説明

露光状態表示方法及びシステム

【課題】FEMウェーハにおいてどのチップの露光条件が正常でありどのチップの露光条件が異常であるかを容易に視覚的に判断することができる装置を提供する。
【解決手段】FEMウェーハのレジストパターンの画像より、FEMウェーハのチップ領域毎に、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を計算する。この断面形状の特徴量を、チップ毎に、FEMウェーハのチップ領域の位置を示すマップであるチップ一覧表に、表示する。チップ一覧表では、適正値に対するFEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を、色彩表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造工程における検査技術に関し、特に、露光工程における露光状態を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、新たな品種の半導体基板の製造を行うとき、製品ウェーハを製造工程に投入する前に、露光工程における最適に露光条件を探し出すための作業、所謂「条件出し作業」が行われる。この「条件だし作業」には、FEM(Focus&Exposure Matrix)ウェーハと呼ばれる特別なウェーハが用いられる。
【0003】
「条件だし作業」によって得られた最適な露光条件を用いると、最初は、許容範囲内の精度を有するレジストパターンを得ることができる。しかしながら、時間が経つにつれて、許容範囲内の精度を有するレジストパターンが得られなくなる。時間が経つと、露光器の各種センサーのドリフト、レジストの感光感度の変化、PEB(Post Exposure Bake)温度のばらつき等が起きるからである。これは、プロセス変動と呼ばれる。即ち、プロセス変動により最適な露光条件は時間と共に変化する。
【0004】
従来、製品ウェーハの製造工程におけるプロセス変動の有無を検証するために、実際に製造されたウェーハのレジストパターンの寸法計測を行っていた。製造工程における寸法計測によって、寸法の変動が観察されると、プロセス変動があると判断し、露光条件を変更する。
【0005】
特許文献1には、二次電子信号より得られる特徴量を用いて露光条件と走査電子像とを関連づけるモデルデータを作成すること、および、二次電子信号からえられる特徴量をモデルデータに照合することによって被モニタ対象の露光プロセスの適正条件からのずれ量を推定すること、が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、露光量の変動のみならず焦点位置の正確な変動量を計測することによって、適正な露光プロセスを維持することができることが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−173948号公報
【特許文献2】特開2005−286095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、測長用の走査型電子顕微鏡(以下、測長SEM(Scanning Electron Microscope))を用いて、FEMウェーハのレジストパターンの寸法計測を行い、特徴量が適正であるか否かを判定する。そのため、ウェーハ上のどのチップのレジストパターンが正常であり、どのチップが正常でないのかを視覚的に判断することができなかった。
【0009】
本発明の目的は、FEMウェーハにおいてどのチップの露光条件が正常でありどのチップの露光条件が異常であるかを容易に視覚的に判断することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、FEMウェーハのレジストパターンの画像より、FEMウェーハのチップ領域毎に、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を計算する。この断面形状の特徴量を、FEMウェーハのチップ領域毎に表示する。
【0011】
本発明によると、FEMウェーハのチップ領域をマトリックス状に示すチップ一覧表を作成する。チップ一覧表は、FEMウェーハのチップ領域の座標を示すマップである。このチップ一覧表に、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を、FEMウェーハのチップ領域毎に表示する。
【0012】
チップ一覧表では、適正値に対するFEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を、色彩表示する。即ち、偏差の大きさを、寒暖色のグラデーションによって表示する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、FEMウェーハにおいてどのチップの露光条件が正常でありどのチップの露光条件が異常であるかを容易に視覚的に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1を参照して、本発明による露光状態表示システムの例を示す。本例の露光状態表示システムは、コンピュータ100とそれに並列に接続された複数の測長SEM301(301A、301B、301C)を有し、両者はネットワーク302を介して接続されている。図1では、コンピュータ100に、3個の測長SEM301が接続されているが、1個の測長SEM301のみが接続されてもよく、4個以上の測長SEM301が接続されてもよい。コンピュータ100は、コンピュータの本体によって構成されたビジュアル情報管理部101、キーボード、マウス等の入力装置102及び表示装置103を有する。ビジュアル情報管理部101は、CPU、ハードディスク装置、メモリ、通信インターフェース等を有する、通常のパーソナルコンピュータの本体であってよい。
【0015】
測長SEM301は、測長機能を有する走査電子顕微鏡であり、FEMウェーハのレジストパターンの画像情報より、寸法計測を行う。こうして寸法計測に用いたFEMウェーハのレジストパターンの画像情報は、コンピュータ100のビジュアル情報管理部101に送られる。
【0016】
図2を参照して、ビジュアル情報管理部101の構成及び機能を説明する。ビジュアル情報管理部101は、入力処理部104、画像解析処理部105、及び、ビジュアル情報制御部106を有する。ビジュアル情報管理部101には、入力装置102と表示装置103が接続されている。ビジュアル情報管理部101には、測長SEM301から、FEMウェーハのレジストパターンの画像情報が送られる。
【0017】
入力処理部104は、測長SEM301から送られたFEMウェーハのレジストパターンの画像情報を取得する画像情報読込み処理部104A、及び、チップ一覧表における色彩表示のスケール幅を指定するパラメータ処理部104Bを有する。画像解析処理部105は、FEMウェーハのレジストパターンの画像情報より濃淡の階調値を抽出してレジストパターンの断面形状の特徴量を求める特徴量算出処理部105Aと、適正値に対するレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を求める特徴量偏差算出処理部105Bと、を有する。
【0018】
ビジュアル情報制御部106は、チップ一覧表を作成するマップ描画処理部106A、チップ一覧表の各チップにレジストパターンの断面形状の特徴量を表示する特徴量表示処理部106B、適正値に対するレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を寒暖色によって表示する色彩表示処理部106C、及び、露光条件の変動に対するレジストパターンの断面形状の特徴量の変化をグラフ表示するグラフ表示処理部106D、を有する。
【0019】
図3は本発明の露光状態表示システムに用いるFEMウェーハの例を示す。FEMウェーハには、製品ウェーハと同様に、碁盤目状に配置された全てのチップ領域には同一のパターンが焼き付けられる。しかしながら、FEMウェーハでは、製品ウェーハとは異なり、各チップ領域には、同一のパターンが、異なる露光条件にて、焼き付けられる。即ち、各チップ領域は、レジストが塗布された後、1回の露光単位である1ショット毎に、異なる露光条件にて露光される。ここで露光条件とは、パターンの焦点位置及び露光量を含む。図3の縦軸は露光量、横軸は焦点位置のオフセット量である。このFEMウェーハの中心におけるチップ領域では、露光量は中程度であり、焦点位置のオフセット量はゼロである。FEMウェーハの中心より上側のチップ領域では、露光量は大きく、中心より下側のチップ領域では、露光量は小さい。同様にFEMウェーハの中心より右側のチップ領域では、焦点位置のオフセット量は正であり、中心より左側のチップ領域では、焦点位置のオフセット量は負である。
【0020】
FEMウェーハが製造されると、それを用いて「条件だし作業」を行う。FEMウェーハの碁盤目状に並んだ全てのチップのレジストパターンの寸法を測長SEMによって計測する。計測結果より、寸法精度が高いチップの露光条件を、最適な露光条件として設定する。こうして得られた最適な露光条件を用いて、製品ウェーハを製造工程に投入する。
【0021】
図4を参照して本発明によるリソグラフィー工程の流れを説明する。先ず、ステップS101にて、半導体ウェーハ等の基板上に感光材であるレジストを所定の厚さで塗布する。ステップS102にて、露光器を用いてマスクパターンを縮小露光する。最初は、図3を参照して説明したように、FEMウェーハを用いた「条件だし作業」によって得られた最適な露光条件を用いて露光する。
【0022】
ステップS103にて、露光したマスクパターンを現像することによってレジストパターンを形成する。ステップS104にて、測長SEMによって、レジストパターンの寸法をチェックする。ステップS105にて、寸法精度が許容範囲にあるか否かの判定を行う。許容範囲にある場合には、ステップS106にて、エッチングを行い、次の工程へ進む。許容範囲にない場合には、ステップS107にて、露光器における露光条件を変更し、ステップS102に戻る。即ち、最初に設定した最適な露光条件を変更する。
【0023】
図4の例では露光条件として露光量を変更している。露光量の補正量はΔEである。例えばポジ型のレジストの場合、レジスト寸法が大きすぎれば露光量を増やし、レジスト幅が小さすぎれば露光量を減らす。露光量の増減量は、作業者の経験と勘に基づいて決定される場合もある。
【0024】
図5を参照して、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量について説明する。図5(A)は、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状501を模式的に示し、図5(B)は、FEMウェーハのレジストパターンの二次電子信号強度分布502を示す。二次電子信号強度分布502は、測長SEMによる寸法計測の際に得られる。図5(B)に示すように、二次電子信号強度は、レジストパターンの断面が平坦な領域では小さく、レジストパターンの断面が傾斜している領域では大きい。通常、傾斜している領域は、電子顕微鏡像において白色を呈する。レジストパターンの断面形状501を表すパラメータとして次の6個の特徴量f1〜f6が知られている。
【0025】
ボトム幅f1は、レジストパターンの断面形状の最も拡がった根元部の幅を表す。ホワイトバンド幅f2は、レジストパターンの断面形状の両側の各傾斜部の幅を表す。トップ幅f3は、レジストパターンの断面形状の平坦な頂点部の幅を表す。最大傾斜ポイント間隔f4は、レジストパターンの断面形状の両側の傾斜部の最大傾斜点の間の距離を表す。ホワイトバンドの内側の平均幅f5は、レジストパターンの断面形状の傾斜部から頂点部への遷移部の寸法を表す。ホワイトバンドの外側の平均幅f6は、レジストパターンの断面形状の根元部から傾斜部への遷移部の寸法を表す。
【0026】
ボトム幅f1は、二次電子信号強度分布502の全体の根元部の幅を計測することによって得られる。ホワイトバンド幅f2は、二次電子信号強度分布502の2つの山の各根元部の幅を計測することによって得られる。トップ幅f3は、二次電子信号強度分布502の平坦部の幅を計測することによって得られる。最大傾斜ポイント間隔f4は、二次電子信号強度分布502の2つの山の頂点の間の距離を測定することにより得られる。ホワイトバンドの内側の平均幅f5は、二次電子信号強度分布502の2つの山のそれぞれの内側の傾斜部の平均幅を計測することにより得られる。ホワイトバンドの外側の平均幅f6は、二次電子信号強度分布502の2つの山のそれぞれの外側の傾斜部の平均幅を計測することにより得られる。
【0027】
図6を参照して、画像解析処理部105の特徴量算出処理部105Aにおける処理を説明する。ステップS201にて、特徴量算出処理部105Aは、FEMウェーハのレジストパターンの画像情報より濃淡の階調値を演算し、階調値の変化から図5(B)の二次電子信号強度分布502を求める。ステップS202にて、特徴量算出処理部105Aは、二次電子信号強度分布502を解析することによってレジストパターンの断面形状の特徴量f1〜f6を求める。ステップS203にて、レジストパターンの断面形状の特徴量をその種類毎にテーブルに記憶する。
【0028】
図7は、本発明による露光状態表示システムの表示装置103に表示される、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を表示した画面の例を示す。この画面は、チップ一覧表701、適正値に対するFEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差とそれを表示する寒暖色のサンプルの関係を示す色彩表示エリア702、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の適正値と各色彩のスケール幅を指定する入力エリア703、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の6個の特徴量f1〜f6のどれを表示するのかを示すイメージ図704、及び、露光条件とFEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の間の関係を示すグラフ705、を有する。
【0029】
チップ一覧表701には、FEMウェーハの全てのチップの位置がマトリックス状に表示されている。即ち、チップ一覧表701の最も上の行は、FEMウェーハのチップの列番号(0〜10)を示し、次の行は、各チップの露光条件である焦点位置のオフセット量(Focus)の値を示す。チップ一覧表701の最も左の列は、FEMウェーハのチップの行番号(7〜0)を示し、次の列は、各チップの露光条件である露光量(Dose)の値を示す。本例のFEMウェーハのチップは、8行11列の行列状に配置されていることが示されている。
【0030】
チップ一覧表701の各チップの位置には、即ち、マトリックスの各セルには、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量が色彩と共に表示される。図示の例では、イメージ図704に示すように、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量としてホワイトバンド幅f2が選択されている。色彩表示エリア702にて、ユーザは、チップ一覧表701のチップの色を表示する寒暖色を指定することができる。チップの色は、適正値に対するFEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差に対応して変化する。本例では、寒暖色のグラデーション変化を用いる。寒暖色の代わりにグレースケールを用いる方法も可能である。しかしながら、寒暖色による表示は、グレースケールによる表示より、視覚的に容易に特徴量の偏差の判別が可能である。
【0031】
入力エリア703は、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の適正値を入力するエリア(Std)と各色彩を表すスケール幅を入力するエリア(Scale)を有する。ユーザは、入力エリア703に、所望の値を入力して、「Apply」ボタンを押下する。
【0032】
本例では、入力エリア703にて、各色彩を表すスケール幅として、2.00が指定され、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状のホワイトバンド幅f2の適正値として、39.62が指定されている。従って、ホワイトバンド幅f2が38.62から40.62までは、適正範囲である。適正値を有するチップの位置には、色彩表示エリア702にて指定された色が表示される。本例では、色彩表示エリア702にて、ホワイトバンド幅f2の値が、38.62から40.62までのチップには、黄色が指定されているものとする。ホワイトバンド幅f2が適正値からずれると、その偏差に対応した色彩が表示される。尚、ホワイトバンド幅f2の計測結果がエラーの場合は、色彩表示エリア702に「E」が表示される。
【0033】
グラフ705には、露光条件とFEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の間の関係がグラフとして表示されている。グラフ705の縦軸はホワイトバンド幅f2、横軸は焦点位置のオフセット量(Focus)である。露光量毎にグラフが表示されている。
【0034】
本例のチップ一覧表701を用いて、「条件出し作業」を行うことができる。チップ一覧表701のチップから、ホワイトバンド幅f2が適正範囲にあるチップを探し出す。ホワイトバンド幅f2が適正範囲にあるチップは、本例では、黄色である。従って、黄色のチップを見つければよい。黄色のチップを見つける代わりに、ホワイトバンド幅f2の値が38.62から40.62までのチップを見つけてもよい。複数のチップを見つけた場合には、そのうちの1つを選択する。この場合、複数のチップのうち、略中央にあるチップを選択してよい。こうして選択したチップの露光条件が適正な露光条件である。露光条件は、チップ一覧表701の上から2番目の行の焦点位置のオフセット量(Focus)と、左から2番目の列の露光量(Dose)の各値を読み出せばよい。
【0035】
例えば、行番号4、列番号4のチップのホワイトバンド幅f2は40.40であり、黄色である。これは、ホワイトバンド幅f2の適正範囲にある。このチップの露光条件として、焦点位置のオフセット量(Focus)が−70.0、露光量(Dose)が16.000を読み取ることができる。これが最適な露光条件である。こうして、本例では、チップ一覧表701を用いて視覚的に且つ容易に「条件出し作業」を行うことができる。
【0036】
本例のチップ一覧表701を用いて「条件出し作業」ばかりでなく、不適当な露光条件を検出することができる。チップ一覧表701において、ホワイトバンド幅f2が適正範囲から極端にずれているチップを探す。色彩表示エリア702にて、ホワイトバンド幅f2の値が適正範囲から極端にずれているチップに対して付与された色を、チップ一覧表701から探し出せばよい。又は、ホワイトバンド幅f2の値が適正範囲から極端にずれているチップを探せばよい。例えば、行番号3、列番号7のチップのホワイトバンド幅f2は19.10であり、適正範囲から極端にずれている。このチップの露光条件として、焦点位置のオフセット量(Focus)が140.0、露光量(Dose)が15.200を読み取ることができる。そこで、このような露光条件は、不適当な露光条件であると判定する。更に、不適当な露光条件を検出するには、グラフ705を用いてもよい。グラフ705より、露光量が15.200のグラフに、適正範囲から極端にずれている点があることが判る。この点の横軸及び縦軸の値を読むと、ホワイトバンド幅f2が20より僅かに小さく、焦点位置のオフセット量(Focus)が140.0であることを読み取ることができる。
【0037】
図8は、図6のイメージ図704の詳細を示す。このイメージ図には、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量f1〜f6がグラフ上にて示されている。ユーザは、カーソル801によって、f1〜f6の1つを指定することができる。こうして、本例では、ユーザは、特徴量f1〜f6の1つを、その意味を理解した状態で、指定することができる。
【0038】
以上のように、本発明の露光状態表示システムによると、次の効果が得られる。
(1)チップ一覧表のチップ単位にて、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を表示する。そのため、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の寸法計測の結果を、チップの位置座標に基づいて評価することができる。
(2)チップ一覧表の各チップ色を、適正値に対するFEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差に対応して、寒暖色で表現する。そのため、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量が適正値でないチップの位置を、視覚的に、且つ、容易に判断できる。
(3)露光量をパラメータとして、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を縦軸、焦点位置のオフセット量(Focus)を横軸とするグラフを表示する。そのため、FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量のばらつきを定量的に判別することができる。そのため、プロセス変動を、視覚的に検知することができる。
【0039】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者によって容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による露光状態表示システムの例を示す図である。
【図2】本発明による露光状態表示システムのビジュアル情報管理部の構成及び機能を説明する図である。
【図3】本発明による露光状態表示システムに用いるFEMウェーハの例を示す図である。
【図4】本発明による半導体製造工程のリソグラフィー工程の流れを説明する図である。
【図5】FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を説明する図である。
【図6】本発明による露光状態表示システムのビジュアル情報管理部の画像解析処理部の特徴量算出処理部における処理を説明する図である。
【図7】本発明による露光状態表示システムの表示装置に表示される画面の例を示す図である。
【図8】図6の画面におけるイメージ図の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
100…コンピュータ、101…ビジュアル情報管理部、102…入力装置、103…表示装置、104…入力処理部、104A…画像情報読込み処理部、104B…パラメータ処理部、105…画像解析処理部、105A…特徴量算出処理部、105B…特徴量偏差算出処理部、106…ビジュアル情報制御部、106A…マップ描画処理部、106B…特徴量表示処理部、106C…色彩表示処理部、106D…グラフ表示処理部、301(301A、301B、301C)…測長SEM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザがデータ及び命令を入力するための入力装置と、データ及びデータの処理結果を表示する表示装置と、各種の情報処理を行う情報処理部と、を有するコンピュータを用いた露光状態表示方法において、
表面にチップ毎に異なる露光条件にて露光された同一のレジストパターンが形成されたFEMウェーハの走査電子顕微鏡像を取得する画像情報読込み処理と、
上記FEMウェーハの走査電子顕微鏡像から上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を演算する特徴量算出処理と、
適正値に対する上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を求める特徴量偏差算出処理と、
上記FEMウェーハのチップの位置をマトリックス状に表示するチップ一覧表を作成するマップ描画処理と、
上記チップ一覧表の各チップ位置に上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を表示する特徴量表示処理と、
上記チップ一覧表の各チップ位置に上記適正値に対するレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を表す寒暖色を表示する色彩表示処理と、
上記FEMウェーハのチップ毎に上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量と色彩が表示された上記チップ一覧表を表示装置に表示する表示処理と、
を有する露光状態表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の露光状態表示方法において、上記画像情報読込み処理は、測長機能を有する走査電子顕微鏡より上記FEMウェーハの走査電子顕微鏡像を取得することを特徴とする露光状態表示方法。
【請求項3】
請求項1記載の露光状態表示方法において、更に、露光条件の変動に対する上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の変化を表示するグラフを生成し、該グラフを上記表示装置によって表示するグラフ表示処理と、を有することを特徴とする露光状態表示方法。
【請求項4】
請求項1記載の露光状態表示方法において、上記表示装置に、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の適正値と、該適正値に対する上記特徴量の偏差に対応した色彩と、各色彩に対応した上記特徴量の変動幅であるスケール幅とを指定する入力エリアを表示する入力エリア表示処理と、を有することを特徴とする露光状態表示方法。
【請求項5】
請求項4記載の露光状態表示方法において、上記入力エリア表示処理において、ユーザが上記入力装置を介して、上記入力エリアにて、上記適正値と上記各色彩のスケール幅を指定したとき、上記表示装置に、ユーザが指定した色彩と各色彩に対応する上記特徴量のスケール幅を表示することを特徴とする露光状態表示方法。
【請求項6】
請求項1記載の露光状態表示方法において、上記特徴量算出処理は、上記FEMウェーハの走査電子顕微鏡像から濃淡の階調値を抽出して二次電子信号強度分布を生成し、該二次電子信号強度分布から上記特徴量を演算することを特徴とする露光状態表示方法。
【請求項7】
請求項1記載の露光状態表示方法において、上記特徴量算出処理において演算する上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量は、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の最も拡がった根元部の幅を表すボトム幅f1、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の両側の各傾斜部の幅を表すホワイトバンド幅f2、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の平坦な頂点部の幅を表すトップ幅f3、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の両側の傾斜部の最大傾斜点の間の距離を表す最大傾斜ポイント間隔f4、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の傾斜部から頂点部への遷移部の寸法を表すホワイトバンドの内側の平均幅f5、及び、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の根元部から傾斜部への遷移部の寸法を表すホワイトバンドの外側の平均幅f6のうちの少なくとも1つであることを特徴とする露光状態表示方法。
【請求項8】
ユーザがデータ及び命令を入力するための入力装置と、データ及びデータの処理結果を表示する表示装置と、各種の情報処理を行うビジュアル情報管理部と、を有する露光状態表示システムにおいて、
上記ビジュアル情報管理部は、表面にチップ毎に異なる露光条件にて露光された同一のレジストパターンが形成されたFEMウェーハの走査電子顕微鏡像を取得する画像情報読込み処理部と、上記FEMウェーハの走査電子顕微鏡像から上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を演算する特徴量算出処理部と、適正値に対する上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を求める特徴量偏差算出処理部と、上記FEMウェーハのチップの位置をマトリックス状に表示するチップ一覧表を作成するマップ描画処理部と、上記チップ一覧表の各チップ位置に上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を表示する特徴量表示処理部と、上記チップ一覧表の各チップ位置に上記適正値に対するレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を表す寒暖色を表示する色彩表示処理部と、を有し、上記表示装置は、上記FEMウェーハのチップ毎に上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量と色彩が表示された上記チップ一覧表を表示することを特徴とする露光状態表示システム。
【請求項9】
請求項8記載の露光状態表示システムにおいて、上記画像情報読込み処理部は、測長機能を有する走査電子顕微鏡より上記FEMウェーハの走査電子顕微鏡像を取得することを特徴とする露光状態表示システム。
【請求項10】
請求項8記載の露光状態表示システムにおいて、上記ビジュアル情報管理部は、露光条件の変動に対する上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の変化を表示するグラフを生成するグラフ表示処理部を有し、上記表示装置は、該グラフ表示処理部によって生成されたグラフを表示することを特徴とする露光状態表示システム。
【請求項11】
請求項8記載の露光状態表示システムにおいて、上記表示装置は、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の適正値と、該適正値に対する上記特徴量の偏差に対応した色彩と、各色彩に対応した上記特徴量の変動幅であるスケール幅を指定する入力エリアを表示し、ユーザは上記入力装置を介して、上記入力エリアにて、上記適正値と上記各色彩のスケール幅を指定することができることを特徴とする露光状態表示システム。
【請求項12】
請求項11記載の露光状態表示システムにおいて、上記表示装置は、ユーザが指定した色彩と各色彩に対応する上記特徴量のスケール幅を表示することを特徴とする露光状態表示システム。
【請求項13】
請求項8記載の露光状態表示システムにおいて、上記特徴量偏差算出処理部は、上記FEMウェーハの走査電子顕微鏡像から濃淡の階調値を抽出して二次電子信号強度分布を生成し、該二次電子信号強度分布から上記特徴量を演算することを特徴とする露光状態表示システム。
【請求項14】
請求項8記載の露光状態表示システムにおいて、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量は、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の最も拡がった根元部の幅を表すボトム幅f1、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の両側の各傾斜部の幅を表すホワイトバンド幅f2、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の平坦な頂点部の幅を表すトップ幅f3、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の両側の傾斜部の最大傾斜点の間の距離を表す最大傾斜ポイント間隔f4、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の傾斜部から頂点部への遷移部の寸法を表すホワイトバンドの内側の平均幅f5、及び、上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の根元部から傾斜部への遷移部の寸法を表すホワイトバンドの外側の平均幅f6のうちの少なくとも1つであることを特徴とする露光状態表示システム。
【請求項15】
ユーザがデータ及び命令を入力するための入力装置と、データ及びデータの処理結果を表示する表示装置と、各種の情報処理を行う情報処理部と、を有するコンピュータを用いた露光条件設定方法において、
表面にチップ毎に異なる露光条件にて露光された同一のレジストパターンが形成されたFEMウェーハの走査電子顕微鏡像を取得する画像情報読込み処理と、
上記FEMウェーハの走査電子顕微鏡像から上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を演算する特徴量算出処理と、
適正値に対する上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を求める特徴量偏差算出処理と、
上記FEMウェーハのチップの位置をマトリックス状に表示するチップ一覧表を作成するマップ描画処理と、
上記チップ一覧表の各チップ位置に上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量を表示する特徴量表示処理と、
上記チップ一覧表の各チップ位置に上記適正値に対するレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差を表す寒暖色を表示する色彩表示処理と、
上記FEMウェーハのチップ毎に上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量と色彩が表示された上記チップ一覧表を表示装置に表示する表示処理と、
上記チップ一覧表より上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の偏差が小さいチップを見つけ出す処理と、
上記偏差が小さいチップに対応する露光条件を最適な露光条件として設定することと、
を有する露光条件設定方法。
【請求項16】
請求項15記載の露光条件設定方法において、
更に、露光条件の変動に対する上記FEMウェーハのレジストパターンの断面形状の特徴量の変化を表示するグラフを生成し、該グラフを上記表示装置によって表示するグラフ表示処理と、を有することを特徴とする露光条件設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−205017(P2008−205017A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36521(P2007−36521)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000233550)株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ (112)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】