説明

静止型流体混合装置

【課題】超微細でかつ均一な気泡の生成などの処理を施すことができると共に圧力損失の小さい静止型流体混合装置を提供すること。
【解決手段】混合ユニットは、筒状のケーシング本体内にその軸線方向に間隔を開けて複数配置すると共に、隣接する混合ユニットとケーシング本体とで流路成形用空間を形成し、各混合ユニットには、前記混合流路の終端部と連通する環状流出路を形成すると共に、同環状流出路は全周にわたって略一定間隔にてリング状に開口させて、同環状流出路の終端開口部を上記流路成形用空間と接続する流出口となし、同流路形成用空間内には、前記混合流路を通過した流体が、リング状に開口する流出口の全周から略均等に流出して、ケーシング本体の軸芯側に流動して集合する集合流路が形成されるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体、例えば、液体と液体、液体と酸素等の気体、水等の改質対象液体、液体とローヤルゼリー等の水性流体、及び、海藻類等の固体と液体、を超微細化かつ均一化して混合する静止型流体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静止型流体混合装置の一形態として、中央部に流体の流入口を形成した円板状の第1混合エレメントに、円板状の第2混合エレメントを対向させて配置すると共に、両混合エレメントの間に、上記流入口から両混合エレメントの間に流入した流体が流れる混合流路を形成したものがある。そして、混合流路は、流入口から流入した流体を放射線方向に流動させて分流させる複数の分流部と、同分流部で分流された流体を放射線方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備している。また、混合流路の終端部には第2混合エレメントに形成した流出口を連通させており、同流出口は多数の小径円形孔を円周方向に間隔を開けて穿設することにより形成している。
【0003】
そして、第1混合エレメントと第2混合エレメントの周縁部において面接触状態に接合している接合部間には、環状のシール部を介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2002/070117公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この従来の静止型流体混合装置は、混合流路を通過した流体が、第2混合エレメントに形成された流出口である多数の小径円形孔中に分流しながら流入することになり、各小径円形孔中を通過する際の流体の圧力が不均一となってばらつくために、その際の流線が大きく乱れる状況となって圧力損失が大きくなり、単位時間当たりの処理量を大きくすることが困難となっている。また、例えば、より高圧の流体を供給することで処理量を大きくすることが考えられるが、第1混合エレメントと第2混合エレメントとの接合部間に、放射線方向に流動される流体が浸入方向に作用するために、供給する流体を高圧にすると、作用する流体圧が増大するために、同接合部間に介設しているシール部において流体漏れが生じる虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、より圧力損失が小さく流体漏れを生じることのない静止型流体混合装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような静止型流体混合装置を提供する。
【0008】
請求項1に記載の発明は、中央部に流体の流入口を形成した板状の第1混合エレメントに、板状の第2混合エレメントを対向させて配置すると共に、両混合エレメントの間に、上記流入口から流入した流体を放射線方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を放射線方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備する混合流路を形成した混合ユニットを構成し、混合ユニットには、前記混合流路を通過した流体を流出させる流出口を設けている静止型流体混合装置であって、前記第1混合エレメントは、板状に形成したエレメント本体の一側面の周縁部に、周壁部を全周にわたって突出状に一体的に形成して、周壁部とエレメント本体とで凹み部を形成し、前記凹み部内には、前記第2混合エレメントを上記エレメント本体と対面状態に配置して、第1混合エレメントの周壁部の内周面と第2混合エレメントの外周端面との間に、全周にわたって略一定間隔にてリング状に開口する環状流出路を形成し、環状流出路の終端開口部を流出口となして混合ユニットを構成し、前記混合ユニットは、筒状のケーシング本体内にその軸線方向に間隔を開けて複数配置すると共に、ケーシング本体の内周面と第1混合エレメントの周壁部の外周面とを密着状態に面接触させて、隣接する混合ユニットとケーシング本体とで上記環状流出路と連通する流路形成用空間を形成し、前記流路形成用空間内には、前記混合流路を通過した流体が、リング状に開口する流出口の全周から略均等に流出して、ケーシング本体の軸芯側に流動して集合する集合流路が形成されるようにしていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の静止型流体混合装置の前記流入口に、気体と液体とが混合された状態の気液混合流体を供給する気液混合流体供給管が接続されてなることを特徴とする静止型気泡生成装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の静止型気泡生成装置であって、混合される前記気体が酸素であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の静止型流体混合装置の前記流入口に、改質対象液体を供給する液体供給管が接続されてなることを特徴とする静止型液体改質処理装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載される静止型液体改質処理装置であって、前記改質対象液体が水であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の静止型流体混合装置の前記流入口に、タンパク質、糖質、糖タンパク質、脂質の少なくともいずれか一つの成分と水分とを含む水性流体を供給する水性流体供給管が接続されてなることを特徴とする静止型水性流体混合装置である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の静止型水性流体混合装置であって、前記水性流体がローヤルゼリーを含むものであることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の静止型流体混合装置の前記流入口に、固体と液体とが混合された状態の固液混合流体を供給する固液混合流体供給管が接続されてなることを特徴とする静止型固液混合装置である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の静止型固液混合装置であって、前記固液体混合流体がフコイダンを含有する海藻類を含むものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る静止型流動混合装置では、流体成分をより微細化することができると共に均一化(超微細化かつ均一化)することができる。しかも、本発明では、混合流路を通過した流体を流出口から集合流路に流出させるに際して、全周にわたって略一定間隔にてリング状に開口する環状流出路の終端開口部を流出口としているため、同流出口は、全周にわたって略均等幅で存在することになって、同流出口の全周から略均等に流出される流体の流線が大きく乱れことがなくなる。そのため、流体の圧力にばらつきが発生しにくくなる。その結果、流体圧力が均一化されて流路抵抗が低下する。流路抵抗が低下すると圧力損失が低減されて、供給する流体の圧力を高圧にしなくても処理量を増大させることができる。
【0018】
そして、環状流出路と連通する流路形成用空間は、隣接する混合ユニットとケーシング本体とで形成して、同流路形成用空間内には混合流路を通過した流体が、略均等幅でリング状に開口する流出口の全周から拡径状の流路形成用空間内に流出される。このように、略均等幅の流路から拡径された流路に流体が流出されるようにしているため、大幅な圧力損失低減効果が得られる。
【0019】
圧力損失が低減されると、低圧で流体混合処理を行なうことができるようになって、シール部における流体漏れ防止を図る必要性、すなわち、パッキンなどのシール部材を使用する必要性がなくなる、ないしは大幅に低減される。その結果、シール部材の交換などの作業が不要、ないしは大幅に削減されるため、本発明に係る静止型流体混合装置自体のメンテナンス作業の簡易化と迅速化を図ることができて、作業効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る静止型流体混合装置では、上記したように圧力損失が低減されるため、同じ量の処理流体を供給する際に、ポンプなどの処理流体供給手段の出力を小さくすることができる。また、同じ出力を維持するのであれば、処理能力が増大する。
【0021】
圧力損失の低減も一因であると考えられるが、流体混合処理に伴い発生する騒音が小さくなり、静粛性が向上すると共に、振動が小さくなる。そして、流体混合処理時の騒音や振動が小さくなれば、例えば病院など、静粛性等が要求されるような場所への設置が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態の静止型気泡生成装置の構成を示す構成図である。
【図2】第1実施形態の流体混合装置を示す正断面図である。
【図3】第1実施形態の流体混合装置の混合ユニットを示す分解正断面図である。
【図4】(a)は、第1実施形態の混合ユニットの第1混合エレメントを示す右側面図であり、(b)は、左側面図である。
【図5】(a)は、第1実施形態の混合ユニットの第2混合エレメントを示す左側面図であり、(b)は、右側面図である。
【図6】第1実施形態の混合ユニットを示す斜視図である。
【図7】第1実施形態の混合ユニットの組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図8】第1実施形態の各混合エレメントに形成された凹部の当接状態を示す模式図である。
【図9】第2実施形態の流体混合装置を示す正断面図である。
【図10】第2実施形態の流体混合装置の混合ユニットを示す分解正断面図である。
【図11】(a)は、第2実施形態の混合ユニットの集合流路形成エレメントを示す右側面図であり、(b)は、左側面図である。
【図12】第2実施形態の混合ユニットの組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図13】第2実施形態の混合ユニットの組み付け状態を示す集合流路形成エレメントの右側面説明図である。
【図14】(a)は、第2実施形態についての改変した第2混合エレメントを示す左側面図であり、(b)は、正面図を横に倒した状態のものであり、(c)は、右側面図である。
【図15】第3実施形態の流体混合装置を示す正断面図である。
【図16】第3実施形態の流体混合装置の混合ユニットを示す分解正断面図である。
【図17】第3実施形態の混合ユニットの組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図18】(a)は、第3実施形態の混合ユニットの導出側エレメントを示す左側面図であり、(b)は、右側面図である。
【図19】第4実施形態の流体混合装置を示す正断面図である。
【図20】第4実施形態の流体混合装置の混合ユニットを示す分解正断面図である。
【図21】第4実施形態の混合ユニットの組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図22】(a)は、集合流路形成エレメントの変容例を示す混合ユニットの組み付け状態の右側面説明図であり、(b)は、(a)のI-I線断面図であり、(c)は、(a)のII-II線断面図である。
【図23】比較例1で用いた静止型気泡生成装置の流体混合装置を示す正断面図である。
【図24】(a)は、実施例1の処理水中に含有される気泡の大きさの測定結果を示すグラフであり、(b)は、比較例1の処理水中に含有される気泡の大きさの測定結果を示すグラフである。
【図25】第1実施形態の流体混合装置の改変例を示す正断面図である。
【図26】第1実施形態の流体混合装置の別の改変例を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る静止型流体混合装置の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
本発明に係る静止型流体混合装置は、中央部に流体の流入口を形成した板状の第1混合エレメントに、板状の第2混合エレメントを対向させて配置すると共に、両混合エレメントの間に、上記流入口から流入した流体を放射線方向に流動させて分流させる複数の分流部と、同分流部で分流された流体を放射線方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備する混合流路を形成した混合ユニットを構成し、同混合ユニットには、前記混合流路を通過した流体を流出させる流出口を設けている。
【0025】
このような静止型流体混合装置において、混合ユニットは、筒状のケーシング本体内にその軸線方向に間隔を開けて複数配置すると共に、隣接する混合ユニットとケーシング本体とで流路成形用空間を形成し、各混合ユニットには、前記混合流路の終端部と連通する環状流出路を形成すると共に、同環状流出路は全周にわたって略一定間隔にてリング状に開口させて、同環状流出路の終端開口部を上記流路成形用空間と接続する流出口となし、同流路形成用空間内には、前記混合流路を通過した流体が、リング状に開口する流出口の全周から略均等に流出して、ケーシング本体の軸芯側に流動して集合する集合流路が形成されるようにしている。
【0026】
具体的には、前記第1混合エレメントは、板状に形成したエレメント本体の一側面の周縁部に、周壁部を全周にわたって突出状に一体的に形成して、同周壁部とエレメント本体とで凹み部を形成し、同凹み部内には前記第2混合エレメントを上記エレメント本体と対面状態に配置して、第1混合エレメントの周壁部の内周面と第2混合エレメントの外周端面との間に、全周にわたって略一定間隔にてリング状に開口する環状流出路を形成し、同環状流出路の終端開口部を流出口となして混合ユニットを構成している。
【0027】
そして、同混合ユニットは、筒状のケーシング本体内にその軸線方向に間隔を開けて複数配置すると共に、同ケーシング本体の内周面と第1混合エレメントの周壁部の外周面とを密着状態に面接触させて、隣接する混合ユニットとケーシング本体とで上記環状流出路と連通する流路形成用空間を形成している。
【0028】
このように構成することで混合流路に環状流出路を介して集合流路を連通させることができる。この際、環状流出路は全周にわたって略一定間隔にてリング状に開口させて形成し、同環状流出路の終端開口部を流出口となして、同流出口の全周から流体を円滑に流出させることができると共に、全周にわたって流出口が存在するため流体圧力のばらつきが発生しにくくなり、結果として、流路抵抗が低下する。流路抵抗が低下すると圧力損失が低減されて、供給する流体の圧力を高圧にしなくても処理量を増大させることができる。
【0029】
そして、環状流出路と連通する流路形成用空間は、隣接する混合ユニットとケーシング本体とで形成しているため、混合流路を通過した流体は、略均等幅でリング状に開口する流出口の全周から拡径状の流路形成用空間内に流出されることになる。このように、略均等幅の流路から拡径された流路に流体が流出されるようにしているため、大幅な圧力損失低減効果が得られる。圧力損失が低減されると、低圧で流体混合処理を行なうことができるようになって、第1混合エレメントと第2混合エレメントとの間に流体漏れ防止を図るシール部を介設する必要性がなくなる。さらには、リング状に開口する流出口は全周にわたって集合流路と連通させて、同集合流路を通して流体をケーシング本体の軸芯側に流動させて集合させることができるため、圧力損失を大幅に低下させることができる。従って、この点からも、単位時間当たりの処理量を大きくすることができて、流体漏れも確実に回避することができる。なお、ケーシング本体の軸芯側に集合させた流体は、その後、後続の混合ユニットの流入口に流入させるか又は流体導出口ないしは流体放出口から放出させる。
【0030】
このとき、第1混合エレメントの周壁部の端面は、第2混合エレメントの背面と面一になる位置または集合流路側に位置させるように適宜設定することができる。このようにすると、混合流路を通過して流出口の全周から流出した流体を、スムーズに集合流路を通してケーシング本体の軸芯側に流動させて集合させることができる。このように、流出口の全周から略均等に流出される流体を、集合流路において、真後ろまたは中央寄りの方向に円滑に流動させることができれば、より圧力損失が低下する。
【0031】
また、第1混合エレメントと第2混合エレメントからなる混合ユニットは、筒状のケーシング本体内にその軸線方向に(上流側から下流側に)間隔を開けて複数配置すると共に、隣接する混合ユニットとケーシング本体とで流路成形用空間を形成している。この際、ケーシング本体の内周面に混合ユニットの外周面を密着させて、両周面間に流体が漏れないようにする。
【0032】
このように、混合ユニットは必要に応じて配置数を設定することで、各混合ユニット毎に流体の混合処理がなされて、適宜、混合処理性能(例えば混合処理対象物をより微細化する性能や、微細化の際により均一な大きさに微細化する性能)を向上させることができる。処理対象物が気液混合流体中の気体であれば、より微細で均一の大きさの気泡を生成できる。
【0033】
このとき、上流側の混合ユニットの第2混合エレメントと、下流側の混合ユニットの第1混合エレメントとの間に、上流側の流出口から流出した液体を下流側の混合ユニットの流入口に案内する集合流路(流路成形用空間)を確保する集合流路確保構造(流路成形用空間確保構造)を設けてもよい。
【0034】
集合流路確保構造としては、例えば、第2混合エレメントの背面に設けた突起を挙げることができる。
【0035】
このような突起の上下流方向の幅を所望の幅に形成して設けると、複数の混合ユニットを、上流側から下流側に並べて配置したときに、上流側の混合ユニットの第2混合エレメントの突起が下流側の混合ユニットの第1混合エレメントに当接することで、先に説明した好適な集合流路(流路成形用空間)が確保される。
【0036】
また、前記流路形成用空間内においては、リング状に開口する流出口の近傍かつケーシング本体の軸芯側に、流路断面積を安定させる複数のガイド体を配設することができる。これらガイド体は、流出口に沿わせてその周方向に間隔を開けて配置することで隣接するガイド体間に集合流路を形成する一方、ケーシング本体の内周面側に、それに沿って周方向に伸延する環状連通路を形成している。この際、環状連通路の内周面部には上記集合流路の始端部が接続されて、前記流出口に環状連通路を介して集合流路が連通されている。
【0037】
ここで、リング状に開口された流出口から流出した流体を1つの流入口ないしは流体導出口に集合させて、同流入口ないしは流体導出口から流入ないしは流出させるようにすると、集合流路は、周側である流出口から中心側である流入口ないしは流体導出口に向かって急速に流路断面積が小さくなる構造になる。流路断面積が急激に増減する構造は、流路抵抗が大きくなりやすく、また流体の圧力が局所的に高圧になりやすい。この点、集合流路に、流路断面積を安定させるガイド体を設けると、流出口から流入口ないしは流体導出口にかけて流路断面積が安定し、流路抵抗が増大することや局所的に流体圧力が高圧になることが防止される。そして、このガイド体は、集合流路(流路成形用空間)を確保するための突起としても用いることができるという利点がある。
【0038】
混合ユニットとしては、第2混合エレメントの背面側に集合流路形成エレメントを配置して構成し、同集合流路形成エレメントはエレメント本体の一側面に流路断面積を安定させる膨出状のガイド体を形成することができる。
【0039】
また、ガイド体は第2混合エレメントに一体的に形成することもできる。この場合、部材が増えることがなく、静止型流体混合装置のコンパクト化を図ることができる。
【0040】
また、第2混合エレメントの背面側に配置されて、同第2混合エレメントとの間に形成される集合流路の形状を安定させる導出側エレメントを備えると共に、当該導出側エレメントに、前記集合流路を通過した流体を放出させる流体放出口を形成する構造にしてもよい。
【0041】
このような構造にすると、第2混合エレメントと導出側エレメントの間の位置に集合流路を形成することができる。導出側エレメントを用いない構造では、集合流路は、混合ユニット側の第2混合エレメントやガイド体が設けられた部材と、これに隣接して配置される他の構造部材との間に形成されることになる。例えば、複数の混合ユニットを用いる場合について、一例を挙げると、上流側の第2混合エレメントと下流側の第1混合エレメントの間に形成される例を挙げることができる。
【0042】
このように、別構造の部材の間に集合流路を形成する構成では、集合流路の断面積などにばらつきが生じやすい。ばらつきが生ずると、流路抵抗が増大したり、局所的に流体圧力が高圧になったりしやすい。この点、第2混合エレメントと導出側エレメントの間の位置に集合流路を形成することができれば、集合流路の形状が安定し、流路抵抗の増大や局所的に流体圧力が高圧になるようなことが防止される。
【0043】
また、前記ガイド体に接する状態で第2混合エレメントの背面側に配置される導出側エレメントを備える構造にしてもよい。このような構造にすると、第2混合エレメントと導出側エレメントの間の位置に形成される集合流路の形状が安定すると共に、当該集合流路に設けられたガイド体により、流出口からケーシング本体の軸芯側にかけて流路断面積が安定して、流路抵抗が増大することや局所的に流体圧力が高圧になることが防止される。
【0044】
また、前記導出側エレメントは、前記集合流路に面する表面に複数の凹部及び/又は凸部を備えるものでもよい。集合流路に面する表面に複数の凹部及び/又は凸部を備える導出側エレメントを用いれば、流出口から流体放出口までの流路のうち、導出側エレメントの表面が面している流路を流体が通過するとき、凹部及び/又は凸部の存在によって流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分が生じる。
【0045】
そして、このような流体中では、局所的に低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりするといったいわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。このようなキャビテーションが起こるときに生ずる力によって、混合対象物の微細化が行われ、流体混合が促進される。
【0046】
なお、先に説明したように、流体の漏れが生じやすい位置またはその近傍で局所的に流体高圧部分が生ずると、流体の漏れが生じやすくなるので、その意味では局所的高圧部分が生ずることは好ましくない。ただし、上記のように、集合流路に面する表面に凹凸を備える導出側エレメントを用いれば、流出口から流体放出口までの流路のうち、導出側エレメントの表面が面する部分の流路でのみ、流体中に局所的高圧部分や局所的低圧部分を生じさせることができる。
【0047】
そして、その他の部分、例えば流出口の近傍など流体の漏れが生じやすい領域では、流路断面積の安定化により局所的高圧部分の発生が防止される状態が維持される。従って、流体の漏れが生じやすくなることは防止されている。
【0048】
また、前記のように集合流路にガイド体を設けることなく、当該集合流路に接する状態で前記第2混合エレメントの背面側に配置される導出側エレメントを備える構造とすることもできる。このように、ガイド体を設けない構造では、静止型流体混合装置の構造簡易化と低コスト化を図ることができる。
【0049】
また、前記集合流路内には、流出口から流出した混合流体を錯流となす錯流生起手段を設けてもよい。ここで、錯流とは、流体が物体の面を擦りながら流動する流れであり、錯流生起手段は、錯流を生起する面を有する突状物である。
【0050】
従って、集合流路内に錯流生起手段を配置することにより、集合流路内を流体が通過するとき、錯流生起手段の存在によって流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分が生じる。
【0051】
そして、このような流体中では、局所的に低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりするといったいわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。このようなキャビテーションが起こるときに生ずる力によって、混合対象物の微細化が行われ、流体混合が促進される。
【0052】
なお、先に説明したように、流体の漏れが生じやすい位置またはその近傍で局所的に流体高圧部分が生ずると、流体の漏れが生じやすくなるので、その意味では局所的高圧部分が生ずることは好ましくない。ただし、上記のように、集合流路内に錯流生起手段を配置すれば、流出口から流体放出口までの流路のうち、錯流生起手段が配置された個所でのみ、流体中に局所的高圧部分や局所的低圧部分を生じさせることができて、流体混合が促進される。
【0053】
また、錯流を生起する錯流生起手段の面を、凸状面及び/又は凹状面となすことにより、集合流路の流路断面に変化を持たせることができて、脈流を生起することもできる。かかる脈流を生起させた場合も、錯流生起手段が配置された個所でのみ、流体中に局所的高圧部分や局所的低圧部分を生じさせることができて、流体混合が促進される。
【0054】
ところで、静止型流体混合装置では、単位時間当たりの処理量を増大させていくと、本発明に係る静止型流体混合装置に供給した被処理流体が、処理されることで高温になることがある。
【0055】
従って、被処理流体の温度を処理の前後で一定にしたい場合や、処理後に所定温度の被処理流体を得たい場合などに、不都合な場合があった。この点、処理後に導出口から導出される被処理流体の温度制御を行う温度制御手段を備えれば、被処理流体を冷却することや、所望温度の被処理流体が得られるようにすることができる。
【0056】
温度制御手段としては、例えば、混合ユニットの外周に、冷却水などの温度制御用の流体を流通させることができる冷却用のジャケットを配置する構造を挙げることができる。
【0057】
このような構造にすると、被処理流体の処理中にジャケットに温度制御用の流体を流通させることで、被処理流体を冷却でき、あるいは所定温度に制御することができる。
【0058】
また、静止型流体混合装置の前記流入口に、気体と液体とが混合された状態の気液混合流体を供給する気液混合流体供給管を接続することで、静止型流体混合装置を静止型気泡生成装置として用いることができる。
【0059】
例えば、所定の液体に、混合気体として空気や酸素を混合させてもよい。電解水、アルカリイオン水または酸性水と、空気などの気体との気液混合流体を処理すると、微細な気泡を含有した電解水、アルカリイオン水または酸性水を製造することができる。これらの水は、例えば、洗浄水として高い機能を有するものであり、洗浄水として好適である。
【0060】
そして、本発明に係る静止型気泡生成装置によれば、気液混合流体を処理することによって、ナノバブルとも称される極めて微細(1μm未満のナノレベル)かつ均一な気泡を生成できる。このような微細な気泡を含む水は、洗浄水として機能する。従って、本発明に係る静止型気泡生成装置は、このような洗浄水を製造する装置としても好適である。
【0061】
また、本発明係る静止型気泡生成装置で処理した気泡含有水は、汚泥水浄化用水として好適であり、また、疲労した生体に接触させあるいは補給水分として補給することにより疲労回復させるための水として好適である。生体表面に接触させる方法としては、種々の方法が考えられるが、例えば、入浴時の浴槽水として用いる方法を挙げることができる。
【0062】
また、本発明係る静止型気泡生成装置で処理した気泡含有水は、浴槽、貯水槽、プールなどに一定期間貯水された水の浄化用に用いられる浄化用水としても好適である。
【0063】
また、本発明に係る静止型気泡生成装置で処理した水は、植物などの食品の洗浄殺菌用水としても好適である。より具体的に説明すると、例えば、野菜、果物、農作物、食品などの洗浄殺菌に好適である。
【0064】
また、本発明に係る静止型気泡生成装置によれば、平均粒径が500nm以下の気泡を被処理流体中に生成でき、そして平均粒径が50nm以下の気泡を被処理流体中に生成できる。そして、静止型気泡生成装置に供給する気液混合流体の気体としてオゾン含有ガスを用いれば、オゾン含有水溶液などを製造できる。また、流体中に塩分を含有させてもよい。
【0065】
また、静止型流体混合装置の前記流入口に、改質対象液体を供給する液体供給管を接続することで、静止型流体混合装置を静止型液体改質処理装置として用いることができる。改質対象液体としては、例えば水など、種々の液体を挙げることができる。
【0066】
本発明に係る静止型液体改質処理装置によれば、改質対象液体に対して混合処理を施すことで、液体を改質することができる。例えば、水は、通常、単一の分子で存在しているのではなく、多数の分子からなるクラスタを形成しているところ、静止型液体改質処理装置で水を処理すると、クラスタの大きさがより小さい改質水を得ることができる。
【0067】
クラスタの大きさがより小さい改質水は、例えば、水溶性の物質を溶解させる際に溶解性が向上し、消化管においてより吸収されやすくなったり、体内の細胞内に取り込まれやすくなったりするなど浸透性が向上する。
【0068】
また、静止型流体混合装置の前記流入口に、タンパク質、アミノ酸、糖質、糖タンパク質、脂質の少なくともいずれか一つの成分と水分とを含む水性流体を供給する水性流体供給管を接続することで、静止型流体混合装置を静止型水性流体混合装置として用いることができる。
【0069】
静止型水性流体混合装置としては、例えば、水とローヤルゼリーを含む液体など、水とタンパク質、アミノ酸、糖質、糖タンパク質、脂質の少なくともいずれか一つの成分を含む種々の流体を挙げることができる。
【0070】
本発明に係る静止型水性流体混合装置によれば、混合対象の流体に対して混合処理を施すことによって流体を均一に混合させることができ、いわゆる乳化させることができる。これにより、クリーム状や乳液状の混合物を製造することができる。例えば、混合対象物が水とローヤルゼリーの混合物である場合、この混合物を静止型水性流体混合装置で処理すると、ローヤルゼリー中に含まれる糖タンパク質などの高分子成分が微細化かつ均一化されて、乳化された混合対象物が得られる。
【0071】
また、静止型流体混合装置の前記流入口に、固体と液体とが混合された状態の固液混合流体を供給する固液混合流体供給管を接続することで、静止型流体混合装置を静止型固液混合装置として用いることができる。
【0072】
固液体混合流体としては、例えば、フコイダンを含有する褐藻などの海藻類を固形物として含む固液体混合流体や、アルギン酸を含む昆布、ひじきあるいはモズクなどの褐藻などの海藻類を固形物として含む固液体混合流体や、β−グルカンを含むきのこ類を固形物として含む固液体混合流体や、ジンセノサイドを含む高麗人参や田七人参を固形物として含む固液体混合流体や、アリインおよび/またはアリシンを含むにんにくを固形物として含む固液体混合流体や、イソフラボンを含む大豆を固形物として含む固液体混合流体や、ジンゲロールを含む生姜を固形物として含む固液体混合流体や、アロインを含むアロエを固形物として含む固液体混合流体や、クルクミンを含むウコンを固形物として含む固液体混合流体や、その他の野菜や果物を固形物として含む固液体混合流体や、粉末などの微粒子と水とからなる固液体混合流体など、種々の流体を挙げることができる。
【0073】
このような固液体混合流体を静止型固液混合装置で処理すると、フコイダンなどの上記成分を効率よく抽出することができる。
【0074】
本発明に係る静止型固液混合装置によれば、混合対象の流体に対して混合処理を施すことによって、固体粒子などの固体成分および水などの液体成分を微細化して両者を均一に混合させることができ、分散させることができる。
【0075】
次に、本発明に係る静止型流体混合装置のより具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0076】
〔第1実施形態の静止型流体混合装置〕
まず、第1実施形態の静止型流体混合装置について、図1〜図8を参照しながら詳細に説明する。
【0077】
図1に示すように、第1実施形態の静止型流体混合装置10は、処理対象の流体について混合処理を施す流体混合器11と、同流体混合器11の流体導入口11aに接続した流体導入管13と、流体混合器11の流体導出口11bに接続した流体導出管14とを備えている。そして、流体導入管13の中途部には流体混合器11に処理流体を供給する第1ポンプ12を設けている。このようにして、第1ポンプ12で流体導入管13を通して流体を流体混合器11に導入し、同流体混合器11で混合処理を施すことができるようにしている。また、混合処理が施された流体は流体導出管14から導出できるようにしている。
【0078】
また、静止型流体混合装置10の流体導入管13には第1三方弁13aを介して流体戻り管15の一端を接続する一方、流体導出管14には第2三方弁14aを介して流体戻り管15の他端を接続している。そして、流体戻り管15の中途部には、第2三方弁14aで回収した流体を第1三方弁13aの位置に戻すように供給するための第2ポンプ16を設けている。
【0079】
従って、第2ポンプ16が設置された流体戻り管15を使用することによって、同じ流体を繰り返し流体混合器11に供給して混合処理することができる。
【0080】
このようにして、流体成分をより超微細化(ナノレベルから数μmレベルまで)できると共に均一な大きさに微細化することができる。
【0081】
図2に示すように、流体混合器11は、両端が開口している円筒形状のケーシング本体21を有する。ケーシング本体21の両端の各開口部にはフランジ21a,21bが形成されており、各フランジ21a,21bにケーシング本体21の蓋体22,23が着脱自在に取り付けられている。各蓋体22,23には、静止型流体混合装置10の被処理流体(以下、単に流体と称することがある)の出入口である開口22a,23aが形成されている。
【0082】
本実施形態では、図2において左側に位置する蓋体22の開口を流体導入口22aとして用いる一方、右側に位置する蓋体23の開口を流体導出口23aとして用いている。ここで、本実施形態では、図2に示すように、流体Rがケーシング本体21内を左側の上流側である流体導入口22a側から右側の下流側である流体導出口23aに流動するようにしている。
【0083】
そして、ケーシング本体21内には、流体Rに混合処理を施す複数組(本実施形態では5組)の混合ユニット24をケーシング本体21の軸線方向に沿って間隔を開けて配置することで収容している。この際、ケーシング本体21の内周面と各混合ユニット24の外周面とは、隙間のない密着状態となしている。
【0084】
図3に示されるように、各混合ユニット24は、いずれも同様の構造であり、対向配置された2枚の板状(略円板形状)の部材、より具体的には円板形状の第1・第2混合エレメント30,40を備えている。2枚の第1・第2混合エレメント30,40のうち、流体導入口側(上流側)に配置される第1混合エレメント30は、円板状のエレメント本体31の中央部に、流体R(図2等において矢印で示す)の流入口32が貫通状態で形成されている。
【0085】
そして、エレメント本体31の外周縁部には、全周に亘って肉厚の周壁部33が下流側に突出状に形成されて、エレメント本体31と周壁部33とにより、下流側に向けて円形の開口を有する凹み部34が形成され、同凹み部34内に円板状の空間が形成されている。なお、符号「31a」は、エレメント本体31の流体導入口22a側に向けられる上流側面であり、符号「31b」は、エレメント本体31の流体導出口23a側に向けられる下流側面(第2混合エレメント40と対向する側の面)である。
【0086】
図4に示されるように、エレメント本体31の下流側面31bには、開口形状が正六角形の凹部35が隙間のない状態で複数形成されている。いわゆるハニカム状に多数の凹部35が形成されている。なお、符号「36」は、第1混合エレメント30に第2混合エレメント40をねじ留めにより固定する際に用いられるねじ用の挿通孔である。
【0087】
図3および図5に示されるように、2枚の混合エレメントのうち、流体導出口側(下流側)に配置される第2混合エレメント40は、第1混合エレメント30よりも小径である。そして、第2混合エレメント40の直径は、第1混合エレメント30の凹み部34の直径よりも小径であり、凹み部34に第2混合エレメント40が対面状態に嵌入されて配置される。
【0088】
また、第2混合エレメント40の、第1混合エレメント30との対向面、すなわち流体導入口22a側に向けられる上流側面(第1混合エレメントと対向する面)40aには、第1混合エレメント30のエレメント本体31と同様に、開口形状が正六角形の凹部41が隙間のない状態で複数形成されている。そして、上流側面とは反対の下流側面40bの面には、3つの円柱状の突起42が下流側に突出状に形成されている。なお、符号「43」は、第1混合エレメント30に第2混合エレメント40をねじ留めにより固定する際に用いられる雌ねじが形成されたねじ穴である。
【0089】
そして、両混合エレメント30,40は、図6および図7に示されるような配置で組み付けられる。具体的に説明すると、第1混合エレメント30の凹み部34内に、第2混合エレメント40を対面状態に配置する。このとき、第1混合エレメント30の下流側面31bのハニカム状の多数の凹部35の開口面と、第2混合エレメント40の上流側面40aのハニカム状の多数の凹部41の開口面とが対面状態に当接するように、第2混合エレメント40の向きを定める(図7参照)。第2混合エレメント40をこの向きに向けると、突起42が形成された面が外から見える状態になる(図6参照)。この状態で、第1混合エレメント30の挿通孔36と、第2混合エレメント40のねじ穴43の位置を整合させてねじ44でねじ止めして組み付ける。
【0090】
図6に示されるように、第2混合エレメント40の直径は、第1混合エレメント30の凹み部34の直径よりも小径に形成されている。ただし直径の違いは僅かである。
【0091】
従って、両混合エレメント30,40を組み付けると、第1混合エレメントの周壁部33の内周面33aと第2混合エレメント40の外周端面40cとの間に、第2混合エレメント40の外周端面に沿って全周に亘りリング状の間隙が環状流出路24aとして形成され、同環状流出路24aの下流側に位置する終端開口部が流体Rの流出口であり、下流側に向けてリング状に開口されている。
【0092】
そして、第1混合エレメント30の流入口32に供給された流体Rは、後述する混合流路25(図2参照)を通過した後、この流出口から放出される。環状流出路24aの流出幅tは、全周にわたって略一定間隔(略均等幅)に形成されており、例えば、第2混合エレメント40の半径の20分の1前後(もっと具体的には1.5mm前後)の幅で形成される(図8参照)。
【0093】
このように、第2混合エレメント40の外周に全周に亘る環状流出路24aの流出口を略均等幅に形成すると、全周に亘って流体Rを略均等に流出させることができるため、流出口から流出される流体Rの圧力にばらつきが発生しにくくなり、混合ユニット24の外周部の位置によって流体の流出量に偏りが生ずるような不具合が防止される。流出量の偏りが防止されれば、流路抵抗が低下し、また局所的に流体Rの圧力が高圧になる場所が生ずることが防止される。
【0094】
また、本実施形態では、環状流出路24aの大きさ、すなわち間隙の幅tが全周に亘って略均等になっている。これにより、より確実に流路抵抗を低下させることができて、局所的高圧領域の発生、特に環状流出路24a近傍における局所的高圧領域の発生を防止できる。
【0095】
ここで、各混合エレメント30,40の当接側の面に形成されるハニカム状の多数の凹部35,41の相互関係について説明する。
【0096】
図8に示されるように、両混合エレメント30,40の当接面は、第1混合エレメントの凹部35の中心位置に、第2混合エレメント40の凹部41の角部41aが位置する状態で当接している。
【0097】
このような状態で当接させると、第1混合エレメント30の凹部35と第2混合エレメント40の凹部41との間で流体Rを流動させることができる。また、角部41aは3つの凹部41の角部41aが集まっている位置である。
【0098】
従って、例えば、第1混合エレメント30の凹部35側から第2混合エレメント40の凹部41側に流体Rが流れる場合を考えると、流体Rは、2つの流路に分流されることになる。
【0099】
つまり、第1混合エレメント30の凹部35の中央位置に位置された第2混合エレメント40の角部41aは、流体Rを分流する分流部として機能する。逆に、第2混合エレメント40側から第1混合エレメント30側に流体Rが流れる場合を考えると、2方から流れてきた流体Rが1つの凹部35に流れ込むことで合流することになる。この場合、第2混合エレメント40の中央位置に位置された角部41aは、合流部として機能する。
【0100】
また、第2混合エレメント40の凹部41の中心位置にも、第1混合エレメント30の凹部35の角部35aが位置する。この場合は、第1混合エレメント30の角部35aが上述した分流部や合流部として機能する。
【0101】
このように、相互に対向状態に対面配置された両混合エレメント30,40の間には、中央の流入口32から両混合エレメント30,40(ケーシング本体21)の軸線方向に供給された流体Rが、分流と合流(分散と混合)を繰り返しながら両混合エレメント30,40の放射線方向(軸線方向と直交する半径方向)に蛇行状態にて流動する混合流路25(図2参照)が形成されている。
【0102】
この混合流路25を流体Rが流動する過程で、同流体Rに混合処理が施される。そして、混合流路25を通過した流体Rは、その後、混合ユニット24の背面側外周部に下流側に向けてリング状に開口した環状流出路24aの流出口から混合ユニット24の外部に流出される。
【0103】
図2に示されるように、本実施形態の流体混合器11では、ケーシング本体21内に5つの混合ユニット24が設置されている。複数の混合ユニット24を設置すると、上流側に位置する混合ユニット24の第2混合エレメント40の突起42が下流側に設置された混合ユニット24の第1混合エレメント30の(エレメント本体31の)上流側面31aに当接する。
【0104】
これにより、隣接して配置される混合ユニット24,24とケーシング本体21とにより形成される円板状の流路形成用空間Sが確保され、環状流出路24aの流出口から流出した流体を、流路形成用空間Sを通して下流側の混合ユニット24の流入口32に流す集合流路26が確保される。
【0105】
このようにして、流路形成用空間S内には混合流路25を通過した流体Rが、略均等幅でリング状に開口する流出口の全周から拡径状の流路形成用空間S内に流出されるようにしている。このように、略均等幅の流路から拡径された流路に流体Rが流出されるようにしているため、大幅な圧力損失低減効果が得られる。
【0106】
なお、最も下流側に配置された混合ユニット24の第2混合エレメント40の突起42は、ケーシング本体21の下流側の蓋体23に当接する。
【0107】
これにより、混合ユニット24と蓋体23とケーシング本体21とにより形成される流路形成用空間Sが確保され、最下流側の混合ユニット24の環状流出路24aから流出した流体Rを、流路形成用空間Sを通してケーシング本体21の下流側の流体導出口23aに流す集合流路26が確保される。
【0108】
この静止型流体混合装置10を用いて流体Rに混合処理を施す場合について説明する。ここでは、静止型流体混合装置10を気液混合流体に混合処理を施す静止型気泡発生装置として用いる場合を例に説明する。
【0109】
静止型流体混合装置10を静止型気泡発生装置として用いる場合、静止型流体混合装置10の流体導入口11aに気液混合流体供給管としての流体導入管13を接続している。ここでは、水と空気の気液混合流体を供給する場合について説明する。
【0110】
まず、図1に示したキャビテーションポンプである第1ポンプ12を作動させて、処理対象の流体Rを気体である空気と液体である水とが混合された状態の気液混合流体にして、流体混合器11の流体導入口11aに供給する。
【0111】
すると、図2に示されるように、流体混合器11に供給された気液混合流体は、ケーシング本体21内の最も上流側に配置された第1混合ユニット24の第1混合エレメント30の流入口32に流入され、第1混合ユニット24の混合流路25に送られる。
【0112】
混合流路25に送られた気液混合流体は、ここで分流と合流を繰り返しつつ、混合ユニット24の外周側に形成された環状流出路24aに流れる。つまり、分流と合流を繰り返す過程で蛇行しながら流動するので、概略的には、円板形状の混合ユニット24の中心から外周側に放射状に広がる方向に流動しつつ、分流と合流を繰り返し、その過程で気液混合流体に混合処理が施される。この際、気液混合流体内の空気が微細(ナノレベルから数μmレベルまで)かつ均一な大きさの気泡が生成される。
【0113】
第1混合ユニット24の環状流出路24aから流出した流体は、第1混合ユニット24と、その下流に配置された第2混合ユニット24との間の集合流路26を流れて、第2混合ユニット24の流入口32に送られる。なお、各混合ユニット24における流体Rの流れは、いずれも、第1混合ユニット24における流体Rの流れと同様であるので、その説明については省略するが、混合ユニット24を複数設置して、分流と合流を繰り返すことによって、より確実に流体混合処理が施され、より微細で均一な大きさの気泡を流体内に生成することができるようになる。
【0114】
また、次のようにしてもよい。図1において、流体混合器11の流体導出口11bから導出された流体が戻り管15に流れ込むように、第2三方弁14aの開閉状態を操作すると共に、戻り管15の流体が流体導入管13に流れ込むように第1三方弁13aの開閉状態を操作する。
【0115】
そして、第2ポンプ16を作動させて流体を循環的に流体混合器11に送り込むようにする。このようにすると、流体混合処理回数を適宜増大させることができるため、さらに確実に流体混合処理が施されて、さらに超微細で均一な所望の大きさの気泡を流体R内に生成することができる。
【0116】
さらに、必要に応じた時間だけ循環させた後、三方弁13a,14aを操作して、処理流体を流体導出管14から導出させる。
【0117】
ここで、分流総数は、各混合エレメント30,40に形成した凹部35,41の数と、流体混合器11のケーシング本体21内に設置された混合ユニット24の数と、流体混合器11に何回循環させるかという繰り返し回数とによって決定される。
【0118】
例えば、凹部35,41が平面視六角形状の開口を有するものであれば、凹部の室数が12室、18室、18室(計48室)の3列状の第1混合エレメント30と、室数が15室、15室(計30室)の2列状の第2混合エレメント40とを重合させた場合では、合計した分流総数は千五百回〜千六百回にも達することになる。なお、ここでいう分流総数とは、第1混合エレメント30と第2混合エレメント40の間に形成された混合流路25の分流部において分流される数のことである。
【0119】
〔第2実施形態の静止型流体混合装置〕
次に、第2実施形態の静止型流体混合装置10Aについて、図9〜図13を参照しながら詳細に説明する。
【0120】
第2実施形態の静止型流体混合装置10Aの流体混合器11Aは、第1実施形態の混合ユニット24と異なり、混合ユニット24Aの環状流出路24aから流出した流体が流れる集合流路26にガイド体52を備えている(図11参照)。なお、上記第1実施形態の静止型流体混合装置10と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
図9に示されるように、この実施形態の流体混合器11Aの混合ユニット24Aは、第1混合エレメント30と、第2混合エレメント40に加えて、集合流路26の流路断面積を安定させる部材であるガイド体52を具備する集合流路形成エレメント50を備えている。
【0122】
これらのうち、第2混合エレメント40は、第1実施形態のものとは異なり、突起42を備えていない。つまり、第2混合エレメント40の流体導出口側に向けられる下流側面40bは平面になっている。これ以外の点は、第1実施形態の第2混合エレメント40と同じである。図10において、符号「45」は、第1混合エレメント30に第2混合エレメント40をねじ留めにより固定する際に用いられるねじ用の挿通孔である。
【0123】
図11および図13に示されるように、集合流路形成エレメント50は、第2混合エレメント40と同径で薄肉円板形状に形成したエレメント本体51の片面である下流側面51bの周縁部にガイド体52を設けている。
【0124】
そして、ケーシング本体21内に設置する状態で第2混合エレメント40側に向けられて面接触する上流側面51aは平面になっている。また、流体導出口23a側に向けられる下流側面51bの周縁部に、複数(本実施形態では8個)の突起状のガイド体52が一体的に形成されている。
【0125】
ガイド体52は、第2混合エレメント40の外周縁と同一曲率の円弧面に形成した外周円弧面52aと、同外周円弧面52aの両端からエレメント本体51の中心側へ伸延させて接続した一対の側面52b,52bと、エレメント本体51と平行する平面となした当接面52cとから略扇型平板形状に形成した平板部材であり、一対の側面52b,52bがなす角(頂角)は45度、側面52bの伸延幅はエレメント本体51の半径の略3分の1に設定している。
【0126】
本実施形態のエレメント本体51の円周部には、都合8個のガイド体52が円周方向に同一間隔を開けて配置されている。そして、ガイド体52は、外周円弧面52aが集合流路形成エレメント50の外周端面及び第2混合エレメント40の外周端面と面一で、かつ、隣接するガイド体52の相対向する側面52b,52b同士が円周方向で相互に平行になるように形成されている。
【0127】
従って、隣接するガイド体52,52の側面52b,52bと下流側面51bとで形成される溝部55は、その溝部幅Wが集合流路形成エレメント50の円周側から中心側に向けて一定の同一幅になっている。なお、符号「53」は、第1混合エレメント30および第2混合エレメント40に集合流路形成エレメント50を、一体的にねじ留めによって固定する際に用いられる雌ねじが形成されたねじ穴である。
【0128】
このような集合流路形成エレメント50を備える混合ユニット24Aは、図9に示されるように組み付けられる。
【0129】
まず、第1実施形態と同様に、第1混合エレメント30に第2混合エレメント40を組み込み、第2混合エレメント40に重ね合わせるように、集合流路形成エレメント50を配置する(図10および図12参照)。
【0130】
このとき、外側に向けられた第2混合エレメント40の平面状の下流側面40bと、集合流路形成エレメント50の平面状の上流側面51aとを面接触させる。
【0131】
すると、集合流路形成エレメント50のガイド体52が形成された面が下流側に向けられる。
【0132】
この状態で、各混合エレメント30,40の挿通孔36,45と、集合流路形成エレメント50のねじ穴53の位置を整合させてねじ54止めして組み付ける。
【0133】
また、図9に示されるように、第2実施形態の流体混合器11Aでは、ケーシング本体21内に5つの混合ユニット24Aが設置されている。複数の混合ユニット24Aを設置すると、上流側に位置する混合ユニット24Aの集合流路形成エレメント50に設けたガイド体52の当接面52cが、下流側に位置する混合ユニット24Aの第1混合エレメント30の上流側面31aに当接する。
【0134】
これにより、隣接して配置される混合ユニット24Aとケーシング本体21の間に、ガイド体52の肉厚分の流路形成用空間Sが保持され、環状流出路24aの流出口から流出した流体を下流側の混合ユニット24Aの流入口32ないしは流体導出口23aに流す集合流路26が確保される。
【0135】
ここで、流路形成用空間S内においては、リング状に開口する流出口の近傍かつケーシング本体21の軸芯側に、流路断面積を安定させる8個のガイド体52を配設すると共に、これらガイド体52は、流出口に沿わせてその周方向に間隔を開けて配置することで隣接するガイド体52,52間に集合流路26が形成一方、ケーシング本体21の内周面側に、それに沿って周方向に伸延する環状連通路27を形成している。この際、環状連通路27の内周面部には上記集合流路26の始端部が接続されて、前記流出口に環状連通路27を介して集合流路26が連通されている。
【0136】
このように、混合流路25を通過した流体Rは、略均等幅でリング状に開口する流出口の全周から拡径状の流路形成用空間S内に流出されて、略均等幅の流路から拡径された流路に流体Rが流出されるようにしているため、大幅な圧力損失低減効果が得られる。そして、流出口からガイド体52の外周円弧面52a上に流出された流体Rは、円周方向に環状に伸延して各集合流路26と連通する環状連通路27を通して、最寄りの集合流路26の始端側に円滑に流動されて、その集合流路26を流下して流入口32ないしは流体導出口23aに至る。この際、図9および図11に示されるように、集合流路形成エレメント50において、相互に隣接するガイド体52,52の間に形成されている溝部55は、上述したように、その幅寸法が一定になっている。
【0137】
従って、ガイド体52の当接面52cを下流側の第1混合エレメント30の上流側面31aに当接させたときに、溝部55と第1混合エレメント30の上流側面31aとの間に、円周方向に細長四角形状の流路断面の集合流路26が形成される。そして、集合流路26は、その流路断面形状及び流路断面積が集合流れの方向であるケーシング本体21の内周面側から軸芯側(中心側)に向けて略一定で、少なくとも溝部55が形成されている区間については一定になっている。また、ガイド体52は、流体の流れを整流するものでもあり、同ガイド体52を設けることで流体がスムーズに流れる。
【0138】
このようなガイド体52がなければ、集合流路26は、ケーシング本体21の内周面側ほど流路断面積が大きく、軸芯側(中心側)に近づくに連れて急激に流路断面積が狭くなる。流路断面積が急激に増減する構造は、流路抵抗の原因になったり、局所的に流体が高圧になる部分を生じさせる原因になったりする。流路抵抗が大きくなると、流体の圧力がより高圧になると共に流量が低下したりする。また、局所的に高圧の場所が生ずるとそこから流体の漏れが生じたりする。
【0139】
この点、本実施形態の流体混合器11Aでは、8個のガイド体52がエレメント本体51の周縁部に円周方向に一定の間隔を開けて設けられて、集合流路26をなす8本の溝部55が放射状に形成され、集合流路26の集合流れの方向の流路断面積が均一状態に安定している。
【0140】
従って、リング状の環状流出路24aの流出口から流出した流体は、エレメント本体51の外周縁部から、円周方向に均等配置された最寄りの集合流路26の始端部(上流側部)に流入することになるが、この集合流路26の流路断面積が下流側である流入口32ないしは流体導出口23a近傍まで均一状態に安定していると、流路抵抗が低下し、あるいは局所的に流体の圧力が高圧になる場所が生ずるような不具合の発生が防止される。
【0141】
また、ここまで説明した第2実施形態では、第2混合エレメント40とは別体の集合流路形成エレメント50にガイド体52を形成しているが、図14に示されるように、第2混合エレメント40Aにガイド体52を一体に形成するようにしてもよい。
【0142】
この場合、エレメント本体51が不要になり、流体混合器11の小型化を図ることができる。そして、部品点数が減少するので、組み付け作業が容易になる。本実施形態の流体混合器11Aのように流路が比較的狭い装置では、メンテナンスを行なう機会が少なくなく、分解・組立て作業など、メンテナンスが容易であることは重要である。
【0143】
また、第2混合エレメント40Aに備えたガイド体52は、第1実施形態の突起42としても用いることができる。従って、ガイド体52とは別に突起を設ける必要がないという利点もある。
【0144】
なお、第2実施形態の静止型流体混合装置10Aを用いて気泡を生成する方法自体は、第1実施形態の静止型流体混合装置10を用いて気泡を生成する場合と同様であるので、ここではその説明を省略する。次に説明する第3実施形態についても同様である。
【0145】
〔第3実施形態の静止型流体混合装置〕
次に、第3実施形態の静止型流体混合装置10Bについて、図15〜図18を参照しながら説明する。なお、上記第2実施形態の静止型流体混合装置10Aと同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0146】
第3実施形態の静止型流体混合装置10Bの流体混合器11Bは、第2実施形態の流体混合器11Aと異なり、ケーシング本体21内に設置された混合ユニットの構成部材として、集合流路形成エレメント50に対向配置される導出側エレメント60を備えている。
【0147】
具体的に説明すると、図16に示されるように、第3実施形態の流体混合器11Bの混合ユニット24Bは、第2実施形態の第1混合エレメント30と、第2混合エレメント40と、集合流路形成エレメント50に加えて、導出側エレメント60を備えている。
【0148】
なお、第1および第2混合エレメント30,40は、第2実施形態のものと同一である。また、図16に示されるように、本実施形態の集合流路形成エレメント50は、第2実施形態のねじ穴53に替えて、ねじ留めに用いられる挿通孔56を備えている。この点以外は、第2実施形態の集合流路形成エレメント50と同様である。
【0149】
図16に示されるように、導出側エレメント60は、円板状のエレメント本体61の中央部に、流体R(図15等において矢印で示す)の流体放出口62が貫通状態で形成されている。
【0150】
そして、エレメント本体61の外周縁部には、全周に亘って肉厚の周壁部63が上流側に突出状に形成されて、エレメント本体61と周壁部63とにより、上流側に向けて円形の開口を有する凹み部64が形成されている。なお、符号「61a」は、エレメント本体61の上流側面(集合流路形成エレメント50と対向する側の面)である。
【0151】
図18に示されるように、エレメント本体61の上流側面61aには、開口形状が正六角形の凹部65が隙間のない状態で複数形成されている。いわゆるハニカム状に多数の凹部65が形成されている。なお、符号「66」は、第1混合エレメント30等に導出側エレメント60をねじ留めにより固定する際に用いられるねじ穴を示すものである。
【0152】
図16および図17に示されるように、導出側エレメント60は、エレメント本体61も周壁部63も、第1混合エレメント30のエレメント本体31と周壁部33と略同径に形成すると共に、周壁部63,33の端面同士をパッキン67を介して対面させている。
【0153】
すなわち、導出側エレメント60は、集合流路形成エレメント50よりも大径である。そして、エレメント本体61の直径は、エレメント本体51の直径よりも大径であり、凹み部64に集合流路形成エレメント50が嵌入状態に収容されるようになっている。ただし直径の違いは僅かである。
【0154】
従って、両エレメント50,60を組み付けると、集合流路形成エレメント50の外周端面51cと導出側エレメント60の周壁部63の内周面63aとの間に、集合流路形成エレメント50の外周端面に沿って全周に亘りリング状の間隙が流入路24bとして形成され、同流入路24bの上流側に位置する始端開口部が流体の流入口であり、上流側に向けてリング状に開口されている。
【0155】
流入路24bの流入幅は、全周にわたって略均等幅に形成されており、例えば、集合流路形成エレメント50の半径の20分の1前後(もっと具体的には1.5mm前後)の幅で形成される。
【0156】
ここで、かかる流入路24bは、集合流路形成エレメント50と第2混合エレメント40の直径を略同径となしている本実施形態では、第1・第2混合エレメント30,40間に形成される環状流出路24aと略同径・略同幅に形成されて対面配置されることになる。
【0157】
そして、環状流出路24aの流出口と流入路24bの流入口とが接続されて、リング状の連通連結路68が形成されることになる。
【0158】
しかも、連通連結路68は、全周にわたって下流側に向けてリング状に開口する環状流出路24aの流出口と、全周にわたって上流側に向けてリング状に開口する流入路24bの流入口とが、整合状態にて近接・対面して形成されるため、環状流出路24a→流入路24b→集合流路26へと流動する流体の圧力損失を大幅に低下させることができて、単位時間当たりの処理量を大きくすることができ、シール部であるパッキン67からの流体漏れも確実に回避することができる。
【0159】
混合ユニット24Bは、図15〜図17に示されるような配置で組み付けられる。具体的に説明すると、第1混合エレメント30の凹み部34内に、第2混合エレメント40を配置する一方、導出側エレメント60の凹み部64内に、集合流路形成エレメント50を配置する。
【0160】
このとき、第1混合エレメント30の下流側面31bのハニカム状の多数の凹部35の開口面と、第2混合エレメント40の上流側面40aのハニカム状の多数の凹部41の開口面とが対面状態に当接するように、第2混合エレメント40の向きを定めると共に、導出側エレメント60の上流側面61aのハニカム状の多数の凹部65の開口面と、集合流路形成エレメント50のガイド体52の当接面52cとが対面状態に当接するように、各エレメント30,40,50,60の向きを定める(図16参照)。
【0161】
この状態で、第1混合エレメント30の挿通孔36と、第2混合エレメント40のねじ孔45と、集合流路形成エレメント50の挿通孔56と、導出側エレメント60のねじ穴66の位置を整合させてねじ54でねじ止めして組み付ける。
【0162】
この際、導出側エレメント60の周壁部63と第1混合エレメント30の周壁部33の端面同士がパッキン67を介して対面状態に密着されると共に、両周壁部33,63(混合ユニット24B)の内方にリング状に形成される流出口としての間隙24aと流入口としての間隙24bとが対向状態に連通される。
【0163】
その結果、環状流出路24aから流出した流体は、流入路24bから集合流路形成エレメント50と導出側エレメント60の間に形成されている集合流路26に流れ込む。
【0164】
このように、第2混合エレメント40の外周に全周に亘る環状流出路24aを形成するとともに、集合流路形成エレメント50の外周に全周に亘る流入路24bを形成すると、全周に亘って流体を流出・流入させることができるので、混合ユニット24Bの外周部の位置によって流体の流出量に偏りが生ずるような不具合が防止される。
【0165】
流出量の偏りが防止されれば、流路抵抗が低下し、また局所的に流体の圧力が高圧になる場所が生ずることが防止される。また、本実施形態では、環状流出路・流入路24a,24bの大きさ、すなわち間隙の幅が全周に亘って略均等になっている。
【0166】
これにより、より確実に流路抵抗を低下させることができて、局所的高圧領域の発生、特に流出口・流入口24a,24b近傍における局所的高圧領域の発生を防止できる。
【0167】
また、このような構造にすると、流体の流路の途中に、流体が滞留しやすいいわゆるデッドスペースが無くなる。デッドスペースがあると、そのスペースに流体が滞留してしまい、流体混合処理品質(例えば、生成する気泡の大きさなどの品質)にばらつきが生じやすくなる。
【0168】
この点、本実施形態では、デッドスペースが最小限になっているので、このような不具合の発生が最小限に抑制され、流体により均一な混合処理を施すことができ、より均一な大きさの気泡を生成できる。
【0169】
先に説明したように、集合流路形成エレメント50と導出側エレメント60の間には、集合流路26(図15参照)が形成されており、流体は、流入路24bから集合流路26に流れ込むようになっている。
【0170】
流体は、集合流路26を通って流体放出口62(図16参照)へと流れ、次の混合ユニット24Bの流入口32に流れ込んだり、ケーシングの蓋体23の流体導出口23aから導出されたりする。
【0171】
集合流路26では、流体は、集合流路形成エレメント50の外周側から中心側に向けて流れる。集合流路形成エレメント50の外周側には、ガイド体52が形成されており、隣接するガイド体52の間には溝部55が形成されている。溝部55の幅寸法は一定になっており、溝部55と導出側エレメント60の上流側面61aとに囲まれた流路断面積は一定になっている。
【0172】
このように、流路断面積が安定していると、流路抵抗や圧力が安定し、流体の流通が安定する。
【0173】
ところで、図18に示されるように、導出側エレメント60の凹み部64の底面である上流側面61aには、いわゆるハニカム形状の凹部65が多数形成されている。集合流路形成エレメント50のガイド体52の当接面52cは平面であるので、導出側エレメント60側の当接面にハニカム形状の凹部(凹凸形状)があっても、流体が分流されたり、合流されたりすることはない。
【0174】
ところが、導出側エレメント60の凹み部64の底面に凹部65があると、集合流路26内であって凹部65の開口の近傍を流れる流体に対して、剪断力による混合効果や、機械的なキャビテーション等による混合効果を与えることができる。
【0175】
例えば、集合流路26に面する表面に複数の凹部65を備える導出側エレメント60を用いると、集合流路26内であって凹部65の開口の近傍を流れる流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分を生じさせることができる。
【0176】
そして、このような流体中で、局所的低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりする、いわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。
【0177】
このようなキャビテーションが起こるときに生ずる力によって、混合対象物の微細化が行われ、流体混合が促進される。
【0178】
ただし、上記のように、集合流路26に面する表面に凹部65を備える導出側エレメント60を用いれば、導出側エレメント60の凹部65の開口が面するところでのみ、流体中に局所的高圧部分や局所的低圧部分を生じさせることができる。
【0179】
そして、その他の部分、例えば環状流出路24aやこれに対向配置された流入路24b(図15参照)の近傍など流体の漏れが生じやすい領域では、流路断面積が安定化されており、局所的高圧部分の発生が防止される状態が維持される。従って、流体の漏れが生じやすくなることは防止されている。
【0180】
なお、導出側エレメント60としては、凹み部64の底面に凹部が複数形成された本実施形態に限られるものではなく、種々の形態のものを用いることができる。例えば、凹み部64の底面に凹部に代えて凸部が複数形成されるもの、凹み部64の底面に凹部と凸部の両方が複数形成されるもの、さらには、凹み部64の底面が平面であるものでもよい。
【0181】
〔第4実施形態の静止型流体混合装置〕
次に、第4実施形態の静止型流体混合装置10Cについて、図19〜図21を参照しながら説明する。なお、上記第3実施形態の静止型流体混合装置10Bと同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0182】
第4実施形態の静止型流体混合装置10Cの流体混合器11Cは、第3実施形態の流体混合器11Bと異なり、ケーシング本体21内に設置された混合ユニットの構成部材として、集合流路形成エレメント50を設けていない。
【0183】
具体的に説明すると、図20に示されるように、第4実施形態の流体混合器11Cの混合ユニット24Cは、第3実施形態の第1混合エレメント30と、第2混合エレメント40と、集合流路形成エレメント50に代えて設けた一対のスペーサー80,80と、導出側エレメント60を備えている。
【0184】
ここで、スペーサー80は、両端に開口端を有する筒状に形成して、同スペーサー80の筒長の大きさにより、第2混合エレメント40と導出側エレメント60との間隔、すなわち、両エレメント40,60間に形成される流路形成用空間である集合流路26の流路深度Z(図19参照)を適宜設定することができるようにしており、かかる集合流路26の流路深度Zの変更は、適切な筒長を有するスペーサー80に付け替えることにより簡単に行うことができる。
【0185】
そして、混合ユニット24Cは、図19〜図21に示される状態に組み付けられる。
【0186】
すなわち、第1混合エレメント30と、第2混合エレメント40と、導出側エレメント60との組み付け状態は、前記第3実施形態と同様であり、第1混合エレメント30の挿通孔36,36と、第2混合エレメント40のねじ穴43,43と、一対のスペーサー80,80の開口端と、導出側エレメント60のねじ穴66,66の位置を符合させて、ねじ54,54でねじ止めして組み付ける。
【0187】
なお、上記のように第2混合エレメント40と導出側エレメント60の間にスペーサー80,80を介在させて組み付けると、両エレメント40,60間の外周に、全周に亘るリング状の間隙である流入路24b(図19参照)が形成される。この流入路24bの始端開口部は、第2混合エレメント40と導出側エレメント60の間に形成される集合流路26への流入口である。
【0188】
また、図19に示されるように、リング状の開口である集合流路26への流入路24bは、環状流出路24aに対向する位置に配置される。つまり、第2混合エレメント40の外周縁に形成された環状流出路24aから流出した流体は、直接、リング状の流入路24bから第2混合エレメント40と導出側エレメント60の間に形成される集合流路26に流れ込む。
【0189】
このような構造にすると、流体の流路の途中に、流体が滞留しやすいいわゆるデッドスペースが無くなる。デッドスペースがあると、そのスペースに流体が滞留してしまい、流体混合処理品質(例えば、生成する気泡の大きさなどの品質)にばらつきが生じやすくなる。
【0190】
この点、本実施形態では、デッドスペースが最小限になっているので、このような不具合の発生が最小限に抑制され、流体により均一な混合処理を施すことができ、より均一な大きさの気泡を生成できる。しかも、かかる静止型流体混合装置11Cでは、前記した第3実施形態に比べて構造の簡易化と低コスト化を図ることができる。
【0191】
先に説明したように、第2混合エレメント40と導出側エレメント60の間には、集合流路26(図19参照)が形成されており、流体は、流入路24bから集合流路26に流れ込むようになっている。
【0192】
集合流路26では、流体は、第2混合エレメント40の背面に沿って、その外周側から中心側に向けて流れ、流体放出口62(図19参照)へと流れ、次の混合ユニット24Cの流入口32に流れ込んだり、ケーシングの蓋体23の流体導出口23aから導出されたりする。
【0193】
この際、集合流路26に面する表面に複数の凹部65を備える導出側エレメント60を用いるため、集合流路26内であって凹部65の開口の近傍を流れる流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分を生じさせることができる。
【0194】
そして、このような流体中で、局所的低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりする、いわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。
【0195】
このようなキャビテーションが起こるときに生ずる力によって、混合対象物の微細化が行われ、流体混合が促進される。
【0196】
図22は、集合流路形成エレメント50の変用例であり、エレメント本体51の下流側面51bに、多数の錯流生起手段としての錯流生起体82を一体成形して突設し、隣接する錯流生起体82間に集合流路26を形成している。
【0197】
そして、錯流生起体82は、本変容例では、図22(a)〜(c)に示すように、略円柱状に形成すると共に、流体との接触面となる周面を凸状面82aないしは凹状面82bとなして、流体との接触面を大きく形成し、エレメント本体51の周縁部に円周方向に間隔を開けて複数(本実施形態では8個)の凸状面82aを有する錯流生起体82を配置すると共に、隣接する錯流生起体82,82間の中央部より位置に複数(本実施形態では4個)の凹状面82bを有する錯流生起体82を配置している。82cは当接面である。
【0198】
このようにして、環状流出路24aから集合流路26内に流入する混合流体が、これら凸状面82aないしは凹状面82bに沿って流れて錯流・脈流を繰り返し形成し、乱流となって下流側に隣接する混合ユニットの流入口32ないしは流体放出口62へと流れ込むようにしている。
【0199】
ここで、錯流とは、流体が物体の面を擦りながら流動する流れであり、錯流生起手段は、錯流を生起する面を有する突状物である。また、脈流は、流路断面積が断続的に変化する流れである。
【0200】
従って、集合流路26内に錯流生起体82を配置することにより、集合流路26内を流体が通過するとき、錯流生起体82の存在によって流体が錯流・脈流を繰り返し形成して、流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分が生じる。
【0201】
そして、このような流体中では、局所的に低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりするといったいわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。
【0202】
このようなキャビテーションが起こるときに生ずる力によって、混合対象物の微細化が行われ、流体混合が促進される。
【0203】
なお、先に説明したように、流体の漏れが生じやすい位置またはその近傍で局所的に流体高圧部分が生ずると、流体の漏れが生じやすくなるので、その意味では局所的高圧部分が生ずることは好ましくない。
【0204】
ただし、上記のように、集合流路26内に錯流生起体82を配置すれば、流出口から流入口32ないしは流体放出口62までの流路のうち、錯流生起体82が配置された個所でのみ、流体中に局所的高圧部分や局所的低圧部分を生じさせることができて、流体混合が促進される。
【0205】
また、本実施形態では、凸状面82aを有する錯流生起体82と凹状面82bを有する錯流生起体82の両方をエレメント本体51に設けているが、いずれか一方の錯流生起体82だけをエレメント本体51に設けることもできる。錯流生起手段の形状は、錯流を形成する形状であればよく、本実施形態の略円柱状に限られるものではない。
【0206】
〔本実施形態の静止型流体混合装置の性能評価の説明〕
次に、本実施形態の静止型流体混合装置の性能について評価した結果を説明する。
【0207】
ここでは、静止型流体混合装置を静止型気泡生成装置として用い、当該静止型気泡生成装置で処理された気泡含有水に含まれる気泡の大きさを測定し、気泡の大きさに基づいて静止型流体混合装置の性能を評価した。
【0208】
実施例1
本実施例で用いた静止型気泡生成装置は、基本的構成が第2実施形態の静止型気泡生成装置と共通するものであった。
【0209】
具体的には、本実施例で用いた静止型気泡生成装置は、第2実施形態の静止型気泡生成装置と異なり、ケーシング本体内に8組の混合ユニットを備えるものであった。これ以外の構成は第2実施形態と同様であった。なお、混合ユニットは、直径が107mmであり、材質はステンレスであった。
【0210】
このような静止型気泡生成装置を動作させて、実施例1の評価に用いる気泡含有水を得た。このとき、静止型気泡生成装置に供給した気液混合流体は水と空気とからなるものであり、水は一般の水道水であり、水温は14℃であった。
【0211】
そして、混合流体における空気の容積比率(大気圧状態)は約3%であった。なお、供給された気液混合流体が流体混合装置を通過する回数は1回であった。また、気液混合流体の供給圧力は1.0MPaであった。
【0212】
このとき、流体混合装置の処理量は毎分約20リットルであり、流体混合装置の流体導出口における水の吐出圧力は約0.4MPaであった。
【0213】
そして、動作開始から30秒経過したときに、流体導出口から導出された処理水を評価用の水として採取した。
【0214】
比較例1
本比較例で用いた従来の静止型気泡生成装置は、図23に示される流体混合器111を備えるものであった。
【0215】
つまり、この流体混合器111の混合ユニット124は、概略的には、その中心から外周に向けて放射状に流体を流す混合流路と、外周に流れた流体を再び中心に向けて流す集合流路を備えており、両流路がハニカム形状の凹凸を有する当接面を当接させることで形成された流路になっている。
【0216】
そして、流体混合器111の構成は、混合ユニットの流路の状態が異なること以外については、実施例1の流体混合装置と同様であった。
【0217】
このような従来の静止型気泡生成装置を作動させて、比較例1の評価に用いる気泡含有水を得た。
【0218】
このとき、気液混合流体の供給圧力は1.0MPaであり、また吐出圧力も約0.4MPaと実施例1とほぼ同じであったが、流体混合装置の処理量は毎分約15リットルと少なかった。これら以外の条件は、実施例1と同じであった。そして、実施例1と同様、動作開始から30秒経過したときに、流体導出口から導出された処理水を評価用の水として採取した。
【0219】
このようにして採取した処理水に含有される気泡の大きさを、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2000A、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。その測定結果を図24に示す。
【0220】
図24(a)のグラフに示されるように、実施例1では、処理水に含有される気泡のほとんどが1μm以下の気泡粒径であった。そして、気泡のほとんどは気泡粒径が0.5μm〜1.0μmのものであり、気泡粒径が均一になっていた。
【0221】
これに対し、図24(b)に示されるように、比較例1では、気泡のほとんどが30μm以上であった。そして、気泡粒径は、30μm〜100μmの間に分布しており、気泡粒径にばらつきがあった。
【0222】
このような測定結果より、本実施形態の静止型気泡生成装置は、極めて微粒の気泡を生成することができるという優れた性能を有しており、しかも気泡粒径が均一な気泡を生成できるという優れた性能を有することがわかった。また、これにより、本実施形態の静止型流体混合装置は、極めて優れた流体混合能力を備えていることがわかった。
【0223】
ここまで、静止型流体混合装置について、いくつかの実施形態を説明したが、上記形態に限られず、種々の改変をすることができる。
【0224】
例えば、上記各実施形態の静止型流体混合装置では、凹部35,41の開口の形状は、正六角形の開口であったが、これに限られるものではなく、例えば、正三角形などの三角形や、正四角形などの四角形や、正八角形などの八角形などの形状でもよい。
【0225】
また、図25に示されるように、混合ユニット24を構成するエレメントのうち、処理流体に接する部分の角部は、丸みをつけて滑らかな面にしてもよい。例えば、図25の部分拡大図に示すように、第1混合エレメント30の凹み部34に形成した凹部35の開口端の角部に丸みをつけて滑らかにしてもよい。
【0226】
また、処理流体に接する部分の隅部を、丸みをつけた滑らかな面にしてもよい。例えば、図25の部分拡大図に示すように、第1混合エレメント30の凹み部34に形成した凹部35の底面の隅部に丸みをつけた滑らかにしてもよい。
【0227】
このように丸みをつけて滑らかにすると、流路抵抗が減少し、単位時間当たりの処理量を増大させることができる。
【0228】
また、隅部に丸みをつけることで、デッドスペースが減少し、流体をより均一に混合することができ、流体混合処理性能を向上させることができる。例えば、より均一の大きさの気泡を生成できるようになるなど、生成される気泡の大きさなどについてのばらつきをより小さくすることができる。
【0229】
なお、図25の流体混合器11Dは、第1実施形態の流体混合器11を改変したものであるが、第2実施形態や第3実施形態や第4実施形態の流体混合器11A,11B,11Cを同様に改変しても良い。
【0230】
また、図26に示されるように、流体混合器11Eに温度制御ユニット70を設置してもよい。温度制御ユニット70は、流体混合器11Eのケーシング本体21の外周を覆うジャケット部71と、当該ジャケット部71内に温度制御用の流体(ここでは水)を供給する図示しない給水ポンプに接続された給水管72と、ジャケット部71から水を導出するための排水管73とを備えている。
【0231】
ジャケット部71は、半円筒形状の分割ジャケット体71a,71aを組み整合させてなるものであり、着脱自在にケーシング本体21に取り付けられるようになっている。そして、ジャケット部71のケーシング本体21との接触部にはパッキン74が取り付けられており、温度制御用の水が漏れないようになっている。
【0232】
このような温度制御ユニット70が設置されていれば、流体混合処理対象の流体(例えば気泡生成処理対象である気液混合流体)の温度上昇を防止したいときには、ジャケットに冷却水を供給することで、簡単に処理流体の温度上昇を防止できる。なお、図26の流体混合装置10Eは、第1実施形態の流体混合器11を改変したものであるが、他の実施形態の流体混合器11A,11B,11C,11Dを同様に改変しても良い。
【0233】
また、図26に示される温度制御ユニットは、冷却水などの冷媒を用いて冷却等の温度制御を行なうものであるが、このような方法に限られず、例えば、ケーシングに放熱用のフィンを設ける方法など、種々の方法を挙げることができる。
【0234】
また、静止型流体混合装置の前記流入口32に、改質対象液体を供給する液体供給管としての流体導入管13を接続することで、静止型流体混合装置を静止型液体改質処理装置として用いることができる。改質対象液体としては、例えば水など、種々の液体を挙げることができる。
【0235】
静止型液体改質処理装置によれば、改質対象液体に対して高速で混合処理を施すことができるため、液体を改質することができる。例えば、水は、通常、単一の分子で存在しているのではなく、多数の分子からなるクラスタを形成しているところ、静止型液体改質処理装置で水を処理すると、クラスタの大きさがより小さい改質水を得ることができる。
【0236】
クラスタの大きさがより小さい改質水は、例えば、水溶性の物質を溶解させる際に溶解性が向上し、消化管においてより吸収されやすくなったり、体内の細胞内に取り込まれやすくなったりするなど浸透性が向上する。
【0237】
また、静止型流体混合装置の前記流入口32に、タンパク質、アミノ酸、糖質、糖タンパク質、脂質の少なくともいずれか一つの成分と水分とを含む水性流体を供給する水性流体供給管としての流体導入管13を接続することで、静止型流体混合装置を静止型水性流体混合装置として用いることができる。
【0238】
静止型水性流体混合装置としては、例えば、水とローヤルゼリーを含む液体など、水とタンパク質、アミノ酸、糖質、糖タンパク質、脂質の少なくともいずれか一つの成分を含む種々の流体を挙げることができる。
【0239】
静止型水性流体混合装置によれば、混合対象の流体に対して混合処理を施すことによって流体を均一に混合させることができ、いわゆる乳化させることができる。
【0240】
これにより、クリーム状や乳液状の混合物を製造することができる。例えば、混合対象物が水とローヤルゼリーの混合物である場合、この混合物を静止型水性流体混合装置で処理すると、ローヤルゼリー中に含まれる糖タンパク質などの高分子成分が微細化かつ均一化され、乳化された混合対象物が得られる。
【0241】
また、静止型流体混合装置の前記流入口32に、固体と液体とが混合された状態の固液混合流体を供給する固液混合流体供給管としての流体導入管13を接続することで、静止型流体混合装置を静止型固液混合装置として用いることができる。
【0242】
固液体混合流体としては、例えば、フコイダンを含有する褐藻などの海藻類を固形物として含む固液体混合流体や、アルギン酸を含む昆布、ひじきあるいはモズクなどの褐藻などの海藻類を固形物として含む固液体混合流体や、β−グルカンを含むきのこ類を固形物として含む固液体混合流体や、ジンセノサイドを含む高麗人参や田七人参を固形物として含む固液体混合流体や、アリインおよび/またはアリシンを含むにんにくを固形物として含む固液体混合流体や、イソフラボンを含む大豆を固形物として含む固液体混合流体や、ジンゲロールを含む生姜を固形物として含む固液体混合流体や、アロインを含むアロエを固形物として含む固液体混合流体や、クルクミンを含むウコンを固形物として含む固液体混合流体や、その他の野菜や果物を固形物として含む固液体混合流体や、粉末などの微粒子と水とからなる固液体混合流体など、種々の流体を挙げることができる。
【0243】
静止型固液混合装置によれば、混合対象の流体に対して混合処理を施すことによって、固体粒子などの固体成分および水などの液体成分を微細化して両者を均一に混合させることができ、固体成分を分散させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明に係る静止型流体混合装置は、例えば、液体と液体、液体と酸素等の気体、水等の改質対象液体、液体とローヤルゼリー等の水性流体、及び、海藻類等の固体と液体を、超微細化かつ均一化することができて、流体の質の向上を図ることができるため、産業上の幅広い分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0245】
10 静止型流体混合装置
24 混合ユニット
24a 環状流出路
25 混合流路
26 集合流路
27 環状連通路
30 第1混合エレメント
32 流入口
40 第2混合エレメント
35a,41a 角部(分流部、合流部)
52 ガイド体
60 導出側エレメント
62 流体放出口
80 スペーサー
82 錯流生起体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に流体の流入口を形成した板状の第1混合エレメントに、板状の第2混合エレメントを対向させて配置すると共に、両混合エレメントの間に、上記流入口から流入した流体を放射線方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を放射線方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備する混合流路を形成した混合ユニットを構成し、混合ユニットには、前記混合流路を通過した流体を流出させる流出口を設けている静止型流体混合装置であって、
前記第1混合エレメントは、板状に形成したエレメント本体の一側面の周縁部に、周壁部を全周にわたって突出状に一体的に形成して、周壁部とエレメント本体とで凹み部を形成し、
前記凹み部内には、前記第2混合エレメントを上記エレメント本体と対面状態に配置して、第1混合エレメントの周壁部の内周面と第2混合エレメントの外周端面との間に、全周にわたって略一定間隔にてリング状に開口する環状流出路を形成し、環状流出路の終端開口部を流出口となして混合ユニットを構成し、
前記混合ユニットは、筒状のケーシング本体内にその軸線方向に間隔を開けて複数配置すると共に、ケーシング本体の内周面と第1混合エレメントの周壁部の外周面とを密着状態に面接触させて、隣接する混合ユニットとケーシング本体とで上記環状流出路と連通する流路形成用空間を形成し、
前記流路形成用空間内には、前記混合流路を通過した流体が、リング状に開口する流出口の全周から略均等に流出して、ケーシング本体の軸芯側に流動して集合する集合流路が形成されるようにしていることを特徴とする静止型流体混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の静止型流体混合装置の前記流入口に、気体と液体とが混合された状態の気液混合流体を供給する気液混合流体供給管が接続されてなることを特徴とする静止型気泡生成装置。
【請求項3】
混合される前記気体は、酸素であることを特徴とする請求項2に記載の静止型気泡生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の静止型流体混合装置の前記流入口に、改質対象液体を供給する液体供給管が接続されてなることを特徴とする静止型液体改質処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載される前記改質対象液体は、水であることを特徴とする静止型水改質処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の静止型流体混合装置の前記流入口に、タンパク質、糖質、糖タンパク質、脂質の少なくともいずれか一つの成分と水分とを含む水性流体を供給する水性流体供給管が接続されてなることを特徴とする静止型水性流体混合装置。
【請求項7】
前記水性流体は、ローヤルゼリーを含むものであることを特徴とする請求項6に記載の静止型水性流体混合装置。
【請求項8】
請求項1に記載の静止型流体混合装置の前記流入口に、固体と液体とが混合された状態の固液混合流体を供給する固液混合流体供給管が接続されてなることを特徴とする静止型固液混合装置。
【請求項9】
前記固液体混合流体は、フコイダンを含有する海藻類を含むものであることを特徴とする請求項8に記載の静止型固液混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−149120(P2010−149120A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20537(P2010−20537)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【分割の表示】特願2009−519942(P2009−519942)の分割
【原出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(504244173)株式会社MGグローアップ (15)
【出願人】(392024518)丸福水産株式会社 (16)
【Fターム(参考)】