説明

静電フィルタ装置

【課題】静電フィルタでは、電位の印加を持続すると繊維中に帯電し、ゴミの付着で誘電現象が発生し、表面電位を低下させ、捕集性能を低下させるため、捕集性能を維持、持続するフィルタが要望されていた。
【解決手段】導電性を有する導電繊維15と、導電性を有する導電繊維8の表面を絶縁処理された絶縁繊維10と、導電繊維8と絶縁繊維10の間に電位を印加する電圧電源2と、導電繊維8と絶縁繊維10に電位を一定に保つためのコンデンサー3と、コンデンサー3の電位変動を検出する電位変動検出手段4を備えることにより、帯電した粉塵の捕集堆積による電界強度の低下を補償し、導電繊維と絶縁繊維10間の電位差、電界強度を維持して持続的に捕集性能を維持および持続することができる静電フィルタ装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
粉塵を捕集する空気清浄の分野における集塵フィルタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の静電フィルタとして、ワイヤーメッシュとして電気絶縁材のフェラメントを十字形模様に形成した静電フィルタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その静電フィルタについて図6を参照しながら説明する。
【0004】
図6に示すように、ワイヤーメッシュ101は、電気的に絶縁された導電性のワイヤー102と十字形に位置した電気的に絶縁された導電性のワイヤー103とで構成され、ワイヤー102をセットとして導電性母線104とワイヤー103をセットとして導電性母線105とで結合されている。導電性母線104と導電性母線105には、交流電圧供給源106が接続され、交流電圧供給源106より電圧が印加され、導電性のワイヤー102と導電性のワイヤー103に通電され、導電性のワイヤー102と導電性のワイヤー103の間に電位が保たれ、ワイヤーメッシュ101を通過する荷電した粒子が導電性のワイヤー102と導電性のワイヤー103に付着する。
【特許文献1】特許第2905036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の静電フィルタでは、電位の印加を持続すると繊維中に帯電し、ゴミの付着で誘電現象が発生し、表面電位を低下させ、捕集性能を低下させるため、捕集性能を維持、持続する静電フィルタ装置が要望されていた。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誘電現象で低下した表面電位を検出して電位を維持して持続的に捕集性能を維持することのできる静電フィルタ装置を提供することを目的としている。帯電した粉塵の捕集堆積による電界強度の低下を補償し捕集性能を維持、持続することのできる静電フィルタ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の導電性を有する導電繊維と導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維をフィルタ本体とし、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源と、前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と蓄電手段の電位変動を検出する検出手段を備えたものである。
【0008】
また、他の手段は、導電性を有する導電繊維と導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維をフィルタ本体とし、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源と、前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と蓄電手段の電位変動を検出する検出手段と前記導電繊維または前記絶縁繊維に印加した電位を流しコロナ放電するための電極を備えたものである。
【0009】
また、他の手段は、風上にコロナ放電するための電極を備えたものである。
【0010】
また、他の手段は、電極を針状の形状にしたことを特徴としたものである。
【0011】
また、他の手段は、導電性を有する導電繊維の表面を絶縁処理された絶縁被膜導電繊維を設けてなるフィルタ本体としたものである。
【0012】
また、他の手段は、前記電圧を印加する電圧電源を直流回路としたものである。
【0013】
また、他の手段は、前記電圧を印加する電圧電源の極性を切り替えたものである。
【0014】
また、他の手段は、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧を制御する手段を備えたものである。
【0015】
また、他の手段は、前記導電性を有する繊維の材質を Cu、Agまたは金属複合材料を設けたものである。
【0016】
また、他の手段は、前記絶縁繊維の表面の体積抵抗率を10^6Ωcm〜10^17Ωcmとしたものである。
【0017】
また、他の手段は、前記絶縁繊維の表面抵抗率を10^6Ω/□〜10^17Ω/□としたものである。
【0018】
また、他の手段は、前記絶縁繊維の表面を平滑にすることを特徴としたものである。
【0019】
また、他の手段は、前記蓄電手段の電圧が低下した時に電圧電源から、電気が通電されたものである。
【0020】
また、他の手段は、前記蓄電手段の電圧が低下した時に電圧電源から、低下する前の極性と反対の極性の電気が通電されることを設けたものである。
【0021】
また、他の手段は、前記検出手段として電流を検出したものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、導電性を有する導電繊維と、導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維と、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源と、前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と、前記蓄電手段の電位変動を検出する検出手段を備えてなる静電フィルタ装置とすることにより、誘電現象で低下した表面電位を検出して低下した電位を供給し、導電繊維と絶縁繊維間の電位差、電界強度を維持して持続的に捕集性能を維持することができるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。帯電した粉塵の捕集堆積による電界強度の低下を補償し、静電フィルタの導電繊維と絶縁繊維間の電位差、電界強度を維持して捕集性能を維持、持続することができる静電フィルタ装置を提供することができる。
【0023】
また、導電性を有する導電繊維と、導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維と、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源と、前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と、前記蓄電手段の電位変動を検出する検出手段と、コロナ放電するための電極を備えることにより、捕集性能を維持することができ、本発明の静電フィルタ装置を備えた空気清浄機、あるいは空調機の本体をコンパクト化するという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0024】
また、風上にコロナ放電するための電極を備えることにより、空気中に存在する塵埃を効率的に帯電し高い捕集ができるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0025】
また、電極を針状の形状にしたことにより、帯電しない空気中の塵埃を効率的に帯電し、少量の荷電のエネルギーで空気中の塵埃を捕集するという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0026】
また、導電性を有する導電繊維の表面を絶縁処理された絶縁被膜導電繊維を設けることにより、洗浄時に洗剤による導電繊維の腐食を防止し、フィルタ本体の耐水性を高め、何度でも利用可能という効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0027】
また、前記電圧を印加する電圧電源を直流回路にすることにより、材料素性の熱劣化を防止し、さらに蓄電手段や配線回路を容易に作製ができるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0028】
また、前記電圧を印加する電圧電源の極性を切り替えることにより、集塵部の面積を増加し、装置の容量をコンパクトに作製できるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0029】
また、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧を制御する手段を備えることにより、必要最小限の電力で、捕集機能を満たし、省エネで運転するという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0030】
また、前記導電性を有する繊維の材質を Cu、Agまたは金属複合材料を設けることにより、発熱による劣化を低減し、安全に動作できるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0031】
また、前記絶縁繊維の表面の体積抵抗率を10^6Ωcm〜10^17Ωcmにすることにより、自然に時間共に静電気が低下し、さらに安全に動作するという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0032】
また、前記絶縁繊維の表面抵抗率を10^6Ω/□〜10^17Ω/□にすることにより、自然に、時間共に静電気が低下し、さらに安全に動作するという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0033】
また、前記絶縁繊維の表面を平滑にすることにより、塵埃が付着したフィルタから塵埃を容易に洗い流せるため、何回もフィルタを再利用できるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0034】
また、前記蓄電手段の電圧が低下した時に電圧電源から、電気が通電されることにより、充電して持ち運ぶことが容易にできるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0035】
また、前記蓄電手段の電圧が低下した時に電圧電源から、低下する前の極性と反対の極性の電気が通電されることを設けることにより、付着した塵埃を回収することができるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【0036】
また、前記検出手段として電流を検出することにより、洗浄する時期を予測することができるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の請求項1記載の発明は、導電性を有する導電繊維と、導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維と、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源と、前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と、前記蓄電手段の電位変動を検出する検出手段を備えてなる静電フィルタ装置としたものであり、粉塵などが付着した際に起こる電離現象を低減させ、誘電現象で低下した表面電位を検出して低下した電位を供給し、導電繊維と絶縁繊維間の電位差、電界強度を維持して持続的に捕集性能を維持することができるという効果のある静電フィルタ装置を提供することができる。導電性を有する導電繊維と、導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維と、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源または/および前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と、前記導電繊維の表面電位を検出する表面電位検出手段を備えることにより、印加された電位と異なる極性の電位が発生しその電位分の電界強度が低下することから、絶縁繊維上で発生する電位を電圧計等の表面電位検出手段で計測し、帯電した粉塵の捕集堆積による電界強度の低下分の補償措置として、電圧電源または/および蓄電手段から静電フィルタの導電繊維と絶縁繊維の導電繊維に、絶縁繊維の表面に発生した異なる極性の電位分を上乗せして電位、電圧を供給、印加し、静電フィルタの導電繊維と絶縁繊維間の電位差、電界強度を維持することで、集塵捕集された塵埃、粉塵が堆積しても、集塵性能を低下させることなく集塵性能を維持できることとなる。
【0038】
また、導電性を有する導電繊維と、導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維と、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源と、前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と、前記蓄電手段の電位変動を検出する検出手段と、コロナ放電するための電極を備えてなる静電フィルタ装置としたものであり、大気に含まれる無電荷の塵埃に導電繊維と絶縁繊維から流れる電力を利用してできるコロナ放電により荷電することで、無荷電の塵埃の捕集性能を向上させることができるという作用を有する。
【0039】
また、風上にコロナ放電するための電極を備えたことを特徴とする請求項3記載の静電フィルタ装置としたものであり、さらに大気に含まれる塵埃の捕集を高めるという作用を有する。
【0040】
また、電極を針状の形状にしたことを特徴とする請求項2または3記載の静電フィルタ装置としたものであり、イオン発生する密度を高め、塵埃に帯電するという作用を有する。
【0041】
また、導電性を有する導電繊維の表面を絶縁処理された絶縁被膜導電繊維を設けてなるフィルタ本体とした請求項1または2記載の静電フィルタ装置としたものであり、導電繊維を被膜し、洗浄時に水付着を抑制するという作用を有する。
【0042】
また、前記電圧を印加する電圧電源を直流回路にすることを特徴とする請求項1または2記載の静電フィルタ装置としたものであり、乾電池などの簡易的な電源を用いことが可能という作用を有する。
【0043】
また、前記電圧を印加する電圧電源の極性を切り替えることを特徴とする請求項1、2または6記載の静電フィルタ装置としたものであり、少ない集塵フィルタ面積で集塵ができるという作用を有する。
【0044】
また、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧を制御する手段を備えることを特徴とする請求項1、2、6または7記載の静電フィルタ装置としたものであり、集塵に必要な電気で集塵するという作用を有する。
【0045】
また、前記導電性を有する繊維の材質を Cu、Agまたは金属複合材料を設けてなる請求項1、2、6、7または8記載の静電フィルタ装置としたものであり、内部抵抗を低減することができるという作用を有する。
【0046】
また、前記絶縁繊維の表面の体積抵抗率を10^6Ωcm〜10^17Ωcmとしてなる請求項1、2、5または8記載の静電フィルタ装置。としたものであり、放電による電圧低下や摩擦により帯電電圧上昇を制御することができるという作用を有する。
【0047】
また、前記絶縁繊維の表面抵抗率を10^6Ω/□〜10^17Ω/□としてなる請求項1、2、5、8または9記載の静電フィルタ装置としたものであり、放電による電圧低下や摩擦により帯電電圧上昇を制御することができるという作用を有する。
【0048】
また、前記絶縁繊維の表面を平滑にすることを特徴とする請求項1、2、5、8、9、または10記載の静電フィルタ装置としたものであり、洗浄の際に塵埃が落ち易く、表面が洗い易くすることができるという作用を有する。
【0049】
また、前記蓄電手段の電圧が低下した時に電圧電源から、電気が通電されることを特徴とする請求項1または2記載の静電フィルタ装置としたものであり、蓄電手段に電圧が一定な場合は、電源電圧からの電力を省くことが可能であるという作用を有する。
【0050】
また、前記蓄電手段の電圧が低下した時に電圧電源から、低下する前の極性と反対の極性の電気が通電されることを設けてなる請求項1、2または13記載の静電フィルタ装置。としたものであり、捕集面に付着した塵埃を落とし、集めることができるという作用を有する。
【0051】
また、前記検出手段として電流を検出することを特徴とする請求項1または2記載の静電フィルタ装置としたものであり、捕集された塵埃の量を検出することができるという作用を有する。
【0052】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0053】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における静電フィルタ装置の構成を示す図である。図1に示すように、静電フィルタ装置1は直流の電圧を印加する電圧電源2と直流電源から必要な静電容量を蓄電し電位を一定に保つ蓄電手段としてのコンデンサー3と蓄電手段から印加させる電圧の変動を検出する電圧計などの電位変動検出手段4と静電フィルタ5とを通電する配線で結ばれている。静電フィルタ5は、風路6内に設置し、静電フィルタ5に室内空気を送風するため、ファン7が風路の後方に設置してある。
【0054】
また、図2は静電フィルタ5の詳細を示す図である。静電フィルタ5は、例えば、1本の電気を通電する導電繊維8と、導電性を有する繊維としての1本の導電線15を絶縁被膜した絶縁繊維10で配線され、網の目のように交互に導電繊維8と絶縁繊維10が織られている。また、図3は絶縁繊維10の構成を示す図である。電気が通電する導電性を有する繊維としての導電線15の表面に電気を絶縁する絶縁物9で覆われた絶縁繊維10で構成されている。コンデンサー3と導電繊維8および絶縁繊維10の導電線15とが電気的に接続され、導電繊維8と絶縁繊維10の導電線15に異なった極性の電位、電圧が印加される。網の目のように交互に織られた導電繊維8と絶縁繊維10を保持する枠16が備えられている。
【0055】
上記構成において、室内の空気中の塵埃やゴミは、風路6を通り、電圧電源2により、例えば、直流の電圧が印加され、コンデンサー3に蓄電され、静電フィルタ5の導電繊維8と絶縁繊維10の導電線15に異なった極性の電位が供給、通電される。静電フィルタ5の導電繊維8に印加された電圧と異なった極性の電圧が導電線15に印加される。
【0056】
風路6から大気中の静電気を帯びた塵埃は導入され、静電フィルタ5を通過する際に、静電気を帯びた塵埃は、導電繊維8と絶縁繊維10の導電線15間の電界、すなわち、導電繊維8と絶縁繊維10間の電界により、どちらかの繊維の方向に移動し、導電繊維8もしくは、絶縁繊維10の表面に静電気力によって吸い付けられ、付着する。静電気を帯びない粒子は、静電フィルタ5を通過し、ファン7によって室内に放出される。また、静電フィルタ5は、塵埃からの静電気により、表面の電荷が低減し、コンデンサー3の電圧を低下させ、電位変動検出手段4により、検知することが可能となる。塵埃からの静電気により、例えば、導電繊維8の表面電荷が中和され、図には示していないが、電位変動検出手段4により低下した電位を計測し、電圧電源2から再度電気を通電し、コンデンサー3に蓄電し、電位の維持を図る。また、図示はしていないが、絶縁繊維10の表面に静電気を帯びた塵埃が付着することにより、絶縁繊維10の導電線15に印加された電位と異なる極性の電位が発生しその電位分の電界強度が低下することから、絶縁繊維10上で発生する電位を電圧計等の表面電位検出手段で計測し、低下分の補償措置として、電圧電源2あるいはコンデンサー3から静電フィルタ5の導電繊維8と絶縁繊維10の導電線15に、絶縁繊維10の表面に発生した異なる極性の電位分を上乗せして電位、電圧を供給、印加し、静電フィルタ5の導電繊維8と絶縁繊維10間の電位差、電界強度を維持することで、集塵捕集された塵埃、粉塵が堆積しても、集塵性能を低下させることなく集塵性能を維持できることとなる。
【0057】
なお、静電フィルタ5を導電繊維8と絶縁繊維10の織りものとしたが、導電繊維8の表面を絶縁被膜する繊維も、その性能の差異を生じないことは明確である。さらには、静電フィルタ5の導電繊維8表面を絶縁被膜した絶縁繊維10とすることで水や水溶性溶媒にて、絶縁繊維10の表面に付着、集塵した粉塵等を容易に洗い流すことが可能となる。
【0058】
また、電圧電源2より正負の極性をそれぞれ切り替え、コンデンサー3に供給することで、導電繊維8と絶縁繊維10間での電位差の極性が異なり、電界形成の方向が変わる。それにより、静電反発が起こり、導電繊維8あるいは絶縁繊維10の表面に付着していた粉塵等を、静電反発により導電繊維8あるいは絶縁繊維10の表面から引き離し、捕集した粉塵を下に落下させ、静電フィルタ5の下に備えた粉塵受け等に回収することが可能になる。
【0059】
また、導電繊維8と絶縁繊維10間の電界強度を一定に保つ、すなわち、導電繊維8と絶縁繊維10間の電位差を一定に保つために電圧を計測することで、荷電した粉塵が少ない場合には、印加電圧を低減し、不必要に電圧を上げないで絶縁維持の耐久性が向上することとなる。
【0060】
また、導電繊維8、導電線15の材料としてCu、Agのような内部抵抗の少ない金属材料を用いることで、絶縁被膜に熱劣化や熱による膨張を防止し、性能を維持することが可能となる。また、絶縁繊維10中の被膜から電荷が、空気中に放電しないために絶縁繊維10の被膜する材料の体積抵抗率を10^6Ωcm以上とし、さらに、絶縁繊維10表面の被膜から電荷が沿面に従って流れないために表面抵抗を10^6Ω/□以上とする。
【0061】
また、絶縁繊維10中の被膜に電荷が、粉塵などの通風によって、摩擦力から帯電しないように材料の体積抵抗率を10^17Ωcm以下とし、さらに、絶縁繊維10表面の被膜で粉塵などの通風によって、摩擦力から帯電しないように表面抵抗を10^17Ω/□以下とする。
【0062】
また、捕集された塵埃は、静電気力と繊維表面の凹凸による維持力と付着力とにより、静電フィルタ5に保持されるため、コンデンサー3よりの電位供給を停止し、導電繊維8と絶縁繊維10間の電界強度を低下させ、すなわち静電気力を低下させ、さらには、絶縁繊維10表面を粉塵の自由落下が起こる程度に凹凸を減らし、平滑にすることで、塵埃の保持力を低下させ、容易に落とすことが可能となる。
【0063】
また、コンデンサー3を利用することで、電圧電源2からの連続通電を停止し、コンデンサー3の容量にて、静電フィルタ5に電圧を印加することができる。それにより、静電フィルタ装置1を持ち運びすることが可能となり、また、コンデンサー3に充電すれば、電圧電源2に接続していなくとも、静電フィルタ5の導電繊維8と絶縁繊維10の導電繊維8に必要な電圧が供給、印加できるため、導電繊維8と絶縁繊維10間に電界が発生し、花粉あるいは粉塵等の集塵が可能となり、商用電源等の電圧電源2が使えない場所での花粉あるいは粉塵等の集塵使用が可能となる。あるいは携帯用としての使用も可能となる。
【0064】
また、コンデンサー3を蓄電した電圧が静電フィルタ5へ供給され、電圧が低下した後に極性の異なる電圧をコンデンサー3に印加することで、静電気反発力により静電フィルタ5に付着した塵埃を落とすことが可能となる。
【0065】
また、コンデンサー3の印加電圧の低下を検出する電圧計などの電位変動検出手段4を用い、電圧電源2にフィードバックし、コンデンサー3の電圧を維持することとしたが、コンデンサ−3から電流を検出して電圧電源2にフィードバックし、電流を供給する手段を用いてもよく、容易に作製することが可能となる。
【0066】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における静電フィルタ装置の構成を示す図である。実施の形態1と同一部分は同一符号を附し詳細な説明は省略する。図4、図5に基づき、説明する。
【0067】
図4は、図1に示されているように静電フィルタ装置1は、電圧電源2とコンデンサー3と電位変動検出手段4と静電フィルタ5と風路6とファン7で構成され、コンデンサー3から電圧が供給された静電フィルタ5の導電繊維の末端を放電針11に接続し、その放電針11とアースに接地した電極板である受電板14とで構成されたコロナ放電ユニット12が設置さている。また、静電フィルタ5の下部には、粉塵受け13を設けている。網の目のように交互に織られた導電繊維8と絶縁繊維10を保持する枠16が備えられている。
【0068】
上記構成において、大気に含まれる塵埃は、ファン7により風路6内を送風され、コロナ放電ユニット12および静電フィルタ5に送られ、静電フィルタ5から供給、通電される電気により、コロナ放電ユニット12で、荷電され、荷電された塵埃は、静電フィルタ5に捕集される。矢印は送風される向きを示す。静電フィルタ5本体に捕集された塵埃は、図には示していないが、電圧電源2より供給される正負の電力によりコンデンサー3に交互に蓄電することで、その交互に蓄電されたコンデンサー3により静電フィルタ5に正負の電位に交互に帯電させることで、電界の向きが交互に逆転し、捕集された粉塵が静電反発により静電フィルタ5から引き離され、粉塵受け13に自然落下する。言うまでもないが、ファン7は停止した状態にて、作動する。
【0069】
図5にコロナ放電ユニット12の詳細を静電フィルタ5の配線を含めて示す。コロナ放電ユニット12は、2個の放電針11と2個の受電板14で構成されている。それぞれの放電針11は、絶縁繊維10の導電繊維8と導電線15からそれぞれ電気が供給され、受電板14との間にコロナ放電を発生させる。受電板14は、図に示していないが、アースに接続されている。電圧電源2から、コンデンサー3に正極の電気が印加され、絶縁繊維10の導電繊維8に供給され、一方の放電針11に供給され、コロナ放電が発生し、プラスイオンが生成する。
【0070】
また、電圧電源2から、コンデンサー3に負極の電気が印加され、導電繊維8に供給され、別の放電針11に供給され、コロナ放電が発生し、マイナスイオンが生成する。プラスイオンとマイナスイオンを発生し、空気中の塵埃にどちらかのイオンが、付着し、静電フィルタ5にて捕集される。放電針11は放電できればよく、例えば、放電線でもよい。風路6に静電フィルタ5とコロナ放電ユニット12が備えられ、風路6は図示をしていないが風路枠17を骨格とした枠で囲われ、例えば、ダクト状となっている。矢印は送風される向きを示す。
【0071】
また、コンデンサー3を蓄電した電圧が静電フィルタ5本体へ供給され、電圧が低下した後に極性の異なる電圧をコンデンサー3に印加することで、導電繊維8と絶縁繊維10の導電線15間の電界の向きが逆転し静電気反発が起こり、静電フィルタ5本体の導電繊維8と絶縁繊維10に付着した塵埃を、静電気反発力により粉塵受け13に落とすことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
換気扇、空調機の吹出口に取り付けたフィルタを用いて容易にメンテナンスができ、空調機や換気扇の吹出口フィルタの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1の静電フィルタ装置を示す略図
【図2】同絶縁繊維の模式図
【図3】同静電フィルタの平面図
【図4】本発明の実施の形態2の静電フィルタ装置を示す略図
【図5】同静電フィルタの平面図
【図6】従来の静電フィルタの構成を示す略図
【符号の説明】
【0074】
1 静電フィルタ装置
2 電圧電源
3 コンデンサー
4 電位変動検出手段
5 静電フィルタ
6 風路
7 ファン
8 導電繊維
9 絶縁物
10 絶縁繊維
11 放電針
12 コロナ放電ユニット
13 粉塵受け
14 受電板
15 導電線
16 枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する導電繊維と、導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維と、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源と、前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と、前記蓄電手段の電位変動を検出する検出手段を備えてなる静電フィルタ装置。
【請求項2】
導電性を有する導電繊維と、導電性を有する繊維の表面を絶縁処理された絶縁繊維と、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源と、前記導電繊維と前記絶縁繊維に電位を一定に保つための蓄電手段と、前記蓄電手段の電位変動を検出する検出手段と、コロナ放電するための電極を備えてなる静電フィルタ装置。
【請求項3】
風上にコロナ放電するための電極を備えたことを特徴とする請求項3記載の静電フィルタ装置。
【請求項4】
電極を針状の形状にしたことを特徴とする請求項2または3記載の静電フィルタ装置。
【請求項5】
導電性を有する導電繊維の表面を絶縁処理された絶縁被膜導電繊維を設けてなる請求項1または2記載の静電フィルタ装置。
【請求項6】
前記電圧を印加する電圧電源を直流回路にすることを特徴とする請求項1または2記載の静電フィルタ装置。
【請求項7】
前記電圧を印加する電圧電源の極性を切り替えることを特徴とする請求項1、2または6記載の静電フィルタ装置。
【請求項8】
前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧を制御する手段を備えることを特徴とする請求項1、2、6または7記載の静電フィルタ装置。
【請求項9】
前記導電性を有する繊維の材質を Cu、Agまたは金属複合材料を設けてなる請求項1、2、6、7または8記載の静電フィルタ装置。
【請求項10】
前記絶縁繊維の表面の体積抵抗率を10^6Ωcm〜10^17Ωcmとしてなる請求項1、2、5または8記載の静電フィルタ装置。
【請求項11】
前記絶縁繊維の表面抵抗率を10^6Ω/□〜10^17Ω/□としてなる請求項1、2、5、8または9記載の静電フィルタ装置。
【請求項12】
前記絶縁繊維の表面を平滑にすることを特徴とする請求項1、2、5、8、9、または10記載の静電フィルタ装置。
【請求項13】
前記蓄電手段の電圧が低下した時に電圧電源から、電気が通電されることを特徴とする請求項1または2記載の静電フィルタ装置。
【請求項14】
前記蓄電手段の電圧が低下した時に電圧電源から、低下する前の極性と反対の極性の電気が通電されることを設けてなる請求項1、2または13記載の静電フィルタ装置。
【請求項15】
前記検出手段として電流を検出することを特徴とする請求項1または2記載の静電フィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−90165(P2009−90165A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260700(P2007−260700)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】