説明

電話システムにおける発着信動作監視システム

【課題】 公衆網を介して電話システムの障害判定を自発的に行うことができる電話システムにおける発着信動作監視システムを提供する。
【解決手段】 電話システムにおける発着信動作監視システムは、公衆網100に自発的に擬似呼を発信する擬似発信制御部134と、公衆網100から着信した着信呼に擬似呼が含まれている場合に擬似呼の着信を認識する擬似着信認識部173とを備え、擬似着信認識部173における擬似呼の着信の認識有無により電話システムの障害判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話システムにおける発着信動作監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電話システム、例えば顧客への電話対応業務を複数のオペレータが行ういわゆるコールセンタシステムでは、保守者は顧客からの電話がオペレータに着信することにより、システム装置が正常動作をしていると判定している。しかし、オペレータに着信しない時間が継続した場合、その原因は顧客からの電話が未着信となっているのか、またはシステムや装置に障害が発生しているのかについて判定することができない。この場合、障害の発生について発見が遅れる可能性がある。
【0003】
特許文献1は、移動通信システムにおける障害検索制御方法及び障害検索制御システムに関するものであり、自動的に障害の有無を判定する技術が開示されている。これは、移動端末機と基地局と交換局と監視局とを有するシステムにおいて、移動端末機と基地局との間の無線通信におけるスケルチ断等による呼処理警報を、監視局の監視制御装置を介して収集し、その呼処理警報をデータ管理センタの記憶部に蓄積し、障害判定部により収集呼処理警報を検索し、一定期間内の呼処理警報数と閾値とを比較し、呼処理警報数が閾値を超えた時に、その呼処理警報の発生原因となる個所の障害と判定する。又その障害判定を基にビットエラーレート測定試験を実施して、障害の発生の確認を行うというものである。特許文献2は、自己回線試験機能を有する交換器の回線試験機能を開示するものであり、内部ループ試験、若しくは外部の折り返し試験を自動的に切り換えて実施できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−256120号公報
【特許文献2】特開平4−342350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、自動的に障害の有無を判定することができるものの、移動端末からの着信が入らない場合、未着信状態となり、装置障害発生の有無について判定することができないと言う問題がある。そして、装置障害発生の判定条件を一定期間内の収集呼処理警報数と閾値を比較し、収集呼処理警報数が閾値を超えた場合としているため、収集呼処理警報数が閾値以下における障害発生の場合は、装置障害発生と判定することができず装置障害の発見が遅れるという問題がある。さらに、特許文献2では、保守者との会話による操作を不要とした自己回線試験を交換機が自動的に行い回線制御装置の障害検知をすること、また交換機自身の装置障害の検知を局部的に実施することを可能とするが、例えばコールセンタシステム等の電話システムにおけるシステム全体(即ち、回線収容装置、テレフォニー制御装置、CTIサーバ装置、IVRサーバ装置、集計サーバ装置、MISモニタ装置)の動作の正常性を確認する仕組みではなくシステム全体を統合した障害監視ができないと言う問題がある。
【0006】
本発明の目的は上記問題点を解決し、公衆網を介して電話システムの障害判定を自発的に行うことができる電話システムにおける発着信動作監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため以下のような電話システムにおける発着信動作監視システムを提供する。
(1)公衆網に接続された電話システムにおける発着信動作監視システムであって、前記公衆網に擬似呼を発信する擬似発信制御部と、前記公衆網から着信した着信呼に前記擬似呼が含まれている場合に前記擬似呼の着信を認識する擬似着信認識部とを備え、前記擬似着信認識部における前記擬似呼の着信の認識有無により前記電話システムの障害判定を行うことを特徴とする発着信動作監視システム。
(2)前記擬似呼の発信後に、前記擬似着信認識部が前記擬似呼の着信を予め決められた時間内に認識しない場合、前記電話システムに障害があると判定することを特徴とする上記(1)に記載の発着信動作監視システム。
(3)前記擬似呼の発信後に、前記擬似着信認識部が前記擬似呼の着信を予め決められた時間内に認識した場合であって、前記擬似呼の発信時刻と着信時刻の時間差が設定値を超える場合に、前記電話システムに障害があると判定することを特徴とする上記(1)に記載の発着信動作監視システム。
(4)前記電話システムに障害があると判定された場合に、アラームを出力することを特徴とする上記(2)または(3)に記載の発着信動作監視システム。
(5)前記擬似呼の発信が、定期的に行われることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
(6)前記擬似呼の発信が、設定時間間隔内に前記公衆網から前記電話システムに着信呼がない場合に行われることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
(7)前記擬似呼が、発番号または発サブアドレスに擬似発信を識別する情報を付加して生成されることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
(8)前記電話システムが、前記公衆網から着信した着信呼に含まれる擬似呼の集計と、前記擬似呼以外の着信呼の集計とを別管理とすることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
(9)前記電話システムが、顧客への電話対応業務をオペレータが行うコールセンタシステムであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、公衆網を介して電話システムの障害判定を自発的に行うことができる電話システムにおける発着信動作監視システムを得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、擬似呼の着信が予め決められた時間内に認識されない場合には電話システムの障害と判定することができる。
請求項3に係る発明によれば、擬似呼の着信が予め決められた時間内に認識された場合であっても電話システムの障害を判定することができる。
請求項4に係る発明によれば、電話システムに障害があることを保守者等に報知することができる。
請求項5に係る発明によれば、電話システムの障害判定を定期的に行うことができる。
請求項6に係る発明によれば、電話システムの障害判定を設定時間間隔内に電話システムに着信呼がない場合に行うことができる。
請求項7に係る発明によれば、電話システムに着信した着信呼から擬似呼を容易に識別することができる。
請求項8に係る発明によれば、電話システムに着信した擬似呼を除いて着信呼を管理することができる。
請求項9に係る発明によれば、公衆網を介してコールセンタシステムの障害判定を自発的に行うことができるコールセンタシステムにおける発着信動作監視システムを得ることができる
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電話システムにおける発着信動作監視システムの一実施例を示す図である。
【図2】図1の実施例における集計サーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図3】図1の実施例におけるCTIサーバ装置の構成の一例を示す図である。
【図4】図1の実施例における擬似呼の発着信に係る構成の一例を説明するための図である。
【図5】CTIサーバ装置での着信呼の切断シーケンスの一例を示す図である。
【図6】IVRサーバ装置での着信呼の切断シーケンスの一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例における呼の発着信動作監視処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例における公衆網からの擬似呼着信を識別するための情報フォーマットの一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施例における擬似呼着信処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施例における呼のIVRサーバ転送後の処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施例における集計サーバ装置の記憶部のDBフォーマットの一例を示す図である。
【図12】本発明の一実施例におけるMISモニタ装置の表示内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る電話システムにおける発着信動作監視システムの一実施例を示す図である。本実施例では、電話システムとしてコールセンタシステムを例にとって説明するが、これに限定されない。図1に示すように、コールセンタシステムでは、公衆網100に接続された回線収容装置101、テレフォニー制御装置102、CTI(Computer Telephony Integration)サーバ装置103、集計サーバ装置104、IVR(Interactive Voice Response)サーバ装置105、MIS(Management Information System)モニタ装置106、端末(電話機107、クライアントPC108)等が相互に接続されている。
ここで、回線収容装置101は、回線制御部111を備える。テレフォニー制御装置102は、テレフォニー制御部112、電話インタフェース部122、回線インタフェース部132、およびCTIインタフェース部142を備える。CTIサーバ装置103は、クライアント制御部113、ACD(Automatic Call Distribution)制御部123、CTI制御部133、および集計制御部143を備える。ACD制御部123は監視処理部153を備える。集計サーバ装置104は、集計DB(データベース)蓄積部114、および監視部124を備える。IVRサーバ装置105は、シナリオ制御部115、IVR制御部125、SIP(Session Initiation Protocol)/音声制御部135、および集計制御部145を備える。IVR制御部125は、監視処理部155を備える。
【0011】
コールセンタ運用では、公衆網100からの呼が回線収容装置101へ着信すると、テレフォニー制御装置102の制御によって一旦、着信呼をキューイングし、同時にテレフォニー制御装置102からCTIインタフェースを介してCTIサーバ装置103へキューイングしたことを通知する。
【0012】
CTIサーバ装置103では、ACD制御部123によって着信先のオペレータを選択し(均等着信機能)、キューイング呼の着信先を先に選択したオペレータの端末(電話機107)へ着信するようにテレフォニー制御装置102へ要求し、電話機107へ着信することになる。電話機着信と同時に、該当オペレータの端末(クライアントPC108)への着信情報がCTIサーバ装置103からクライアントPC108へ通知され、クライアントPC108の操作によって、電話機107で応答することが可能になる。一連の着信処理は、CTIサーバ装置103の集計制御部143が集計結果として着信数、応答数等をカウントし、集計サーバ装置104へ通知し、集計サーバ装置104の集計DB蓄積部114が、DB(データベース)に蓄積する。
【0013】
MISモニタ装置106は、集計サーバ装置104に蓄積された中の集計DB(図11(A))を参照することによって、リアルタイムにMISモニタ装置106の画面に、MIS情報(着信数/応答数/放棄数/あふれ数等のコールセンタ運用情報)を表示し、コールセンタ管理者へ運用状況を表示する機能を有する。また、公衆網100からの着信は、着信したDI(ダイヤルイン)番号によっては、テレフォニー制御装置102の制御によって一旦、着信呼をキューイングした後に、CTIサーバ装置103の制御によって、IVRサーバ装置105に着信し、IVRサーバ装置105のシナリオ制御部115によって、音声応答及び必要によっては発信者の電話機からのPB信号入力を行うことによって、シナリオ制御を実行し、シナリオ制御によって着信するオペレータのグループ(着信グループ)が選択され、その後、ACD制御部123によって着信グループの中からオペレータを選択し(均等着信機能)、前記と同様にオペレータへの着信を実施することを実現する。
【0014】
図2は、図1の実施例における集計サーバ装置の構成の一例を示す図である。図において、集計サーバ装置104は、記憶部2、および監視部3を備える。記憶部2は、集計DB21、監視集計DB22、およびMISDB23を備える。集計サーバ装置104は、CTIサーバ装置103が集計カウントした情報を、集計サーバ装置104の記憶部2へ通知することによって、DB(図11)に情報を蓄積する。集計DB21(図11(A))は、コールセンタ運用における集計レポートを出力するためのDB情報であり、集計情報(着信数/応答数/放棄数/あふれ数等の情報)が蓄積されている。監視集計DB22(図11(B))は、本発明に係る擬似呼によって蓄積した情報を出力するためのDB情報であり、擬似呼の集計情報(発信情報/着信情報等の情報)が蓄積されている。MISDB23(図11(C))は、擬似呼の発着信の結果による障害情報(障害発生時刻/アラーム情報)が蓄積されており、MISモニタ装置106からリアルタイム表示が可能となる。
【0015】
また、集計サーバ装置104は監視部3を備え、本発明に係る擬似呼発着信動作による監視を実現している。監視部3は、集計DB読込処理手段31、監視処理手段32、発信処理手段33、クライアントインタフェース34、監視集計DB読書処理手段35、動作設定ファイル読込処理手段36、および監視スケジュール管理処理手段37を備える。監視処理手段32は、動作設定ファイル読込処理手段36から動作条件(障害判定回数の閾値情報、監視モード(着信の最繁時に擬似呼発信をするのかの動作モード)、動作ログ出力フォルダ情報等)を読込んで動作しており、監視スケジュール管理処理手段37における条件(カレンダー日単位の擬似呼発着信監視開始〜終了時間帯、時間帯毎の擬似呼発信間隔、時間帯毎の最繁時設定等)、及び集計DB読込処理手段31で読込んだ、集計DB21内の着信数、オペレータ応答数、IVR応答数から現在の着信状況、応答状況を判断し擬似呼の発信を発信処理手段33へ指示する。発信処理手段33は、擬似発信を実現しており、本処理手段33から発信を行うと、クライアントインタフェース34を介してCTIサーバ装置103へ発信要求が行われ、CTIサーバ装置103がテレフォニー制御装置102へ発信要求を伝え、テレフォニー装置102が回線収容装置101を経由して公衆網100へ擬似呼を発信する。
【0016】
この擬似呼は、公衆網100で折り返し、発信先である自コールセンタシステムへの着信が発生する。この着信は、回線収容装置101からテレフォニー制御装置102へ着信し、一旦、着信呼をキューイングして、同時にテレフォニー制御装置102からCTIインタフェースを介してCTIサーバ装置103へキューイングしたことを通知することになる。監視集計DB読書処理手段35は、擬似呼発信時、監視集計DB22に擬似呼の発信時間、着信時間、着信状況を書込む。
【0017】
図3は、図1の実施例におけるCTIサーバ装置の構成の一例を示す図である。図において、CTIサーバ装置103は、ACD制御部301、CTI制御部302、集計制御部303、クライアント制御部304を備える。CTIサーバ装置103は、CTI制御部302によってテレフォニー制御装置102とCTIインタフェース通信を実施しており、テレフォニー制御装置102から着信呼のキューイングが通知されると、ACD制御部301内のACD処理部312によって、擬似呼か、擬似呼ではない着信呼かの判定を行う。ACD処理部312において擬似呼と識別すると、監視処理部311によって擬似呼の処理が実施されて、集計制御部303を経由して、集計サーバ装置104の監視集計DB22(図11(B))へ集計結果を出力する。
【0018】
図4は、図1の実施例における擬似呼の発着信に係る構成の一例を説明するための図である。本例では、図1に示さない構成として、CTIサーバ装置(ACD処理部)103に、着信処理部163、および擬似着信認識部173を備える。また、集計サーバ装置(発信処理部)104に、擬似発信制御部134、およびソフトフォン144を備える。図5は、CTIサーバ装置103での擬似着信呼の切断シーケンスの一例を示す図である。また、図6は、IVRサーバ装置105での擬似着信呼の切断シーケンスの一例を示す図である。擬似呼の発信は、集計サーバ装置(発信処理)104の擬似発信制御部134から、ソフトフォン144へ発信要求を行い、ソフトフォン144はテレフォニー制御装置102、回線収容装置101を経由し、公衆網100へ擬似呼を発信する。その後、擬似呼が公衆網100から回線収容装置101に着信すると、テレフォニー制御装置102は、CTIサーバ装置(ACD処理部)103に着信呼キューイング通知を行う。CTIサーバ装置(ACD処理部)103の擬似着信認識部173は、通知された着信が擬似着信かを判断する。そして、着信呼が擬似呼であり、IVRサーバ装置105への着信ではない場合、CTIサーバ装置104が着信呼を切断する(図5)。IVRサーバ装置105への着信の場合は、CTIサーバ装置(ACD処理部)103はテレフォニー制御装置102へキューイングされている着信呼をIVRサーバ装置105へ転送するよう要求し、テレフォニー制御装置102が転送処理を実施する。IVRサーバ装置105へ転送着信後、IVRサーバ装置105が着信呼を切断する(図6)。
【0019】
このように本発明では、公衆網100に自発的に擬似呼を発信する擬似発信制御部134と、公衆網100から着信した着信呼に擬似呼が含まれている場合に擬似呼の着信を認識する擬似着信認識部173とを備える。そして、擬似着信認識部173における擬似呼の着信の認識有無によりコールセンタシステム等の電話システムの障害判定を行う。障害があるとの判定は、例えば、擬似呼の発信後に、擬似着信認識部173が擬似呼の着信を予め決められた時間内に認識しない場合に行うことができ、あるいは、擬似呼の発信後に、擬似着信認識部173が擬似呼の着信を予め決められた時間内に認識した場合であって、擬似呼の発信時刻と着信時刻の時間差が設定値を超える場合に行うことができる。さらに、システムに障害があると判定された場合には、アラームを出力することができる。アラームは、音、光、振動、画面表示、プリント出力等で行うことができるが、これらに限定されない。
【0020】
擬似発信制御部134による擬似呼の発信は、定期的に行うことができ、また、設定時間間隔内に公衆網100から着信呼がない場合に行うことができる。擬似呼は、発番号または発サブアドレスに擬似発信を識別する情報を付加して生成することができる。さらに、公衆網から着信した着信呼に含まれる擬似呼の集計と、擬似呼以外の着信呼の集計とを別管理とすることができる。
【0021】
図7は、本発明の一実施例における呼の発着信動作監視処理の一例を示すフローチャートである。以下、これらの呼の発着信監視における一連の処理について説明をする。まず、呼の着信処理をするに当たり初期設定として、動作設定ファイルの読み込みを行う(ステップS401)。先のステップS401にて、動作設定読み込み後に、呼の着信を監視するための監視スケジュール情報の読み込みを行う(ステップS402)。先のステップS401,S402にて読込んだ情報を元に監視モード(無着信監視/定期監視)を判定する(ステップS403)。先のステップS403にて無着信監視の監視モードが選択された場合に、集計DB801(図11(A))に読み込みを行う(ステップS404)。先のステップS404にて集計DB801(図11(A))から読み込んだ着信数と前回監視時の着信数を比較して着信有無を判定する(ステップS405)。着信有りの場合は、次回監視用の着信数を記憶し(ステップS406)、終了する。着信無しの場合には監視用の擬似呼発信を行う(ステップS407)。また、先のステップS403にて定期監視の監視モードが選択された場合は、着信無しの場合と同様に、監視用の擬似呼発信を行う(ステップS407)。
【0022】
先のステップS407にて擬似呼発信を行う場合には、その発信時刻を記憶する(ステップS408)。先のステップS408にて擬似呼発信時刻を記憶したのち、擬似呼の着信時間待ちから擬似呼の着信の有無を判定する(ステップS409)。擬似呼の着信が有る場合は、擬似呼の発信時刻と着信時刻の時間差が予め定めた設定値を超えるかどうかを判定し(ステップS410)、擬似呼の着信が無い場合は、システムが停止している旨をアラーム出力して(ステップS411)、終了する。先のステップS410にて擬似呼の発信時刻と着信時刻の時間差が設定値を超えた(時間経過)場合は、遅延アラームを出力し(ステップS412)、終了する。擬似呼の発信時刻と着信時刻の時間差が設定値内(時間内)の場合は、遅延アラームを出力せずに処理を終了する。
【0023】
図8は、本発明の一実施例における公衆網からの擬似呼着信を識別するための情報フォーマットの一例を示す図である。本図には、情報として公衆網の種別(ISDN網、IP網)、発番号(自回線番号*T)、発信先番号(自コールセンタ収容のDI番号)が格納されている。例えば、擬似呼を発信するとき、公衆網がISDN網であれば、発番号と発サブアドレスに自回線番号*T(一例としては、031234567*Tとなり、Tは発サブアドレスを示す)を指定して、発信先を自コールセンタ収容のDI(ダイヤルイン)番号へ発信する。
【0024】
擬似発信では、公衆網から擬似呼が折り返して着信するため、テレフォニー制御装置を経由してCTIサーバ装置に着信のキューイング情報が伝わったときに、発番号と発サブアドレスから発サブアドレスTを検出して、良好に擬似呼と認識することが可能となる。また、公衆網がIP網の場合も同様に、CTIサーバ装置は発番号からT(Tはfrom情報の*以下の情報)を検出して良好に擬似呼と認識することが可能となる。なお、後述の擬似呼の判定処理(図9)では、このT(T以外でも擬似呼TESTを示す情報であれば可能)により擬似呼を認識することによって、応答動作をせず、着信をもって監視良好と判定するため、非課金となる。
【0025】
図9は、本発明の一実施例における擬似呼着信処理の一例を示すフローチャートである。本処理では、通常の着信か、若しくは擬似呼着信(発番号が「自回線番号*T」(図8)にて表記される)かについて判定する。その手順について以下説明する。はじめに、呼がCTIサーバに着信通知があると(ステップS601)、呼の着信処理が始まる。次に、着信した呼の発番号にTが有るかどうかにより、通常の着信か、若しくは擬似呼着信かを判定する(ステップS602)。通常の着信(T無し)の場合は、着信処理(S603)へ遷移し、一方、擬似呼着信(T有り)の場合には、監視集計出力処理(ステップS606)へ遷移する。
【0026】
先のステップS602にて通常の着信の場合には、着信先のオペレータまたは着信先のIVRを決定するための着信処理をする(ステップS603)。先のステップS603にて着信処理を経て集計DB21に集計出力処理をする(ステップS604)。先のステップ604にて着信処理、集計出力処理を経てオペレータ着信、またはIVR着信による着信を行い(ステップS605)、終了する。一方、先のステップS602にて擬似呼着信の場合には、監視集計DB22(図11(B))に監視集計出力処理をする(ステップS606)。先のステップS606にて監視集計出力処理後、IVRサーバの有無を判定する(ステップS607)。IVRサーバが無い場合は、呼を切断して(ステップS608)、本処理を終了する。IVRサーバが有る場合は、呼をIVR装置へ転送して(ステップS609)、本処理を終了する。
【0027】
図7と図9に示す処理により、コールセンタシステム等の電話システムとネットワーク網を含めて正常動作が可能かどうかを確認することができる。本処理は、例えば、着信がない時間帯を狙って効率よく実施すると共に、ネットワーク網へのトラフィックへの負担が少ないなど、高トラフィックを阻害しないように実施されることが望ましい。
【0028】
図10は、本発明の一実施例における呼のIVRサーバ転送後の処理の一例を示すフローチャートである。本図は、呼の着信判定処理で擬似呼着信(発番号が「自回線番号*T」(図8)にて表記される)となり、かつIVRサーバが存在する場合に、IVRサーバへ呼を転送した後の処理である。はじめに、IVRサーバに呼を着信させる(ステップS701)。着信した呼の発番号にTが有るかどうかにより、通常の着信か、若しく擬似呼着信かを判定する(ステップS702)。通常の着信(T無し)の場合は、IVR着信処理シナリオ実行(ステップS703)へ遷移し、擬似着信(T有り)の場合は、監視集計DB22の監視集計出力処理(ステップS706)へ遷移する。
【0029】
先のステップ(S703)にて通常の着信の場合には、集計DB21集計出力処理をする(ステップS704)。先のステップにてIVR着信処理シナリオ実行、集計出力処理を経てオペレータ着信、またはシナリオ終了での呼の切断(ステップS705)をして、本処理を終了する。一方、先のステップS702にて擬似呼着信の場合には、監視集計出力処理(ステップS706)を経て呼を切断(ステップS707)して、本処理を終了する。本処理により、擬似呼に応答しないため、公衆網に課金されずに、発着信動作監視を実施することができる。
【0030】
図11は、本発明の一実施例における集計サーバ装置104の記憶部2(集計DB21、監視集計DB22、MISDB23)のDBフォーマットの一例を示す図である。集計DB801には、図11(A)に示すように、集計時刻、着信数、オペレータ応答数、IVR応答数、不応答数、放棄数等が格納されている。監視集計DB802には、図11(B)に示すように、擬似発信時刻、擬似着信時刻、擬似着信、IVRの擬似着信が格納されている。MISDB803には、図11(C)に示すように、障害発生時刻、アラーム情報が格納されている。
【0031】
図12は、本発明の一実施例におけるMISモニタ装置の表示内容の一例を示す図である。運用情報901では、図12(A)に示すように、オペレータ情報と着信グループ情報に区分され、コールセンタの現在の運用状態を表示する。オペレータ情報には、オペレータ毎に情報が表示され、オペレータ内線番号、オペレータ状態、及び電話機状態が表示される。着信グループ情報には、公衆網から着信したDI番号やIVR装置のシナリオ動作によって、オペレータグループに分類された情報で、着信グループ毎に情報が表示され、着信数、応答数、不応答数、放棄数がある。
【0032】
監視情報902では、図12(B)に示すように、擬似発信情報と監視アラーム情報に区分され、擬似発信した時点の発着信の履歴情報を表示する。擬似発信情報には擬似発信時刻、擬似着信、IVRの擬似着信がある。監視アラーム情報にはアラーム発生時刻、情報がある。擬似着信または、IVRの擬似着信がなしとなった場合には、監視アラーム情報にアラーム発生時刻、発生した現象とその対処方法を表示する。
【0033】
上述の図11(A)〜(C)、図12(A),(B)に示す情報は、MISモニタ装置106にて、集計DB801(図11(A))、監視集計DB802(図11(B))、MISDB803(図11(C))のDBの内容を参照し、運用情報901(図12(A))、監視情報902(図12(B))を表示することができる。
【0034】
以上のように、本発明では、例えばコールセンタに着信が入らない時間が継続する場合においても、自発的に公衆網への発着信を擬似呼として実施し、良好に装置障害の発生有無を切り分けること、及びこの擬似呼の発着信によって集計結果に影響を及ぼさないように、コールセンタ運用の集計情報と擬似呼の障害集計情報を別管理とすることができる。従来の発着信動作監視においては、着信が入らない時間が継続する場合、装置障害の発生有無を切り分けることができないが、本発明によれば、発信を擬似的に実施しこれを認識することで、良好にシステム障害の発生有無を切り分け、障害集計の結果を管理することができる。
【符号の説明】
【0035】
2:記憶部(21:集計DB、22:監視集計DB、23:MISDB)、3:監視部、101:回線収容装置、102:テレフォノー制御装置、103:CTIサーバ装置、104:集計サーバ装置、105:IVRサーバ装置、106:MISモニタ装置、107〜108:端末(電話機、クライアントPC)、201:集計DB、202:監視DB、203:MISDB、301:ACD制御部、302:CTI制御部、303:集計制御部、304:クライアント制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆網に接続された電話システムにおける発着信動作監視システムであって、
前記公衆網に擬似呼を発信する擬似発信制御部と、
前記公衆網から着信した着信呼に前記擬似呼が含まれている場合に前記擬似呼の着信を認識する擬似着信認識部とを備え、
前記擬似着信認識部における前記擬似呼の着信の認識有無により前記電話システムの障害判定を行うことを特徴とする発着信動作監視システム。
【請求項2】
前記擬似呼の発信後に、前記擬似着信認識部が前記擬似呼の着信を予め決められた時間内に認識しない場合、前記電話システムに障害があると判定することを特徴とする請求項1に記載の発着信動作監視システム。
【請求項3】
前記擬似呼の発信後に、前記擬似着信認識部が前記擬似呼の着信を予め決められた時間内に認識した場合であって、前記擬似呼の発信時刻と着信時刻の時間差が設定値を超える場合に、前記電話システムに障害があると判定することを特徴とする請求項1に記載の発着信動作監視システム。
【請求項4】
前記電話システムに障害があると判定された場合に、アラームを出力することを特徴とする請求項2または3に記載の発着信動作監視システム。
【請求項5】
前記擬似呼の発信が、定期的に行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
【請求項6】
前記擬似呼の発信が、設定時間間隔内に前記公衆網から前記電話システムに着信呼がない場合に行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
【請求項7】
前記擬似呼が、発番号または発サブアドレスに擬似発信を識別する情報を付加して生成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
【請求項8】
前記電話システムが、前記公衆網から着信した着信呼に含まれる擬似呼の集計と、前記擬似呼以外の着信呼の集計とを別管理とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発着信動作監視システム。
【請求項9】
前記電話システムが、顧客への電話対応業務をオペレータが行うコールセンタシステムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の発着信動作監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−205291(P2012−205291A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71067(P2011−71067)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】