説明

電話装置及び電話装置の制御方法

【課題】 ユーザがプレゼンス状態を変更する煩わしさを解消し、プレゼンス状態とユーザの実状態との不一致を防止できる電話装置及び電話装置の制御方法を提供する。
【解決手段】 制御部12には自動変更機能が備えられているため、IP電話10で発呼操作がされた場合にはユーザのプレゼンス状態が制御部12により自動的に変更される。これにより、例えばIP電話10のプレゼンス状態が離席に設定されている場合でIP電話10のユーザがIP電話10により発呼操作を行うと、プレゼンス状態が制御部12により自動的に在席に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができる。また、プレゼンス状態が制御部12により自動的に在席に変更されることにより、ユーザの実状態とIP電話10のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレゼンス機能を備えた電話装置及び電話装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VoIP(Voice over Internet Protocol)を用いて音声通話を行うIP電話装置(IP電話)が普及し始めている。VoIPとは、インターネットやイントラネットのようなIPネットワーク上で音声通話を実現する技術である。VoIPでは、デジタル符号化した音声信号を一定の時間毎に区切ってパケット化し、IPネットワークを使用して送信する。IPネットワークは回線使用効率が高いため、従来の電話回線を使用するよりも通話料金にかかるコストが少ないという利点がある。
【0003】
また、IP電話のもう一つの特徴として、VoIP以外のプロトコルを使用して、音声通信以外の通信機能を実装できるという点がある。例えば、IP電話の装置設定を行う場合、IP電話の小さな表示パネルと少ない操作ボタンで装置の設定を行うことは非常に煩わしい作業である。しかし、例えば、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を使用して外部(例えばPCのブラウザ)からIP電話へ接続する機能をIP電話に実装させることにより、PCのブラウザからIP電話の設定を変更したり、また例えば、IP電話の通信ログをPCのブラウザから参照したりすることが可能となる。
【0004】
上記のように、IP電話に実装されている音声通信以外の通信機能の一つとして、プレゼンス機能がある。プレゼンス機能とは、ある通信端末(例えばIP電話)を使用しているユーザが、今現在どのような在席状況(プレゼンス状態)にあるかを登録、管理、伝達するための機能である。ユーザは、現在の自分のプレゼンス状態(例えば、会議中、外出中など)を示す情報を自分のIP電話に登録することにより、IPネットワークを通じて他のIP電話を使用しているユーザに自分のプレゼンス状態を通知することができる。これにより、例えば、IP電話からIP電話に対して電話をかける前に、相手側ユーザの状況をプレゼンス機能によって知ることができる。そのため、例えば、相手が離席中であった場合、電話をかける前に相手の離席を確認することができるため、電話に費やす時間や通信費を無駄にすることがない。また、例えば、相手側ユーザが会議中であった場合、他者を経由して会議室に電話を転送してもらったり、或いは急ぎの用事ではないのでしばらく待ったりなど、選択を行うことができる。このようにプレゼンス機能とは、ユーザ間のコミュニケーションが円滑に行われるように補助するための機能といえる。
【0005】
プレゼンス機能を活用した発明として特許文献1では、ユーザのプレゼンス情報をもとに、交換機が自動的に通信の転送を行うコミュニケーション交換システムが開示されている。特許文献1のシステムにおいては、IP電話内のメモリに、ユーザが選択できるプレゼンス状態を一覧にまとめたプレゼンステーブルが存在する。このテーブルには、例えば、在席中、外出中、会議中などのプレゼンスが登録されており、ユーザは、この中から一つのプレゼンスを選択することができる。ユーザがプレゼンスを選択すると、IP電話は登録されたプレゼンスをユーザのプレゼンス状態として、プレゼンスサーバ機能を持つ交換機に対して通知する。
【0006】
交換機は、各IP電話から通知されたプレゼンス状態を記憶するプレゼンス管理テーブルと、ユーザ毎のプレゼンス状態に対応した転送先を記憶するユーザ毎転送先テーブルとを、メモリ内に保持している。これにより、あるユーザに対する着信があった場合、交換機はプレゼンス管理テーブルを参照して、該当ユーザのプレゼンス状態を確認する。そして、交換機は、プレゼンス状態に対応した転送先を、ユーザ毎転送先テーブルから取得して転送処理を行う。
【0007】
これにより、例えば、ユーザのプレゼンス状態が在席中であった場合、転送を行わず着信先のIP電話へ接続する。また、例えば、プレゼンス状態が会議中であった場合、会議室の電話に転送を行う。また、例えば、プレゼンス状態が外出中であれば、ユーザの携帯電話に転送を行う。このように、プレゼンス状態毎に異なった転送処理を自動的に行うことができる。
【特許文献1】特開2005−18194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したようなプレゼンス機能を持つIP電話は便利なものであるが、ユーザの状態に対応するようにユーザがプレゼンス状態をその都度変更しなければならない煩わしさが発生し、その変更作業を怠るとIP電話のプレゼンス状態と利用者の実状態との状態不一致が生じてしまう問題がある。例えば、離席に設定されているIP電話の利用者が席に戻って電話をかける場合にも、通話操作とは別に明示的にプレゼンス状態を在席に変更しなければ、実際には在席しているにもかかわらず、プレゼンス状態は離席のままになってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、ユーザがプレゼンス状態を変更する煩わしさを解消し、プレゼンス状態とユーザの実状態との不一致を防止できる電話装置及び電話装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、ユーザのプレゼンス状態を相手側電話装置に表示させるプレゼンス機能を有する電話装置であって、前記電話装置で発呼操作がされた場合にユーザのプレゼンス状態を変更する自動変更機能を備えた制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ユーザのプレゼンス状態を相手側電話装置に表示させるプレゼンス機能を有する電話装置であって、前記電話装置のユーザであると判定された場合にユーザのプレゼンス状態を変更する自動変更機能を備えた制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電話装置において、前記制御手段の前記自動変更機能の有効又は無効を設定できる機能設定手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電話装置において、複数の前記プレゼンス状態のそれぞれに対し前記制御手段の前記自動変更機能の有効又は無効に関する情報を記憶する記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記制御手段の前記自動変更機能が設定されることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、ユーザのプレゼンス状態を相手側電話装置に表示させるプレゼンス機能を有する電話装置の制御方法であって、前記電話装置で発呼操作がされた場合に、ユーザのプレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により変更されることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、ユーザのプレゼンス状態を相手側電話装置に表示させるプレゼンス機能を有する電話装置の制御方法であって、前記電話装置のユーザと判定された場合に、ユーザのプレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により変更されることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の電話装置の制御方法において、前記制御手段の前記自動変更機能の有効又は無効が機能設定手段により設定できることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項5又は6に記載の電話装置の制御方法において、複数の前記プレゼンス状態のそれぞれに対し前記制御手段の前記自動変更機能の有効又は無効に関する情報が記憶手段に記憶される記憶工程と、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記制御手段の前記自動変更機能が設定される自動判定工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、制御手段には自動変更機能が備えられているため、電話装置で発呼操作がされた場合には、ユーザのプレゼンス状態が制御手段により自動的に変更される。これにより、例えば、電話装置のプレゼンス状態が離席に設定されている場合で、電話装置のユーザが電話装置により発呼操作を行うと、プレゼンス状態が制御手段により自動的に在席に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができる。また、プレゼンス状態が制御手段により自動的に在席に変更されることにより、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段により電話装置のユーザであるか否かが判定され、ユーザであると判定された場合には、ユーザのプレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により自動的に変更される。これにより、例えば、電話装置のプレゼンス状態が離席に設定されている場合で、相手先の電話番号や音声認識手段などにより電話装置のユーザであると制御手段により判定されると、プレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により自動的に在席に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができる。また、プレゼンス状態が制御手段により自動的に在席に変更されることにより、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、制御手段によりユーザのプレゼンス状態が変更される自動変更機能の有効又は無効が、機能設定手段により設定される。これにより、制御手段の上記自動変更機能が有効であると機能設定手段により設定されると、電話装置で発呼操作がされた場合には制御手段によりユーザのプレゼンス状態が自動的に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができ、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。一方、制御手段の上記自動変更機能が無効であると機能設定手段により設定されると、電話装置で発呼操作がされた場合でも制御手段によりユーザのプレゼンス状態が自動的に変更されない。これにより、例えば、電話装置のユーザ以外の第三者が一時的にユーザの電話装置を借用して発呼操作したときに、制御手段によりユーザのプレゼンス状態が自動的に在席に変更されないため、第三者がユーザの電話装置を借用した場合でもユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、記憶手段には複数のプレゼンス状態のそれぞれに対し制御手段の自動変更機能の有効又は無効に関する情報が記憶されており、記憶手段に記憶された情報に基づいて制御手段の自動変更機能が設定される。これにより、電話装置のユーザが制御手段の自動変更機能を有効にしたいプレゼンス状態と無効にしたいプレゼンス状態とを予め区別させることができる。この結果、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを略確実に防止できる。
【0022】
例えば、離席と休憩のそれぞれプレゼンス状態に対して制御手段の自動変更機能が有効となるようにしておけば、ユーザが離席や休憩している場合には電話装置を発呼操作することにより自動的にプレゼンス状態を在席に変更するためユーザにとってプレゼンス状態変更の煩わしさがなくなり、またユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。一方、休暇や出張などのプレゼンス状態に対して制御手段の自動変更機能が無効となるようにしておけば、ユーザが休暇や出張など長期間不在にする場合に第三者がユーザの電話装置を借用して発呼操作してもプレゼンス状態が在席に自動変更されることがないため、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、電話装置で発呼操作がされた場合には、ユーザのプレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により自動的に変更される。これにより、例えば、電話装置のプレゼンス状態が離席に設定されている場合で、電話装置のユーザが電話装置により発呼操作を行うと、プレゼンス状態が制御手段により自動的に在席に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができる。また、プレゼンス状態が制御手段により自動的に在席に変更されることにより、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、制御手段により電話装置のユーザであるか否かが判定され、ユーザであると判定された場合には、ユーザのプレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により自動的に変更される。これにより、例えば、電話装置のプレゼンス状態が離席に設定されている場合で、相手先の電話番号や音声認識手段などにより電話装置のユーザであると制御手段により判定されると、プレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により自動的に在席に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができる。また、プレゼンス状態が制御手段により自動的に在席に変更されることにより、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、制御手段によりユーザのプレゼンス状態が変更される自動変更機能の有効又は無効が、機能設定手段により設定される。これにより、制御手段の上記自動変更機能が有効であると機能設定手段により設定されると、電話装置で発呼操作がされた場合には制御手段によりユーザのプレゼンス状態が自動的に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができ、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。一方、制御手段の上記自動変更機能が無効であると機能設定手段により設定されると、電話装置で発呼操作がされた場合でも制御手段によりユーザのプレゼンス状態が自動的に変更されない。これにより、例えば、電話装置のユーザ以外の第三者が一時的にユーザの電話装置を借用して発呼操作したときに、制御手段によりユーザのプレゼンス状態が自動的に在席に変更されないため、第三者がユーザの電話装置を借用した場合でもユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、記憶工程において複数のプレゼンス状態のそれぞれに対し制御手段の自動変更機能の有効又は無効に関する情報が記憶手段に記憶され、自動判定工程において記憶手段に記憶された情報に基づいて制御手段の自動変更機能が設定される。これにより、電話装置のユーザが制御手段の自動変更機能を有効にしたいプレゼンス状態と無効にしたいプレゼンス状態とを予め区別させることができる。この結果、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを略確実に防止できる。
【0027】
例えば、離席と休憩のそれぞれプレゼンス状態に対して制御手段の自動変更機能が有効となるようにしておけば、ユーザが離席や休憩している場合には電話装置を発呼操作することにより自動的にプレゼンス状態を在席に変更するためユーザにとってプレゼンス状態変更の煩わしさがなくなり、またユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。一方、休暇や出張などのプレゼンス状態に対して制御手段の自動変更機能が無効となるようにしておけば、ユーザが休暇や出張など長期間不在にする場合に第三者がユーザの電話装置を借用して発呼操作してもプレゼンス状態が在席に自動変更されることがないため、ユーザの実状態と電話装置のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の一実施形態に係る電話装置について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の電話装置は、いわゆるIP電話10であり、制御部12と、メモリ14と、操作ボタン群16と、表示パネル18と、を備えている。また、IP電話10は、IPネットワークを通じてプレゼンスサーバ20と、SIPサーバ22に接続されている。
【0030】
制御部12は、IP電話10の各構成部材の駆動を有機的に制御して、IPネットワークを用いた通信処理を統括制御するものである。また、制御部12は、各装置(例えば、表示パネル18)の制御や、データの計算、データ加工処理等を行う中枢部分となっている。また、制御部12は、プレゼンス状態を自動的に変更する自動変更機能を有している。この制御部12の自動変更機能により、例えばユーザが離席や休憩などのプレゼンス状態をIP電話10に予め設定していた場合に、ユーザがそのIP電話10で発呼操作を行うとプレゼンス状態が離席や休憩から在席に自動変更される。また、制御部12は、操作ボタン群16からの入力により自動変更機能の有効又は無効を切り替えることができる。
【0031】
メモリ14は、各種データを記録するための媒体であり、記憶するデータの種類毎に複数の記憶部を有している。メモリ14は、少なくともプレゼンステーブル記憶部14Aと、プレゼンス情報記憶部14Bと、を含むように構成されている。
【0032】
プレゼンステーブル記憶部14Aは、プレゼンス状態表示文字列とプレゼンス状態通知文字列とを関連付けて一覧としたプレゼンステーブルを記憶するための記憶部である。例えば、プレゼンステーブルの一例として、下記表1に示すような離席、会議、取込中、休憩、食事、出張、休暇などのプレゼンス状態が左列に位置し、制御部12の自動変更機能の有効又は無効を示す表示列が右列に位置するようなプレゼンステーブルが予め記憶されている。なお、自動変更機能の有効又は無効の入力は、操作ボタン群16により入力することができ、本実施形態では、●と入力することにより自動変更機能が有効となり、○と入力することにより自動変更機能が無効となる。すなわち、下表1では、離席と、会議と、休憩と、食事のそれぞれのプレゼンス状態に対して制御部12の自動変更機能が有効となり、取込中と、出張と、休暇のそれぞれのプレゼンス状態に対して制御部12の自動変更機能が無効となる。
【0033】
【表1】

プレゼンス情報記憶部14Bは、操作ボタン群16及び表示パネル18を用いて登録されたプレゼンス状態を記憶するための記憶部である。プレゼンス情報記憶部14Bに記憶されたプレゼンス状態は、IPネットワークを通じてプレゼンスサーバ20に通知される。また、プレゼンス情報記憶部14Bは、IPネットワークを通じてプレゼンスサーバ20より受信した他のIP電話10のユーザのプレゼンス状態を記憶する機能も持つ。このプレゼンス情報記憶部14Bには、操作ボタン群16により所定の数字が入力されると制御部12の自動変更機能を有効にし、また別の数字が入力されると制御部12の自動変更機能を無効にする情報が記憶されている。
【0034】
操作ボタン群16は、ユーザがIP電話10を用いて音声通信もしくはデータ通信等を行う際の各種指示をIP電話10に対して行うための入力インタフェースである。具体的には、ダイアルボタン、短縮ダイアルボタン、プレゼンス状態登録ボタン、などを含んでいる。
【0035】
表示パネル18は、ユーザに対してIP電話10が保持している各種情報を表示するための出力インタフェースである。プレゼンス状態の表示や、各種設定を行う際の情報の表示に使用される。
【0036】
プレゼンスサーバ20は、IP電話10より通知されたユーザ毎のプレゼンス状態を受信、記憶、管理、配信等するための装置である。プレゼンスサーバ20は、ユーザが在席しているか、或いは外出中であるかなどの情報を中継することにより、ユーザ間で連絡を取り合うことなく、相互の状況を確認し合うことが可能となる。なお、IP電話10以外の通信端末(例えば、PCや携帯電話など)からIPネットワーク経由で通知されたプレゼンス状態を扱うことも可能である。プレゼンスサーバ20は、少なくともプレゼンス管理情報記憶部20Aを含むように構成されている。
【0037】
プレゼンス管理情報記憶部20Aは、例えば通信端末(例えばIP電話10)から送信されてきたユーザ毎のプレゼンス状態を、他の通信端末に対して中継するための設定情報や、中継処理を行った際の処理履歴などを記憶するための記憶部である。通信端末からプレゼンス状態に関する通知を受信する度に、プレゼンス管理情報は更新される。
【0038】
SIPサーバ22は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いてIP電話10間の通信制御を行う通信制御装置である。SIPとは、転送機能や発信者番号通知機能などを備えた通話制御プロトコルの一種であり、同系統のプロトコルと比較して接続にかかる時間が短いという特徴を持つ。SIPサーバ22は、クライアント(例えばIP電話10)がアドレスを登録するレジスタサーバ、クライアントに代わってアドレスを検索するプロキシサーバ、クライアントから受け取った接続要求を別のアドレスに転送するリダイレクトサーバなどの機能を備えている。
【0039】
次に、本実施形態の電話装置の制御方法について、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0040】
図1及び図2に示すように、ユーザが制御部12の自動変更機能を有効にしたいプレゼンス状態を操作ボタン群16により入力してプレゼンステーブルを作成しそれをプレゼンステーブル記憶部14Aに登録する(S100)。例えば、上記表1に示すように、離席と、会議と、休憩と、食事のそれぞれのプレゼンス状態に対して制御部12の自動変更機能が有効と登録され、取込中と、出張と、休暇のそれぞれのプレゼンス状態に対して制御部12の自動変更機能が無効と登録される。
【0041】
次に、ユーザにより登録された内容に基づいて制御部12により所定のプレゼンス状態について自動変更機能が設定される(S120)。例えば、離席と、会議と、休憩と、食事のそれぞれのプレゼンス状態に対しては制御部12の自動変更機能が作動する状態となり、取込中と、出張と、休暇のそれぞれのプレゼンス状態に対しては制御部12の自動変更機能が作動しない状態となる。
【0042】
次に、制御部12によりユーザが操作ボタン群16で所定の電話番号を入力することによるIP電話10の発呼操作の有無が判断される(S140)。IP電話10の発呼操作が行われた判断されると、ユーザが設定したプレゼンス状態とプレゼンステーブル記憶部14Aに記憶された内容とが制御部12により比較され、自動変更機能の有効又は無効が判断される(S160)。これにより、ユーザが設定したプレゼンス状態が自動変更機能を有効にするものと判断されると、制御部12の自動変更機能が作動される(S180)。一方、ユーザが設定したプレゼンス状態が自動変更機能を無効にするものと判断されると、制御部12の自動変更機能は作動されない(S200)。例えば、ユーザにより離席と設定された場合には制御部12の自動変更機能が作動され、ユーザにより休暇と設定された場合には制御部12の自動変更機能は作動されない。
【0043】
次に、制御部12の自動変更機能が作動されると、ユーザが設定したプレゼンス状態を変更し(S220)、制御部12の自動変更機能が作動されなければ、ユーザが設定したプレゼンス状態を変更しない(S240)。例えば、制御部12の自動変更機能が作動されるとプレゼンス状態が離席から在席に変更され、制御部12の自動変更機能が作動しなければプレゼンス状態はユーザが設定した離席のままとなる。
【0044】
以上のように、制御部12には自動変更機能が備えられているため、IP電話10で発呼操作がされた場合には、ユーザのプレゼンス状態が制御部12により自動的に変更される。これにより、例えば、IP電話10のプレゼンス状態が離席に設定されている場合で、IP電話10のユーザがIP電話10により発呼操作を行うと、プレゼンス状態が制御部12により自動的に在席に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができる。また、プレゼンス状態が制御部12により自動的に在席に変更されることにより、ユーザの実状態とIP電話10のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0045】
また、ユーザが所定の数字を操作ボタン群16により入力することにより、制御部12の上記自動変更機能が有効であると設定されると、制御部12によりユーザのプレゼンス状態が自動的に変更されるため、ユーザがプレゼンス状態を変更させる煩わしさを解消することができ、ユーザの実状態とIP電話10のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。一方、ユーザが別の数字を操作ボタン群16により入力して制御部12の上記自動変更機能が無効であると設定されると、IP電話10で発呼操作がされた場合でも制御部12によりユーザのプレゼンス状態が自動的に変更されない。これにより、例えば、IP電話10のユーザ以外の第三者が一時的にユーザのIP電話10を借用して発呼操作したときに、制御部12によりユーザのプレゼンス状態が自動的に在席に変更されないため、第三者がユーザのIP電話10を借用した場合でもユーザの実状態とIP電話10のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0046】
特に、プレゼンステーブル記憶部14Aには複数のプレゼンス状態のそれぞれに対し制御部12の自動変更機能の有効又は無効に関する情報が記憶されており、プレゼンステーブル記憶部14Aに記憶された情報に基づいて制御部12の自動変更機能が作動されることにより、IP電話10のユーザが制御部12の自動変更機能を有効にしたいプレゼンス状態と無効にしたいプレゼンス状態とを予め区別させることができる。この結果、ユーザの実状態とIP電話10のプレゼンス状態とが不一致になることを略確実に防止できる。
【0047】
例えば、上記表1のような情報をプレゼンステーブル記憶部14Aに記憶させておけば、ユーザが離席や休憩の設定をしている場合にはIP電話10を発呼操作することにより自動的にプレゼンス状態を在席に変更するためユーザにとってプレゼンス状態変更の煩わしさがなくなり、またユーザの実状態とIP電話10のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。一方、ユーザが休暇や出張を設定している場合には、第三者がユーザのIP電話10を借用して発呼操作してもプレゼンス状態が在席に自動変更されることがないため、ユーザの実状態とIP電話10のプレゼンス状態とが不一致になることを防止できる。
【0048】
次に、本発明の変形例について説明する。
【0049】
上記実施形態では、IP電話10の発呼操作を行うことにより制御部12によりプレゼンス状態が自動的に変更される構成を例にとり説明したが、この構成に限られるものではない。
【0050】
すなわち、IP電話10のユーザであるか否かが制御部12により判定され、ユーザであると判定された場合には、ユーザのプレゼンス状態を制御部12により自動的に変更させるようにしてもよい。
【0051】
例えば、図3に示すように、S160で制御部12によりIP電話10のユーザか否かが判定され、ユーザであると判定されるとS180に移行され、ユーザでないと判定されるとS200に移行される。ここで、制御部12によるユーザであるか否かの判定は、例えば、制御部12にユーザの氏名を認識する音声認識機能(図示省略)を設けておき、ユーザが相手先とIP電話10による通話を開始すると、ユーザ(発呼者)あるいは相手先(被呼者)のいずれかから発声されたユーザの氏名が制御部12の音声認識機能により検出されることにより、ユーザであるか否かの判定を行うことができる。ここで、氏名ではなく、声紋によりユーザか否かを判定することもできる。また、メモリ14に所定の相手先の電話番号を予め記憶させておき、IP電話10によりその電話番号が入力されることで、制御部12によりユーザであると判定するようにしてもよい。
【0052】
尚、上述の例ではユーザが発呼者であるときにプレゼンス状態を自動的に変更させたが、ユーザが被呼者のときにユーザであると判定してプレゼンス状態を自動的に変更させることもできる。ユーザが被呼者である場合は、被呼者の声紋認証によりユーザと判定することができる。また、発呼者番号によりユーザと判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る電話装置を含めた通信システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電話装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る電話装置の制御方法の変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
10 IP電話(電話装置)
12 制御部(制御手段)
14 メモリ(記憶手段、機能設定手段)
16 操作ボタン群(機能設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのプレゼンス状態を相手側電話装置に表示させるプレゼンス機能を有する電話装置であって、
前記電話装置で発呼操作がされた場合にユーザのプレゼンス状態を変更する自動変更機能を備えた制御手段を有することを特徴とする電話装置。
【請求項2】
ユーザのプレゼンス状態を相手側電話装置に表示させるプレゼンス機能を有する電話装置であって、
前記電話装置のユーザであると判定された場合にユーザのプレゼンス状態を変更する自動変更機能を備えた制御手段を有することを特徴とする電話装置。
【請求項3】
前記制御手段の前記自動変更機能の有効又は無効を設定できる機能設定手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電話装置。
【請求項4】
複数の前記プレゼンス状態のそれぞれに対し前記制御手段の前記自動変更機能の有効又は無効に関する情報を記憶する記憶手段を有し、
前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記制御手段の前記自動変更機能が設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電話装置。
【請求項5】
ユーザのプレゼンス状態を相手側電話装置に表示させるプレゼンス機能を有する電話装置の制御方法であって、
前記電話装置で発呼操作がされた場合に、ユーザのプレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により変更されることを特徴とする電話装置の制御方法。
【請求項6】
ユーザのプレゼンス状態を相手側電話装置に表示させるプレゼンス機能を有する電話装置の制御方法であって、
前記電話装置のユーザと判定された場合に、ユーザのプレゼンス状態が制御手段の自動変更機能により変更されることを特徴とする電話装置の制御方法。
【請求項7】
前記制御手段の前記自動変更機能の有効又は無効が機能設定手段により設定できることを特徴とする請求項5又は6に記載の電話装置の制御方法。
【請求項8】
複数の前記プレゼンス状態のそれぞれに対し前記制御手段の前記自動変更機能の有効又は無効に関する情報が記憶手段に記憶される記憶工程と、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記制御手段の前記自動変更機能が設定される自動判定工程と、
を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の電話装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−340283(P2006−340283A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165478(P2005−165478)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】