説明

静脈注射セット流量測定方法

【課題】流量測定精度の高い重量供給型静脈注射セットを提供する。
【解決手段】重力式静脈注射セット12により投与される流体の液滴の体積を測定するための方法および装置であって、放射線28、好ましくは、赤外光は、静脈注射セットの点滴チャンバ14の外部から通過されるとともに、チャンバの他方の外側にある受光部32によって検知されて定量化される。液滴が放射線経路を通過しない時にチャンバを通過する放射線は、バックグラウンド放射線レベルとして取得される。液滴がチャンバ内を落下する時、チャンバ内の液滴を通過して受光部へと達する放射線に損失が生じる。そして、バックグラウンド放射線値に対する、放射線値の相対損失に応じて、液滴の体積が計算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の血流中への流体の流れに関し、特に、任意の標準的な重力式静脈注射セットにより投与される流体の流量測定のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血流中への流体の静脈注射は、一般的な医療処置である。一般に点滴により静脈へ投与される流体としては、ブドウ糖、生理食塩水、薬物、および血液を挙げることができる。静脈注射(IV)システムは、一般に、リザーバと、点滴チャンバと、供給チューブと、IVニードルとを備えている。IVバッグとも呼ばれるリザーバは、注入される所定量の流体を保持している。リザーバは、供給チューブにより、点滴器に接続されている。また、点滴器は、供給チューブにより、患者の血管内に注入される中空のIVニードルに接続されている。リザーバ内の流体は、ニードルを通じて滴下されて血流中に入る。この場合、滴下速度は、点滴器によって制御される。
従来、流体が点滴により静脈へ投与される速度を制御するために、2つの主要な方法がとられてきた。第1の方法は、従来の点滴チャンバを使用することである。この点滴チャンバを手動で制御することにより、液滴が所定の速度で落下するまで、点滴チャンバを通じて滴下速度が調節される。この方法は、点滴チャンバを通じて流体の流量を重力だけを用いて維持するため、簡単であるという利点をもたらす。
しかしながら、手動で制御される点滴チャンバは、全ての用途において満足できるものではない。なぜなら、そのような点滴チャンバは、流体の流速が不正確になって、所要の流速を上回ったり或いは下回ったりする恐れがあるからである。これらの不正確さは、点滴チャンバを通過する個々の液滴のサイズがセットごとに異なる可能性があるということ、流体が点滴チャンバを通過する流速、流体の圧力、点滴チャンバにおける振動による影響に起因している。また、点滴チャンバが厳格な公差(許容誤差)に合わせて注意深く形成されていない場合、液滴の体積は、点滴チャンバごとで異なる場合があり、また、セットのタイプごとで確実に異なってしまう。このことは、第1の点滴チャンバを用いて予め選択された流体の流速に適した滴下速度が、第2の点滴チャンバにおいては必ずしも適していないことを意味している。また、従来のピンチクランプと共に使用されるチューブのコールドフローにより、所望の滴下速度で作動する従来の手動制御される点滴チャンバは、その滴下速度が経時的に変化してしまう恐れが十分にある。
精度の高い注入速度にするため、容量式注入液ポンプが普及するようになってきた。このようなポンプは、注入される流体の圧力または粘性とは概ね関係無く、注入速度を正確に制御できるという利点がある。しかしながら、このような注入液ポンプは、それ自体、欠点を内在している。一般に、これらの注入液ポンプは、最大60psiの圧力で作動するため、過圧注入の危険が常に存在する。更に、注入液ポンプは、比較的高価となりやすく、また、重量があり、扱いにくい。注入液ポンプの重量は、主に、停電時にポンプに給電するために必要な補助バッテリのサイズに関係している。ポンプは、モータ方式で作動するため、注入液ポンプのための補助バッテリは、大きな容量を必要とする。
制御における最も基本的な部分は、まず、投与される流体の正確な流量測定値を得ることである。
【0003】
スラヴィック(Slavik)らに対して付与された米国特許第4,525,163号は、液滴サイズを測定するためのセンサを有する流量制御装置を教示している。液滴サイズは、光学的に検知された特定の数の液滴がビュレット内に落下した後に平均値を算出することで測定される。これは、流量測定ではなく、また、投与された流体が侵襲的な装置を通過しなければならないという別の欠点がある。
ステウル(Steur)らに対して付与された米国特許第4,504,263号は、流体のフローがモニターを通過する侵襲的なフローモニターについて説明している。この侵襲的な装置の欠点は、これらを使用する度に殺菌しなければならず、また、殺菌のために余計に複数の装置が必要になることから、これが負担となり、結果的に、病院にとって厄介なものになるという点である。ステウルによって説明されている装置において、個々の液滴は、赤外線センサによって測定される。ステウルの発明の侵襲性に伴う別の欠点は、液滴が球形であることを前提としている点である。しかし液滴は、常に球形というわけではない。
例えば、モルコ(Molko)に対して付与された米国特許第6,083,206号に記載されているように、液滴の数を数える非侵襲的な装置について説明する従来技術が存在する。モルコは、点滴チャンバを通過する赤外線を感知することにより、高い精度で液滴の数を数えることができる装置を教示しているが、各液滴の流量測定について説明しておらず、また、特定のセットによって示される液滴サイズに頼らなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,525,163号
【特許文献2】米国特許第4,504,263号
【特許文献3】米国特許第6,083,206号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流量測定精度の必要性は、IV点滴により投与される流体を1時間当たり2ミリリットル未満しか受けつけない幼児にとって重要である。
注入液ポンプおよび重力供給型静脈注射セットは、前述した欠点を有しているため、前述した制限のない簡単な重力供給型静脈注射セットを有することは、非常に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様においては、点滴チャンバを有する重力式注入液セットによって投与される流体の流量を測定するための装置が提供される。装置は、点滴チャンバの円筒面の周囲に取り外し可能に配置できるように形成されたハウジングを有している。ハウジングは、前記円筒面の軸とほぼ垂直な経路により前記点滴チャンバを通過して放射線を放射するように形成された放射線源と、前記放射線源とほぼ対向する前記円筒面の部位に隣接して配置された受光部とを有している。前記受光部は、放射線を定量的に感知するように形成されている。また、プロセッサは、液滴がバックグラウンド放射線にぶつかって通過する最中に前記受光部によって定量的に感知された放射線の相対損失に応じて、前記点滴チャンバを通過する各液滴の体積を計算するために作動する。
本発明の別の態様においては、静脈注射セットによって供給される流量を計算する方法であって、前記静脈注射セットが、点滴チャンバの軸にほぼ沿って流体を流すように形成された前記点滴チャンバを有する方法が提供される。該方法は、放射線を、前記点滴チャンバの外部から、点滴チャンバの軸とほぼ垂直な経路により、点滴チャンバを通過させて、点滴チャンバの外部の反対側の場所に位置するセンサへと伝送するステップと、点滴チャンバを通過するバックグラウンド放射線値を検知して定量化するステップと、点滴チャンバを通じて落下する液滴を通過する放射線値を検知して定量化することにより、放射線経路を通過する前記液滴に起因する放射損失を示すデータを得るステップと、前記液滴がバックグラウンド放射線値にぶつかって通過する最中に検知される放射線の相対損失に応じて、前記液滴の体積を計算するステップとを有している。
本発明の更に別の態様においては、静脈注射セットによって供給される流量を計算する方法であって、前記静脈注射セットが、点滴チャンバの軸にほぼ沿って流体を流すように形成された前記点滴チャンバを有する方法が提供される。該方法は、放射線を、前記点滴チャンバの外部から、点滴チャンバの軸とほぼ垂直な経路により、点滴チャンバを通過させて、点滴チャンバの外部の反対側の場所に位置するセンサへと伝送するステップと、点滴チャンバを通過するバックグラウンド放射線値を検知して定量化するステップと、点滴チャンバを通じて落下する液滴を通過する放射線値を検知して定量化することにより、放射線経路を通過する前記液滴に起因する放射損失を示すデータを得るステップと、実験データを累積することによって形成されたルックアップテーブルを使用して、液滴のための流量測定値を得るステップとを備えている。
【0007】
後述する本発明の好ましい実施形態における更なる特徴によれば、放射線は、パルスモードで機能するように形成されている。
記載されている好ましい実施形態における更に他の特徴によれば、放射線は、連続モードで機能するように形成されている。
後述する本発明の好ましい実施形態における更なる特徴によれば、放射線は、光放射線である。
記載されている好ましい実施形態における更に他の特徴によれば、放射線は、赤外線である。
記載されている好ましい実施形態における更に他の特徴によれば、計算された体積は、重力式注入液セットにより投与される流体の流量を制御するために使用される。
記載されている好ましい実施形態における更に他の特徴によれば、放射線の相対損失は、ルックアップテーブルを用いて体積に変換される。前記ルックアップテーブルは、様々な注入液セットを通過する液滴の実験データを累積することによって形成され、前記実験データは、液滴が放射線を通過する最中の放射線の相対損失を測定し、その後、液滴の重量を量るとともに、その比重に比例して各液滴の体積を決定することによって得られる。装置および方法は、任意のIVセットと共に使用するのに適しており、非侵襲性のものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、液滴の体積を測定するための装置および方法であって、重力式注入液セットにより投与される流体の流量を測定するために使用できる装置および方法を提供することにより、現在知られている構成の欠点を手際よく処理する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】重力式注入液セットにより投与される流体の流量を測定するための装置である。
【図2】点滴チャンバを通過する前後の放射線パルスの図であり、液滴がチャンバを通過する前の図および通過中における図である。
【図3】液滴の体積を計算するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、単なる一例として、添付図面を参照しつつ、本発明を説明する。ここで、図面を詳細に参照すると、図示の内容は、単なる一例であって、本発明の好ましい実施形態を単に例示的に説明するためのものであり、最も有用であり且つ本発明の原理および概念上の態様を容易に理解できると考えられるものを提供するために与えられていることを強調しておく。この点に関し、本発明の構造的な内容については、本発明の基本的な理解にとって必要となるもの以外、構造的に詳細に説明することはしない。また、本発明の幾つかの形態が実際にどのように具体化されるかについて当業者に明らかにするべく、図面により説明する。
本発明は、液滴の体積を測定するための装置および方法であって、重力式注入液セットにより投与される流体(注入液)の流量を測定するために使用することができる装置および方法に関する。
具体的には、本発明は、重力式注入液セットにより投与される各液滴の体積を測定して、流体の流量制御に使用できる総投与量の最も正確な情報を簡単に得るために使用することができる。
液滴の体積を測定するための本発明に係る装置および方法の原理および作用については、図面および対応する説明を参照することにより、更に良く理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その適用において、以下の説明に記載され、或いは図面に示される構成要素の詳細な構造および配置のものに限定されないことは言うまでもない。本発明は、他の実施形態も可能であり、或いは、様々な方法で実施もしくは達成することができる。また、ここで使用される表現および専門用語は、説明のためのものであって、限定的なものであると見なすべきではない。
【0011】
ここで、図面を参照すると、図1は、点滴チャンバを有する重力式注入液セット12で投与される流体の流量を測定するための装置10を示している。関連する本発明の部品について良く理解できるように、また、それらの部品が重力式注入液セットとどのように組み合わされるかについて良く理解できるように、部品の一部は、不釣り合いに図示されている。重力式注入液セット12は、一般に、リザーバ16と、点滴チャンバ14と、供給チューブ18と、IVニードル20とを有している。
装置10は、点滴チャンバ14の円筒面24の周囲に取り外し可能に配置できるように形成されたハウジング22を有している。ハウジング22は、点滴チャンバ14にかぶせて装着されるとともに、点滴チャンバ14内に通じるチューブ、或いは、点滴チャンバ14の上端部、または、重力式注入液セット12を支持するスタンド、を含む様々な場所のうちの任意の場所に取り付けられる。ハウジング22は、放射線源26を有している。放射線源26は、放射線28を、点滴チャンバ14を通過して、円筒面24の軸30とほぼ垂直な経路で放射するように形成されている。放射線を定量的に感知するように形成された受光部32は、放射線源26とほぼ対向する円筒面24の部位に隣接して配置されている。
放射線源26から放射される放射線は、赤外光であることが好ましい。これに代え、或いは、これに加えて、他のタイプの放射線を同様に使用することもできる。放射線源26は、赤外光を発生する赤外光発光ダイオード列を有している。本発明において、赤外線は、連続モードで、或いは、パルスモードで放射される。
パルスモードの利点のうち、バックグラウンド放射線レベル制御および省エネルギ制御を向上できるという利点がある。好ましいパルス繰返し数は、毎秒数千のパルス繰返し数であり、好ましくは、毎秒約100,000パルスである。パルスモードは、例えば、太陽光等の外部光源からの光が点滴チャンバを照らす際のバックグラウンド放射線測定値の乱れを防止するのに役立つ。
放射線源26内のパルサーは、発光ダイオードを周期的に励起して、一連の励起状態および非励起状態を生じさせる。
【0012】
図2は、放射線経路中に液滴が無い状態(図2a)で点滴チャンバ14を通過した後に受光部32によって検知されて定量化された放射線パルスと、放射線経路中に液滴42が有る状態(図2b)で点滴チャンバ14を通過した後に受光部32によって検知されて定量化された放射線パルスとの間の違いを示している。
図2aは、デジタル表示された放射線パルス40を示している。アナログ・デジタル変換器を使用して、放射線パルスがデジタルコードに変換され、測定可能な電圧または幾つかの他の測定可能な電気的リアクションがアナログ信号に変換される。放射線経路中に液滴が無い時に点滴チャンバ14を通過するパルス40を測定すると、チャンバ14を通過して受光部32によって測定されるパルス間の高さに著しい変化はない。無論、チャンバ14内に入る放射線と、チャンバ14の他方側で受光部32によって検知される放射線との間には違いがある。これは、バックグラウンドレベルまたは基準レベルである。装置10は、内外の任意の環境変化を考慮して、各液滴が点滴チャンバ14を通過する前後で、それ自身を較正することが好ましい。考慮する必要がある変化の例は、チャンバ14の外側に形成される霧状の液滴、または、チャンバ14の内面に跳ねかかる微小な液滴である。装置10は、任意の重力式IVセット12に適しているが、様々な点滴チャンバ間で、壁厚や壁構造等の固有の違いがある。プロセッサ34は、チャンバ14の他方側で感知された放射線に基づいて、赤外光発光ダイオードの励起を制御するとともに、各セットごとに放射線を調整して、各液滴間で何度もそれ自身を較正し続ける。
【0013】
図2bは、チャンバ14を通過する液滴42を示すとともに、チャンバ14を通過する放射線が減少した状態を示している。センサ32によって感知された放射線の落ち込み部分であるディップ部44が示されている。この場合、ディップ部44における最小信号46は、チャンバ14を通過する液滴42の最も厚い部分の直径に対応している。図2bは、好ましくは毎秒何万という多くのパルスを形成し、それにより、数百のパルスが点滴チャンバ14を通過する各液滴42を通り過ぎることが重要であることを示している。液滴の流量測定における装置10の精度は、液滴を通過するパルスの総数に伴って高くなる。各パルスが1つの液滴の一部を表わしているため、液滴を通過するパルスが多ければ多いほど、液滴の体積である最終結果の精度が高まる。装置10は、液滴の形状またはIVセットの種類とは無関係に、液滴の体積を計算する。液滴は、細長い液滴であったり、或いは、比較的幅広く且つ平坦な液滴であったりする。圧力、点滴チャンバ内への入口の幅、流体の粘性、点滴チャンバへの入口が完全に円形であるか否かといったことを含む多くの要因が、液滴の形状に影響を与える。
【0014】
プロセッサ34は、液滴42がバックグラウンドレベルまたは基準レベルの放射線にぶつかって通過する最中に受光部32によって定量的に感知された放射線の相対損失に応じて、点滴チャンバ14を通過する各液滴42の体積を計算するために作動する。
各液滴ごとの体積を計算できるように、最初に、実験データを累積することにより、ルックアップテーブルが形成される。実験データは、それぞれのセットがそれ自身の液滴タイプを有する多数のセットを用いて装置10を作動させることにより得られる。各液滴は、通過する放射線について、それ自身のディップ部を有している。その後、各液滴は、正確な重量を求めるために、化学てんびん上で重さが量られる。流体の各種類ごとの比重を考慮することで、各流体の体積を簡単に計算することができる。例えば、水においては、1kgの水が1リットルの体積を占める。様々な流体の比重は、水の比重とは僅かに異なる対応する体積を有している。このような処理が何度も繰り返され、好ましくは数千回繰り返され、それにより、重量すなわち体積を、ディップ部またはディップ部に関連する値である積分値に関連付けることができる。
連続モードで放射される赤外光は、パルスモードよりも正確である。これは、パルス間で見逃された情報が与えられるからであり、また、ブラックボックスのように外部からの光を伝えないハウジング22を形成することにより、日光または他の光が赤外光を妨害するといった欠点を克服できるからである。重大な欠点は、放射線が連続して流れるため、多くの電力が必要になるという点である。多くの場合、装置10にとって好ましい電源は、患者間で簡単に移動させることができるバッテリ電源であるが、その場合、連続的な放射線供給モードは、バッテリを急速に消費する。また、本発明の他の実施形態において、装置10は、AC電流が給電されるとともに、補助用のバッテリ源を有していることが好ましい。この場合、連続モードが好ましいモードである。これは、装置10が常設される場合、或いは、より精度が要求される場合に、特に有益である。
【0015】
ここで、静脈注射セットによって供給される流量を計算する方法60のフローチャートである図3を参照する。この場合、前記静脈注射セットは、点滴チャンバの軸にほぼ沿って流体を流すように形成された点滴チャンバを有している。方法60は、放射線を、点滴チャンバの外部から、点滴チャンバの軸とほぼ垂直な経路により、点滴チャンバを通過させて、点滴チャンバの外部の反対側の場所に位置するセンサへと伝送するステップ62と、点滴チャンバを通過するバックグラウンド放射線値を検知して定量化するステップ64とを有している。バックグラウンド放射線値が非常に低くまたは非常に高かった場合(ステップ65)には、チャンバ14を通過する放射線の量が更に高くまたは更に低くなるように変更されて再度通過される(ステップ62)。この段階は、放射線が所定レベルに到達するまで繰り返される。これは、多くの要因、例えばセットの種類やチャンバ上における霜の形成等によって左右される。いったん、放射線が所定レベルに到達したら(ステップ66)、液滴の体積を計算することができる。液滴がチャンバを通過する(ステップ68)と、次のステップが行なわれる。好ましくは、赤外光の形態を成す放射線は、点滴チャンバを通じて落下する液滴を通過する(ステップ70)。センサは、放射線を検知して定量化する(ステップ72)ことにより、放射線経路を通過する液滴に起因する放射損失を示すデータを得る。その後、バックグラウンド放射線値に対する、液滴の通過する最中に検知される放射線値の相対損失に応じて、液滴の体積が計算される。1つの液滴について計算された体積は、投与される流体の制御において、その制御をより正確に行なうべく使用される。
特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、多くの代替案、変更、変形が当業者にとって明らかであることは言うまでもない。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲内に入るそのような代替案、変更、変形の全てを包含することを意図している。
【符号の説明】
【0016】
10 装置、12 重力式注入液セット(任意の重力式IVセット)、14 点滴チャンバ、16 リザーバ、18 供給チューブ、20 IVニードル、22 ハウジング、24 (点滴チャンバの)円筒面、26 放射線源、28 放射線、30 (円筒面の)軸、32 受光部(センサ)、34 プロセッサ、40 放射線パルス、42 液滴、44 ディップ部、46 (ディップ部における)最小信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈注射セットによって供給される流量を計算する方法であって、前記静脈注射セットは、点滴チャンバの軸にほぼ沿って流体を流すように形成された前記点滴チャンバを有する方法において、
(a)放射線を、前記点滴チャンバの外部から、点滴チャンバの軸とほぼ垂直な経路により、点滴チャンバを通過させて、点滴チャンバの外部の反対側の場所に位置するセンサへと伝送するステップと、
(b)点滴チャンバを通過するバックグラウンド放射線値を検知して定量化するステップと、
(c)点滴チャンバを通じて落下する液滴を通過する放射線値を検知して定量化することにより、前記放射線経路を通過する前記液滴に起因する放射損失を示すデータを得るステップと、
(d)バックグラウンド放射線値に対する、放射線値の相対損失に応じて、前記液滴の体積を計算するステップと、
を備えている方法。
【請求項2】
前記放射線は、パルスモードで機能するように形成されている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射線は、連続モードで機能するように形成されている請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記放射線は、光放射線である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記放射線は、赤外線である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つの液滴について計算された体積を使用して、重力式注入液セットにより投与される流体の流量を制御するステップを更に備えている請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記実験データは、前記放射線経路を通過する複数の液滴の重量を量るとともにその比重に応じて各液滴の体積を決定することにより累積される請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−50755(P2011−50755A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242405(P2010−242405)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【分割の表示】特願2003−524650(P2003−524650)の分割
【原出願日】平成14年8月21日(2002.8.21)
【出願人】(504085510)ブルコ システムズ アンド ディベロップメント リミテッド (1)
【Fターム(参考)】