説明

電話機用スイッチ装置及び電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターン識別方法

【課題】 電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別する。
【解決手段】 電話機本体との接続を切離し、受話器に接続された4端子モジュラーケーブルの2つの端子に交流信号を供給して受話器のインピーダンスを測定する処理を、2つの端子の組合せを複数パターンに切替えて行う測定手段21〜23,31,34,35と、この複数パターンの端子の組合せのうち、測定されたインピーダンスが小さい組の順に、所定数の組を、その電話機におけるスピーカ接続用の端子及びマイク接続用の端子の候補として選定する選定手段35と、電話機本体に接続された4端子モジュラーケーブルの2つの端子から供給されるダイヤルトーン信号のレベルを測定する処理を、2つの端子の組合せをこの所定数の組に切替えて行う測定手段23,34,35と、測定されたトーンレベルが最大,最小の組を、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子,マイクロホン接続用の2つの端子として識別する識別手段35とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機本体と受話器とが4端子モジュラーケーブルで接続される電話機を用いて、受話器の代わりに外部音声入出力装置で通話を行うためのスイッチ装置、及び、電話機の電話機本体と受話器とを接続する4端子モジュラーケーブルの接続パターンの識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機本体と受話器(ハンドセット)とを4端子モジュラーケーブルで接続した電話機が、オフィスや家庭に普及している。そうした電話機では、4端子モジュラーケーブルの4つの端子のうち、2つの端子は電話機本体と受話器のスピーカとを接続する(電話機本体からスピーカに音声信号を送る)ために用いられ、残りの2つの端子は電話機本体と受話器のマイクロホンとを接続する(マイクロホンから電話機本体に音声信号を送る)ために用いられる。
【0003】
これらの4つの端子のうち、どの2つの端子をスピーカと接続するために用い、どの2つの端子をマイクロホンと接続するために用いるかは、規格化されていない。そのため、電話機メーカーによってこの接続パターンが異なっていたり、同じメーカーでも機種によってこの接続パターンが異なっているのが現状である。
【0004】
そうした電話機を用いて、受話器の代わりに外部音声入出力装置(例えば、ヘッドセットや、スピーカとマイクロホンとが一体となった据え置き型の装置)で通話を行えるようにしたスイッチ装置が市販されている。この電話機用スイッチ装置は、電話機本体と受話器との間に接続される(電話機本体,受話器にそれぞれ4端子モジュラーケーブルで接続される)とともに外部音声入出力装置に接続され、電話機本体を受話器と外部音声入出力装置とのいずれに接続するかを切り替えるものである。
【0005】
そして、前述のように4端子モジュラーケーブルの接続パターンが電話機のメーカーや機種によって異なっていることから、この電話機用スイッチ装置では、電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうち、どの2つの端子を外部音声入出力装置のスピーカに接続してどの2つの端子を外部音声入出力装置のマイクロホンに接続するかの設定を、その電話機における4端子モジュラーケーブルの接続パターンに応じて行う必要がある。
【0006】
従来、この電話機用スイッチ装置としては、こうした外部音声入出力装置との接続の設定を、4端子モジュラーケーブルの接続パターンの一覧表を見ながらユーザーが手動で行うようにしたものが存在していた(例えば、非特許文献1参照。)。
【0007】
あるいは、電話機本体からダイヤルトーン信号を発生させた状態で、スイッチ装置に設けられた‘学習ボタン’を押すことにより、その電話機における4端子モジュラーケーブルの接続パターンを識別して、外部音声入出力装置との接続の設定を自動的に行うようにしたものも存在していた(但し、ダイヤルトーン信号に基づく具体的な処理内容は記載されていない)(例えば、非特許文献2参照。)。
【非特許文献1】PLANTRONICS社『TELEPHONE HEADSET 取扱説明書&保証書』の「M12電話用モジュラーアダプター」の欄。
【非特許文献2】POLYCOM社『SOUND STATION ITA DIGITAL ADAPTER USER GUIDE』の「Set Sound Station ITA to Learn Your Phone step2」の欄。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記非特許文献1に記載のような手動での設定は、ユーザーにとって負担が大きいとともに、接続の設定を間違えてしまう可能性も少なくない。
【0009】
また、上記非特許文献2には具体的な処理内容は記載されていないが、少なくとも、ダイヤルトーン信号のみに基づいて4端子モジュラーケーブルの接続パターンを識別する方法では、接続パターンを高精度に識別することは困難であると考えられる。
【0010】
本発明は、上述の点に鑑み、電話機用スイッチ装置において、電話機用スイッチ装置に接続されている電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別できるようにすることを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、本発明は、電話機本体と受話器とが4端子モジュラーケーブルで接続される電話機の電話機本体と受話器との間に接続されるとともに、外部音声入出力装置に接続され、電話機本体を受話器と外部音声入出力装置とのいずれに接続するかを切り替える電話機用スイッチ装置において、電話機本体との接続を切り離し、受話器に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子に交流信号を供給して受話器のインピーダンスを測定する処理を、2つの端子の組合せを複数パターンに切り替えて行うインピーダンス測定手段と、この複数パターンの端子の組合せのうち、このインピーダンス測定手段でのインピーダンスの測定レベルが小さい組の順に、所定数の組を、その電話機におけるスピーカ接続用の端子及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定する候補選定手段と、電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子から供給されるダイヤルトーン信号のレベルを測定する処理を、2つの端子の組合せを、この候補選定手段で選定されたこの所定数の組に切り替えて行うトーンレベル測定手段と、この所定数の組のうち、このトーンレベル測定手段での測定レベルが最大の組を、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子として識別し、トーンレベル測定手段での測定レベルが最小の組を、その電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子として識別する識別手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
この電話機用スイッチ装置では、まず、インピーダンス測定手段により、電話機の電話機本体との接続が切り離され(したがって電話機本体と受話器との接続が切り離され)、受話器に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子にのみ交流信号を供給して受話器のインピーダンスを測定する処理が、2つの端子の組合せを複数パターン(例えば6つのパターン)に切り替えて行われる。
【0013】
通常の場合には、この複数パターンの端子の組合せのうち、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子の組でインピーダンスが最小になり、その電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子の組でインピーダンスが2番目に小さくなる。
【0014】
そこで、候補選定手段により、インピーダンス測定手段でのインピーダンスの測定レベルが小さい組の順に、所定数の組が、その電話機におけるスピーカ接続用の端子及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定される。
【0015】
続いて、トーンレベル測定手段により、電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子から供給されるダイヤルトーン信号のレベルを測定する処理が、2つの端子の組合せを、候補選定手段で選定された所定数の組に切り替えて行われる。
【0016】
通常の場合には、4端子モジュラーケーブルのうち、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最大になり、その電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最小になる。
【0017】
そこで、識別手段により、この所定数の組のうち、トーンレベル測定手段での測定レベルが最大の組が、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子として識別され、トーンレベル測定手段での測定レベルが最小の組が、その電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子として識別される。
【0018】
このように、この電話機用スイッチ装置では、
(a)受話器に接続される4端子モジュラーケーブルのうち、スピーカ接続用の2つの端子の組に交流信号を供給した場合やマイクロホン接続用の2つの端子の組に交流信号を供給した場合の受話器のインピーダンスが小さくなることと、
(b)電話機本体に接続される4端子モジュラーケーブルのうち、スピーカ接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最大になり、マイクロホン接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最小になることと
の2つを利用して電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを識別する。これにより、電話機用スイッチ装置に接続されている電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【0019】
なお、この電話機用スイッチ装置において、一例として、候補選定手段は、インピーダンス測定手段でのインピーダンスの測定レベルが所定の閾値を超えている場合には、異常と判定することが好適である。
【0020】
受話器のインピーダンス測定時に、この電話機用スイッチ装置に受話器ではなく誤って電話機本体のほうが接続されていると、電話機本体からのダイヤルトーン信号等を検出することにより、インピーダンスの測定値が非常に大きくなる。そこで、インピーダンスの測定レベルが所定の閾値を超えている場合には、異常と判定することにより、受話器のほうを接続し直した上で、改めて電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるようになる。
【0021】
また、この電話機用スイッチ装置において、一例として、候補選定手段は、複数パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスが所定の閾値未満である組を除外して候補を選定することが好適である。
【0022】
4端子モジュラーケーブルのうちのいずれか2つの端子が互いに電気的に短絡(ショート)していると、その端子の組についてのインピーダンスの測定値が非常に小さくなる。そこで、インピーダンスが所定の閾値未満の組を除外して候補を選定することにより、こうした短絡が起きている場合にも、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるようになる。
【0023】
また、この電話機用スイッチ装置において、一例として、候補選定手段は、複数パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と4番目以降に小さい組との測定レベルの差が一定以下である場合には、インピーダンスの測定レベルが最も小さい組と、4端子モジュラーケーブルの残りの2つの端子の組との2組を候補として選定することが好適である。
【0024】
受話器に用いられているマイクロホンの種類によっては、4端子モジュラーケーブルのうちのマイクロホン接続用の2つの端子の組とスピーカ接続用,マイクロホン接続用の1つずつの端子の組とでインピーダンスにほとんど差がなく、その結果、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と4番目以降に小さい組とで測定レベルが同じになるかまたはほとんど差がなくなる(それらの組のうちのどれがマイクロホン接続用の2つの端子であるか区別し難い)ことがある。そこで、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と4番目以降に小さい組との測定レベルの差が一定以下である場合(差がゼロ=同じである場合も含む)には、インピーダンスの測定レベルが最も小さい組と、4端子モジュラーケーブルの残りの2つの端子の組との2組を候補として選定することにより、マイクロホンの種類にかかわらず、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるようになる。
【0025】
また、この電話機用スイッチ装置において、一例として、候補選定手段は、複数パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と3番目に小さい組との測定レベルの差が一定以下である場合には、インピーダンスの測定レベルが最小の組と、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と、インピーダンスの測定レベルが3番目に小さい組との3組を候補として選定し、それ以外の場合には、インピーダンスの測定レベルが最小の組と、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組との2組を候補として選定することが好適である。
【0026】
電話機のメーカーや機種によっては、4端子モジュラーケーブルのうちの同じ1つの端子を、スピーカ接続用の端子とマイクロホン接続用の端子とに共用していることがある。この電話機用スイッチ装置がそうした電話機に接続されている場合には、マイクロホン専用の端子とスピーカ・マイクロホン共用の端子とでインピーダンスにほとんど差がなく、その結果、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と3番目に小さい組とで測定レベルが同じになるかまたはほとんど差がなくなる(それらの組のうちのどれがマイクロホン接続用の2つの端子であるか区別し難い)ことがある。そこで、インピーダンスが2番目に小さい組とインピーダンスが3番目に小さい組とで測定レベルの差が一定以下である場合(差がゼロ=同じである場合も含む)には、インピーダンスの測定レベルが最小の組と2番目に小さい組との2組だけでなく、インピーダンスの測定レベルが3番目に小さい組をも候補として選定することにより、1つの端子をスピーカ接続用の端子とマイクロホン接続用の端子とに共用している電話機についても、4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるようになる。
【0027】
また、この電話機用スイッチ装置において、一例として、候補選定手段は、候補として選定した所定数の組と、インピーダンス測定手段でのインピーダンスの測定レベルが最大の組との測定レベルの差が所定の閾値以下である場合には、異常と判定することが好適である。
【0028】
この電話機用スイッチ装置に誤って受話器が接続されていないと、複数パターンの端子の組合せのうちのどの組でのインピーダンス測定レベルにもほとんど差がなくなる。そこで、候補として選定した所定数の組とインピーダンスの測定レベルが最大の組との測定レベルの差が所定の閾値以下である場合には異常と判定することにより、受話器を接続した上で、改めて電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるようになる。
【0029】
また、この電話機用スイッチ装置において、一例として、識別手段は、トーンレベル測定手段での測定レベルが、所定数の組の全てについて所定の閾値以下である場合には、異常と判定することが好適である。
【0030】
この電話機用スイッチ装置に誤って電話機本体が接続されていないと、ダイヤルトーン信号が供給されず、電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちのスピーカ接続用の2つの端子の組でもダイヤルトーン信号の測定レベルが非常に小さくなる。そこで、所定数のパターンの組合せの全てについてダイヤルトーン信号の測定レベルが所定の閾値未満である場合には、異常と判定することにより、電話機本体を接続した上で、改めて電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるようになる。
【0031】
また、この電話機用スイッチ装置において、一例として、識別手段は、トーンレベル測定手段での測定レベルが、所定数の組の全てについて所定の閾値以上である場合には、異常と判定することが好適である。
【0032】
マイクロホン接続用の2つの端子の組については、ダイヤルトーン信号の測定レベルは、或る一例のレベル以下になると考えられる。そこで、所定数のパターンの組合せの全てについてダイヤルトーン信号の測定レベルが所定の閾値を超えている場合には、異常(候補として選定された所定数の組の中に、マイクロホン接続用の2つの端子の組が含まれていなかった)と判定することにより、候補の選定をやり直すことができるようになる。
【0033】
また、この電話機用スイッチ装置において、一例として、候補選定手段や識別手段で異常と判定されたことを表示する表示手段をさらに備えることが好適である。それにより、ユーザーが、異常があったことをすばやく確認することができるようになる。
【0034】
また、この電話機用スイッチ装置において、一例として、電話機本体と外部音声入出力装置との接続時に、電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうち、識別手段によってスピーカ接続用の端子として識別された2つの端子を外部音声入出力装置のスピーカに接続し、識別手段によってマイクロホン接続用の端子として識別された2つの端子を外部音声入出力装置のマイクロホンに接続する接続設定手段をさらに備えることが好適である。
【0035】
それにより、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別した上で、外部音声入出力装置との接続の設定を自動的に行うことができるようになる。
【0036】
次に、本発明は、電話機の電話機本体と受話器とを接続する4端子モジュラーケーブルの接続パターンの識別方法において、電話機本体と受話器との接続を切り離し、受話器に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子に交流信号を供給して受話器のインピーダンスを測定する処理を、2つの端子の組合せを複数パターンに切り替えて行うインピーダンス測定ステップと、この複数パターンの端子の組合せのうち、このインピーダンス測定ステップでのインピーダンスの測定レベルが小さい組の順に、所定数の組を、その電話機におけるスピーカ接続用の端子及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定する候補選定ステップと、電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子から供給されるダイヤルトーン信号のレベルを測定する処理を、2つの端子の組合せを、この候補選定ステップで選定された所定数の組に切り替えて行うトーンレベル測定ステップと、この所定数の組のうち、このトーンレベル測定ステップでの測定レベルが最大の組を、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子として識別し、このトーンレベル測定ステップでの測定レベルが最小の組を、その電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子として識別する識別ステップとを有することを特徴とする。
【0037】
この電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンの識別方法では、まず、インピーダンス測定ステップで、電話機本体と受話器との接続が切り離され、受話器に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子にのみ交流信号を供給して受話器のインピーダンスを測定する処理が、2つの端子の組合せを複数パターンに切り替えて行われる。
【0038】
通常の場合には、この複数パターンの端子の組合せのうち、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子の組でインピーダンスが最小になり、その電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子の組でインピーダンスが2番目に小さくなる。
【0039】
そこで、候補選定ステップで、インピーダンス測定ステップでのインピーダンスの測定レベルが小さい組の順に、所定数の組が、その電話機におけるスピーカ接続用の端子及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定される。
【0040】
続いて、トーンレベル測定ステップで、電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子から供給されるダイヤルトーン信号のレベルを測定する処理が、2つの端子の組合せを、候補選定ステップで選定された所定数の組に切り替えて行われる。
【0041】
通常の場合には、4端子モジュラーケーブルのうち、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最大になり、その電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最小になる。
【0042】
そこで、識別ステップで、この所定数の組のうち、トーンレベル測定ステップでの測定レベルが最大の組が、その電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子として識別され、トーンレベル測定ステップでの測定レベルが最小の組が、その電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子として識別される。
【0043】
このように、この接続パターンの識別方法では、
(a)受話器に接続される4端子モジュラーケーブルのうち、スピーカ接続用の2つの端子の組に交流信号を供給した場合やマイクロホン接続用の2つの端子の組に交流信号を供給した場合の受話器のインピーダンスが小さくなることと、
(b)電話機本体に接続される4端子モジュラーケーブルのうち、スピーカ接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最大になり、マイクロホン接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最小になることと
の2つを利用して電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを識別する。これにより、電話機用スイッチ装置に接続されている電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、電話機本体と受話器とが4端子モジュラーケーブルで接続される電話機を用いて、受話器の代わりに外部音声入出力装置で通話を行うための電話機用スイッチ装置において、電話機用スイッチ装置に接続されている電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターン(どの2つの端子をスピーカと接続するために用い、どの2つの端子をマイクロホンと接続するために用いているか)を、高精度に識別することができるという効果が得られる。
【0045】
また、受話器のインピーダンス測定時に電話機用スイッチ装置に受話器ではなく誤って電話機本体のほうが接続されている場合には、異常と判定されるので、受話器のほうを接続し直した上で、改めて電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるという効果が得られる。
【0046】
また、4端子モジュラーケーブルのうちのいずれか2つの端子が互いに短絡している場合にも、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるという効果が得られる。
【0047】
また、受話器に用いられているマイクロホンの種類にかかわらず、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるという効果が得られる。
【0048】
また、4端子モジュラーケーブルの1つの端子をスピーカ接続用の端子とマイクロホン接続用の端子とに共用している電話機についても、4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるという効果が得られる。
【0049】
また、電話機用スイッチ装置に誤って受話器が接続されていない場合には、異常と判定されるので、受話器を接続した上で、改めて電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるという効果が得られる。
【0050】
また、電話機用スイッチ装置に誤って電話機本体が接続されていない場合にも、異常と判定されるので、電話機本体を接続した上で、改めて電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができるという効果が得られる。
【0051】
また、候補として選定された所定数の組の中に、なんらかの原因でマイクロホン接続用の2つの端子の組が含まれていなかった場合にも、異常と判定されるので、候補の選定をやり直すことができるという効果が得られる。
【0052】
また、ユーザーが、異常があったことをすばやく確認することができるという効果が得られる。
【0053】
また、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別した上で、外部音声入出力装置との接続の設定を自動的に行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明を図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明に係る電話機用スイッチ装置を用いたシステムの構成を示す図である。この電話機用スイッチ装置1は、電話機本体2と受話器3とが4端子モジュラーケーブルで接続される電話機を用いて、受話器3の代わりに外部音声I/O(入出力)装置4で通話を行うためのものである。
【0055】
外部音声I/O装置4は、スピーカとマイクロホンとが一体となった据え置き型の装置である(図ではそうした据え置き型の装置の形状の一例を示しているが、外部音声I/O装置4の形状は如何なるものであってもよい)。
【0056】
電話機用スイッチ装置1は、電話機本体2と受話器3との間に接続される(電話機本体2,受話器3にそれぞれ4端子モジュラーケーブルC1,C2で接続される)とともに、外部音声I/O装置4にケーブルC3(マイクロホン接続用の端子とスピーカ接続用の端子とを含む複数の端子を有するケーブル)で接続され、電話機本体2を受話器3と外部音声I/O装置4とのいずれに接続するかを切り替えるようになっている。
【0057】
なお、以下の説明でも、電話機本体,受話器,外部音声I/O装置,各ケーブルを、それぞれ図1と同じ符号を付して電話機本体2,受話器3,外部音声I/O装置4,ケーブルC1,C2,C3と表記する。また、4端子モジュラーケーブルや4端子モジュラーケーブル用のモジュラージャックの4つの端子をP1〜P4と表記することにする。
【0058】
図2は、この電話機用スイッチ装置1の外観構成を示す図であり、図2Aは背面図、図2Bは側面図、図2Cは底面図である。図2Aに示すように、電話機用スイッチ装置1の上面には、フックスイッチ11が設けられている。また、電話機用スイッチ装置1の上面には、フックスイッチ11の両側に、互いに異なる発光色の2個のLED(発光ダイオード)12が設けられている。
【0059】
外部音声I/O装置4で通話を行うときには、受話器3をこのフックスイッチ11に置くことによってオンフックするようになっている。図3は、受話器3をこのようにしてオンフックした状態を示している。
【0060】
図2Aに示すように、電話機用スイッチ装置1の背面には、電話機本体2に4端子モジュラーケーブルC1で接続するための電話機本体用モジュラージャック13が設けられている。また、電話機用スイッチ装置1の背面には、外部音声I/O装置4にケーブルC3で接続するための外部音声I/O装置用コネクタ15も設けられている。
【0061】
図2Bに示すように、電話機用スイッチ装置1の側面には、受話器3に4端子モジュラーケーブルC2で接続するための受話器用モジュラージャック14が設けられている。
【0062】
図2Cに示すように、電話機用スイッチ装置1の底面には、接続設定釦16が設けられている。この接続設定釦16は、電話機用スイッチ装置1を初めて電話機に接続したときや、それまで接続していたのとは違うメーカーや機種の電話機に電話機用スイッチ装置1を接続したときに、ユーザーが、後述する接続パターン識別処理(図5,図6)を開始させるための釦である。電話機用スイッチ装置1には、このほかにもACアダプターに接続するためのコネクタ等が設けられているが、本発明とは直接関係しないので説明を省略する。
【0063】
図4は、この電話機用スイッチ装置1の回路構成を示すブロック図であり、図2と共通する部分には同一の符合を付している。電話機本体用モジュラージャック13(図2A)の4つの端子P1〜P4が、本体切離し用スイッチ21の4つのスイッチ素子に1対1につながれている。本体切離し用スイッチ21は、これらの4つのスイッチ素子を一斉にオンにして電話機本体2との接続を維持するか、これらの4つのスイッチ素子を一斉にオフにして電話機本体2との接続を切り離すかの切替えを行うためのスイッチである。
【0064】
また、受話器用モジュラージャック14(図2B)の4つの端子P1〜P4が、受話器切離し用スイッチ24の4つのスイッチ素子に1対1につながれている。受話器切離し用スイッチ24は、これらの4つのスイッチ素子を一斉にオンにして受話器3との接続を維持するか、これらの4つのスイッチ素子を一斉にオフにして受話器3との接続を切り離すかの切替えを行うためのスイッチである。
【0065】
本体切離し用スイッチ21の4つのスイッチ素子は、2行×4列のマトリクス型の接続設定用スイッチ22の各列のラインに1対1につながれている。受話器切離し用スイッチ24の4つのスイッチ素子は、2行×4列のマトリクス型の接続設定用スイッチ23の各列のラインに1対1につながれている。これらの接続設定用スイッチ22,23は、各行のラインと各列のラインとの交点に、その行ラインとその列のラインとを接続するか否かを切り替えるスイッチ素子をそれぞれ有するものである(図ではこのスイッチ素子を丸印で描いている)。この接続設定用スイッチ22の各列のラインと接続設定用スイッチ23の各列のラインとは、1対1につながれている。
【0066】
外部音声I/O装置用コネクタ15(図2A)の端子LINE IN(外部音声I/O装置4のマイクロホンとの接続用の端子)が、増幅器27,エコーキャンセラ28,アンプ29,2入力1出力のスイッチ30,トランス25を介して、接続設定用スイッチ22の各行のラインにつながれている。スイッチ30のもう一方の入力端子には、受話器インピーダンス測定用発振器31がつながれている。
【0067】
接続設定用スイッチ23の各行のラインは、トランス26,増幅器32,エコーキャンセラ28,アンプ33を介して外部音声I/O装置用コネクタ15の端子LINE OUT(外部音声I/O装置4のスピーカとの接続用の端子)につながれるとともに、トランス26を介してレベル検出器34につながれている。
【0068】
エコーキャンセラ28は、外部音声I/O装置4においてスピーカから出た音声がマイクロホンで拾われることによるエコーの発生を防止するために設けられている。トランス25.26は、電話機本体2と電話機用スイッチ装置1内の回路とを電気的に絶縁するために設けられている。
【0069】
受話器インピーダンス測定用発振器31は、後述する接続パターン識別処理において、受話器3のインピーダンス測定用の所定周波数(例えば1kHz)の交流信号(交流電圧)を生成するための回路であり、出力インピーダンスが例えば200Ωになっている。レベル検出器34は、このインピーダンス測定時に、受話器3からの信号の振幅レベルを検出するために設けられている。
【0070】
マイクロコンピュータ35は、通常の使用時(後述する接続パターン識別処理を終了し、受話器3または外部音声I/O装置4で通話を行うとき)には、フックスイッチ11(図2A)からの信号に基づき、各スイッチ21〜24を制御して、電話機本体2を受話器3と外部音声I/O装置4とのいずれに接続するかを切り替える。
【0071】
すなわち、通常の使用時には、本体切離し用スイッチ21を常にオンにする。そして、受話器3がオフフックされているときは、接続設定用スイッチ22,23の全てのスイッチ素子をオフにするとともに、受話器切離し用スイッチ24をオンにする。これにより、電話機本体2と外部音声I/O装置4との接続が切り離されるとともに電話機本体2が受話器3に接続されるので、受話器3で通話を行うことができる。
【0072】
また、受話器3がフックスイッチ11(図2A)に置かれることによってオンフックされる(図3)と、接続設定用スイッチ22,23のうち、後述する接続パターン識別処理で識別した接続パターンに対応するスイッチ素子をオンにするとともに、受話器切離し用スイッチ24をオフにする。
【0073】
また、マイクロコンピュータ35は、受話器3がオフフックされている状態で、接続設定釦16(図2C)が押されると、接続されている電話機(電話機本体2及び受話器3)における4端子モジュラーケーブルの接続パターン(どの2つの端子をスピーカと接続するために用い、どの2つの端子をマイクロホンと接続するために用いているか)を識別する処理を開始する。
【0074】
図5,図6は、この接続パターン識別処理を示すフローチャートである。この処理では、最初に、本体切離し用スイッチ21(図4)をオフにすることによって電話機本体2との接続を切り離すとともに、受話器切離し用スイッチ24(図4)をオンにし、スイッチ30(図4)を受話器インピーダンス測定用発振器31(図4)側に切り替える(ステップS1)。そして、受話器インピーダンス測定用発振器31に前述の交流信号を生成させる(ステップS2)。
【0075】
続いて、接続設定用スイッチ22,23(図4)を6つのパターンに切り替えつつ、レベル検出器34(図4)で検出される受話器3からの信号の振幅レベルに基づき、受話器3のインピーダンスの相対レベルを測定する(ステップS3)。
【0076】
このステップS3における6つのパターンを、図7及び図8を用いて説明する。4端子モジュラーケーブルの4つの端子P1〜P4のうちのどの2つの端子をスピーカと接続するために用いてどの2つの端子をマイクロホンと接続するために用いるかという接続パターンには、1つの端子をスピーカとマイクロホンとに共用する場合を除けば、4×3÷2=6通りのパターンが存在し得る。
【0077】
図7は、この6つのパターンを示しており、スピーカ,マイクロホンをそれぞれSP,MCと表記している。パターン1では、端子P1,P2がマイクロホン接続用の端子であり、端子P3,P4がスピーカ接続用の端子である。パターン2では、端子P1,P3がマイクロホン接続用の端子であり、端子P2,P4がスピーカ接続用の端子である。パターン3では、端子P1,P4がマイクロホン接続用の端子であり、端子P2,P3がスピーカ接続用の端子である。パターン4では、端子P2,P3がマイクロホン接続用の端子であり、端子P1,P4がスピーカ接続用の端子である。パターン5では、端子P2,P4がマイクロホン接続用の端子であり、端子P1,P3がスピーカ接続用の端子である。パターン6では、端子P3,P4がマイクロホン接続用の端子であり、端子P1,P2がスピーカ接続用の端子である。
【0078】
電話機用スイッチ装置1に接続されている電話機における4端子モジュラーケーブルの接続パターンがこの図7のパターン1である場合には、接続設定用スイッチ22を、図8のパターン1のように、端子P1,P2に対応する列ラインと行ラインとの交点のスイッチ素子のみをオン(図ではオンにしたスイッチ素子に斜線を付している)にするように切り替えれば、電話機本体2に接続されている4端子モジュラーケーブルC1のうちのマイクロホン接続用の端子P1,P2が、外部音声I/O装置4のマイクロホンに接続される。
【0079】
また、電話機用スイッチ装置1に接続されている電話機における4端子モジュラーケーブルの接続パターンがこの図7のパターン2である場合には、接続設定用スイッチ22を、図8のパターン2のように、端子P1,P3に対応する列ラインと行ラインとの交点のスイッチ素子のみをオンにするように切り替えれば、電話機本体2に接続されている4端子モジュラーケーブルC1のうちのマイクロホン接続用の端子P1,P3が、外部音声I/O装置4のマイクロホンに接続される。
【0080】
また、電話機用スイッチ装置1に接続されている電話機における4端子モジュラーケーブルの接続パターンがこの図7のパターン3である場合には、接続設定用スイッチ22を、図8のパターン3のように、端子P1,P4に対応する列ラインと行ラインとの交点のスイッチ素子のみをオンにするように切り替えれば、電話機本体2に接続されている4端子モジュラーケーブルC1のうちのマイクロホン接続用の端子P1,P4が、外部音声I/O装置4のマイクロホンに接続される。
【0081】
また、電話機用スイッチ装置1に接続されている電話機における4端子モジュラーケーブルの接続パターンがこの図7のパターン4である場合には、接続設定用スイッチ22を、図8のパターン4のように、端子P2,P3に対応する列ラインと行ラインとの交点のスイッチ素子のみをオンにするように切り替えれば、電話機本体2に接続されている4端子モジュラーケーブルC1のうちのマイクロホン接続用の端子P2,P3が、外部音声I/O装置4のマイクロホンに接続される。
【0082】
また、電話機用スイッチ装置1に接続されている電話機における4端子モジュラーケーブルの接続パターンがこの図7のパターン5である場合には、接続設定用スイッチ22を、図8のパターン5のように、端子P2,P4に対応する列ラインと行ラインとの交点のスイッチ素子のみをオンにするように切り替えれば、電話機本体2に接続されている4端子モジュラーケーブルC1のうちのマイクロホン接続用の端子P2,P4が、外部音声I/O装置4のマイクロホンに接続される。
【0083】
また、電話機用スイッチ装置1に接続されている電話機における4端子モジュラーケーブルの接続パターンがこの図7のパターン6である場合には、接続設定用スイッチ22を、図8のパターン6のように、端子P3,P4に対応する列ラインと行ラインとの交点のスイッチ素子のみをオンにするように切り替えれば、電話機本体2に接続されている4端子モジュラーケーブルC1のうちのマイクロホン接続用の端子P3,P4が、外部音声I/O装置4のマイクロホンに接続される。
【0084】
図5のステップS3では、接続設定用スイッチ22を図8のパターン1に切り替えるとともに接続設定用スイッチ23を同じくこのパターン1に切り替え、続いて接続設定用スイッチ22を図8のパターン2に切り替えるとともに接続設定用スイッチ23を同じくこのパターン2に切り替え、…というように、接続設定用スイッチ22と接続設定用スイッチ23との両方を同時にこの図8の6つのパターンに切り替える。
【0085】
これにより、図8のパターン1では、発振器31からの交流信号が4端子モジュラーケーブルC2のうちの2つの端子P1,P2を通して受話器3に供給され、それに応答する受話器3からの信号が4端子モジュラーケーブルC2の端子P1,P2から接続設定用スイッチ23を介してレベル検出器34に供給されるので、レベル検出器34で検出された振幅レベル(この振幅レベルはインピーダンスに比例する)に基づいて受話器3のインピーダンスの相対レベルを測定することができる。
【0086】
また、図8のパターン2では、発振器31からの交流信号が4端子モジュラーケーブルC2のうちの2つの端子P1,P3を通して受話器3に供給され、それに応答する受話器3からの信号が4端子モジュラーケーブルC2の端子P1,P3から接続設定用スイッチ23を介してレベル検出器34に供給されるので、レベル検出器34で検出された振幅レベルに基づいて受話器3のインピーダンスの相対レベルを測定することができる。
【0087】
また、図8のパターン3では、発振器31からの交流信号が4端子モジュラーケーブルC2のうちの2つの端子P1,P4を通して受話器3に供給され、それに応答する受話器3からの信号が4端子モジュラーケーブルC2の端子P1,P4から接続設定用スイッチ23を介してレベル検出器34に供給されるので、レベル検出器34で検出された振幅レベルに基づいて受話器3のインピーダンスの相対レベルを測定することができる。
【0088】
また、図8のパターン4では、発振器31からの交流信号が4端子モジュラーケーブルC2のうちの2つの端子P2,P3を通して受話器3に供給され、それに応答する受話器3からの信号が4端子モジュラーケーブルC2の端子P2,P3から接続設定用スイッチ23を介してレベル検出器34に供給されるので、レベル検出器34で検出された振幅レベルに基づいて受話器3のインピーダンスの相対レベルを測定することができる。
【0089】
また、図8のパターン5では、発振器31からの交流信号が4端子モジュラーケーブルC2のうちの2つの端子P2,P4を通して受話器3に供給され、それに応答する受話器3からの信号が4端子モジュラーケーブルC2の端子P2,P4から接続設定用スイッチ23を介してレベル検出器34に供給されるので、レベル検出器34で検出された振幅レベルに基づいて受話器3のインピーダンスの相対レベルを測定することができる。
【0090】
また、図8のパターン6では、発振器31からの交流信号が4端子モジュラーケーブルC2のうちの2つの端子P3,P4を通して受話器3に供給され、それに応答する受話器3からの信号が4端子モジュラーケーブルC2の端子P3,P4から接続設定用スイッチ23を介してレベル検出器34に供給されるので、レベル検出器34で検出された振幅レベルに基づいて受話器3のインピーダンスの相対レベルを測定することができる。
【0091】
このようにして、受話器3に接続されている4端子モジュラーケーブルC2の端子P1〜P4のうちの2つの端子に交流信号を供給して受話器3のインピーダンスを測定する処理が、2つの端子の組合せを「P1とP2」,「P1とP3」,「P1とP4」,「P2とP3」,「P2とP4」,「P3とP4」の6パターンに切り替えて行われる。
【0092】
図5に示すように、ステップS3が終了すると、この「P1とP2」,「P1とP3」,「P1とP4」,「P2とP3」,「P2とP4」,「P3とP4」の6パターンの端子の組合せのうち、インピーダンス測定レベルが閾値60h(16進数)を超えている組があるか否かを判断する(ステップS4)。
【0093】
4端子モジュラーケーブルC2のうちのスピーカ接続用の端子とマイクロホン接続用の端子との組を通して受話器3に交流信号が供給された場合には、スピーカ接続用の端子とマイクロホン接続用の端子とは互いに接続されていないので、受話器3のインピーダンスは無限大になる。ステップS4の閾値60hは、4端子モジュラーケーブルのうちのスピーカ接続用の端子とマイクロホン接続用の端子との組を通して一般の電話機の受話器に交流信号が供給された場合のインピーダンスの測定レベルに対応して、マイクロコンピュータ35内に予め設定した値である。
【0094】
ステップS4でイエスであれば、異常と判定し、異常を知らせる表示(例えば点滅表示)をLED12(図2A)に行わせて(図6のステップS18)、処理を終了する。これは、電話機用スイッチ装置1の受話器用モジュラージャック14(図2B)に受話器3ではなく誤って電話機本体2のほうが接続されていると、電話機本体3からのダイヤルトーン信号等を検出することにより、インピーダンスの測定レベルが非常に大きくなる(閾値60hを超える)ので、その場合には異常と判定して処理を終了するようにしたものである。
【0095】
ステップS4でノーであった場合には、この6パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスの測定レベルが閾値04h(16進数)未満の組があるか否かを判断する(ステップS5)。
【0096】
4端子モジュラーケーブルC2のうちのスピーカ接続用の2つの端子を通して受話器3に交流信号が供給された場合には、受話器3のスピーカのインピーダンスが測定される。そして、スピーカはマイクロホンよりもインピーダンスが小さい(一般の電話機の受話器ではスピーカのインピーダンスは150Ω程度、マイクロホンのインピーダンスは1kΩ程度である)ので、通常の場合には、このスピーカ接続用の2つの端子の組でインピーダンスの測定レベルが最小になる。ステップS5の閾値04hは、4端子モジュラーケーブルのうちのスピーカ接続用の2つの端子を通して一般の電話機の受話器に交流信号が供給された場合のインピーダンスの測定レベルに対応して、マイクロコンピュータ35内に予め設定した値である。
【0097】
ステップS5でイエスであれば、04h未満であった組を除外して、残りのパターンのうち、インピーダンスの測定レベルが小さい組の順に、3つの組を、スピーカ接続用の端子の候補及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定する(ステップS11)。これは、4端子モジュラーケーブルC2のうちのいずれか2つの端子が互いに電気的に短絡(ショート)していると、その2つの端子を通して交流信号を供給したときのインピーダンスの測定レベルが非常に小さくなる(閾値04h未満になる)ので、その端子の組合せは、短絡していると判定して除外するようにしたものである。
【0098】
ステップS5でノーであった場合には、この6パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と、インピーダンスの測定レベルが5番目に小さい組とで、インピーダンスの測定レベルが同じであるか否かを判断する(ステップS6)。
【0099】
イエスであれば、インピーダンスの測定レベルが最小の組と、4端子モジュラーケーブルC2の残りの2つの端子の組(例えば測定レベルが最小の組が「P1とP2」であれば「P3とP4」の組)との2つの組を候補として選定する(ステップS10)。
【0100】
4端子モジュラーケーブルC2のうちのマイクロホン接続用の2つの端子を通して受話器3に交流信号が供給された場合には、受話器3のマイクロホンのインピーダンスが測定される。そして、前述のようにマイクロホンはスピーカよりもインピーダンスが大きいので、通常の場合には、このマイクロホン接続用の2つの端子の組でインピーダンスの測定レベルが2番目に小さくなる。しかし、受話器3に用いられているマイクロホンの種類によっては、4端子モジュラーケーブルC2のうちのマイクロホン接続用の2つの端子の組とスピーカ接続用,マイクロホン接続用の1つずつの端子の組とでインピーダンスにほとんど差がなく、その結果、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組から5番目に小さい組までで測定レベルが同じになるかまたはほとんど差がなくなる(それらの組のうちのどれがマイクロホン接続用の2つの端子であるか区別し難い)ことがある。そこで、ステップS6,S10では、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と5番目に小さい組とで測定レベルが同じである場合には、インピーダンスの測定レベルが最小の組と、4端子モジュラーケーブルC2の残りの2つの端子の組とを候補として選定するようにしたものである。
【0101】
ステップS6でノーであった場合には、6パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と、インピーダンスの測定レベルが3番目に小さい組とで、インピーダンスのレベルが同じであるか否かを判断する(ステップS7)。
【0102】
イエスであれば、インピーダンスの測定レベルが最小の組と、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と、インピーダンスの測定レベルが3番目に小さい組との3つの組を、スピーカ接続用の端子の候補及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定する(ステップS9)。
【0103】
電話機のメーカーや機種によっては、図9に例示するように、4端子モジュラーケーブルのうちの同じ1つの端子を、スピーカ接続用の端子とマイクロホン接続用の端子とに共用していることがある。電話機用スイッチ装置1がそうした電話機に接続されている場合には、マイクロホン専用の端子とスピーカ・マイクロホン共用の端子とでインピーダンスにほとんど差がなく、その結果、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と3番目に小さい組とで測定レベルが同じになるかまたはほとんど差がなくなる(それらの組のうちのどれがマイクロホン接続用の2つの端子であるか区別し難い)ことがある。そこで、ステップS7,S9では、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と3番目に小さい組とで測定レベルが同じである場合には、インピーダンスの測定レベルが最小の組と2番目に小さい組との2組だけでなく、インピーダンスの測定レベルが3番目に小さい組をも候補として選定するようにしたものである。
【0104】
ステップS7でノーであった場合には、インピーダンスの測定レベルが最小の組と、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組との2つの組を、スピーカ接続用の端子の候補及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定する(ステップS8)。
【0105】
ステップS8,S9,S10またはS11を終了すると、候補として選定された組と、インピーダンスの測定レベルが最大の組とで、インピーダンスのレベルの差が一定値02h(16進数)以下であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0106】
イエスであれば、異常と判定し、異常を知らせる表示をLED12(図2A)に行わせて(図6のステップS18)、処理を終了する。これは、電話機用スイッチ装置1に誤って受話器3が接続されていないと、6パターンの端子の組合せのうちのどの組でのインピーダンス測定レベルにもほとんど差がなくなるので、候補として選定された組とインピーダンスの測定レベルが最大の組とでインピーダンスのレベルの差が02h以下である場合には、異常と判定して処理を終了するようにしたものである。
【0107】
ステップS12でノーであった場合には、図6に示すように、本体切離し用スイッチ21(図4)をオンにする(ステップS13)。受話器3は予めオンフックされているので、これによって電話機本体2から受話器3にダイヤルトーン信号が供給される。
【0108】
続いて、接続設定用スイッチ23(図4)を、ステップS8,S9,S10またはS11で候補として選定された各組に対応するパターン(例えば「P1とP2」,「P3とP4」との2組が候補として選定された場合には図8のパターン1,パターン6)に切り替えつつ、レベル検出器34(図4)で検出される電話機本体2からの信号の振幅レベルから、ダイヤルトーン信号のレベルを測定する(ステップS14)。
【0109】
そして、ダイヤルトーン信号の測定レベルの最大値が、閾値0Ch(16進数)以下であるか否かを判断する(ステップS15)。ダイヤルトーン信号は電話機本体2から受話器3のスピーカに送られるので、ダイヤルトーン信号の測定レベルは、4端子モジュラーケーブルC1のうちのスピーカ接続用の2つの端子の組で最大になる。ステップS14の閾値0Chは、一般の電話機におけるダイヤルトーン信号の最小レベルよりも僅かに小さいレベルとして、マイクロコンピュータ35内に予め設定した値である。
【0110】
イエスであれば、異常と判定し、異常を知らせる表示をLED12(図2A)に行わせて(ステップS18)、処理を終了する。これは、電話機用スイッチ装置1に誤って電話機本体2が接続されていないと、ダイヤルトーン信号が供給されず、4端子モジュラーケーブルC1のうちのスピーカ接続用の2つの端子の組でもダイヤルトーン信号の測定レベルが非常に小さくなる(閾値0Ch以下になる)ので、その場合には異常と判定して処理を終了するようにしたものである。
【0111】
ステップS15でノーであった場合には、ダイヤルトーン信号の測定レベルの最小値が、この閾値0Ch以上であるか否かを判断する(ステップS16)。
【0112】
イエスであれば、異常と判定し、異常を知らせる表示をLED12(図2A)に行わせて(ステップS18)、処理を終了する。これは、マイクロホン接続用の2つの端子の組についてはダイヤルトーン信号の測定レベルが一般の電話機のダイヤルトーン信号の最小レベルよりも小さくなると考えられるので、ダイヤルトーン信号の測定レベルの最小値が閾値0Ch以上である場合には、異常(候補として選定された所定数の組の中に、マイクロホン接続用の2つの端子の組が含まれていなかった)と判定して処理を終了するようにしたものである。なお、図5,図6では、ステップS4,S12,S15,S16で異常と判定した場合に同じステップS18に進んでLED12に表示を行わせるように描いているが、それぞれの異常の原因に応じてLED12での表示の態様を異ならせることが好適である。
【0113】
ステップS16でノーであった場合には、ステップS8,S9,S10またはS11で候補として選定された各組のうち、ダイヤルトーン信号の測定レベルが最大の組をスピーカ接続用の2つの端子として識別し、ダイヤルトーン信号の測定レベルが最小の組をマイクロホン接続用の2つの端子として識別して、その識別結果を記憶する(過去にこの接続パターン識別処理を行って識別結果を記憶している場合には、今回の識別結果を上書きして記憶する)(ステップS17)。そして処理を終了する。
【0114】
この接続パターン識別処理を終了した後、通常の使用時(受話器3または外部音声I/O装置4で通話を行うとき)に受話器3がフックスイッチ11(図2A)に置かれることによってオンフックされると(図3)と、マイクロコンピュータ35は、接続設定用スイッチ22(図4)を、このステップS17でマイクロホン接続用の2つの端子として識別された組に対応するパターン(例えば「P1とP2」がマイクロホン接続用の2つの端子として識別された場合には図8のパターン1)に切り替えるとともに、接続設定用スイッチ23(図4)を、このステップS17でスピーカ接続用の2つの端子として識別された組に対応するパターン(例えば「P3とP4」がスピーカ接続用の2つの端子として識別された場合には図8のパターン6)に切り替える。
【0115】
これにより、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンに応じた外部音声I/O装置4との接続の設定が自動的に行われて、外部音声I/O装置4で通話を行うことができる。
【0116】
このように、この電話機用スイッチ装置1では、
(a)受話器3に接続される4端子モジュラーケーブルC2の4つの端子P1〜P4のうち、スピーカ接続用の2つの端子の組に交流信号を供給した場合やマイクロホン接続用の2つの端子の組に交流信号を供給した場合の受話器のインピーダンスが小さくなることと、
(b)電話機本体2に接続される4端子モジュラーケーブルC1の4つの端子P1〜P4のうち、スピーカ接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最大になり、マイクロホン接続用の2つの端子の組でダイヤルトーン信号のレベルが最小になることと
の2つを利用して電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを識別する(図5,図6のステップS1〜S3,S8,S13,S14,S17)。これにより、電話機用スイッチ装置1に接続される電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【0117】
また、接続パターン識別処理時に、電話機用スイッチ装置1の受話器用モジュラージャック14(図2B)に受話器3ではなく誤って電話機本体2のほうが接続されている場合には、異常と判定して処理を終了する(図5,図6のステップS4,S18)ので、受話器3のほうを接続し直した上で改めて接続パターン識別処理を開始させることにより、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【0118】
また、受話器3に接続されている4端子モジュラーケーブルC2のうちのいずれか2つの端子が互いに短絡している場合には、その短絡している組を除外して候補を選定する(図5のステップS5,S11)ので、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【0119】
また、受話器3に用いられているマイクロホンの種類によっては、4端子モジュラーケーブルC2のうちのマイクロホン接続用の2つの端子の組とスピーカ接続用,マイクロホン接続用の1つずつの端子の組とでインピーダンスにほとんど差がないことがあるが、その場合にも、インピーダンスの測定レベルが最も小さい組と、4端子モジュラーケーブルの残りの2つの端子の組との2組を候補として選定する(図5のステップS6,S10)ので、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【0120】
また、電話機のメーカーや機種によっては、4端子モジュラーケーブルのうちの同じ1つの端子を、スピーカ接続用の端子とマイクロホン接続用の端子とに共用していることがあるが、電話機用スイッチ装置1がそうした電話機に接続されている場合にも、インピーダンスの測定レベルが最小の組と2番目に小さい組との2組だけでなく、インピーダンスの測定レベルが3番目に小さい組をも候補として選定する(図5のステップS7,S9)ので、4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【0121】
また、接続パターン識別処理時に、電話機用スイッチ装置1に誤って受話器3が接続されていない場合には、異常と判定して処理を終了する(図5,図6のステップS12,S18)ので、受話器3を接続した上で改めて接続パターン識別処理を開始させることにより、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【0122】
また、接続パターン識別処理におけるトーンレベル測定時に、電話機用スイッチ装置1に誤って電話機本体2が接続されていない場合にも、異常と判定して処理を終了する(図6のステップS15,S18)ので、電話機本体2を接続した上で改めて接続パターン識別処理を開始させることにより、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンを高精度に識別することができる。
【0123】
また、接続パターン識別処理での候補の選定になんらかの原因で誤りがあった(候補として選定された所定数の組の中に、マイクロホン接続用の2つの端子の組が含まれていなかった)場合にも、異常と判定して処理を終了する(図6のステップS16,S18)ので、改めて接続パターン識別処理を開始させて候補の選定をやり直すことができる。
【0124】
また、接続パターン識別処理中に異常と判定されたことがLED12に表示される(図6のステップS18)ので、ユーザーが、異常があったことをすばやく確認することができる。
【0125】
また、接続パターン識別処理が正常に終了した後、受話器3をオンフックすると、電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターンに応じた外部音声I/O装置4との接続の設定が自動的に行われて、外部音声I/O装置4で通話を行うことができる。
【0126】
また、エコーキャンセラ28が設けられているので、外部音声I/O装置4での通話時に、外部音声I/O装置4においてスピーカから出た音声がマイクロホンで拾われることによるエコーの発生を防止することができる。
【0127】
なお、以上の例では、スピーカとマイクロホンとが一体となった据え置き型の装置である外部音声I/O装置4で通話を行うための電話機用スイッチ装置に本発明を適用している。しかし、これに限らず、ヘッドセットで通話を行うための電話機用スイッチ装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明に係る電話機用スイッチ装置を用いたシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係る電話機用スイッチ装置の外観構成を示す図である。
【図3】本発明に係る電話機用スイッチ装置で受話器をオンフックした状態を示す図である。
【図4】本発明に係る電話機用スイッチ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図5】図4のマイクロコンピュータが実行する接続パターン識別処理を示すフローチャートである。
【図6】図4のマイクロコンピュータが実行する接続パターン識別処理を示すフローチャートである。
【図7】4端子モジュラーケーブルの接続パターンを示す図である。
【図8】接続パターン識別処理でのインピーダンス測定時の図4の接続設定用スイッチの切替えパターンを示す図である。
【図9】1つの端子をスピーカ・マイクロホンに共用した接続パターンを例示す図である。
【符号の説明】
【0129】
1 電話機用スイッチ装置、 2 電話機本体、 3 受話器、 4 外部音声I/O装置、 11 フックスイッチ、 12 LED、 13 電話機本体用モジュラージャック、 14 受話器用モジュラージャック、 15 外部音声I/O装置用コネクタ、 16 接続設定釦、 21 本体切離し用スイッチ、 22,23 接続設定用スイッチ、 24 受話器切離し用スイッチ、 31 受話器インピーダンス測定用発振器、 34 レベル検出器、 35 マイクロコンピュータ、 C1,C2 4端子モジュラーケーブル、 C3 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機本体と受話器とが4端子モジュラーケーブルで接続される電話機の前記電話機本体と前記受話器との間に接続されるとともに、外部音声入出力装置に接続され、前記電話機本体を前記受話器と前記外部音声入出力装置とのいずれに接続するかを切り替える電話機用スイッチ装置において、
前記電話機本体との接続を切り離し、前記受話器に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子に交流信号を供給して前記受話器のインピーダンスを測定する処理を、前記2つの端子の組合せを複数パターンに切り替えて行うインピーダンス測定手段と、
前記複数パターンの端子の組合せのうち、前記インピーダンス測定手段でのインピーダンスの測定レベルが小さい組の順に、所定数の組を、前記電話機におけるスピーカ接続用の端子及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定する候補選定手段と、
前記電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子から供給されるダイヤルトーン信号のレベルを測定する処理を、前記2つの端子の組合せを、前記候補選定手段で選定された前記所定数の組に切り替えて行うトーンレベル測定手段と、
前記所定数の組のうち、前記トーンレベル測定手段での測定レベルが最大の組を、前記電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子として識別し、前記トーンレベル測定手段での測定レベルが最小の組を、前記電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子として識別する識別手段と
を備えたことを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記インピーダンス測定手段は、前記2つの端子の組合せを6つのパターンに切り替えることを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記候補選定手段は、前記インピーダンス測定手段でのインピーダンスの測定レベルが所定の閾値を超えている場合には、異常と判定することを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記候補選定手段は、前記複数パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスが所定の閾値未満である組を除外して前記候補を選定することを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記候補選定手段は、前記複数パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と4番目以降に小さい組との測定レベルの差が一定以下である場合には、インピーダンスの測定レベルが最も小さい組と、4端子モジュラーケーブルの残りの2つの端子の組との2組を、前記候補として選定することを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記候補選定手段は、前記複数パターンの端子の組合せのうち、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と3番目に小さい組との測定レベルの差が一定以下である場合には、インピーダンスの測定レベルが最小の組と、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組と、インピーダンスの測定レベルが3番目に小さい組との3組を前記候補として選定し、それ以外の場合には、インピーダンスの測定レベルが最小の組と、インピーダンスの測定レベルが2番目に小さい組との2組を前記候補として選定することを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記候補選定手段は、前記候補として選定した前記所定数の組と、前記インピーダンス測定手段でのインピーダンスの測定レベルが最大の組との測定レベルの差が所定の閾値以下である場合には、異常と判定することを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記識別手段は、前記トーンレベル測定手段での測定レベルが、前記所定数の組の全てについて所定の閾値以下である場合には、異常と判定することを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記識別手段は、前記トーンレベル測定手段での測定レベルが、前記所定数の組の全てについて所定の閾値以上である場合には、異常と判定することを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項10】
請求項3,7,8または9に記載の電話機用スイッチ装置において、
異常と判定されたことを表示する表示手段
をさらに備えたことを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項11】
請求項1に記載の電話機用スイッチ装置において、
前記電話機本体と前記外部音声入出力装置との接続時に、前記電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうち、前記識別手段によってスピーカ接続用の端子として識別された2つの端子を前記外部音声入出力装置のスピーカに接続し、前記識別手段によってマイクロホン接続用の端子として識別された2つの端子を前記外部音声入出力装置のマイクロホンに接続する接続設定手段
をさらに備えたことを特徴とする電話機用スイッチ装置。
【請求項12】
電話機の電話機本体と受話器とを接続する4端子モジュラーケーブルの接続パターンの識別方法において、
前記電話機本体と前記受話器との接続を切り離し、前記受話器に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子に交流信号を供給して前記受話器のインピーダンスを測定する処理を、前記2つの端子の組合せを複数パターンに切り替えて行うインピーダンス測定ステップと、
前記複数パターンの端子の組合せのうち、前記インピーダンス測定ステップでのインピーダンスの測定レベルが小さい組の順に、所定数の組を、前記電話機におけるスピーカ接続用の端子及びマイクロホン接続用の端子の候補として選定する候補選定ステップと、
前記電話機本体に接続されている4端子モジュラーケーブルのうちの2つの端子から供給されるダイヤルトーン信号のレベルを測定する処理を、前記2つの端子の組合せを、前記候補選定ステップで選定された前記所定数の組に切り替えて行うトーンレベル測定ステップと、
前記所定数の組のうち、前記トーンレベル測定ステップでの測定レベルが最大の組を、前記電話機におけるスピーカ接続用の2つの端子として識別し、前記トーンレベル測定ステップでの測定レベルが最小の組を、前記電話機におけるマイクロホン接続用の2つの端子として識別する識別ステップと
を有することを特徴とする電話機の4端子モジュラーケーブルの接続パターン識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−5473(P2006−5473A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177324(P2004−177324)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】