説明

静電容量型入力装置用の入力ペン

【課題】 滑り性、耐磨耗性、及び耐久性を向上させることにより、スクロール等の操作の便宜を図り、長期に亘って安定して使用可能な静電容量型入力装置用の入力ペンを提供する。
【解決手段】 操作者に握持されるペン本体10の少なくとも一部に、操作者の手や指に接触する導電領域12を形成し、ペン本体10の先端部13に、多機能タイプの携帯電話1の入力操作面2に圧接するペン先20を挿着したペンであり、ペン先20を、ペン本体10の先端部13に変形可能に挿着支持される断面略U字形の薄い誘電性樹脂成形体21と、この誘電性樹脂成形体21の内面に積層されてペン本体10の導電領域12に電気的に接続される薄い導電性コート層22とから形成する。携帯電話1の入力操作面2に圧接するペン先20の圧接箇所が誘電性樹脂成形体21なので、滑り性、耐磨耗性、耐久性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話や携帯情報端末等からなる静電容量型入力装置用の入力ペンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話には様々なタイプがあるが、近年、ネットワーク機能やスケジュール・個人情報の管理機能等を加えたり、使用頻度の高い機能をカスタマイズ可能なタッチスクリーンの多機能タイプが登場し、注目されている。この多機能タイプの携帯電話1は、図9に示すように、表面の入力操作面2に複数のアイコンと呼ばれる絵記号3がファイルや機能毎に配列表示され、この複数の絵記号3中、所定の絵記号3が選択操作されたり、スクロール操作等されることにより、静電容量の変化で音声通話機能、メール機能、インターネット機能、手書き機能等が実行される。
【0003】
ところで、絵記号3の操作等に際しては、一般的には指が使用されるが、指を大事にしておきたい事情や指で文字を直接書くのが困難な事情等の存在する場合には、専用の入力ペンが使用されることがある。特に、女性は、爪先を綺麗にしておきたい美意識から、専用の入力ペンを使用することが少なくない。
【0004】
この種の入力ペンは、図示しないが、操作者に握持されるペン本体を備え、このペン本体に、操作者の手に接触する導電領域が形成され、ペン本体の先端部には、携帯電話1の入力操作面2に弾接するペン先が挿着されており、このペン先がペン本体の導電領域に電気的に接続されている(特許文献1、2、3参照)。ペン先は、例えば導電性のゴムにより指以上の太さの円柱形等に成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000‐172425号公報
【特許文献2】特開2000‐122799号公報
【特許文献3】特開平10‐161795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来における入力ペンは、以上のように構成され、タッチ操作用のペン先が導電性のゴムにより単に成形されているので、ある程度の導電性が期待できるものの、滑り性、耐磨耗性や耐久性が実に悪いという問題がある。その結果、円滑な滑り操作が期待できないので、スクロール等の操作に支障が生じたり、磨耗により長期に亘って安定して使用することができないおそれがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、滑り性、耐磨耗性、及び耐久性を向上させることにより、スクロール等の操作の便宜を図り、長期に亘って安定して使用可能な静電容量型入力装置用の入力ペンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、操作者に握持(握り持つ)されるペン本体の少なくとも一部に、操作者に接触する導電領域を形成し、ペン本体の先端部に、少なくとも静電容量型入力装置の入力操作面に近接するペン先を取り付けた入力ペンであって、
ペン先は、ペン本体の先端部に変形可能に支持される断面略U字形の誘電性樹脂成形体と、この誘電性樹脂成形体の内面に設けられてペン本体の導電領域に電気的に接続される導電性コート層とを含んでなることを特徴としている。
【0009】
なお、ペン本体を、例えば第一、第二の軸筒に分割し、第一の軸筒を導電性の材料により略筒形に形成して少なくとも操作者に接触する部分を導電領域とし、第一の軸筒の先端部内に、ペン先に係止する係止フランジを形成するとともに、第一の軸筒の末端部に、第二の軸筒の先端部を取り付けることができる。
また、ペン本体を、導電性の材料により略筒形に形成して全体を導電領域とし、このペン本体の先端部内に、ペン先に係止する係止フランジを形成することができる。
また、ペン先には、誘電性樹脂成形体の外面に被覆されるコート層を含むことができる。
【0010】
また、ペン先のコート層に複数の起毛を設けて滑性を付与することができる。
また、ペン先の誘電性樹脂成形体、導電性コート層、及びコート層のうち、少なくとも誘電性樹脂成形体と導電性コート層とに透視性をそれぞれ付与することもできる。
また、誘電性樹脂成形体に、弾性変形可能な透視性の熱可塑性エラストマーを内蔵して誘電性樹脂成形体を補強することができる。
【0011】
また、誘電性樹脂成形体とコート層のいずれか一方の先端部中央にポジションマークを形成することが可能である。
また、ペン先の誘電性樹脂成形体に、移動可能なポジションボールを内蔵することも可能である。
さらに、ペン先の誘電性樹脂成形体に、重力により流動可能なポジション液を充填することもできる。
【0012】
ここで、特許請求の範囲における導電領域は、ペン本体の手や指に接触する領域あるいは全部に形成される。この導電領域は、導電材料の採用、誘電体からなる膜の塗布や蒸着等により形成することができる。ペン先は、静電容量型入力装置の入力操作面に直接接触しても良いし、僅かな間隔をおき対向して誘電接続するものでも良い。また、静電容量型入力装置には、少なくとも静電容量を利用して入力操作する携帯電話、携帯情報端末、ゲーム機器、コンピュータ機器、医療機器等が含まれる。
【0013】
ペン先は、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。誘電性樹脂成形体は、一般的な女性の指の太さ、具体的には5〜7mm程度の太さが好ましい。さらに、ポジション液は、少なくとも各種のインクや水等の各種液体が含まれ、着色の有無を特に問うものではない。
【0014】
本発明によれば、入力ペンのペン本体を握り、操作者、ペン本体の導電領域、及びペン先の導電性コート層を電気的に接続し、静電容量型入力装置の入力操作面にペン先の誘電性樹脂成形体を少なくとも接近させれば、静電容量の変化により、入力操作面に表示された模様を選択操作したり、スライド操作、スクロール操作等することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、入力ペンの滑り性、耐磨耗性、及び耐久性を向上させることにより、スクロール等の操作の便宜を図り、長期に亘って安定して使用することができるという効果がある。
【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、静電容量型入力装置の入力操作面にペン先が接触する場合に、静電容量型入力装置の入力操作面に接触するペン先の耐久性を向上させることができる。
また、請求項3記載の発明によれば、静電容量型入力装置の入力操作面にペン先が接触する場合に、ペン先の滑り性をさらに向上させたり、柔らかく楽な操作感を得ることができる。
【0017】
また、請求項4記載の発明によれば、入力ペンの操作時に入力操作面の模様等を明瞭に把握することができ、しかも、ペン先を細くして入力操作面の模様等を視認可能とする必要がないので、静電容量の変化を高精度に検出することが可能になる。
また、請求項5記載の発明によれば、ペン本体の傾斜に伴うポジションボールの状態でペン先の位置等を明瞭に把握することが可能になる。
さらに、請求項6記載の発明によれば、ペン本体の傾きに伴うポジション液の状態でペン先等を明確に捉えることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンの実施形態を模式的に示す部分断面説明図である。
【図2】本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンの実施形態を模式的に示す要部断面説明図である。
【図3】本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンの第2の実施形態を模式的に示す要部断面説明図である。
【図4】本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンの第3の実施形態を模式的に示す要部断面説明図である。
【図5】本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンの第4の実施形態を模式的に示す要部断面説明図である。
【図6】本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンの第5の実施形態を模式的に示す要部断面説明図である。
【図7】本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンの第6の実施形態を模式的に示す要部断面説明図である。
【図8】本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンの第7の実施形態を模式的に示す要部断面説明図である。
【図9】多機能タイプの携帯電話を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における静電容量型入力装置用の入力ペンは、図1や図2に示すように、操作者に握持されるペン本体10の少なくとも一部に、操作者に接触する導電領域12を形成し、ペン本体10の先端部13に、多機能タイプの携帯電話1の入力操作面2に圧接するタッチ操作用のペン先20を挿着したペンであり、ペン先20を、中空の誘電性樹脂成形体21と、この誘電性樹脂成形体21に設けられてペン本体10の導電領域12に電気的に接続される導電性コート層22とから形成するようにしている。
【0020】
ペン本体10は、例えば導電性の材料により成形された第一の軸筒11と、絶縁性の成形材料により成形された第二の軸筒15とを備え、第一の軸筒11の開口した末端部に第二の軸筒15の開口した先端部が着脱自在に螺嵌される。第一の軸筒11は、例えば薄いSUS板や所定の金属等により細長い円筒形に形成されて全体が操作者の手や指に接触する導電領域12とされ、先端部13が先細りに形成されており、この先端部13の内周面には、ペン先20の端部に係止する平面略リング形の係止フランジ14が内方向に向けて一体形成される。
【0021】
第二の軸筒15は、例えばポリカーボネート樹脂やポリプロピレン樹脂等を含有する成形材料により細長い円筒形に形成され、操作者の使い勝手を考慮して長さが決定される。この第二の軸筒15は、開口した末端部に尾栓16が嵌着され、外周面の末端部側には、持ち運びの便宜を図る略L字形のクリップ17が一体形成される。
【0022】
ペン先20は、ペン本体10の先端部13内に変形可能に接着支持される断面略U字形の誘電性樹脂成形体21と、この誘電性樹脂成形体21の内面に積層されてペン本体10の第一の軸筒11に電気的に導通接続される導電性コート層22とを備え、これら誘電性樹脂成形体21と導電性コート層22とに選択的に透明性が付与される。
【0023】
誘電性樹脂成形体21は、例えば耐磨耗性、耐久性、寸法安定性や強度に優れる誘電性(絶縁性)のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂製の薄いフィルムにより、先端部が閉じて湾曲した有底円筒形、換言すれば、試験管形や略バルーン形に成形され、静電容量の変化を高精度に検出する観点から0.2〜1mmの厚さに調整される。このような誘電性樹脂成形体21は、一般的な女性の指の太さ、具体的にはφ5mm程度の径に形成され、携帯電話1の入力操作面2に対する圧接時にはφ7mm程度の径に膨張変形する。
【0024】
導電性コート層22は、例えば導電性を有する各種の金属薄膜(例えば、金箔や銅箔等)により先端部が閉じて湾曲した有底円筒形、換言すれば、試験管形や略バルーン形に形成され、端部が伸長して第一の軸筒11の係止フランジ14に電気的に導通係止される。この導電性コート層22は、透視性が要求される場合には、ITO、IZO、ATO等からなる薄膜、これらの材料を配合した塗料、あるいは有機導電性ポリマー塗料(信越ポリマー株式会社製:商品名PEDOT−PSS等)により形成される。
【0025】
このような導電性コート層22は、特に限定されるものではないが、例えば蒸着法、転写法、スクリーン印刷法、浸漬法等の方法により、誘電性樹脂成形体21の内面に積層接着される。
【0026】
上記構成において、入力ペンを製造する場合には、誘電性樹脂成形体21用の薄いフィルムを用意し、このフィルムに導電性コート層22を積層形成するとともに、フィルムを圧空成形法や真空成形法等により三次元成形してペン先20を形成し、その後、形成したペン先20をペン本体10の先端部13内に接着支持させて第一の軸筒11との導通性を確保すれば、入力ペンを製造することができる。
【0027】
次に、図1や図9に示す携帯電話1の所定の絵記号3を選択操作したり、スクロール操作したい場合には、入力ペンのペン本体10を握持して操作者、第一の軸筒11からなる導電領域12、及びペン先20の導電性コート層22を電気的に導通させ、携帯電話1の入力操作面2にペン先20の誘電性樹脂成形体21を圧接してやや変形させるとともに、入力操作面2に対するペン先20の接触面積を拡大すれば、静電容量の変化により、入力操作面2の絵記号3を選択操作したり、スライドあるいはスクロール操作することができる。
【0028】
上記構成によれば、携帯電話1の入力操作面2に圧接するペン先20の圧接箇所が従来の滑りにくい導電ゴムではなく、誘電性樹脂成形体21なので、滑り性、耐磨耗性、耐久性の著しい向上を図ることができる。したがって、ペン先20をミスなく円滑に滑らせることができるので、スライドやスクロール等の操作性に何ら支障の生じることがなく、しかも、長期に亘って安定して使用することができる。また、硬い金属素材ではなく、可撓性の誘電性樹脂成形体21を使用するので、携帯電話1の入力操作面2を傷付けたり、摺接跡の残存することがない。
【0029】
また、ペン先20の誘電性樹脂成形体21と導電性コート層22とをそれぞれ透明にすれば、操作の際に絵記号3がペン先20に隠蔽されて視認不能となり、操作性が低下するのを有効に防ぐことができる。絵記号3がペン先20に隠蔽されて視認不能となる事態は、ペン先20を細くすれば解消することができるが、ペン先20に指程度の太さを確保しないと、静電容量の変化を検出することができず、使用を断念して指で操作せざるを得ない。したがって、ペン先20を透明にすれば、入力ペンの操作時にも絵記号3等を明瞭に把握することができ、しかも、静電容量の変化を高精度に検出することも可能になる。
【0030】
次に、図3は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、ペン先20の導電性コート層22に別体の補強層23を新たに積層被覆するようにしている。
補強層23は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂製のフィルムが用いられ、必要に応じて単数あるいは複数枚が積層される。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0031】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、簡易な構成でペン先20の薄い誘電性樹脂成形体21が過剰に変形して損傷するのを有効に防止することができるのは明らかである。
【0032】
次に、図4は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、ペン先20を透明に形成し、誘電性樹脂成形体21の表面の先端部中央にポジションマーク24を着色して形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、着色されたポジションマーク24の目印機能により、入力ペンの操作位置等を明瞭に把握することができるのは明らかである。
【0033】
次に、図5は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、ペン先20を透明に形成してその誘電性樹脂成形体21の導電性コート層22内には、重力により移動可能なポジションボール25を隙間を介し遊嵌して内蔵するようにしている。
【0034】
第一の軸筒11の先端部13内周面には、ペン先20の開口した端部に接触して閉塞する導電性の閉塞板18が一体形成され、この閉塞板18が遊嵌されたポジションボール25の脱落を防止するよう機能する。ポジションボール25としては、静電容量の検出に資する観点から、表面に金属薄膜が被覆された樹脂製のボールや金属製のボール等が使用される。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0035】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、ペン本体10の傾きに伴うポジションボール25の状態で入力ペンの操作箇所等を正確に把握することができるのは明白である。
【0036】
次に、図6は本発明の第5の実施形態を示すもので、この場合には、ペン先20を透明に形成してその誘電性樹脂成形体21の導電性コート層22内には、重力により移動(流動)可能な有彩色のポジション液26を充填するようにしている。
【0037】
第一の軸筒11の先端部13内周面には、ペン先20の開口した端部に接触して閉塞する導電性の閉塞板18が一体形成され、この閉塞板18が充填されたポジション液26の漏洩を防止する。また、ポジション液26としては、有彩色(例えば赤色、青色、黄色、橙色等)の着色インク、蛍光インク、着色されたシリコーンゲル等が使用される。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0038】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、ペン本体10の傾きに伴うポジション液26の状態で入力ペンの操作位置等を明瞭に把握することができるのは明白である。
【0039】
次に、図7は本発明の第6の実施形態を示すもので、この場合には、誘電性樹脂成形体21の外面に別体のコート層27を新たに積層被覆するようにしている。
コート層27は、例えばアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂等からなり、耐磨耗性や耐擦傷性に優れるハードコート層として機能する。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0040】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、ペン先20の耐久性が大幅に向上するので、ペン先20が部分的に薄くなって操作に支障を来たすのを防ぐことができる。
【0041】
次に、図8は本発明の第7の実施形態を示すもので、この場合には、誘電性樹脂成形体21の外面に別体のコート層27を積層被覆し、このコート層27の表面に多数の起毛28を接着するようにしている。
起毛28は、特に限定されるものではないが、例えば柔軟なフェルト状のタイプ等が使用される。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0042】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、多数の起毛28により、ペン先20の滑性をさらに向上させたり、柔らかく楽な操作感を得たり、長時間の操作が実に容易になる。
【0043】
なお、上記実施形態では携帯電話1の入力操作面2にペン先20を直接圧接したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、操作に支障を来たさなければ、入力操作面2にペン先20を僅かな間隔をおいて近接し、これらを誘電接続(誘電体を挟んで二つの導電体が配置された構成の接続)するようにしても良い。また、ペン本体10を第一、第二の軸筒11・15に分割したが、長い一本の軸筒としてその少なくとも一部に導電領域12を形成しても良い。また、ペン本体10を長い一本の軸筒としてその先端部13にキャップを着脱自在に嵌合しても良い。
【0044】
また、ペン本体10の少なくとも第一の軸筒11に誘電体からなる塗膜(例えば、導電性インクや導電性ポリマー等)を塗布して導電領域12を形成しても良い。また、ペン本体10の第二の軸筒15にLEDとLED用の電源とをそれぞれ内蔵し、ペン先20を透明に形成して発光させ、ポジションマーク化することもできる。また、ペン先20の誘電性樹脂成形体21と導電性コート層22の端部は、略面一に揃っていても良いし、相違していても良く、又閉じていても良い。
【0045】
また、ペン先20の導電性コート層22内に、弾性変形可能な透視性の熱可塑性エラストマー(例えば、ウレタンや緩衝性に優れるシリコーンゲル等)を内蔵して撓む誘電性樹脂成形体21を補強することもできる。また、ペン先20の導電性コート層22内に、弾性変形可能な透明の誘電材(例えば、硬化したシリコーンゴムや流動性のシリコーンゴム等)を内蔵して静電容量の検出精度をさらに向上させることもできる。
【0046】
また、上記実施形態ではペン先20の誘電性樹脂成形体21と導電性コート層22とに透視性をそれぞれ付与したが、コート層27が積層される場合、誘電性樹脂成形体21、導電性コート層22、及びコート層27に透視性をそれぞれ付与することもできる。また、コート層27が積層される場合、誘電性樹脂成形体21ではなく、コート層27の先端部中央にポジションマーク24を着色して形成することも可能である。さらに、必要に応じ、第1〜第7の実施形態を自由に組み合わせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る静電容量型入力装置用の入力ペンは、携帯電話、携帯情報端末、ゲーム機器、コンピュータ機器等の分野で使用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 携帯電話(静電容量型入力装置)
2 入力操作面
3 絵記号
10 ペン本体
11 第一の軸筒
12 導電領域
13 先端部
14 係止フランジ
18 閉塞板
20 ペン先
21 誘電性樹脂成形体
22 導電性コート層
23 補強層
24 ポジションマーク
25 ポジションボール
26 ポジション液
27 コート層
28 起毛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者に握持されるペン本体の少なくとも一部に、操作者に接触する導電領域を形成し、ペン本体の先端部に、少なくとも静電容量型入力装置の入力操作面に近接するペン先を取り付けた静電容量型入力装置用の入力ペンであって、
ペン先は、ペン本体の先端部に変形可能に支持される断面略U字形の誘電性樹脂成形体と、この誘電性樹脂成形体の内面に設けられてペン本体の導電領域に電気的に接続される導電性コート層とを含んでなることを特徴とする静電容量型入力装置用の入力ペン。
【請求項2】
ペン先は、誘電性樹脂成形体の外面に被覆されるコート層を含んでなる請求項1記載の静電容量型入力装置用の入力ペン。
【請求項3】
ペン先のコート層に複数の起毛を設けて滑性を付与した請求項2記載の静電容量型入力装置用の入力ペン。
【請求項4】
ペン先の誘電性樹脂成形体、導電性コート層、及びコート層のうち、少なくとも誘電性樹脂成形体と導電性コート層とに透視性をそれぞれ付与した請求項2又は3記載の静電容量型入力装置用の入力ペン。
【請求項5】
ペン先の誘電性樹脂成形体に、移動可能なポジションボールを内蔵した請求項4記載の静電容量型入力装置用の入力ペン。
【請求項6】
ペン先の誘電性樹脂成形体に、重力により流動可能なポジション液を充填した請求項4記載の静電容量型入力装置用の入力ペン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−48437(P2012−48437A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189089(P2010−189089)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】