説明

静電容量検出装置および静電容量検出装置の製造方法

【課題】 検出感度を向上させつつ、静電容量検出装置を静電破壊から保護できるようにする。
【解決手段】 補助電極31がマトリクス状に配置されるとともに、行方向に延伸された静電気保護電極32が補助電極31間に形成された静電容量検出装置において、静電気保護電極32上に配置された突出電極33を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電容量検出装置および静電容量検出装置の製造方法に関し、特に、静電容量型指紋センサに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップが搭載されたICカード(マスターカード)は、磁気ストライプカードと比較して、大容量化が可能である上に、セキュリティが高く、偽変造が困難で不正使用が難しいという利点を有している。また、ICカードは、複数のアプリケーションに対応可能で、オフライン処理が可能であることから、ホストの負荷の軽減に貢献することができる。このため、ICカードは、クレジットカードやキャッシュカードの他、電子マネー、電子商取引、医療保険分野、鉄道やバスなどの交通機関、ビルの入退室管理などへの展開が盛んに行われている。
【0003】
また、このようなICカードの普及に伴って、情報保護やアクセス制限などの観点から、ICカードのさらなる安全性が求められてきており、ICカードに指紋センサを搭載することで、個人認証機能をICカードに持たせることが行われている。
また、例えば、特許文献1には、薄膜半導体にて形成された静電容量型指紋センサにおいて、静電容量型指紋センサに指を接触させた時に人体に帯電した静電気が放電してトランジスタなどが破壊されることを防止するため、静電容量型指紋センサの誘電体膜上に静電気保護電極を設け、この静電気保護電極を接地させる方法が開示されている。
【特許文献1】特開平4−231803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、静電容量型指紋センサの誘電体膜上に静電気保護電極を設けるため、新たな寄生容量が発生し、検出感度が低下するという問題があった。また、検出感度を上げるために、静電容量型指紋センサの誘電体膜上に補助電極を設けると、人体に帯電した静電気が静電気保護電極ではなく、補助電極に放電され、静電容量型指紋センサが破壊されるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、検出感度を向上させつつ、静電破壊から保護することが可能な静電容量検出装置および静電容量検出装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、静電容量を検出する容量検出電極と、前記容量検出電極上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成され、前記容量検出電極に放電される静電気を徐電する静電気保護電極と、前記静電気保護電極に接続された突出電極とを備えることを特徴とする。
これにより、突出電極に電界集中を起こさせることが可能となり、人体に帯電した静電気を突出電極を介して静電気保護電極に効率よく放電させることができる。このため、静電気保護電極の配置面積を削減することができ、静電気保護電極に起因する寄生容量を減らすことが可能となることから、検出感度の低下を抑制しつつ、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
【0007】
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記突出電極は前記静電気保護電極上に配置されていることを特徴とする。
これにより、寄生容量を増加させることなく、突出電極を配置することが可能となり、検出感度の低下を抑制しつつ、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記突出電極の先端は先鋭化されていることを特徴とする。
これにより、突出電極に電界集中を効率よく起こさせることが可能となり、人体に帯電した静電気を突出電極を介して静電気保護電極に効率よく放電させることができる。
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記容量検出電極はマリトックス状に配置され、前記容量検出電極にて検出された静電容量を読み出すスイッチング素子と、前記スイッチング素子を選択する選択回路をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、容量検出電極はマリトックス状に配置することで、静電容量が2次元平面上でどのように変化しているかを検出することができ、簡易な構成にて静電容量型指紋センサを実現することが可能となるとともに、光源が不要であるため静電容量検出装置を薄型化することができ、ICカードなどに容易に搭載することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記静電気保護電極は2行に1本の割合または複数行に1本の割合で配置されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、静電気保護電極の本数を削減することを可能としつつ、指が誘電体膜に触れる前に突出電極に触れるようにすることができる。このため、静電気保護電極に起因する寄生容量を減らすことを可能としつつ、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記突出電極は1列に1個の割合または少なくとも2列に1個の割合で配置されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、突出電極の配置数を適宜設定することが可能となり、人体に帯電した静電気を突出電極を介して静電気保護電極に効率よく放電させることができる。
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記静電気保護電極は前記容量検出電極と重なり合わないように配置されていることを特徴とする。
これにより、容量検出電極による静電容量の検出が妨げられることを回避しつつ、静電気保護電極を配置することが可能となる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記誘電体膜を介して前記静電気保護電極と重なり合うように配置された補助電極をさらに備えることを特徴とする。
これにより、誘電体膜上に静電気保護電極を設けた場合においても、静電容量の変化を効率よく検出することが可能となり、検出感度を向上させつつ、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記静電気保護電極と前記補助電極は同一の材質から構成されていることを特徴とする。
これにより、静電気保護電極と補助電極とを同一工程内において一括形成することが可能となり、製造工程の煩雑化を抑制しつつ、検出感度を向上させることが可能となるとともに、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置によれば、前記突出電極は前記補助電極よりも高さが高いことを特徴とする。
これにより、指が補助電極に触れる前に突出電極に触れるようにすることができる。このため、人体に帯電した静電気が静電気保護電極ではなく、補助電極に放電されることを防止することができ、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置の製造方法によれば、容量検出電極上に配置された誘電体膜上に導体層を形成する工程と、静電気保護電極に対応して配置された第1レジストパターンを前記導体層上に形成する工程と、前記第1レジストパターンをマスクとして前記導体層の等方性エッチングを行うことにより、両側から迫り上がるように第1傾斜面が形成された導体パターンを形成する工程と、突出電極に対応して配置された第2レジストパターンを前記導体パターンに跨るように形成する工程と、前記第2レジストパターンをマスクとして前記導体パターンの等方性エッチングを行うことにより、前記誘電体膜上に配置された静電気保護電極を形成するとともに、前記第1傾斜面と異なる方向から迫り上がるように第2傾斜面が形成された突出電極を前記静電気保護電極上に形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、導体層の等方性エッチングを2回に分けて行うことにより、静電気保護電極上に突出電極を配置することができ、製造工程の煩雑化を抑制しつつ、静電気保護電極および突出電極を形成することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置の製造方法によれば、容量検出電極上に配置された誘電体膜上に導体層を形成する工程と、静電気保護電極および補助電極に対応して配置された第1レジストパターンを前記導体層上に形成する工程と、前記第1レジストパターンをマスクとして前記導体層の等方性エッチングを行うことにより、両側から迫り上がるように傾斜面が形成された第1導体パターンおよび平板状の第2導体パターンを形成する工程と、突出電極に対応して配置された第2レジストパターンを前記第1導体パターンに跨るように形成する工程と、前記第2レジストパターンをマスクとして前記第1導体パターンおよび前記第2導体パターンの等方性エッチングを行うことにより、前記誘電体膜上に配置された静電気保護電極および補助電極を形成するとともに、前記第1傾斜面と異なる方向から迫り上がるように第2傾斜面が形成された突出電極を前記静電気保護電極上に形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
これにより、導体層の等方性エッチングを2回に分けて行うことにより、静電気保護電極上に突出電極を配置することが可能となるとともに、補助電極を形成することができ、製造工程の煩雑化を抑制しつつ、補助電極、静電気保護電極および突出電極を形成することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る静電容量検出装置の製造方法によれば、前記第1レジストパターンの幅は前記第2レジストパターンの幅よりも広いことを特徴とする。
【0018】
これにより、静電気保護電極上に突出電極をエッチングにて形成する際に、静電気保護電極となる導体層が消失することを防止することができ、製造工程の煩雑化を抑制しつつ、静電気保護電極および突出電極を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る静電容量検出装置およびその製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る静電容量検出装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、静電容量検出装置1にはセルアレイ2が設けられ、セルアレイ2には、行方向に延伸されたM本の走査線Y1〜YMおよび列方向に延伸されたN本の個別出力線X1〜XNが形成されている。そして、走査線Y1〜YMおよび個別出力線X1〜XNとの各交点には、ユニットセルUがマトリクス状に配置されている。ここで、各ユニットセルUには、指との間で形成された静電容量を検出する容量検出電極Dおよび容量検出電極Dにて検出された静電容量を読み出すトランジスタMが設けられている。そして、トランジスタMのゲートは容量検出電極Dに接続され、トランジスタMのドレインは走査線Yiに接続され、トランジスタMのソースは個別出力線Xjに接続されている。ここで、容量検出電極D上には誘電体膜が形成され、誘電体膜上に接触した指と容量検出電極Dとの間でキャパシタを構成することができる。
【0020】
また、セルアレイ2には、突出電極8が設けられた静電気保護電極7が形成され、静電気保護電極7は、静電容量検出装置1の接地電位、或いは静電容量検出装置1に電力を供給する電源9の負電位に接続されている。ここで、静電気保護電極7は容量検出電極D上に形成された誘電体膜上に配置することができる。なお、静電気保護電極7は容量検出電極1と重なり合わないように配置することが好ましい。また、突出電極8の先端は先鋭化されていることが好ましく、例えば、突出電極8の形状としては角錐や円錐とすることができる。また、静電気保護電極7は走査線Y1〜YMに対して2行に1本の割合または複数行に1本の割合で配置することができ、突出電極8は個別出力線X1〜XNに対して1列に1個の割合または少なくとも2列に1個の割合で配置することができる。
【0021】
また、セルアレイ2の周囲には、スタートパルスSPYを走査線Y1〜YMに順次出力することにより、走査線Y1〜YMを順次選択する走査線選択回路3が設けられるとともに、スタートパルスSPXを個別出力線X1〜XNに順次出力することにより、個別出力線X1〜XNを順次選択し、容量検出電極Dにて検出された静電容量値LDOUTを読み出す出力信号選択回路5が設けられている。また、走査線選択回路3には、スタートパルスSPYを転送するためのクロックCLYを生成するY側クロック生成器4が接続され、出力信号選択回路5には、スタートパルスSPXを転送するためのクロックCLXを生成するX側クロック生成器6が接続されている。
【0022】
そして、指紋照合を行う場合、容量検出電極D上に形成された誘電体膜に指を接触させることにより、容量検出電極Dとの間でキャパシタを構成する。ここで、容量検出電極D上に形成された誘電体膜に指を接触させる場合、誘電体膜に指が接触する前に突出電極8に指を接触させることができる。そして、指が突出電極8に接触すると、人体に帯電した静電気が突出電極8を介して静電気保護電極7に放電され、静電容量検出装置1を静電破壊から保護することができる。ここで、静電気保護電極7上に突出電極8を設けることにより、突出電極8に電界集中を起こさせることが可能となり、人体に帯電した静電気を静電気保護電極7を介して効率よく逃がすことが可能となる。
【0023】
そして、容量検出電極Dとの間でキャパシタが構成されると、その静電容量に応じてトランジスタMのゲート電位が制御される。そして、Y側クロック生成器4はクロックCLYを走査線選択回路3に供給することにより、走査線選択回路3にてスタートパルスSPYを走査線Y1に出力させ、走査線Y1を選択させる。また、走査線Y1が選択された状態でX側クロック生成器6はクロックCLXを出力信号選択回路5に順次供給し、スタートパルスSPXを転送しながら個別出力線X1〜XNにスタートパルスSPXを順次供給することにより、個別出力線X1〜XNを順次選択させる。そして、走査線Y1が選択された状態で個別出力線X1〜XNが順次選択されると、走査線Y1に接続されるとともに、個別出力線X1〜XNにそれぞれ接続されたトランジスタMから、容量検出電極Dにて検出された静電容量値LDOUTが順次読み出される。
【0024】
図2は、図1の静電容量検出装置のユニットセルの概略構成を示す断面図である。
図2において、基材11上には半導体薄膜が形成され、半導体薄膜には、チャネル層12が形成されるとともに、チャネル層12を挟みこむように配置されたドレイン層13およびソース層14が形成されている。さらに、チャネル層12が形成された半導体薄膜には、ドレイン層13から延伸されるように配置された下部電極15が形成されている。また、上部電極18上には誘電体膜16が積層されるとともに、誘電体膜16から延伸されるように配置されたゲート絶縁膜17がチャネル層12上に形成されている。
【0025】
さらに、誘電体膜16上には、下部電極15と対向するように配置された上部電極18が形成されるとともに、ゲート絶縁膜17上には、上部電極18から延伸されるように配置されたゲート電極19が形成されている。なお、誘電体膜16を介して配置された下部電極15および上部電極18は基準コンデンサを構成することができ、チャネル層12上に配置されたゲート電極19、ドレイン層13およびソース層14は、スイッチング素子を構成することができる。
【0026】
さらに、ゲート電極19上には第1層間絶縁膜20が積層され、第1層間絶縁膜20上には、ソース層14に接続された第1配線21が形成されている。また、第1配線21が形成された第1層間絶縁膜20上には第2層間絶縁膜22が積層され、第2層間絶縁膜22上には、ドレイン層13に接続された第2配線23が形成されている。また、第2配線23が形成された第2層間絶縁膜22上には第3層間絶縁膜24が積層され、第3層間絶縁膜24上には、ゲート電極19に接続された静電容量電極25が形成されている。そして、静電容量電極25が形成された第3層間絶縁膜24上には、誘電体膜26が積層され、誘電体膜26上には、補助電極27が形成されるとともに、突出電極29が配置された静電気保護電極28が形成されている。ここで、補助電極27は、静電容量電極25と互いに重なり合うように配置することが好ましい。また、静電気保護電極25と補助電極27は同一の材質から構成することができる。さらに、突出電極29は補助電極27よりも高さが高いことが好ましい。
【0027】
そして、補助電極27に指を接触させると、容量検出電極25との間でキャパシタが構成され、その静電容量に応じてゲート電極19の電位が制御される。そして、第1配線21、23をそれぞれ介してソース層14およびドレイン層13の電位を制御することにより、容量検出電極25にて検出された静電容量値が読み出すことができる。
ここで、突出電極29高さが補助電極27よりも高くなるようにすることにより、補助電極27に指が接触する前に突出電極29に指を接触させることができる。そして、指が突出電極29に接触すると、人体に帯電した静電気を突出電極29を介して静電気保護電極28に放電させることができ、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
【0028】
また、誘電体膜26上に補助電極27を設けることにより、誘電体膜26上に静電気保護電極28を設けた場合においても、静電容量の変化を効率よく検出することが可能となり、検出感度を向上させつつ、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
図3は、本発明の一実施形態に係る静電容量検出装置の補助電極31および突出電極33が形成された静電気保護電極32のレイアウト方法を示す平面図である。
【0029】
図3において、静電容量検出装置には、補助電極31がマトリクス状に配置されるとともに、補助電極31間には行方向に延伸された静電気保護電極32が形成されている。そして、静電気保護電極32上には突出電極33が形成されている。なお、静電気保護電極32は、2行に1本の割合で配置することが好ましい。また、突出電極33は、列方向には幾つあってもよい。これにより、静電気保護電極32の本数を削減することを可能としつつ、指が補助電極31に触れる前に突出電極33に触れるようにすることができる。このため、静電気保護電極32に起因する寄生容量を減らすことを可能としつつ、静電容量検出装置を静電破壊から保護することが可能となる。
【0030】
また、上述した実施形態では、突出電極33を静電気保護電極32上に配置する方法について説明したが、突出電極33は静電気保護電極32上に必ずしも配置する必要はなく、補助電極31の間に任意の場所に配置するようにしてもよい。この場合、突出電極33と静電気保護電極32とを接続するための配線層を別途設けることができる。
図4は、図3の補助電極31および突出電極33が形成された静電気保護電極32の形成方法を示す断面図、図5は、図4(a)の工程におけるレジストパターンF1の形状を示す平面図、図6は、図4(c)の工程におけるレジストパターンF2の形状を示す平面図、図7は、図4(b)の工程における導体パターン35の形状を示す斜視図、図8は、図4(c)の工程におけるレジストパターンF2の形状を示す斜視図、図9は、図4(d)の工程における突出電極33が形成された静電気保護電極32の形状を示す斜視図である。
【0031】
図4(a)において、スパッタ、蒸着またはCVDなどの方法によって誘電体膜34上に導体層35を形成する。なお、導体層35の材質としては、Alなどの金属膜の他、ITOなどの透明導電膜を用いることができる。そして、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、図5に示すように、静電気保護電極32および補助電極31に対応して配置されたレジストパターンF1を導体層35上に形成する。
【0032】
次に、図4(b)および図7に示すように、レジストパターンF1をマスクとして導体層35の等方性エッチングを行うことにより、両側から迫り上がるように傾斜面K1、K2が形成された導体パターン35aおよび平板状の導体パターン35bを形成する。
次に、図4(c)、図6および図8に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、突出電極33に対応して配置されたレジストパターンF2を導体パターン35aに跨るように形成する。
【0033】
次に、図4(d)および図9に示すように、レジストパターンF2をマスクとして導体パターン35a、35bの等方性エッチングを行うことにより、誘電体膜34上に配置された静電気保護電極32および補助電極31を形成するとともに、傾斜面K1、K2と異なる方向から迫り上がるように傾斜面K3、K4が形成された突出電極33を静電気保護電極32上に形成する。
【0034】
これにより、導体層35の等方性エッチングを2回に分けて行うことにより、静電気保護電極32上に突出電極33を配置することが可能となるとともに、補助電極31を形成することができ、製造工程の煩雑化を抑制しつつ、補助電31極、静電気保護電極32および突出電極33を誘電体膜34上に形成することが可能となる。
ここで、レジストパターンF1の幅はレジストパターンF2の幅よりも広くすることが好ましい。すなわち、1回目のエッチング後の導体パターン35aの高さをd、導体パターン35aの傾斜面K1、K2が底辺となす角をθ1、レジストパターンF1の幅をW1とすると、以下の(1)式の関係が成り立つ。
d=W1/2・tanθ1 ・・・(1)
また、2回目のエッチング後の静電気保護電極32の高さをh、静電気保護電極32の傾斜面K3、K4が底辺となす角をθ2、レジストパターンF2の幅をW2とすると、以下の(2)式の関係が成り立つ。
d=W2/2・tanθ2 ・・・(2)
そして、2回目のエッチング後に静電気保護電極32が残るためには、h<dの関係を満たす必要があり、θ1=θ2が成り立つものとすると、W2<W1となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る静電容量検出装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1の静電容量検出装置のユニットセルの概略構成を示す断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る静電容量検出装置の補助電極31および突出電極33が形成された静電気保護電極32のレイアウト方法を示す平面図。
【図4】図3の補助電極31および突出電極33が形成された静電気保護電極32の形成方法を示す断面図。
【図5】図4(a)の工程におけるレジストパターンF1の形状を示す平面図。
【図6】図4(c)の工程におけるレジストパターンF2の形状を示す平面図。
【図7】図4(b)の工程における導体層35の形状を示す斜視図。
【図8】図4(c)の工程におけるレジストパターンF2の形状を示す斜視図。
【図9】図4(d)の工程における突出電極33が形成された静電気保護電極32の形状を示す斜視図。
【符号の説明】
【0036】
1 静電容量検出装置、2 セルアレイ、3 走査線選択回路、4 Y側クロック生成器、5 出力信号選択回路、6 X側クロック生成器、7 静電気保護電極、8 突出電極、9 電源、U ユニットセル、X1〜XN 個別出力線、Y1〜YM 走査線、M トランジスタ、D、25 容量検出電極、11 基材、12 チャネル層、13 ドレイン層、14 ソース層、15 下部電極、16、26、34 誘電体膜、17 ゲート絶縁膜、18 上部電極、19 ゲート電極、20 第1層間絶縁膜、21 第1配線、22 第2層間絶縁膜、23 第2配線、24 第3層間絶縁膜、27、31 補助電極、28、32 静電気保護電極、29、33 突出電極、35 導体層、35a、35b 導体パターン、F1、F2 レジストパターン、K1〜K4 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量を検出する容量検出電極と、
前記容量検出電極上に形成された誘電体膜と、
前記誘電体膜上に形成され、前記容量検出電極に放電される静電気を徐電する静電気保護電極と、
前記静電気保護電極に接続された突出電極とを備えることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項2】
前記突出電極は前記静電気保護電極上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の静電容量検出装置。
【請求項3】
前記突出電極の先端は先鋭化されていることを特徴とする請求項1または2記載の静電容量検出装置。
【請求項4】
前記容量検出電極はマリトックス状に配置され、
前記容量検出電極にて検出された静電容量を読み出すスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を選択する選択回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の静電容量検出装置。
【請求項5】
前記静電気保護電極は2行に1本の割合または複数行に1本の割合で配置されていることを特徴とする請求項4記載の静電容量検出装置。
【請求項6】
前記突出電極は1列に1個の割合または少なくとも2列に1個の割合で配置されていることを特徴とする請求項4または5記載の静電容量検出装置。
【請求項7】
前記静電気保護電極は前記容量検出電極と重なり合わないように配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の静電容量検出装置。
【請求項8】
前記誘電体膜を介して前記静電気保護電極と重なり合うように配置された補助電極をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の静電容量検出装置。
【請求項9】
前記静電気保護電極と前記補助電極は同一の材質から構成されていることを特徴とする請求項8記載の静電容量検出装置。
【請求項10】
前記突出電極は前記補助電極よりも高さが高いことを特徴とする請求項8または9記載の静電容量検出装置。
【請求項11】
容量検出電極上に配置された誘電体膜上に導体層を形成する工程と、
静電気保護電極に対応して配置された第1レジストパターンを前記導体層上に形成する工程と、
前記第1レジストパターンをマスクとして前記導体層の等方性エッチングを行うことにより、両側から迫り上がるように第1傾斜面が形成された導体パターンを形成する工程と、
突出電極に対応して配置された第2レジストパターンを前記導体パターンに跨るように形成する工程と、
前記第2レジストパターンをマスクとして前記導体パターンの等方性エッチングを行うことにより、前記誘電体膜上に配置された静電気保護電極を形成するとともに、前記第1傾斜面と異なる方向から迫り上がるように第2傾斜面が形成された突出電極を前記静電気保護電極上に形成する工程とを備えることを特徴とする静電容量検出装置の製造方法。
【請求項12】
容量検出電極上に配置された誘電体膜上に導体層を形成する工程と、
静電気保護電極および補助電極に対応して配置された第1レジストパターンを前記導体層上に形成する工程と、
前記第1レジストパターンをマスクとして前記導体層の等方性エッチングを行うことにより、両側から迫り上がるように傾斜面が形成された第1導体パターンおよび平板状の第2導体パターンを形成する工程と、
突出電極に対応して配置された第2レジストパターンを前記第1導体パターンに跨るように形成する工程と、
前記第2レジストパターンをマスクとして前記第1導体パターンおよび前記第2導体パターンの等方性エッチングを行うことにより、前記誘電体膜上に配置された静電気保護電極および補助電極を形成するとともに、前記第1傾斜面と異なる方向から迫り上がるように第2傾斜面が形成された突出電極を前記静電気保護電極上に形成する工程とを備えることを特徴とする静電容量検出装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1レジストパターンの幅は前記第2レジストパターンの幅よりも広いことを特徴とする請求項11または12記載の静電容量検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−343257(P2006−343257A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170466(P2005−170466)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】