説明

霧状の媒体を検出するセンサ

【課題】
【解決手段】本発明は、霧状の媒体を検出するセンサ(10)であって、少なくとも2つの送信機(18,20)及び少なくとも1つの受信機(22)と、評価ユニット(32)とを具備し、送信軸(28,30)が、受信軸(32)と、2つの異なった位置(P,P)で交差し、評価ユニットは、受信機(22)が、2つの送信機(18,20)によって送信される信号を受信するときに、媒体を検出してなるセンサに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧状の媒体を検出するためのセンサに関する。霧状の媒体とは、例えば、霧、靄、蒸気、煙等を意味する。本発明は、更に、このような霧状の媒体を検出する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
このようなセンサ及び方法は、特に車両技術で、用いられることができる。この分野では、センサは車両の安全基準を高める。センサ及び方法は、例えば、車両の霧灯の自動的なオンオフ又は制御のために、ドライバへの警告の発生のために、あるいは各々の気象条件への速度の自動的適合のために用いられることができる。
【0003】
霧状の媒体の検出は問題である。何故ならば、このような媒体は、通常、空間的に部分的に透過性の物だからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、霧状の媒体の検出に適切なセンサを準備するという課題が、本発明の基礎になっている。更に、霧状の媒体を検出するための方法が準備されることが意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するためには、少なくとも2つの送信機及び少なくとも1つの受信機と、評価ユニットとを具備し、送信軸及び受信軸が、2つの異なった位置で交差し、評価ユニットは、受信機が2つの送信機によって送信される信号を受信するときに、媒体を検出してなるセンサが提案される。
【0006】
上記課題は、更に、少なくとも1つのセンサ及び少なくとも2つの受信機と、評価ユニットとを具備し、送信軸が、受信軸と、2つの異なった位置で交差し、評価ユニットは、2つの送信機が、送信機によって送信される信号を受信するときに、媒体を検出してなるセンサによって解決される。
【0007】
本発明に係わるセンサでは、少なくとも2つの異なった位置で、送信された信号が霧状の媒体で反射されるか否かが試験されるので、霧状の媒体が存するか否かが識別される。霧状の媒体が存するとき、空間に反射が生じる。媒体が存しないとき、反射は起こらない。空間的に非透過性の中実の物体があるときは、通常、検出された位置での反射は生じない。非透過性の物体の表面が一方の位置にも他方の位置にも存しない。そうであれば、物体の位置に応じて、送信された信号は一方の位置か他方の位置で反射される。この場合、2つの位置での反射は起こらない。
【0008】
従って、本発明に係わるセンサは、霧状の媒体を容易に検出するために適切である。
【0009】
本発明に係わるセンサが、送信され又は受信される信号を、各々の送信軸又は受信軸に沿って延びている好ましくは著しくシリンダ状又は線状の各々のビームに沿って、集束させるレンズを有することは、好都合である。このことは、複数の軸が交差し合う位置が、比較的少ないボリュームを検出し、従って、比較的正確な測定を可能にするという利点を有する。
【0010】
好都合な実施の形態は、2つの送信軸又は2つの受信軸が少なくとも互いに著しく平行に延びているときに、生まれる。2つの受信軸又は2つの送信軸が空間で交差し合うことは避けたほうがよい。
【0011】
好都合なセンサは、評価ユニットが、送信される信号の強度と受信される信号の強度との比較に基づいて、検出される媒体の密度を測定するために適切であることを特徴とする。送信及び受信される信号の強度の比較に基づいて、媒体の質を判断することができる。濃い霧の場合、受信される信号の、余り濃くない霧の場合とは異なった強度が生じる。
【0012】
好都合なセンサは、送信機として赤外線送信機が、受信機として赤外線受信機が設けられているときに、生まれる。
【0013】
特に、センサが自動車両に用いられるとき、センサが、車両の窓ガラス、特にフロントガラスに取着するために適切であることは、好都合である。
【0014】
出来る限り少ない信号損失を達成するためには、この場合、レンズと窓ガラスとの間には結合手段が設けられていることが提案されていることができる。コンパクトに構成されているセンサを得るためには、本発明では、少なくとも1つの送信機及び/又は少なくとも1つの受信機がプリント回路に設けられていることが提案されていることができる。更に、評価ユニットをこのプリント回路に取り付けることも好都合であり得る。
【0015】
本発明に係わるセンサが、霧の検出の際に、システムを起動するための信号を発生させることは好都合である。このようなシステムは、例えば、車両の霧灯であってもよい。すなわち、霧灯は、霧状の媒体の検出の際に自動的に作動され、あるいは、最早霧状の媒体が最早検出されないとき、作動されない、更に、例えば、光学的な又は音響的な又は触知的な種類の警告信号がドライバに送られることができて、例えば、ドライバに霧の発生を気づかせることができる。
【0016】
更に、冒頭に記載した課題は、少なくとも2つの送信機によって信号が送信され、受信機の受信軸は、2つの送信軸を、異なった位置で交差し、媒体は、受信機が2つの送信機によって送信される信号を受信するときに、検出されることを特徴とする霧状の媒体を検出する方法によって解決される。
【0017】
更に、前記課題は、少なくとも1つの送信機によって信号が送信され、各々の受信機の少なくとも2つの受信軸が、送信軸を、異なった位置で交差し、媒体が、受信機が送信機によって送信される信号を受信するときに、検出されることを特徴とする方法によって解決される。
【0018】
送信される信号の強度と受信される信号の強度との比較に基づいて媒体の密度を測定することは好都合である。
【0019】
好都合な方法は、1つのセンサ又は複数のセンサが遅延して及び/又は交互に信号を送信するときに、生まれる。このことによって、送信される信号の、受信される信号への割当てを可能にすることができる。
【0020】
本発明の方法が赤外線信号によることは好都合である。
【0021】
この方法は、媒体が検出されるとき、信号を発信させる。このことによって、例えば、車両の霧灯又は警告信号を起動することができる。
【0022】
本発明の他の好都合な詳細及び実施の形態は、以下の記述から読み取られる。図面に示した実施の形態を参照して、本発明を詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1には、霧を検出するためのセンサ10が示されている。このセンサは、ハウジング12を具備して車両の窓ガラス14の内側に設けられている。また、センサ10は、プレート16を有し、そのプレートには2つの送信機18,20及び1つの受信機22が設けられている。窓ガラス14に向いた側では、センサ10は、レンズ24及び、このレンズ24と窓ガラス14との間にある結合層26とを有する。
【0024】
レンズ24は、送信機18,20によって送信される赤外線信号が、好ましくは著しく線状のビーム28,30に沿って集束されるように、形成されている。図に示したセンサ10の場合、ビーム28,30は、そのビーム軸と著しく等しい。
【0025】
更に、レンズ24によって、受信機22によって受信される信号が著しく直線状のビーム32上にあることが達成される。
【0026】
図1から明らかなように、2つのビーム路28,30は平行に延びている。ビーム路32は2つのビーム路28,30を、2つの異なる位置P及びPで交差する。すべてのビーム路28,30、32は同一の面に位置している。
【0027】
更に、センサ10は評価ユニット32を有する。この評価ユニットは、受信機22が、2つの送信機18,20によって送信されかつ霧の粒子36,38に基づいて位置P及びPで反射される信号を受信するときに、霧を検出する。空間に霧の粒子が存在する故に、反射は定められた境界層で起こらず、空間で分割され、送信軸28,30に沿って、取分け、位置P及びPにも起こる。
【0028】
図1では参照符号34が付されている、空間的に非透過性の物体が、センサ10の領域にあるとき、反射はこの物体34の点P及びPで起こる。点P及びPが受信軸32上に位置しないので、受信機22は信号を受信しない。霧状の媒体がセンサ10の検出領域にあるときのみ、センサ18,20によって送信される信号は受信機22によって検出される。
【0029】
送信機18,20によって送られた信号が遅延して又は交互に送信されることは好都合である。
【0030】
従って、受信機22によって受信される信号が送信機18から来ているか又は送信機20から来ているかが、判断されることができる。
【0031】
本発明では、当然ながら、2つより多い送信機及び1つより多い受信機が1つのセンサに設けられていてもよい。互いに交差し合うビーム路の複数の異なった位置を設けることによって、検出領域における霧の存在に関するより確かでかつ正確な情報が提供されることができる。
【0032】
センサ10が通信手段34によって他の車両システムと結合されていることは好都合である。例えば、霧用センサ10が霧を検出するとき、車両の霧灯が作動されることが提案されていることができる。同様に、霧が存在するときは、警告信号がドライバに送られることが考えられる。
【0033】
図2に示したセンサ50は、図1に示したセンサ10とは、送信機52によって送信軸54に沿って送信される信号が、2つの受信機60,62の2つの受信軸56,58を、2つの異なった位置P10,P20で交差する点で異なっている。送信機52によって送信される赤外線信号は、霧状の媒体がセンサ50の検出領域に存在するときにのみ、2つの受信機60,62によって検出される。
【0034】
評価ユニット31によって、送信される信号の強度を、受信される信号の強度と比較することができる。このことから、検出された霧状の媒体の密度を判断することができる。
【0035】
明細書、以下の請求項及び図面に示されたすべての特徴は、単独でも、互いの任意の組合せでも、本発明に本質的であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係わる第1のセンサの略図を示している。
【図2】本発明に係わる第2のセンサの略図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧状の媒体を検出するセンサ(10)であって、少なくとも2つの送信機(18,20)及び少なくとも1つの受信機(22)と、評価ユニット(32)とを具備し、複数の送信軸(28,30)が、受信軸(32)と、2つの異なった位置(P,P)で夫々交差し、前記評価ユニットは、前記受信機(22)が、2つの送信機(18,20)によって送信される信号を受信するときに、媒体を検出してなるセンサ(10)。
【請求項2】
霧状の媒体を検出するセンサ(50)であって、少なくとも1つの送信機(52)及び少なくとも2つの受信機(60,62)と、評価ユニット(32)とを具備し、送信軸(54)が、複数の受信軸(56,58)と、2つの異なった位置(P,P)で夫々交差し、前記評価ユニットは、前記少なくとも2つの受信機(60,62)が、前記送信機(52)によって送信される信号を受信するときに、媒体を検出してなるセンサ(50)。
【請求項3】
前記センサは、送信され又は受信される信号を、各々の送信軸(28,30,54)又は受信軸(32,56,58)に沿って延びている好ましくは著しくシリンダ状又は線状の各々のビームに沿って、集束させるレンズ(24)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ(10,50)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの送信軸(28,30)又は前記2つの受信軸(56,58)は、交差せず及び/又は少なくとも著しく互いに平行に延びていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のセンサ(10,50)。
【請求項5】
前記評価ユニット(32)は、送信される信号の強度と受信される信号の強度との比較に基づいて媒体の密度を測定するために適切であることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のセンサ(10,50)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの送信機(18,20,52)は、赤外線送信機であり、前記少なくとも1つの受信機(22,60,62)は、赤外線受信機であることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のセンサ(10,50)。
【請求項7】
前記センサ(10,50)は、車両の窓ガラス(14)、特にフロントガラスに取着するために適切であることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のセンサ(10,50)。
【請求項8】
レンズ(24)と前記窓ガラス(14)との間には、結合手段(26)が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のセンサ(10,50)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの送信機(18,20,52)及び/又は前記少なくとも1つの受信機(22,60,62)は、プリント回路(16)に設けられていることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のセンサ(10,50)。
【請求項10】
前記センサ(10,50)は、霧状の媒体の検出の際に、システムを起動するための信号を発生させることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のセンサ(10,50)。
【請求項11】
少なくとも2つの送信機(18,20)によって信号が送信され、受信機(22)の受信軸(32)は、前記2つの送信軸(28,30)と、異なった位置(P及びP)で交差し、媒体は、前記受信機(22)が2つの送信機(18,20)によって送信される信号を受信するときに、検出されることを特徴とする霧状の媒体を検出する方法。
【請求項12】
少なくとも1つの送信機(52)によって信号が送信され、各々の受信機(60,62)の少なくとも2つの受信軸(56,58)は、前記送信軸(54)を、異なった位置(P10及びP20)で交差し、媒体は、前記受信機(60,62)が前記送信機(52)によって送信される信号を受信するときに、検出されることを特徴とする霧状の媒体を検出する方法。
【請求項13】
送信される信号の強度と受信される信号の強度との比較に基づいて媒体の密度を測定することを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記センサ(52)又は前記センサ(18,20)は、遅延して及び/又は交互に信号を送信することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1に記載の方法。
【請求項15】
前記信号は、赤外線信号であることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1に記載の方法。
【請求項16】
前記媒体が検出されるとき、信号が発信されることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−515431(P2006−515431A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501554(P2006−501554)
【出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000290
【国際公開番号】WO2004/068122
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(303049337)バレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (18)
【Fターム(参考)】