説明

露光方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体集積回路装置やプリント配線基板等の製造工程において使用される露光用マスク、例えば、レチクルの製造、検査に使用される露光、検査装置のうち、いわゆるラスタ・スキャン方式の露光、検査装置に適用して好適な露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図3はラスタ・スキャン方式の露光装置において、従来の露光方法を使用したレチクルの製造方法の一例を示している。この例は、CADを使用して設計したネガデータ(ネガ型のレジストに対する露光に使用する露光データ)1をポジデータ(ポジ型のレジストに対する露光に使用する露光データ)2に反転処理した後、このポジデータ2を何ら加工せず、そのまま使用してポジ型のレジストに対する露光を行い、レチクル3を製造しようとするものである。
【0003】なお、ネガデータ1及びポジデータ2において、4〜6はアライメントマークのデータ、7はメインパターン(回路パターン)のデータ、8は検査を行うべき領域を示すパターンのデータであり、斜線部は、露光すべき部分を示している。また、レチクル3において、9〜11はアライメントマーク、12はメインパターン、13は検査領域を示すパターンであり、これらは、例えば、クロム層によって形成される。
【0004】このように、CADを使用して設計したネガデータ1をポジデータ2に反転して使用する方法は、レジストとしてネガ型のレジストを使用するにせよ、ポジ型のレジストを使用するにせよ、CADを利用した設計は、ネガデータの一種類をもって行い、露光データの管理の容易性を図ろうとする場合に見られるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の露光方法においては、CADを使用して設計したネガデータ1を反転してなるポジデータ2を何ら加工せず、そのまま使用しているので、露光すべき領域が広くなり、本来、露光しなくとも足りるはずである領域、即ち、検査領域を示すパターン13の外側の部分であって、かつ、アライメントマーク9〜11を形成するために必要でない部分、例えば、二点鎖線で示すような部分14までも露光することになり、このため、露光時間が必要以上に長くなってしまうという問題点があった。
【0006】本発明は、かかる点に鑑み、設計されたネガデータを元データとしてなるポジデータを使用してなるラスタ・スキャン方式の露光、検査装置における露光方法であって、露光時間を短縮し、スループットの向上を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による露光方法は、ラスタ・スキャン方式の露光、検査装置において、設計されたネガデータを反転処理してなるポジデータについて、フィールド単位でビットマップに展開し、各ビットマップにつき、全ビットが露光すべきビットであるか否かを判断し、全ビットが露光すべきビットであるフィールドについては非露光領域として露光を省き、露光すべきでないビットが含まれているフィールドについては露光領域として通常の露光を行う、というものである。
【0008】
【作用】本発明によれば、全ビットが露光すべきビットであるフィールドについては非露光領域として露光を省くとしているので、本来、露光しなくとも足りるはずである領域についての露光を省き、その分、露光時間を短くすることができる。
【0009】
【実施例】以下、図1及び図2を参照して、本発明の一実施例につき、本発明を従来例と同様にレチクルの製造に適用した場合を例にして説明する。なお、図1において図3に対応する部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。
【0010】図1は本発明の露光方法を使用したレチクルの製造方法の一例を示す図であり、本実施例においては、CADを使用して設計したネガデータ1を反転処理してなるポジデータ2について、フィールド(一露光領域)[1,a]〜[9,i]単位に区分し、これらフィールド[1,a]〜[9,i]ごとに露光データを取り込み、これをビットマップ151-a〜159-iに展開する。
【0011】次に、ビットマップ151-a〜159-iのそれぞれについて、それに含まれる全ビットが露光すべきビットであるか否かを判断し、全ビットが露光すべきビットであるフィールドについては非露光領域として露光を省き、全ビット中に露光すべきでないビットが含まれているフィールドについてのみ露光領域として通常の露光を行う。なお、本実施例では、フィールド[4,b]、[4,d]〜[4,f]、[4,h]、[5,a]〜[5,i]、[6,b]、[6,d]〜[6,f]、[6,h]、[7,e]、[8,d]〜[8,f]、[9,e]が露光領域とされる。
【0012】16は、このようにして製造したレチクルを示している。かかるレチクル16においては、アライメントマーク9〜11、メインパターン12及び検査を行うべき領域を示すパターン13のほかに、パターン17〜19が形成されてしまうが、これらパターン17〜19は、試料に対する露光には、なんら影響を与えるものではない。
【0013】なお、図2は、図1に示すレチクルの製造方法を実施するための装置の一例を示す図であり、レーザ描画装置を示している。図中、20はレーザ光源、21はレーザ光、22は一本のレーザ光21を8本のレーザ光231〜238に分光する分光器、24は8本のレーザ光231〜238のそれぞれにつき、通過(ON)、遮断(OFF)を制御する音響光学素子、25は縮小レンズ系、26はステージ、27はビットマップ151-a〜159-iのそれぞれについて、全ビットが露光すべきビットであるか否かを判断するフィルタ、28は音響光学素子制御手段、29はステージ駆動制御手段、30はステージ駆動手段である。
【0014】このレーザ描画装置は、ビットマップ151-a〜159-iを順にフィルタ27にかけ、全ビットが露光すべきビットである場合には、音響光学素子制御手段28及び音響光学素子24を介してレーザ光231〜238を全て遮断(OFF)すると共に、ステージ駆動制御手段29及びステージ駆動手段30を介してステージ26をステップ動作させ、対応するフィールドに対する露光を省き、全ビット中に非露光ビットが含まれているフィールドにのみ、レーザ光231〜238のそれぞれについてパターンの形成に必要な通過(ON)、遮断(OFF)制御を行い通常の露光を行うというものである。
【0015】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、設計されたネガデータを反転処理してなるポジデータについて、フィールド単位でビットマップに展開し、各ビットマップにつき、全ビットが露光すべきビットであるか否かを判断し、全ビットが露光すべきビットであるフィールドについては非露光領域として露光を省くとしたことにより、本来、露光しなくとも足りるはずである領域についての露光を省くことができるので、露光時間を短縮し、スループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による露光方法を使用したレチクルの製造方法の一例を示す図である。
【図2】図1に示すレチクルの製造方法を実施するための装置(レーザ描画装置)の一例を示す図である。
【図3】従来の露光方法を使用したレチクルの製造方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ネガデータ
2 ポジデータ
4〜6 アライメントマークのデータ
7 メインパターン(回路パターン)のデータ
8 検査領域を示すパターンのデータ
9〜11 アライメントマーク
12 メインパターン(回路パターン)
13 検査領域を示すパターンのデータ
151-a〜159-i ビットマップ
16 レチクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】ラスタ・スキャン方式の露光、検査装置において、設計されたネガデータを反転処理してなるポジデータについて、フィールド単位でビットマップに展開し、各ビットマップにつき、全ビットが露光すべきビットであるか否かを判断し、全ビットが露光すべきビットであるフィールドについては非露光領域として露光を省き、露光すべきでないビットが含まれているフィールドについては露光領域として通常の露光を行うことを特徴とする露光方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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