説明

静電霧化装置並びに機器

【課題】室内の広範囲の空間を抗菌・抗酸化でき、人体の保湿効果を与えることができる静電霧化装置並びにこの静電霧化装置を備えた機器を得る。
【解決手段】静電霧化装置は、発泡金属で形成され、白金粒子を含有し突起を有する放電電極1と、放電電極1と所定の間隔を置いて対向する位置に配置された導電性の対向電極2と、放電電極1に水を供給する水供給手段(ペルチェ素子)6と、を備え、放電電極1は、水供給手段6から水の供給を受け白金を含む水を放出し、外部から直流の高電圧の負側を印加されるとともに、高電圧の正側を対向電極2に印加することで、突起部において白金を含む水を霧化させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の空間を抗菌・抗酸化でき、人体に保湿効果を与える静電霧化装置並びにこの静電霧化装置を備えた機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の静電霧化装置は、水が供給される放電電極と対向電極との間に高電圧を印加して放電させることで、放電電極が保持している水にレイリー分裂を生じさせて帯電微粒子水を生成し、霧化させるようになっている。このような帯電微粒子水は、活性種(ラジカル)を含んでいるため、空間に存在する細菌や有害物質の除菌、脱臭効果が期待できるが、帯電微粒子水に含まれる活性種による除菌効果だけでは十分でない場合がある。そこで、霧化される液体へ殺菌性の金属イオンを溶出させる金属イオン溶出手段を備えたものが提案されている。上記の装置は、液体を溜めるタンクと、このタンクに結合されて上記の液体が供給される搬送体とで構成され、この搬送体は液体を放電端に搬送し、ここで高電圧の印加により霧化される。金属イオン溶出手段は、一組の異なる金属体で構成され、これらの金属体が上記のタンク内に浸されて両者の間に電位差を与えることで殺菌性の金属イオンを溶出させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/145058号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の静電霧化装置は、殺菌成分に金属イオンを使用し、帯電微粒子水として放出するため、帯電微粒子水の飛行距離が長い場合、すなわち放出する部屋が大きい場合、帯電微粒子水が沈降や気化により消失しやすく、広い空間では効果がでないという課題があった。また、金属体の間に電位差を与えることで金属イオンを溶出するため、水量や金属体の表面状態等の影響で、安定した殺菌成分の放出ができない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、室内の広範囲の空間を抗菌・抗酸化でき、人体に保湿効果を与えることができる静電霧化装置並びにこの静電霧化装置を備えた機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る静電霧化装置は、発泡金属で形成され、白金粒子を含有し突起を有する放電電極と、この放電電極と所定の間隔を置いて対向する位置に配置された導電性の対向電極と、前記放電電極に水を供給する水供給手段と、を備え、前記放電電極は、前記水供給手段から水の供給を受け白金を含む水を放出し、外部から直流の高電圧の負側を印加されるとともに、高電圧の正側を前記対向電極に印加することで、突起において白金を含む水を霧化させるものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、静電霧化装置は白金を核とした帯電微粒子水を生成することが可能となり、電極から放出した後、生成時の粒子径を維持したまま、広範囲に飛行が可能となる。また、白金を核とすることで帯電微粒子水の帯電量が増加し、人体への吸引効果が高まり、高い肌保湿効果が得られる。白金は人体に吸着された後、抗酸化作用により肌表面の活性酸素を消失させ、肌老化を抑制するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の実施の形態1及び2を示す静電霧化装置の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1及び2を示す静電霧化装置の分解斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1及び2の動作を示す模式図である。
【図4】この発明の実施の形態1及び2を示す静電霧化装置から放出される帯電微粒子水の帯電イオン数を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1及び2を示す静電霧化装置から放出される帯電微粒子水の飛行距離による粒径の変化を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1及び2を示す静電霧化装置から放出される帯電微粒子水による大腸菌の抗菌活性値を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3を示すオゾン発生防止機能を実現するための回路例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における静電霧化装置の断面を示すものであり、図2はこの発明の実施の形態における静電霧化装置の分解斜視図である。図1、図2では、静電霧化装置は、発泡金属で形成された放電電極1と、放電電極1の突起部が向いた方向に一定の間隔をおいて設置される対向電極2、白金ナノコロイドを含有した白金担持体3、白金担持体3の上方に配置される冷却部4と放熱部5をもつ水供給手段であるペルチェ素子6、放電電極1に電圧を印加する給電部7、放電電極1と対向電極2を支持する下部支持体8、同様に放電電極1と対向電極2を支持する上部支持体9で構成される。放電電極1はチタン等の発泡金属で形成され、孔径が50〜150μm、空隙率70〜80%となっている。この孔径、空隙率とすることで、水が金属全体に含浸することが可能となる。放電電極1の形状は、突起部を一部に設けた形状となっている。対向電極2は、ほぼ円形の穴を設けた金属で形成される。材質は、導電性をもったものであれば良く、この発明の実施の形態では、ステンレス製とした。対向電極2は、放電電極1の突起部が向いた方向に一定の間隔をおいて設置され、対向電極2の円形の穴の中心部に突起部が向かうよう設置される。放電電極1の上部には白金担持体3が設置される。この白金担持体3は、放電電極1に接していれば良く、必ずしも上部に設置しなければならないわけではない。白金担持体3は、吸水性の有機化合物で形成された吸水性素材に、1〜50nmの白金ナノコロイドを担持させたものとなっており、白金ナノコロイドは、その粒子径を1〜50nmに保つため、分散素材であるクエン酸やアスコルビン酸で表面が覆われた構造となっている。なお、この実施の形態では、白金担持体3を放電電極1に接触させたが、放電電極1自体に白金ナノコロイドを担持させても良い。この場合、担持される白金ナノコロイドの量が、吸水性の有機化合物で形成された吸水性素材と比較して少なくなるため、放電電極1に使用する発泡金属の容積を大きくする必要がある。白金担持体3の上方には、冷却部4と放熱部5をもつペルチェ素子6が設置される。ペルチェ素子6の冷却部4の直下に放電電極1もしくは白金担持体3が設置される。給電部7は、放電電極1を挟み設置され、金属等の導電性の素材で形成される。放電電極1と対向電極2は、樹脂で形成される下部支持体8と、上部支持体9に収納されている。この収納体をルームエアコン、パッケージエアコン、クリーナー、ハンドドライヤー、空気清浄機、加湿機、除湿機、冷蔵庫等の機器に組み込み使用される。
【0009】
次に図3を用いて動作について説明する。図3は、この発明の実施の形態における動作を示す模式図である。
このように構成された静電霧化装置においては、ペルチェ素子6に通電することで、冷却部4が冷却され、放熱部5が加熱される。このとき、室内の水分は、冷却部4で冷やされ、凝縮して冷却部4上に水滴11となって形成される。冷却部4は、水滴11が滴下しやすいように表面処理されており、形成された水滴11は、重力により下方に滴下する。冷却部4の直下には、放電電極1もしくは白金担持体3が設置されており、滴下した水滴11は、放電電極1もしくは白金担持体3に吸水される。白金担持体3と放電電極1は接触しているため、いずれかに水が供給されれば、全体に水が浸透するため、白金担持体3、放電電極1共に水を含有した状態となる。このとき、放電電極1もしくは白金担持体3に担持されている白金ナノコロイドは、水滴と一緒に移動する。放電電極1は、孔径が50〜150μm、空隙率が70〜80%となっており、白金ナノコロイドは、粒子径が1〜50nmとなっているため、水滴と一緒に粒子として放電電極1の内部を移動しやすくなっている。放電電極1と対向電極2には、高圧直流電源10が接続されており、放電電極1に3〜6kVのマイナスの高電圧が印加される。放電電極1に高電圧を印加すると、放電電極1の先端に保持された白金ナノコロイドを粒子として含有した水と対向電極2との間にクーロン力が働き、水の表面が局所的に盛り上がってテイラーコーンを生成する。クーロン力が水の表面張力を超えると、テイラーコーンが分裂(レイリー分裂)し、数nmの白金ナノコロイドを粒子として含有した帯電微粒子水12となり空気中に放出される。
【0010】
図4はこの発明の実施の形態1における静電霧化装置から放出される帯電微粒子水の帯電イオン数を示す図であり、図5はこの発明の実施の形態1における静電霧化装置から放出される帯電微粒子水の飛行距離による粒径の変化を示す図である。図4では、この発明の実施の形態1と同じ構成の白金含有帯電微粒子水を放出した場合の放電電流に対する帯電イオンの空気中容積あたりの個数と、白金を含有しない場合の同個数を示す。図4に示すように、同じ放電電流でも、帯電イオン数は、白金含有帯電微粒子水のほうが、白金を含有しない帯電微粒子水よりも多いことがわかる。すなわち、白金を含有することで放出する帯電微粒子水に電荷を与えていることがわかる。印加している電圧はマイナスであり、プラスに帯電している人体に対する吸引効果があり、帯電イオン数が多いほうが、人体への吸引効果が高い。そのため、同じ水分量でも白金ナノコロイドを含有することで、人体への吸引効果が高まり、肌の保湿効果を高めることが可能となる。また、白金ナノコロイド自体には、抗酸化作用があり、肌表面の活性酸素を抑制し、肌損傷を防ぐ効果もある。
図5では、この発明の実施の形態と同じ構成の白金含有帯電微粒子水を放出した場合の距離に対する帯電微粒子水の粒径と、白金を含有しない場合の同粒径を示す。図5に示すように、白金を含有しない帯電微粒子水の場合、粒径は距離が遠くなるほど大きくなっていくが、白金含有帯電微粒子水の場合、ほとんど粒径は変化しないことが分かる。その理由は、白金含有帯電微粒子水では、上記のように、帯電イオン数が多いため、微粒子水同士が反発しあい凝集することが少ないが、白金を含有しない帯電微粒子水では、帯電イオン数が少ないため、微粒子水同士が凝集しやすく、距離が遠くなるに従い、粒径が大きくなっていくからである。肌の細胞組織は数十nmであり、肌保湿効果を高めるためには、そのサイズ以下の粒径であることが望ましい。そのため、距離が遠くなっても粒径が変化しない白金含有帯電微粒子水のほうが、白金を含有しない帯電微粒子水よりも遠方での肌保湿効果が高いといえる。ルームエアコン、パッケージエアコン、空気清浄機、加湿機、除湿機などにこの発明の実施の形態と同じ静電霧化装置を搭載した場合、数m先に人体が存在する場合が多く、白金含有帯電微粒子水のほうが、肌保湿効果を高めることができる。これにより、全体を加湿することなく、肌保湿効果を得ることが可能となり、過加湿による窓等の結露を防止し、消費電力も減少させることが可能となる。
【0011】
図6はこの発明の実施の形態1における静電霧化装置から放出される帯電微粒子水による大腸菌の抗菌活性値を示すものである。図6の抗菌活性値が高いほど抗菌効果が高いことを示している。放出する水の量を0.05cc/hとした場合と、0.5cc/hとした場合、およびこれに白金含有有無での効果を示す。白金がない場合、抗菌効果は見られないが、白金を含有した場合、抗菌効果が現れる。さらに放出する水の量を上げることで放出される白金量も増加し、抗菌効果が増加する。
【0012】
以上のように、この実施の形態における静電霧化装置では、白金を核とした帯電微粒子水を生成することが可能となり、放電電極から放出した後、生成時の粒径を維持したまま、遠方まで広範囲に放出することが可能となる。これにより、数m先に人体が存在する場合でも、肌保湿効果を高めることができる。また、白金を核とすることで帯電微粒子水の帯電イオン数が増加し、人体への吸引効果が高まり、高い肌保湿効果が得られる。また、全体を加湿することなく、肌保湿効果を得ることが可能となり、過加湿による窓等の結露を防止し、消費電力も減少させることが可能となる。
白金ナノコロイドは人体吸着後、抗酸化作用により肌表面の活性酸素を消失させ、肌損傷を抑制することが可能となる。また、白金の触媒作用により放電により生成する活性種(ラジカル)やオゾン等を抑制することができ、放出時にはこれらの物質を抑制することができる。
供給する水は、ペルチェ素子を使用しているため、人が手を加えることなく、自動、無給水で水を供給することが可能となる。
【0013】
実施の形態2.
以上の実施の形態1では、白金ナノコロイドは放電電極1もしくは白金担持体3に担持し、水に含有するようにしたものであるが、次に白金ナノコロイドを対向電極2に担持する実施の形態を示す。
構造は図1、図2と同様であり、動作は図3と同様である。この実施の形態2では、白金ナノコロイドを白金担持体でもなく、放電電極1でもなく、対向電極2の表面、即ち、対向電極2の放電電極1に面する部分に担持した。担持する白金ナノコロイドは、実施の形態1と同様に粒子径が1〜50nmであり、分散素材であるクエン酸やアスコルビン酸で覆われた白金担持体の表面にバインダーで担持されている。白金ナノコロイドは抗酸化性が高いため、空気中にさらすと空気中の酸素により容易に酸化されて抗酸化性の効力を失ってしまう。そこで、分散素材であるクエン酸やアスコルビン酸で表面を覆うことにより白金ナノコロイドの酸化の促進を抑制する。これにより、白金ナノコロイドは抗酸化性を保ったまま、担持が可能となる。
【0014】
また、実施の形態1における図4〜6の特性はこの実施の形態2でも同様である。このように構成された静電霧化装置においては、ペルチェ素子6に通電することで、冷却部4が冷却され、放熱部5が加熱される。このとき、室内の水分は、冷却部4で冷やされ、冷却部4上に水滴11となって形成される。冷却部4は、水滴11が滴下しやすいように表面処理されており、形成された水滴11は、重力により下方に滴下する。冷却部4の直下には、放電電極1が設置されており、滴下した水滴11は、放電電極1に吸水される。放電電極1と対向電極2には、高圧直流電源10が接続されており、放電電極1に3〜6kVのマイナスの高電圧が印加される。放電電極1に高電圧を印加すると、放電電極1の先端に保持された水と対向電極2との間にクーロン力が働き、水の表面が局所的に盛り上がってテイラーコーンを生成する。クーロン力が水の表面表力を超えると、テイラーコーンが分裂し、帯電微粒子水となり空気中に放出される。このとき、放電により放出される電子が、対向電極2に衝突する。この電子の衝突による衝撃で、対向電極2の表面に担持された白金ナノコロイドが、帯電微粒子水と共に空気中に放出される。
【0015】
以上のように、この発明の実施の形態2における静電霧化装置では、白金ナノコロイドと帯電微粒子水を共に放出することが可能となり、人体への肌保湿効果、抗酸化作用による肌表面の活性酸素を消失させ、肌損傷を抑制する効果が得られる。また、白金の触媒作用により放電により生成する活性種(ラジカル)やオゾン等を抑制することができ、放出時にはこれらの物質を抑制することができる。供給する水は、ペルチェ素子を使用しているため、人が手を加えることなく、自動、無給水で水を供給することが可能となる。
【0016】
実施の形態3.
以上の実施の形態1では、白金ナノコロイドは放電電極1もしくは白金担持体3に担持した。本実施の形態3では、白金ナノコロイドの担持形態と帯電微粒子水の放出動作に関して示す。
構造は図1、図2と同様であり、動作は図3と同様である。放電電極1は、チタン等の発泡金属で形成され、孔径が50〜150μm、空隙率70〜80%となっている。この孔径、空隙率とすることで、水が金属全体に含浸することが可能となる。放電電極1に担持する白金ナノコロイドは、実施の形態1と同様に粒子径が1〜50nmであり、分散素材であるクエン酸やアスコルビン酸で表面が覆われた構造となっている。この分散素材で覆われた白金ナノコロイドは、放電電極1に添着した後、加熱することで電極の表面に担持され、分散素材が熱により消失するため、白金ナノコロイドのみが担持される。加熱温度を変化させることで、担持の強度が変化するため、帯電微粒子水に含有させる白金ナノコロイド量を加熱温度の調整により、変化させることが可能である。白金ナノコロイドを担持させたのちの空隙率を60%以上とすることで、帯電微粒子水の放出量を一定値に保つことが可能である。供給される水量が0.1cc/h以上の場合、60%未満の空隙率では、全量を帯電微粒子水として放出することが困難となり、過剰な水はあふれ出る結果となる。白金担持体3に白金ナノコロイドを担持する場合も、同様に分散素材で覆われた白金ナノコロイドを白金担持体3に添着した後、加熱することで白金担持体3の表面に担持され、分散素材が熱により消失するため、白金ナノコロイドのみが担持される。加熱温度を変化させることで、担持の強度が変化するため、帯電微粒子水に含有させる白金ナノコロイド量を加熱温度の調整により、変化させることが可能である。担持する白金ナノコロイドは、そのまま担持することも可能であるが、コロイダルシリカ等のセラミック粉に担持したものを放電電極1や白金担持体3に担持しても良い。この場合、セラミック粉が吸水性を有するため、水の搬送に効果的である。
【0017】
また、実施の形態1における図4〜6の特性はこの実施の形態3でも同様である。このように構成された静電霧化装置においては、ペルチェ素子6に通電することで、冷却部4が冷却され、放熱部5が加熱される。このとき、室内の水分は、冷却部4で冷やされ、凝縮して冷却部4上に水滴11となって形成される。冷却部4は、水滴11が滴下しやすいように表面処理されており、形成された水滴11は、重力により下方に滴下する。冷却部4の直下には、放電電極1もしくは白金担持体3が設置されており、滴下した水滴11は、放電電極1もしくは白金担持体3に吸水される。白金担持体3と放電電極1は接触しているため、いずれかに水が供給されれば、全体に水が浸透するため、白金担持体3、放電電極1共に水を含有した状態となる。このとき、放電電極1もしくは白金担持体3に担持されている白金ナノコロイドは、水滴と一緒に移動する。放電電極1は、孔径が50〜150μm、空隙率が70〜80%となっており、白金ナノコロイドは、粒子径が1〜50nmとなっているため、水滴と一緒に粒子として放電電極1の内部を移動しやすくなっている。放電電極1と対向電極2には、高圧直流電源10が接続されており、放電電極1に3〜6kVのマイナスの高電圧が印加される。放電電極1に高電圧を印加すると、放電電極1の先端に保持された白金ナノコロイドを粒子として含有した水と対向電極2との間にクーロン力が働き、水の表面が局所的に盛り上がってテイラーコーンを生成する。クーロン力が水の表面張力を超えると、テイラーコーンが分裂し、数nmの白金ナノコロイドを粒子として含有した帯電微粒子水12となり空気中に放出される。本実施形態3では、放電電極1と対向電極2には、高圧直流電源10が接続されており、放電電極1に3〜6kVのマイナスの高電圧が印加されることとしたが、この電圧をON−OFFを繰り返すことで、生成するオゾン濃度を抑制することが可能である。帯電微粒子水12が放出されるとき、電流が流れ、その後放電が発生する。放電が発生するときには、気中の酸素に電子を受け渡し、オゾンを生成する。そこで、放電が発生する前に通電をOFFすることで、オゾン生成を抑制することが可能である。帯電微粒子水12が放電電極1から放出される時の電流の変化を検出し、OFFすることで、オゾン生成を抑制可能である。
【0018】
図7はこのようなオゾン発生防止機能を実現するための回路例を示す図であり、図3に制御系統を追加したものである。図7において、制御系統は電流検出器13と、リレー14と、リレー駆動部141と制御部15とから構成されている。
次に、図7の制御系統の動作について概説する。動作時、制御部15はリレー駆動部141を制御してリレー14をOFFさせる。放電電極1から帯電微粒子水12が放出されるとき、電流が変化するので、これをCTなどの電流検出器13で検出し検出信号を制御部15へ送出する。制御部15は電流検出器13からの出力信号を受け取ると、予め設定してある閾値と比較して、閾値以上の電流の変化が有るか否かを判断する。閾値以上の電流の変化があれば、放電が発生する前にリレー駆動部141を制御してリレー14をOFFさせる。そして、所定時間経過後、制御部15はリレー駆動部141を制御してリレー14をONさせて通電を再開する。なお、制御部15はマイコンで実現しても良いが、制御を早めるために、差動増幅器を利用するのが好ましい。
【0019】
以上のように、この発明の実施の形態3における静電霧化装置では、白金ナノコロイドと帯電微粒子水を一定量共に放出することが可能となり、人体への肌保湿効果、抗酸化作用による肌表面の活性酸素を消失させ、肌損傷を抑制する効果が得られる。また、白金の触媒作用により放電により生成する活性種(ラジカル)やオゾン等を抑制することができ、放出時にはこれらの物質を抑制することができる。供給する水は、ペルチェ素子を使用しているため、人が手を加えることなく、自動、無給水で水を供給することが可能となる。電圧のON−OFF制御を加えることで、オゾン生成を抑制可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の活用例として、ルームエアコン、パッケージエアコン、クリーナー、ハンドドライヤー、空気清浄機、加湿機、除湿機、冷蔵庫等の製品に組み込み使用することが可能である。これらに搭載することで、使用者の快適性を向上し、利便性が向上する。
【符号の説明】
【0021】
1 放電電極、2 対向電極、3 白金担持体、4 冷却部、5 放熱部、6 ペルチェ素子、7 給電部、8 下部支持体、9 上部支持体、10 高圧直流電源、11 水滴、12 白金含有帯電微粒子水、13 電流検出器、14 リレー、15 制御部、141 リレー駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡金属で形成され、白金ナノコロイドを含有し突起を有する放電電極と、この放電電極と所定の間隔を置いて対向する位置に配置された導電性の対向電極と、前記放電電極に水を供給する水供給手段と、を備え、前記放電電極は、前記水供給手段から水の供給を受け白金を含む水を放出し、外部から直流電圧の負側を印加されるとともに、前記直流電圧の正側を前記対向電極に印加することで、前記突起において前記白金を含む水を霧化させることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
前記発泡金属は、孔径が50〜150μm、空隙率70〜80%であり、放出される白金の粒子径は1〜50nmであることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
【請求項3】
前記放電電極に接する吸水性の有機化合物に白金を担持させた白金担持体を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電霧化装置。
【請求項4】
前記発泡金属もしくは白金担持体は、白金ナノコロイドを担持したコロイダルシリカ等のセラミック粉を含有させてなることを特徴とする請求項1〜3に記載の静電霧化装置。
【請求項5】
前記対向電極は白金を表面に担持したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電霧化装置。
【請求項6】
前記水供給手段は、空気中の水分を基に水が生成されるように、冷却部と放熱部とを備えたペルチェ素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電霧化装置。
【請求項7】
前記放電電極は前記ペルチェ素子の冷却部の直下に設置されることを特徴とする請求項6記載の静電霧化装置。
【請求項8】
前記白金担持体は前記ペルチェ素子の冷却部の直下に設置されることを特徴とする請求項6記載の静電霧化装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の静電霧化装置と、直流電圧を前記放電電極と前記対向電極とに印加する直流電源と、を備えたことを特徴とする機器。
【請求項10】
前記直流電源の給電をON/OFF制御するリレーと、
前記直流電源の電流を検出する電流検出器と、
この電流検出器の出力と予め設定した基準値とに基づいて前記放電電極の水滴の分裂による電流の変化の有無を判断し、電流の変化があれば、前記リレーをOFFさせ、所定時間経過後に前記リレーをONさせる動作を繰り返す制御部とを備えたことを特徴とする請求項9記載の機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−92919(P2011−92919A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44908(P2010−44908)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】