説明

電話機、および音声入力切り替え方法

【課題】音声入力手段の切り替えの際の通話障害の発生を抑制した電話機を提供する。
【解決手段】ハンドセットおよびヘッドセットと接続可能な電話機であって、ハンドセットおよびヘッドセットの2つのうち一方と、音声信号を伝送するための第1の配線および基準電位を一致させるための第2の配線が並列に接続され音声信号を増幅する第1のOPアンプと、他方と接続され音声信号を増幅する第2のOPアンプと、電源と第1のOPアンプとの間に設けられ、オン信号を受信すると第1のOPアンプに電源電圧を供給し、オフ信号を受信すると第1のOPアンプへの電源電圧の供給を停止する第1のスイッチと、電源に接続された第1の抵抗と第1の配線とを接続するための第3の配線にある任意の点の電圧を監視し、電圧が所定の値を超える場合、第1のスイッチにオン信号を送信し、所定の電位を超えない場合、オフ信号を送信する制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機、および音声入力切り替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電話機の受話器には、手に持って通話するためのハンドセットと、電話機を利用する人が両手で他の作業を可能にするためのヘッドセットとがある。ハンドセットおよびヘッドセットには、ハンドセットを持って通話する人の音声を入力するためのマイクロフォンと、電話機本体を介して通話先から受信する信号に応じて音声を出力するスピーカとを有する。なお、ハンドセットは一般的に用いられているため、ここでは、その構成についての詳細な説明を省略する。
【0003】
ヘッドセットは、ヘアバンドに1つまたは2つのスピーカと1つのマイクロフォンとが装着された構成である。スピーカはヘアバンドの端に固定され、マイクロフォンはヘッドセットとワイヤを介して取り付けられている。ヘッドセットのヘアバンドを人の頭に装着すると、スピーカが1つの場合は片耳に、2つの場合は両耳にそれぞれ位置する。一方、マイクロフォンは音声を伝える場合は口元に、音声を伝えない場合は口元から離れた位置に調節できるようになっている。
【0004】
ハンドセットおよびヘッドセットのいずれにおいても、マイクロフォンから入力される音声に対応した信号である音声信号を電話機本体に伝達するための入力配線と、通信先から受信した音声信号を電話機本体からスピーカに伝達するための出力配線とが設けられている。そして、入力配線および出力配線と電話機本体とを容易に脱着可能にするためのコネクタとして、モジュラージャックが用いられている。
【0005】
以下に、ハンドセットおよびヘッドセットのいずれも装着可能な従来の電話機の構成を説明する。ここでは、マイクロフォンから入力される音声信号を通信先に送信するための構成について中心に説明し、通信先からの音声信号をスピーカから出力するまでの構成についての説明は省略する。また、ハンドセットおよびヘッドセットを音声入力手段と総称する。
【0006】
図5は、従来の電話機の一構成例を示すブロック図である。
【0007】
図5に示すように、従来の電話機は、ハンドセット2およびヘッドセット3と、ハンドセット2およびヘッドセット3の少なくともいずれかと接続される本体1とを有する。
【0008】
本体1は、ハンドセット2のマイクロフォンと接続されるOPアンプ5と、ヘッドセット3のマイクロフォン部と接続されるOPアンプ6と、OPアンプ5およびOPアンプ6の少なくともいずれかの信号を増幅するOPアンプ9と、OPアンプ5から入力される信号をOPアンプ9に出力するか否かを切り替える音声オン/オフスイッチ7と、OPアンプ6から入力される信号をOPアンプ9に出力するか否か切り替える音声オン/オフスイッチ8と、OPアンプ9から出力された音声信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するCODEC15と、CODEC15から入力されるデジタル信号を外部へ出力する動作、ならびに音声オン/オフスイッチ7および音声オン/オフスイッチ8のスイッチ動作を制御する制御部4とを有する。
【0009】
制御部4は、プログラムにしたがって所定の処理を行うCPU(Central Processing Unit)13とプログラムを格納するためのプログラム記憶装置14とを有する。CPU13は、音声オン/オフスイッチ7および音声オン/オフスイッチ8のそれぞれと信号線を介して接続されている。また、CPU13は、CODEC15と配線61で接続されている。
【0010】
ハンドセット2が本体1に接続されると、ハンドセット2はOPアンプ5の非反転入力端子(+)と配線51で接続される。配線51は抵抗10を介して電源に接続されている。配線51を介してハンドセット2に電源から電流が供給される。音声信号が配線51を介してOPアンプ5に入力される。また、ハンドセット2とOPアンプ5の反転入力端子(−)とが配線52で接続される。配線52は接地線12に接続されている。
【0011】
ヘッドセット3が本体1に接続されると、ヘッドセット3はOPアンプ6の非反転入力端子とが配線53で接続される。配線53は抵抗11を介して電源に接続されている。配線53を介してヘッドセット3に電源から電流が供給される。音声信号が配線53を介してOPアンプ6に入力される。また、ヘッドセット3とOPアンプ6の反転入力端子とが配線54で接続される。配線54は接地線12に接続されている。
【0012】
OPアンプ5の出力端子は、音声オン/オフスイッチ7を介してOPアンプ9の非反転入力端子に接続されている。OPアンプ5は、ハンドセット2が接続されると、非反転入力端子に接続される信号を増幅して音声オン/オフスイッチ7に出力する。
【0013】
OPアンプ6の出力端子は、音声オン/オフスイッチ8を介してOPアンプ9の非反転入力端子に接続されている。OPアンプ6は、ヘッドセット3が接続されると、非反転入力端子に接続される信号を増幅して音声オン/オフスイッチ8に出力する。
【0014】
OPアンプ9の反転入力端子は、接地線12に接続されている。また、OPアンプ9の出力端子は、CODEC15に接続されている。なお、OPアンプ5、OPアンプ6、およびOPアンプ9はいずれも正電圧および負電圧を供給する電源に配線を介して接続されている。
【0015】
音声オン/オフスイッチ7はトランジスタを含む構成であり、CPU13からオン信号を受信すると、オン状態になりOPアンプ5から受信する音声信号をOPアンプ9に出力する。一方、CPU13からオフ信号を受信すると、オフ状態になりOPアンプ9に対し何も出力しない。なお、音声オン/オフスイッチ8の動作も音声オン/オフスイッチ7と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0016】
CODEC15は、配線61でCPU13に接続されている。CODEC15は、OPアンプ9から受信する音声信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して、変換した信号をCPU13に出力する。
【0017】
また、ハンドセット2およびヘッドセット3のうちいずれかを使用可能にするかを設定するための音声入力設定手段(不図示)が本体1に設けられ、CPU13と信号線(不図示)を介して接続されている。そして、音声入力設定手段は、操作者により入力される指示に対応した入力設定信号をCPU13に送信する。
【0018】
制御部4のCPU13は、音声入力設定手段により音声入力手段がハンドセット2に設定されると、音声オン/オフスイッチ7にオン信号を送信し、音声オン/オフスイッチ8にオフ信号を送信する。一方、音声入力手段がヘッドセット3に設定されると、音声オン/オフスイッチ8にオン信号を送信し、音声オン/オフスイッチ7にオフ信号を送信する。また、CODEC15からデジタル信号を受信すると、受信した信号そのものを配線62で外部に出力する。
【0019】
次に、図5に示した従来の電話機の動作を簡単に説明する。ここでは、操作者がハンドセット2を利用して通話中にハンドセット2からヘッドセット3に切り替える場合とする。
【0020】
操作者がハンドセット2を使って通話中にヘッドセット3を本体1に装着すると、ヘッドセット3は、入力される音声に対応した音声信号をOPアンプ6の非反転入力端子に出力する。OPアンプ6はヘッドセット3から受信した音声信号を増幅して音声オン/オフスイッチ8に出力する。
【0021】
また、操作者が音声入力設定手段(不図示)を操作してヘッドセット3を使用可能に設定する旨の指示を入力すると、音声入力設定手段はヘッドセット3に設定する旨の情報を含む入力設定信号をCPU13に送信する。CPU13は、ヘッドセット3に設定する旨の情報を含む入力設定信号を受信すると、音声オン/オフスイッチ8にオン信号を送信し、音声オン/オフスイッチ7にオフ信号を送信する。
【0022】
音声オン/オフスイッチ7はCPU13からオフ信号を受信すると、オフ状態になる。音声オン/オフスイッチ8は、CPU13からオン信号を受信すると、OPアンプ6から入力される音声信号をOPアンプ9に出力する。OPアンプ9は音声オン/オフスイッチ8から入力される音声信号を増幅してCODEC15に出力する。CODEC15はOPアンプ9から受信する音声信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換し、デジタル信号をCPU13に出力する。CPU13は、デジタル信号を受信すると、その信号を外部に出力する。なお、ヘッドセット3からハンドセット2に切り替える場合も同様である。
【0023】
上述したようにして、ハンドセット2とヘッドセット3との間で音声入力手段を切り替えるとき、音声信号を伝達するための信号伝送路上にスイッチを設けることは、携帯電話機にも応用されている(特許文献1参照)。
【0024】
音声信号を伝達するための信号伝送路上にスイッチを設けると、オン状態におけるスイッチ自身の電気的抵抗の変化が音声信号の伝達に障害を発生させることがある。この問題に対応するために、信号伝送路のスイッチの後段にOPアンプ9を設けている。OPアンプ9の非反転入力端子にスイッチを接続することで、スイッチを通過した後の音声信号が増幅され、増幅された音声信号がCODEC15に出力される。これにより、より確実に音声信号を伝達できるようになる。
【特許文献1】特開平9−116961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
従来の電話機は、信号伝送路上にスイッチだけでなく、スイッチの後段にOPアンプが設けられているため、電話機の小型化の妨げになってしまうという問題がある。
【0026】
また、スイッチのオンおよびオフの状態変化の際にノイズが発生すると、ノイズが通話の障害になるという問題がある。
【0027】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、音声入力手段の切り替えの際の通話障害の発生を抑制した電話機、および音声入力切り替え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するための本発明の電話機は、
音声を入力するためのマイクロフォンを備えたハンドセットおよびヘッドセットと接続可能な電話機であって、
前記ハンドセットおよび前記ヘッドセットの2つのセットのうち一方のセットと、前記音声の信号である音声信号を伝送するための第1の配線および基準電位を一致させるための第2の配線が並列に接続され、前記音声信号を増幅して出力する第1のOPアンプと、
前記2つのセットのうち他方のセットと接続され、前記音声信号を増幅して出力する第2のOPアンプと、
電源と前記第1のOPアンプとの間に設けられ、オン信号を受信すると前記第1のOPアンプに電源電圧を供給し、オフ信号を受信すると該第1のOPアンプへの電源電圧の供給を停止する第1のスイッチと、
電源に接続された第1の抵抗と前記第1の配線とを接続するための第3の配線にある任意の点の電圧を監視し、該電圧が所定の値を超える場合、前記第1のスイッチに前記オン信号を送信し、該電圧が所定の値を超えない場合、前記第1のスイッチに前記オフ信号を送信する制御部とを有する構成である。
【0029】
本発明によれば、スイッチが信号伝送路でなく、いずれか一方のセットから入力される音声信号を増幅するOPアンプに電源を供給するための電源供給路に設けられており、このスイッチのオンおよびオフを制御することで、他方から一方のセットへ音声入力を切り替えることが可能となる。
【0030】
また、上記本発明の電話機において、
電源と前記第2のOPアンプとの間に、オン信号を受信すると前記第2のOPアンプに電源電圧を供給し、オフ信号を受信すると該第2のOPアンプへの電源電圧の供給を停止する第2のスイッチが設けられ、
前記制御部は、
前記第3の配線にある任意の点の電圧を監視し、該電圧が所定の値を超える場合、前記第1のスイッチにオン信号を送信し、前記第2のスイッチにオフ信号を送信し、前記電圧が所定の値を超えない場合、前記第1のスイッチにオフ信号を送信し、前記第2のスイッチにオン信号を送信することとしてもよい。
【0031】
この場合、2つのセットのうち一方のセットに接続されるOPアンプだけでなく、他方のセットに接続されるOPアンプの電源供給路にもスイッチを設け、いずれか一方のスイッチのみをオンするように制御しているため、ハンドセットまたはヘッドセットのどちらか一方のみに音声入力を切り替えることが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明では、音声信号を伝達するための信号伝送路にスイッチを設けていないため、ハンドセットおよびヘッドセットのうちいずれか一方から他方に切り替える際、ノイズの発生が抑制される。また、従来の電話機と比較して、スイッチが2つから1つに減り、さらに信号伝送路にスイッチを設けた場合に必要となるOPアンプが不要であるため、従来よりも電話機を小型化することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の電話機は、音声信号を伝達するための信号伝送路にスイッチを設けずに、音声信号を増幅するためのOPアンプに電源電圧を供給するか否かのスイッチを設けたことを特徴とする。
【実施例1】
【0034】
本実施例の電話機の構成を説明する。
【0035】
図1は、本実施例の電話機の一構成例を示したブロック図である。なお、従来と同様な構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0036】
図1に示すように本実施例の電話機は、ハンドセット2およびヘッドセット3と、ハンドセット2およびヘッドセット3が接続可能な本体21とを有する。
【0037】
本体21は、ハンドセット2と接続されるOPアンプ5と、ヘッドセット3と接続されるOPアンプ6と、OPアンプ6に正電圧を供給するか否か切り替えを行う音声切り替えスイッチ25と、OPアンプ5またはOPアンプ6から入力される音声信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するCODEC15と、CODEC15から入力されるデジタル信号を外部へ出力する動作および音声切り替えスイッチ25のスイッチ動作を制御する制御部22とを有する。
【0038】
ハンドセット2が本体21に接続されると、ハンドセット2は従来と同様に、OPアンプ5の非反転入力端子と配線51で接続され、OPアンプ5の反転入力端子と配線52で接続される。
【0039】
ヘッドセット3が本体21に接続されると、ヘッドセット3とOPアンプ6の非反転入力端子とが配線53で接続される。配線53は抵抗11と配線55で接続されている。抵抗11は電源に接続されている。電源から抵抗11、配線55、および配線53を介してヘッドセット3に電流が供給される。すると、音声信号が配線53を介してOPアンプ6に入力される。また、ヘッドセット3とOPアンプ6の反転入力端子とが配線54で接続される。配線54は接地線12に接続されている。OPアンプ6は、音声切り替えスイッチ25を介して正電圧を出力する電源に接続されている。負電圧側については配線のみを介して電源に接続されている。
【0040】
OPアンプ6は、ヘッドセット3が本体21に接続され、音声切り替えスイッチ25を介して電源が供給されると、非反転入力端子に入力される信号を増幅してCODEC15に出力する。
【0041】
制御部22は、プログラムにしたがって所定の処理を行うCPU23とプログラムを格納するためのプログラム記憶装置24とを有する。CPU23は、音声切り替えスイッチ25と信号線を介して接続されている。また、配線61でCODEC15と接続されている。さらに、配線55との接続部である接続部56と配線57で接続されている。接続部56の電圧は、ヘッドセット3が接続される前後で変動する。
【0042】
音声切り替えスイッチ25はトランジスタを含む構成であり、CPU23からオン信号を受信すると、オン状態となり、OPアンプ6に電源からの正電圧を供給する。一方、CPU23からオフ信号を受信すると、オフ状態となり、OPアンプ6に対し正電圧の供給を停止する。
【0043】
なお、音声切り替えスイッチ25は、OPアンプ6の負電圧を供給する電源側に接続されてもよい。この場合、正電圧側に接続されているときと同じく、音声切り替えスイッチ25はCPU23からスイッチ動作の信号を受信すると、信号に対応してOPアンプ6に対する電源からの負電圧を供給または停止する。
【0044】
CODEC15は、OPアンプ5またはOPアンプ6から受信する音声信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して、変換した信号をCPU23に出力する。
【0045】
制御部22のCPU23は、ヘッドセット3が本体21に接続されて接続部56の電圧が所定の値を超えたことを検知すると、音声切り替えスイッチ25にオン信号を送信する。
【0046】
反対にヘッドセット3が本体21から取り外されて、接続部56の電圧が所定の値を超えないと、CPU23は音声切り替えスイッチ25にオフ信号を送信する。また、CODEC15からデジタル信号を受信すると、受信した信号そのものを配線62で外部に出力する。なお、上記所定の値はヘッドセット3が接続されたか否かを判定するための基準電圧であり、この値は予めプログラムに記述されている。
【0047】
次に、本実施例の電話機の動作について説明する。ここでは、操作者がヘッドセットを利用して通話する場合とする。
【0048】
図2は、本実施例の電話機の動作手順を示すフローチャートである。
【0049】
本体21は、モジュラージャックによるヘッドセット3の接続を受け付けると、抵抗11を介して電源からヘッドセット3に電流を供給する(ステップ101)。ヘッドセット3が接続されると、接続部56の電圧が変動する。このときCPU23は、配線57を介して接続部56の電圧の変動を検知する(ステップ102)。
【0050】
CPU23は、接続部56の電圧が所定の値を超えたことを検知すると、音声切り替えスイッチ25に対しオン信号を送信する(ステップ103)。音声切り替えスイッチ25は、CPU23からオン信号を受信するとオン状態となり、OPアンプ6に電源電圧を印加する(ステップ104)。OPアンプ6は、電源の供給を受けるとオン状態となる(ステップ105)。
【0051】
OPアンプ6がオンすると、OPアンプ6はヘッドセット3から入力される音声信号を増幅してCODEC15に出力する(ステップ106)。CODEC15は、OPアンプ6から受信する音声信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号をCPU23に出力する(ステップ107)。CPU23がデジタル信号を外部に出力することで、ヘッドセット3での通話が可能となる。
【0052】
なお、本実施例では、ヘッドセット3の接続状況を監視して音声切り替えスイッチ25のオンおよびオフの制御を行っているが、音声切り替えスイッチをOPアンプ5の電源供給路に設け、ハンドセット2の接続状況を監視してスイッチの制御を行うようにしてもよい。
【0053】
本実施例の電話機は、上述したように、スイッチを信号伝送路でなく、音声を切り替える方の音声入力手段と接続されるOPアンプの電源供給路に設けている。
【0054】
信号伝送路に音声信号をオンまたはオフするスイッチを設けていないため、音声入力手段切り替えの際にノイズの発生が抑制される。また、スイッチを介して伝送される音声信号を増幅するためのOPアンプを設ける必要がなく、音声オン/オフスイッチ7,8の代わりに音声切り替えスイッチ25を設けているだけなので、従来よりも電話機を小型化することが可能となる。
【実施例2】
【0055】
本実施例は、実施例1で説明した音声切り替えスイッチをOPアンプ5にも設けたものである。
【0056】
本実施例の電話機の構成を説明する。
【0057】
図3は、本実施例の電話機の一構成例を示したブロック図である。なお、実施例1と同様な構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0058】
図3に示すように本実施例の電話機は、ハンドセット2およびヘッドセット3と、ハンドセット2およびヘッドセット3の少なくともいずれかと接続される本体31とを有する。
【0059】
本体31は、ハンドセット2と接続されるOPアンプ5と、ヘッドセット3と接続されるOPアンプ6と、OPアンプ5に正電圧を供給するか否か切り替えを行う音声切り替えスイッチ35と、OPアンプ6に正電圧を供給するか否か切り替えを行う音声切り替えスイッチ25と、OPアンプ5およびOPアンプ6の少なくともいずれかから出力される音声信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するCODEC15と、CODEC15から入力されるデジタル信号を外部へ出力する動作、ならびに音声切り替えスイッチ25および音声切り替えスイッチ35のスイッチ動作を制御する制御部32とを有する。
【0060】
OPアンプ5は、音声切り替えスイッチ35を介して正電圧を供給する電源に接続されている。負電圧側については配線のみを介して電源に接続されている。
【0061】
OPアンプ5は、ハンドセット2が本体31に接続され、音声切り替えスイッチ35を介して電源が供給されると、非反転入力端子に接続されている信号を増幅してCODEC15に出力する。
【0062】
OPアンプ6は、ヘッドセット3が接続され、電源が供給されると、非反転入力端子に接続されている信号を増幅してCODEC15に出力する。
【0063】
制御部32は、プログラムにしたがって所定の処理を行うCPU33とプログラムを格納するためのプログラム記憶装置34とを有する。CPU33は、音声切り替えスイッチ25および音声切り替えスイッチ35のそれぞれと信号線を介して接続されている。また、配線61でCODEC15に接続されている。さらに、接続部56と配線57で接続されている。接続部56の電圧は、ヘッドセット3が接続される前後で変動する。
【0064】
音声切り替えスイッチ35は、実施例1の音声切り替えスイッチ25と同様な構成なため、ここではその説明を省略する。
【0065】
CODEC15は、実施例1で説明したため、ここではその説明を省略する。
【0066】
制御部32のCPU33は、ヘッドセット3が本体31に接続され、接続部56の電圧が所定の値を超えたことを検知すると、音声切り替えスイッチ25にオン信号を送信し、音声切り替えスイッチ35にオフ信号を送信する。反対にヘッドセット3が本体21から取り外されて、接続部56の電圧が所定の値を超えないと、CPU33は音声切り替えスイッチ25にオフ信号を送信し、音声切り替えスイッチ35にオン信号を送信する。また、CODEC15からデジタル信号を受信すると、受信した信号そのものを配線62で外部に出力する。
【0067】
次に、本実施例の電話機の動作について説明する。ここでは、操作者がハンドセットからヘッドセットへ通話手段を切り替える場合とする。
【0068】
図4は、本実施例の電話機の動作手順を示すフローチャートである。
【0069】
本体31は、モジュラージャックによるヘッドセット3の接続を受け付けると、抵抗11を介して電源からヘッドセット3に電流を供給する(ステップ201)。ヘッドセット3が接続されると、接続部56の電圧が変動する。このときCPU33は、配線57を介して接続部56の電圧の変動を検知する(ステップ202)。
【0070】
CPU33は、接続部56の電圧が所定の値を超えたことを検知すると、音声切り替えスイッチ25にオン信号を送信し(ステップ203)、音声切り替えスイッチ35にオフ信号を送信する(ステップ204)。
【0071】
音声切り替えスイッチ25は、CPU23からオン信号を受信するとオン状態となり、OPアンプ6に電源電圧を印加する(ステップ205)。OPアンプ6は、電源の供給を受けるとオン状態となる(ステップ206)。
【0072】
OPアンプ6がオンすると、OPアンプ6はヘッドセット3から入力される音声信号を増幅してCODEC15に出力する(ステップ207)。CODEC15は、OPアンプ6から受信する音声信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、CPU23に出力する(ステップ208)。CPU23がデジタル信号を外部に出力することで、ヘッドセット3による音声通話が可能となる。
【0073】
なお、本実施例では、ヘッドセット3の接続状況を監視して2つの音声切り替えスイッチの制御を行っているが、ハンドセット2の接続状況を監視してこれら2つのスイッチの制御を行うようにしてもよい。
【0074】
本実施例の電話機は、上述したように、スイッチをヘッドセットと接続されるOPアンの電源供給路だけでなく、ハンドセットと接続されるOPアンプの電源供給路にも設けて、ハンドセットまたはヘッドセットのどちらか一方のみに音声入力を切り替えている。使用中の音声入力手段から入力される音声信号のみを受け付けるため、使用していない方の音声入力手段から不測の音声入力があっても、通話障害を発生させないようにすることが可能である。
【0075】
また、信号伝送路に音声信号をオンまたはオフするスイッチを設けていないため、音声入力手段切り替えの際にノイズの発生が抑制される。さらに、スイッチを介して伝送される音声信号を増幅するためのOPアンプを設ける必要がないため、従来よりも電話機を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施例1の電話機の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施例1の電話機の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施例2の電話機の一構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施例2の電話機の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】従来の電話機の一構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
1、21、31 電話機本体
2 ハンドセット
3 ヘッドセット
4、22、32 制御部
5、6、9 OPアンプ
7、8 音声オン/オフスイッチ
10、11 抵抗
12 接地線
25、35 音声切り替えスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を入力するためのマイクロフォンを備えたハンドセットおよびヘッドセットと接続可能な電話機であって、
前記ハンドセットおよび前記ヘッドセットの2つのセットのうち一方のセットと、前記音声の信号である音声信号を伝送するための第1の配線および基準電位を一致させるための第2の配線が並列に接続され、前記音声信号を増幅して出力する第1のOPアンプと、
前記2つのセットのうち他方のセットと接続され、前記音声信号を増幅して出力する第2のOPアンプと、
電源と前記第1のOPアンプとの間に設けられ、オン信号を受信すると前記第1のOPアンプに電源電圧を供給し、オフ信号を受信すると該第1のOPアンプへの電源電圧の供給を停止する第1のスイッチと、
電源に接続された第1の抵抗と前記第1の配線とを接続するための第3の配線にある任意の点の電圧を監視し、該電圧が所定の値を超える場合、前記第1のスイッチに前記オン信号を送信し、該電圧が所定の値を超えない場合、前記第1のスイッチに前記オフ信号を送信する制御部と、
を有する電話機。
【請求項2】
電源と前記第2のOPアンプとの間に、オン信号を受信すると前記第2のOPアンプに電源電圧を供給し、オフ信号を受信すると該第2のOPアンプへの電源電圧の供給を停止する第2のスイッチが設けられ、
前記制御部は、
前記第3の配線にある任意の点の電圧を監視し、該電圧が所定の値を超える場合、前記第1のスイッチにオン信号を送信し、前記第2のスイッチにオフ信号を送信し、前記電圧が所定の値を超えない場合、前記第1のスイッチにオフ信号を送信し、前記第2のスイッチにオン信号を送信する、請求項1記載の電話機。
【請求項3】
音声を入力するためのマイクロフォンを備えたハンドセットおよびヘッドセットと接続可能な電話機による音声入力切り替え方法であって、
前記ハンドセットおよび前記ヘッドセットの2つのセットのうち一方のセットと前記音声の信号である音声信号を伝送するための第1の配線および基準電圧を一致させるための第2の配線とが並列に接続された第1のOPアンプと電源との間に、オン信号を受信すると前記第1のOPアンプに電源電圧を供給し、オフ信号を受信すると該第1のOPアンプへの電源電圧の供給を停止する第1のスイッチを設け、
電源に接続された第1の抵抗と前記第1の配線とを接続するための第3の配線にある任意の点の電圧を監視し、
前記電圧が所定の値を超える場合、前記第1のスイッチにオン信号を送信し、前記電圧が所定の値を超えない場合、前記第1のスイッチにオフ信号を送信する、音声入力切り替え方法。
【請求項4】
前記2つのセットのうち他方のセットと接続され、前記音声信号を増幅して出力する第2のOPアンプと電源との間に、オン信号を受信すると前記第2のOPアンプに電源電圧を供給し、オフ信号を受信すると前記第2のOPアンプへの電源電圧の供給を停止する第2のスイッチを設け、
前記電圧が所定の値を超える場合、前記第1のスイッチにオン信号を送信し、前記第2のスイッチにオフ信号を送信し、前記電圧が所定の値を超えない場合、前記第1のスイッチにオフ信号を送信し、前記第2の信号にオン信号を送信する、請求項3記載の音声入力切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−17404(P2008−17404A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189115(P2006−189115)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】