにする着信情報生成手段と、
前記接続端子を通じて前記交換装置からの前記着信に対する応答指示を受け付けた場合に、前記交換装置と前記発信元との間の音声データの中継を行うようにする中継処理手段と
を備え、
前記交換装置は、
外部機器の接続を受け付けるインターフェース手段と、
前記インターフェース手段を通じて前記携帯電話端末からの前記着信情報を受け付けた場合に、前記着信情報に含まれる前記発信元情報を含めた呼び出しメッセージを配下の電話端末に対して提供するように制御する呼び出し制御手段と、
前記呼び出しメッセージに対する配下の電話端末からの応答を受け付けた場合に、応答指示を形成し、前記インターフェースを通じて前記携帯電話端末に提供するように制御する応答指示制御手段と、
前記応答指示を提供した後、応答を行った配下の前記電話端末と前記携帯電話端末との間の音声データを中継するように制御する通話制御手段と
を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムであって、
前記携帯電話端末と前記交換装置との間に、
前記携帯電話端末の前記接続端子と接続される第1の接続端部と、
前記交換装置の前記インターフェース手段と接続される第2の接続端部と、
前記第1の接続端部を通じて前記着信情報を受け付けた場合に、前記着信情報に含まれる前記発信元情報を含む前記交換装置用の呼び出しメッセージを形成して、前記第2の接続端部を通じて前記交換装置に供給する呼び出しメッセージ生成手段と、
前記携帯電話端末と前記交換装置との間で送受される情報の中継を行うようにする中継処理手段と
を備えたドック装置を配置することを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話システムであって、
前記携帯電話端末の前記記憶手段には、電話帳データが用途に応じて分類可能に記憶されており、
前記携帯電話端末において、
前記取得手段で取得された前記発信元情報が、当該携帯電話端末のユーザの個人用途の電話帳データに応じて生成されたものである場合に、前記着信情報提供手段は、前記発信元情報を含まない前記着信情報を形成し、あるいは、出力を禁止する情報を付加した前記発信元情報を含む前記着信情報を形成することを特徴とする電話システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の電話システムであって、
前記携帯電話端末の前記記憶手段には、電話帳データが用途に応じて分類可能にされており、
前記携帯電話端末において、
前記取得手段で取得された前記発信元情報が、個別着信用の電話帳データに応じて生成されたものである場合に、前記取得手段は、前記発信元情報に個別着信用であることを示す情報を付加することを特徴とする電話システム。
【請求項5】
広域ネットワークに接続されると共に、配下に1以上の電話端末が接続される交換装置に対して、携帯電話ネットワークを通じて通信を行う携帯電話端末が接続されて構成される電話システムの前記携帯電話端末であって、
外部機器との接続端子と、
電話帳データを記憶する記憶手段と、
前記接続端子を通じて前記交換装置に接続されている時に、前記携帯電話ネットワークを通じて自機宛ての着信を受け付けた場合に、通知される相手先の電話番号に基づいて、前記記憶手段の電話帳データを参照し、発信元情報を取得する取得手段と、
取得された前記発信元情報を含む着信情報を生成し、前記接続端子を通じて前記交換装置に提供するようにする着信情報生成手段と、
前記接続端子を通じて前記交換装置からの前記着信に対する応答指示を受け付けた場合に、前記交換装置と前記発信元との間の音声データの中継を行うようにする中継制御手段と
を備えることを特徴とする携帯電話端末。
【請求項6】
広域ネットワークに接続されると共に、配下に1以上の電話端末が接続される交換装置に対して、携帯電話ネットワークを通じて通信を行う携帯電話端末が接続されて構成される電話システムの前記交換装置であって、
外部機器の接続を受け付けるインターフェース手段と、
前記インターフェース手段を通じて前記携帯電話端末からの前記着信情報を受け付けた場合に、前記着信情報に含まれる前記発信元情報を含めた呼び出しメッセージを配下の電話端末に対して提供するように制御する呼び出し制御手段と、
前記呼び出しメッセージに対する配下の電話端末からの応答を受け付けた場合に、応答指示を形成し、前記インターフェースを通じて前記携帯電話端末に提供するように制御する応答指示制御手段と、
前記応答指示を提供した後、応答を行った配下の前記電話端末と前記携帯電話端末との間の音声データを中継するように制御する通話制御手段と
を備えることを特徴とする交換装置。
【請求項7】
広域ネットワークに接続されると共に、配下に1以上の電話端末が接続される交換装置に対して、携帯電話ネットワークを通じて通信を行う携帯電話端末を接続して電話システムを構成する場合に、前記交換装置と前記携帯電話端末とを接続するためのドック装置であって、
前記携帯電話端末は、接続端子を通じて前記交換装置に接続されている時に、前記携帯電話ネットワークを通じて自機宛ての着信を受け付けた場合に、通知される相手先の電話番号に基づいて、自機の記憶手段の電話帳データを参照し、発信元情報を取得し、取得された当該発信元情報を含む着信情報を形成し、前記接続端子を通じて前記交換装置に提供し、前記接続端子を通じて前記交換装置からの前記着信に対する応答指示を受け付けた場合に、前記交換装置と前記発信元との間の音声データの中継を行うようにすることができるものであり、
前記交換装置は、インターフェース手段を通じて前記携帯電話端末からの前記着信情報を受け付けた場合に、前記着信情報に含まれる前記発信元情報を含めた呼び出しメッセージを配下の電話端末に対して提供し、前記呼び出しメッセージに対する配下の電話端末からの応答を受け付けた場合に、応答指示を形成し、前記インターフェースを通じて前記携帯電話端末に提供し、前記応答指示を提供した後、応答を行った配下の前記電話端末と前記携帯電話端末との間の音声データを中継することができるものであり、
当該ドック装置は、
前記携帯電話端末の前記接続端子と接続される第1の接続端部と、
前記交換装置の前記インターフェース手段と接続される第2の接続端部と、
前記第1の接続端部を通じて前記着信情報を受け付けた場合に、前記着信情報に含まれる前記発信元情報を含む前記交換装置用の呼び出しメッセージを形成して、前記第2の接続端部を通じて前記交換装置に供給する呼び出しメッセージ生成手段と、
前記携帯電話端末と前記交換装置との間で送受される情報のデータ形式の変換処理を行って中継を行うようにする中継処理手段と
を備えることを特徴とするドック装置。
【請求項8】
広域ネットワークに接続されると共に、配下に1以上の電話端末が接続される交換装置に対して、携帯電話ネットワークを通じて通信を行う携帯電話端末が接続されて構成される電話システムで用いられる着信通知接続方法であって、
前記携帯電話端末においては、
接続端子を通じて前記交換装置に接続されている時に、前記携帯電話ネットワークを通じて自機宛ての着信を受け付けた場合に、通知される相手先の電話番号に基づいて、取得手段により自機の記憶手段の電話帳データを参照し、発信元情報を取得する取得工程と、
着信情報提供手段が、取得された前記発信元情報を含む着信情報を生成し、前記接続端子を通じて前記交換装置に提供するようにする着信情報生成工程と、
前記接続端子を通じて前記交換装置からの前記着信に対する応答指示を受け付けた場合に、中継制御手段により、前記交換装置と前記発信元との間の音声データの中継を行うように制御する中継制御工程と
を有し、
前記交換装置においては、
インターフェース手段を通じて前記携帯電話端末からの前記着信情報を受け付けた場合に、着信通知制御手段により、前記着信情報に含まれる前記発信元情報を含めた呼び出しメッセージを配下の電話端末に対して提供するように制御する呼び出し制御工程と、
前記呼び出しメッセージに対する配下の電話端末からの応答を受け付けた場合に、応答指示制御手段により、応答指示を形成し、前記インターフェースを通じて前記携帯電話端末に提供するように制御する応答指示制御工程と、
前記応答指示を提供した後、通話制御手段が、応答を行った配下の前記電話端末と前記携帯電話端末との間の音声データを中継するように制御する通話制御工程と
を有することを特徴とする着信通知接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−213097(P2012−213097A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78349(P2011−78349)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】