説明

静電容量結合方式タッチスイッチ装置

【課題】操作者の手が近づいた時に入力が行え、特に操作者とスイッチ電極間の距離が遠い時に入力できる静電容量結合方式を利用したタッチスイッチ装置を提供する。
【解決手段】CPU1が、第1の切換器5,6と第2の切換器8を制御し、複数のスイッチ電極間を接続して、一つの仮のスイッチ電極と成し、操作者の手と仮のスイッチ電極間の静電容量の変化を、周波数生成部9で周波数に変換し、周波数をインプットキャプチャ10でデジタルデータとし、デジタルデータが閾値以上では、第1の切換器5,6と第2の切換器8を制御して、複数のスイッチ電極間を分離し、複数のスイッチ電極のデジタルデータを順次計測し、CPU1がスイッチ電極のオン/オフを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力方式に静電容量結合方式を利用した入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、不特定多数の人が利用するエレベータ、自販機、発券機などのスイッチでは、病気感染の可能性があり、スイッチに接触しないで入力を要望する操作者がいる一方、確実にスイッチに接触して操作を行いたいという操作者もいる。
【0003】
従来、非接触型入力裝置、接触型入力装置として、静電容量結合方式を利用したタッチスイッチを設けた入力装置が知られ、静電容量結合方式を利用したタッチスイッチは、スイッチ電極をスイッチと規定し、指または手がそのスイッチ電極に近づいたことを検出するものであり、スイッチのオン/オフを検出するデジタル入力装置である。
【0004】
非接触型、接触型のタッチスイッチ装置として、近接する物体(例えば、操作者の手または指)とタッチスイッチ装置との距離が遠いときには、タッチスイッチ裝置に設けられている複数のスイッチ電極を共通に接続し、複数の電極によって静電容量を高感度に検出する。また、物体(例えば、操作者の手または指)とタッチスイッチ装置の距離が近いときには、タッチスイッチ裝置に設けられている複数のスイッチ電極をそれぞれ電気的に分離した接続状態に接続し、操作者が選択可能なスイッチ数を増加させるようにして、スイッチ電極の面積を制御し、検知感度を調整するような提案がなされている(特開2007−18811号公報 参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007−18811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献では、操作者の手とスイッチ装置との距離が遠いときに、タッチスイッチ裝置に設けられている複数のスイッチ電極を接続し、仮の1つのスイッチ電極として、静電容量を計測し、操作者の手が近づき、第1の閾値を超えたときには、仮の1つのスイッチ電極を分離して、複数のスイッチ電極にして、各スイッチ電極の静電容量を計測し、計測した各スイッチ電極の静電容量と第2の閾値とを比較し、超えたときにはスイッチのオフ、さらに、計測した各スイッチ電極の静電容量を第3の閾値とを比較し、超えたときにはスイッチをオンにしていた。しかしながら、操作者の手とスイッチ装置との距離が遠い状態で、かつ、第1の閾値を超えたときの状態では、手が近づいたことは認識するが、更に近づいて第2、第3の閾値の判断ができるようになるまでは、個々のスイッチのON,OFFができなかった。
分離した複数のスイッチ電極の計測した静電容量は小さく、第2の閾値を越えなければ、さらに、第3の閾値と比較できず、スイッチのオンが行えなかった。
本発明は、上述した従来の問題点を考慮してなされたものであり、操作者の手が近づいたときに入力が行え、特に、操作者の手とスイッチ電極間の距離が遠いときに入力できる静電容量結合方式を利用したタッチスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
PETフィルム上またはポリイミドフィルム上に銀ペーストの導電体を印刷した均一な抵抗体からなるスイッチ電極、またはITOフィルム(酸化インジウムスズ)をエッチング処理して形成した抵抗体からなる複数のスイッチ電極を有する静電容量結合方式タッチスイッチ装置において、前記複数のスイッチ電極間の接続を切換える第1の切換器と、複数のスイッチ電極を切換える第2の切換器と、第2の切換器を介して複数のスイッチ電極と接続するコンデンサと抵抗とで周波数を生成する周波数生成部と、該周波数生成部で生成された周波数を読み取るインプットキャプチャと、該インプットキャプチャで読み取った周波数をデジタルデータとして格納するメモリ部と、マイクロプロセッサであるCPUおよび制御するプログラムを格納したROMとからなり、前記CPUが、前記第1の切換器と前記第2の切換器を制御し、複数のスイッチ電極間を接続して、一つの仮のスイッチ電極と成し、操作者の手と仮のスイッチ電極間の静電容量の変化を、前記周波数生成部で周波数に変換し、前記周波数をインプットキャプチャでデジタルデータとし、該デジタルデータが閾値以上では、前記第1の切換器と前記第2の切換器を制御して、複数のスイッチ電極間を分離し、複数のスイッチ電極のデジタルデータを順次計測し、前記CPUが該順次計測したデジタルデータの大小の判定によって、前記スイッチ電極のオン/オフを判断することを特徴とする静電容量結合方式タッチスイッチ装置を提案するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、マイクロプロセッサであるCPUとソフトウェアにより、複数のアナログスイッチと複数のスイッチ電極との接続の組み合わせを制御し、操作者の手がスイッチ電極に近づいたときの入力が行え、特に、操作者の手とスイッチ電極間の距離が遠いときのスイッチ入力を可能にする入力装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】静電容量結合方式2スイッチの構成図
【図2】簡易構成図A
【図3】簡易構成図B
【図4】フローチャート
【図5】静電容量結合方式4スイッチの構成図
【図6】簡易構成図D
【図7】簡易構成図E
【図8】フローチャート
【図9】フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って、本発明に係る入力装置の実施の形態について説明する。
本発明で、2個のスイッチ電極を用いた場合の例とした構成を図1に示す。本発明の静電容量方式を用いた入力装置は、接触、非接触で手の位置を検出するためのスイッチ電極2個(以下スイッチ電極5およびスイッチ電極6とする。)有し、スイッチ電極5とスイッチ電極6の隙間をあけ並べて配置し、スイッチ電極5とスイッチ電極6を選択するため切換器、例えば、アナログスイッチASW21、22、31及びアナログスイッチを制御する選択器8、コンデンサcと抵抗r(図示せず。)とで形成された周波数を生成する周波数発生器9、周波数発生器9で得られた周波数をこの周波数より速い既知のクロック(図示せず)で個数を計りデジタルデータに変換するインプットキャプチャ10、インプットキャプチャ10で生成されたデジタルデータを格納するram3、eeprom4及びプログラムが格納されたrom2、制御を行うマイクロプロセッサであるcpu1、スイッチのオン/オフの状態を他の装置(図示せず)へ転送する送信部7を装備している。また、RAM3には、デジタルデータを保存するBASE11、BASE12、BASE21、cap11、cap12、cap21を配置している(図示せず)。
スイッチ電極5および6は、PETフィルム上またはポリイミドフィルムの領域に銀ペースト等の導電体を印刷した均一な抵抗体、またはITOフィルム(酸化インジウムスズ)をエッチング処理して形成した均一な抵抗体である。スイッチ電極5および6の面積は、同じ大きさが好ましいが、違う大きさでもかまわない。
また、操作者の手の状況に応じた回路構成からのデジタルデータの選択を行う。図2、図3には、図1のアナログスイッチを制御した2つの回路構成を示している。
【0011】
まず、簡易構成Bについて、図1、図3を用いて述べる。簡易構成Bは、本装置に、操作者の手が近づいているかを判断するために、個々のスイッチ電極を接続したときのデジタルデータを計測する。
【0012】
この構成Bは、アナログスイッチASW31をオンにする。そして、アナログスイッチASW21をオン、asw22をオフにして、スイッチ電極5とスイッチ電極6を接続した状態で、一つのスイッチ電極としてデジタルデータを計測する。これにより、手と1つの電極の個々で形成する静電容量を同じとした場合に対して、接続して一つの電極として面積を大きくすることにより、同じ静電容量を検出するときには、手と電極間の距離を長くすることができる。操作者の手の導電体がスイッチ電極5、6に近づくにつれ、手とスイッチ電極5、6の間の静電容量が増加し、発振周波数が変化する。一般にコンデンサCと抵抗Rとで形成された周波数発生器9の発振周波数は、コンデンサの静電容量Cと抵抗の電気抵抗値Rを用いて表され式f=1.44/(C*R)に比例する。手がスイッチ電極5、6に近づくと、手とスイッチ電極5、6で挟んだ平行板コンデンサが形成される。このコンデンサの容量は、手がスイッチ電極5、6に近づくほど大きくなる。このため、発振周波数は手がスイッチ電極5、6に近づくほど周波数は遅くなる。電源を入れたときの計測開始時に、手が接触、非接触していない状態でのインプットキャプチャ10で読まれたデジタルデータをBASE21としてraM3に格納し、計測中はデジタルデータをcap21に格納する。
【0013】
スイッチ電極5、6の上で手を検出できる距離(高さ)を決めるには、前記のインプットキャプチャ10で読まれたデジタルデータを元に、スイッチ電極5、6より手を検出できる距離(高さ)を予め測定し、EEPROM4内に閾値データT21として格納する。距離(高さ)の閾値データT21と設定したとき、前記で読まれたbase21とcap21の差がT21の値未満であれば、スイッチ電極5、6の上に手がないと判断しスイッチ電極5、6のオフの情報を送信部7から出力し、計測を続ける。
base21とcap21の差がT21の値以上のときには、簡易構成Aに進む。
次に、簡易構成Aについて、図1、図2を用いて述べる。簡易構成Aは、操作者の手が一つのスイッチ電極に近づいたと判断した場合、スイッチ電極を分離して、個々にスイッチ電極のデジタルデータを計測する。
【0014】
この構成Aは、アナログスイッチASW31をオフにする。そして、アナログスイッチASW21をオン、asw22をオフにして、スイッチ電極5のデジタルデータを計測する。操作者の手である導電体がスイッチ電極5に近づくにつれ、手とスイッチ電極5の間の静電容量が増加し、発振周波数が変化する。一般にコンデンサCと抵抗Rとで形成された周波数発生器9の発振周波数は、コンデンサの静電容量Cと抵抗の電気抵抗値Rを用いて表され式f=1.44/(C*R)に比例する。手がスイッチ電極5に近づくと、手とスイッチ電極5で挟んだ平行板コンデンサが形成される。このコンデンサの容量は、手がスイッチ電極5に近づくほど大きくなる。このため、発振周波数は手がスイッチ電極5に近づくほど周波数は遅くなる。電源を入れたときの計測開始時に、手が接触、非接触していない状態でのインプットキャプチャ10で読まれたデジタルデータをBASE11としてraM3に格納し、計測中はデジタルデータをcap11としてram3に格納する。
【0015】
同様に、構成Aにおいて、アナログスイッチASW31をオフにする。そして、アナログスイッチASW22をオン、asw21をオフにして、スイッチ電極6のデジタルデータを計測する。源を入れたときの計測開始時に、手が接触、非接触していない状態でのインプットキャプチャ10で読まれたデジタルデータをBASE12としてraM3に格納し、計測中はデジタルデータをcap12としてram3に格納する。
【0016】
そして、base11とcap11の差がbase12とcap12の差以上の時には、スイッチ電極5のオン、スイッチ電極6のオフの情報を送信部7から出力し、それ以外のときには、スイッチ電極5のオフ、スイッチ電極6のオンの情報を送信部7から出力する。
そして、簡易構成Bに戻る。
【0017】
簡易構成A、Bを用いることにより、複数のスイッチ電極に対して、操作者の手が、本装置に近づいたときに入力が行え、特に、操作者の手とスイッチ電極間の距離が遠いときのスイッチ入力が行える。
【0018】
ここで、図4のフローチャートを用いて説明する。まず、簡易構成aでの初期化を行う。
CPU1は、アナログスイッチASW31をオフにする(S1)。そして、アナログスイッチASW21をオンにし、アナログスイッチASW22をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたBASE11に保存する(S2)。同様に、アナログスイッチASW21をオフにし、アナログスイッチASW22をオンにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたBASE12に保存する(S3)。
次に、簡易構成bでの初期化を行う。CPU1は、アナログスイッチASW31をオンにする(S4)。そして、アナログスイッチASW21をオンにし、アナログスイッチASW22をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたBASE21に保存する(S5)。
以上の、S1からS5は、初期化のプログラムである。
【0019】
以降がメインのプログラムである。
まず、簡易構成aでの計測を行う。CPU1は、アナログスイッチASW31をオフにする(S10)。そして、アナログスイッチASW21をオンにし、アナログスイッチASW22をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたCAP11に保存する(S11)。同様に、アナログスイッチASW21をオフにし、アナログスイッチASW22をオンにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたCAP12に保存する(S12)。
次に、簡易構成bでの計測を行う。CPU1は、アナログスイッチASW31をオンにする(S13)。そして、アナログスイッチASW21をオンにし、アナログスイッチAWS22をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたCAP21に保存する(S14)。
【0020】
そして、簡易構成bでの比較は、仮の一つのスイッチ電極でのオン/オフの判断を行う。S21で、base21とcap21との差分がrom4に保存している閾値t21未満ならば、操作者の手が非常に離れている状態と判断し、スイッチ電極5のオフ(s28)と、スイッチ電極6のオフ(S29)の情報を送信部7より出力し、s10に戻る。
【0021】
s21で閾値t21以上ならば、s19に進み、簡易構成Aでの2つのスイッチ電極のデジタルデータの差分の大小比較を行う。s19では、base11とcap11との差分がbase11とcap11との差分以上ならば、スイッチ電極5のオフ(S30)と、スイッチ電極6のオン(S31)の情報を送信部7より出力し、s10に戻る。s19で、base11とcap11との差分がbase11とcap11との差分未満ならば、スイッチ電極5のオン(S32)と、スイッチ電極6のオフ(S33)の情報を送信部7より出力し、s10に戻る。
以上のフローチャートに沿って制御を行う。
【0022】
本発明は、複数のスイッチ電極と複数のアナログスイッチを配置している。マイクロプロセッサであるCPUおよびソフトウェアによるアナログスイッチを制御し、各スイッチ電極との接続、スイッチ電極間の接続を変更する。まず、アナログスイッチを制御して、スイッチ電極間を接続し、本装置に、操作者の手が近づいているかを判断するために静電容量を周波数生成部で周波数に変換し、前記周波数をインプットキャプチャでデジタルデータとして計測する。デジタルデータの変化が小さく、離れていると判断した場合は、全てのスイッチ電極のオフ情報を出力する。デジタルデータの変化が大きく、近づいていると判断した場合は、スイッチ電極間の接続を分離し、どのスイッチ電極に近いかを、各スイッチ電極のデジタルデータを計測し、デジタルデータの変化が一番大きいスイッチ電極をオンとし、その他のスイッチ電極をオフとするスイッチ情報を出力することができる。
尚、各スイッチ電極の面積や材質が異なる場合は、計測したデジタルデータに倍率やオフセットを用いて調整することもできる。
【実施例1】
【0023】
本実施例の静電容量方式を用いた入力装置は、接触、非接触で手の位置を検出するための面積が同じスイッチ電極4個(以下スイッチ電極5、スイッチ電極6、スイッチ電極105およびスイッチ電極106とする)有し、スイッチ電極5とスイッチ電極6とスイッチ電極105とスイッチ電極106の隙間をあけ並べて2行2列に配置し、スイッチ電極5とスイッチ電極6とスイッチ電極105とスイッチ電極106を選択するためのアナログスイッチASW21、ASW22、ASW23、ASW24、ASW31、ASW32、ASW33、ASW34及びアナログスイッチを制御する選択器8、コンデンサcと抵抗r(図示せず。)とで形成された周波数を生成する周波数発生器9、周波数発生器9で得られた周波数の個数を計りデジタルデータに変換するインプットキャプチャ10、インプットキャプチャ10で生成されたデジタルデータを格納するram3、eeprom4及びプログラムが格納されたrom2、制御を行うマイクロプロセッサであるcpu1、スイッチのオン/オフの状態を他の装置、例えばパソコン(図示せず)へ転送する送信部11を装備している。また、RAM3には、デジタルデータを保存するBASE11、BASE12、BASE13、BASE14、BASE21、cap11、cap12、cap13、cap14、cap21を配置している(図示せず)。
また、アナログスイッチasw21とスイッチ電極5と接続、アナログスイッチasw22とスイッチ電極6と接続、アナログスイッチasw23とスイッチ電極105と接続、アナログスイッチasw24とスイッチ電極106と接続している。cpu1は、スイッチ電極5とスイッチ電極6との接続をアナログスイッチasw31で制御し、スイッチ電極5とスイッチ電極105との接続をアナログスイッチasw32で制御し、スイッチ電極6とスイッチ電極106との接続をアナログスイッチasw33で制御し、スイッチ電極105とスイッチ電極106との接続をアナログスイッチasw34で制御する。
また、操作者の手の状況に応じた回路構成からのデジタルデータの選択を行う。図6、図7には、図5のアナログスイッチを制御した2つの簡易構成を示している。
【0024】
まず、簡易構成Eについて、図5、図7を用いて述べる。簡易構成Eは、本装置に、操作者の手が近づいているかを判断するために、個々のスイッチ電極を接続したときのデジタルデータを計測する。
【0025】
この構成eは、アナログスイッチASW31〜34をオンにする。そして、アナログスイッチASW21をオンし、ASW22〜24をオフにして、スイッチ電極5とスイッチ電極6とスイッチ電極105とスイッチ電極106を接続した状態で、一つのスイッチ電極として手との静電容量を周波数発生9とインプットキャプチャ10を介してデジタルデータを計測する。
base21とcap21の差がT21の値未満のときには、簡易構成Dに進む。
次に、簡易構成dについて、図5、図6を用いて述べる。簡易構成dは、操作者の手が一つのスイッチ電極に近づいたと判断した場合、スイッチ電極を分離して、個々のスイッチ電極のデジタルデータを計測する。
【0026】
ここで、図8、図9のフローチャートを用いて説明する。
まず、簡易構成dでの初期化を行う。CPU1は、アナログスイッチASW31〜34をオフにする(S101)。そして、アナログスイッチASW21をオンにし、その他のアナログスイッチASW22、23、24をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたBASE11に保存する。同様に、アナログスイッチASW22〜24を順番にオンにし、オン以外のその他のアナログスイッチASW21〜24をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたBASE12〜14に保存する(S102)。
次に、簡易構成Eでの初期化を行う。CPU1は、アナログスイッチASW31〜34をオンにする(S103)。そして、アナログスイッチASW21をオンにし、アナログスイッチASW22、23、24をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたBASE21に保存する(S104)。
以上の、S101からS104は、初期化プログラムである。
【0027】
以降がメインプログラムである。
まず、簡易構成Dでの計測を行う。CPU1は、アナログスイッチASW31〜34をオフにする(S110)。そして、アナログスイッチASW21をオンにし、その他のアナログスイッチASW22、23、24をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたCAP11に保存する。同様に、アナログスイッチASW22〜24を順番にオンにし、オン以外のその他のアナログスイッチASW21〜24をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたCAP12〜14に保存する(S111)。
次に、簡易構成Eでの計測を行う。CPU1は、アナログスイッチASW31〜34をオンにする(S112)。そして、アナログスイッチASW21をオンにし、アナログスイッチASW22、23、24をオフにして、周波数発生器9からのインプットキャプチャ10を介して計測したデジタルデータをRAM3内に設けたCAP21に保存する。(S113)。
【0028】
そして、簡易構成Eでの比較は、仮の一つのスイッチ電極のオン/オフの判断を行う。
S123では、base21とcap21との差分がrom4に保存している閾値t21未満ならば、操作者の手が非常に離れている状態と判断し、スイッチ電極5、6、105、106のオフ(S127)の情報を送信部7より出力し、s110に戻る。
【0029】
s123で閾値t21以上ならば、s150に進み、簡易構成Dでの4つのスイッチ電極のデジタルデータの差分の中から一番大きなものを選択する。そして、base11とcap11との差分が一番大きい場合(S151)には、スイッチ電極5のオン、スイッチ電極6、105、106のオフの情報を送信部7より出力し(S154)、s110に戻る。同様に、base12とcap12との差分が一番大きい場合(S152)には、スイッチ電極6のオン、スイッチ電極5、105、106のオフの情報を送信部7より出力し(S155)、s110に戻る。同様に、base13とcap13との差分が一番大きい場合(S153)には、スイッチ電極105のオン、スイッチ電極5、6、106のオフの情報を送信部7より出力し(S156)、s110に戻る。同様に、base14とcap14との差分が一番大きい場合には、スイッチ電極106のオン、スイッチ電極5、6、105のオフの情報を送信部7より出力し(S157)、s110に戻る。
【0030】
以上のような制御方法を用いることにより、操作者の手とスイッチ電極間の距離が遠いときの入力が可能になる。
【符号の説明】
【0031】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 EEPROM
5 スイッチ電極
6 スイッチ電極
7 送信部
8 選択器
9 周波数発生器
10 インプットキャプチャ
11 アナログスイッチ
12 アナログスイッチ
13 アナログスイッチ
14 アナログスイッチ
21 アナログスイッチ
22 アナログスイッチ
23 アナログスイッチ
24 アナログスイッチ
31 アナログスイッチ
32 アナログスイッチ
33 アナログスイッチ
34 アナログスイッチ
105 スイッチ電極
106 スイッチ電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PETフィルム上またはポリイミドフィルム上に銀ペーストの導電体を印刷した均一な抵抗体からなるスイッチ電極、またはITOフィルム(酸化インジウムスズ)をエッチング処理して形成した抵抗体からなる複数のスイッチ電極を有する静電容量結合方式タッチスイッチ装置において、前記複数のスイッチ電極間の接続を切換える第1の切換器と、複数のスイッチ電極を切換える第2の切換器と、第2の切換器を介して複数のスイッチ電極と接続するコンデンサと抵抗とで周波数を生成する周波数生成部と、該周波数生成部で生成された周波数を読み取るインプットキャプチャと、該インプットキャプチャで読み取った周波数をデジタルデータとして格納するメモリ部と、マイクロプロセッサであるCPUおよび制御するプログラムを格納したROMとからなり、前記CPUが、前記第1の切換器と前記第2の切換器を制御し、複数のスイッチ電極間を接続して、一つの仮のスイッチ電極と成し、操作者の手と仮のスイッチ電極間の静電容量の変化を、前記周波数生成部で周波数に変換し、前記周波数をインプットキャプチャでデジタルデータとし、該デジタルデータが閾値以上では、前記第1の切換器と前記第2の切換器を制御して、複数のスイッチ電極間を分離し、複数のスイッチ電極のデジタルデータを順次計測し、前記CPUが該順次計測したデジタルデータの大小の判定によって、前記スイッチ電極のオン/オフを判断することを特徴とする静電容量結合方式タッチスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−34058(P2012−34058A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169811(P2010−169811)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】