説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置

【課題】熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生を低減し得る静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂及び低融点合金を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。前記低融点合金の融点が70〜140℃であることが好ましく、前記低融点合金の含有量が、トナーの全体積に対して5〜40体積%であることが好ましく、熱伝導率が12〜50W/(m・K)であることが好ましく、前記結着樹脂がテトラヒドロフラン不溶分を含み、前記テトラヒドロフラン不溶分の含有量が、前記結着樹脂の全重量に対して1〜30重量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、電子写真方式の画像形成装置においては、トナーの定着方式として、トナーを直接ローラ等により加熱するヒートロール方式とオーブン定着方式と、光照射や赤外線照射により光エネルギーを熱エネルギーに変えることで定着を行うフラッシュ定着方式とが、よく使用されている。
【0003】
フラッシュ定着方式は、非接触のため、定着後の用紙がロール化しないこと、オフセットが発生しないこと、非接触のため、超高速印刷が可能なこと、シール、ハガキの定着が容易であるという利点を有し、超高速機では、フラッシュ定着器が利用されることが多い。このフラッシュ定着を行うためには、赤外光吸収剤をトナー内に入れ、光エネルギーを熱エネルギーに変換する。
フラッシュ定着方式による画像形成に用いられるフラッシュ定着トナーとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−151201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生を低減し得る静電荷像現像用トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の手段により、上記課題が解決されることを見出した。
<1>少なくとも結着樹脂及び低融点合金を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー、
<2>前記低融点合金の融点が70〜140℃である、上記<1>に記載の静電荷像現像用トナー、
<3>前記低融点合金の含有量が、トナーの全体積に対して5〜40体積%である、上記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー、
<4>前記結着樹脂がテトラヒドロフラン不溶分を含み、前記テトラヒドロフラン不溶分の含有量が、前記結着樹脂の全重量に対して1〜30重量%である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<5>前記低融点合金が、Ga、Cd、In、Sn、Hg、Pb、及びBiよりなる群から選択される少なくとも2種の金属を含む、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<6>外添剤として、金属酸化物又は窒化物を含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<7>前記金属酸化物が、アルミナ、酸化チタン、及び酸化セリウムよりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物である、上記<6>に記載の静電荷像現像用トナー、
<8>上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像剤、
<9>少なくとも上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容していることを特徴とするトナーカートリッジ、
<10>現像剤保持体を備え、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、上記<8>に記載の静電荷像現像剤を収容しているプロセスカートリッジ、
<11>上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを用いて、記録媒体にトナー画像を形成する画像形成工程と、前記記録媒体上に形成されたトナー画像を、非接触で定着する定着工程と、を有することを特徴とする画像形成方法、
<12>前記定着工程が、光露光により前記トナー画像を定着する工程である、上記<11>に記載の画像形成方法、
<13>上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを用いて、記録媒体にトナー画像を形成する画像形成手段と、前記記録媒体上に形成されたトナー画像を、非接触で定着する定着手段と、を有することを特徴とする画像形成装置、
<14>前記定着手段が、光露光により前記トナー画像を定着する手段である、上記<13>に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
上記<1>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生を低減し得る静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<2>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生をより低減し得る静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<3>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生をより低減し得る静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<4>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生をより低減し得る静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<5>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生をより低減し得る静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<6>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生をより低減し得る静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<7>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生をより低減し得る静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<8>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生をより低減し得る静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を提供することができる。
上記<9>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生を低減し得る静電荷像現像用トナーを収容しているトナーカートリッジを提供することができる。
上記<10>に記載の手段により、熱伝導率が高く、画像における欠陥の発生を低減し得る静電荷像現像用トナー又は静電荷像現像剤を収容しているプロセスカートリッジを提供することができる。
上記<11>に記載の手段により、画像における欠陥の発生を低減し得る画像形成方法を提供することができる。
上記<12>に記載の手段により、画像における欠陥の発生を低減し得る画像形成方法を提供することができる。
上記<13>に記載の手段により、画像における欠陥の発生を低減し得る画像形成装置を提供することができる。
上記<14>に記載の手段により、画像における欠陥の発生を低減し得る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、トナーともいう。)は、少なくとも結着樹脂及び低融点合金を含有することを特徴とする。本実施形態の静電荷像現像用トナーは、非接触で定着されるトナーであることが好ましく、フラッシュ定着方式により定着されるトナーであることがより好ましい。
【0010】
フラッシュ定着等の非接触定着では、トナー層の上面からフラッシュ光等の光が当たり、トナー層の表面から発熱が生じる。発生した熱は上層から徐々に下層に伝わっていくため、下層まで十分溶融させるには一定の時間が必要になる。この間、トナー層の表面は加熱され続けるため、表層のトナーは必要以上に加熱される。トナーは表層から溶融していき、トナー層に対して蓋のような状態になるため、下層に含まれる空気や水分が加熱された際に逃げ場がなくなる。この結果、ボイド(定着時に逃げ場がなくなった空気や水分が溶融したトナーを破壊してトナー層から出る現象)といった欠陥が画像に発生することがある。また、必要以上の加熱はエネルギー的にも無駄が多い。
これらはトナー層の下層までを溶融させるために表層が必要以上に加熱されることに起因している。
【0011】
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、低融点合金を含有するため、熱伝導性に優れており、本実施形態では、トナー層の表層で発生した熱は、周囲の樹脂を溶融させると同時に速やかに下層のトナーにも伝わる。その結果、トナー層は上層及び下層ともにほぼ同時に加熱されることになり、表層の過度な加熱が防止される。こうして、ほぼ同時にトナー層全体が同様に溶融することにより、画像におけるボイドの発生が低減される。
また、本実施形態では、トナー層全体がむらなく加熱されるため、定着に必要なエネルギーが低減される。
【0012】
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおける優れた熱伝導性は、トナーの作製時に低融点合金を融解させることで、低融点合金がトナー中に3次元ネットワーク構造を構築することで達成されると考えられる。
トナーの作製時に、粉体状又は粒状で混合した低融点合金は、混練時の熱又は後処理による加熱により低融点合金が融解する程度の温度に加熱されることで、トナー中で融解・液状化する。このとき、低融点合金が樹脂中に分散していることで、トナー中で液状化した時に低融点合金のそれぞれの粒子がつながり3次元ネットワーク構造が形成されると考えられる。
特に、結着樹脂にテトラヒドロフラン(THF)不溶分が存在する場合には、混練の際にTHF不溶分がトナー中に分散することで低融点合金の会合が抑制され、効率よく3次元ネットワーク構造が形成されると考えられる。
【0013】
以下、本実施形態の静電荷像現像用トナーの構成材料等について詳述する。
【0014】
<結着樹脂>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂を含有する。結着樹脂としては、特に限定はなく、付加重合系樹脂、重縮合系樹脂が例示される。この中でも、付加重合系樹脂としてエチレン性不飽和化合物の付加重合樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましく、重縮合系樹脂としてポリエステル樹脂が好ましく、ポリオールとポリカルボン酸とのポリエステル樹脂がより好ましい。
【0015】
付加重合系樹脂としては、各種エチレン性不飽和化合物の単独重合体及び共重合体が好ましく使用される。エチレン性不飽和化合物の付加重合樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体又は共重合体が例示される。
特に好ましく使用される付加重合系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。
【0016】
本実施形態に使用される重縮合系樹脂としては、ポリエステル樹脂が例示でき、ポリオール成分とポリカルボン酸成分から重縮合により合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、更に加えて、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
三価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
更に、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸は、エチレン性不飽和結合を介して、ラジカル的に架橋させるために定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましく挙げられる。
【0018】
多価アルコール成分としては、二価のアルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1.5〜6)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
三価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料モノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
また、軟化点90〜150℃、ガラス転移点50〜75℃、数平均分子量2,000〜10,000、重量平均分子量8,000〜150,000、酸価5〜30mgKOH/g、水酸基価5〜40mgKOH/gを示す樹脂が特に好ましく用いられる。
【0019】
また、トナーに低温定着性を付与するために結着樹脂の少なくとも一部に結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂では、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、エステル結合濃度が低く、電気抵抗が適度であり、トナー帯電性に優れる。また、20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0020】
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、又は、その低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
多価カルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性。及び、低温定着性に優れる。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
【0022】
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造してもよい。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
【0023】
また、本実施形態の静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂は、THF不溶分を含有することが好ましい。結着樹脂におけるTHF不溶分の含有量は、結着樹脂の全重量に対して1〜30重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、3〜15であることがより好ましい。
結着樹脂がゲル分であるTHF不溶分を含有することにより、トナーを作製するための混練の際にTHF不溶分がトナー中に分散することで低融点合金の会合が抑制され、効率よく低融点合金の3次元ネットワーク構造が形成される。
THF不溶分としては、結着樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。すなわち、結着樹脂が付加重合系樹脂の場合には、付加重合により合成されたTHF不溶性の樹脂を、結着樹脂が縮重合系樹脂の場合には、縮重合により合成されたTHF不溶性樹脂を用いることで、トナー中での親和性が向上し、より均一に分散が行えるようになる。THF不溶分の合成は、付加重合系樹脂の場合、モノマーに例えばブタジエンのようなエチレン構造を複数有するモノマーを使用することで、架橋構造を形成することで合成が可能である。同様に縮重合系樹脂の場合は、3価以上の多価アルコールあるいは3価以上の多価カルボン酸をモノマーとして使用することで架橋構造を形成させ、THF不溶分を合成することが可能である。THF不溶分は、単独で合成し結着樹脂と混合し使用してもよいし、結着樹脂合成の段階で適宜モノマーを追加し重合条件を調整することでTHF不溶分を含んだ結着樹脂を合成することも可能である。
【0024】
上記THF不溶分の測定方法は、10重量%程度の濃度となるように結着樹脂をTHFに溶解し、メンブランフィルター等で濾過し、フィルター残留分を乾燥し重量を測定することにより求めることができる。
【0025】
また、本実施形態の静電荷像現像用トナーにおける結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、トナーの全重量に対し、5〜95重量%であることが好ましく、20〜90重量%であることがより好ましく、40〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、保管性、粉体特性、帯電特性等に優れる。
【0026】
<低融点合金>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、低融点合金を含有する。低融点合金の融点は、50℃以上であることが好ましく、50〜200℃であることがより好ましく、70〜140℃であることが更に好ましい。上記範囲であると、トナーを作製するための混練の際の熱により低融点合金が容易に融解・液状化され、容易に低融点合金の3次元ネットワーク構造が形成される。
なお、トナーの取り扱いの容易性という観点からは、低融点合金の融点は、70℃以上であることが好ましい。
【0027】
低融点合金は、Ga、Cd、In、Sn、Hg、Pb、及びBiよりなる群より選択される少なくとも2種の金属を含むことが好ましく、特に融点の制御性の観点から3種以上の金属を用いることが好ましい。個々の金属から合金を調整する方法は単純に数種類の金属を溶かして混ぜ合わせる方法や、原料金属の粉末を混合して融点以下で加熱する焼結法、化学的手法による合金めっき、ボールミル装置を使用して機械的に混合するメカニカルアロイング等の既知の方法を用いることができる。
【0028】
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおける低融点合金の含有量は、トナーの全体積に対して5〜40体積%であることが好ましく、5〜30体積%であることがより好ましく、5〜20体積%であることが更に好ましい。上記範囲であると、トナーの帯電特性が影響を受けることなく、高い熱伝導率が得られるとともに、形成される画像の柔軟性が損なわれることもない。
【0029】
<着色剤>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、着色剤を含有することが好ましい。着色剤としては、特に限定されず、染料、顔料等のいずれでもよい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、特に色は限定されないが、上記低融点合金が金属光沢を有しているため、黒色トナーであることが好ましい。黒色トナーでは、着色剤として、カーボンブラック、ニグロシン染料、フェライト、マグネタイト、チタンブラック、炭化ジルコミウム等の黒色染顔料を広く用いることができる。
【0030】
黒色トナーとして用いられるカーボンブラック、チタンブラック、フェライト、マグネタイト、炭化ジルコミウム等の黒色顔料、特にカーボンブラックは、赤外光吸収能力が強い。このため、かかる黒色顔料を含む黒色トナーは、カラートナーよりもフラッシュ定着性が高くカラートナーでは必要となる赤外線吸収剤の添加を抑制することができる。
【0031】
着色剤の添加量は、その種類にもよるが、トナーの全重量に対して0.01〜50重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましい。
【0032】
<ワックス>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、ワックスを含有することが好ましい。
ワックスとしては、ポリオレフィンワックスを好ましく用いることができ、具体的にはエチレン、プロピレンなどのα−オレフィン、又はシクロヘキセン、ノルボルネンなどの環状オレフィンのホモポリマー、コポリマー、共重合体を単独/又は混合したものが挙げられる。他のワックスとしては、天然ワックス、合成ワックス等を広く用いることができる。例えば、石油系ワックスとしてパラフィンワックス、マイクロクリスタインワックス等、鉱物ワックスとしてフィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス等、植物ワックスとしてカルナバワックス等、動物ワックスとして蜜ろう、ラノリン等、合成ワックスとしてポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、脂肪酸エステル類、アミド系ワックス、変成ポリオレフィン等、更にその他の化合物としてテルペン系化合物、ポリカプロラクトン等を単体、又は混合物として広く用いることができる。中でも、軟化温度が140℃以下のものが好ましく、特にトナーの結着樹脂の溶融軟化温度より低い軟化温度を示すものが好ましい。
本実施形態において、これらのワックスは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
ワックスとしては、定着後のトナー画像表面を布等で擦っても布等に裏写りし難くする等の目的で、ポリエチレンワックスが好ましい。特に、同様の目的から、ポリエチレンワックスの重量平均分子量は2,000以上10,000以下であることが好ましい。また、ポリエチレンワックスの粘度は、トナーの定着を高める観点から10mPa・s以上10,000mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以上8,000mPa・s以下であることがより好ましい。
【0034】
なお、重量平均分子量は、次の方法で求めた値である。
試料30mgをo−ジクロロベンゼン20mlに145℃で完全溶解した後、孔径0.45μmのフィルタでろ過しサンプルを形成する。次にゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製AllianceGPC2000型)を用い、測定カラム(東ソー(株)製TSKgelGMH6−HTと東ソー(株)製TSKgelGMH6−HTL)、カラム温度140℃、流速1ml/min、サンプリング時間間隔1sの条件で測定した。カラム較正にはポリスチレンを用いた。
また、ワックスの粘度は140℃においてE型粘度計を用いて測定したものをいう。具体的には、ワックスをステンレス製の容器に入れ、これをオイルバスに接触させて、溶解したワックスが140℃になるように制御する。30分間、140℃に保ったままワックスを放置した後、温度を140℃に保ったまま、円錐角0.8°の円錐を用いて粘度測定を行う。
【0035】
また、上述のように、粉砕性特性の低下を防止する目的で、他のワックスとして、熱分解型ポリプロピレンを使用することが特に好ましい。
この熱分解型ポリプロピレンは、一般成型用のポリプロピレンを熱分解により低分子量化することにより得られる数平均分子量(Mn)が5,000以上30,000以下で、軟化温度130℃以上160℃以下程度のものを好適に用いることができる。前記数平均分子量(Mn)は7,000以上15,000以下であることがより好ましい。
【0036】
ワックスの含有量は、トナーの全重量に対して0.5〜10重量%であることが好ましい。
【0037】
<分散剤>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、分散剤を含有することが好ましい。
分散剤としては、ポリオレフィンとビニル系樹脂との反応物が好適に挙げられ、好ましくはポリオレフィンにビニル系樹脂をグラフトさせたもの(ポリオレフィンがグラフトされたビニル系樹脂)が好適に挙げられる。この分散剤を構成するビニル系樹脂を得るために用いることのできるビニルモノマーとしては、例えばスチレン及びその誘導体、アクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、また、併用してもよい。
また、ビニルモノマーとしては、例えばマレイン酸、マレイン酸無水物の如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸の如きα,β−不飽和酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
また、ビニルモノマーとして、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、ヒドロキシメチルブチルスチレン等ヒドロキシル基を有するモノマーも挙げられる。その中でも特に、スチレン−含窒素−アクリルメタクリレートの反応物が好ましい。前記ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられるが、特に、低密度のポリエチレンを用いることが好ましい。
ポリオレフィンがグラフトされたビニル系樹脂は、ポリオレフィンを溶解し、加熱下、ビニルモノマーを加え反応させることによって、得ることができる。
【0038】
ポリオレフィンがグラフトされたビニル系樹脂は、結着樹脂及びワックスの双方に相溶し易い材料である。以下、より詳細に説明する。
【0039】
ポリオレフィンがグラフトされたビニル系樹脂は、少なくともポリオレフィンとビニル系モノマーとを構成成分とするものがよく、更にスチレン系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマーを構成成分とすることが好ましい。即ち、ポリオレフィンがグラフトされたビニル系樹脂は、主鎖がポリオレフィンであり、側鎖にビニル系モノマーからなるビニル系ポリマー鎖を有する構造のビニル系樹脂である。ポリオレフィンがグラフトされたビニル系樹脂は、更に、スチレン系モノマーからなるスチレン系ポリマー鎖、(メタ)アクリル系モノマーからなる(メタ)アクリル系ポリマー鎖を側鎖に有することが好ましい。
【0040】
グラフトされるポリオレフィンを構成するオレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂(1)としては、オレフィン類の重合体(1−1)、オレフィン類の重合体の酸化物(1−2)、オレフィン類の重合体の変性物(1−3)、オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物(1−4)等が挙げられる。(1−1)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体等が挙げられる。また、ポリマー構造がポリオレフィンの構造を有していればよく、モノマーが必ずしもオレフィン構造を有している必要はない。例えば、ポリメチレン(サゾールワックス等)等も使用することができる。(1−2)としては、上記(1−1)の酸化物等が挙げられる。(1−3)としては、上記(1−1)のマレイン酸誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル等)付加物等が挙げられる。(1−4)としては、不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等]、不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1以上炭素数18以下)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1以上炭素数18以下)エステル等]等の単量体とオレフィン類との共重合体等が挙げられる。これらポリオレフィンのうち、好ましいものは、(1−1)、(1−2)、(1−3)であり、更に好ましくは、ポリエチレン、ポリメチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンであり、特に好ましいものは、ポリエチレン及びポリプロピレンである。
【0041】
ポリオレフィンの軟化点は、通常80℃以上170℃以下であり、好ましくは90℃以上160℃以下であり、更に好ましくは100℃以上155℃以下である。軟化点が80℃を超えるとトナーの流動性が良好となり、170℃未満で充分な離型効果を発揮する。
【0042】
ポリオレフィンの溶融粘度は160℃において通常2(mPa・s)以上10,000(mPa・s)以下であり、好ましくは3(mPa・s)以上7,000(mPa・s)以下、更に好ましくは5(mPa・s)以上4,500(mPa・s)以下である。
【0043】
キャリア等へのフィルミング及び離型性の観点から、ポリオレフィンの数平均分子量は500以上20,000以下、重量平均分子量は800以上100,000以下であることが好ましく、より好ましくは数平均分子量は1,000以上15,000以下、重量平均分子量は1,500以上60,000以下、更に好ましくは、数平均分子量は1,500以上10,000以下、重量平均分子量は2,000以上30,000以下である。
【0044】
ポリオレフィンの針進入度は5.0以下であることが好ましく、より好ましくは3.5以下であり、更に好ましくは、1.0以下である。
【0045】
一方、ビニル系樹脂のSP値(ソルビリティー・パラメーター)としては10.6(cal/cm31/2以上12.6(cal/cm31/2以下であることが好ましく、より好ましくは10.6(cal/cm31/2以上12.0(cal/cm31/2以下、更に好ましくは10.7(cal/cm31/2以上11.8(cal/cm31/2以下であり、特に好ましくは10.8(cal/cm31/2以上11.5(cal/cm31/2以下である。SP値が12.6を超えても、10.6未満でも結着樹脂とのSP値差が大きくなりすぎ分散剤の分散が不良となる。なお、SP値は公知のFedors法で算出できる。
【0046】
ビニル系樹脂としては、(a)単独重合体のSP値が10.6(cal/cm31/2以上12.6(cal/cm31/2以下であるモノマーの単独重合体でもよいが、(b)単独重合体のSP値が11.0(cal/cm31/2以上18.0(cal/cm31/2以下、特に好ましくは11.0(cal/cm31/2以上16.0(cal/cm31/2以下であるビニル系モノマー(A)、と単独重合体のSP値が8.0(cal/cm31/2以上11.0(cal/cm31/2以下、特に好ましくは9.0(cal/cm31/2以上10.8(cal/cm31/2以下であるモノマー(B)との共重合体がより好ましい。
【0047】
分散剤の含有量は、トナーの全重量に対して1.0〜10.0重量%であることが好ましい。
【0048】
<帯電制御剤>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、トナーの帯電性能を制御するための帯電制御剤を含有することが好ましい。
帯電制御剤としては、トナーに帯電を付与させる能力があれば特に制限されないが、好適には、第4級アンモニウム塩(無色)、ニグロシン染料(黒色)、トリフェニルメタン誘導体(青色)等が正極性帯電制御剤として、ナフトール酸亜鉛錯体(無色)、サリチル酸亜鉛錯体(無色)、ホウ素化合物等が負極性帯電制御剤として用いることができる。
【0049】
帯電制御剤の添加量は、その種類にもよるが、トナーの全重量に対して0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0050】
<外添剤>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、トナー母粒子の表面に外添された外添剤を含有することが好ましい。外添剤としては、無機粒子又は樹脂粒子等の公知の材料を使用できるが、トナーの熱伝導率を向上する観点から、金属酸化物の粒子、窒化物の粒子が好ましく、金属酸化物の粒子がより好ましい。
本実施形体において、外添剤は前記金属酸化物、窒化物粒子を1種ないし2種以上併用することができる。また、前記金属酸化物、窒化物粒子以外に既知の外添剤を1種ないし2種以上併用することもできる。
【0051】
外添剤として使用し得る金属酸化物の粒子としては、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム等の粒子が挙げられる。
また、外添剤として使用し得る窒化物の粒子としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の粒子が挙げられる。
【0052】
外添剤の体積平均粒子径は、5nm以上であることが好ましく、5〜200nmであることがより好ましく、8〜150nmであることが更に好ましい。上記範囲であると、外添剤の偏在が抑制され、定着性も向上する。
【0053】
(静電荷像現像用トナーの作製方法)
以下、本実施形態の静電荷像現像用トナーの作製方法について説明する。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、通常のトナーの作製方法と同様に作製することができる。具体的には、例えば、混練粉砕法で作製することが好適である。
【0054】
混練粉砕法で作製する場合、結着樹脂及び低融点合金、並びに、必要に応じて、着色剤、ワックス、分散剤、及び赤外光吸収剤、更に必要応じて、帯電制御剤等のその他添加剤を混合した後、ニーダー、押し出し機等を用いて上記材料を溶融混練する。溶融混練の際には、低融点合金が融解する程度の温度で加熱することが好ましい。かかる溶融混練時の加熱により、溶融した低融点合金が網目状に分散し低融点合金の3次元ネットワーク構造がトナー中に形成される。
溶融混練後、溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で微粉砕し、風力分級機により、目的とする粒径のトナー粒子を得る。更に、必要に応じて、外添剤を添加し、最終的なトナーを完成させる。
【0055】
また、本実施形態の静電荷像現像用トナーの作製方法においては、トナー粒子を得た後、低融点合金が融解する程度の温度で加熱する後処理を行ってもよい。かかる後処理による加熱によっても、低融点合金の3次元ネットワーク構造がトナー中に形成される。
【0056】
(現像剤)
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、そのまま1成分現像剤として用いてもよいし、キャリアと混合して2成分現像剤としても用いてもよい。以下、キャリアついて詳細に説明する。
【0057】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアを挙げることができる。また、マトリックス樹脂に導電材料等が分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0058】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。導電材料は、被覆樹脂に含有させてもよい。
【0060】
また、キャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10μm以上500μm以下であり、30μm以上100μm以下が好ましい。
【0061】
また、これらの中でも、磁性金属、磁性酸化物からなる芯材に、導電材料を含有したシリコーン樹脂で被覆されてなるキャリアが、トナーフィルミング時の維持性がよいことから好適である。
【0062】
また、キャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
【0063】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
【0064】
2成分現像剤における、本実施形態の静電荷像現像用トナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100以上30:100以下程度の範囲であることが好ましく、3:100以上20:100以下程度の範囲がより好ましい。
【0065】
また、抵抗値が108Ω以上1015Ω以下キャリアを用いる時には、トナー濃度が3重量%以上15重量%以下となるようにして使用することが好ましい。また、このようにして調整された現像剤の抵抗値は、1010Ω以上とすることが好ましい。キャリアの抵抗値、トナー濃度、及び、現像剤の抵抗値を前記範囲内に調整することにより良好な帯電量を維持することができる。
【0066】
(トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジ)
本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像用トナーを少なくとも収容しているトナーカートリッジである。
本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像用トナーを静電荷像現像剤として収納していてもよい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、現像剤保持体を備え、本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容しているプロセスカートリッジである。
【0067】
本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であることが好ましい。すなわち、トナーカートリッジが着脱可能な構成を有する画像形成装置において、本実施形態のトナーを収納した本実施形態のトナーカートリッジが好適に使用される。
また、トナーカートリッジは、トナー及びキャリアを収納するカートリッジであってもよく、トナーを単独で収納するカートリッジとキャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものでもよい。
【0068】
本実施形態のプロセスカートリッジは、画像形成装置に脱着されることが好ましい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジとしては、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−233736号公報等を参照してもよい。
【0069】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本実施形態の画像形成方法は、上記本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いて、記録媒体にトナー画像を形成する画像形成工程と、前記記録媒体上に形成されたトナー画像を、非接触で定着する定着工程と、を有することを特徴とする。ここで、前記定着工程は、光露光により前記トナー画像を定着する工程であることが好ましい。
また、本実施形態の画像形成装置は、上記本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いて、記録媒体にトナー画像を形成する画像形成手段と、前記記録媒体上に形成されたトナー画像を、非接触で定着する定着手段と、を有することを特徴とする。ここで、前記定着手段は、光露光により前記トナー画像を定着する手段であることが好ましい。
上記本実施形態の静電荷像現像用トナーは、トナー画像を、1,000mm/secのプロセス速度で定着する定着手段を有する画像形成装置においても、好適に用いることができる。
【0070】
上記本実施形態の画像形成装置における各手段は、いずれも従来の画像形成装置で採用されている公知の手段を用いることができ、例えば、潜像保持体表面をクリーニングするクリーニング手段等、上記した手段以外の手段を含むものであってもよい。
なお、本実施形態の静電荷像現像用トナーは、非接触での定着に好適であり、特に、フラッシュ定着性に優れるため、定着工程においては、フラッシュ定着方式、赤外線照射定着方式等の公知の光定着方式を利用することができるが、これに限定されるものではなく、ヒートロール方式、オーブン方式等の公知の熱定着方式も必要に応じて利用することができる。
【0071】
本実施形態の画像形成装置による画像の形成は、潜像保持体として電子写真感光体を利用した場合、例えば、以下のように行われる。まず、電子写真感光体(像保持体)の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により帯電した後、露光し、静電潜像を形成する。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー画像を形成する。形成されたトナー画像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される。更に、被転写体表面に転写されたトナー画像は、フラッシュ定着器(あるいは熱定着器)により光定着(あるいは熱定着)され、記録媒体上に画像が形成される。
【0072】
前記画像形成に際し、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックからなる4色のトナーセットにおけるブラックトナーとして本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いる場合、フラッシュ定着は各色のフラッシュ定着トナー画像を記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、4色全てのフラッシュ定着トナー画像を積層した状態で記録媒体に転写した後、一度に同時に行ってもよい。
【0073】
フラッシュ定着の際の光エネルギーとしては、各色のフラッシュ定着トナー画像毎に転写しフラッシュ定着を行なう場合(以下、「単色光定着」と称することがある。)には、1J/cm2以上3J/cm2以下程度の範囲内とすることが好ましく、4色のフラッシュ定着トナー画像を積層した状態で転写し一度にフラッシュ定着を行なう場合(以下、「4色一括光定着」と称することがある。)には、2J/cm2以上7J/cm2以下程度の範囲内とすることが好ましい。
光エネルギーが、単色光定着において1J/cm2未満、4色一括光定着において2J/cm2未満の場合には良好に定着できない場合がある。一方、単色光定着において3J/cm2を超える場合や、4色一括光定着において7J/cm2を超える場合には、トナーの印字欠陥であるボイドや、記録媒体の焦げ等が発生する場合がある。
【0074】
フラッシュ定着に際し用いられるフラッシュ定着器としては、赤外光ランプや、キセノンランプ、ネオンランプ、アルゴンランプ、クリプトンランプ等、近赤外域の赤外光を照射することができる光源(ランプ)を利用でき、用いるランプは1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
但し、フラッシュ発光方式としては複数のフラッシュランプを並べ0.01ms以上100ms以下程度遅らせて複数回発光を行い、同じ箇所を複数回照らすことが好ましい。これにより、ボイドの発生の低減と定着性の向上が両立される。これをディレイ発光とよぶこととする。
1回目の発光から2回目の発光までは0.1ms以上50ms以下であることが好ましい。0.1msより短い時間でフラッシュ照射するとボイドが発生しやすくなり、50msを超えると一旦印刷物が冷えてしまい効果が少ない場合がある。
【0075】
以下、本実施形態の画像形成装置の一例について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0076】
図1に示す画像形成装置10は、ロール状に巻かれた記録媒体Pを紙送りローラ28によって送るようにし、このように送られる記録媒体Pの片面側上に、この記録媒体Pの送り方向上流側から下流側に向けて、並列して4つの画像形成ユニット12K(ブラック用)、12Y(イエロー用)、12M(マゼンタ用)、12C(シアン用)が設けられ、更に、当該画像形成ユニット12の下流側にフラッシュ定着方式の定着器26が設けられている。
【0077】
ブラック用画像形成ユニット12Kは、公知の電子写真方式の画像形成ユニットである。具体的には、感光体14Kの周辺に、帯電器16K、露光手段18K、現像器20K、クリーナ22Kが設けられ、記録媒体Pを介して転写器24Kが設けられている。他のイエロー用、マゼンタ用、シアン用画像形成ユニット12Y、12M、12Cについても同様である。
【0078】
図1に示す画像形成装置10では、ロール状態から引き出された記録媒体P上に、各画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cによりトナー画像が順次転写され、そして、当該トナー画像に定着器26により光定着が施されて、画像が形成される。
【実施例】
【0079】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を表す。
【0080】
−結着樹脂の製造−
(ポリエステル樹脂Aの調製)
テレフタル酸ジメチル 135部
フマル酸ジメチル 43部
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 157部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 171部
上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド1.5部を加え、窒素ガス気流下、約195℃で約6時間撹拌反応させ、更に温度を約240℃にあげて、約6時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下0.5時間撹拌反応させ、黄色透明なポリエステル樹脂Aを得た。
得られたポリエステル樹脂AのTHF不溶分、ガラス転移温度を表1に示す。
【0081】
(ポリエステル樹脂Bの調製)
テレフタル酸ジメチル 155部
フマル酸ジメチル 22部
トリメリット酸無水物 10部
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 125部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 205部
トリメリット酸無水物を除く上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド1.2部を加え、窒素ガス気流下、約195℃で約6時間撹拌反応させ、トリメリット酸無水物を添加し更に温度を約240℃にあげて、約6時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下0.5時間撹拌反応させ、黄色透明なポリエステル樹脂Bを得た。
得られたポリエステル樹脂BのTHF不溶分、ガラス転移温度を表1に示す。
【0082】
(ポリエステル樹脂Cの調製)
テレフタル酸ジメチル 145部
フマル酸ジメチル 15部
トリメリット酸無水物 28部
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 95部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 240部
トリメリット酸無水物を除く上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド1.0部を加え、窒素ガス気流下、約195℃で約6時間撹拌反応させ、トリメリット酸無水物を添加し更に温度を約240℃にあげて、約6時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下0.5時間撹拌反応させ、黄色透明なポリエステル樹脂Cを得た。
得られたポリエステル樹脂CのTHF不溶分、ガラス転移温度を表1に示す。
【0083】
(ポリエステル樹脂Dの調製)
テレフタル酸ジメチル 115部
フマル酸ジメチル 27部
トリメリット酸無水物 40部
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 60部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 270部
トリメリット酸無水物を除く上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド1.0部を加え、窒素ガス気流下、約195℃で約6時間撹拌反応させ、トリメリット酸無水物を添加し更に温度を約240℃にあげて、約6時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下0.5時間撹拌反応させ、黄色透明なポリエステル樹脂Dを得た。
得られたポリエステル樹脂DのTHF不溶分、ガラス転移温度を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
−トナー粒子の作製−
表2記載の組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを2軸押し出し混練機(設定温度200℃)により熱混練し、冷却後、ハンマーミルによる粗粉砕、ジェットミルによる微粉砕、気流分級機による分級を経て、トナー粒子a〜kを得た。
得られたトナー粒子100部に対して、表3記載の外添剤を用い、ヘンシェルミキサーにより外添混合を行い、トナーA〜Kを得た。得られたトナーA〜Kの体積平均粒子径、低融点金属含有量、THF不溶分含有量を表4に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
なお、表2における略記の詳細は以下の通りである。
CB:カーボンブラック(三菱化学(株)製 #25)
CCA:帯電制御剤(ニグロシン染料、オリヱント化学工業(株)製 ボントロンN−04)
離型剤:ポリエチレンワックス(三井化学(株)製 400P)
低融点合金A:Sn/Bi/Pb/Cd/In=12.8/48.0/25.6/9.6/4.0、融点:61℃、密度:9.46g/cm3
低融点合金B:Sn/Bi/Pb/Cd=12.50/50.0/25.0/12.50、融点:70℃、密度:9.73g/cm3
低融点合金C:Sn/Bi/Zn=40.0/56.0/4.0、融点:130℃、密度:8.69g/cm3
低融点合金D:Sn/Bi/Pb=48.0/16.0/36.0、融点:140℃、密度:9.16g/cm3
低融点合金E:Sn/Pb/Cd=51.2/30.6/18.2、融点:145℃、密度:8.79g/cm3
【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
(評価)
上記現像剤について、富士ゼロックス(株)製DocuPrint 1100 CF改造機にて、それぞれ評価を行った。評価は32℃、90%RHの環境下、富士ゼロックス(株)製上質普通紙(E)A2ロール 200mを12,000m巻きに加工したものに出力した。出力画像は10cm×10cmのパッチとし、この時のトナー量が6.0g/m2となるように調整した。
【0091】
<ボイド>
定着後の画像パッチ10枚について光学顕微鏡(100倍)による画像表面観察を行い、ボイドの発生有無を確認した。
グレード1:ボイドは未発生であり問題なし。
グレード2:パッチあたり1個以下のボイドが発生しているが、肉眼での観察では判別不能であり実使用上全く問題ない。
グレード3:パッチあたり3個以下のボイドが発生。肉眼の観察でも判別可能であるが、実使用上問題にならないレベル。
グレード4:パッチあたり4個以上のボイドが発生。肉眼ではっきりと認識できるレベルであり、使用上問題となるレベル。
グレード5:パッチあたり7個以上のボイドが発生。肉眼で容易に認識可能。使用上問題となるレベル。
【0092】
<折り曲げ>
画像部をトナー面を内側に軽く折り曲げたのち、折り目部分を50g/cm2の荷重で1回こすったのち、紙を広げ、折り目部分をガーゼで軽く拭き取ったのち、折り目部分の画像欠損状態を目視により評価した。
グレード1:折り跡はあるが、画像欠損は見られず、問題ない。
グレード2:わずかに白筋状のトナーの欠落が生じているが、使用上は問題ないレベル。
グレード3:数mm程度の長さのトナー欠落が生じているが、使用上は問題ないレベル。
グレード4:折り目にそって数cmの白筋状のトナー欠落が発生。使用上問題となるレベル。
グレード5:折り目全体に白筋状のトナー欠落が発生。使用上問題となるレベル。
【0093】
<現像剤流動性>
上記各現像剤を、富士ゼロックス(株)製DocuPrint 1100 CF改造機に投入し、32℃、90%RHの環境下、トナー補給なしで白紙画像の200分間連続プリントを行った。プリント終了後、現像機内の現像剤の状態を目視により観察した。
グレード1:現像剤は初期の状態を保っており流動性に問題ない。
グレード2:現像剤はやや凝集しているが現像機の稼働により容易にほぐれ問題ない。
グレード3:現像機が稼働しても2〜3mm程度の凝集体が残るが画質上問題ない。
グレード4:1cm程度の凝集体が発生しており、画質上に影響あり。
グレード5:数cm程度の凝集体が発生。現像機稼働不能状態。
【0094】
<判定>
上記評価項目を総合し、トナーとしての評価を行った。
◎:画質流動性含め非常に良好である。
○:画質面でやや劣るが通常使用においては問題ない。
×:改善はみられず課題を有する。
評価結果を表5に示す。
【0095】
【表5】

【符号の説明】
【0096】
10 画像形成装置
12K、12Y、12M、12C 画像形成ユニット
14K、14Y、14M、14C 感光体
16K、16Y、16M、16C 帯電器
18K、18Y、18M、18C 露光手段
20K、20Y、20M、20C 現像器
22K、22Y、22M、22C クリーナ
24K、24Y、24M、24C 転写器
26 定着器
28 紙送りローラ
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂及び低融点合金を含有することを特徴とする
静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記低融点合金の融点が70〜140℃である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記低融点合金の含有量が、トナーの全体積に対して5〜40体積%である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記結着樹脂がテトラヒドロフラン不溶分を含み、
前記テトラヒドロフラン不溶分の含有量が、前記結着樹脂の全重量に対して1〜30重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記低融点合金が、Ga、Cd、In、Sn、Hg、Pb、及びBiよりなる群から選択される少なくとも2種の金属を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
外添剤として、金属酸化物又は窒化物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
前記金属酸化物が、アルミナ、酸化チタン、及び酸化セリウムよりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物である、請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項9】
少なくとも請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容していることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項10】
現像剤保持体を備え、請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー、又は、請求項8に記載の静電荷像現像剤を収容しているプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを用いて、記録媒体にトナー画像を形成する画像形成工程と、
前記記録媒体上に形成されたトナー画像を、非接触で定着する定着工程と、を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
前記定着工程が、光露光により前記トナー画像を定着する工程である、請求項11に記載の画像形成方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを用いて、記録媒体にトナー画像を形成する画像形成手段と、
前記記録媒体上に形成されたトナー画像を、非接触で定着する定着手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記定着手段が、光露光により前記トナー画像を定着する手段である、請求項13に記載の画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−68403(P2012−68403A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212636(P2010−212636)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】