説明

静電塗装方法

【課題】塗膜の厚膜化を図ることができる静電塗装方法を提供する。
【解決手段】スプレーガン101による粉体塗料Pの噴出中、噴出部102の先端部のドライヤ部111により、ワークWに向けて熱風を送り、ワークWおよび粉体塗料Pを加熱する。ワークWに付着した粉体塗料Pの粉末は、そこで溶融して膜を形成し、ワークWと一体物となるから、その後に付着する粉体塗料Pの粉末との間に静電反発が生じない。膜の形成によってワークW全体として静電容量が大きくなるので、噴出部102に対向しない部分に粉体塗料Pが回り込むことができるのはもちろんのこと、図3に示すように、粉体塗料Pの絶縁塗膜Cを厚く形成することができる。また、この場合、ワークWの平坦部だけでなく、エッジ部Eおよびその近傍でも絶縁塗膜Cの厚膜化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗料を帯電させて静電気力によりワークに塗膜を形成する静電塗装方法に係り、特に、塗膜の厚膜化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
モーター等の電気機器では、ショートが発生すると、動力源からの火災や急な動作変化が起こり、災害を招くことから、電気機器の端子部に絶縁部を形成している。従来では、絶縁方法として、通常、シリコーン等を用いたモールドが行われ、かつBMC(バルク・モールド・コンポーネント)およびワニス等を用いた含浸処理が行われていた。
【0003】
近年では、絶縁方法として、粉体塗料をワークに塗布する粉体塗装方法が用いられ、その方法として流動浸漬方法および静電塗装方法が開発されている。粉体塗料として、エポキシや、ポリアミド、ポリエステル、アクリル等の樹脂が用いられ、絶縁部として絶縁塗膜を形成している。流動浸漬方法では、エアーにより流動化している粉体塗料の中に予熱したワークを浸漬することによりワークの表面に粉体塗料を塗布している。静電塗装方法では、帯電させた粉体塗料を噴出部から噴出して、静電気力によりワークに塗布している。流動浸漬方法および静電塗装方法のいずれの方法においても、粉体塗料の塗布後、ベーキングを行う必要がある。
【0004】
静電塗装方法では、粉体塗料が、ワークにおける噴出部に対向する部分に付着するのはもちろんのこと、噴出部に対向しない部分に回り込むことができるので、ワークの全面に粉体塗料の塗膜を形成することができる。静電塗装方法では、塗装効率の向上を図るために、粉体塗料の塗布前にワークを予熱することが提案されている(たとえば特許文献1)。
【0005】
ワークの予熱の改良方法としては、塗装装置に加熱炉を設けることが考えられる(たとえば特許文献2)。特許文献2の技術では、加熱炉内でワークを搬送しながら予熱し、予熱後に加熱炉から取り出し、粉体塗布手段により、予熱後のワークに粉体塗料として粉体樹脂を塗布する。この技術では、予熱後のワーク上で粉体樹脂を融解させることにより、粉体樹脂のワークへの塗布の容易化を図っている。この場合、加熱炉内でのワークの搬送時に、ワークを回転させることにより、予熱が均等に行われるように工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−166461号公報
【特許文献2】特開2002−45780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上のようなワークの加熱方法では、塗布中にワークの温度が大幅に低下し、塗膜の厚膜化を図ることができない。特に、ワークを加熱しない場合に厚膜形成が困難なワークのエッジ部や鋭角部およびその近傍での塗膜の厚膜化は、上記加熱方法では不十分であった。図4は、従来の静電塗装方法の問題を説明するための図であり、ワークに塗膜を形成した例を表す部分拡大模式図である。導電部201Aおよび導電部201Bからなるワーク201に対して、矢印方向から粉体塗料の噴出を行うと、エッジ部Eおよびその近傍の膜厚は、平坦部分Fと比較して非常に薄くなる。
【0008】
したがって、本発明は、塗膜の厚膜化を図ることができる静電塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の静電塗装方法は、スプレー手段によって、帯電させた粉体塗料をワークに向かって噴出することにより、粉体塗料からなる塗膜をワークに形成する方法であって、スプレー手段による粉体塗料の噴出時に、ワークを加熱することにより、ワークに付着した粉体塗料を融解させて塗膜を形成することを特徴としている。
【0010】
本発明の静電塗装方法では、スプレー手段による粉体塗料の噴出時にワークを加熱することにより、ワークに付着した粉体塗料を融解させているので、融解した粉体塗料は膜を形成し、ワークWと一体物となるから、続いて付着する粉体塗料との間に静電反発が生じない。そして、膜の形成によってワーク全体として静電容量が大きくなるので、ワークにおける噴出部に対向しない部分に粉体塗料が回り込むことができるのはもちろんのこと、粉体塗料の塗膜の厚膜化を図ることができる。すなわち、静電塗装方法による粉体塗料の回り込み性を保持しながら、粉体塗料の塗膜の厚膜化が可能となる。また、この場合、ワークの平坦部だけでなく、エッジ部や鋭角部およびその近傍でも塗膜の厚膜化を図ることができる。その結果、粉体塗料の塗着効率および回収率の向上を図ることができる。また、粉体塗料塗布前の予熱および塗布後のベーキングを塗布中の上記加熱により代替することができる。その結果、製造時間の短縮を図ることができる。
【0011】
本発明の静電塗装方法は種々の構成を用いることができる。たとえばスプレー手段による粉体塗料の噴出時に粉体塗料を加熱することができる。この態様では、噴出時に粉体塗料を加熱するので、ワークへの付着時の粉体塗料の融解が促進され、その結果、塗膜の厚膜化を効果的に行うことができる。
【0012】
ワークおよび粉体塗料への加熱は、スプレー手段に設けたドライヤー手段により行うことができる。ドライヤー手段は、粉体塗料の噴出部の内周部あるいは外周部に設けてもよく、スプレー手段の外部に配置してもよい。この態様では、ドライヤ部からの熱風の送風方向および送風量の設定を変更して調整することにより、ワークの所定箇所を選択的に加熱することができる。たとえば、ワークのエッジ部や鋭角部およびその近傍を選択的に加熱することができ、これにより粉体塗料がそれら部位に付着しやすくなるので、従来では厚膜化が困難であった部位での塗膜の厚膜化を効果的に行うことができる。
【0013】
また、熱風を適宜制御することにより、粉末塗料が熱系への侵入を防止することができるので、粉末塗料の回収率の向上を図ることができるとともに、手間のかかる装置清掃を行う必要がない。また、ワークへの加熱は、ワークに通電する通電手段により行うことができる。この態様では、ワーク全体がより良く加熱されるので、厚膜形成を効果的に行うことができる。また、ワークとしてモータを用いる場合、自己融着線の固定を同時に行うことができる。
【0014】
従来技術(特許文献2の技術)では、加熱炉を別途設け、塗装装置への搬送手段を設けるとともに、塗装装置でのステージが特殊構造を有しているため、装置が高価なものになり、しかも、加熱用熱源が大きいため、塗膜の形成必要箇所以外も加熱してしまい、熱エネルギーの損失が大きく、加熱を効率的に行うことができなかった。これに対して、本発明の静電塗装方法で用いる上記加熱手段は、簡単に設けることができるとともに、加熱炉や、搬送手段、特殊構造のステージが不要となるから、装置の低価格化を図ることができる。また、加熱手段が小さく、かつ塗膜の形成必要箇所以外を加熱することを抑制することができるので、熱エネルギーの損失が小さく、加熱を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の静電塗装方法によれば、スプレー手段による粉体塗料の塗布時にワークを加熱することにより、ワークに付着した粉体塗料を融解させているので、塗膜の厚膜化を図ることができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る静電塗装方法が適用される装置の概略構成を表し、噴霧部の側断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る静電塗装方法が適用される装置の変形例の概略構成を表し、噴霧部の側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る静電塗装方法により塗膜が形成されたワークの一例を表す図である。
【図4】従来の静電塗装方法の問題を説明するための図であり、ワークに塗膜を形成した例を表す部分拡模式大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)実施形態の構成
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る静電塗装方法が適用される静電塗装装置100の概略構成を表し、静電塗装を行っている状態の断面図である。
【0018】
静電塗装装置100は、帯電させた粉体塗料PをワークWに向かって噴出するスプレーガン101(スプレー手段)を備えている。スプレーガン101は、先端部に噴出部102を備えている。粉体塗料Pは、乾燥空気によってスプレーガン101内部から搬送され、噴出部102から噴出される。噴出部102の開口部近傍に電極103が設けられている。電極103には、そこに高電圧を印加する高電圧発生部104が接続されている。
【0019】
噴出部102の先端部には、ワークWに向けて熱風を送るドライヤ部111(ドライヤ手段、加熱手段)が設けられている。ドライヤ部111は、図1に示すように、噴出部102の外周部に設けてもよく、あるいは、図2に示すように、噴出部102から離間して設けてもよく、いずれの場合も、噴出部102の開口部をワークWに向ける。ドライヤ部111は、熱風によりワークWおよび粉体塗料Pを加熱する。
【0020】
ドライヤ部111の先端部には、ドライヤ部111からの熱風(たとえば300℃程度)をワークWに向けて絞り込む絞り部112が設けられている。ドライヤ部111の送風口からの熱風の送風方向(図1,2の矢印方向)および送風量は、絞り部112の設定を変更することにより調整可能とすることが好適である。
【0021】
ワークWには、通電によりワークWを加熱する通電部(通電手段、加熱手段、図示略)を接続してもよい。この場合、通電部は、ワークの鋭角部分やエッジ部の加熱を行うことが可能であるが、ドライヤ部を用いる場合よりもその効果が小さいから、通電部は補助加熱手段として用いることが好適である。
【0022】
ワークWはたとえばアースされ、電極103への高電圧の印加時、ワークWと電極103との間に静電界が形成され、静電界により帯電させられた粉体塗料PがワークWに向かって移動する。この場合、粉体塗料PおよびワークWの極性は、互いに反対であればよく、具体的には、粉体塗料Pがマイナスの場合にはワークWがプラスであり、粉体塗料Pがマイナスの場合にはワークWがプラスである。粉体塗料Pの材質は、限定されないが、たとえばエポキシ、ポリアミド、ポリエステル、あるいは、アクリル等の樹脂である。ワークWは導電部W1,W2を有し、導電部W1,W2の間には狭小部Nが形成されている。
【0023】
(2)実施形態の動作
本実施形態の静電塗装方法が適用される静電塗装装置100の動作について図面を参照して説明する。
【0024】
静電塗装装置100では、高電圧発生部104により電極103に高電圧を印加してワークWと電極103との間に静電界を形成する。乾燥空気によってスプレーガン101内部から搬送された粉体塗料Pは、噴出部102において、静電界によって、たとえばマイナスに帯電させられ、反対極(たとえば陽極)であるワークWに付着する。この場合、粉体塗料PのワークWへの付着は、図1,2に示すように、静電気力によって、ワークWにおける噴出部102に対向する部分に加えて、噴出部102に対向しない部分にも行われる(たとえば、粉体塗料Pは、静電気力により、ワークWの導電部W1と導電部W2との間の狭小部Nに回り込む)。
【0025】
ここで本実施形態では、粉体塗料Pの噴出中、噴出部102の先端部に設けたドライヤ部111により、ワークWに向けて熱風を送るので、その熱風によりワークWおよび粉体塗料Pが加熱される。これにより、ワークWに付着した粉体塗料Pの粉末は、そこで溶融して膜を形成し、ワークWと一体物となるから、その後に付着する粉体塗料Pの粉末との間に静電反発が生じない。そして、膜の形成によってワークW全体として静電容量が大きくなるので、噴出部102に対向しない部分に粉体塗料Pが回り込むことができるのはもちろんのこと、図3に示すように、粉体塗料Pの絶縁塗膜C(塗膜)を厚く形成することができる。また、この場合、ワークWの平坦部だけでなく、エッジ部Eおよびその近傍でも絶縁塗膜Cの厚膜化を図ることができる。
【0026】
特に、熱風によりワークWおよび粉体塗料Pを加熱しているので、ワークWの平坦部だけでなく、エッジ部Eおよびその近傍でも絶縁塗膜Cの厚膜化を効果的に図ることができる(たとえば、エッジ部Eおよびその近傍でも、たとえば1000μm程度の厚膜を形成することができる)。また、ドライヤ部111からの熱風の送風方向および送風量を、絞り部112の設定を変更して調整することにより、ワークWの所定箇所を選択的に加熱することができる。たとえばドライヤ部111の送風口を絞り部112によって細く絞ることにより送風量を調整し、ワークWのエッジ部Eおよびその近傍を選択的に加熱することができる。これにより、粉体塗料Pがエッジ部Eおよびその近傍に付着しやすくなるので、それら部位の絶縁塗膜Cの厚膜化を効果的に図ることができる
【0027】
また、熱風を適宜制御することにより、粉末塗料Pの熱系への侵入を防止することができるので、粉末塗料Pの回収率の向上を図ることができるとともに、手間のかかる装置清掃を行う必要がない。さらに、ワークWに通電すると、ワークW全体がより良く加熱されるので、厚膜形成を効果的に行うことができる。
【0028】
以上のように本実施形態では、ワークWを塗布中に加熱することにより、静電反発を防止することができるから、静電塗装方法による粉体塗料Pの回り込み性を保持しながら、粉体塗料の絶縁塗膜Cの厚膜化が可能となる。したがって、粉体塗料Pの塗着効率および回収率の向上を図ることができる。また、粉体塗料Pの塗布前の予熱および塗布後のベーキングを塗布中の上記加熱により代替することができる。その結果、製造時間の短縮を図ることができる。
【0029】
特に、噴出時に粉体塗料Pがドライヤ部111からの熱風により加熱されるので、ワークへの付着時の粉体塗料Pの融解が促進され、その結果、絶縁塗膜Cの厚膜化を効果的に行うことができる。ドライヤ部111や通電部は、簡単に設けることができるとともに、加熱炉や、搬送手段、特殊構造のステージが不要となるから、装置の低価格化を図ることができる。また、加熱手段が小さく、かつ絶縁塗膜Cの形成必要箇所以外を加熱することを抑制することができるので、熱エネルギーの損失が小さく、加熱を効率的に行うことができる。
【0030】
(3)変形例
以上、本実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、粉末塗料Pの噴出前にワークWの予熱を行ってもよい。具体的には、ワークWの所定部分を加熱するためにドライヤ部111の送風口からの熱風の送風方向および送風量を適宜調整し、ワークがたとえば150〜220程度の温度に到達した後に、粉末塗料Pの噴出を開始することができる。また、たとえばワークWの加熱前に粉末塗料Pの塗布を行うことにより、噴出部102に対向しない部分に回り込ませることができる。さらに、ドライヤ部111からの熱風の温度や絶縁塗膜の厚さは、上記実施形態の数値に限定されなく、適宜設定することができる。
【実施例】
【0031】
以下、具体的な実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。実施例では、各種静電塗装方法によりワークに粉体塗料の塗布膜を形成し、ワークの各部位(平坦部およびエッジ部)での絶縁塗膜の膜厚および硬化時間について調べた。
【0032】
(1)サンプルの作製
実験例1,2、比較実験例1では、ワークとしてモータを準備し、静電塗装方法で用いた粉体塗料としてエポキシ樹脂を用いた。
【0033】
実験例1では、通常の静電塗装方法によってモータの端子部に粉体塗料を25sec塗布し、その後、本実施形態の静電塗装方法を用い、ドライヤ部によってモータの端子部を加熱しながら、粉体塗料を5sec塗布した。これにより、モータの端子部に絶縁塗膜を形成した。実験例2では、本実施形態の静電塗装方法を用い、通電部によってモータの端子部に通電しながら、モータの端子部に粉体塗料を25sec塗布し、その後、本実施形態の静電塗装方法を用い、ドライヤ部によってモータの端子部を加熱しながら、粉体塗料を5sec塗布した。これにより、モータの端子部に絶縁塗膜を形成した。比較実験例1では、通常の静電塗装方法によってモータの端子部に粉体塗料を30sec塗布し、その後、加熱炉で加熱した(ベーキングを行った)。これにより、モータの端子部に絶縁塗膜を形成した。
【0034】
加熱温度について、実験例1では、ドライヤ部による加熱温度を300℃に設定した。実験例2では、通電部による加熱温度を150℃に設定し、ドライヤ部による加熱温度を同様に300℃に設定した。実験例2では、ドライヤ部による加熱温度を300℃に設定した。比較実験例1では、加熱炉による加熱温度を200℃に設定した。
【0035】
(2)サンプルの評価
実験例1,2、比較実験例1のサンプルについて、モータの端子部の平坦部およびエッジ部での絶縁塗膜の厚さ、および、絶縁塗膜の硬化時間(単位:sec)を調べた。その結果を表1に示す。なお、絶縁塗膜の厚さは、比較実験例1の厚さを基準(=1)として、実験例1,2の厚さを示している。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から判るように、塗布時間を等しく設定し、かつ従来技術の加熱炉を用いた比較実験例1と比較して、本実施形態のドライヤ部を用いた実験例1では、エッジ部の膜厚が10倍となり、本実施形態の通電部およびドライヤ部を用いた実験例2では、エッジ部の膜厚が16.6倍となることを確認した。これにより、本実施形態の加熱手段を用いた静電塗装方法では、従来技術の加熱炉を用いたものと比較して、同等の塗布時間にも関わらず、非常に厚い膜厚の絶縁塗膜を形成することができることが判った。
【0038】
また、実験例1では、実験例2と比較して、平坦部では絶縁塗膜が薄いにもかかわらず、エッジ部では絶縁塗膜が略同等に厚く形成されていることを確認した。これにより、本実施形態のドライヤ部からの熱風による加熱は、エッジ部への塗布に有効であることが判った。また、本実施形態のドライヤ部からの熱風による加熱では、従来技術の加熱炉を用いたものと比較して、短時間で硬化したことを確認した。本実施形態のドライヤ部からの熱風による加熱では、従来技術の加熱炉を用いたものとは異なり、所望箇所を選択的に塗布することができるのはもちろんのこと、短時間の加熱で硬化させることができることが判った。また、塗布後に高温で10min行っていた従来技術のベーキングを本実施形態のドライヤ部からの熱風の送風で代替することができ、装置構成を簡単にすることができることを確認した。
【符号の説明】
【0039】
100…静電塗装装置、101…スプレーガン(スプレー手段)、102…噴出部、103…電極、104…高電圧発生部、111…ドライヤ部(ドライヤ手段、加熱手段)、112…絞り部、C…絶縁塗膜、W…ワーク、W1,W2…導電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレー手段によって、帯電した粉体塗料をワークに向かって噴出することにより、前記粉体塗料からなる塗膜を前記ワークに形成する静電塗装方法において、
前記スプレー手段による前記粉体塗料の噴出時に、前記ワークを加熱することにより、前記ワークに付着した前記粉体塗料を融解させて前記塗膜を形成することを特徴とする静電塗装方法。
【請求項2】
前記スプレー手段による前記粉体塗料の噴出時に前記粉体塗料を加熱することを特徴とする請求項1に記載の静電塗装方法。
【請求項3】
前記ワークおよび前記粉体塗料への加熱は、前記スプレー手段に設けたドライヤ手段により行うことを特徴とする請求項1または2に記載の静電塗装方法。
【請求項4】
前記ワークへの加熱は、前記ワークに通電する通電手段により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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