静脈構造用のアブレーションカテーテル
【課題】灌注式アブレーションカテーテルを提供する。
【解決手段】電極組立体の概ね直線的な部分に担持された対向する2個の電極との同時の組織接触をなすように適合されたカテーテルが、小孔の弦に沿った2つの損傷部をアブレーションするために小孔にまたがるように適合され、概ね直線的な部分は、カテーテル本体の長さ方向の下向きに力が加えられたときに適切な組織接触を確実にするように、小孔上で安定化される。
【解決手段】電極組立体の概ね直線的な部分に担持された対向する2個の電極との同時の組織接触をなすように適合されたカテーテルが、小孔の弦に沿った2つの損傷部をアブレーションするために小孔にまたがるように適合され、概ね直線的な部分は、カテーテル本体の長さ方向の下向きに力が加えられたときに適切な組織接触を確実にするように、小孔上で安定化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には侵襲的な治療法のための方法及び装置に関し、具体的にはカテーテル、特に灌注式アブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心筋組織のアブレーションは、心不整脈の処置として周知である。高周波(RF)アブレーションでは、例えば、カテーテルが心臓に挿入され、標的部位の組織と接触させられる。次いで、組織内の催不整脈性の電流路を切断する目的で損傷部を形成するために、RFエネルギーがカテーテル上の電極を通じて印加される。
【0003】
特に、心房細動は、心房(心臓の上部室)内で発生する異常な心調律である。活動電位が整然とした形式で心臓を通じて移動する代わりに、多数の活動電位が始まり、心房を通じて広がり、速くかつ乱れた心拍を生じさせる。「肺静脈隔離術(PVI)」としても知られる、環状マッピング技術を用いた4本の肺静脈のアブレーションは、心房細動を有する多くの患者に対して成功することが証明されている。
【0004】
アブレーションは、心房のうちの肺静脈小孔に連結する領域にカテーテルからエネルギーを伝達して、その小孔の周りに円形の瘢痕又は損傷部を生成することによって実施される。その損傷部は次いで、肺静脈内から発せられるいかなる活動電位をも遮断し、したがって心房細動の発生を防止する。このプロセスは通常、4本の肺静脈すべてに対して繰り返される。
【0005】
アブレーションは、主として局所アブレーション、つまりカテーテルの遠位端部にあるチップ電極によるアブレーションによって達成されてきた。したがって、線又は曲線に沿った線形アブレーションに対し、チップ電極は、長時間に及ぶアブレーションの間に、その線又は曲線に沿って組織全体にわたって繰り返し再配置されるかあるいは引きずられる。再配置又は引きずりは時間を要するものであり、心房の小さな領域内で操作する場合、適切な組織接触がしばしば困難となる。また、焦げ及び凝塊の形成を最小限にするためにアブレーションの間に電極の温度を低下させる上で効果的である灌注式アブレーションチップ電極及びリング電極も知られている。しかしながら、特に複数の電極が灌注される場合、患者にかかる流体負荷が問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、小孔の形状又は大きさに関わらずPVI手技に適合された、カテーテル操作性と小孔のターゲティングを改善するカテーテルが望まれており、その改善によって、損傷部の形成が改善され、アブレーション手技の所要時間が短縮される。特に、リング電極と小孔との間の2つの同時接触部位を与えることによって、小孔との組織接触をより良好にかつより安定にし得る複数のリング電極を有するカテーテルが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、肺静脈隔離術(PVI)を含めて、静脈構造及びそれに関連する手技に適合された電極組立体を有する灌注式アブレーションカテーテルに関する。この電極組立体は、複数のリング電極(又はリング電極配列)を担持する細長い又は直線的な部分を有する。直線的な部分の長さは静脈の直径にわたり、その結果、この直線的な部分は、少なくとも2個のリング電極が小孔と同時に接触する状態で、小孔に押し付けられ得る。ECGの読み及び蛍光透視法によって適切な接触が確認されると、リング電極は、単極及び/又は双極の形式でアブレーションのために選択的に付勢され、肺静脈の隔離を達成する際の損傷部を形成する。
【0008】
複数のリング電極が直線的な部分にあるため、電極は、高周波発生器内の制御器又はスイッチボックスによって、アブレーションを実施するように選択的に付勢され得る。ECGデータに基づいて小孔との適切な接触及び位置をなすと判断された電極が、アブレーションを実施するために使用される。概ね連続的な周縁損傷部で静脈を完全に閉じ込めるために、カテーテルは、180度の回転が完成するまで、漸増的に回転され得る。この漸増的な回転の間、2つの損傷部を、つまり接触する2つの電極それぞれに1つの損傷部を形成することができ、各損傷部が他の損傷部から肺静脈を横切る。複数のリング電極が、直線的な部分の遠位端部及び近位端部にあるいはその近くに、第1及び第2の群又は配列として配置されているので、電極組立体は、ほとんどの静脈の形状又は大きさにもかかわらずPVIに適合される。実際に、本発明のカテーテルは、一般的な小孔を含めて、あらゆる静脈構造に対してアブレーションを実施するために使用され得る。
【0009】
一実施形態において、本発明のカテーテルは、細長い本体と遠位電極組立体とを有し、遠位電極組立体は、概ね直線的な遠位部分と概ね直線的な近位部分とを有し、遠位部分は近位部分よりも長い長さを有し、近位部分と遠位部分はU字形状部分で連結されており、近位部分は、屈曲コネクタ部分によってカテーテルに連結されている。遠位部分と近位部分は、互いに概ね整列されており、カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である。カテーテルはまた、電極組立体の近位側に中間撓み部分を有してもよく、この中間撓み部分は、電極組立体の一方向又は二方向の撓みを可能にするためのものである。
【0010】
詳述する実施形態において、概ね直線的な遠位部分及び近位部分と、U字形状部分と、屈曲連結部分とを含めた遠位電極組立体の全体は、概して、単一の共通平面内に存在する。
【0011】
詳述する別の実施形態において、屈曲連結部分は、約30度〜120度に及ぶ角度、より好ましくは約90度の角度を有する。
【0012】
詳述する別の実施形態において、電極組立体は、約2個〜12個、好ましくは約4個〜8個に及ぶ複数の電極、より好ましくは約6個の電極を担持し、リング電極のある群又は配列は、概ね直線的な遠位部分の遠位端部にあるいはその近くに装着され、リング電極の別の群又は配列は、概ね直線的な遠位部分の近位端部にあるいはその近くに装着される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のこれらの及び他の特徴と利点は、添付の図面と共に考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することによって更に理解されよう。選ばれた構造及び特徴が、残りの構造及び特徴をより見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
【図1】本発明によるカテーテルの実施形態の斜視図。
【図2】小孔上の定位置にある、図1のカテーテルの一部分の頂面図。
【図3】線A−Aに沿った、図2のカテーテル及び小孔の側面図。
【図4A】ある直径に沿った、カテーテル本体と中間撓み区間との会合部を含めた、図1のカテーテルの側方横断面図。
【図4B】別の直径に沿った、カテーテル本体と中間撓み区間との会合部を含めた、図1のカテーテルの側方横断面図。
【図4C】図1のカテーテルの中間撓み区間の実施形態の端部横断面図。
【図5A】ある直径に沿った、中間撓み区間と遠位電極組立体との会合部を含めた、図1のカテーテルの側方横断面図。
【図5B】別の直径に沿った、中間撓み区間と遠位電極組立体との会合部を含めた、図1のカテーテルの側方横断面図。
【図6A】ある直径に沿った、図1の電極組立体の電極担持遠位部分の側方横断面図。
【図6B】別の直径に沿った、図1の電極組立体の電極担持遠位部分の側方横断面図。
【図6C】線C−Cに沿った、図6A及び6Bの電極担持遠位部分の端部横断面図。
【図7】開放型の構成を有する遠位電極組立体の代替的な実施形態の側面図。
【図8】開放型の構成を有する遠位電極組立体の更なる代替的な実施形態の側面図。
【図9】閉鎖型の構成を有する遠位電極組立体の更なる代替的な実施形態の側面図。
【図10】灌注式リング電極の実施形態の斜視図。
【図11】本発明の実施形態による、左心房へのカテーテルの挿入を示す心臓の概略的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のカテーテルは、体の標的領域、例えば、心臓の心房への配置に適合されており、高周波(RF)電流によってPV小孔などの静脈構造又はその近くにおけるアブレーションを促進するように設計されている。このカテーテルは有利にも、小孔の弦(周縁の2つの部位)又は直径に沿った概ね対向する部位におけるRF損傷部を用いた肺静脈隔離術用に設計されている。小孔を横切る2つの部位で小孔に同時に接触するように小孔をまたぎ得る、複数のリング電極を担持する細長い又は概ね直線的な部分を設けることにより、カテーテルは、少なくとも2つのリング電極と小孔との間の接触を適切にするために、カテーテルの長手方向長さに沿って加えられた垂直力を受容するように2つの接触部位で支持されるので、小孔上に配置されると比較的安定した位置にとどまることができる。心電図の読み及び蛍光透視法を用いると、操作者は、局所的な単極損傷部を得るために、小孔と接触する、小孔の接触組織への単極電極として選択された1つ以上のリング電極を通じて帰還電極(例えば、患者の背中に貼り付けられた外部電極パッチ)へと高周波エネルギーを伝達するように、カテーテルを操作することができる。適切となるかあるいは望まれる場合、小孔と接触する選択されたリング電極はまた、単極電極として付勢されて、付勢されたリング電極の間に単極の損傷部を形成することもできる。したがって、エネルギーは、任意の2つからなる1対の電極から、あるいは複数の対の電極から、任意の単一の電極へと印加され得る。また、カテーテルをその縦軸を中心に回転させることにより、小孔の周縁に沿った種々の離散的又は連続的な部位が、この方式でアブレーションされ得る。
【0015】
図1、2及び3に示されるように、本発明は、遠位電極組立体17を備えた可動型カテーテル10を含み、この遠位電極組立体17は、第1の所定の長さL1を有する概ね細長い又は直線的な遠位部分19と、自由な遠位端部21と、U字形状部分24によってカテーテルに取り付けられた近位端部22とを有している。この組立体はまた、第1の所定の長さL1よりも短い第2の所定の長さL2を有する、概ね細長い又は直線的な近位部分20を有し、直線的な遠位部分19及び近位部分20は、概ね直線的な近位部分20の近位端部に取り付けられた屈曲連結部分26によって、カテーテルの縦軸に対して概ね垂直となっている。概ね直線的な遠位部分19及び近位部分20と、U字形状部分24と、屈曲連結部分26とを含めた遠位電極組立体17の全体は、概して、単一の共通平面内に存在し得る。
【0016】
電極組立体17は形状記憶性を持ちながらも柔軟であり、そのため、所定の形状を呈するように付勢されるが、加えられた力を受けて一時的に別の形状を呈し、その加えられた力が除かれると所定の形状に戻ることができる。灌注式アブレーションリング電極Rが、小孔の任意の弦又は直径に沿った概ね対向する部位に接触するように、組立体17上に装着されている(図2及び3)。図示の実施形態において、垂直力Nがカテーテルの縦軸に沿って加えられたとき、部分19、20の湾曲が小孔との適切な接触を促進するように、直線的な遠位部分19及び近位部分20の一方又は両方がわずかに曲線的であってもよく、例えば、一方又は両方がわずかに凹状又は凸状であってもよい。更に、図2に示されるように、カテーテルは、小孔の周縁に沿った様々な部位がアブレーションのためにリング電極と接触し得るように、その縦軸を中心として(時計回り又は反時計回りに)回転され得る。そのような様々な部位は、離散的な部位であってもよく、あるいは連続的な損傷部を形成するように重なっていてもよい。
【0017】
図1を参照すると、開示する実施形態によるカテーテル10は、細長い本体を備えており、この細長い本体は、縦軸を有する挿入シャフト又はカテーテル本体12と、カテーテル本体の軸外へ一方向又は二方向に撓み可能である、カテーテル本体の遠位側の中間区間14とを有し得る。中間区間14の遠位側に、遠位電極組立体17があり、遠位電極組立体17は、アブレーションと灌注に適合された複数のリング電極Rを担持している。
【0018】
図4A、4B及び4Cの実施形態において、カテーテル本体12は、単一の軸方向又は中央ルーメン18を有する、細長いチューブ状の構造を備えている。カテーテル本体12は可撓性であり、すなわち曲がることができるが、その長さ方向に沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造をなし、任意の好適な材料で作られ得る。現時点で好ましい構造は、ポリウレタン又はペバックス(PEBAX)で作られた外壁30を備えるものである。外壁30は、当該技術分野で周知のように、カテーテル本体12の捩り剛性を高めるために、ステンレス鋼などの、埋め込まれた編組みメッシュを備えており、そのため、制御ハンドル16が回転されると、中間区間14と遠位区間17がそれに対応する形で回転するようになっている。
【0019】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約2.7mm(8フレンチ)以下、より好ましくは2.3mm(7フレンチ)である。同様に、外壁30の厚さも重要ではないが、中央ルーメン18が任意の所望のワイヤー、ケーブル及び/又はチューブを収容できるように、十分に薄いものである。外壁30の内部表面は補剛チューブ31で裏張りされて、捩り安定性を改善している。補剛チューブ31の外径は、外壁30の内径とおよそ同じか、あるいはそれよりもわずかに小さい。補剛チューブ31は、非常に良好な剛性をもたらしかつ体温で軟化しない、ポリイミドなどの任意の好適な材料で作られ得る。
【0020】
撓み可能な中間区間14は、複数のルーメンを有する短区間のチューブ材料15を備えており、各ルーメンは、中間区間を通じて延びる様々な構成要素で占有されている。図示の実施形態において、図4Cに最良に示されるように、5つのルーメン33、34、35、36及び37がある。各リング電極用のリード線/熱電対のペア40、41が、図示の実施形態において第1の軸外ルーメン33を通過している。非導電性保護シートが設けられてもよい。遠位組立体上に配置された単軸センサー(SAS)の組立体を含めて、位置センサー48用のケーブル46もまた、第1のルーメンを通過している。流体灌注チューブ材料38が、第2の軸外ルーメン34を通過している。少なくとも一方向の撓みのために、第1のプーラーワイヤー44aが第3の軸外ルーメン35を通過している。二方向の撓みのために、第2のプーラーワイヤー44bが第4の軸外ルーメン36を通過している。組立体17用の形状記憶支持部材50の近位端部が、チューブ材料15の遠位端部から少し近位側に離れたところで、第5のルーメン37に嵌め込まれるか、あるいはその中に固定されている。
【0021】
中間区間14のマルチルーメンチューブ材料15は、好ましくはカテーテル本体12よりも可撓性の高い好適な非中毒性材料でできている。好適な材料は、編組みポリウレタン又はPEBAX、すなわち、編み組まれたステンレス鋼などの埋込みメッシュを有するポリウレタン又はPEBAXである。各ルーメンの個数及び寸法は、それらのルーメンを通じて延びる構成要素を収容するのに十分な余裕がある限り、重要ではない。プーラーワイヤー44a、44b用のルーメン35、36の位置を除き、各ルーメンの位置もまた重要ではない。平面に沿った二方向の撓みのためには、ルーメン35、36は、軸外にあり、互いに直径の反対側にあるべきである。
【0022】
カテーテルの有効長さ、すなわち体の中に挿入され得る部分は、所望に応じて変動し得る。好ましくは有効長さは、約110cm〜約120cmの範囲に及ぶ。中間区間14の長さは、有効長さのうちの比較的小さな部分であり、好ましくは約3.5cm〜約10cm、より好ましくは約5cm〜約6.5cmに及ぶ。
【0023】
カテーテル本体12を中間区間14に取り付けるための好ましい手段が、図4A及び4Bに示されている。中間区間14の近位端部は、カテーテル本体12の補剛チューブ31の遠位端部の外側表面を受容する内周ノッチを備えている。中間区間14とカテーテル本体12は、接着剤又は同様のもの、例えば、ポリウレタンで取り付けられている。所望により、カテーテル本体12と中間区間との会合部において可撓性が遷移し、それによって、会合部が折れたり捩れたりすることなく平滑に曲がるようにするために、カテーテル本体12内の、補剛チューブ31の遠位端部と中間区間14の近位端部との間に、スペーサー(図示せず)が設けられ得る。そのようなスペーサの例が、米国特許第5,964,757号に更に詳細に記載されており、その開示内容は参照によって本願に組み込まれる。
【0024】
図5A、5B及び6Cを参照すると、中間区間14の遠位側に、マルチルーメンチューブ材料49を含む遠位電極組立体17がある。チューブ材料49は、ポリウレタン又はPEBAXなどの任意の生体適合性プラスチックで作られ得る。図示の実施形態において、チューブ材料49は3つのルーメン51、52及び53を有している。リング電極及びケーブル46に沿った位置センサー48(例えば、単軸センサー又はSAS)用のリード線/熱電対のペア40、41は、第1の軸上ルーメン51を通過しており、第1の軸上ルーメン51は、中間区間14の第1のルーメン33と軸方向に概ね整列している。中間区間の第2のルーメン34と軸方向に概ね整列する第3の軸外ルーメン53が、灌注チューブ材料38の遠位端部を受容する。チューブ材38は、ルーメン53内に液密な密封を形成するように寸法を定められ、かつ/又は密封材を詰め込まれており、そのため、流体は遠位側へ直接、ルーメン53の中に流れる。組立体17の形状記憶支持部材50は、中間区間14の第5のルーメン37と軸方向に概ね整列する第2のルーメン52を通じて延びている。
【0025】
ニチノールを含めて、形状記憶性を有する任意の好適な材料で作られ得る形状記憶支持部材50によって支持されるため、遠位電極組立体17は、図2及び3に示すように、長い所定長さL1を有する概ね直線的な遠位部分19と、U字形状部分24と、短い所定長さL2を有する概ね直線的な近位部分20と、屈曲連結部分26と、を備えて構成されており、直線的な遠位部分19及び近位部分20は、カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である。概ね直線的な遠位部分及び近位部分と、U字形状部分と、屈曲連結部分とを含めて、組立体17の全体が、概して、単一の共通平面内に存在し得るように、概ね直線的な遠位部分19と近位部分20は互いに概ね整列している。この構成により、加えられた力Nが、概ね直線的な遠位部分19へとカテーテル本体の下方に伝達されて、概ね直線的な遠位部分19の遠位端部21及び近位端部22又はその近くにおける組織接触が確実となる。
【0026】
図示の実施形態において、近位部分20の長さL2は遠位部分19の長さL1の約半分であり、そのため、屈曲連結部分26は遠位部分19のおよそ中間の位置にあり、そのため、組立体19はT字形状と似たものとなっている。しかしながら、当業者には理解されるように、小孔への接近角は必ずしも、図3に示すように垂直又は「軸上」ではなく、そのため、近位部分20の長さL2は、図7に示すように、遠位部分20の長さL1の約1/4〜3/4の範囲に及び得るものであり、その結果、カテーテルの長さ方向に沿って加えられた垂直力が、リング電極と小孔との組織接触を効果的に確実にし得る。また、当業者には理解されることであるが、屈曲連結部分の2本のアームの間の角度αは、図8に示される約90度を超えて変動し得る。角度αは、必要に応じてあるいは所望により、約30〜120度に及び得る。
【0027】
遠位電極組立体17と中間撓み部分14との会合部の実施形態が、図5A及び5Bに示されている。形状記憶支持部材50は、遠位電極組立体17の全長を近位端部80で延長しており、この近位端部80は、中間撓み部分14のルーメン37の中に延び、ここで固定されている。形状記憶支持部材の遠位端部は、組立体17のチューブ材料の遠位端部で終端しており、組立体17の端部は、好適な生体適合性密封材料の非外傷性プラグで密封されている。
【0028】
組立体17は、図3、7及び8の実施形態に示されるように、自由な遠位端部21を備えた開放型の構成である必要はない。本発明は、図9に示すような閉鎖型の構成を含み、この閉鎖型の構成は、第2の概ね直線的な近位部分20bと、第2のU字形状部分24bと、第2の屈曲連結部分26bとを有している。これらの第2の構成要素は、閉鎖型の構成として組立体17を形成する際のそれらの対応物を反映している。特に、第1の屈曲連結部分26a及び第2の屈曲連結部分26bは、それらの近位側のアームが共に中間区間14の遠位端部の中に延びるように近寄っている。小孔の任意の弦又は直径に沿った2つの部位が、同時に電極組立体17と接触することができ、カテーテルの縦軸に沿って小孔に向かって垂直力が加えられるときに比較的安定な位置にとどまる構成が、この閉鎖型の構成によって依然として得られる。
【0029】
組立体17の遠位部分19は、複数のリング電極R、例えば、約2個〜12個に及ぶリング電極を担持しており、これらのリング電極は、遠位部分19の両側の端部21及び22又はその近くにある離間した群又は配列として配置される。開示する実施形態において、3個の電極でなる配列を2つなして配置された6個のリング電極があり、その配列内で、3個の電極が互いに等しく離間されている。しかしながら、理解されたいこととして、リング電極は識別可能に群に分けられる必要はなく、つまり、概ね直線的な遠位部分19は、隣接する電極から均等に(あるいは不均等に)離間された一連の電極を担持し得る。更に、電極の各群が、等しい個数の電極を有する必要はない。
【0030】
図6A、6B及び6Cに示されるように、組立体17の遠位部分19において、チューブ材料49の側壁内の、各リング電極Rの下方に、半径方向開口部55が形成されており、その結果、流体は、灌注チューブ材料からチューブ材49のルーメン53の中へ、そして矢印57で示されるようにリング電極の中へと流れる。チューブ材料49内の開口部55の寸法は、遠位部分19の長さに沿った位置と共に変動し得る。流動性を最適にするために、開口部55が遠位部分19に沿ってより遠位側になるにつれて、開口部の寸法若しくは横断面積及び/又は各リング電極の下方の開口部55の個数も増加する。
【0031】
好適な灌注リング電極が図10に詳細に示されている。図6A、6Bを参照すると、リング電極Rはアブレーションと灌注に適合されている。このリング電極は、白金又は金、好ましくは白金とイリジウム又は金と白金の組み合わせなど、任意の好適な貴金属で作られ得る。図示の実施形態において、リング電極は概ね円筒状であり、直径よりも長い長さを有している。リング電極は、樽になぞらえ得る側方横断面を有し、両側の端部部分66の間で半径方向に隆起する側壁60を有している。隅部又は鋭利な縁部を伴わない非外傷性の輪郭を設けるために、曲線的な遷移領域67が側壁60と端部部分66との間に設けられている。
【0032】
図6A、6B及び6Cを参照すると、リザーバ、つまり環状ギャップGが遠位部分19のチューブ材料49の外部の周りに存在している。ギャップGは、ルーメン53からリング電極の外部への、アパーチャ62を通じた流体分配を改善している。アパーチャ62は、軸方向に食い違う列を含めた所定のパターンをなして側壁60に配置されている。これらのアパーチャは外に向いて、半径方向の流れを促進している(矢印63を参照)。アパーチャはまた、軸方向の流れ(矢印64を参照)を更に促進するために、曲線的な遷移領域64内に、あるいはその近くにも設けられている。更に、これらのアパーチャは、曲線的な遷移領域67又はその近くにおける焦げ付き及び凝固を最小限にする上で特に効果的であり、焦げ付き及び凝固は、電極の輪郭の遷移が原因で電流密度が高くなることで生じる「ホットスポット」となると思われる。この関連から、アパーチャ62の個数及び/又は断面積は、電極の側壁60内よりも、曲線的な遷移領域67であるいはその近くで増加して、曲線的な遷移領域における冷却を高めるようになっている。他の好適なリング電極が、2011年6月30日出願の米国特許出願公開第US2010/0168548 A1号及び米国特許出願第13/174,742号に記載されており、これら双方のすべての内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0033】
ほとんどのPVI用途に対し、第1の所定の長さL1は、小孔30の直径よりも長い。したがって、長さは約25mmから10mmの範囲であり、好ましくは、約30mmから5mmの範囲である。
【0034】
各電極のリード線の近位端部は、高周波発生器(図示せず)への接続のために、制御ハンドル16の遠位端部にある好適なコネクタに電気的に接続される。電線40、41のペアが各電極用に設けられている。開示する実施形態において、電線のペアのうちの電線40は銅線、例えば、符号「40」の銅線であり、電線41はコンスタンタン線である。各ペアの電線は、それらの遠位端部以外では互いに電気的に絶縁されており、遠位端部では互いに撚り合わされている。対応するリング電極Rへの取り付けは、側壁内に形成されたホール140を通じて、遠位組立体17のチューブ材料49の第1のルーメン51の中へと電線のペアを送り込み、対応するリング電極に半田付けすることによって達成される(図6Aを参照)。各電極用の電線のペアは、制御ハンドル16から遠位側に延びて、カテーテル本体12の中央ルーメン18、中間区間14の第1のルーメン33、及び遠位組立体17の第1のルーメン51を貫く。高周波エネルギーは、電線のペアのうちの電線40を介して電極に伝達される。しかしながら、当業者には理解されるように、電線のペアは、それらの対応するコンスタンタン線を含めて、各電極の温度を検出する温度センサー又は熱電対としても機能し得る。
【0035】
電線のペアのすべては、共通の非導電性保護シース42を通過しており(図4A)、この非導電性保護シース42は、それらを囲む関係にある任意の好適な材料、例えば、ポリイミドで作られ得る。シース42は、制御ハンドル16、カテーテル本体12、中間区間14から延び、遠位組立体17の近位端部のすぐ近位側で終端している。遠位端部は、接着剤、例えば、ポリウレタン接着剤などで第1のルーメン51内に固定されている。
【0036】
撓み用のプーラーワイヤー44a、44bのペアは、中間シャフト14を撓ませるために設けられている。プーラーワイヤー44a、44bは、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通じて、またそれぞれ中間区間14のルーメン35及び36のうちの対応する一つのルーメンを通じて延びている。参照によってそのすべての開示内容が本明細書に組み込まれる米国特許第6,371,955号に概して記載されているように、プーラーワイヤー44a、44bは、好適な材料103、例えば、ポリウレタンによってチューブ材料15の側壁に貼り付けられたT字型の棒材142(図5B)によって、近位端部では制御ハンドル16内に、遠位端部では中間区間14の遠位端部にあるいはその近くにある部位に固定されている。プーラーワイヤーは、ステンレス鋼又はニチノールなどの任意の好適な金属で作られており、好ましくはテフロン(登録商標)などでコーティングされている。そのコーティングはプーラーワイヤーに潤滑性を付与するものである。例えば、各プーラーワイヤーは、約0.015cm〜約0.025cm(約0.006インチ〜0.010インチ)に及ぶ直径を有している。
【0037】
図4Bに示すように、各プーラーワイヤーは、それらを囲む関係にある圧縮コイル144をそれぞれ有している。各圧縮コイル144は、カテーテル本体12の近位端部から中間区間14の近位端部又はその近くへと延びて、撓みを可能にしている。圧縮コイルは、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼でできており、それぞれ、可撓性、すなわち曲げ性を備えるが圧縮には抗するように、それ自体で緊密に巻回されている。圧縮コイルの内径は好ましくは、プーラーワイヤーの直径よりもわずかに大きなものである。プーラーワイヤー上のテフロン(登録商標)コーティングにより、プーラーワイヤーは圧縮コイル内で自在にスライドすることが可能となる。カテーテル本体12内で、圧縮コイルの外側表面は、例えば、ポリイミドのチューブ材料でできた、可撓性の非電導性シース152で被覆されている。圧縮コイルは、その近位端部では近位側の接着接合部によってカテーテル本体12の外壁30に、また遠位側の接着接合部によって中間区間14に固定されている。
【0038】
中間区間14のルーメン35及び36内で、プーラーワイヤー44a、44bは、プラスチック、好ましくはテフロン(登録商標)のプーラーワイヤーシース146(図4B)を通じて延びており、そのプーラーワイヤーシース146は、中間区間14が撓むときに、プーラーワイヤーが中間区間14のチューブ材料15の壁の中に食い込むことを防止するものである。
【0039】
二方向の撓みをなすための、カテーテル本体12に対するプーラーワイヤー44a、44bの縦方向の移動は、制御ハンドル16の適切な操作によって達成される。撓みノブ150(図1)がハンドル上に設けられており、この撓みノブ150は、同じ方向に撓むように、時計方向又は反時計方向に旋回され得る。複数本のワイヤーを操作するための好適な制御ハンドルが、例えば、2010年12月3日に出願された米国特許第6,468,260号、同第6,500,167号、及び同第6,522,933号、並びに米国出願第12/960,286号に記載されており、これらのすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0040】
一実施形態において、位置センサー48は、遠位組立体17(図6A)の第1のルーメン51を通じて延びるケーブル46上に担持された複数の単軸センサー(「SAS」)を有し、各SASは、遠位区間の長さ方向に沿った既知の又は所定の位置を占有している。ケーブル46は、遠位組立体17から近位側に、中間区間14の第1のルーメン33、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通じて、制御ハンドル16の中へと延びている。各SASは、隣接するSASを分離する既知の及び/又は等しい間隔を持たせて配置され得る。開示する実施形態において、ケーブルは、各リング電極の配置及び/又は位置を検出するために各リング電極の下方に配置された6個のSASを担持しており、そのため、操作者は選択した電極を付勢することができる。SASは、CARTO、CARTO XP及びNOGAマッピングシステムを含めて、バイオセンス・ウェブスター社(Biosense Webster Inc.)によって製造及び販売されているマッピングシステムで確認されることが可能となっている。好適なSASが、2010年12月30日に出願された米国出願第12/982,765号に記載されており、そのすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0041】
図11を参照すると、心臓病専門医などの操作者が、患者の脈管系を通じて案内シース140を挿入しており、その結果、案内シースの遠位端部が、患者の心臓126の房、例えば左心房146に進入している。操作者は次いで、案内シースを通じてカテーテルを前進させる。電極組立体17の可撓性形状記憶支持部材は容易に折れ曲がり、U字形状部分24及び屈曲連結部分26は少なくとも約120度に開かれることができ、その結果、遠位部分19の自由な遠位端部21が案内シースを通じて送り込まれ、U字形状部分24、近位部分20、及び屈曲連結部分26がそれに続く。カテーテルは案内シースを通じて送り込まれ、やがて、少なくとも電極組立体17の全体が案内シースの遠位端部を越え、ここで電極組立体はその形状記憶構成を回復する。
【0042】
操作者は、左心房においてカテーテルを前進及び後退させ、中間部分14を適切に撓ませて電極組立体17を小孔153に向けることができる。カテーテルが前進され、やがて遠位側の直線的な部分19が小孔にまたがり、小孔の任意の弦又は直径に沿って小孔と接触する。部分19及び20を小孔及び/又は互いに向けて押圧及び/又は圧迫するために、更なる垂直力が加えられ得る。
【0043】
カテーテル10は、その近位端部にて好適なコネクタによって制御卓に接続される。制御卓は、アブレーションのために選択されたリング電極を通じて高周波エネルギーを印加する高周波発生器を備える。所望により、離散的又は連続的な損傷部をアブレーションするために、電極組立体17が小孔上の種々の部位と接触するように、カテーテルは、その縦軸を中心に回転又は旋回され得る。
【0044】
上記の説明は、現時点で好まれる本発明の実施形態を参照して提示されたものである。本発明に関連する分野及び技術の当業者には明らかであるが、説明した構造における変形及び変更が、本発明の原理、趣旨、及び範囲から大きく逸脱することなく実施され得る。ある実施形態で開示された任意の特徴又は構造は、随時又は適宜、任意の他の実施形態の他の特徴に代わって、あるいはそれに加えて組み込まれ得る。当業者には理解されるように、図面は必ずしも一定の尺度ではない。したがって、上記の説明は、添付の図面で説明及び図示した厳密な構造のみに関するものとして読まれるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲と一致しかつそれを支持するものとして読まれるべきであり、この特許請求の範囲が完全かつ公正な範囲を有することになる。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 細長い本体と、
電極組立体を有する遠位区間であって、前記電極組立体は、
第1の所定の長さを有する概ね直線的な遠位部分と、
前記第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さを有する概ね直線的な近位部分と、
前記概ね直線的な遠位部分と前記概ね直線的な近位部分との間のU字形状部分と、
前記概ね直線的な近位部分の近位側にある屈曲連結部分と、
前記概ね直線的な遠位部分の上にある少なくとも2個のリング電極とを有する、遠位区間と、
前記細長い本体の近位側にある制御ハンドルと、を備える、カテーテル。
(2) 前記概ね直線的な遠位部分は自由な遠位端部を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記電極組立体は、形状記憶性を備える支持構造を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記直線的な遠位部分及び近位部分は、前記カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記概ね直線的な遠位部分及び近位部分、前記U字形状部分、並びに前記屈曲連結部分は概して、単一の共通平面内に存在する、実施態様1に記載のカテーテル。
(6) 前記屈曲連結部分は、概して約30度〜120度に及ぶ角度をなす、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約50%である、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約25%である、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約75%である、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記細長いカテーテル本体と前記遠位電極組立体との間にある中間撓み区間を更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
【0046】
(11) 前記概ね直線的な遠位部分は、リング電極の遠位群とリング電極の近位群とを担持する、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) リング電極の前記遠位群及び前記近位群の各々は少なくとも2個のリング電極を有する、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) アブレーションカテーテルであって、
細長い本体と、
電極組立体を有する遠位区間であって、前記電極組立体は、
第1の所定の長さを有する概ね直線的な遠位部分と、
前記第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さを有する概ね直線的な近位部分と、
前記概ね直線的な遠位部分と前記概ね直線的な近位部分との間にあるU字形状部分と、
前記概ね直線的な近位部分の近位側にある屈曲連結部分と、
前記概ね直線的な遠位部分の上にある少なくとも1個の遠位リング電極と少なくとも1個の近位リング電極とを有する、遠位区間と、
前記細長い本体の近位側にある制御ハンドルと、を備え、
前記概ね直線的な遠位部分は、近位端部と遠位端部とを有し、前記近位端部にあるいはその近くにある近位リング電極と小孔上のある部位との間、及び前記遠位端部にあるいはその近くにある遠位リング電極と前記小孔上の別の部位との間の概ね同時の接触をなすように適合されている、アブレーションカテーテル。
(14) 前記概ね直線的な遠位部分は自由な遠位端部を有する、実施態様13に記載のカテーテル。
(15) 前記電極組立体は、形状記憶性を備える支持構造を含む、実施態様13に記載のカテーテル。
(16) 前記直線的な遠位部分及び近位部分は、前記カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である、実施態様13に記載のカテーテル。
(17) 前記概ね直線的な遠位部分及び近位部分、前記U字形状部分、並びに前記屈曲連結部分は概して、単一の共通平面内に存在する、実施態様1に記載のカテーテル。
(18) 前記屈曲連結部分は、概して約30度〜120度に及ぶ角度をなす、実施態様1に記載のカテーテル。
(19) 前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約50%である、実施態様1に記載のカテーテル。
(20) 前記概ね直線的な遠位部分は、リング電極の遠位群とリング電極の近位群とを担持する、実施態様13に記載のカテーテル。
【0047】
(21) リング電極の前記遠位群及び前記近位群の各々は少なくとも2個のリング電極を有する、実施態様20に記載のカテーテル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には侵襲的な治療法のための方法及び装置に関し、具体的にはカテーテル、特に灌注式アブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心筋組織のアブレーションは、心不整脈の処置として周知である。高周波(RF)アブレーションでは、例えば、カテーテルが心臓に挿入され、標的部位の組織と接触させられる。次いで、組織内の催不整脈性の電流路を切断する目的で損傷部を形成するために、RFエネルギーがカテーテル上の電極を通じて印加される。
【0003】
特に、心房細動は、心房(心臓の上部室)内で発生する異常な心調律である。活動電位が整然とした形式で心臓を通じて移動する代わりに、多数の活動電位が始まり、心房を通じて広がり、速くかつ乱れた心拍を生じさせる。「肺静脈隔離術(PVI)」としても知られる、環状マッピング技術を用いた4本の肺静脈のアブレーションは、心房細動を有する多くの患者に対して成功することが証明されている。
【0004】
アブレーションは、心房のうちの肺静脈小孔に連結する領域にカテーテルからエネルギーを伝達して、その小孔の周りに円形の瘢痕又は損傷部を生成することによって実施される。その損傷部は次いで、肺静脈内から発せられるいかなる活動電位をも遮断し、したがって心房細動の発生を防止する。このプロセスは通常、4本の肺静脈すべてに対して繰り返される。
【0005】
アブレーションは、主として局所アブレーション、つまりカテーテルの遠位端部にあるチップ電極によるアブレーションによって達成されてきた。したがって、線又は曲線に沿った線形アブレーションに対し、チップ電極は、長時間に及ぶアブレーションの間に、その線又は曲線に沿って組織全体にわたって繰り返し再配置されるかあるいは引きずられる。再配置又は引きずりは時間を要するものであり、心房の小さな領域内で操作する場合、適切な組織接触がしばしば困難となる。また、焦げ及び凝塊の形成を最小限にするためにアブレーションの間に電極の温度を低下させる上で効果的である灌注式アブレーションチップ電極及びリング電極も知られている。しかしながら、特に複数の電極が灌注される場合、患者にかかる流体負荷が問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、小孔の形状又は大きさに関わらずPVI手技に適合された、カテーテル操作性と小孔のターゲティングを改善するカテーテルが望まれており、その改善によって、損傷部の形成が改善され、アブレーション手技の所要時間が短縮される。特に、リング電極と小孔との間の2つの同時接触部位を与えることによって、小孔との組織接触をより良好にかつより安定にし得る複数のリング電極を有するカテーテルが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、肺静脈隔離術(PVI)を含めて、静脈構造及びそれに関連する手技に適合された電極組立体を有する灌注式アブレーションカテーテルに関する。この電極組立体は、複数のリング電極(又はリング電極配列)を担持する細長い又は直線的な部分を有する。直線的な部分の長さは静脈の直径にわたり、その結果、この直線的な部分は、少なくとも2個のリング電極が小孔と同時に接触する状態で、小孔に押し付けられ得る。ECGの読み及び蛍光透視法によって適切な接触が確認されると、リング電極は、単極及び/又は双極の形式でアブレーションのために選択的に付勢され、肺静脈の隔離を達成する際の損傷部を形成する。
【0008】
複数のリング電極が直線的な部分にあるため、電極は、高周波発生器内の制御器又はスイッチボックスによって、アブレーションを実施するように選択的に付勢され得る。ECGデータに基づいて小孔との適切な接触及び位置をなすと判断された電極が、アブレーションを実施するために使用される。概ね連続的な周縁損傷部で静脈を完全に閉じ込めるために、カテーテルは、180度の回転が完成するまで、漸増的に回転され得る。この漸増的な回転の間、2つの損傷部を、つまり接触する2つの電極それぞれに1つの損傷部を形成することができ、各損傷部が他の損傷部から肺静脈を横切る。複数のリング電極が、直線的な部分の遠位端部及び近位端部にあるいはその近くに、第1及び第2の群又は配列として配置されているので、電極組立体は、ほとんどの静脈の形状又は大きさにもかかわらずPVIに適合される。実際に、本発明のカテーテルは、一般的な小孔を含めて、あらゆる静脈構造に対してアブレーションを実施するために使用され得る。
【0009】
一実施形態において、本発明のカテーテルは、細長い本体と遠位電極組立体とを有し、遠位電極組立体は、概ね直線的な遠位部分と概ね直線的な近位部分とを有し、遠位部分は近位部分よりも長い長さを有し、近位部分と遠位部分はU字形状部分で連結されており、近位部分は、屈曲コネクタ部分によってカテーテルに連結されている。遠位部分と近位部分は、互いに概ね整列されており、カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である。カテーテルはまた、電極組立体の近位側に中間撓み部分を有してもよく、この中間撓み部分は、電極組立体の一方向又は二方向の撓みを可能にするためのものである。
【0010】
詳述する実施形態において、概ね直線的な遠位部分及び近位部分と、U字形状部分と、屈曲連結部分とを含めた遠位電極組立体の全体は、概して、単一の共通平面内に存在する。
【0011】
詳述する別の実施形態において、屈曲連結部分は、約30度〜120度に及ぶ角度、より好ましくは約90度の角度を有する。
【0012】
詳述する別の実施形態において、電極組立体は、約2個〜12個、好ましくは約4個〜8個に及ぶ複数の電極、より好ましくは約6個の電極を担持し、リング電極のある群又は配列は、概ね直線的な遠位部分の遠位端部にあるいはその近くに装着され、リング電極の別の群又は配列は、概ね直線的な遠位部分の近位端部にあるいはその近くに装着される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のこれらの及び他の特徴と利点は、添付の図面と共に考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することによって更に理解されよう。選ばれた構造及び特徴が、残りの構造及び特徴をより見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
【図1】本発明によるカテーテルの実施形態の斜視図。
【図2】小孔上の定位置にある、図1のカテーテルの一部分の頂面図。
【図3】線A−Aに沿った、図2のカテーテル及び小孔の側面図。
【図4A】ある直径に沿った、カテーテル本体と中間撓み区間との会合部を含めた、図1のカテーテルの側方横断面図。
【図4B】別の直径に沿った、カテーテル本体と中間撓み区間との会合部を含めた、図1のカテーテルの側方横断面図。
【図4C】図1のカテーテルの中間撓み区間の実施形態の端部横断面図。
【図5A】ある直径に沿った、中間撓み区間と遠位電極組立体との会合部を含めた、図1のカテーテルの側方横断面図。
【図5B】別の直径に沿った、中間撓み区間と遠位電極組立体との会合部を含めた、図1のカテーテルの側方横断面図。
【図6A】ある直径に沿った、図1の電極組立体の電極担持遠位部分の側方横断面図。
【図6B】別の直径に沿った、図1の電極組立体の電極担持遠位部分の側方横断面図。
【図6C】線C−Cに沿った、図6A及び6Bの電極担持遠位部分の端部横断面図。
【図7】開放型の構成を有する遠位電極組立体の代替的な実施形態の側面図。
【図8】開放型の構成を有する遠位電極組立体の更なる代替的な実施形態の側面図。
【図9】閉鎖型の構成を有する遠位電極組立体の更なる代替的な実施形態の側面図。
【図10】灌注式リング電極の実施形態の斜視図。
【図11】本発明の実施形態による、左心房へのカテーテルの挿入を示す心臓の概略的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のカテーテルは、体の標的領域、例えば、心臓の心房への配置に適合されており、高周波(RF)電流によってPV小孔などの静脈構造又はその近くにおけるアブレーションを促進するように設計されている。このカテーテルは有利にも、小孔の弦(周縁の2つの部位)又は直径に沿った概ね対向する部位におけるRF損傷部を用いた肺静脈隔離術用に設計されている。小孔を横切る2つの部位で小孔に同時に接触するように小孔をまたぎ得る、複数のリング電極を担持する細長い又は概ね直線的な部分を設けることにより、カテーテルは、少なくとも2つのリング電極と小孔との間の接触を適切にするために、カテーテルの長手方向長さに沿って加えられた垂直力を受容するように2つの接触部位で支持されるので、小孔上に配置されると比較的安定した位置にとどまることができる。心電図の読み及び蛍光透視法を用いると、操作者は、局所的な単極損傷部を得るために、小孔と接触する、小孔の接触組織への単極電極として選択された1つ以上のリング電極を通じて帰還電極(例えば、患者の背中に貼り付けられた外部電極パッチ)へと高周波エネルギーを伝達するように、カテーテルを操作することができる。適切となるかあるいは望まれる場合、小孔と接触する選択されたリング電極はまた、単極電極として付勢されて、付勢されたリング電極の間に単極の損傷部を形成することもできる。したがって、エネルギーは、任意の2つからなる1対の電極から、あるいは複数の対の電極から、任意の単一の電極へと印加され得る。また、カテーテルをその縦軸を中心に回転させることにより、小孔の周縁に沿った種々の離散的又は連続的な部位が、この方式でアブレーションされ得る。
【0015】
図1、2及び3に示されるように、本発明は、遠位電極組立体17を備えた可動型カテーテル10を含み、この遠位電極組立体17は、第1の所定の長さL1を有する概ね細長い又は直線的な遠位部分19と、自由な遠位端部21と、U字形状部分24によってカテーテルに取り付けられた近位端部22とを有している。この組立体はまた、第1の所定の長さL1よりも短い第2の所定の長さL2を有する、概ね細長い又は直線的な近位部分20を有し、直線的な遠位部分19及び近位部分20は、概ね直線的な近位部分20の近位端部に取り付けられた屈曲連結部分26によって、カテーテルの縦軸に対して概ね垂直となっている。概ね直線的な遠位部分19及び近位部分20と、U字形状部分24と、屈曲連結部分26とを含めた遠位電極組立体17の全体は、概して、単一の共通平面内に存在し得る。
【0016】
電極組立体17は形状記憶性を持ちながらも柔軟であり、そのため、所定の形状を呈するように付勢されるが、加えられた力を受けて一時的に別の形状を呈し、その加えられた力が除かれると所定の形状に戻ることができる。灌注式アブレーションリング電極Rが、小孔の任意の弦又は直径に沿った概ね対向する部位に接触するように、組立体17上に装着されている(図2及び3)。図示の実施形態において、垂直力Nがカテーテルの縦軸に沿って加えられたとき、部分19、20の湾曲が小孔との適切な接触を促進するように、直線的な遠位部分19及び近位部分20の一方又は両方がわずかに曲線的であってもよく、例えば、一方又は両方がわずかに凹状又は凸状であってもよい。更に、図2に示されるように、カテーテルは、小孔の周縁に沿った様々な部位がアブレーションのためにリング電極と接触し得るように、その縦軸を中心として(時計回り又は反時計回りに)回転され得る。そのような様々な部位は、離散的な部位であってもよく、あるいは連続的な損傷部を形成するように重なっていてもよい。
【0017】
図1を参照すると、開示する実施形態によるカテーテル10は、細長い本体を備えており、この細長い本体は、縦軸を有する挿入シャフト又はカテーテル本体12と、カテーテル本体の軸外へ一方向又は二方向に撓み可能である、カテーテル本体の遠位側の中間区間14とを有し得る。中間区間14の遠位側に、遠位電極組立体17があり、遠位電極組立体17は、アブレーションと灌注に適合された複数のリング電極Rを担持している。
【0018】
図4A、4B及び4Cの実施形態において、カテーテル本体12は、単一の軸方向又は中央ルーメン18を有する、細長いチューブ状の構造を備えている。カテーテル本体12は可撓性であり、すなわち曲がることができるが、その長さ方向に沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造をなし、任意の好適な材料で作られ得る。現時点で好ましい構造は、ポリウレタン又はペバックス(PEBAX)で作られた外壁30を備えるものである。外壁30は、当該技術分野で周知のように、カテーテル本体12の捩り剛性を高めるために、ステンレス鋼などの、埋め込まれた編組みメッシュを備えており、そのため、制御ハンドル16が回転されると、中間区間14と遠位区間17がそれに対応する形で回転するようになっている。
【0019】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約2.7mm(8フレンチ)以下、より好ましくは2.3mm(7フレンチ)である。同様に、外壁30の厚さも重要ではないが、中央ルーメン18が任意の所望のワイヤー、ケーブル及び/又はチューブを収容できるように、十分に薄いものである。外壁30の内部表面は補剛チューブ31で裏張りされて、捩り安定性を改善している。補剛チューブ31の外径は、外壁30の内径とおよそ同じか、あるいはそれよりもわずかに小さい。補剛チューブ31は、非常に良好な剛性をもたらしかつ体温で軟化しない、ポリイミドなどの任意の好適な材料で作られ得る。
【0020】
撓み可能な中間区間14は、複数のルーメンを有する短区間のチューブ材料15を備えており、各ルーメンは、中間区間を通じて延びる様々な構成要素で占有されている。図示の実施形態において、図4Cに最良に示されるように、5つのルーメン33、34、35、36及び37がある。各リング電極用のリード線/熱電対のペア40、41が、図示の実施形態において第1の軸外ルーメン33を通過している。非導電性保護シートが設けられてもよい。遠位組立体上に配置された単軸センサー(SAS)の組立体を含めて、位置センサー48用のケーブル46もまた、第1のルーメンを通過している。流体灌注チューブ材料38が、第2の軸外ルーメン34を通過している。少なくとも一方向の撓みのために、第1のプーラーワイヤー44aが第3の軸外ルーメン35を通過している。二方向の撓みのために、第2のプーラーワイヤー44bが第4の軸外ルーメン36を通過している。組立体17用の形状記憶支持部材50の近位端部が、チューブ材料15の遠位端部から少し近位側に離れたところで、第5のルーメン37に嵌め込まれるか、あるいはその中に固定されている。
【0021】
中間区間14のマルチルーメンチューブ材料15は、好ましくはカテーテル本体12よりも可撓性の高い好適な非中毒性材料でできている。好適な材料は、編組みポリウレタン又はPEBAX、すなわち、編み組まれたステンレス鋼などの埋込みメッシュを有するポリウレタン又はPEBAXである。各ルーメンの個数及び寸法は、それらのルーメンを通じて延びる構成要素を収容するのに十分な余裕がある限り、重要ではない。プーラーワイヤー44a、44b用のルーメン35、36の位置を除き、各ルーメンの位置もまた重要ではない。平面に沿った二方向の撓みのためには、ルーメン35、36は、軸外にあり、互いに直径の反対側にあるべきである。
【0022】
カテーテルの有効長さ、すなわち体の中に挿入され得る部分は、所望に応じて変動し得る。好ましくは有効長さは、約110cm〜約120cmの範囲に及ぶ。中間区間14の長さは、有効長さのうちの比較的小さな部分であり、好ましくは約3.5cm〜約10cm、より好ましくは約5cm〜約6.5cmに及ぶ。
【0023】
カテーテル本体12を中間区間14に取り付けるための好ましい手段が、図4A及び4Bに示されている。中間区間14の近位端部は、カテーテル本体12の補剛チューブ31の遠位端部の外側表面を受容する内周ノッチを備えている。中間区間14とカテーテル本体12は、接着剤又は同様のもの、例えば、ポリウレタンで取り付けられている。所望により、カテーテル本体12と中間区間との会合部において可撓性が遷移し、それによって、会合部が折れたり捩れたりすることなく平滑に曲がるようにするために、カテーテル本体12内の、補剛チューブ31の遠位端部と中間区間14の近位端部との間に、スペーサー(図示せず)が設けられ得る。そのようなスペーサの例が、米国特許第5,964,757号に更に詳細に記載されており、その開示内容は参照によって本願に組み込まれる。
【0024】
図5A、5B及び6Cを参照すると、中間区間14の遠位側に、マルチルーメンチューブ材料49を含む遠位電極組立体17がある。チューブ材料49は、ポリウレタン又はPEBAXなどの任意の生体適合性プラスチックで作られ得る。図示の実施形態において、チューブ材料49は3つのルーメン51、52及び53を有している。リング電極及びケーブル46に沿った位置センサー48(例えば、単軸センサー又はSAS)用のリード線/熱電対のペア40、41は、第1の軸上ルーメン51を通過しており、第1の軸上ルーメン51は、中間区間14の第1のルーメン33と軸方向に概ね整列している。中間区間の第2のルーメン34と軸方向に概ね整列する第3の軸外ルーメン53が、灌注チューブ材料38の遠位端部を受容する。チューブ材38は、ルーメン53内に液密な密封を形成するように寸法を定められ、かつ/又は密封材を詰め込まれており、そのため、流体は遠位側へ直接、ルーメン53の中に流れる。組立体17の形状記憶支持部材50は、中間区間14の第5のルーメン37と軸方向に概ね整列する第2のルーメン52を通じて延びている。
【0025】
ニチノールを含めて、形状記憶性を有する任意の好適な材料で作られ得る形状記憶支持部材50によって支持されるため、遠位電極組立体17は、図2及び3に示すように、長い所定長さL1を有する概ね直線的な遠位部分19と、U字形状部分24と、短い所定長さL2を有する概ね直線的な近位部分20と、屈曲連結部分26と、を備えて構成されており、直線的な遠位部分19及び近位部分20は、カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である。概ね直線的な遠位部分及び近位部分と、U字形状部分と、屈曲連結部分とを含めて、組立体17の全体が、概して、単一の共通平面内に存在し得るように、概ね直線的な遠位部分19と近位部分20は互いに概ね整列している。この構成により、加えられた力Nが、概ね直線的な遠位部分19へとカテーテル本体の下方に伝達されて、概ね直線的な遠位部分19の遠位端部21及び近位端部22又はその近くにおける組織接触が確実となる。
【0026】
図示の実施形態において、近位部分20の長さL2は遠位部分19の長さL1の約半分であり、そのため、屈曲連結部分26は遠位部分19のおよそ中間の位置にあり、そのため、組立体19はT字形状と似たものとなっている。しかしながら、当業者には理解されるように、小孔への接近角は必ずしも、図3に示すように垂直又は「軸上」ではなく、そのため、近位部分20の長さL2は、図7に示すように、遠位部分20の長さL1の約1/4〜3/4の範囲に及び得るものであり、その結果、カテーテルの長さ方向に沿って加えられた垂直力が、リング電極と小孔との組織接触を効果的に確実にし得る。また、当業者には理解されることであるが、屈曲連結部分の2本のアームの間の角度αは、図8に示される約90度を超えて変動し得る。角度αは、必要に応じてあるいは所望により、約30〜120度に及び得る。
【0027】
遠位電極組立体17と中間撓み部分14との会合部の実施形態が、図5A及び5Bに示されている。形状記憶支持部材50は、遠位電極組立体17の全長を近位端部80で延長しており、この近位端部80は、中間撓み部分14のルーメン37の中に延び、ここで固定されている。形状記憶支持部材の遠位端部は、組立体17のチューブ材料の遠位端部で終端しており、組立体17の端部は、好適な生体適合性密封材料の非外傷性プラグで密封されている。
【0028】
組立体17は、図3、7及び8の実施形態に示されるように、自由な遠位端部21を備えた開放型の構成である必要はない。本発明は、図9に示すような閉鎖型の構成を含み、この閉鎖型の構成は、第2の概ね直線的な近位部分20bと、第2のU字形状部分24bと、第2の屈曲連結部分26bとを有している。これらの第2の構成要素は、閉鎖型の構成として組立体17を形成する際のそれらの対応物を反映している。特に、第1の屈曲連結部分26a及び第2の屈曲連結部分26bは、それらの近位側のアームが共に中間区間14の遠位端部の中に延びるように近寄っている。小孔の任意の弦又は直径に沿った2つの部位が、同時に電極組立体17と接触することができ、カテーテルの縦軸に沿って小孔に向かって垂直力が加えられるときに比較的安定な位置にとどまる構成が、この閉鎖型の構成によって依然として得られる。
【0029】
組立体17の遠位部分19は、複数のリング電極R、例えば、約2個〜12個に及ぶリング電極を担持しており、これらのリング電極は、遠位部分19の両側の端部21及び22又はその近くにある離間した群又は配列として配置される。開示する実施形態において、3個の電極でなる配列を2つなして配置された6個のリング電極があり、その配列内で、3個の電極が互いに等しく離間されている。しかしながら、理解されたいこととして、リング電極は識別可能に群に分けられる必要はなく、つまり、概ね直線的な遠位部分19は、隣接する電極から均等に(あるいは不均等に)離間された一連の電極を担持し得る。更に、電極の各群が、等しい個数の電極を有する必要はない。
【0030】
図6A、6B及び6Cに示されるように、組立体17の遠位部分19において、チューブ材料49の側壁内の、各リング電極Rの下方に、半径方向開口部55が形成されており、その結果、流体は、灌注チューブ材料からチューブ材49のルーメン53の中へ、そして矢印57で示されるようにリング電極の中へと流れる。チューブ材料49内の開口部55の寸法は、遠位部分19の長さに沿った位置と共に変動し得る。流動性を最適にするために、開口部55が遠位部分19に沿ってより遠位側になるにつれて、開口部の寸法若しくは横断面積及び/又は各リング電極の下方の開口部55の個数も増加する。
【0031】
好適な灌注リング電極が図10に詳細に示されている。図6A、6Bを参照すると、リング電極Rはアブレーションと灌注に適合されている。このリング電極は、白金又は金、好ましくは白金とイリジウム又は金と白金の組み合わせなど、任意の好適な貴金属で作られ得る。図示の実施形態において、リング電極は概ね円筒状であり、直径よりも長い長さを有している。リング電極は、樽になぞらえ得る側方横断面を有し、両側の端部部分66の間で半径方向に隆起する側壁60を有している。隅部又は鋭利な縁部を伴わない非外傷性の輪郭を設けるために、曲線的な遷移領域67が側壁60と端部部分66との間に設けられている。
【0032】
図6A、6B及び6Cを参照すると、リザーバ、つまり環状ギャップGが遠位部分19のチューブ材料49の外部の周りに存在している。ギャップGは、ルーメン53からリング電極の外部への、アパーチャ62を通じた流体分配を改善している。アパーチャ62は、軸方向に食い違う列を含めた所定のパターンをなして側壁60に配置されている。これらのアパーチャは外に向いて、半径方向の流れを促進している(矢印63を参照)。アパーチャはまた、軸方向の流れ(矢印64を参照)を更に促進するために、曲線的な遷移領域64内に、あるいはその近くにも設けられている。更に、これらのアパーチャは、曲線的な遷移領域67又はその近くにおける焦げ付き及び凝固を最小限にする上で特に効果的であり、焦げ付き及び凝固は、電極の輪郭の遷移が原因で電流密度が高くなることで生じる「ホットスポット」となると思われる。この関連から、アパーチャ62の個数及び/又は断面積は、電極の側壁60内よりも、曲線的な遷移領域67であるいはその近くで増加して、曲線的な遷移領域における冷却を高めるようになっている。他の好適なリング電極が、2011年6月30日出願の米国特許出願公開第US2010/0168548 A1号及び米国特許出願第13/174,742号に記載されており、これら双方のすべての内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0033】
ほとんどのPVI用途に対し、第1の所定の長さL1は、小孔30の直径よりも長い。したがって、長さは約25mmから10mmの範囲であり、好ましくは、約30mmから5mmの範囲である。
【0034】
各電極のリード線の近位端部は、高周波発生器(図示せず)への接続のために、制御ハンドル16の遠位端部にある好適なコネクタに電気的に接続される。電線40、41のペアが各電極用に設けられている。開示する実施形態において、電線のペアのうちの電線40は銅線、例えば、符号「40」の銅線であり、電線41はコンスタンタン線である。各ペアの電線は、それらの遠位端部以外では互いに電気的に絶縁されており、遠位端部では互いに撚り合わされている。対応するリング電極Rへの取り付けは、側壁内に形成されたホール140を通じて、遠位組立体17のチューブ材料49の第1のルーメン51の中へと電線のペアを送り込み、対応するリング電極に半田付けすることによって達成される(図6Aを参照)。各電極用の電線のペアは、制御ハンドル16から遠位側に延びて、カテーテル本体12の中央ルーメン18、中間区間14の第1のルーメン33、及び遠位組立体17の第1のルーメン51を貫く。高周波エネルギーは、電線のペアのうちの電線40を介して電極に伝達される。しかしながら、当業者には理解されるように、電線のペアは、それらの対応するコンスタンタン線を含めて、各電極の温度を検出する温度センサー又は熱電対としても機能し得る。
【0035】
電線のペアのすべては、共通の非導電性保護シース42を通過しており(図4A)、この非導電性保護シース42は、それらを囲む関係にある任意の好適な材料、例えば、ポリイミドで作られ得る。シース42は、制御ハンドル16、カテーテル本体12、中間区間14から延び、遠位組立体17の近位端部のすぐ近位側で終端している。遠位端部は、接着剤、例えば、ポリウレタン接着剤などで第1のルーメン51内に固定されている。
【0036】
撓み用のプーラーワイヤー44a、44bのペアは、中間シャフト14を撓ませるために設けられている。プーラーワイヤー44a、44bは、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通じて、またそれぞれ中間区間14のルーメン35及び36のうちの対応する一つのルーメンを通じて延びている。参照によってそのすべての開示内容が本明細書に組み込まれる米国特許第6,371,955号に概して記載されているように、プーラーワイヤー44a、44bは、好適な材料103、例えば、ポリウレタンによってチューブ材料15の側壁に貼り付けられたT字型の棒材142(図5B)によって、近位端部では制御ハンドル16内に、遠位端部では中間区間14の遠位端部にあるいはその近くにある部位に固定されている。プーラーワイヤーは、ステンレス鋼又はニチノールなどの任意の好適な金属で作られており、好ましくはテフロン(登録商標)などでコーティングされている。そのコーティングはプーラーワイヤーに潤滑性を付与するものである。例えば、各プーラーワイヤーは、約0.015cm〜約0.025cm(約0.006インチ〜0.010インチ)に及ぶ直径を有している。
【0037】
図4Bに示すように、各プーラーワイヤーは、それらを囲む関係にある圧縮コイル144をそれぞれ有している。各圧縮コイル144は、カテーテル本体12の近位端部から中間区間14の近位端部又はその近くへと延びて、撓みを可能にしている。圧縮コイルは、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼でできており、それぞれ、可撓性、すなわち曲げ性を備えるが圧縮には抗するように、それ自体で緊密に巻回されている。圧縮コイルの内径は好ましくは、プーラーワイヤーの直径よりもわずかに大きなものである。プーラーワイヤー上のテフロン(登録商標)コーティングにより、プーラーワイヤーは圧縮コイル内で自在にスライドすることが可能となる。カテーテル本体12内で、圧縮コイルの外側表面は、例えば、ポリイミドのチューブ材料でできた、可撓性の非電導性シース152で被覆されている。圧縮コイルは、その近位端部では近位側の接着接合部によってカテーテル本体12の外壁30に、また遠位側の接着接合部によって中間区間14に固定されている。
【0038】
中間区間14のルーメン35及び36内で、プーラーワイヤー44a、44bは、プラスチック、好ましくはテフロン(登録商標)のプーラーワイヤーシース146(図4B)を通じて延びており、そのプーラーワイヤーシース146は、中間区間14が撓むときに、プーラーワイヤーが中間区間14のチューブ材料15の壁の中に食い込むことを防止するものである。
【0039】
二方向の撓みをなすための、カテーテル本体12に対するプーラーワイヤー44a、44bの縦方向の移動は、制御ハンドル16の適切な操作によって達成される。撓みノブ150(図1)がハンドル上に設けられており、この撓みノブ150は、同じ方向に撓むように、時計方向又は反時計方向に旋回され得る。複数本のワイヤーを操作するための好適な制御ハンドルが、例えば、2010年12月3日に出願された米国特許第6,468,260号、同第6,500,167号、及び同第6,522,933号、並びに米国出願第12/960,286号に記載されており、これらのすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0040】
一実施形態において、位置センサー48は、遠位組立体17(図6A)の第1のルーメン51を通じて延びるケーブル46上に担持された複数の単軸センサー(「SAS」)を有し、各SASは、遠位区間の長さ方向に沿った既知の又は所定の位置を占有している。ケーブル46は、遠位組立体17から近位側に、中間区間14の第1のルーメン33、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通じて、制御ハンドル16の中へと延びている。各SASは、隣接するSASを分離する既知の及び/又は等しい間隔を持たせて配置され得る。開示する実施形態において、ケーブルは、各リング電極の配置及び/又は位置を検出するために各リング電極の下方に配置された6個のSASを担持しており、そのため、操作者は選択した電極を付勢することができる。SASは、CARTO、CARTO XP及びNOGAマッピングシステムを含めて、バイオセンス・ウェブスター社(Biosense Webster Inc.)によって製造及び販売されているマッピングシステムで確認されることが可能となっている。好適なSASが、2010年12月30日に出願された米国出願第12/982,765号に記載されており、そのすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0041】
図11を参照すると、心臓病専門医などの操作者が、患者の脈管系を通じて案内シース140を挿入しており、その結果、案内シースの遠位端部が、患者の心臓126の房、例えば左心房146に進入している。操作者は次いで、案内シースを通じてカテーテルを前進させる。電極組立体17の可撓性形状記憶支持部材は容易に折れ曲がり、U字形状部分24及び屈曲連結部分26は少なくとも約120度に開かれることができ、その結果、遠位部分19の自由な遠位端部21が案内シースを通じて送り込まれ、U字形状部分24、近位部分20、及び屈曲連結部分26がそれに続く。カテーテルは案内シースを通じて送り込まれ、やがて、少なくとも電極組立体17の全体が案内シースの遠位端部を越え、ここで電極組立体はその形状記憶構成を回復する。
【0042】
操作者は、左心房においてカテーテルを前進及び後退させ、中間部分14を適切に撓ませて電極組立体17を小孔153に向けることができる。カテーテルが前進され、やがて遠位側の直線的な部分19が小孔にまたがり、小孔の任意の弦又は直径に沿って小孔と接触する。部分19及び20を小孔及び/又は互いに向けて押圧及び/又は圧迫するために、更なる垂直力が加えられ得る。
【0043】
カテーテル10は、その近位端部にて好適なコネクタによって制御卓に接続される。制御卓は、アブレーションのために選択されたリング電極を通じて高周波エネルギーを印加する高周波発生器を備える。所望により、離散的又は連続的な損傷部をアブレーションするために、電極組立体17が小孔上の種々の部位と接触するように、カテーテルは、その縦軸を中心に回転又は旋回され得る。
【0044】
上記の説明は、現時点で好まれる本発明の実施形態を参照して提示されたものである。本発明に関連する分野及び技術の当業者には明らかであるが、説明した構造における変形及び変更が、本発明の原理、趣旨、及び範囲から大きく逸脱することなく実施され得る。ある実施形態で開示された任意の特徴又は構造は、随時又は適宜、任意の他の実施形態の他の特徴に代わって、あるいはそれに加えて組み込まれ得る。当業者には理解されるように、図面は必ずしも一定の尺度ではない。したがって、上記の説明は、添付の図面で説明及び図示した厳密な構造のみに関するものとして読まれるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲と一致しかつそれを支持するものとして読まれるべきであり、この特許請求の範囲が完全かつ公正な範囲を有することになる。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 細長い本体と、
電極組立体を有する遠位区間であって、前記電極組立体は、
第1の所定の長さを有する概ね直線的な遠位部分と、
前記第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さを有する概ね直線的な近位部分と、
前記概ね直線的な遠位部分と前記概ね直線的な近位部分との間のU字形状部分と、
前記概ね直線的な近位部分の近位側にある屈曲連結部分と、
前記概ね直線的な遠位部分の上にある少なくとも2個のリング電極とを有する、遠位区間と、
前記細長い本体の近位側にある制御ハンドルと、を備える、カテーテル。
(2) 前記概ね直線的な遠位部分は自由な遠位端部を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記電極組立体は、形状記憶性を備える支持構造を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記直線的な遠位部分及び近位部分は、前記カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記概ね直線的な遠位部分及び近位部分、前記U字形状部分、並びに前記屈曲連結部分は概して、単一の共通平面内に存在する、実施態様1に記載のカテーテル。
(6) 前記屈曲連結部分は、概して約30度〜120度に及ぶ角度をなす、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約50%である、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約25%である、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約75%である、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記細長いカテーテル本体と前記遠位電極組立体との間にある中間撓み区間を更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
【0046】
(11) 前記概ね直線的な遠位部分は、リング電極の遠位群とリング電極の近位群とを担持する、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) リング電極の前記遠位群及び前記近位群の各々は少なくとも2個のリング電極を有する、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) アブレーションカテーテルであって、
細長い本体と、
電極組立体を有する遠位区間であって、前記電極組立体は、
第1の所定の長さを有する概ね直線的な遠位部分と、
前記第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さを有する概ね直線的な近位部分と、
前記概ね直線的な遠位部分と前記概ね直線的な近位部分との間にあるU字形状部分と、
前記概ね直線的な近位部分の近位側にある屈曲連結部分と、
前記概ね直線的な遠位部分の上にある少なくとも1個の遠位リング電極と少なくとも1個の近位リング電極とを有する、遠位区間と、
前記細長い本体の近位側にある制御ハンドルと、を備え、
前記概ね直線的な遠位部分は、近位端部と遠位端部とを有し、前記近位端部にあるいはその近くにある近位リング電極と小孔上のある部位との間、及び前記遠位端部にあるいはその近くにある遠位リング電極と前記小孔上の別の部位との間の概ね同時の接触をなすように適合されている、アブレーションカテーテル。
(14) 前記概ね直線的な遠位部分は自由な遠位端部を有する、実施態様13に記載のカテーテル。
(15) 前記電極組立体は、形状記憶性を備える支持構造を含む、実施態様13に記載のカテーテル。
(16) 前記直線的な遠位部分及び近位部分は、前記カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である、実施態様13に記載のカテーテル。
(17) 前記概ね直線的な遠位部分及び近位部分、前記U字形状部分、並びに前記屈曲連結部分は概して、単一の共通平面内に存在する、実施態様1に記載のカテーテル。
(18) 前記屈曲連結部分は、概して約30度〜120度に及ぶ角度をなす、実施態様1に記載のカテーテル。
(19) 前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約50%である、実施態様1に記載のカテーテル。
(20) 前記概ね直線的な遠位部分は、リング電極の遠位群とリング電極の近位群とを担持する、実施態様13に記載のカテーテル。
【0047】
(21) リング電極の前記遠位群及び前記近位群の各々は少なくとも2個のリング電極を有する、実施態様20に記載のカテーテル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い本体と、
電極組立体を有する遠位区間であって、前記電極組立体は、
第1の所定の長さを有する概ね直線的な遠位部分と、
前記第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さを有する概ね直線的な近位部分と、
前記概ね直線的な遠位部分と前記概ね直線的な近位部分との間のU字形状部分と、
前記概ね直線的な近位部分の近位側にある屈曲連結部分と、
前記概ね直線的な遠位部分の上にある少なくとも2個のリング電極とを有する、遠位区間と、
前記細長い本体の近位側にある制御ハンドルと、を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記概ね直線的な遠位部分は自由な遠位端部を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記電極組立体は、形状記憶性を備える支持構造を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記直線的な遠位部分及び近位部分は、前記カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記概ね直線的な遠位部分及び近位部分、前記U字形状部分、並びに前記屈曲連結部分は概して、単一の共通平面内に存在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記屈曲連結部分は、概して約30度〜120度に及ぶ角度をなす、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約50%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約25%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約75%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記細長いカテーテル本体と前記遠位電極組立体との間にある中間撓み区間を更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記概ね直線的な遠位部分は、リング電極の遠位群とリング電極の近位群とを担持する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
リング電極の前記遠位群及び前記近位群の各々は少なくとも2個のリング電極を有する、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
アブレーションカテーテルであって、
細長い本体と、
電極組立体を有する遠位区間であって、前記電極組立体は、
第1の所定の長さを有する概ね直線的な遠位部分と、
前記第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さを有する概ね直線的な近位部分と、
前記概ね直線的な遠位部分と前記概ね直線的な近位部分との間にあるU字形状部分と、
前記概ね直線的な近位部分の近位側にある屈曲連結部分と、
前記概ね直線的な遠位部分の上にある少なくとも1個の遠位リング電極と少なくとも1個の近位リング電極とを有する、遠位区間と、
前記細長い本体の近位側にある制御ハンドルと、を備え、
前記概ね直線的な遠位部分は、近位端部と遠位端部とを有し、前記近位端部にあるいはその近くにある近位リング電極と小孔上のある部位との間、及び前記遠位端部にあるいはその近くにある遠位リング電極と前記小孔上の別の部位との間の概ね同時の接触をなすように適合されている、アブレーションカテーテル。
【請求項14】
前記概ね直線的な遠位部分は自由な遠位端部を有する、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記電極組立体は、形状記憶性を備える支持構造を含む、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記直線的な遠位部分及び近位部分は、前記カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記概ね直線的な遠位部分及び近位部分、前記U字形状部分、並びに前記屈曲連結部分は概して、単一の共通平面内に存在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記屈曲連結部分は、概して約30度〜120度に及ぶ角度をなす、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約50%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記概ね直線的な遠位部分は、リング電極の遠位群とリング電極の近位群とを担持する、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項21】
リング電極の前記遠位群及び前記近位群の各々は少なくとも2個のリング電極を有する、請求項20に記載のカテーテル。
【請求項1】
細長い本体と、
電極組立体を有する遠位区間であって、前記電極組立体は、
第1の所定の長さを有する概ね直線的な遠位部分と、
前記第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さを有する概ね直線的な近位部分と、
前記概ね直線的な遠位部分と前記概ね直線的な近位部分との間のU字形状部分と、
前記概ね直線的な近位部分の近位側にある屈曲連結部分と、
前記概ね直線的な遠位部分の上にある少なくとも2個のリング電極とを有する、遠位区間と、
前記細長い本体の近位側にある制御ハンドルと、を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記概ね直線的な遠位部分は自由な遠位端部を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記電極組立体は、形状記憶性を備える支持構造を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記直線的な遠位部分及び近位部分は、前記カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記概ね直線的な遠位部分及び近位部分、前記U字形状部分、並びに前記屈曲連結部分は概して、単一の共通平面内に存在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記屈曲連結部分は、概して約30度〜120度に及ぶ角度をなす、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約50%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約25%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約75%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記細長いカテーテル本体と前記遠位電極組立体との間にある中間撓み区間を更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記概ね直線的な遠位部分は、リング電極の遠位群とリング電極の近位群とを担持する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
リング電極の前記遠位群及び前記近位群の各々は少なくとも2個のリング電極を有する、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
アブレーションカテーテルであって、
細長い本体と、
電極組立体を有する遠位区間であって、前記電極組立体は、
第1の所定の長さを有する概ね直線的な遠位部分と、
前記第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さを有する概ね直線的な近位部分と、
前記概ね直線的な遠位部分と前記概ね直線的な近位部分との間にあるU字形状部分と、
前記概ね直線的な近位部分の近位側にある屈曲連結部分と、
前記概ね直線的な遠位部分の上にある少なくとも1個の遠位リング電極と少なくとも1個の近位リング電極とを有する、遠位区間と、
前記細長い本体の近位側にある制御ハンドルと、を備え、
前記概ね直線的な遠位部分は、近位端部と遠位端部とを有し、前記近位端部にあるいはその近くにある近位リング電極と小孔上のある部位との間、及び前記遠位端部にあるいはその近くにある遠位リング電極と前記小孔上の別の部位との間の概ね同時の接触をなすように適合されている、アブレーションカテーテル。
【請求項14】
前記概ね直線的な遠位部分は自由な遠位端部を有する、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記電極組立体は、形状記憶性を備える支持構造を含む、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記直線的な遠位部分及び近位部分は、前記カテーテルの縦軸に対して概ね垂直である、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記概ね直線的な遠位部分及び近位部分、前記U字形状部分、並びに前記屈曲連結部分は概して、単一の共通平面内に存在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記屈曲連結部分は、概して約30度〜120度に及ぶ角度をなす、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記第2の所定の長さは、前記第1の所定の長さの約50%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記概ね直線的な遠位部分は、リング電極の遠位群とリング電極の近位群とを担持する、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項21】
リング電極の前記遠位群及び前記近位群の各々は少なくとも2個のリング電極を有する、請求項20に記載のカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−48904(P2013−48904A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−188338(P2012−188338)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188338(P2012−188338)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】
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