青果物等の梱包システム
バナナ等の青果物を輸送および貯蔵するコンテナシステムは、上周縁および下周縁に沿って配置される複数の通気口(16)を有するほぼ剛性の外側コンテナ(10)を含む。青果物の輸送および貯蔵のための種々の緩衝パッドおよび内袋も含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、改良型のコンテナシステムに関する。より詳細には、本発明は、産品、特にバナナ等の腐敗し易い産品を、積み重ねた、すなわちパレット化した構成で通気および貯蔵するための改良型のコンテナシステムに関する。本発明はまた、青果物を成熟させて収穫するパッキングステーションから青果物が小売現場(retail setting)において最終顧客の前に到着するまで、青果物等の腐敗し易い産品の品質を維持するのに役立つ、改良型の梱包システムに関する。
【0002】
本出願は、2002年11月19日に出願された米国仮特許出願第60/427,435号の優先権の利益を主張する。
【0003】
[関連技術の説明および発明の概要]
ほとんどの産品は、顧客への販売のために或る地点から別の地点へ輸送する必要があり、通常は、一方または両方の場所において一定期間貯蔵される。しかしながら、輸送および貯蔵の間、様々な理由から産品の通気、加熱、および/または冷却を行わなければならないことが多い。例えば、果物等の腐敗し易い産品は、その鮮度を保つために通気および冷却を必要とし得る。このような通気または温度制御手段がないと、これらの産品は、腐った、または損傷した状態で最終目的地に到着するかもしれない。したがって、通常は、単にこれらの腐敗し易い産品を密閉されたコンテナに詰めるだけでは十分ではない。
【0004】
果物および野菜等の腐敗し易い産品をコンテナ化する(containerizaton)従来の方法は、様々な通気手段を有するコンテナを用いることが多かった。例えば、複数の通気開口を有する段ボール箱内で青果物を成熟させ、その場所から小売店へ青果物を輸送することが一般的である。これらの段ボール箱は、青果物を通気させて温度を制御する手段を提供するだけでなく、軽量であり製造コストが比較的安価でもある。
【0005】
果物および野菜等の多くの産品は、輸送および貯蔵中に変えなければならない通気および温度パラメータも有する。したがって、輸送および/または貯蔵期間中のいくつかの時点で、最適な鮮度を確保するために、産品の通気を高めるかまたは産品の温度を上下させることが必要であり得る。これが特に当てはまる産品の1つは、バナナである。バナナは、通常、バナナの塊(すなわち房)の形態で、栽培場で非常に緑色で未成熟の状態で収穫されて、段ボールコンテナ(すなわち箱)に詰められる。次に、これらの段ボール箱は、大型の輸送コンテナ内に入れられ、この輸送コンテナがさらに冷蔵船に載せられる。輸送中、バナナの果肉温度は、通常は13.3°C〜15.9°C(56°F〜59°F)の温度に保たれる。船が停泊すると、バナナは、冷蔵トラックまたは貨物車両に移され、倉庫等に搬送される。この場合も、バナナの成熟を遅らせることによってバナナの貯蔵寿命を延ばすために、果肉温度は13.3°C〜15.9°C(56°F〜59°F)に保たれる。この温度範囲を維持するために、板紙すなわち段ボール箱内に通気手段を設けることが必要である。これは通常、箱の表面付近に複数の通気開口を設けることによって達成される。このようにして、冷却空気を箱内に循環させることによって、適切な果肉温度を維持することができる。
【0006】
バナナが倉庫に到着すると、箱は熟成室に置かれ、熟成室では、果肉温度が約15.6°C〜16.1°C(60°F〜62°F)に上げられる。通気開口によって、コンテナの周りおよび中にエチレンガスも循環させる。温度上昇およびエチレンガスの組み合わせで熟成過程が加速されることにより、バナナが完全に熟成するのに必要な時間が短縮される。しかしながら、この過程が完了したら、熟成を減速させるために、エチレンガスを除去してバナナの温度を下げることが望ましい。バナナ自体の熟成過程によりエチレンガスが放出されるため、また、この熟成過程は、15.6°C(60°F)未満の温度でも続くため、果肉温度を下げてエチレンを除去するために、十分な通気を行うことが重要である。したがって、バナナが熟成室から取り出されて小売店に搬送されると、バナナの通気を高めることができることを確実にするための措置を講じることが通常は必要である。エチレンガスがバナナから除去されないか、または温度が十分に下げられない場合、バナナの成熟が加速し続けることにより、バナナの貯蔵寿命が短くなる。したがって、バナナに用いるコンテナおよび梱包は、輸送および貯蔵段階中の様々な通気および温度制御の必要性を満たす(account for)ことができなければならない。
【0007】
他の果物および野菜を含む他の産品は、同様の処理を必要とし、輸送および貯蔵過程中に様々な必要性を有し得る。したがって、適切な輸送および貯蔵状態を確保する、産品のためのコンテナシステムと、これらの産品をパッキング、輸送、および貯蔵する方法とが必要である。過去に用いられていたコンテナおよび方法の多くは、生産者および小売店のニーズを満たしていたが、これらのコンテナおよび方法は通常、かなりの量の処理を必要としていた。さらに、果物および野菜等の腐敗し易い産品の貯蔵寿命、外観、および鮮度を改善するコンテナおよびパッキング方法が常に必要である。
【0008】
本発明のコンテナは、収容されている青果物等の腐敗し易い産品のために改良された通気パターンを含む。改良型コンテナの通気パターンは、隣接するコンテナの対応する通気口を連通させることにより、青果物のコンテナのパレット貨物(palletized load)全体を通る空気流を有利に改善し、したがってより速い冷却または「プルダウン」速度("pull down" rates)を可能にすることが有利である。さらに、既知の従来技術のコンテナは、低い通気特性を示すことが多かった。例えば、果物は、従来技術のコンテナの不完全に構成された通気口を妨害し、さらには塞いでしまうことが知られていた。この望ましくない状況により、同じ層の箱間の空気循環が不均一になるかまたは減ることによって、積み重ねられた、すなわちパレット化された箱の層の中間に、望ましくない「ホットスポット」が生じることが多い。従来技術の通気口の向きのために、通気口の縁と物理的に接触することにより、青果物が損傷を受ける危険性もある。
【0009】
さらに、従来技術のコンテナでは、プラスチック袋内におよび紙トンネルパッド(paper tunnel pads)間に果物が積み重ねられる従来技術の構成により、箱の層間の空気循環がさらになお低下する場合があった。
【0010】
以下で詳細に説明するように、本発明のコンテナは、隣接するコンテナの通気口が1つまたは複数の隣接するコンテナの対応する通気口と連通し得るように、各コンテナの上周縁(upper perimeter)および下周縁(lower perimeter)に通気穴を組み込むことにより、個々のコンテナ(およびコンテナ化された青果物のパレット貨物)の通気を改善する。具体的には、隣接するコンテナの対応する通気口は、隣接するコンテナの隣接する側部または隣接する上部および底部によって共有され得る。この構成を達成するために、通気口の少なくとも幾つかのそれぞれが、鉛直パネルに沿った第1の部分と、コンテナの上面または底面あるいはフラップのいずれかに配置される第2の部分とを含む。有利なことに、この構成は、通気口が鉛直パネルの中央付近にある場合、収容されている果物による穴の閉塞が起こるのを減らすことが示されている。前述したように、この構成は、隣接する層の箱間の鉛直方向の連通も可能にする。
【0011】
バナナ(および他の青果物)は、通常は4段でパッキングされる。最初の2段は、通常、紙トンネルパッドで覆われることにより、パッキングの安定性が高まるとともに、上に載る上部の2段と擦れ合うことによって生じる可能性がある損傷からこれら下部の段が保護される。従来技術に関連する問題は、下部の2段の果物が紙トンネルパッドで包まれていることから、これら2段の果物の効果的な熱交換および通気が困難であることにより生じる。直接的な影響は、通常は露出度がより高い上部の2段と比較して、これらの段の冷却速度がさらに遅くなることである。理解されるように、この構成により、輸送および熟成中に果物の段間およびコンテナの層間に望ましくない温度差が生じることが多かった。
【0012】
本発明のコンテナは、改善された通気特性を有する改良型の紙トンネルパッドを適宜含む。従来技術では、紙トンネルパッドは、通常、コンテナ内の底部のギャップと一致して位置合わせされるように位置付けられる一連の通風穴(vent holes)を含む。従来技術のコンテナの底部開口またはギャップは、通常は大きいが、ギャップの上の果物がこの空間を閉塞するため、効果的な空気循環が底部開口を通して得られることはほとんどなかった。改良型の紙トンネルパッド構造は、空気循環が改善されるようにコンテナの下周縁のコンテナ通気口と一致するように配置された、さらなる通気穴を含む。
【0013】
さらに、従来技術のコンテナの通気が制限されていたため、十分な冷却および熟成の続行を可能にし、かつほぼ均一な色および温度を有する産品を生産するために、比較的非常に多数の通気開口を有するプラスチックバッグの使用が必要であった。このような従来技術のプラスチックバッグは、通気を改善するものであったが、望ましくないレベルの青果物の乾燥および鮮度低下をもたらすことを伴っていた。したがって、本発明は、通気穴の数が比較的少なく、通気穴が段ボール箱および紙トンネルパッドの通気口とより良好に一致するように戦略的に位置付けられた、改良型の青果物バッグも適宜含む。好ましくは、直径約1.27センチ(1/2インチ)の通気穴を200個よりも多く有する従来技術のバッグとは異なり、新たな青果物バッグの構造は、直径約0.40〜1.27センチ(5/32インチ〜1/2インチ)の範囲の通気穴を約20〜約150個含むことが好ましい。
【0014】
本発明の一つの代替実施形態によると、温度および熟成の均一性をさらに改善するために、前述の本発明の青果物内袋および紙トンネルパッドの代替物として、内側コンテナ構成要素の改良型システムが提供される。この実施形態は、外部の比較的短い内袋と、内部のパッドパウチと、パッドパウチ内に配置された小さい紙トンネルパッドとを備える。
【0015】
本発明のコンテナの冷却特徴により、必要な冷却時間が短縮されるだけでなく、積み重ねられた箱のパレット貨物全体の果物温度の均一性が高まり、このようにして、これらの箱に収容された果物全ての未成熟寿命(green life)が均一になる。
【0016】
搬送中の前述の利点に加えて、本発明に関連する構造は、熟成過程中の果物温度管理も改善する。果物の熟成がエチレンでのガス処理により誘発されると、果物の内部で連鎖反応が始まる。これらの総ての連鎖反応により熱が発生し、熟成過程を制御するのに望ましい温度に果物の温度を保つために、十分な熱およびガスの交換が必要である。
【0017】
通常、周囲温度で、商店の貯蔵室(back room)に果物が置かれている間、果物は熟成過程をさらに進めるため、その継続的な発熱が続き、果肉温度が上がって変色および果物の老化過程が加速する。本発明の改善された通気は、熟成した果物の保存寿命を延ばす働きもある。
【0018】
さらに、本発明のコンテナシステムは、コンテナ強度を低下させることなく、この改善された温度および通気管理を可能にする。本発明の構造では、コンテナの鉛直構造において開口面積すなわち刻まれた溝(cut flute)の数が増加していないため、従来技術のコンテナと比較して、上下の圧縮強度が全く損なわれない。箱の水平方向の上部または底部のフラップに位置付けられるコンテナ開口の各部分が、さらに通気され、層間の新たな連通が可能になる。その結果、これらがコンテナの圧縮傾向に悪影響を及ぼすことはない。より良好な通気を得るために幾つかの試みがこれまでなされてきたが、それらは総て、箱の強度の低下をもたらしていた。
【0019】
本明細書には、本発明を特定し明確に請求する特許請求の範囲が添付されているが、本明細書は、添付図面とともに以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【0020】
[発明の詳細な説明]
次に、本発明の目下好ましい実施形態を詳細に参照するが、その例は添付図面に示されており、同様の番号は、総ての図にわたって同じ要素を示す。
【0021】
図1を参照すると、青果物を輸送するための改良型の通気コンテナ10が提供される。コンテナ10は、バナナ等の新鮮な果物および野菜を輸送するために用いることができる。コンテナは、再利用可能な段ボールから構成されることが好ましいが、本質的に任意の適した耐久性のある材料から構成されてもよい。コンテナは、概して、図3に示す上部12と図4に示す基部14とを備え、全入れ子式・半細長溝付コンテナ(full-telescoping, half-slotted container)(HSC)と一般に呼ばれる。コンテナ10は、組み立てられると、図1に示すように、上部パネル11と、第1の対の対向する短パネル13(図6)と、第2の対の対向する長パネル17(図5)と、底部パネル15とを含む。本発明の一つの態様によると、コンテナ10には、複数の通気口16が配置される。任意の数の通気口を用いて所望の通気を行うことができるが、コンテナ10は、底周縁に沿ってほぼ等距離に配置された8つの通気口16と、コンテナ10の上周縁に沿ってほぼ等距離に配置された8つの通気口16とを含むことが好ましい。好ましくは、通気口は円形であるが、通気を行うのに適した任意の形状であってもよい。好ましくは、通気口16の直径は、約2.54センチ〜7.62センチ(1インチ〜3インチ)である。図1〜図4に最も分かり易く示すように、通気口は、その直径が最も大きい地点が、それぞれのコンテナを直立させる時に折れる水平方向の折り目と一致するように配置される。言い換えれば、各通気口16の一部は、短パネル13または長パネル17上に配置され、通気口のそれ以外の部分は、隣接する上部パネル11または底部パネル15に配置される。
【0022】
図3および図4に示すように、上部12および基部14の深さは、ほぼ等しいことが好ましい。コンテナ10を組み立てるには、上部12を基部14の上に入れ子式に摺動させる。図から分かるように、基部14および上部12の通気口16は、基部14および上部12が組み立てられてコンテナ10になると位置が揃う。上部および底部はそれぞれ、各部分を閉じ合わせるために互いに折り重ねられて接着されるフラップを有する。コンテナ10をさらに通気し、容易に輸送するために、位置合わせ可能なハンドスロット18が設けられる。コンテナを直立させると、通気口は、上部12の上縁と基部14の底縁とに位置付けられる。
【0023】
図1〜図4に示すように、本発明の通気パターンは、従来技術の幾つかとは異なり、通気口16を、収容されている青果物または果物によって閉塞または妨害され得る短パネル13および長パネル17の中央領域に含まない。それとは反対に、本発明のコンテナは、バナナまたは他の新鮮な果物のために改善された通気パターンを提供する。この構造により、パレット貨物全体を通る空気循環が向上し、冷却速度をより速くすることができる。冷却の最適化は、箱の通気口を、前述のようにコンテナの隣接するパネルによって共有されるように上周縁および下周縁に位置付けることによって達成される。この構造により、通気口に嵌まることによって果物が傷付く可能性を、さらに最小限に抑える。
【0024】
図7は、コンテナ10の上部12の上面図を示す。図から分かるように、各通気口16の約半分が、コンテナの上部12の縁に沿って配置される。通気口の残りの半分は、隣接する鉛直な短パネル13または長パネル17に配置される。同様に、基部14は、好ましくは同様の通気口配置を含む。これにより、図2に示すように、異なる層の箱間の鉛直方向の連通が可能となることが有利である。図7に示すように、中央通気領域20が、コンテナの上部にあり、かつコンテナの基部14にもある。実際には、従来技術のHSC箱では、この中央通気領域20の上または下にある果物によって、この領域20を通した通気のほとんどが遮断される傾向がある。
【0025】
再び図2を参照すると、パレット貨物に積み重ねられた場合、本発明のコンテナ間の連通がどのように達成されるかが示される。図から分かるように、通気連通は、パレット貨物の同じ層またはレベルの箱間、および連続した層のコンテナ間で達成される。図の好ましい実施形態に示すように、各コンテナは、同じ層の隣のコンテナと、または外部の冷却空気と水平方向に連通する、全部で8つの開いた自由空気流チャネルを有する。それと同時に、コンテナの通気は、同数の通気口を通して、隣接する上層および隣接する下層のコンテナと鉛直方向にも相互接続されることが分かる。
【0026】
前述のように、バナナは、通常、コンテナ内で4段にパッキングされる。下部の2段は、通常、紙トンネルパッドで覆われることにより、パッキング安定性が高まるとともに、上部の2段によって生じる可能性がある損傷、摩擦、および傷付きからこれら下部の段が保護される。その結果、紙トンネルパッドで包まれている下部の2段の果物は、コンテナ内の上部の2段の果物と比較して、十分に通気させることがより困難であった。そのため、従来技術のコンテナ内では、輸送および熟成中に望ましくない温度差が生じていた。
【0027】
図8に示すように、本発明のコンテナは、改善された通気特性を有する特別な紙トンネルパッド24を含む。通気穴28は、群を成して配置され、空気循環を最大にするように、中央通気領域20およびコンテナの下周縁の通気口16の両方と一致するように配置される。
【0028】
腐敗し易い産品がHSCコンテナで輸送される場合、プラスチックの内側ラップすなわち内袋30を用いて果物を保護する。この内袋は、通常、内袋30の表面付近に複数の通気スリットが設けられたプラスチック製のチューブである。内袋は、通常、基部14に配置され、内側バッグ30の開口縁は、コンテナの側壁を覆って垂れ下がる。このようにして、バナナ等の果物をコンテナ内で重ねることができる。従来技術のコンテナの通気が制限されていたため、冷却および熟成の適切な続行を可能にし、かつほぼ均一な色および温度を有する最終産品を生産するために、生産者は、非常に多数の通気開口を有するプラスチック袋を用いることを強いられていた。このような袋は、望ましくない果物の乾燥および鮮度低下をもたらすことにより、所望の通気を達成する傾向があった。したがって、本発明は、図9に示すように、通気穴32の数が比較的少ないが、通気穴32がコンテナ10の通気口16および紙トンネルパッドの通気穴28と一致するように位置付けられた改良型の内袋30も含む。例えば、従来技術で一般的であるように直径約1.27センチ(1/2インチ)の通気穴を200個よりも多く有する代わりに、改良型の内袋は、好ましくは約0.40センチ〜1.27センチ(5/32インチ〜1/2インチ)の範囲より小さい直径を有する通気穴を約20〜約150個含む。
【0029】
本発明のコンテナと共に用いられるようになっている代替の紙トンネルパッドおよび内袋の構成を、図10〜図13に示す。この実施形態は、比較的短い内袋30(図10)および図11に示すような内部プラスチックパッドパウチ50を含むことが好ましい。図12および図13に示すように、パウチは、紙トンネルパッド56を受け入れるようになっている開口端52を有する。従来技術のシステムと同様に、この代替のトンネルパッド機構は、通常は3段パックである、バナナの柄を上向きにしたパッキング(crowns-up packing)パターンに用いられる。さらに、この代替のトンネルパッド機構は、従来の4段または柄を下向きにしたパッキング(crowns down packsのバナナと共に用いてもよい。パウチ50は、プラスチックであることが好ましく、図13に示すように、上部52が開口していることにより、その内部に紙トンネルパッド56を保持するパウチを形成する二重プラスチックシートによって形成される。好ましくは、2つのヒートシールによる継ぎ目が、開口側に対して鉛直に配置されることにより、パウチが形成される。有利には、この機構は、果物と紙トンネルパッドとの接触を最小限に抑えるか、またはなくす。プラスチックパウチ50および紙トンネルパッド56の両方は、総ての果物段内の温度および色の均一性を高めるために、大部分にわたって穿孔される。紙は、ラテックス吸収材としての役割も果たす。
【0030】
本発明のコンテナシステムの試験により、冷却時間が有利に短縮されたことだけでなく、積み重ねられたコンテナのパレット貨物全体にわたる果物温度の均一性が高まったことにより、コンテナに収容されている果物またはバナナ全部の未成熟(unripe or green)寿命がほぼ均一になったことも示された。この構造により、熟成過程中に果物の熟成がエチレンでのガス処理により誘発された時の果物温度管理が改善されることも分かった。その結果、バナナは、より狭くより均一な色分布範囲で、かつ同様の熟成度およびより長い保存寿命の果物として、小売用に発送される。
【0031】
前述のように、このコンテナは、コンテナ強度を全く低下させずに改善された通気および温度管理が行われることを可能にするが、通気口を作るために箱の鉛直パネルに刻まれた溝の数は、箱の強度を常に幾らか低下させる。本発明では、コンテナの鉛直構造の開口面積すなわち刻まれた溝の数の増加が行われていないため、また、通気口16のそれぞれが隣接する2つのパネルにほぼ半分ずつ分かれているため、従来技術のHSCコンテナと比較して、上下の圧縮強度の望ましくない低下は生じない。
【0032】
好ましい一実施形態の上記の説明は、決して本発明の可能な変形形態を網羅しているのではなく、図示および説明のためにのみ提示されたものである。上記の説明の教示に鑑みて、自明の変更形態および変形形態が当業者には明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の改良型コンテナの斜視図である。
【図2】隣接するコンテナの隣接する通気口の位置合わせを示す、本発明のコンテナのパレット貨物の2つの層を示す斜視図である。
【図3】本発明のコンテナの組立前の上部の平面図である。
【図4】本発明のコンテナの組立前の底部の平面図である。
【図5】本発明のコンテナの長さ方向に沿った平面図である。
【図6】本発明のコンテナの幅方向にわたる平面図である。
【図7】本発明のコンテナの上面図である。
【図8】本発明のトンネルパッドの平面図である。
【図9】本発明のコンテナと共に用いられるようになっている内袋の平面図である。
【図10】本発明のコンテナと共に用いられるようになっているオプションの内袋の平面図である。
【図11】本発明のコンテナと共に用いられるようになっているオプションのトンネルパッドパウチの平面図である。
【図12】図11に示すパウチ内に収容されるようになっている比較的小さいトンネルパッドの平面図である。
【図13】オプションのトンネルパッドパウチ内に配置されるオプションのトンネルパッドの図である。
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、改良型のコンテナシステムに関する。より詳細には、本発明は、産品、特にバナナ等の腐敗し易い産品を、積み重ねた、すなわちパレット化した構成で通気および貯蔵するための改良型のコンテナシステムに関する。本発明はまた、青果物を成熟させて収穫するパッキングステーションから青果物が小売現場(retail setting)において最終顧客の前に到着するまで、青果物等の腐敗し易い産品の品質を維持するのに役立つ、改良型の梱包システムに関する。
【0002】
本出願は、2002年11月19日に出願された米国仮特許出願第60/427,435号の優先権の利益を主張する。
【0003】
[関連技術の説明および発明の概要]
ほとんどの産品は、顧客への販売のために或る地点から別の地点へ輸送する必要があり、通常は、一方または両方の場所において一定期間貯蔵される。しかしながら、輸送および貯蔵の間、様々な理由から産品の通気、加熱、および/または冷却を行わなければならないことが多い。例えば、果物等の腐敗し易い産品は、その鮮度を保つために通気および冷却を必要とし得る。このような通気または温度制御手段がないと、これらの産品は、腐った、または損傷した状態で最終目的地に到着するかもしれない。したがって、通常は、単にこれらの腐敗し易い産品を密閉されたコンテナに詰めるだけでは十分ではない。
【0004】
果物および野菜等の腐敗し易い産品をコンテナ化する(containerizaton)従来の方法は、様々な通気手段を有するコンテナを用いることが多かった。例えば、複数の通気開口を有する段ボール箱内で青果物を成熟させ、その場所から小売店へ青果物を輸送することが一般的である。これらの段ボール箱は、青果物を通気させて温度を制御する手段を提供するだけでなく、軽量であり製造コストが比較的安価でもある。
【0005】
果物および野菜等の多くの産品は、輸送および貯蔵中に変えなければならない通気および温度パラメータも有する。したがって、輸送および/または貯蔵期間中のいくつかの時点で、最適な鮮度を確保するために、産品の通気を高めるかまたは産品の温度を上下させることが必要であり得る。これが特に当てはまる産品の1つは、バナナである。バナナは、通常、バナナの塊(すなわち房)の形態で、栽培場で非常に緑色で未成熟の状態で収穫されて、段ボールコンテナ(すなわち箱)に詰められる。次に、これらの段ボール箱は、大型の輸送コンテナ内に入れられ、この輸送コンテナがさらに冷蔵船に載せられる。輸送中、バナナの果肉温度は、通常は13.3°C〜15.9°C(56°F〜59°F)の温度に保たれる。船が停泊すると、バナナは、冷蔵トラックまたは貨物車両に移され、倉庫等に搬送される。この場合も、バナナの成熟を遅らせることによってバナナの貯蔵寿命を延ばすために、果肉温度は13.3°C〜15.9°C(56°F〜59°F)に保たれる。この温度範囲を維持するために、板紙すなわち段ボール箱内に通気手段を設けることが必要である。これは通常、箱の表面付近に複数の通気開口を設けることによって達成される。このようにして、冷却空気を箱内に循環させることによって、適切な果肉温度を維持することができる。
【0006】
バナナが倉庫に到着すると、箱は熟成室に置かれ、熟成室では、果肉温度が約15.6°C〜16.1°C(60°F〜62°F)に上げられる。通気開口によって、コンテナの周りおよび中にエチレンガスも循環させる。温度上昇およびエチレンガスの組み合わせで熟成過程が加速されることにより、バナナが完全に熟成するのに必要な時間が短縮される。しかしながら、この過程が完了したら、熟成を減速させるために、エチレンガスを除去してバナナの温度を下げることが望ましい。バナナ自体の熟成過程によりエチレンガスが放出されるため、また、この熟成過程は、15.6°C(60°F)未満の温度でも続くため、果肉温度を下げてエチレンを除去するために、十分な通気を行うことが重要である。したがって、バナナが熟成室から取り出されて小売店に搬送されると、バナナの通気を高めることができることを確実にするための措置を講じることが通常は必要である。エチレンガスがバナナから除去されないか、または温度が十分に下げられない場合、バナナの成熟が加速し続けることにより、バナナの貯蔵寿命が短くなる。したがって、バナナに用いるコンテナおよび梱包は、輸送および貯蔵段階中の様々な通気および温度制御の必要性を満たす(account for)ことができなければならない。
【0007】
他の果物および野菜を含む他の産品は、同様の処理を必要とし、輸送および貯蔵過程中に様々な必要性を有し得る。したがって、適切な輸送および貯蔵状態を確保する、産品のためのコンテナシステムと、これらの産品をパッキング、輸送、および貯蔵する方法とが必要である。過去に用いられていたコンテナおよび方法の多くは、生産者および小売店のニーズを満たしていたが、これらのコンテナおよび方法は通常、かなりの量の処理を必要としていた。さらに、果物および野菜等の腐敗し易い産品の貯蔵寿命、外観、および鮮度を改善するコンテナおよびパッキング方法が常に必要である。
【0008】
本発明のコンテナは、収容されている青果物等の腐敗し易い産品のために改良された通気パターンを含む。改良型コンテナの通気パターンは、隣接するコンテナの対応する通気口を連通させることにより、青果物のコンテナのパレット貨物(palletized load)全体を通る空気流を有利に改善し、したがってより速い冷却または「プルダウン」速度("pull down" rates)を可能にすることが有利である。さらに、既知の従来技術のコンテナは、低い通気特性を示すことが多かった。例えば、果物は、従来技術のコンテナの不完全に構成された通気口を妨害し、さらには塞いでしまうことが知られていた。この望ましくない状況により、同じ層の箱間の空気循環が不均一になるかまたは減ることによって、積み重ねられた、すなわちパレット化された箱の層の中間に、望ましくない「ホットスポット」が生じることが多い。従来技術の通気口の向きのために、通気口の縁と物理的に接触することにより、青果物が損傷を受ける危険性もある。
【0009】
さらに、従来技術のコンテナでは、プラスチック袋内におよび紙トンネルパッド(paper tunnel pads)間に果物が積み重ねられる従来技術の構成により、箱の層間の空気循環がさらになお低下する場合があった。
【0010】
以下で詳細に説明するように、本発明のコンテナは、隣接するコンテナの通気口が1つまたは複数の隣接するコンテナの対応する通気口と連通し得るように、各コンテナの上周縁(upper perimeter)および下周縁(lower perimeter)に通気穴を組み込むことにより、個々のコンテナ(およびコンテナ化された青果物のパレット貨物)の通気を改善する。具体的には、隣接するコンテナの対応する通気口は、隣接するコンテナの隣接する側部または隣接する上部および底部によって共有され得る。この構成を達成するために、通気口の少なくとも幾つかのそれぞれが、鉛直パネルに沿った第1の部分と、コンテナの上面または底面あるいはフラップのいずれかに配置される第2の部分とを含む。有利なことに、この構成は、通気口が鉛直パネルの中央付近にある場合、収容されている果物による穴の閉塞が起こるのを減らすことが示されている。前述したように、この構成は、隣接する層の箱間の鉛直方向の連通も可能にする。
【0011】
バナナ(および他の青果物)は、通常は4段でパッキングされる。最初の2段は、通常、紙トンネルパッドで覆われることにより、パッキングの安定性が高まるとともに、上に載る上部の2段と擦れ合うことによって生じる可能性がある損傷からこれら下部の段が保護される。従来技術に関連する問題は、下部の2段の果物が紙トンネルパッドで包まれていることから、これら2段の果物の効果的な熱交換および通気が困難であることにより生じる。直接的な影響は、通常は露出度がより高い上部の2段と比較して、これらの段の冷却速度がさらに遅くなることである。理解されるように、この構成により、輸送および熟成中に果物の段間およびコンテナの層間に望ましくない温度差が生じることが多かった。
【0012】
本発明のコンテナは、改善された通気特性を有する改良型の紙トンネルパッドを適宜含む。従来技術では、紙トンネルパッドは、通常、コンテナ内の底部のギャップと一致して位置合わせされるように位置付けられる一連の通風穴(vent holes)を含む。従来技術のコンテナの底部開口またはギャップは、通常は大きいが、ギャップの上の果物がこの空間を閉塞するため、効果的な空気循環が底部開口を通して得られることはほとんどなかった。改良型の紙トンネルパッド構造は、空気循環が改善されるようにコンテナの下周縁のコンテナ通気口と一致するように配置された、さらなる通気穴を含む。
【0013】
さらに、従来技術のコンテナの通気が制限されていたため、十分な冷却および熟成の続行を可能にし、かつほぼ均一な色および温度を有する産品を生産するために、比較的非常に多数の通気開口を有するプラスチックバッグの使用が必要であった。このような従来技術のプラスチックバッグは、通気を改善するものであったが、望ましくないレベルの青果物の乾燥および鮮度低下をもたらすことを伴っていた。したがって、本発明は、通気穴の数が比較的少なく、通気穴が段ボール箱および紙トンネルパッドの通気口とより良好に一致するように戦略的に位置付けられた、改良型の青果物バッグも適宜含む。好ましくは、直径約1.27センチ(1/2インチ)の通気穴を200個よりも多く有する従来技術のバッグとは異なり、新たな青果物バッグの構造は、直径約0.40〜1.27センチ(5/32インチ〜1/2インチ)の範囲の通気穴を約20〜約150個含むことが好ましい。
【0014】
本発明の一つの代替実施形態によると、温度および熟成の均一性をさらに改善するために、前述の本発明の青果物内袋および紙トンネルパッドの代替物として、内側コンテナ構成要素の改良型システムが提供される。この実施形態は、外部の比較的短い内袋と、内部のパッドパウチと、パッドパウチ内に配置された小さい紙トンネルパッドとを備える。
【0015】
本発明のコンテナの冷却特徴により、必要な冷却時間が短縮されるだけでなく、積み重ねられた箱のパレット貨物全体の果物温度の均一性が高まり、このようにして、これらの箱に収容された果物全ての未成熟寿命(green life)が均一になる。
【0016】
搬送中の前述の利点に加えて、本発明に関連する構造は、熟成過程中の果物温度管理も改善する。果物の熟成がエチレンでのガス処理により誘発されると、果物の内部で連鎖反応が始まる。これらの総ての連鎖反応により熱が発生し、熟成過程を制御するのに望ましい温度に果物の温度を保つために、十分な熱およびガスの交換が必要である。
【0017】
通常、周囲温度で、商店の貯蔵室(back room)に果物が置かれている間、果物は熟成過程をさらに進めるため、その継続的な発熱が続き、果肉温度が上がって変色および果物の老化過程が加速する。本発明の改善された通気は、熟成した果物の保存寿命を延ばす働きもある。
【0018】
さらに、本発明のコンテナシステムは、コンテナ強度を低下させることなく、この改善された温度および通気管理を可能にする。本発明の構造では、コンテナの鉛直構造において開口面積すなわち刻まれた溝(cut flute)の数が増加していないため、従来技術のコンテナと比較して、上下の圧縮強度が全く損なわれない。箱の水平方向の上部または底部のフラップに位置付けられるコンテナ開口の各部分が、さらに通気され、層間の新たな連通が可能になる。その結果、これらがコンテナの圧縮傾向に悪影響を及ぼすことはない。より良好な通気を得るために幾つかの試みがこれまでなされてきたが、それらは総て、箱の強度の低下をもたらしていた。
【0019】
本明細書には、本発明を特定し明確に請求する特許請求の範囲が添付されているが、本明細書は、添付図面とともに以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【0020】
[発明の詳細な説明]
次に、本発明の目下好ましい実施形態を詳細に参照するが、その例は添付図面に示されており、同様の番号は、総ての図にわたって同じ要素を示す。
【0021】
図1を参照すると、青果物を輸送するための改良型の通気コンテナ10が提供される。コンテナ10は、バナナ等の新鮮な果物および野菜を輸送するために用いることができる。コンテナは、再利用可能な段ボールから構成されることが好ましいが、本質的に任意の適した耐久性のある材料から構成されてもよい。コンテナは、概して、図3に示す上部12と図4に示す基部14とを備え、全入れ子式・半細長溝付コンテナ(full-telescoping, half-slotted container)(HSC)と一般に呼ばれる。コンテナ10は、組み立てられると、図1に示すように、上部パネル11と、第1の対の対向する短パネル13(図6)と、第2の対の対向する長パネル17(図5)と、底部パネル15とを含む。本発明の一つの態様によると、コンテナ10には、複数の通気口16が配置される。任意の数の通気口を用いて所望の通気を行うことができるが、コンテナ10は、底周縁に沿ってほぼ等距離に配置された8つの通気口16と、コンテナ10の上周縁に沿ってほぼ等距離に配置された8つの通気口16とを含むことが好ましい。好ましくは、通気口は円形であるが、通気を行うのに適した任意の形状であってもよい。好ましくは、通気口16の直径は、約2.54センチ〜7.62センチ(1インチ〜3インチ)である。図1〜図4に最も分かり易く示すように、通気口は、その直径が最も大きい地点が、それぞれのコンテナを直立させる時に折れる水平方向の折り目と一致するように配置される。言い換えれば、各通気口16の一部は、短パネル13または長パネル17上に配置され、通気口のそれ以外の部分は、隣接する上部パネル11または底部パネル15に配置される。
【0022】
図3および図4に示すように、上部12および基部14の深さは、ほぼ等しいことが好ましい。コンテナ10を組み立てるには、上部12を基部14の上に入れ子式に摺動させる。図から分かるように、基部14および上部12の通気口16は、基部14および上部12が組み立てられてコンテナ10になると位置が揃う。上部および底部はそれぞれ、各部分を閉じ合わせるために互いに折り重ねられて接着されるフラップを有する。コンテナ10をさらに通気し、容易に輸送するために、位置合わせ可能なハンドスロット18が設けられる。コンテナを直立させると、通気口は、上部12の上縁と基部14の底縁とに位置付けられる。
【0023】
図1〜図4に示すように、本発明の通気パターンは、従来技術の幾つかとは異なり、通気口16を、収容されている青果物または果物によって閉塞または妨害され得る短パネル13および長パネル17の中央領域に含まない。それとは反対に、本発明のコンテナは、バナナまたは他の新鮮な果物のために改善された通気パターンを提供する。この構造により、パレット貨物全体を通る空気循環が向上し、冷却速度をより速くすることができる。冷却の最適化は、箱の通気口を、前述のようにコンテナの隣接するパネルによって共有されるように上周縁および下周縁に位置付けることによって達成される。この構造により、通気口に嵌まることによって果物が傷付く可能性を、さらに最小限に抑える。
【0024】
図7は、コンテナ10の上部12の上面図を示す。図から分かるように、各通気口16の約半分が、コンテナの上部12の縁に沿って配置される。通気口の残りの半分は、隣接する鉛直な短パネル13または長パネル17に配置される。同様に、基部14は、好ましくは同様の通気口配置を含む。これにより、図2に示すように、異なる層の箱間の鉛直方向の連通が可能となることが有利である。図7に示すように、中央通気領域20が、コンテナの上部にあり、かつコンテナの基部14にもある。実際には、従来技術のHSC箱では、この中央通気領域20の上または下にある果物によって、この領域20を通した通気のほとんどが遮断される傾向がある。
【0025】
再び図2を参照すると、パレット貨物に積み重ねられた場合、本発明のコンテナ間の連通がどのように達成されるかが示される。図から分かるように、通気連通は、パレット貨物の同じ層またはレベルの箱間、および連続した層のコンテナ間で達成される。図の好ましい実施形態に示すように、各コンテナは、同じ層の隣のコンテナと、または外部の冷却空気と水平方向に連通する、全部で8つの開いた自由空気流チャネルを有する。それと同時に、コンテナの通気は、同数の通気口を通して、隣接する上層および隣接する下層のコンテナと鉛直方向にも相互接続されることが分かる。
【0026】
前述のように、バナナは、通常、コンテナ内で4段にパッキングされる。下部の2段は、通常、紙トンネルパッドで覆われることにより、パッキング安定性が高まるとともに、上部の2段によって生じる可能性がある損傷、摩擦、および傷付きからこれら下部の段が保護される。その結果、紙トンネルパッドで包まれている下部の2段の果物は、コンテナ内の上部の2段の果物と比較して、十分に通気させることがより困難であった。そのため、従来技術のコンテナ内では、輸送および熟成中に望ましくない温度差が生じていた。
【0027】
図8に示すように、本発明のコンテナは、改善された通気特性を有する特別な紙トンネルパッド24を含む。通気穴28は、群を成して配置され、空気循環を最大にするように、中央通気領域20およびコンテナの下周縁の通気口16の両方と一致するように配置される。
【0028】
腐敗し易い産品がHSCコンテナで輸送される場合、プラスチックの内側ラップすなわち内袋30を用いて果物を保護する。この内袋は、通常、内袋30の表面付近に複数の通気スリットが設けられたプラスチック製のチューブである。内袋は、通常、基部14に配置され、内側バッグ30の開口縁は、コンテナの側壁を覆って垂れ下がる。このようにして、バナナ等の果物をコンテナ内で重ねることができる。従来技術のコンテナの通気が制限されていたため、冷却および熟成の適切な続行を可能にし、かつほぼ均一な色および温度を有する最終産品を生産するために、生産者は、非常に多数の通気開口を有するプラスチック袋を用いることを強いられていた。このような袋は、望ましくない果物の乾燥および鮮度低下をもたらすことにより、所望の通気を達成する傾向があった。したがって、本発明は、図9に示すように、通気穴32の数が比較的少ないが、通気穴32がコンテナ10の通気口16および紙トンネルパッドの通気穴28と一致するように位置付けられた改良型の内袋30も含む。例えば、従来技術で一般的であるように直径約1.27センチ(1/2インチ)の通気穴を200個よりも多く有する代わりに、改良型の内袋は、好ましくは約0.40センチ〜1.27センチ(5/32インチ〜1/2インチ)の範囲より小さい直径を有する通気穴を約20〜約150個含む。
【0029】
本発明のコンテナと共に用いられるようになっている代替の紙トンネルパッドおよび内袋の構成を、図10〜図13に示す。この実施形態は、比較的短い内袋30(図10)および図11に示すような内部プラスチックパッドパウチ50を含むことが好ましい。図12および図13に示すように、パウチは、紙トンネルパッド56を受け入れるようになっている開口端52を有する。従来技術のシステムと同様に、この代替のトンネルパッド機構は、通常は3段パックである、バナナの柄を上向きにしたパッキング(crowns-up packing)パターンに用いられる。さらに、この代替のトンネルパッド機構は、従来の4段または柄を下向きにしたパッキング(crowns down packsのバナナと共に用いてもよい。パウチ50は、プラスチックであることが好ましく、図13に示すように、上部52が開口していることにより、その内部に紙トンネルパッド56を保持するパウチを形成する二重プラスチックシートによって形成される。好ましくは、2つのヒートシールによる継ぎ目が、開口側に対して鉛直に配置されることにより、パウチが形成される。有利には、この機構は、果物と紙トンネルパッドとの接触を最小限に抑えるか、またはなくす。プラスチックパウチ50および紙トンネルパッド56の両方は、総ての果物段内の温度および色の均一性を高めるために、大部分にわたって穿孔される。紙は、ラテックス吸収材としての役割も果たす。
【0030】
本発明のコンテナシステムの試験により、冷却時間が有利に短縮されたことだけでなく、積み重ねられたコンテナのパレット貨物全体にわたる果物温度の均一性が高まったことにより、コンテナに収容されている果物またはバナナ全部の未成熟(unripe or green)寿命がほぼ均一になったことも示された。この構造により、熟成過程中に果物の熟成がエチレンでのガス処理により誘発された時の果物温度管理が改善されることも分かった。その結果、バナナは、より狭くより均一な色分布範囲で、かつ同様の熟成度およびより長い保存寿命の果物として、小売用に発送される。
【0031】
前述のように、このコンテナは、コンテナ強度を全く低下させずに改善された通気および温度管理が行われることを可能にするが、通気口を作るために箱の鉛直パネルに刻まれた溝の数は、箱の強度を常に幾らか低下させる。本発明では、コンテナの鉛直構造の開口面積すなわち刻まれた溝の数の増加が行われていないため、また、通気口16のそれぞれが隣接する2つのパネルにほぼ半分ずつ分かれているため、従来技術のHSCコンテナと比較して、上下の圧縮強度の望ましくない低下は生じない。
【0032】
好ましい一実施形態の上記の説明は、決して本発明の可能な変形形態を網羅しているのではなく、図示および説明のためにのみ提示されたものである。上記の説明の教示に鑑みて、自明の変更形態および変形形態が当業者には明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の改良型コンテナの斜視図である。
【図2】隣接するコンテナの隣接する通気口の位置合わせを示す、本発明のコンテナのパレット貨物の2つの層を示す斜視図である。
【図3】本発明のコンテナの組立前の上部の平面図である。
【図4】本発明のコンテナの組立前の底部の平面図である。
【図5】本発明のコンテナの長さ方向に沿った平面図である。
【図6】本発明のコンテナの幅方向にわたる平面図である。
【図7】本発明のコンテナの上面図である。
【図8】本発明のトンネルパッドの平面図である。
【図9】本発明のコンテナと共に用いられるようになっている内袋の平面図である。
【図10】本発明のコンテナと共に用いられるようになっているオプションの内袋の平面図である。
【図11】本発明のコンテナと共に用いられるようになっているオプションのトンネルパッドパウチの平面図である。
【図12】図11に示すパウチ内に収容されるようになっている比較的小さいトンネルパッドの平面図である。
【図13】オプションのトンネルパッドパウチ内に配置されるオプションのトンネルパッドの図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通気口を有する、青果物を輸送および貯蔵するための実質的に堅いコンテナであって、該コンテナは、一対の対向する鉛直短パネルと、一対の対向する鉛直長パネルと、上部パネルと、底部パネルとを含み、前記複数の通気口の各々は、前記上部パネルおよび前記底部パネルの内の一方の周縁に沿って配置される第1の部分と、前記鉛直短パネルおよび前記鉛直長パネルの内の一方の周縁に沿って配置される第2の部分とを有する、青果物を輸送および貯蔵するためのコンテナ。
【請求項1】
複数の通気口を有する、青果物を輸送および貯蔵するための実質的に堅いコンテナであって、該コンテナは、一対の対向する鉛直短パネルと、一対の対向する鉛直長パネルと、上部パネルと、底部パネルとを含み、前記複数の通気口の各々は、前記上部パネルおよび前記底部パネルの内の一方の周縁に沿って配置される第1の部分と、前記鉛直短パネルおよび前記鉛直長パネルの内の一方の周縁に沿って配置される第2の部分とを有する、青果物を輸送および貯蔵するためのコンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2006−506288(P2006−506288A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554014(P2004−554014)
【出願日】平成15年11月19日(2003.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/037282
【国際公開番号】WO2004/045972
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505185086)チキータ・ブランズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CHIQUITA BRANDS, INC.
【住所又は居所原語表記】25th floor, 250 East Fifth Street, Cincinnati, OH 45202, United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月19日(2003.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/037282
【国際公開番号】WO2004/045972
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505185086)チキータ・ブランズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CHIQUITA BRANDS, INC.
【住所又は居所原語表記】25th floor, 250 East Fifth Street, Cincinnati, OH 45202, United States of America
【Fターム(参考)】
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