説明

非ステロイド系抗炎症薬およびオメガ−3脂肪酸を用いる治療ならびにその組合せ生成物

本発明は、一または複数のNSAIDと、オメガ−3脂肪酸の混合物との組み合わせ、かかる組み合わせを投与する方法、およびかかる組み合わせの単位剤形を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一または複数の以下の症状:関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、自己免疫障害、慢性疾患の突然の再発、発熱、痛み障害もしくは他の症状に対して二次的な痛み、月経困難症、線維筋痛、筋骨格痛、歯痛、術後の痛み、家族性腺腫性ポリポーシス、他の腫瘍性疾患症状、コレステロールおよびトリグリセリド濃度の低下、COXの介在するいずれの症状、および/またはこの組合せでの治療に効果があるいずれの症状をも治療するために、一または複数の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)およびオメガ−3脂肪酸の組合せ、あるいは該組合せの単位剤形を利用する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸の組合せ生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、一般に、熱を下げ、痛みを和らげ、そして炎症および腫れを抑えるのに使用される。NSAIDが作用すると思われている一の機構が、炎症性化学物質、すなわちプロスタグランジンおよびロイコトリエンの酵素的生合成を小さくすることにより、炎症性化学物質の量を少なくすることと考えられている。その酵素、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、プロスタグランジンの産生が抑えられることが明らかにされており、その産生の抑制により、限定されるものではないが、骨関節炎、関節リウマチ、急性筋骨格痛、歯痛、月経困難症、偏頭痛、術後の痛みおよび家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)を含む、種々の炎症症状において観察されるその薬理作用を説明できる。
【0004】
限定されるものではないが、以下の代表例を含め、種々の種類のNSAID剤が開発されており、哺乳動物系で使用されてきた:イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、オキサプロジン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ピロキシカム、メクロフェナマート、メファナミン酸、ナブメトン、エトルドラク、ケトロラク、コリンマグネシウムトリサリチラート、アスピリン、ジフルニサル、サルサラート、フェノプロフェン、フルビプロフェン、ピルプロフェン、チアプロフェン酸、ロキソプロフェン、インドプロフェン、フェンブフェン、カルプロフェン、スプロフェン、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、デラコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブおよびメロキシカム。
【0005】
魚油とも称されるマリンオイルは、オメガ−3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の優れた供給源であり、脂質代謝を制御することが判明した。オメガ−3脂肪酸は心血管疾患の危険因子に対して有益な効果、軽度の高血圧、高トリグリセリド血症に、および凝固因子VIIリン脂質複合体活性に対して特に優れた効果を有することが判明した。オメガ−3脂肪酸は、血清中HDL−コレステロールを増加させ、血清中トリグリセリドを低下させ、血清中LDL−コレステロールの粒径パターンを変え、収縮期および拡張期血圧および脈拍数を下げ、血液凝固因子VII−リン脂質複合体の活性を低下させる。さらには、オメガ−3脂肪酸は何ら重度の副作用を生じさせることなく、十分に許容される。
【0006】
オメガ−3脂肪酸の一の形態が、DHAおよびEPAを含有する魚油からのオメガ−3、長鎖ポリ不飽和脂肪酸の濃縮物であり、LOVAZATMの商標の下で販売されている。オメガ−3脂肪酸のそのような形態が、例えば米国特許第5502077号、第5656667号および第5698594号に記載されており、その各々を出典明示により本明細書の一部とする。
【0007】
米国特許公開番号第2005/0101563号は、COX−2阻害剤およびポリ不飽和脂肪酸を、所望によりグルコサミンおよび/またはコンドロイチンを投与することで、対象の痛みまたは炎症を妨げまたは治療する方法を開示する。米国特許公開番号第2005/0101563号はまた、一般に、COX−2阻害剤およびポリ不飽和脂肪酸を、所望によりグルコサミンおよび/またはコンドロイチンを含む、医薬組成物を開示する。
【0008】
米国特許公開番号第2006/0024356号は、長鎖n−3脂肪酸、所望によりグルコサミン、コンドロイチン、酸化防止剤およびNSAIDなどの他の成分を含む食餌を投与することにより、イヌおよび他の動物の骨関節炎を治療する方法、その発症を防止または遅らせる方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5502077号
【特許文献2】米国特許第5656667号
【特許文献3】米国特許第5698594号
【特許文献4】米国特許公開番号第2005/0101563号
【特許文献5】米国特許公開番号第2006/0024356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一または複数のNSAIDとオメガ−3脂肪酸の併用療法に対する要求がある。加えて、一または複数のNSAIDとオメガ−3脂肪酸の組合せの単回投与または単位剤形に対する要求がある。かかる組合せは、一種または複数の以下の症状:関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、自己免疫障害、慢性疾患の突然の再発、発熱、痛み障害もしくは他の症状に対して二次的な痛み、月経困難症、線維筋痛、筋骨格痛、歯痛、術後の痛み、家族性腺腫性ポリポーシス、他の腫瘍性疾患症状、コレステロールおよびトリグリセリド濃度の低下、COXの介在するいずれの症状、および/またはこの併用治療に効果があるいずれの症状にも、新規で、かつより効果的な医薬治療を可能とする。
【0011】
一または複数のNSAIDをオメガ−3脂肪酸と組み合わせて特定の治療特性を提供する、一または複数のNSAIDとオメガ−3脂肪酸とを含む、別々の生成物、または単位剤形を投与するための方法について当該分野にて未だ満たされていない要求もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一種または複数の以下の症状:関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、自己免疫障害、慢性疾患の突然の再発、発熱、痛み障害もしくは他の症状に対して二次的な痛み、月経困難症、線維筋痛、筋骨格痛、歯痛、術後の痛み、家族性腺腫性ポリポーシス、他の腫瘍性疾患症状、コレステロールおよびトリグリセリド濃度の低下、COXの介在するいずれの症状、および/またはこの組合せでの治療に効果がある他のいずれの症状にも効果的な医薬治療を提供しうる、一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸を一緒に投与すること、またはその単位投与形を投与することにより、当該分野ならびに他の分野にて未だ満たされていない要求に適合する。
【0013】
本発明の他の実施形態は、一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸を含む、組合せ生成物、例えば単位剤形を対象とする。本発明の一の態様において、その組合せ生成物は、一種または複数の以下の症状:関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、自己免疫障害、慢性疾患の突然の再発、発熱、痛み障害もしくは他の症状に対して二次的な痛み、月経困難症、線維筋痛、急性筋骨格痛、慢性筋骨格痛、歯痛、術後の痛み、家族性腺腫性ポリポーシス、他の腫瘍性疾患症状、コレステロールおよびトリグリセリド濃度の低下、COXの介在するいずれの症状、および/またはこの組合せでの治療に効果がある他のいずれの症状の治療にも用いられる。
【0014】
本発明の他の実施形態は、一種または複数の以下の症状:関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、自己免疫障害、慢性疾患の突然の再発、発熱、痛み障害もしくは他の症状に対して二次的な痛み、月経困難症、線維筋痛、筋骨格痛、歯痛、術後の痛み、家族性腺腫性ポリポーシス、他の腫瘍性疾患症状、コレステロールおよびトリグリセリド濃度の低下、COXの介在するいずれの症状、および/またはこの組合せでの治療に効果がある他のいずれの症状の治療方法であって、一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸を併用して投与することを含む、方法を包含する。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、以下の発明の記載を試験した上で、あるいは実施により当業者に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、一種または複数の以下の症状:関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、自己免疫障害、慢性疾患の突然の再発、発熱、痛み障害もしくは他の症状に対して二次的な痛み、月経困難症、線維筋痛、筋骨格痛、歯痛、術後の痛み、家族性腺腫性ポリポーシス、他の腫瘍性疾患症状、コレステロールおよびトリグリセリド濃度の低下、COXの介在するいずれの症状、および/またはこの組合せでの治療に効果がある他のいずれの症状をも治療するために、一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸、好ましくはLOVAZATMオメガ−3脂肪酸を利用するものであり、組合せ生成物または単位投与形が一または複数のNSAIDおよび一または複数のオメガ−3脂肪酸を含むことを対象とする。
【0017】
好ましい実施形態において、本発明は骨関節炎を治療するための新規な組合せ生成物を提供する。
【0018】
もう一つ別の好ましい実施形態において、該投与は、好ましくはLOVAZATMオメガ−3脂肪酸の形態のオメガ−3脂肪酸と、一または複数のNSAIDとを含み、ここで該オメガ−3脂肪酸は一または複数のNSAIDと同時に投与される。
【0019】
他の実施形態において、該投与は、好ましくはLOVAZATMオメガ−3脂肪酸の形態のオメガ−3脂肪酸と、一または複数のNSAIDとを含み、ここで該オメガ−3脂肪酸は一または複数のNSAIDとは別々に投与される。例えば、一または複数のNSAIDを一日に一回投与し、オメガ−3脂肪酸を一日に二回投与してもよい。当該開示が役に立つ当業者であれば、オメガ−3脂肪酸と、一または複数のNSAIDの正確な投与量およびその投与計画が多種の要因、例えば投与形路および症状の重篤度に応じて変化することを理解するであろう。
【0020】
本発明は、現在判明しているNSAIDを、あるいは将来判明するであろうNSAIDを、一般に安全であると理解されている量にて配合してもよい。より好ましい実施形態において、NSAIDは、以下の:イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、オキサプロジン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ピロキシカム、メクロフェナマート、メファナミン酸、ナブメトン、エトルボラク、ケトロラク、コリンマグネシウムトリサリチラート、アスピリン、ジフルニサル、サルサラート、フェノプロフェン、フルビプロフェン、ピルプロフェン、チアプロフェン酸、ロキソプロフェン、インドプロフェン、フェンブフェン、カルプロフェン、スプロフェン、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、デラコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブおよびメロキシカムのいずれをも包含する。
【0021】
本明細書にて用いる場合、「オメガ−3脂肪酸」なる語は、天然または合成のオメガ−3脂肪酸、あるいは医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート(例えば、Zalogaら、米国特許出願公開番号第2004/0254357号、およびHorrobinら、米国特許第6245811号を参照のこと、この各々を出典明示により本明細書の一部とする)、その前駆体または塩、あるいはそれらの混合物を包含する。オメガ−3脂肪酸の例として、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびα−リノレン酸などのオメガ−3ポリ不飽和長鎖脂肪酸、オメガ−3脂肪酸とグリセロールとの、モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドなどのエステル;オメガ−3脂肪酸と、第一、第二または第三アルコールとのエステル、例えば脂肪酸メチルエステルおよび脂肪酸エチルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいオメガ−3脂肪酸の油は、EPAまたはDHA、そのトリグリセリド、そのエチルエステルおよびその混合物等の長鎖脂肪酸である。オメガ−3脂肪酸またはそのエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体、塩およびそれらの混合物は、その純粋な形態にて、あるいは魚油、好ましくは高度に精製された魚油濃縮物などの油の成分として用いることができる。本発明の使用に適するオメガ−3脂肪酸の市販品として、Incromega F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525およびE5015(英国、ヨークシャー、Croda International PLC)、EPAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、K85TG、K85EE、K80EEおよびEPAX7010EE(ノルウェー、1326ライサカー(Lysaker)、EPAX A.S.)が挙げられる。
【0022】
オメガ−3脂肪酸の好ましい形態は米国特許第5502077号、第5656667号および第5698694号に示されており、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0023】
もう一つ別の好ましい組成物は、オメガ−3脂肪酸を、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%、それとももっと言えば少なくとも90重量%の濃度で配合したものを包含する。オメガ−3脂肪酸は少なくとも50重量%の、より好ましくは少なくとも60重量%の、さらに好ましくは少なくとも70重量%の、最も好ましくは少なくとも80%、例えば約84重量%のEPAおよびDHAを含むことが好ましい。オメガ−3脂肪酸は約5ないし約100重量%、より好ましくは約25ないし約75重量%、さらに好ましくは約40ないし約55重量%の、最も好ましくは約46重量%のEPAを含むことが好ましい。オメガ−3脂肪酸は約5ないし約100重量%、より好ましくは約25ないし約75重量%、さらに好ましくは約30ないし約60重量%の、最も好ましくは約38重量%のDHAを含むことが好ましい。上記した%はすべて、特記した場合を除き、組成物に含まれる脂肪酸の合計と比較した重量によるものである。重量%は、たとえ本発明によるエチルエステル以外の他の形態が利用されたとしても、オメガ−3脂肪酸のエチルエステルの形態を基礎とすることが好ましいが、その遊離酸またはエステルの形態を基礎とすることができる。
【0024】
EPA:DHAの割合は、99:1ないし1:99、好ましくは4:1ないし1:4、より好ましくは3:1ないし1:3、最も好ましくは2:1ないし1:2である。オメガ−3脂肪酸は純粋なEPAまたは純粋なDHAを含んでいてもよい。
【0025】
オメガ−3脂肪酸の油は、所望により、アルファトコフェロールなどの酸化防止剤、大豆油および部分硬化植物油などの油類、および分別ココヤシ油、レシチンなどの滑沢剤、ならびにそれらの混合物を含んでもよい。
【0026】
オメガ−3脂肪酸の最も好ましい形態は、LOVAZATMオメガ−3脂肪酸(K85EE:ノルウェー、ライサカー、Pronova Biocare A.S.)であり、(1剤形当たり)次の特性を有することが好ましい:
【表1】

【0027】
一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸の組合せ生成物は当該分野にて既知の手段により投与され得る。かかる手段として、経口、経直腸、経鼻、局所(皮膚、頬および舌下を含む)または非経口(皮下、筋肉内、関節内および皮内)投与が挙げられる。これらの組成物は経口投与されるのが好ましい。
【0028】
本発明の組成物の有効成分の用量は可変的であるが、有効成分の配合量は適当な剤形が得られるようにすることが不可欠である。投与量の選択は、要求される治療作用に、投与形路に、および治療期間に依存する。
【0029】
一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸の組合せ生成物は、カプセル、錠剤、飲料に分散させうる散剤、液剤、ソフトゼラチンカプセル、または当該分野にて既知の、経口用カプセル中液剤などの他の従来の剤形にて投与されてもよい。ある実施形態において、カプセルはハードゼラチンでできている。その組合せ生成物はまた、注射または注入に適する液体中に含まれていてもよい。
【0030】
本発明の有効成分、一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸はまた、一または複数の非活性医薬成分(一般に、本明細書にて「賦形剤」としても公知の成分)と組み合わせて投与されていてもよい。非活性成分は、例えば、有効成分の可溶化、懸濁化、増粘化、希釈化、乳化、安定化、貯蔵、保護、着色、矯味矯臭に供し、有効成分を安全かつ便利で、さもなければ使用が許容される、適用可能で効果的な製剤を構築するのに役立つ。ある実施形態において、賦形剤は、界面活性剤、例えばプロピレングリコールモノカプリレート、長鎖脂肪酸とグリセロールとポリエチレングリコールのエステルの混合物、ポリエトキシル化ヒマシ油、グリセロールエステル、オレオイルマクロゴールグルセリド、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ポリエチレン−ポリプロピレングリコールコポリマー、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート;エタノール、グリセロール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールなどの共溶媒;および/またはココヤシ、オリーブまたはサフラワー油などの油類を包含する。界面活性剤、共溶媒、油類またはその組合せの使用は、一般に、医薬の分野にて知られており、当業者であれば理解するように、いずれの適当な賦形剤も本発明およびその実施形態に関連して使用され得る。
【0031】
オメガ−3脂肪酸は、約0.1gないし約10g、より好ましくは約0.5gないし約8g、最も好ましくは約0.75gないし約4gの一日量にて投与され得る。好ましくは、単位投与形態にて、オメガ−3脂肪酸は約0.1gないし約2g、好ましくは約0.5gないし約1.5g、より好ましくは約1gの量にて配合される。
【0032】
本発明の一の実施形態において、一または複数のNSAIDは、一般に、約0.5mgないし約1000mgの量にて配合され得る。NSAIDがメロキシカムである実施形態において、メロキシカムは、一般に、一日用量中約1mgないし約50mg、好ましくは約3.25mgないし約22.5mg、より好ましくは7.5mgないし約15mgの量で配合され得る。
【0033】
本発明のある種の変形態様において、一または複数のNSAIDとオメガ−3脂肪酸の組み合わせを単回投与または単位用量に処方する。
【0034】
一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸の一日の投与量が、一日に1ないし6回の好ましい投与の回数で、1ないし10の投与量にて一緒に投与され得る。投与は経口投与が好ましい;ただし、一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸の単位用量を付与する他の投与形態を用いてもよい。
【0035】
ある好ましい実施形態において、ソフトゼラチンカプセルが用いられる。ソフトゼラチンカプセルの製造は当業者に周知である。例えば、Ebert(1978)、「Soft Gelatin Capsules:A Unique Dosage Form」、Pharmaceutical Technology 1(5)を参照のこと。この内容を出典明示により本明細書の一部とする。ある実施形態において、一または複数のNSAIDおよび/またはオメガ−3脂肪酸がソフトゼラチンカプセルに配合されている。特定の実施形態において、ソフトゼラチンカプセルの有効成分を可溶化剤と組み合わせる。可溶化剤として、界面活性剤、親水性または疎水性溶媒、油類またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
用いてもよい一の型の可溶化剤がビタミンE物質である。この群の可溶化剤として、α−、β−、γ−、δ−、ζ1−、ζ2−およびη−トコフェロール、そのdl、dおよびlの形態、ならびにトコトリエノールなどのその構造類似体の群に属する物質;その対応する誘導体、例えば有機酸と一緒に生成されるエステル;およびその混合物が挙げられる。好ましいビタミンE物質可溶化剤は、トコフェロール、トコトリエノール、ならびに酢酸、プロピオン酸、胆汁酸、乳酸、ピリビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、シンナミン酸、マンデル酸、ポリエチレングリコールスクシナートおよびサリチル酸などの有機酸とのトコフェロール誘導体を包含する。特に好ましいビタミンE物質可溶化剤は、アルファ−トコフェロール、アルファ−トコフェリルアセタート、アルファ−トコフェリル酸スクシナート、アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシナートまたはその混合物を包含する。
【0037】
もう一つ別の群の可溶化剤は一価アルコールの有機酸のエステルである。一価アルコールは、例えば、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、脂肪アルコール、フェノール、クレゾール、ベンジルアルコールまたはシクロアルキルアルコールである。有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、炭素数6−22の脂肪酸、胆汁酸、乳酸、ピリビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、シンナミン酸、マンデル酸およびサリチル酸である。この群の中で好ましい可溶化剤は、クエン酸トリアルキル、低級アルコール脂肪酸エステルおよびラクトンを包含する。好ましいクエン酸トリアルキルとして、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチルおよびその混合物が挙げられる。クエン酸トリエチルが特に好ましい。特に好ましい低級アルコール脂肪酸エステルとして、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルおよびその混合物が挙げられる。ラクトンもまた可溶化剤として供してもよい。一例として、ε−カプロラクトン、δ−バレノラクトン、β−ブチロラクトン、その異性体およびその混合物が挙げられる。
【0038】
可溶化剤は含窒素溶媒であってもよい。好ましい含窒素溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、およびその混合物を包含する。ここで、アルキルはC1−12分岐または直鎖アルキルである。特に好ましい含窒素溶媒として、N−メチル2−ピロリドン、N−エチル2−ピロリドンまたはその混合物が挙げられる。また、含窒素溶媒はポリビニルピロリドンなどのポリマーの形態であってもよい。
【0039】
もう一つ別の群の可溶化剤はリン脂質を包含する。好ましいリン脂質として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、レシチン、リゾレシチン、リゾホスファチジルコリン、ポリエチレングリコール化リン脂質/リゾリン脂質、レシチン/リゾレシチンおよびその混合物が挙げられる。
【0040】
もう一つ別の群の好ましい可溶化剤が、酢酸グリセロールおよびアセチル化グリセロール脂肪酸エステルである。好ましいグリセロールアセタートは、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、およびその混合物を包含する。トリアセチンが特に好ましい。好ましいアセチル化グリセロール脂肪酸エステルとして、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリドおよびその混合物が挙げられる。
【0041】
加えて、可溶化剤はグリセロール脂肪酸エステルであってもよい。脂肪酸の成分は炭素原子が約6−22である。グリセロール脂肪酸エステルはモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドまたはその混合物であり得る。好ましいグリセロール脂肪酸エステルとして、モノグリセリド、ジグリセリド、炭素数約6−12の脂肪酸との中鎖トリグリセリド、またはその混合物が挙げられる。特に好ましいグリセロール脂肪酸エステルは、炭素数約6−12の脂肪酸との中鎖モノグリセリド、炭素数約6−12の脂肪酸との中鎖ジグリセリド、またはその混合物を包含する。
【0042】
可溶化剤はプロピレングリコールエステルであってもよい。好ましいプロピレングリコールエステルとして、プロピレンカーボナート、プロピレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールジアセタート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アセチル化プロピレングリコール脂肪酸エステル、またはその混合物が挙げられる。別に、プロピレングリコール脂肪酸エステルは、プロピレングリコール脂肪酸モノエステル、プロピレングリコール脂肪酸ジエステルまたはその混合物であってもよい。脂肪酸は炭素数が約6−22である。プロピレングリコールエステルはプロピレングリコールモノカプリラート(CAPRYOL(登録商標))であることが特に好ましい。他の好ましいプロピレングリコールエステルは、プロピレングリコールジカプリラート、プロピレングリコールジカプラート、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、またはその混合物を包含する。
【0043】
もう一つ別の群の可溶化剤はエチレングリコールエステルである。エチレングリコールエステルとして、モノエチレングリコールモノアセタート、ジエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエステル、またはその混合物が挙げられる。さらなる例として、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコール脂肪酸モノエステル、エチレングリコール脂肪酸ジエステル、またはその混合物が挙げられる。さらには、エチレングリコールエステルは、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、またはその混合物を包含する。ここでも、脂肪酸の成分は、炭素数が約6−22の炭素を含有するであろう。特に好ましいエチレングリコールエステルはLABRAFIL(登録商標)およびLABRASOL(登録商標)の商品名で市販されているものである。
【0044】
例えば、アルキレン部分が4ないし25の、例えばモノ−およびトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリルおよびオレイルエステルの既知の型で、商標名 TWEEN(登録商標)の下で市販されている、ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル(ポリソルビタートとも称される)もまた、界面活性剤として適している。
【0045】
使用可能な親水性溶媒は、アルコール、例えば水混和性アルコール、例えば無水エタノール、またはグリセロールを包含する。他のアルコールとして、グリコール、例えばエチレンオキシドなどのオキシドより得ることのできるいずれかのグリコール、例えば1,2−プロピレングリコールが挙げられる。他の例はポリオール、例えばポリアルキレングリコール、例えばポリ(C2−3)アルキレングリコールである。典型的な例がポリエチレングリコールである。また、親水性成分はN−アルキルピロリドン、例えばN−(C1−14アルキル)ピロリドン、具体的にはN−メチルピロリドン、トリ(C1−4アルキル)シトラート、具体的にはトリエチルシトラート、ジメチルイソソルビド、(C−C13)アルカン酸、例えばカプリル酸、またはプロピレンカルバナートを含むことが好ましい。
【0046】
親水性溶媒は、主成分または単独の成分、例えば、アルコール、例えばC1−4アルコール、具体的にはエタノール、あるいはまた共成分、例えば部分低級エーテルまたは低級アルカノールより選択される成分を含んでもよい。好ましい部分エーテルは、例えば、TRANSCUTOL(登録商標)(式:C−[O−(CH−OHで表される)、GLYCOFUROL(登録商標)(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテルとしても知られている)またはエタノールなどの低級アルカノールである。
【0047】
本発明の実施形態において、単位剤形の医薬組成物は本質的に均質な溶液からなり、それは一または複数のNSAIDがオメガ−3脂肪酸を含む溶媒系に実質的に溶解してなる(すなわち、10%未満、好ましくは5%未満が溶けないままである)。この一または複数のNSAIDはオメガ−3脂肪酸油に実質的に溶解し、実質的に均質な組成物を提供する。好ましい実施形態において、この一または複数のNSAIDは完全に溶解する。この一または複数のNSAIDは、多量の可溶化剤(オメガ−3脂肪酸を除く)を用いることなく、医薬組成物に配合されることが好ましい。好ましい実施形態において、仮に配合されるとすれば、オメガ−3脂肪酸以外の可溶化剤は、剤形中の溶媒系の総重量に基づいて50%重量/重量以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは20%以下、その上さらに好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下の量にて配合される。ある実施形態において、溶媒系はオメガ−3脂肪酸以外の可溶化剤を含まない。本明細書にて用いる場合、「溶媒系」なる語は、一般に油の形態のオメガ−3脂肪酸を包含する。他の好ましい実施形態において、オメガ−3脂肪酸の他の可溶化剤に対する重量比は、少なくとも0.5:1、より好ましくは少なくとも1:1、さらにより好ましくは少なくとも5:1、最も好ましくは少なくとも10:1である。
【0048】
好ましい実施形態において、オメガ−3脂肪酸は、剤形中の溶媒系の総重量に基づいて少なくとも30%重量/重量、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%の量にて配合される。特定の実施形態において、その配合量は少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%であり得る。
【0049】
実質的に均質な溶液を含む剤形は、室温(約23℃ないし27℃、好ましくは約25℃)および相対湿度60%で少なくとも1ヶ月の期間、好ましくは少なくとも6ヶ月、より好ましくは少なくとも1年間、最も好ましくは少なくとも2年間、安定していなければならない。実質的に均質な溶液は、LOVAZATM形態のオメガ−3脂肪酸を用いて調製されることが好ましい。「安定な」なる語は、当該出願人によれば、溶解している一または複数のNSAIDが溶液より析出せず、かなりの程度まで、例えば10%未満、好ましくは5%未満の量にて化学的に修飾されるようになっていないことを意味する。
【0050】
加えて、本質的に均質な溶液を含む剤形は一または複数のNSAIDの分解を防がなければならない。ある実施形態は一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸の単位剤形を包含するものであり、それでは、剤形中の一または複数のNSAIDの初期時間(t)に測定した初期量の少なくとも90%が、室温かつ相対湿度60%で貯蔵して、少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも6ヶ月、より好ましくは少なくとも1年間、最も好ましくは少なくとも2年間の期間維持されるはずである。
【0051】
組合せ生成物は、一または複数のNSAIDを、オメガ−3脂肪酸と、所望により一または複数の親水性溶媒、界面活性剤、他の可溶化剤、および/または他の賦形剤と組み合わせることにより、当業者に公知の方法のより製造されうる。
【0052】
本発明の他の実施形態は一または複数のNSAIDのオメガ−3脂肪酸中懸濁液を対象とする。ある実施形態において、該懸濁液はオメガ−3脂肪酸中の一または複数のNSAIDの固体の結晶状粒子、固体の非晶質粒子あるいはその混合物からなる。他の実施形態は一または複数のNSAIDのオメガ−3脂肪酸中懸濁液を含む医薬組成物であって、一または複数のNSAIDの一部が溶媒系に可溶化されているところの医薬組成物を包含する。例えば、ある実施形態において、本発明はオメガ−3脂肪酸および一または複数のNSAIDを含む医薬組成物であって、一または複数のNSAIDの約1−15重量%が溶液に存在し、その一方でそのNSAIDの残りが懸濁液に存在する、医薬組成物を提供する。
【0053】
他の実施形態において、本発明は、オメガ−3脂肪酸と、一または複数のNSAIDとを含む医薬組成物であって、一または複数のNSAIDの少なくとも約80重量%、好ましくは約85%、より好ましくは約90%、さらにより好ましくは約95%、最も好ましくは約99%が固体の粒子として懸濁液に存在する医薬組成物を提供する。
【0054】
本発明のもう一つ別の好ましい実施形態は、一または複数のNSAIDで被覆されているソフトゼラチンカプセルを対象とする。かかる実施形態において、ソフトゼラチンカプセルの外側に塗布される、少なくとも一つのコーティング剤は、一または複数のNSAIDと、フィルム形成物質および/または結合剤などのコーティング物質と、所望により滑沢剤、充填剤および酸化防止剤などの他の慣用的な添加剤とを含む。好ましいコーティング物質は酸化防止剤、可溶化剤、キレート化剤および/または吸収促進剤を包含する。界面活性剤は可溶化剤と吸収促進剤の両方の作用を有する。
【0055】
コーティング剤は、パンコーティング、流動床コーティングまたはスプレーコーティングなどの慣用的手段により塗布されてもよい。コーティング剤は懸濁液、スプレー、粉塵または粉末として塗布され得る。コーティング剤は、当該分野に周知の方法に従って、一または複数のNSAIDを即時放出、遅延/腸溶性放出または持続放出するように処方されてもよい。慣用的なコーティング技術は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed.(1990)に記載されており、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0056】
即時放出コーティング剤は、通常、生成物の放出の正確性を改善するのに、ならびに防湿バリアとして、および臭味をマスキングするのに使用される。効果的な分散かつ溶解に至るのに、フィルムが胃液中で迅速に崩壊することが重要である。オイドラギット(EUDRAGIT)RD100(Rohm)がかかるコーティング剤の一例である。該物質は水不溶性カチオン性メタクリル酸エステルコポリマーと、水溶性セルロースエーテルとを組み合わせたものである。粉末形態の該物質は易スプレー性懸濁液に容易に分散し、乾燥させると平坦なフィルムを形成する。もちろん、他の適当な即時放出性コーティング剤を本発明に従って利用してもよい。かかるフィルムは、pHおよびフィルム厚に関係なく、一定速度で水性媒体に速やかに崩壊する。
【0057】
保護コーティング層(すなわち、シールコート)を、必要に応じ、ポリマーの水中溶液または適当な有機溶媒中溶液を用いるパンコーティングまたは流動床コーティングなどの慣用的コーティング法により、あるいは水性ポリマー分散液を用いることで塗布してもよい。保護層に適する材料は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、エチルセルロース水性分散剤等などのセルロース誘導体を包含する。保護コーティング層は酸化防止剤、キレート化剤、着色剤および色素を包含する。
【0058】
腸溶性コーティング層を、シールコーティング剤と共にまたはなしで、ポリマーの水中溶液または適当な有機溶媒中溶液を用いるパンコーティングまたは流動床コーティングなどの慣用的コーティング法により、あるいは水性ポリマー分散液を用いることで、コア上に塗布してもよい。市販のすべてのpH感受性ポリマーが包含される。医薬活性成分は、この値に限定されるものではないが、pHが約4.5より低い胃の酸性環境では放出されない。pH感受性層がより高いpHで溶解すると、一定時間が経過した後、あるいは単位剤形が胃を通過した後に、医薬活性成分が利用可能となる。好ましい遅延時間は1ないし6時間の範囲にある。
【0059】
腸溶性ポリマーは、セルロースアセタートフタラート、セルロースアセタートトリメリタート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ポリビニルアセタートフタラート、カルボキシメチルエチルセルロース、コポリマー化メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、例えば、商品名EUDRAGIT L12.5、L100またはEUDRAGIT S12.5、S100または腸溶性コーティング剤を得るのに使用される類似する化合物を包含する。水性コロイド状ポリマー分散剤または再分散剤、例えば、EUDRAGIT L30D−55、EUDRAGIT L100−55、EUDRAGIT S100、EUDRAGIT プレパーレーション 4110D(Rohm Pharma);AQUATERIC、AQUACOAT CPD30(FMC);KOLLICOAT MAE 30Dおよび30DP(BASF);EASTACRYL 30D(Eastman Chemical)を塗布することもできる。
【0060】
持続放出性フィルムコートは、ワックスまたはワックス様物質、脂肪アルコール、セラックニス、ゼイン、硬化植物油、水不溶性セルロース、アクリル酸および/またはメタクリル酸のポリマー、当該分野にて公知のいずれか他のゆっくりと消化可能なまたは分散可能な固体を包含する。疎水性コーティング材料用の溶媒は有機溶媒または水性溶媒のいずれであってもよい。好ましくは、疎水性ポリマーは(i)アルカリセルロース、好ましくはエチルセルロースなどの水不溶性セルロース性ポリマー;(ii)アクリル性ポリマー;または(iii)その混合物より選択される。本発明の他の好ましい実施形態において、放出制御コーティング剤を含む疎水性材料はアクリル性ポリマーである。医薬上許容されるアクリル性ポリマーは本発明の目的に用いることができる。アクリル性ポリマーはカチオン性、アニオン性または非イオン性ポリマーのいずれであってもよく、アクリラート、メタクリラートであってもよく、メタクリル酸またはメタクリル酸エステルから形成されてもよい。適当なアクリル酸ポリマーの例として、限定されるものではないが、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリラートコポリマー、エトキシエチルメタクリラート、シアノエチルメタクリラート、メチルメタクリラート、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリラート、メチルメタクリラートコポリマー、ポリ(メチルメタクリラート)コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)およびグリシジルメタクリラートコポリマーが挙げられる。
【0061】
バリアコートは外側コートとソフトゼラチン殻の間に含まれてもよい。バリアコートは腸溶性/遅延性放出コート(上記)またはバリア(非機能性)層からなっていてもよく、保護コートとして役立ち、医薬活性成分が殻から外側に滲み出ることを、またはその逆を防止する。
【0062】
本発明の一の実施形態において、一または複数のNSAIDは第1部分と第2部分に分けられ、その一の部分はコーティング上に配置され、別の部分はソフトゼラチンカプセル中に配置される。一の実施形態において、剤形では、腸溶性コーティングをバリア層として設けることで、第1部分の投与と第2部分の投与の間に時間のずれがある。他の実施形態において、第1部分を即時放出させ、つづいて第2部分を遅延または持続性放出させることもある。さらなる実施形態において、第1部分を遅延放出させ、つづいて第2部分をボーラス投与させることもある。
【0063】
例えば、機能性または非機能性コートを単一の剤形に塗布するための、および薬理活性原末をシュガービーズに堆積させるための、コーティング技術は製薬業界にて広く用いられるが、ソフトゼラチンカプセルのコーティングの間に遭遇する可能性のあるいくつかの課題もある。これらの課題はゼラチンおよび剤形の特性に起因することが多い。ソフトゼラチンカプセルは、一般に、医薬を油または親水性液体(充填用液体(fill liquid))に溶解または分散させて含んでいる。ソフトゼラチンカプセルの固有の柔軟性はカプセル殻中に可塑剤および残りの水分が存在するためである。かくして、ソフトゼラチンカプセルは従来のカプセルまたはハードゼラチンカプセルよりも動的な系である。大気中の水分がカプセル殻中に、あるいは充填用液体中に浸透するかもしれない。薬物または充填用液体がカプセル殻中に移動するかもしれず、その一方で可塑剤または残りの水性ゼラチンが充填用液体中に移動する可能性がある。ソフトゼラチンカプセル中の揮発性成分は大気中に抜け出るかもしれない。
【0064】
上記したように、ポリマー性コーティング剤は、一般に、水溶液、有機性溶液または分散液として適用され、その場合、ポリマー含有の液滴を気体で霧化し、それを基質上に噴霧する。コーティング装置を加熱し、溶媒の蒸発およびフィルム形成を促進してもよい。ソフトゼラチンカプセルの場合の、スプレー速度および床温度の加工処理パラメータは制御されなければならない。ゼラチンは水溶性であるから、水性ポリマー材料を高速で噴霧することは、ゼラチンの可溶化およびカプセルの凝集をもたらしうる。床高温はカプセル殻から残りの水分を蒸発させ、カプセルを脆弱なものとする。したがって、本発明は、これらの結果を回避する、ソフトゼラチンカプセルのコーティング方法を含む。
【0065】
加えて、少量の一または複数のNSAIDをソフトゼラチンカプセルの表面に高い精度で堆積させることは、いくつかの要因で影響を受けうる。堆積の精度はコートされるカプセルの質量分散およびコートされる一または複数のNSAIDの含量の不一致を含め、コーティングの不変性を評価することで証明する必要がある。
【0066】
本発明は、オメガ−3脂肪酸を含むソフトゼラチンカプセルを、コーティング材料および一または複数のNSAIDを含むコーティング剤でコーティングする方法であって、コーティング剤をソフトゼラチンカプセル上に堆積させる速度を制御し、コーティング工程の間の温度を制御し、物理的かつ化学的に安定したコーティングされたゼラチンカプセルを生成する方法を提供する。
【0067】
別の実施形態において、本発明のコーティング剤はまた、ハードカプセルまたは錠剤上に塗布されてもよい。ハードゼラチンカプセルは、液体の代わりに、粉末、ビーズまたはマイクロ錠剤を含有してもよい(例えば、出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第5681588号と同様のシステム)。
【0068】
本発明のもう一つ別の実施形態は、一または複数のNSAIDおよびオメガ−3脂肪酸の単位剤形であって、剤形中の一または複数のNSAIDの初期時間(t)に測定した初期量の少なくとも90%が、室温かつ相対湿度60%で1ヶ月貯蔵した後(好ましくは6ヶ月の貯蔵、より好ましくは1年の貯蔵、最も好ましくは2年の貯蔵の後)に維持されている、単位剤形を包含する。
【0069】
ある実施形態において、本発明の処方は、一方または両方の有効成分の代謝作用および/または効能を改善するもの、好ましくは一方または両方を従来のそのままの量で投与してその代謝作用および/または効能を改善するものである。他の実施形態において、本発明の処方は、先行技術の処方と比較して、一または複数のNSAIDおよび/またはオメガ−3脂肪酸の用量を減少させることを可能とするもので、それでも各有効成分の効能は維持されるか、改善さえされている。
【0070】
この一または複数のNSAIDとオメガ−3脂肪酸の組合せは、2つの薬物単独で考えられる複合または相加効果よりも大きな効果を可能とする。かくして、2つの有効成分の、別々での、あるいは本発明の新規な組合せ生成物を介しての併用療法は、2つの有効成分の標準的な用量で効能の増加または該成分の用量の減少で効能の維持を可能とする、有効成分の作用にて予期せぬ増加をもたらしうる。薬物または他の有効成分の生物学的利用能または効能の改善は一日の用量をいくらか減少させ、薬務において十分に許容されるものである。投与量が減少し、賦形剤が減少した結果として、望ましくない副作用もまた減少する。
【0071】
本明細書に引用される文献はすべてその出典を明示することにより全内容を本明細書の一部とする。
【0072】
実施例
【0073】
オメガ−3ポリ不飽和脂肪酸中に多数の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)で溶液を調製できるかどうかを決定するために試験を行った。試験した非ステロイド抗炎症薬はアセトアミノフェン、イブプロフェン、メロキシカム、ピロキシカムおよびナプロキセンであった。試験したオメガ−3ポリ不飽和脂肪酸はオメガ−3ポリ不飽和脂肪酸トリアシルグリセロール(EPAX(登録商標)6000TG)であった。実験はNSAIDとオメガ−3ポリ不飽和脂肪酸のトリアシルグリセロールの形態の溶液の作製が困難であることを示す。
【0074】
実施例1
【0075】
NSAIDの各々の溶解度を推奨される標的「用量」で試験した。標的用量は推奨される一日最大用量の25%に相当する用量とし、4個の1000mg EPAX(登録商標)カプセルが一日に消費されると仮定した。試験NSAIDの標的用量は:アセトアミノフェン800mg、イブプロフェン300mg、メロキシカム4mg、ナプロキセン150mgおよびピロキシカム5mgであった。
【0076】
初期の溶解度の結果は、アセトアミノフェン、イブプロフェンおよびメロキシカムがEPAX(登録商標)に溶解しないことを示した。約25℃および約40℃で3種のNSAIDの標的濃度では、アセトアミノフェンで高粘度のペーストが観察され;イブプロフェンで混濁した高粘度の懸濁液が観察され;そしてメロキシカムで流動性の懸濁液が観察された。約70℃に加熱すると、メロキシカムで底部に沈殿物のある透明な清澄液が観察され、この現象は室温に冷却しても変化なく維持された。約70℃に加熱すると、イブプロフェンでは透明な溶液が観察されたが、室温に冷却すると、イブプロフェンの沈殿が生じた。
【0077】
ピロキシカムの初期の溶解度の結果は70℃では透明な溶液を観察したが、室温に冷却すると、混濁した懸濁液を形成した。ナプロキセンの初期の溶解度の結果は70℃でも室温に冷却しても共に混濁した懸濁液を観察した。
【0078】
実施例2
【0079】
NSAIDが溶解し、溶液を形成するような濃度を決定する実験を行った。各NSAIDの量を分離バイアルで秤量し、つづいて秤量した量のEPAX(登録商標)6000TGを添加した。該バイアルをきつく栓をし、ついで焼く5分間超音波処理に付した。NSAIDが溶解しなかったならば、その調製物を40℃/75%RH安定性チャンバー中に約1.5時間入れた。透明な溶液が得られなければ、ついで付加的な重量のEPAX(登録商標)を段階的に添加した。各調製物を約15分間超音波処理に付し、各々にEPAX(登録商標)を添加した。結果を表1に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
イブプロフェン10mgと、EPAX(登録商標)1g(1000mg)の調製物は透明であったが、イブプロフェンの用量は300mgの標的用量をかなり下回った。ピロキシカム2mgと、EPAX(登録商標)1g(1000mg)の調製物は40℃に加熱すると溶解したように見えたが、そのピロキシカムの用量は5mgの標的用量を下回った。メロキシカム2mgと、EPAX(登録商標)15g(15000mg)の調製物は溶解していることが観察されたが、メロキシカムの用量は4mgの標的用量を下回っており、EPAX(登録商標)の用量は1g(1000mg)の標的用量よりもかなり上であった。ナプロキセン75mgと、EPAX(登録商標)10g(10000mg)の調製物は溶解しているように見えたが、ナプロキセンのこの剤形はEPAX(登録商標)1g当たり150mgの標的用量を下回った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.オメガ−3脂肪酸を含み、可溶化剤を含んでもよい、単位剤形と、
b.該単位剤形上の一または複数の外側コーティング剤であって、少なくとも一つの外側コーティング剤が一または複数のNSAIDを含む、外側コーティング剤とを含み、
c.該単位剤形と一または複数の外側コーティング剤の間に一または複数のバリアコーティング剤を含んでもよく、
d.該単位剤形上にシールコーティング剤を含んでもよい、
医薬組成物。
【請求項2】
一または複数の外側コーティング剤が、一または複数のNSAIDの即時放出、遅延/腸溶性放出、あるいは持続性放出用に処方されている、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
一または複数のバリアコーティング剤がオメガ−3脂肪酸の腸溶/遅延性放出用に、あるいは非機能性保護層として処方されている、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
単位剤形がソフトゼラチンカプセル、ハードゼラチンカプセルまたは錠剤である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
一または複数のNSAIDが、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、オキサプロジン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ピロキシカム、メクロフェナマート、メファナミン酸、ナブメトン、エトルドラク、ケトロラク、コリンマグネシウムトリサリチラート、アスピリン、ジフルニサル、サルサラート、フェノプロフェン、フルビプロフェン、ピルプロフェン、チアプロフェン酸、ロキソプロフェン、インドプロフェン、フェンブフェン、カルプロフェン、スプロフェン、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、デラコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブまたはメロキシカムより選択される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
オメガ−3脂肪酸が少なくとも約70%のEPAおよびDHAを含有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
約0.1gないし約10gのオメガ−3脂肪酸を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
一または複数のNSAIDを含む少なくとも一つの外側コーティング剤が、コーティング剤の堆積速度を制御し、かつコーティング処理の間の温度を制御しながら、単位剤形上に噴霧され、物理的かつ化学的に安定したコーティングされた単位剤形を生成する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、自己免疫障害、慢性疾患の突然の再発、発熱、痛み障害もしくは他の症状に対して二次的な痛み、月経困難症、線維筋痛、急性筋骨格痛、慢性筋骨格痛、歯痛、術後の痛み、家族性腺腫性ポリポーシス、他の腫瘍性疾患症状、コレステロールおよびトリグリセリド濃度の低下、COXの介在するいずれの症状、および/またはNSAIDとオメガ−3脂肪酸との組合せ治療に効果がある他のいずれかの症状からなる群より選択される、一または複数の症状の対象を治療する方法であって、該対象に請求項1記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項10】
症状が骨関節炎である、請求項9記載の対象の治療法。
【請求項11】
症状が関節リウマチである、請求項9記載の対象の治療法。
【請求項12】
症状が月経困難症である、請求項9記載の対象の治療法。
【請求項13】
症状が線維筋痛である、請求項9記載の対象の治療法。
【請求項14】
症状が慢性筋骨格痛である、請求項9記載の対象の治療法。
【請求項15】
症状が腫瘍性疾患である、請求項9記載の対象の治療法。
【請求項16】
症状が家族性腺腫性ポリポーシスである、請求項9記載の対象の治療法。

【公表番号】特表2010−515773(P2010−515773A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546410(P2009−546410)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/000533
【国際公開番号】WO2008/088808
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(506219731)リライアント・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】RELIANT PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】