説明

静電荷像現像用トナー、その製造方法及び評価装置

【課題】 トナー粒子の表面形状をSPM法により測定し、安定した流動性の得られる表面形状を規定することにより、ドット再現性の良い高画質が得られるようにした静電荷像現像用トナーとその製造方法の提供。
【解決手段】 少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させ、粉体表面形状をSPM法により測定した際に、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が5%になるのときの高さが60〜200nmの範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一成分現像又は二成分現像装置に用いる静電荷像現像用トナー、その製造方法及び評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、重合トナーにおいて、樹脂の分離構造で表面に適当な凹凸を持たせる発明が開示されている。球状トナーは添加剤を添加しても、その特性が劣化し易く耐久性に問題があった。その解決手段として、重合途中での温度変化によりトナー表面の凹凸を変化させ、表面形状をコントロールして解決したものである。しかし、この発明ではトナー表面の周期性に関しては規定しておらず、ランダムな表面性でも良いことになり高画質には適していない。
また、特許文献2には、静電潜像担持体と現像剤担持体との間に振動電界を作用させて現像を行なう方法において、トナーの表面形状性をD/d50(D:トナーの形状を球と仮定した時のBET比表面積からの換算粒径、d50:粒径別相対重量分布の50%相当粒径)という数値で表して、その数値を規定した発明が開示されている。これは現像領域でのトナーの移動性を良くすることを狙ったものである。しかし、この表面形状性の規定の仕方では、表面性の周期性に関しては述べていないので、トナー間にバラツキが生じ、高画質を実現することが難しい。
これに対し本発明では、トナーの表面形状を直接測定した結果、トナー粒子表面の凹凸の周期性が流動性に非常に重要であることが分かり、それを規定したものである。これにより、現像域でのトナーの流動性を向上させ、均一なトナーブラシを実現でき、ドット再現性の優れた高画質を得ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平5−341573号公報
【特許文献2】特開平11−295989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複写機やプリンタなどの画質は高画質化が進んでおり、最近では細かいドットの再現性が非常に重要になって来ている。このドットの再現性は、トナーや現像剤の帯電量などの他に、流動性に非常に影響され、細かい潜像部に均一なトナー層又は現像剤層を安定して供給することが必要になって来ている。
また、高画質化が進むにつれて、それに用いられるトナーにおいては、小粒径化、高機能化が進んでいる。そのためトナーの構造が複雑になってきており、従来より細かい作製時の制御が必要となってきている。特に、トナーの流動性はドット再現性の他に種々の画像品質に影響を与えるため、非常に重要な技術であるとされている。
また、トナーの作製法が粉砕方式から重合法等の他の方式に変化したとき、製造条件に対しての流動特性の変化が大きく、粉砕方式の場合に比較して、細かい作製時のコントロール及び評価が必要となっている。
本発明は、トナー粒子の表面形状をSPM法により測定し、安定した流動性の得られる表面形状を規定することにより、ドット再現性の良い高画質が得られるようにした静電荷像現像用トナーとその製造方法の提供を目的とする。
【0005】
上記課題は、次の1)〜24)の発明によって解決される。
1) 少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させ、粉体表面形状をSPM法により測定した際に、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が5%になるのときの高さが60〜200nmの範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2) 少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させ、粉体表面形状をSPM法により測定した際に、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が20%になるのときの高さが50〜160nmの範囲内にあることを特徴とする1)記載の静電荷像現像用トナー。
3) 粉体(母体)の表面形状をSPM法により測定した際に、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において凸部占有面積が5%になるのときの高さが10〜50nmの範囲内にあることを特徴とする1)又は2)記載の静電荷像現像用トナー。
4) 粉体(母体)の平均円形度が0.9〜0.99であることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
5) 粉体(母体)が重合法によって作製されたものであることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
6) 粉体(母体)の表面に付着又は固着した添加剤が、体積平均粒径10〜200nmの無機微粉体からなることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
7) 粉体(母体)の表面に付着又は固着した添加剤が、少なくとも体積平均粒径10〜100nmの無機微粉体と体積平均粒径100〜200nmの他の無機微粉体からなることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
8) 粉体(母体)の表面に付着又は固着した添加剤が、体積平均粒径10〜200nmの電荷制御剤からなることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
9) 粉体(母体)の中に電荷制御剤を含んでいることを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
10) 粉体(母体)の中に離型剤を含んでいることを特徴とする1)〜9)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
11) 粉体(母体)の中に離型剤の分散剤を含んでいることを特徴とする10)記載の静電荷像現像用トナー。
12) 樹脂の少なくとも1種類が下記一般式(1)で表される結晶性ポリエステルであることを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
[−O−CO−CR=CR−CO−O−(CH−] (1)
(n、mは繰り返し単位の数,R、Rは炭化水素基)
13) 粉体(母体)が、樹脂と顔料を予め混練させた組成物を用いて作製されたものであることを特徴とする1)〜12)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
14) トナーの体積平均粒径が4〜8μmであることを特徴とする1)〜13)の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
15) 1)〜14)の何れかに記載の静電荷像現像用トナーを用いて、接触又は非接触現像を行なうことを特徴とする一成分現像法。
16) ドクターローラ及び/又は供給ローラを用いることを特徴とする15)記載の一成分現像法。
17) 1)〜14)の何れかに記載の静電荷像現像用トナーと、粒径20〜70μmのキャリアを用いて現像することを特徴とする二成分現像法。
18) ACバイアス電圧成分を印加して現像することを特徴とする15)〜17)の何れかに記載の現像法。
19) 1)〜14)の何れかに記載の静電荷像現像用トナーを入れたトナーカートリッジ又はプロセスカートリッジ。
20) 少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させた粉体の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が5%のときの高さが60〜200nmとなるようにすることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
21) 少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させた粉体の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が20%のときの高さが50〜160nmとなるようにすることを特徴とする20)記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
22) 少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において凸部占有面積が5%のときの高さが10〜50nmである粉体(母体)を用いることを特徴とする20)又は21)記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
23) 少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させたトナー粉体の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が5%のときの高さが60〜200nmとなっているかどうかを判定する機能を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー評価装置。
24) 少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させたトナー粉体の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が20%のときの高さが50〜160nmとなっているかどうかを判定する機能を有することを特徴とする23)記載の静電荷像現像用トナー評価装置。
【0006】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明者らは、少なくとも樹脂と顔料からなる粉体の表面に添加剤を付着又は固着させ、粉体表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において凸部占有面積が5%になるのときの高さが60〜200nmの範囲内となるような構造とすることにより、ドット再現性の良い高画質の得られる静電荷像現像用トナーが得られることを見出した。
SPM(Scanning Probe Microscope)法は、先端10nmφ位の探針を走査して、探針と試料表面の原子との間に働く原子間力を感知し、試料表面形状等を測定する方法である。非常に分解能が高く、探針の走査方向(X方向)に対するZ方向の凹凸形状の測定ができる。
【0007】
本発明者らは、トナー粒子表面をSPMの探針で走査させ、トナー粒子表面の凹凸形状測定を行なった(図1参照)。その結果、良好な流動性を示すトナー粒子の場合には、図2のような凸部高さ面積分布(面分析による凹凸の高さ分布)になることが分かった。図2の横軸は占有面積率を示し、縦軸は凹凸高さ(深さ方向を+にしているため、−符号で数値の大きい方が高くなる)を示す。また500nm×500nmのエリアにおいて凸部占有面積が5%になるときの高さと流動性の関係を調べた結果、図3のようになった。凸部占有面積が5%になるときの高さとは、種々の高さの凹凸を有する粒子表面を一定の高さで平面的に切断した際に、該切断された凸部の切断面の面積の総和がエリア面積の5%を占めるときの高さである。流動性の評価は円錐ロータ装置を用いて行なった。本装置は、粉体相中に円錐ロータを回転させながら、侵入させたり(下降)引抜いたり(上昇)し、そのときに円錐ロータやトナー粉体相が入っている容器にかかるトルクや荷重を測定し、そのトルクや荷重の値により流動性を評価するものである。その結果、トナー粒子表面において、500nm×500nmの面積の5%になるのときの高さが60〜200nmのの範囲内となる場合にトルクが小さくなり流動性が良くなることが分かった。60nmより低い場合には粒子間の付着力を小さくすることが出来ないためにトルクが大きくなり流動性は悪くなった。また、200nmより高くなると凹凸による粒子間の摩擦成分が大きくなり流動性が悪くなった。流動性にはランダムな周期の凹凸が効いているように考えられるが、ある程度規則的で適度な凸部を持つことが非常に重要で、花粉などが非常に流動性が良いのは規則的な凹凸を有しているためと考えられている。このように規則的で適度な凸部があれば、部分的に粒子の変形や粒子表面に吸着物が存在しても動き易さへの影響は小さくなる。
【0008】
本発明では、トナー粒子表面の500nm×500nmのエリアをSPM法により繰返し測定し規則的な凹凸を評価した。エリア内での凹凸の分布を評価することにより、従来行なわれていた線分析の場合よりも精度が高くなり、実際の流動性等の特性に対応した評価が可能になった。トナーの体積平均粒径が4〜8μmと小さいため、探針をトナー粒子表面の一部に近づけたり接触させたりして測定するSPM法では、評価面積は、500nm×500nmが最適である。評価面積が1000nm×1000nmより大きくなると凹凸の周期の評価が粗くなるし、トナー粒子表面の湾曲補正をしたりする必要が出てきたりして問題となる。評価面積が100nm×100nmより小さくなると、細かすぎて最適な凹凸周期の評価ができなくなるし、測定回数も増やす必要が出てきて問題となる。
更に、トナー粒子表面の凸部の高さの条件は、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において凸部占有面積が20%になるのときの高さが50〜160nmの範囲内となるようにすることが好ましい。50nmより低い場合には粒子間の付着力を小さくし難く流動性が悪くなり易いし、凸部が160nmより高くなると粒子間の摩擦成分が大きくなり流動性が悪くなり易い。
【0009】
このような構造を作るのは、今までの異形粒子等では難しい部分があったが、最近の粉体を作る方式では粒子を球形化する技術が進んでおり、球状に近い粒子表面を微粒子で表面処理することにより、ある程度の規則的な周期の凹凸を持つ構造が可能になる。微粒子を添加する前の粉体(母体)では、球状に近い表面の500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において凸部占有面積が5%になるときの高さが10〜50nmの範囲内であるものが好ましい。粉体(母体)の表面が凹凸の激しい粗い表面を持っていると、微粒子の添加処理を行なっても表面形状をコントロールすることが容易でなく、最適な構造を作り出すことが難しい。よって微粒子の添加処理は粉体(母体)の形状によって影響されるが、粉体(母体)の平均円形度が0.9〜0.99である球形に近い場合に微粒子の添加処理の効果に優れ、ドット再現性に優れた高画質化を実現できる。円形度が0.9未満では本発明の最適構造の効果は小さい。
【0010】
トナー粒子表面の形状は、添加剤の微粒子の種類、粒径、添加する際の混合条件や固着注入条件によってコントロールできる。
添加する微粒子の種類は無機微粉体が最適であり、その体積平均粒径は10〜200nmの小さい粒径のものが最適である。10nmより小さい粒径の場合には凹凸の効果を作り出すことが難しく、200nmより大きい粒径の場合には適正な凹凸を作り出すことが難しくなる。体積平均粒径10〜100nmの無機微粉体と体積平均粒径100〜200nmの他の無機微粉体を組合せて樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に付着又は固着させても良い。
無機微粉体としては、Si、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。更に、疎水化処理剤等により表面改質処理することが有効である。疎水化処理剤の代表例としては、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等が挙げられる。
【0011】
無機微粉体の添加量は、トナーに対して0.1〜5重量%が好ましい。0.1重量%未満では、トナー流動性を改善する効果が乏しくなり、5重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じ易い傾向がある。
また、少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に電荷制御剤(帯電制御剤)を付着又は固着させて、粉体表面形状が適正な凹凸を持つようにしても良い。その体積平均粒径は10〜200nmの小さい粒径のものが最適である。10nmより小さい粒径の場合には凹凸の効果を作り出すことが難しく、200nmより大きい粒径の場合には適正な凹凸を作り出すことが難しくなる。電荷制御剤としては、ニグロシン及び四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類、サリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等があり、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0012】
添加する際の混合又は固着注入条件としては、主に混合回転数によってトナー粒子表面の形状が制御されること、即ち混合回転数は粉体(母体)表面に微粉体を付着させる力を制御できることから混合回転数が重要である。混合回転数は1000〜6000rpmが最適である。1000rpmより低い場合には微粉体が粉体(母体)表面に非常に弱い力で付着するような形になり、表面形状の安定さが失われ、トナー飛散、機内汚染等が生じ易くなる。また6000rpmより高い場合には、添加された微粉体が粉体(母体)表面内部に食込むと共に、表面の凹凸がならされて凹凸が小さくなり流動性は逆に悪くなる。
これらの混合条件は混合機の種類によって異なる。特に、注入が可能な混合機の場合には、粉体(母体)と微粉体との間に働くエネルギーが微粉体に加わり易い条件にあるので、細かく最適な条件を調整する必要がある。
【0013】
最適な凹凸を持つ構造について図4にモデルを示す。微粉体が粉体(母体)表面に完全に1層又は2層付着した場合には本発明の目的を達成できない(図4−イ、ニ)。つまり、細かい微粉体により粒子表面が覆われているため適正な大きさの凸部及び大きな周期構造が実現できない。この適正な大きさの凸部を持つ大きな周期構造は、粉体(母体)表面に微粉体が整数層ではなく、1.05層≦微粉体層≦1.2層付着した場合に実現できる(例えば図4−ロ、ハ参照)。同様に、0.05層≦微粉体層≦0.2層(図示せず)、又は、2.05層≦微粉体層≦2.2層(例えば図4−ホ参照)、又は、3.05層≦微粉体層≦3.2層(図示せず)の条件を満足する場合も最適な凹凸を持つ構造を実現できる。しかし、0.05層≦微粉体層≦0.2層の場合には、微粉体以外の粉体(母体)の表面が殆どを占めているため、粉体(母体)同士の接触回数が増え、他の場合より流動性は悪くなる。以上のように、粉体(母体)表面への微粉体の適切な堆積構造により、適正な大きさの凸部と大きい周期を持たせることができる。即ち、1.05層≦微粉体層≦1.2層、又は2.05層≦微粉体層≦2.2層、又は3.05層≦微粉体層≦3.2層の条件を満足するような微粉体の量を仕込んで、微粉体の堆積構造がならされて平均化されないような混合条件で混合させれば実現できる。しかし、混合条件が不充分で、粉体(母体)表面に微粉体が均一に覆われないような混合条件(=不均一に覆われてしまう混合条件)では実現できない。つまり、混合回転数は1000rpm〜6000rpmの最適な混合条件で実施する必要がある。また、微粉体層が4層以上の場合には、微粉体層の部分的な剥がれ、飛散現象などが生じ、安定性に問題が生じるので適していない。なお、本構造は最適構造を説明するためのモデル構造であり、本発明を限定するものではない。
【0014】
本発明のトナーは、高画質画像を実現するために、体積平均粒径4〜8μm、好ましくは5〜7μmとする。4μm未満では、長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じ易く、人体への影響も懸念される。また8μmを超えると、100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
本発明のトナーを用いる現像剤は、高画質画像を実現するために、キャリアの体積平均粒径が20〜70μmであることが好ましい。この範囲では、現像機内部のトナー濃度が2〜10重量%の範囲内において、トナーの帯電量をより均一にすることができる。しかし、20μmより小さくなるとキャリア粒子の感光体上への付着等が生じ易く、更にトナーとの撹拌効率が悪くなり、トナーの均一な帯電量が得られ難くなる。また、70μmを超える場合には、細かい画像再現性が悪くなり、高画質は得られない。
【0015】
トナー及び現像剤の詳細を以下に示す。
樹脂としては、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0016】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、更にC群に示したような3価以上のアルコール或いはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、又はこれらの酸無水物又は低級アルコールのエステル等。
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
【0017】
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、若しくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
樹脂は、結晶性ポリエステルを用いても良い。結晶性を有し、分子量分布がシャープでかつその低分子量分の絶対量を可能な限り多くした脂肪族系ポリエステルである。この樹脂はガラス転移温度(Tg)において結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し紙への定着機能を発現する。この結晶性ポリエステル樹脂の使用により、樹脂のTgや分子量を下げ過ぎることなく低温定着化を達成することができる。そのためTg低下に伴なう保存性の低下はない。また、低分子量化に伴なう高すぎる光沢や耐オフセット性の悪化もない。従って、この結晶性ポリエステル樹脂の導入は、トナーの低温定着性の向上に非常に有効である。
本発明のトナーおいて、低温定着性を発現させ、耐ホットオフセット性を確保するための結晶性ポリエステルの含有量は、トナー中の樹脂及び離型剤の合計量に対して1〜50重量%であり、離型剤の含有量は2〜15重量%である。結晶性ポリエステルの含有量が1重量%未満の場合は低温定着性に効果がなく、50重量%を超えるとホットオフセット性が悪化する。また、離型剤の含有量が2重量%未満の場合は、耐オフセット性に効果がない場合があり、15重量%を超えるとトナー流動性の低下が生じる。
【0018】
結晶性ポリエステル樹脂の分子構造については特に限定されないが、結晶性及び軟化点の観点から、炭素数2〜6のジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール又はこれらの誘導体を含有するアルコール成分と、マレイン酸、フマル酸、コハク酸又はこれらの誘導体を含有する酸成分とを用いて合成される下記一般式(1)で表される脂肪族系ポリエステルを含有することが好ましい。
[−O−CO−CR=CR−CO−O−(CH−] ………(1)
(式中、n、mは繰り返し単位の数、R、Rは炭化水素基である。)
また、ポリエステル樹脂の結晶性及び軟化点の観点から、非線状のポリエステルを合成するためにアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールを追加し、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行っても良い。結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は耐熱保存性が悪化しない範囲で低い方が望ましく、80〜130℃の範囲にあることが好ましい。Tgが80℃未満の場合は耐熱保存性が悪化し、現像装置内部の温度でブロッキングが発生し易くなり、130℃を超える場合には定着下限温度が高くなるため低温定着性が得られなくなる。なお、Tgは、DSCによる2nd昇温時の吸熱ピーク温度である。
【0019】
顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
これらの顔料は1種又は2種以上を使用することができる。
特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させた。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0020】
電荷制御剤は、添加剤とは別に、少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)粒子内部に配合(内添)しても良い。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本発明では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。
トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシン及び四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
また、本発明のトナーには、定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することが可能である。離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックス及びその誘導体、パラフィンワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。65℃より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生し易くなり、90℃より高い場合には、定着ローラー温度が低い領域でオフセットが発生し易くなる場合がある。
離型剤等の分散性を向上させるなどの目的の為に分散剤を加えても良い。分散剤としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等があり、それぞれの樹脂を2種以上混合したものでも良い。分散剤の添加量は、樹脂100部に対して10部以下が適している。10部より多くしてもWAXの分酸性の効果は見られず、逆に定着性や画像再現性が悪くなる。
【0021】
本発明に係るトナーを作製する方法としては、粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合、分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等があるが、これらの作製法に限るものではない。
粉砕法の一例としては、まず、前述した樹脂、着色剤としての顔料又は染料、電荷制御剤、離型剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサー、連続式の2軸押出し機、連続式の1軸混練機等の熱混練機を用いて構成材料をよく混練し、圧延冷却後、切断する。切断後のトナー混練物は破砕を行ない、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級する。その後、上記最適な混合条件で混合機により無機微粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着又は固着させる。この混合工程後、所定の粒子構造になっているかどうかを評価するために、トナー粒子の表面形状をSPM法を用いて評価する。評価の結果、その数値が予め定めた設定範囲に入っていた場合、風篩工程へ回し、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去した後、試料を充填工程へ回し、本発明のトナーを得る。
【0022】
重合法の一例としては、モノマーに着色剤及び電荷制御剤等を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁重合させることでトナー粒子を得る。造粒法は特に限定されない。例えば本発明のトナーは、有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散させると共に、この分散液中で該プレポリマーをポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂を形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂を含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られる。ウレア変性ポリエステル系樹脂において、そのTgは40〜65℃、好ましくは45〜60℃である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
このトナーは、該プレポリマーと該アミンとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂として含む。そして、そのバインダー樹脂中には着色剤が高分散している。
【0023】
得られた乾燥後のトナーの粉体を風力分級し、上記最適な混合条件により混合機により無機微粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着又は固着させる。また、電荷制御剤を乾燥後のトナー粉体表面に打込んで、固着注入させても良い。更にその後、無機微粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着又は固着させても良い。電荷制御剤を表面に打込むことにより、トナーの帯電量の制御がし易くなる。
混合したり、固着注入したりする具体的手段としては、高速で回転する羽根によって粉体混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に粉体混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
この混合工程後、所定の粒子構造になっているかどうか評価するために、トナー粒子の表面形状をSPM法を用いて評価する。
評価の結果、その数値が予め定めた設定範囲に入っていた場合、風篩工程へ回し、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去した後、試料を充填工程へ回し、本発明のトナーを得る。
また、SPM法を用いた本評価法は、造粒後の検査、風力分級後の検査、電荷制御剤の処理後の検査、添加剤の混合工程後の検査、混合工程の後にある風篩工程後の検査、充填前の検査等に適用できる。
【0024】
本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合は、後述する磁性キャリアと所定の混合比率で混合することによって二成分現像剤とする。
本発明のトナーは、接触又は非接触現像方式に使用する1成分現像剤として用いることができる。接触又は非接触現像方式は色々な公知のものが使用される。例えば、アルミスリーブを用いた接触現像法、導電性ゴムベルトを用いた接触現像法、アルミ素管の表面にカーボンブラック等を含む導電性樹脂層を形成した現像スリーブを用いる非接触現像法等がある。
また、本発明のトナーは、現像時にACバイアス電圧成分を用いて現像する場合に、流動性に優れているため、電界に従って忠実に振動し、細かい潜像に対しての忠実な現像ができ、ドット再現性の良い現像が可能となる。
また、1成分現像方式において、トナー供給部の出口にトナー層を均一にするためのローラー状のブレードや供給ローラを設けた現像方式に用いることができる。このような方式の場合には、トナーの流動性が現像ローラ上のトナー層の均一化に大きく影響を与え、且つ耐久特性に影響を与える。耐久特性が悪い場合には、感光体へのフィルミングだけでなく、ドクターローラや供給ローラへのフィルミングが発生する。このため、トナー層が均一に形成できないばかりかトナー帯電が不均一になりトナー電荷量も小さくなる。このため現像不良が生じる。
しかし、本発明のトナーを用いると、トナーが流動性に優れているため、供給ローラやドクターローラを介して、常に安定した現像ローラ上へのトナー搬送が可能となり、かつトナー層の均一薄層化が容易に実現できる。またドクターローラや供給ローラへのフィルミングは発生せず安定した現像が行なわれ、耐久特性に優れた方式となる(図7参照)。
【0025】
本発明のトナーは流動性に優れているため、カートリッジ容器に入れて保管することが十分可能であり、カートリッジ容器から現像部へトナー搬送するような構成の装置にも適している。
カートリッジ容器としては、トナーを充填するトナーカートリッジと、少なくとも感光体と現像手段を具備し、現像手段のトナー収容部にトナーを充填するプロセスカートリッジとを挙げることができ、通常これらのトナーカートリッジ又はプロセスカートリッジを画像形成装置に装着して、画像形成が行なわれる。
また、本発明のトナーを磁性トナーとする場合には、トナー粒子の中に磁性体の微粒子を内添すれば良い。磁性体としては、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、コバルト、それらの合金などの強磁性体等が考えられる。磁性体の体積平均粒径は0.1〜1μmが好ましい。磁性体の含有量はトナー100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましい。
【0026】
二成分現像剤に使用されるキャリアとしては公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子或いはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、或いは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。これら磁性キャリアの体積平均粒径は20〜70μmが好ましい。
キャリア表面の被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電性微粒子は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0027】
また、前述したように本発明の二成分現像剤は流動性向上剤として無機微粉体をトナーに添加して用いることが可能である。
また、本発明の現像剤には、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;或いは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;或いはカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、トナー粒子の表面形状をSPM法により測定し、安定した流動性の得られる表面形状を規定することにより、ドット再現性の良い高画質が得られる静電荷像現像用トナーとその安定な製造方法を提供できる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、今回はトナー組成、トナー作製法、混合条件を変化したトナーを作製し、トナー粒子表面形状をSPM法を用いて評価し、トナーの流動性を円錐ロータ装置を用いて評価し、ドット再現性を画像のザラツキ感として5段階評価(ランク1:悪い→ランク5:良い)した。円錐ロータ装置の評価条件は下記のようになり、円錐ロータがトナー相中に20mm侵入したときのトルク値を測定した。また、添加剤で処理する前の粉体(母体)の円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測した。
・トナー相の空間率 :0.53
・円錐ロータの頂角 :60°
・円錐ロータの回転数 :1rpm
・円錐ロータの侵入速度:5mm/min
なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
【0030】
―実施例1―
下記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃、混練機回転数120rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕した後、旋回式風力分級装置を用いて、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
・樹脂 ポリエステル樹脂 100部
・着色剤 銅フタロシアニンブルー顔料
(C.I.ピグメントブルー15:3) 3.5部
・電荷制御剤 サルチル酸亜鉛塩 5部
・離型剤 低分子量ポリエチレン 5部
次に、上記母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.2部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 1600rpm
・混合時間 120sec
・混合機 θコンポーザ
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットして画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0031】
―実施例2―
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.5部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 1600rpm
・混合時間 120sec
・混合機 θコンポーザ
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットして画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0032】
―実施例3―
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.8部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 1600rpm
・混合時間 120sec
・混合機 θコンポーザ
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0033】
―実施例4―
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.8部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 1800rpm
・混合時間 120sec
・混合機 θコンポーザ
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0034】
―実施例5―
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.8部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 2000rpm
・混合時間 120sec
・混合機 θコンポーザ
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0035】
―比較例1―
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.0部
・混合回転数 700rpm
・混合時間 120sec
・混合機 スーパーミキサー
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0036】
―実施例6―
<トナーバインダーの合成>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。
次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行い、イソシアネート含有プレポリマーαを得た。
次いで、このプレポリマーα267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステルαを得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステルβを得た。
上記ウレア変性ポリエステルα200部と変性されていないポリエステルβ800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液を得た。なお、一部減圧乾燥しトナーバインダーIを単離し、分析した結果Tgは62℃であった。
<トナーの作製>
ビーカーに入れた下記原材料を、60℃にてTK式ホモミキサーにより12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させてトナー材料溶液を作製した。
・トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液 240部
・ペンタエリスリトールテトラベヘネート(溶融粘度25cps) 20部
・銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:3) 4部
別のビーカーに下記原材料を入れて均一に溶解した。その後60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。次いで、この混合液を攪拌棒及び温度計付のフラスコに移し、30℃まで昇温して減圧下で溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級しトナー粒子を得た。体積平均粒径は6.3μmであった。
・イオン交換水 706部
・ハイドロキシアパタイト10%懸濁液
(日本化学工業(株)製スーパタイト10) 294部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.2部
上記トナー粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合しトナーを得た。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.5部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 2000rpm
・混合時間 120sec
・混合機 Qミキサー
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0037】
―実施例7―
実施例6と同様の原材料、作製方法で粉体の作製、分級を行ない、体積平均粒径が6.3μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.8部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 2000rpm
・混合時間 120sec
・混合機 Qミキサー
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0038】
―実施例8―
実施例6と同様の原材料、作製方法で粉体の作製、分級を行ない、体積平均粒径が6.3μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.8部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 2400rpm
・混合時間 120sec
・混合機 Qミキサー
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0039】
―比較例2―
実施例6と同様の原材料、作製方法で粉体の作製、分級を行ない、体積平均粒径が6.3μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.0部
・混合回転数 700rpm
・混合時間 120sec
・混合機 スーパーミキサー
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、上記作製法で得られたトナー2.5部を、キャリア97.5部と混合して二成分現像剤を作製し、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0040】
―実施例9―
下記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃、混練機回転数80rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕した後、旋回式風力分級装置を用いて、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
・樹脂 ポリエステル樹脂 100部
・顔料 カーボンブラック 10部
・電荷制御剤 サルチル酸亜鉛塩 5部
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.5部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 2000rpm
・混合時間 120sec
・混合機 Qミキサー
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0041】
―実施例10―
実施例9と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.8部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 2000rpm
・混合時間 120sec
・混合機 Qミキサー
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0042】
―実施例11―
実施例9と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
次に、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
・添加剤 シリカ微粉末(体積平均粒径:20nm) 1.8部
酸化チタン微粉末(平均長軸長:100nm) 0.3部
・混合回転数 2400rpm
・混合時間 120sec
・混合機 Qミキサー
上記作製法で得られたトナーについて、前記評価法により、トナー表面形状及びトナー流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験を行なった。
その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1のデータをグラフ化して、図5、図6に示す。図5は実施例1〜11、比較例1〜2のSPM法による5%凸部高さとドット再現性との関係を示し、図6は実施例1〜11、比較例1〜2のSPM法による20%凸部高さとドット再現性との関係を示す。
図5、図6から、画像濃度低下がなくドット再現性の良い高画質を得ることができる流動性の良いトナーを得るためには、次の条件を満足する必要があることが分かる。
(1)SPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部占有面積が5%のときの凸部高さが60〜200nmになるトナー粒子表面にする。
(2)SPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部占有面積が20%のときの凸部高さが50〜160nmになるトナー粒子表面にする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】トナー粒子表面のSPM観察像を示す図。
【図2】良好な流動性を示すトナー粒子表面の凸部高さ面積分布のSPM法による測定結果を示す図。
【図3】トナー粒子表面の凹凸高さと流動性(円錐ロータ装置によるトルク値)との関係のSPM法による測定結果を示す図。
【図4】最適な凹凸を持つ構造のモデルを示す図。
【図5】表1のデータをグラフ化した図。
【図6】表1のデータをグラフ化した図。
【図7】現像装置の一例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させ、粉体表面形状をSPM法により測定した際に、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が5%になるのときの高さが60〜200nmの範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させ、粉体表面形状をSPM法により測定した際に、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が20%になるのときの高さが50〜160nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
粉体(母体)の表面形状をSPM法により測定した際に、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において凸部占有面積が5%になるのときの高さが10〜50nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
粉体(母体)の平均円形度が0.9〜0.99であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
粉体(母体)が重合法によって作製されたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
粉体(母体)の表面に付着又は固着した添加剤が、体積平均粒径10〜200nmの無機微粉体からなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
粉体(母体)の表面に付着又は固着した添加剤が、少なくとも体積平均粒径10〜100nmの無機微粉体と体積平均粒径100〜200nmの他の無機微粉体からなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
粉体(母体)の表面に付着又は固着した添加剤が、体積平均粒径10〜200nmの電荷制御剤からなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
粉体(母体)の中に電荷制御剤を含んでいることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
粉体(母体)の中に離型剤を含んでいることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
粉体(母体)の中に離型剤の分散剤を含んでいることを特徴とする請求項10記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】
樹脂の少なくとも1種類が下記一般式(1)で表される結晶性ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
[−O−CO−CR=CR−CO−O−(CH−] (1)
(n、mは繰り返し単位の数,R、Rは炭化水素基)
【請求項13】
粉体(母体)が、樹脂と顔料を予め混練させた組成物を用いて作製されたものであることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項14】
トナーの体積平均粒径が4〜8μmであることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかに記載の静電荷像現像用トナーを用いて、接触又は非接触現像を行なうことを特徴とする一成分現像法。
【請求項16】
ドクターローラ及び/又は供給ローラを用いることを特徴とする請求項15記載の一成分現像法。
【請求項17】
請求項1〜14の何れかに記載の静電荷像現像用トナーと、粒径20〜70μmのキャリアを用いて現像することを特徴とする二成分現像法。
【請求項18】
ACバイアス電圧成分を印加して現像することを特徴とする請求項15〜17の何れかに記載の現像法。
【請求項19】
請求項1〜14の何れかに記載の静電荷像現像用トナーを入れたトナーカートリッジ又はプロセスカートリッジ。
【請求項20】
少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させた粉体の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が5%のときの高さが60〜200nmとなるようにすることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項21】
少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させた粉体の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が20%のときの高さが50〜160nmとなるようにすることを特徴とする請求項20記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項22】
少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において凸部占有面積が5%のときの高さが10〜50nmである粉体(母体)を用いることを特徴とする請求項20又は21記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項23】
少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させたトナー粉体の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が5%のときの高さが60〜200nmとなっているかどうかを判定する機能を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー評価装置。
【請求項24】
少なくとも樹脂と顔料からなる粉体(母体)の表面に添加剤を付着又は固着させたトナー粉体の表面形状をSPM法により測定し、500nm×500nmのエリアの凸部高さ面積分布において、凸部占有面積が20%のときの高さが50〜160nmとなっているかどうかを判定する機能を有することを特徴とする請求項23記載の静電荷像現像用トナー評価装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−10960(P2006−10960A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186606(P2004−186606)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】