説明

電話機

【課題】 発信者毎に適した応答メッセージを迅速にかつ的確に送出することができる電話機を提供すること。
【解決手段】 携帯用電話機100は、電話番号と氏名または名称とが対応付けら、属性毎に分類されたれた電話帳データを有し、着信が生じた場合に他の電話機における電話番号データを識別情報として取得するとともに、当該取得された電話番号データと電話帳データに基づいて当該他の電話機における発信者と当該発信者が属する属性を特定するようになっている。また、この携帯用電話機は、留守番電話機能を備え、当該留守番電話機能に基づいてメッセージデータを送出する際に、特定された属性と操作者によって操作された操作キーKとに基づいて予め記憶されたメッセージデータを決定するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用電話機などの携帯用通信端末装置における留守番電話機能に関し、特に、応答メッセージの送出または受信された音声データの記憶に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、電話機は、距離的に離隔された相手と連絡を取ることが可能な通信手段として発展してきており、最近では、留守番電話機能などの種々の機能の付加、または、携帯可能な無線通信方式を採用した電話機(以下、携帯用電話機という。)の開発など通信手段としての利便性が向上している。
【0003】
特に、留守番電話機能付き電話機は、他の電話機の発信に基づいて着信が生じた際に、当該電話機のユーザが応答することができない場合に、操作者における所定の操作が行われることなく応答を開始し、当該電話機内部に予め記憶されていた音声メッセージ(以下、「応答メッセージ」という。)の送出および発信者のメッセージを記憶することができるようになっている。このため、この留守番電話機能付き電話機は、着信時に固定設置された電話機の近傍に通話を行う相手側の操作者が不在の際に、当該相手側の操作者と連絡を取ることができないといった不便な点を解消することができるようになっている。
【0004】
一方、携帯用電話機の特性上、常に使用者に携帯されることから、仕事中など他の電話機からの発信に基づいて着信が為された場合に、当該着信を認識しているが応答することができない場合も多い。このため、最近では、着信に対してユーザが直接応答することができない場合に、留守番電話機能を用いて当該応答することができない理由、すなわち、着信拒否を行う理由を的確にメッセージとして送出する留守番電話機能が搭載された携帯用電話機が知られている。
【0005】
具体的には、この携帯用電話機は、操作者が発話した複数の応答メッセージを記憶し、着信拒否の設定中に他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合に、自動的に応答するとともに、記憶された複数の応答メッセージのうち、予め指定された応答メッセージを他の電話機に送出するようになっている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−164657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の留守番電話機能が搭載された携帯用電話機であっては、何れの電話機からの発信に基づく着信に対して留守番電話に基づく応答を行ったとしても、予め設定された応答メッセージを送出することになるので、発信を行った電話機毎に、すなわち、通話を希望する相手側の操作者(以下、「発信者」という。)毎に適した応答メッセージを送出することができない。
【0008】
本発明は、上記の課題の一例を解決するものとして、発信者毎に適した応答メッセージを迅速にかつ的確に送出することができる電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合に当該他の電話機と通信回線を確立し、予め記憶された応答メッセージを当該他の電話機に送出する留守番電話機能を有する電話機であって、前記発信者毎に有する前記他の電話機における識別情報が当該発信者の属性毎に予め記憶される第1記憶手段と、前記着信が生じた際に発信された電話機における識別情報を取得する取得手段と、前記記憶されている識別情報と前記取得された識別情報に基づいて発信者の属性を特定する特定手段と、前記属性毎に異なる複数の応答メッセージデータが記憶される第2記憶手段と、前記特定された属性に基づいて前記記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定する決定手段と、前記着信に対して応答し、他の電話機との通信回線を確立する確立手段と、前記他の電話機との通信回線が確立した際に、前記決定された応答メッセージを前記他の電話機に対して送出する送出手段と、を備える構成を有している。
【0010】
この構成により、請求項1に記載の発明は、他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合に、記憶されている識別情報と取得された識別情報に基づいて発信者の属性を特定するとともに、特定された属性に基づいて記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定し、他の電話機との通信回線が確立した際に、決定された応答メッセージを前記他の電話機に対して送出する。
【0011】
したがって、請求項1に記載の発明は、操作者によって、属性毎に適した応答メッセージが予め記憶され、かつ、発信者毎に有する他の電話機における電話番号などの識別情報が予め的確に所定の属性に対応付けて記憶されていれば、発信者毎に適した応答メッセージを迅速にかつ的確に送出することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電話機において、操作者が所定の操作を行うために用いる複数の操作キーを有する操作手段を更に備え、前記記憶手段には、前記属性毎に、各操作キーに対応付けられた複数の異なる前記応答メッセージが記憶されているとともに、前記決定手段が、前記特定された属性および前記操作者が操作した操作キーに基づいて前記記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定する構成を有している。
【0013】
この構成により、請求項2に記載の発明は、特定された属性および操作者が操作した操作キーに基づいて記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定する。
【0014】
したがって、請求項2に記載の発明は、発信者に対して送出する複数のメッセージを予め用意することができるとともに、着信時の状況に応じて操作者が一の応答メッセージを決定することができるので、状況に応じて操作者が応答メッセージを選択することができるとともに、迅速に、かつ、的確に応答メッセージを送出することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電話機において、所定の画像データを表示する表示手段を更に備え、前記表示手段には、前記操作手段によって前記応答メッセージを決定する際に、前記特定された属性に対応する前記各操作キーにおける応答メッセージの内容を画像データとして表示する構成を有している。
【0016】
この構成により、請求項3に記載の発明は、前記操作手段によって前記応答メッセージを決定する際に、前記特定された属性に対応する前記各操作キーにおける選択可能な応答メッセージの内容を画像データとして表示するので、操作キーにおける操作者の誤操作を防止することができるとともに、的確に着信時の状況に則した応答メッセージを決定することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の電話機において、前記記憶手段には、同一の操作キーに対応付けられた前記属性毎に異なる前記各応答メッセージが同一の内容かつ異なる言語表現にて記憶されている構成を有している。
【0018】
この構成により、請求項4に記載の発明は、同一の操作キーに対応付けられた前記属性毎に異なる前記各応答メッセージが同一の内容かつ異なる言語表現にて記憶されている。
【0019】
したがって、請求項4に記載の発明は、属性に関わらず、一の操作キーには同一の応答メッセージが対応付けられているので、各属性毎に操作キーと応答メッセージの内容とを念頭に入れて操作する必要はなく、操作キーにおける操作者の誤操作を防止することができるとともに、的確に着信時の状況に則した応答メッセージを送出することができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の電話機において、前記他の電話機との通信回線が確立した際に、当該他の電話機から送信された音声データを記憶する第3記憶手段と、前記特定された属性に基づいて、前記第3記憶手段に前記音声データが記憶される際の記憶態様、または、前記音声データにおける前記第3記憶手段への記憶の可否の少なくとも何れか一方を判断する判断手段と、を更に備える構成を有している。
【0021】
この構成により、請求項5に記載の発明は、属性に対応付けて当該他の電話機から送信された音声データの記憶態様または記憶の可否を判断することができるので、音声データを記憶すること、または、音声データの記憶時間を可変させるなど発信者における属性に基づいて音声データの記憶の可否を含め当該音声データの記憶態様を制御することができる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の電話機において、操作者の予定を示す予定データが予め登録される登録手段と、前記着信が生じた際に、当該着信時における前記登録された予定データと前記操作者の行動とが合致しているか否かを判断する判断手段と、を更に備え、前記決定手段が、前記判断手段によって判断された判断結果および前記特定された属性に基づいて前記記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定する構成を有している。
【0023】
この構成により、請求項6に記載の発明は、登録された予定データと操作者の行動とが合致しているか否かおよび特定された属性に基づいて記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定する。
【0024】
したがって、請求項6に記載の発明は、操作者の予定および当該予定の遂行に関連付けて応答メッセージを決定および送出することができるので、操作者の予定の遂行状況に則した応答メッセージを的確に決定し、かつ、送出することができる。
【0025】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電話機において、前記予定データに場所における位置を示す場所データが含まれている場合に、前記他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合に、当該電話機の位置を示す位置データを取得する位置データ取得手段と、を更に備え、前記判断手段が、前記場所データと前記取得された位置データに基づいて予定データと前記操作者の行動とが合致しているか否かを判断する。
【0026】
この構成により、請求項7に記載の発明は、電話機の位置データと登録された予定データに基づいて操作者の予定と操作者の行動が合致しているか否かを的確に判断することができる。
【0027】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一項に記載の電話機において、無線通信にて他の電話機と通信を行う通信手段を備え、操作者にて携帯可能に構成されている。
【0028】
この構成により、請求項8に記載の発明は、他の電話機との通信を行う場合に、特定の場所に固定されることはないので、種々の場所または種々の状況にて他の電話機の発信に基づく着信が生ずる可能性があり、着信が生じた状況に応じて、かつ、発信者毎に適した応答メッセージを送出することに関して有効に活用することができる。
【発明の効果】
【0029】
本願の発明は、操作者によって、属性毎に適した応答メッセージが予め記憶され、かつ、発信者毎に有する前記他の電話機における識別情報が予め的確に所定の属性に対応付けて記憶されていれば、発信者毎に適した応答メッセージを迅速にかつ的確に送出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0031】
以下に説明する実施の形態は、留守番電話機能を有する携帯用電話機に対して本願の電話機を適用した場合の実施形態である。
【0032】
〔第1実施形態〕
はじめに、図1〜図5を用いて本願の電話機を適用した携帯用電話機の第1実施形態について説明する。
【0033】
まず、図1〜図3に用いて本実施形態における携帯用電話機の概要およびその構成について説明する。なお、図1は、本願に係る携帯用電話機の構成を示す構成図であり、図2は、本実施形態のデータ記憶部に記憶される電話帳データおよび応答メッセージに関するデータ(以下、「メッセージデータ」という。)の一例である。また、図3は、本実施形態の携帯電話機の概観を示す概観図の一例である。
【0034】
本実施形態の携帯用電話機100は、電話番号と当該電話番号を有する電話機を所有する友人または知人などの氏名または名称とが対応付けられ、属性毎に分類された電話帳データを有し、他の電話機からの発信に基づく着信が生じた場合に(以下、単に「着信」ともいう。)、当該他の電話機における電話番号のデータ(以下、「電話番号データ」という。)を識別情報として取得するとともに、当該取得された電話番号データと電話帳データに基づいて当該他の電話機における発信者と当該発信者が属する属性を特定するようになっている。
【0035】
また、この携帯用電話機100は、操作者における所定の操作が行われることなく他の電話機との通信回線を確立し、所定のメッセージデータを送出する留守番電話機能を備え、当該留守番電話機能に基づいてメッセージデータを送出する際に、特定された属性と操作者によって操作された操作キーKとに基づいて予め記憶された応答メッセージを決定するようになっている。
【0036】
本実施形態の携帯用電話機100は、図1に示すように、アンテナATを介して他の電話機との通信を行う通信制御部110と、属性毎に分類された電話帳データと属性毎にかつ各操作キーKに対応づけられた複数のメッセージデータとが記憶されているデータ記憶部120と、電話帳データに基づいて着信時に発信者および当該発信者の属性を特定する発信者特定部130と、後述の送出するメッセージデータの決定など携帯用電話機100の各種の操作を行う際に用いられる操作部140と、を備えている。
【0037】
また、この携帯用電話機100は、上述のように、メッセージデータを決定する際の操作キーKに対応付けられたメッセージデータの表示など所定のデータを表示する表示部150と、当該表示部150を制御する表示制御部160と、所定の処理を行う際に各部を制御し、特に、特定された発信者の属性および操作キーKに基づくメッセージデータの決定、および、当該決定されたメッセージの再生など留守番電話機能設定中の処理(以下、単に「留守番電話応答処理」という。)を行うシステム制御部170と、各部を制御する際に用いられ、所定のデータが記憶されるROM/RAM180と、を備えている。
【0038】
さらに、この携帯用電話機100は、着信が生じた際に呼出音を拡声する呼出音拡声部190と、当該着信が生じた際に着信を操作者に認識させるために携帯電話機本体を振動させる振動制御部200と、着信固定電話機または他の携帯用電話機100との通話を行うため、音声が入力されるマイクロホンMと、入力された音声を所定の信号に処理する音声処理部210と、受信された音声データを拡声するスピーカSPと、スピーカSPを制御する拡声制御部220と、を備えている。
【0039】
なお、本実施形態の通信制御部110は、本発明の取得手段、確立手段、送出手段および通信手段を構成し、データ記憶部120は、本発明の第1記憶手段、第2記憶手段および第3記憶手段を構成する。また、本実施形態の発信者特定部130は、本発明の特定手段を構成し、本実施形態の操作部140は、本発明の操作手段を構成する。さらに、本実施形態の表示部150は、本発明の表示手段を構成し、システム制御部170は、本発明の決定手段を構成する。
【0040】
通信制御部110は、アンテナATを介して電話公衆網回線に接続されるようになっており、システム制御部170の制御の下、他の電話機の発信に基づく着信が生じた際に、図示しない交換機を介して当該他の電話機との通信制御を行うようになっている。
【0041】
特に、本実施形態の通信制御部110は、他の電話機からの着信が生じた際に、
(1)交換機から他の電話機の電話番号データを取得すること、
(2)図示しない交換機を介して当該他の電話機との通信回線を確立すること、
(3)他の電話機との通話制御を行うこと、
(4)留守番電話応答処理時に後述するように決定されたメッセージデータを送出すること、および、
(5)留守番電話応答処理時に他の電話機から送信された音声データを記憶するために、当該送信された音声データを受信することを行うようになっている。
【0042】
データ記憶部120には、名称を示す名称データ、電話番号データ、属性を示す属性データおよびその他のデータから構成される電話帳データを記憶する電話帳データ記憶領域と、送出するメッセージの音声データ、当該メッセージに関するテキストデータ、対応する操作キーKを示すキーデータおよび属性データを含むメッセージデータが記憶されるメッセージデ−タ記憶領域と、が設けられている。
【0043】
本実施形態の電話帳データ記憶領域には、図2(a)に示すように、五十音順やアルファベット順に配列された名称データと、携帯用電話機100の電話番号または固定電話機の電話番号を示す電話番号データと、友人1、友人2、仕事、家族等の属性を示す属性データと、Eメールアドレスなどのその他のデータと、から構成されている複数の電話帳データが記憶されている。
【0044】
一方、本実施形態のメッセージデータ記憶領域には、図2(b)に示すように、友人1、友人2、仕事、家族等の属性を示す属性データと、「0」〜「9」、「#」および「※」の各操作キーKを示すキーデータと、所定のデータ形式にて構成され、他の電話機に送出される際に再生される音声データと、当該メッセージにおけるテキストデータと、から構成される複数のメッセージデータが属性毎に記憶されている。
【0045】
また、このメッセージデータ記憶領域には、同一の操作キーKに対応付けられた属性毎に異なる各メッセージデータが同一の内容かつ異なる言語表現にて記憶されている。例えば、本実施形態では、「0」の操作キーK(テンキー)において、「友人1」の属性には、「ごめん。今、会議中なの。後で電話します。」の内容を示すメッセージデータが記憶されており、「仕事」の属性には、「お電話ありがとうございます。只今、会議中ですので、終了次第こちらからかけ直させていただきます。」の内容を示すメッセージデータが記憶されている。
【0046】
なお、本実施形態では、電話帳データに登録されていない場合など属性が特定できない「属性なし」についても各操作キーKに対応してメッセージデータが記憶されるようになっている。ただし、属性なしの場合には、他の属性、例えば、「仕事」の属性と共有にしてもよい。
【0047】
発信者特定部130には、着信時に通信制御部110にて取得された他の電話機の電話番号データが入力されるようになっており、この発信者特定部130は、取得された電話番号データに基づいてデータ記憶部120に記憶されている電話帳データ内を検索し、当該電話番号データが記憶されているか否かを判断するようになっている。
【0048】
また、この発信者特定部130は、該当する電話番号データが記憶されていると判断した場合には、当該電話番号データに対応する名称データおよび属性データを発信者の名称および属性であると特定し、特定された属性をシステム制御部170に通知するとともに、特定された属性および名称を表示部150に表示するための所定のデータを表示制御部160に通知するようになっている。
【0049】
なお、この発信者特定部130は、該当する電話番号データが記憶されていないと判断した場合には、属性を「なし」と特定するようになっており、その旨をデータとしてシステム制御部170に出力するとともに、当該電話番号が記憶されていない旨および入力された電話番号データを表示部150に表示するために所定のデータを表示制御部160に出力するようになっている。
【0050】
操作部140は、各種確認ボタン、各操作指令を入力する操作ボタン、テンキーおよびその他の数字キーなど、多数のキーにより構成され、本実施形態では、留守番電話機能設定中にメッセージデータの決定の際に用いられるようになっている。
【0051】
特に、本実施形態では、他の電話機の発信に基づく着信が発生し、留守番電話機能に基づいて他の電話機との通信回線が確立された場合に、押し下げられた操作キーKを示すデータをシステム制御部170に出力するようになっている。
【0052】
例えば、本実施形態では、図3に示すように、少なくとも、「0」〜「9」までのテンキーと、「#」および「※」のキーを備え、これらのキーが操作者によって押し下げられた際に、当該押し下げられた操作キーKを示すデータをシステム制御部170に出力するようになっている。
【0053】
なお、システム制御部170は、後述するように、この操作部140から出力された操作キーKを示すデータと、特定されている属性に基づいて、一のメッセージデータを決定し、当該決定されたメッセージデータを他の電話機に送出するための制御を行うようになっている。
【0054】
表示部150は、液晶素子またはEL(Electro Luminescence)素子によって構成され、表示制御部160にて生成された表示データに基づいて所定の画像を表示するようになっている。
【0055】
具体的には、本実施形態では、表示部150は、着信時に、発信者を特定することができた場合には、発信者の名称および属性を表示するとともに、当該発信者を特定することができない場合には、その旨および発信された電話機の電話番号を表示するようになっている。
【0056】
また、この表示部150は、後述するように、留守番電話応答処理中にメッセージデータを決定する際に、特定された属性における操作キーKに対応付けられた各メッセージデータにおける画像データを表示するようになっている。
【0057】
例えば、図3に示すように、表示部150には、発信者特定部130において留守番電話機能に基づいて他の電話機のとの通信回線が確立された場合に、当該他の電話機における属性が「友人」の場合には、操作キーK「0」には「ごめん。今、会議中なの。後で電話します。」、「1」には「ちょっと、手が離せないので、メッセージを入れておいてください。後で電話します。」などの操作キーKが押し下げられた際に他の電話機に送出されるメッセージデータを示す画像データが表示されるようになっている。
【0058】
なお、本実施形態では、上述のように、操作キーKによって送出されたメッセージデータを全てテキストデータとして表示するようにしてもよいが、表示領域が制限されていることから、先頭から数文字、または、省略した文字にて表示させるようにしてもよい。
【0059】
表示制御部160は、システム制御部170の制御の下、表示部150に、発信者の名称、属性、電話番号などを表示させるための表示データを生成するようになっており、生成された表示データを表示部150に表示出力するようになっている。
【0060】
特に、本実施形態では、表示制御部160は、留守番電話応答処理中におけるメッセージデータを決定する際に、データ記憶部120から特定された属性における各操作キーKに対応付けられたメッセージデータに含まれるテキストデータを取得し、当該取得したテキストデータに基づいて、特定された属性における操作キーKに対応付けられた表示データを生成するようになっている。
【0061】
システム制御部170は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成されるとともに、キー入力ポート、表示制御ポート等の各種入出力ポートを含み、電話機の全般的な機能を総括的に制御するようになっている。
【0062】
本実施形態のシステム制御部170は、携帯用電話機100全体の動作を制御する際に、ROM/RAM180に格納される制御プログラムを読み出して各処理を実行し、当該ROM/RAM180に処理中のデータを一時的に保持するようになっている。
【0063】
特に、本実施形態では、システム制御部170は、着信時に通話を行う応答(以下、「通話応答」という。)に関する処理および当該通話応答時における各部の制御を行うとともに、留守番電話機能を設定している際に、他の電話機からの着信が生じた場合に、操作者の選択に基づいてメッセージデータを決定して再生を行う処理(以下、「メッセージデータ決定再生処理」という。)、メッセージデータを選択されるための表示制御処理(以下、単に、「表示制御処理」という。)、留守番電話応答処理を行う際に他の電話機から送信されてきた音声データを記憶する処理(以下、単に、「記憶処理」という。)を含む留守番電話応答処理を行うようになっている。
【0064】
具体的には、このシステム制御部170は、着信時に、発信者特定部130によって特定された属性と操作部140によって操作された操作キーKの種別を示す種別データとに基づいてデータ記憶部120に記憶された一のメッセージデータを決定するようになっている。そして、このシステム制御部170は、決定されたメッセージデータにおける音声データをデータ記憶部120から取得して再生し、再生された音声データを、通信制御部110を介して他の電話機に送出するメッセージデータ決定再生処理を行うようになっている。
【0065】
また、このシステム制御部170は、メッセージデータ決定再生処理を行うときに、データ記憶部120から特定された属性における各操作キーKに対応付けられたメッセージデータを表示部150に表示するために、特定された属性における各メッセージデータにおけるテキストデータを表示制御部160に出力させる表示制御処理を行うようになっている。
【0066】
さらに、このシステム制御部170は、留守番電話応答処理中に、特定された属性に基づいて、他の電話機から送信されてきた音声データを記憶するか否かを判断し、当該送信されてきた音声データを記憶する属性であると判断した際には、メッセージデータを送出後に所定の時間継続された無音区間が検出された場合、通信回線の切断音が検出された場合、または、所定の時間が経過した場合などの所定の条件が成立するまで受信された音声データをROM/RAM180に記憶する記憶処理を行うようになっている。例えば、本実施形態では、システム制御部170は、属性が「友人」と特定された場合には、記憶処理を実行し、属性が「仕事」と特定された場合には、応答メッセージを送出するのみで記憶処理を中止するようになっている。
【0067】
なお、システム制御部170は、着信時に、呼出音拡声部190および表示制御部160を制御して、呼出音の拡声および発信者の名称、属性およびその他の情報を表示させる処理も行うようになっている。また、本実施形態のシステム制御部170における留守番電話応答処理の詳細については、後述する。
【0068】
ROM/RAM180は、所定の動作を行う際の制御プログラムおよび電話番号と電話番号に対応する名称が対応付けられた電話帳データなどの所定のデータが記憶されている。特に、本実施形態では、ROM/RAM180には、所定のデータとして留守番電話応答を行うことを示すデータなど他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合の応答に関する設定データ、および、留守番電話応答処理などの着信に基づく応答処理を行うための制御プログラムのデータが記憶されている。
【0069】
呼出音拡声部190は、呼出音を所定の信号レベルに増幅するための増幅器と、呼出音を拡声するためのスピーカSPと、から構成され、システム制御部170の制御の下、通信制御部110にて着信が検出された際に、所定の呼出音を拡声するようになっている。
【0070】
なお、留守番電話応答に設定されている場合には、呼出音の拡声を禁止するように構成してもよい。
【0071】
次に、図4および図5を用いて本実施形態のシステム制御部170におけるメッセージデータ決定再生処理、表示制御処理および記憶処理を含む留守番電話応答処理について説明する。なお、図4および図5は、本実施形態のシステム制御部170におけるメッセージデータ決定再生処理、表示制御処理および記憶処理を含む留守番電話応答処理を示すフローチャートである。
【0072】
以下の留守番電話応答処理において、着信時に留守番電話応答を行う旨を示すデータは、本動作を行う前に設定されるものとし、各属性毎および各操作キーK毎にメッセージデータが予めデータ記憶部120に記憶されているものとする。また、本動作では着信が生じた際に呼出音を拡声しない設定になっているものとする。
【0073】
まず、他の電話機の発信に基づく着信が生ずると(ステップS11)、システム制御部170は、通信制御部110に図示しない交換機と通信を行わせて当該交換機から送信された電話番号データを取得させ、発信者特定部130に出力させる(ステップS12)。
【0074】
次いで、システム制御部170は、発信者特定部130に取得させた電話番号データに基づいてデータ記憶部120に記憶された電話帳データを検索させ、当該電話番号データが電話帳データに登録されているか否かを判断させる(ステップS13)。
【0075】
このとき、発信者特定部130において、取得させた電話番号データが電話帳データに登録されていると判断されると、システム制御部170は、当該発信者特定部130に電話帳データに基づいて発信者の名称および属性を特定させるとともに、特定された属性の種別を示すデータその他の所定のデータを表示制御部160およびシステム制御部170に出力させる(ステップS14)。
【0076】
一方、発信者特定部130において、取得させた電話番号データが電話帳データに登録されていないと判断されると、システム制御部170は、発信者特定部130に発信者の属性を「属性なし」に特定させ、特定された属性および電話番号の所定のデータを表示制御部160およびシステム制御部170に出力させる(ステップS15)。
【0077】
次いで、システム制御部170は、表示制御部160を制御して表示部150に入力された名称データ、属性データまたは電話番号データなどの所定のデータを表示させるとともに、データ記憶部120から特定された属性における各操作キーKに対応する応答メッセージにおけるテキストデータを表示制御部160に出力させ、テキストデータを表示部150に表示させる(ステップS16)。
【0078】
次いで、システム制御部170は、着信を操作者に認識させるために、振動制御部200に振動を開始させ、操作キーKの入力を待機する(ステップS17)。なお、システム制御部170は、図示しない発光部を制御して着信を知らせる発光を行うようにしてもよい。
【0079】
次いで、システム制御部170は、操作キーKの入力の待機中に、何れかの操作キーKの入力を検出するとともに(ステップS18)、振動制御部200における振動を開始してから所定の時間が経過したか否かを判断し(ステップS19)、所定の時間が経過した場合には本動作を終了する。なお、このとき、システム制御部170は、予め定められた音声データを他の電話機に送出して本動作を終了させる。
【0080】
一方、システム制御部170は、所定の時間内に操作者が操作キーKを押し下げられたことを検出すると、検出された操作キーKの押し下げに基づいて入力された種別データおよび特定された属性に基づいて、操作者によって選択されたメッセージデータを決定し、決定されたメッセージデータにおける音声データをデータ記憶部120から取得する(ステップS20)。
【0081】
次いで、システム制御部170は、取得したメッセージデータを再生し、再生された音声データを、通信制御部110を介して他の電話機に送出する(ステップS21)。
【0082】
次いで、システム制御部170は、特定された属性と入力された操作キーKに基づいて、他の電話機から送信されてきた音声データ(以下、「受信データ」ともいう。)を記憶するか否かを判断し(ステップS22)、当該音声データを記憶しないと判断した場合には、確立された他の電話機との通信回線を切断し(ステップS23)、本動作を終了させる。
【0083】
一方、システム制御部170は、他の電話機から送信されてきた音声データを記憶すると判断した場合には、通信制御部110において受信された他の電話機から送信されてきた音声データのROM/RAM180への記憶を開始する(ステップS24)。
【0084】
次いで、システム制御部170は、所定の時間における無音区間の検出、記憶開始から所定の時間経過または電話公衆網回線を介して受信される切断信号の検出など所定の条件を検出したか否かを判断するとともに(ステップS25)、所定の条件を検出した場合には、音声データの記憶を終了して確立された他の電話機との通信回線を切断し(ステップS26)、本動作を終了させる。
【0085】
以上本実施形態の携帯用電話機100は、他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合に、記憶されている電話帳データと取得された電話番号データに基づいて発信者の属性を特定するとともに、特定された属性および操作者が操作した操作キーKに基づいて記憶されているメッセージデータの中から一のメッセージデータを決定し、他の電話機との通信回線が確立した際に、決定されたメッセージデータを他の電話機に対して送出するので、発信者毎に適したメッセージデータを迅速にかつ的確に送出することができる。
【0086】
また、本実施形態の携帯用電話機100は、操作キーKによってメッセージデータを決定する際に、特定された属性に対応する各操作キーKにおけるメッセージデータの内容を画像データとして表示するので、状況に応じて操作者が応答メッセージを選択することができるとともに、的確に着信時の状況に則したメッセージデータを決定することができる。
【0087】
また、本実施形態の携帯用電話機100は、同一の操作キーKに対応付けられた属性毎に異なる各メッセージデータが同一の内容かつ異なる言語表現にて記憶されており、属性に関わらず、一の操作キーKには同一のメッセージデータが対応付けられているので、各属性毎に操作キーKとメッセージデータの内容とを念頭に入れて操作する必要はなく、操作キーにおける操作者の誤操作を防止することができるとともに、的確に着信時の状況に則したメッセージデータを送出することができる。
【0088】
また、本実施形態の携帯用電話機100は、属性に対応付けて当該他の電話機から送信された音声データの記憶の可否を判断することができるので、音声データを記憶することなど発信者における属性に基づいて音声データの記憶の可否を含め当該音声データの記憶態様を制御することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、システム制御部170は、メッセージデータ決定再生処理において、操作キーKによって入力された種別データに基づいて、予め記憶された複数のメッセージデータから一のメッセージデータを決定するようになっているが、各属性毎に一のメッセージデータが記憶され、操作キーKによる選択を行うことなく、属性が特定された際に、記憶されたメッセージデータを再生して他の電話機に送出するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、データ記憶部120にメッセージデータが「友人」または「仕事」などの発信者を識別する属性毎に記憶されているが、「着信回数」または「直前に着信を生じさせた電話機」など発信者から通知された電話番号データにて特定することができる属性毎にメッセージデータを記憶するようにしてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、特定された属性に基づいて発信者の電話機から送信されてきた音声データの記憶の可否を判断するようになっているが、当該特定された属性に基づいて記憶の態様、すなわち、記憶時間を可変に設定する、または、記憶する際の記憶レートを可変にするようにしてもよい。
【0092】
〔第2実施形態〕
次に、図6〜図8を用いて本願の電話機を適用した携帯用電話機の第2実施形態について説明する。
【0093】
本実施形態では、第1実施形態において特定された属性と操作された操作キーに基づいて一のメッセージデータを決定する点に代えて、特定された属性および操作された操作キーと操作者の行動がスケジュール通りに実行されているか否かとに基づいて一のメッセージデータを決定する点に特徴があり、その他の構成は、第1実施形態と同様であり、同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0094】
具体的には、本実施形態の携帯用電話機は、スケジュールに関するデータ(以下、「スケジュールデータ」という。)の登録、および、位置情報の検出を行うようになっており、他の電話機の発信に基づく着信が生じた際に、電話番号データおよび電話帳データに基づいて特定された属性と、操作者によって操作された操作キーと、登録されたスケジュールに沿って操作者が行動しているか否かの判断結果と、に基づいて、メッセージデータを決定するようになっている。
【0095】
また、本実施形態の携帯用電話機には、メッセージデータとして、第1実施形態と同様に、属性データ、キーデータ、音声データおよびテキストデータの他に、登録されたスケジュールに沿って操作者が行動している場合に、または、登録されたスケジュールに沿って操作者が行動していない場合に、当該選択可能を示す選択可能フラグのデータ(以下、「選択可能フラグデータ」という。)が記憶されるようになっている。そして、この携帯用電話機は、登録されたスケジュールに沿って操作者が行動しているか否かが判断された際に、すなわち、予定行動か非予定行動かが判断された際に、判断結果と各メッセージデータにおける選択可能フラグデータに基づいて、選択可能なメッセージデータを選別するようになっている。
【0096】
なお、本実施形態では、携帯用電話機は、登録されたスケジュールに沿って操作者が行動しているか否かが判断された際に、判断結果に対して選択可能フラグデータを有しないメッセージデータに対しては、表示部に表示させず、かつ、操作者によって該当する操作キーKが選択されたとしても、当該操作を無効にするようになっている。
【0097】
まず、図6に用いて本実施形態における携帯用電話機の概要およびその構成について説明する。なお、図6は、本実施形態における携帯用電話機の構成を示す構成図である。
【0098】
本実施形態の携帯用電話機300は、図6に示すように、通信制御部110と、スケジュールに対応するメッセージデータが記憶されるデータ記憶部310と、発信者特定部130と、操作部140と、表示部150と、表示制御部160と、予めスケジュールデータが登録されるスケジュールデータ登録部330と、アンテナATを介して携帯用電話機300の位置データを取得する位置データ取得部340と、を備えている。
【0099】
また、この携帯用電話機300は、所定の処理を行う際に各部を制御し、特に、登録されたスケジュールに沿って操作者が行動しているか否かを判断して応答メッセージの決定、および、当該決定されたメッセージの再生など留守番電話応答処理を行うシステム制御部320と、各部を制御する際に用いられ、所定のデータが記憶されるROM/RAM180と、を備えている。
【0100】
さらに、この携帯用電話機300は、呼出音拡声部190と、振動制御部200と、マイクロホンMと、音声処理部210と、スピーカSPと、拡声制御部220と、を備えている。
【0101】
なお、本実施形態の通信制御部110は、本発明の取得手段、確立手段および送出手段を構成し、データ記憶部310は、本発明の第1記憶手段、第2記憶手段および第3記憶手段を構成する。また、本実施形態の発信者特定部130は、本発明の特定手段を構成し、本実施形態の操作部140は、本発明の操作手段を構成するとともに、表示部150は、本発明の表示手段を構成する。さらに、本実施形態のスケジュールデータ登録部330は、本発明の登録手段を構成するとともに、位置データ取得部340は、本発明の位置データ取得手段を構成し、システム制御部320は、決定手段および判断手段を構成する。
【0102】
データ記憶部310には、第1実施形態と同様に電話帳データが記憶される電話帳データ記憶領域と、選択可能フラグデータを含むメッセージデータが記憶されるメッセージデータ記録領域とが設けられている。
【0103】
具体的には、このメッセージデータ記憶領域には、「電話に出られませんので、メッセージをお願いします。」などの通常用いられる定型的な応答メッセージを送出するためのメッセージデータ(以下、「定型メッセージデータ」という。)の他に、スケジュールに対応するメッセージデータ(以下、「スケジュール対応メッセージデータ」という。)が、属性毎に、言語表現を変化させて記憶されるようになっている。
【0104】
例えば、後述するようにスケジュールデータ登録部330にスケジュールとして「映画鑑賞」が登録されると、このメッセージデータ記憶領域には、スケジュール対応メッセージデータとして、属性が「友人」については、「今、映画鑑賞中なの後で電話するね。」を示すメッセージデータが、属性が「仕事」については、「只今、私用により電話にでることができません。後ほど、かけ直させて頂きます。」を示すメッセージデータが、何れか一の操作キーKに対応付けて記憶されるようになっている。
【0105】
また、このメッセージデータ記憶領域には、各メッセージデータ毎に、予定行動時に選択可能にすることを示す選択可能フラグデータ、または、非予定行動時に選択可能にすることを示す選択可能フラグデータの少なくとも何れか一方のデータが記憶されるようになっている。
【0106】
なお、スケジュール対応メッセージデータは、操作者が発話および操作を行うことによって、または、図示しない複数のメッセージデータを有するサーバ装置から取得することによって、登録され、各メッセージデータを登録する際に、または、当該メッセージデータを修正する際に、選択可能フラグデータの設定が行われるようになっている。
【0107】
また、本実施形態では、上述のように、各メッセージデータに選択可能フラグデータを含ませることによって、スケジュールデータの登録の変更をし忘れた場合など、実際の操作者の行動と、スケジュールが合致しない場合であっても、「友人」などの特定の属性に対しては、実際の行動に適合したメッセージデータを選択可能にし、「仕事」などの特定の属性に対しては、登録されたスケジュールに関するメッセージデータを選択可能にすることができるようになっている。
【0108】
また、属性毎に予定行動または非予定行動かによって対応する同じ内容を示すメッセージデータに関しては、操作キーKを同一にし、予定行動か、または、非予定行動かによって一の操作キーKに対応するメッセージデータに入れ換えるようにしてもよい。
【0109】
スケジュールデータ登録部330は、現在の日付および時刻を認識する時計機能と、日毎または所定の時間毎に操作者の予定および予定を実行する場所のデータを登録して保持するデータ登録保持機能と、を有し、着信時に、システム制御部320の制御の下、現在時刻を認識し、当該現在時刻における操作者の予定を実行すべき場所を示すデータ(以下、「場所データ」)をシステム制御部320に出力するようになっている。
【0110】
なお、本実施形態では、場所データには、緯度および経度のデータにより構成されており、例えば、スケジュールデータを登録する際に通信制御部110を介して登録された場所における緯度および経度のデータを図示しないサーバ装置などの他の通信装置から取得して場所データとして登録するようになっている。
【0111】
位置データ取得部340は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機により構成されており、システム制御部320の下、着信時にGPSに属する複数の人工衛星からの航法電波を、アンテナATを介して受信するとともに、この受信した電波に基づいて携帯用電話機300の現在位置の擬似座標値を計算して位置データとしてシステム制御部320に出力するようになっている。
【0112】
なお、本実施形態ではGPS受信機を用いて位置データを取得しているが、携帯用電話機100において他の電話機との通信回線を確立する際に経由する基地局との通信波を用いて位置データを取得するようにしてもよい。
【0113】
システム制御部320は、第1実施形態の機能に加えて、メッセージデータを決定する際に、入力された場所データおよび位置データが一致するか否かを判断し、当該場所データと位置データが一致する場合には、着信時の操作者の行動がスケジュール通りに実行されているとして、すなわち、予定行動であるとして判断するとともに、当該場所データと位置データが一致しない場合には、着信時の操作者の行動がスケジュール通りに実行されていないとして、すなわち、非予定行動であるとして判断するようになっている。そして、このシステム制御部320は、着信時に、上述のように特定された属性、および、予定行動または非予定行動における選択可能フラグデータに基づいて、選択可能なメッセージデータを選別し、選別されたメッセージデータの中から操作キーKによって入力された種別データに基づいて一のメッセージデータを決定するようになっている。
【0114】
次に、図7および図8を用いて本実施形態のシステム制御部320におけるメッセージデータ決定再生処理、表示制御処理および記憶処理を含む留守番電話応答処理について説明する。なお、図7および図8は、本実施形態のシステム制御部320におけるメッセージデータ決定再生処理、表示制御処理および記憶処理を含む留守番電話応答処理を示すフローチャートである。
【0115】
以下の留守番電話応答処理において、着信時に留守番電話応答を行う旨を示すデータは、本動作を行う前に設定されるものとし、複数のスケジュールがスケジュールデータとして予めスケジュールデータ登録部330に登録されているものとする。また、各属性毎および各操作キーK毎に、スケジュール応答メッセージデータを含め複数のメッセージデータが予めデータ記憶部310に記憶されているものとする。さらに、本動作では着信が生じた際に呼出音を拡声しない設定になっているものとし、スケジュールに対応してメッセージデータを送出するスケジュールモードであるものとする。
【0116】
まず、他の電話機の発信に基づく着信が生ずると(ステップS31)、システム制御部320は、通信制御部110に図示しない交換機と通信を行わせて当該交換機から送信された電話番号データを取得させ、発信者特定部130に出力させる(ステップS32)。
【0117】
次いで、システム制御部320は、発信者特定部130に取得させた電話番号データに基づいてデータ記憶部310に記憶された電話帳データを検索させ、当該電話番号データが電話帳データに登録されているか否かを判断させる(ステップS33)。
【0118】
このとき、発信者特定部130において、取得させた電話番号データが電話帳データに登録されていると判断されると、システム制御部320は、当該発信者特定部130に電話帳データに基づいて発信者の名称および属性を特定させるとともに、特定された属性の種別を示すデータその他の所定のデータを表示制御部160およびシステム制御部320に出力させる(ステップS34)。
【0119】
一方、発信者特定部130において、取得させた電話番号データが電話帳データに登録されていないと判断されると、システム制御部320は、発信者特定部130に発信者の属性を「属性なし」に特定させ、特定された属性および電話番号の所定のデータを表示制御部160およびシステム制御部320に出力させる(ステップS35)。
【0120】
次いで、システム制御部320は、表示制御部160を制御して表示部150に入力された名称データ、属性データまたは電話番号データなどの所定のデータを表示させる(ステップS36)。
【0121】
次いで、システム制御部320は、スケジュールデータ登録部330から現在時刻に対応するスケジュールの場所データを取得するとともに、位置データ取得部340から携帯用電話機300の位置データを取得する(ステップS37)。
【0122】
次いで、システム制御部320は、取得された場所データと位置データが一致するか否かを判断し、操作者の行動がスケジュール通りに行動している予定行動であるか否かを判断する(ステップS38)。
【0123】
このとき、システム制御部320は、予定行動であると判断すると、データ記憶部310から、予定行動に対して選択可能フラグデータが記憶され、特定された属性における各操作キーKに対応するメッセージデータにおけるテキストデータを表示制御部160に出力させ、当該テキストデータを表示部150に表示させる(ステップS39)。
【0124】
一方、システム制御部320は、非予定行動であると判断すると、データ記憶部310から、非予定行動に対して選択可能フラグデータが記憶され、特定された属性における各操作キーKに対応するメッセージデータにおけるテキストデータを表示制御部160に出力させ、当該テキストデータを表示部150に表示させる(ステップS40)。
【0125】
次いで、システム制御部320は、着信を操作者に認識させるために、振動制御部200に振動を開始させ、操作キーKの入力を待機する(ステップS41)。なお、システム制御部320は、図示しない発光部を制御して着信を知らせる発光を行うようにしてもよい。
【0126】
次いで、システム制御部320は、操作キーKの入力の待機中に、何れかの操作キーKの入力を検出するとともに(ステップS42)、振動制御部200における振動を開始してから所定の時間が経過したか否かを判断し(ステップS43)、所定の時間が経過した場合には本動作を終了する。なお、このとき、システム制御部320は、予め定められた音声データを他の電話機に送出して本動作を終了させる。
【0127】
一方、システム制御部320は、所定の時間内に操作者が操作キーKを押し下げられたことを検出すると、検出された操作キーKの押し下げに基づいて入力された種別データおよび特定された属性に基づいて、操作者によって選択されたメッセージデータを決定し、決定されたメッセージデータにおける音声データをデータ記憶部310から取得する(ステップS44)。
【0128】
なお、このとき、システム制御部320は、ステップS38の処理において判断された予定行動か否かに基づいて選択可能フラグデータを有しないメッセージデータに対する操作キーKが押し下げられたとしても、当該メッセージデータの決定および再生を行わない、すなわち、その操作を無効にする。
【0129】
次いで、システム制御部320は、取得したメッセージデータを再生し、再生された音声データを、通信制御部110を介して他の電話機に送出する(ステップS45)。
【0130】
次いで、システム制御部320は、特定された属性と入力された操作キーKに基づいて、他の電話機から送信されてきた音声データを記憶するか否かを判断し(ステップS46)、当該音声データを記憶しないと判断した場合には、確立された他の電話機との通信回線を切断し(ステップS47)、本動作を終了させる。
【0131】
一方、システム制御部320は、他の電話機から送信されてきた音声データを記憶すると判断した場合には、通信制御部110において受信された他の電話機から送信されてきた音声データのROM/RAM180への記憶を開始する(ステップS48)。
【0132】
次いで、システム制御部320は、所定の時間における無音区間の検出、記憶開始から所定の時間経過または電話公衆網回線を介して受信される切断信号の検出など所定の条件を検出したか否かを判断するとともに(ステップS49)、所定の条件を検出した場合には、音声データの記憶を終了して確立された他の電話機との通信回線を切断し(ステップS50)、本動作を終了させる。
【0133】
以上本実施形態の携帯用電話機300は、第1実施形態と同様に、他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合に、記憶されている電話帳データと取得された電話番号データに基づいて発信者の属性を特定するとともに、特定された属性および操作者が操作した操作キーKに基づいて記憶されているメッセージデータの中から一のメッセージデータを決定し、他の電話機との通信回線が確立した際に、決定されたメッセージデータを他の電話機に対して送出するので、発信者毎に適したメッセージデータを迅速にかつ的確に送出することができる。
【0134】
また、本実施形態の携帯用電話機300は、第1実施形態の効果に加えて、登録されたスケジュールデータと操作者の行動とが合致しているか否かおよび特定された属性に基づいて記憶されているメッセージデータの中から少なくとも一のメッセージデータを決定するので、操作者の予定および当該予定の遂行に関連付けて応答メッセージを決定および送出することができるとともに、操作者の予定の遂行状況に則した応答メッセージを的確に決定し、かつ、送出することができる。
【0135】
なお、本実施形態では、データ記憶部310にメッセージデータが「友人」または「仕事」などの発信者を識別する属性毎に記憶されているが、「着信回数」または「直前に着信を生じさせた電話機」など発信者から通知された電話番号データにて特定することができる属性毎にメッセージデータを記憶するようにしてもよい。
【0136】
また、本実施形態では、特定された属性に基づいて発信者の電話機から送信されてきた音声データの記憶の可否を判断するようになっているが、当該特定された属性に基づいて記憶の態様、すなわち、記憶時間を可変に設定する、または、記憶する際の記憶レートを可変にするようにしてもよい。
【0137】
なお、本実施形態では、携帯用電話機300の位置情報を検出するとともに、当該検出された位置情報に基づいて、操作者の行動がスケジュール通りに実行されているか否かを判断しているが、予め登録されたスケジュールデータに基づいて、操作者に当該スケジュール通りに当該操作者の行動が実行されているか否かを当該スケジュールの開始時に問い合わせ、当該問い合わせた結果に基づいてメッセージデータを決定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本願に係る第1実施形態の携帯用電話機における構成を示す構成図である。
【図2】第1実施形態のデータ記憶部に記憶される電話帳データおよびメッセージデータの一例である。
【図3】第1実施形態の携帯電話機の概観を示す概観図の一例である。
【図4】第1実施形態のシステム制御部におけるメッセージデータ決定再生処理、表示制御処理および記憶処理を含む留守番電話応答処理を示すフローチャート(I)である。
【図5】第1実施形態のシステム制御部におけるメッセージデータ決定再生処理、表示制御処理および記憶処理を含む留守番電話応答処理を示すフローチャート(II)である。
【図6】本願に係る第2実施形態の携帯用電話機における構成を示す構成図である。
【図7】第2実施形態のシステム制御部におけるメッセージデータ決定再生処理、表示制御処理および記憶処理を含む留守番電話応答処理を示すフローチャート(I)である。
【図8】第2実施形態のシステム制御部におけるメッセージデータ決定再生処理、表示制御処理および記憶処理を含む留守番電話応答処理を示すフローチャート(II)である。
【符号の説明】
【0139】
100、300 … 携帯用電話機
110 … 通信制御部
120、310 … データ記憶部
130 … 発信者特定部130
140 … 操作部
150 … 表示部
160 … 表示制御部
170、320 … システム制御部
180 … ROM/RAM
330 … スケジュールデータ登録部
340 … 位置データ取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合に当該他の電話機と通信回線を確立し、予め記憶された応答メッセージを当該他の電話機に送出する留守番電話機能を有する電話機であって、
前記発信者毎に有する前記他の電話機における識別情報が当該発信者の属性毎に予め記憶される第1記憶手段と、
前記着信が生じた際に発信された電話機における識別情報を取得する取得手段と、
前記記憶されている識別情報と前記取得された識別情報に基づいて発信者の属性を特定する特定手段と、
前記属性毎に異なる複数の応答メッセージデータが記憶される第2記憶手段と、
前記特定された属性に基づいて前記記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定する決定手段と、
前記着信に対して応答し、他の電話機との通信回線を確立する確立手段と、
前記他の電話機との通信回線が確立した際に、前記決定された応答メッセージを前記他の電話機に対して送出する送出手段と、
を備えることを特徴とする電話機。
【請求項2】
請求項1に記載の電話機において、
操作者が所定の操作を行うために用いる複数の操作キーを有する操作手段を更に備え、
前記記憶手段には、前記属性毎に、各操作キーに対応付けられた複数の異なる前記応答メッセージが記憶されているとともに、
前記決定手段が、前記特定された属性および前記操作者が操作した操作キーに基づいて前記記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定することを特徴とする電話機。
【請求項3】
請求項2に記載の電話機に置いて、
所定の画像データを表示する表示手段を更に備え、
前記表示手段には、前記操作手段によって前記応答メッセージを決定する際に、前記特定された属性に対応する前記各操作キーにおける選択可能な応答メッセージの内容を画像データとして表示することを特徴とする電話機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電話機において、
前記記憶手段には、同一の操作キーに対応付けられた前記属性毎に異なる前記各応答メッセージが同一の内容かつ異なる言語表現にて記憶されていることを特徴とする電話機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の電話機において、
前記他の電話機との通信回線が確立した際に、当該他の電話機から送信された音声データを記憶する第3記憶手段と、
前記特定された属性に基づいて、前記第3記憶手段に前記音声データが記憶される際の記憶態様、または、前記音声データにおける前記第3記憶手段への記憶の可否の少なくとも何れか一方を判断する判断手段と、
を更に備えることを特徴とする電話機。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の電話機において、
操作者の予定を示す予定データが予め登録される登録手段と、
前記着信が生じた際に、当該着信時における前記登録された予定データと前記操作者の行動とが合致しているか否かを判断する判断手段と、
を更に備え、
前記決定手段が、前記判断手段によって判断された判断結果および前記特定された属性に基づいて前記記憶されている応答メッセージの中から少なくとも一の応答メッセージを決定することを特徴とする電話機。
【請求項7】
請求項6に記載の電話機において、
前記予定データに場所における位置を示す場所データが含まれている場合に、
前記他の電話機の発信に基づく着信が生じた場合に、当該電話機の位置を示す位置データを取得する位置データ取得手段と、を更に備え、
前記判断手段が、前記場所データと前記取得された位置データに基づいて予定データと前記操作者の行動とが合致しているか否かを判断することを特徴とする電話機。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の電話機において、
無線通信にて他の電話機と通信を行う通信手段を備え、操作者にて携帯可能に構成されていることを特徴とする電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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